(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068469
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】発泡ゴム組成物、発泡ゴム、及び導電性ゴムローラ
(51)【国際特許分類】
C08J 9/06 20060101AFI20240513BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20240513BHJP
C08K 3/06 20060101ALI20240513BHJP
C08K 5/16 20060101ALI20240513BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20240513BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240513BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20240513BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240513BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C08J9/06 CES
C08L23/16
C08K3/06
C08K5/16
C08K3/26
G03G15/00 550
G03G15/00 551
G03G15/02 101
G03G15/16 103
G03G15/08 235
G03G15/08 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178957
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船田 俊明
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
2H200
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
2H077AC04
2H077AD06
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2H077GA02
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2H200MB04
2H200MC15
4F074AA05L
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4J002GM00
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】環境変化による電気的特性の変動量を抑制した発泡ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴム成分と、硫黄架橋剤と、ゴム粉末と、発泡剤と、を含む発泡ゴム組成物である。前記ゴム成分は、EPDMを含み、前記EPDMの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して2質量部以上28質量部以下であり、前記ゴム粉末は、非発泡のゴム成形体を粉砕して得られ、前記非発泡ゴム成形体の温度23℃で相対湿度50%における体積電気抵抗率が、106.5Ω・cm以下の範囲にあり、前記ゴム粉末の粒度(D50)は、800μm以下であり、前記ゴム粉末の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して55質量部以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、
硫黄架橋剤と、
ゴム粉末と、
発泡剤と、を含む発泡ゴム組成物であって、
前記ゴム成分は、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを含み、
前記エチレン-プロピレン-ジエンゴムの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して2質量部以上28質量部以下であり、
前記ゴム粉末は、非発泡ゴム成形体を粉砕して得られ、前記非発泡ゴム成形体の温度23℃で相対湿度50%における体積電気抵抗率が、106.5Ω・cm以下の範囲にあり、
前記ゴム粉末の粒度(D50)は、800μm以下であり、
前記ゴム粉末の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して55質量部以下である発泡ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム粉末に、前記エチレン-プロピレン-ジエンゴムを含む請求項1に記載の発泡ゴム組成物。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の発泡ゴム組成物を用いて作られる発泡ゴム。
【請求項4】
請求項3に記載の発泡ゴムを備える導電性ゴムローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発泡ゴム組成物、発泡ゴム、及び導電性ゴムローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゴム組成物が開示されている。リサイクル性を考慮して、このゴム組成物には、架橋された発泡ゴムを粉砕したゴム粉末が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されるゴム組成物は、半導電性の発泡ゴムを粉砕し、メッシュのふるいにかけたゴム粉末を使用しているが、発泡ゴムのゴム紛末にはセルの跡など少なからず残るため、同ゴム紛末を使用したローラは空隙が生じやすくなることで導電性が悪くなり、通電耐久・環境変化電気特性を維持することが難しく、通電耐久・環境変化による電気的特性の変動量が大きい。そのため、この変動量の抑制が望まれていた。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、環境変化による電気的特性の変動量を抑制した発泡ゴム組成物を提供することを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕 ゴム成分と、
硫黄架橋剤と、
ゴム粉末と、
発泡剤と、を含む発泡ゴム組成物であって、
前記ゴム成分は、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを含み、
前記エチレン-プロピレン-ジエンゴムの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して2質量部以上28質量部以下であり、
前記ゴム粉末は、非発泡ゴム成形体を粉砕して得られ、前記非発泡ゴム成形体の温度23℃で相対湿度50%における体積電気抵抗率が、106.5Ω・cm以下の範囲にあり、
前記ゴム粉末の粒度(D50)は、800μm以下であり、
前記ゴム粉末の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して55質量部以下である発泡ゴム組成物。
【0006】
〔2〕 前記ゴム粉末に、前記エチレン-プロピレン-ジエンゴムを含む〔1〕に記載の発泡ゴム組成物。
【0007】
〔3〕 〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の発泡ゴム組成物を用いて作られる発泡ゴム。
【0008】
〔4〕 〔3〕に記載の発泡ゴムを備える導電性ゴムローラ。
【発明の効果】
【0009】
環境変化による電気的特性の変動量を抑制した発泡ゴム組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る導電性ロールの正面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る導電性ロールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「-」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10-20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10-20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0012】
1.発泡ゴム組成物
発泡ゴム組成物は、ゴム成分と、硫黄架橋剤と、ゴム粉末と、発泡剤と、を含む。ゴム成分は、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを含む。エチレン-プロピレン-ジエンゴムの含有量は、ゴム成分100質量部に対して2質量部以上28質量部以下である。ゴム粉末は、非発泡ゴム成形体を粉砕して得られる。非発泡ゴム成形体の温度23℃で相対湿度50%における体積電気抵抗率が、106.5Ω・cm以下の範囲にある。ゴム粉末の粒度(D50)は、800μm以下である。ゴム粉末の含有量は、ゴム成分100質量部に対して55質量部以下である。
【0013】
(1)ゴム成分
ゴム成分としては、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(以下「EPDM」ともいう。)が含まれる。ゴム成分は、他の種類のゴムを含んでいてもよい。
ゴム成分は、未架橋である。ゴム成分は、発泡成分の作用によって発泡が可能であることが好ましい。
【0014】
(1.1)EPDM
EPDMは、エチレン、プロピレン、及びジエン類の共重合体である。EPDMは、エチレン-プロピレン共重合体に、更にジエン類を共重合させて不飽和結合を導入することにより、加硫剤による加硫を可能としている。ジエン類は、特に限定されないが、非共役ジエンが好ましい。ジエン類は、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等が用いられる。ジエン類として5-エチリデン-2-ノルボルネンが好ましい。
【0015】
EPDMにおけるジエン類の含有量(ジエン含有量)は、特に限定されない。十分な架橋(加硫)反応を進行させる観点、及び良好な機械物性を得る観点から、エチレン、プロピレン、及びジエン類の質量合計を100質量%とした場合のジエン類の含有量は、2質量%以上17質量%以下が好ましく、2.5質量%以上16質量%以下がより好ましく、3質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0016】
EPDMにおけるエチレン含有量は、特に限定されない。耐熱性、耐永久歪性の観点から、エチレン、プロピレン、及びジエン類の質量合計を100質量%とした場合のエチレン含有量は、40質量%以上80質量%以下が好ましく、42質量%以上70質量%以下がより好ましく、45質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。
EPDMは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ゴム粉末と良好に混合する観点から、ゴム成分として含まれるEPDMの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに、2質量部以上であり、3.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。他方、環境変化による電気的特性の変動量を抑制する観点から、ゴム成分として含まれるEPDMの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに、28質量部以下であり、24質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。以上の観点から、ゴム成分として含まれるEPDMの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに、2質量部以上28質量部以下であり、3.5質量部以上24質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。
【0017】
(1.2)アクリロニトリルブタジエンゴム(任意成分)
ゴム成分は、アクリロニトリルブタジエンゴム(以下「NBR」ともいう。)を含むことが好ましい。NBRは、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体である。NBRのアクリロニトリル含有量は問わない。
【0018】
耐油性の観点から、アクリロニトリルとブタジエンとの合計を100質量%とした場合のNBRのアクリロニトリル含有量は、10質量%以上が好ましく、14質量%以上がより好ましく、19質量%以上がさらに好ましい。他方、耐寒性の観点から、アクリロニトリルとブタジエンの合計を100質量%とした場合のNBRのアクリロニトリル含有量は、48質量%以下が好ましく、36質量%以下がより好ましく24質量%以下がさらに好ましい。これらの観点から、NBRのアクリロニトリル含有量は、10質量%以上42質量%以下が好ましく、12質量%以上36質量%以下が好ましく、15質量%以上24質量%以下がさらに好ましい。
【0019】
NBRは、一般的に、アクリロニトリル含有量によって、高ニトリルタイプ(アクリロニトリル含有量36質量%以上42質量%以下)、中高ニトリルタイプ(アクリロニトリル含有量31質量%以上35質量%以下)、中ニトリルタイプ(アクリロニトリル含有量25質量%以上30質量%以下)、低ニトリルタイプ(アクリロニトリル含有量24質量%以下)に種別される。これらのいずれのタイプも使用できるが、低ニトリルタイプを好ましく使用できる。
【0020】
ゴム成分であるNBRの配合割合は、発泡ゴム組成物の成形性を担保する観点から、ゴム成分の合計100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、35質量部以上がさらに好ましい。他方、NBRの配合割合は、オゾンクラックの発生を抑制する観点から、ゴム成分の合計100質量部に対して、80質量部以下が好ましく、65質量部以下であることがより好ましく、55質量部以下であることがさらに好ましい。これらの観点から、NBRの配合割合は、ゴム成分の合計100質量部に対して、10質量部以上80質量部以下が好ましく、15質量部以上65質量部以下がより好ましく、35質量部以上55質量部以下がさらに好ましい。
【0021】
(1.3)エピクロルヒドリンゴム(任意成分)
ゴム成分は、エピクロルヒドリンゴムを含むことが好ましい。エピクロルヒドリンゴムは、イオン導電性ゴムであり、耐オゾン性を有する。エピクロルヒドリンゴムとしては、例えば、エピクロルヒドリン単独重合体(CO)、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン-アリルグリシジルエーテル二元共重合体(GCO)、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体(以下、GECOともいう。)、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテルの三元共重合体等が挙げられる。これらイオン導電性ゴムの1種または2種以上を使用することができる。
【0022】
連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点、及び環境変化による電気的特性の変動量を抑制する観点から、エピクロルヒドリンゴム配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに、10質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。他方、発泡ゴム組成物の成形性を確保するという観点から、エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに90質量部以下が好ましく、85質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。以上観点から、エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに、10質量部以上90質量部以下が好ましく、50質量部以上85質量部以下がより好ましく、60質量部以上80質量部以下がさらに好ましい。
【0023】
ゴム成分は、GECOを含むことがより好ましい。GECOは、エピクロロヒドリンゴムの一種である。GECOは、エピクロロヒドリンと、エチレンオキサイドと、アリルグリシジルエーテルとの共重合体である。GECOは、側鎖にアリルグリシジルエーテル由来の二重結合を有する。このため、GECOは、熱劣化やオゾン亀裂性といった老化現象が抑制される。この結果、GECOは、本来の耐油性、強度特性、耐寒性等を長期にわたって保持できる。GECOは、オキシエチレン鎖に由来する固有の半導電的な性質のため、電気抵抗が低いという特徴を有する。
【0024】
GECOにおいて、ゴム組成物の抵抗値を下げる観点から、エピクロロヒドリンユニットと、エチレンオキサイドユニットと、アリルグリシジルエーテルユニットの含有量の合計を100モル%とした場合に、エチレンオキサイドユニット含有量は、20モル%以上であることが好ましく、25モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがさらに好ましい。他方、エチレンオキサイドの結晶化を抑制する観点から、GECOにおいてエチレンオキサイドユニット含有量は、エピクロロヒドリンユニットと、エチレンオキサイドユニットと、アリルグリシジルエーテルユニットの含有量の合計を100モル%とした場合に、80モル%以下であることが好ましく、77モル%以下であることがより好ましく、75モル%以下であることがさらに好ましい。これらの観点から、GECOにおいてエチレンオキサイドユニット含量は、エピクロロヒドリンユニットと、エチレンオキサイドユニットと、アリルグリシジルエーテルユニットの含量の合計を100モル%とした場合に、20モル%以上80モル%以下が好ましく、25モル%以上77モル%以下であることがより好ましく、30モル%以上75モル%以下であることがさらに好ましい。
【0025】
GECOにおけるアリルグリシジルエーテルユニット含有量は、架橋密度を上げる観点から、エピクロロヒドリンユニットと、エチレンオキサイドユニットと、アリルグリシジルエーテルユニットの含有量の合計を100モル%とした場合に、2.0モル%以上であることが好ましく、4.0モル%以上であることがより好ましく、6.0モル%以上であることがさらに好ましい。他方、老化防止の観点から、GECOにおけるアリルグリシジルエーテルユニット含有量は、エチレンオキサイドユニットと、アリルグリシジルエーテルユニットの含有量の合計を100モル%とした場合に、20モル%以下が好ましく、15モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。これらの観点から、GECOにおいてアリルグリシジルエーテルユニット含量は、エチレンオキサイドユニットと、アリルグリシジルエーテルユニットの含量の合計を100モル%とした場合に、2.0モル%以上20モル%以下が好ましく、4.0モル%以上15モル%以下がより好ましく、6.0モル%以上10モル%以下がさらに好ましい。
【0026】
連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点、及び環境変化による電気的特性の変動量を抑制する観点から、GECOの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに、10質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。他方、発泡ゴム組成物の成形性を確保するという観点から、ゴム成分であるGECOの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに90質量部以下が好ましく、85質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。これらの観点から、GECOの配合割合は、ゴム成分の合計を100質量部としたときに、10質量部以上90質量部以下が好ましく、50質量部以上85質量部以下がより好ましく、60質量部以上80質量部以下がさらに好ましい。
【0027】
(2)硫黄架橋剤
本開示の発泡ゴム組成物は、硫黄架橋剤を含む。硫黄架橋剤は、例えば、硫黄、及び硫黄化合物からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。硫黄架橋剤の配合割合は、特に限定されない。導電性ゴムローラ等の用途に適した特性の発泡ゴムを得る観点から、ゴム成分の合計を100質量部とした場合に、硫黄架橋剤は、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が更に好ましい。他方、耐ブルーム性の観点から、硫黄架橋剤は、ゴム成分の合計を100質量部とした場合に、5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下が更に好ましい。これらの観点から、硫黄架橋剤の量は、ゴム成分の合計100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上2.0質量部以下がさらに好ましい。
【0028】
(3)ゴム粉末
ゴム粉末は、架橋済みのゴムの粉末である。本開示の発泡ゴム組成物では、架橋済みのゴムも原料の一部としているので、ゴムをリサイクルでき、環境にやさしい。ゴム粉末は、非発泡ゴム成形体を粉砕して得られる。粉砕の方法は、特に限られない。摩擦力やせん断力、ずり応力などによって行われる表面粉砕でもよいし、衝撃力や圧縮力によって行われる体積粉砕でもよい。ここでいう表面粉砕は、刃物による切削も含む概念である。尚、予め、液体窒素などを冷媒に使用し、成形体を凍結させて粉砕する冷凍粉砕でもよい。
【0029】
(3.1)体積電気抵抗率
ゴム粉末は、非発泡ゴム成形体を粉砕して得られるが、粉砕前の非発泡ゴム成形体の温度23℃で相対湿度50%における体積電気抵抗率は106.5Ω・cm以下であり、101.5Ω・cm以上106.5Ω・cm以下が好ましく、101.5Ω・cm以上104.5Ω・cm以下がより好ましく、101.5Ω・cm以上102.5Ω・cm以下がさらに好ましい。
体積電気抵抗率の測定は、非発泡のゴム成形体を試験片として用いて、JIS K 6271-1(2015年)に準拠して測定する。
なお、非発泡のゴム成形体を原料にしたゴム粉末を用いることで、発泡ゴム組成物においてゴム粉末に由来する空孔が減少する。そのため、通電耐久、環境変化による電気的特性の変動量が低く抑えられると考えられる。
【0030】
(3.2)ゴム粉末の粒度(D50)
連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点、及び環境変化による電気的特性の変動量を抑制する観点から、ゴム粉末の粒度(D50)は、800μm以下であり、500μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましい。ゴム粉末の粒度(D50)は、加工性の観点から、20μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。これらの観点から、ゴム粉末の粒度(D50)は、20μm以上800μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましく、100μm以上250μm以下がさらに好ましい。
なお、本開示において、粒度(D50)は、JIS Z 8825に準拠したレーザ回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度50%の粒径を意味する。
ゴム粉末の粒度は、公知のふるいや分級機等によっても調整できる。
【0031】
(3.3)ゴム粉末中に含まれるEPDM
ゴム粉末は、EPDMを含むことが好ましい。ゴム粉末中にEPDMが含まれると、このEPDMは、ゴム成分のEPDMと相溶する。ゴム粉末に含まれるEPDMと、ゴム成分のEPDMとが、互いに相溶した状態で、硫黄架橋されると、発泡ゴム組成物の通電特性が良好となる。
ゴム粉末に含まれるEPDMにおけるジエン類の含有量(ジエン含有量)は、特に限定されない。エチレン、プロピレン、及びジエン類の質量合計を100質量%とした場合のジエン類の含有量は、十分な架橋(加硫)反応を進行させる観点、及び良好な機械物性を得る観点から、2質量%以上17質量%以下が好ましく、2.5質量%以上16質量%以下がより好ましく、3質量%以上15質量%以下がさらに好ましく、ゴム成分として含まれるEPDMのエチレン含有量と同値であることが特に好ましい。
ゴム粉末中に含まれるEPDMにおけるエチレン含有量は、特に限定されない。エチレン、プロピレン、及びジエン類の質量合計を100質量%とした場合のエチレン含有量は、耐熱性、耐永久歪性の観点から、40質量%以上80質量%以下が好ましく、42質量%以上70質量%以下がより好ましく、45質量%以上60質量%以下がさらに好ましく、ゴム成分として含まれるEPDMのエチレン含有量と同値であることが特に好ましい。
ゴム粉末に含まれるEPDMは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ゴム粉末中のEPDMの配合割合は、ゴム粉末中のゴム成分の合計を100質量とした場合に、通電耐久性の観点から、40質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましく、100質量部がさらに好ましい。
【0032】
(3.4)ゴム粉末中に含まれるカーボンブラック
ゴム粉末は、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックの種類は、特に限定されない。HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)、MAF(Medium Abrasion Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等、いずれのカーボンブラックであってもよい。カーボンブラックは1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム粉末中に含まれるカーボンブラックは、連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点、良好な分散性の観点から、アセチレンブラック、HAFであることが好ましい。
ゴム粉末中に含まれるカーボンブラックは、ゴム粉末中のゴム成分の合計100質量部に対して、10質量部以上90質量部以下が好ましく、20質量部以上80質量部以下がより好ましく、40質量部以上60質量部以下がさらに好ましい。
ゴム粉末中に含まれるカーボンブラックのJISK6217-2に規定される方法により測定される窒素吸着比表面積は、連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点から、15m2/g以上が好ましく、40m2/g以上が好ましく、65m2/g以上がさらに好ましい。他方、良好な機械物性を得る観点から、120m2/g以下が好ましく、100m2/g以下がより好ましく、80m2/g以下がさらに好ましい。これらの観点から、カーボンブラックのJISK6217-2に規定される方法により測定される窒素比表面積(m2/g)は、15m2/g以上120m2/g以下が好ましく、40m2/g以上100m2/g以下がより好ましく、65m2/g以上80m2/g以下がさらに好ましい。
ゴム粉末中に含まれるカーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は、特に限定されない。連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点から、ゴム粉末中に含まれるカーボンブラックのJIS K 6217:2017に準拠して測定するDBP吸油量は、60ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましく、150ml/100g以上がさらに好ましい。他方、JIS K 6217:2017に準拠して測定するカーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は、良好な機械物性を得る観点から、300ml/100g以下が好ましく、250ml/100g以下がより好ましく、180ml/100g以下がさらに好ましい。これらの観点から、ゴム粉末に含まれる、JIS K 6217:2017に準拠して測定するカーボンブラック吸油量(ml/100g)は、60ml/100g以上300ml/100g以下が好ましく、100ml/100g以上250ml/100g以下がより好ましく、150ml/100g以上180ml/100g以下がさらに好ましい。
【0033】
(4)発泡剤
発泡剤は、特に限定されない。発泡剤として、有機系発泡剤、無機系発泡剤等の公知の発泡剤を使用できる。発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
発泡剤として、例えば、ジニトロペンタジエンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、及び炭酸水素ナトリウムのうち少なくとも一種を用いることができる。
発泡剤の配合割合は、特に限定されない。ゴム成分(「1.発泡ゴム組成物」の「(1)ゴム成分」の欄(段落[0013]―[0026])に記載のゴム成分)の合計を100質量部とした場合に、発泡剤は、適正な密度のゴム発泡体にするための発泡ガス量に調整する観点から、5.0質量部以上が好ましく、7.0質量部以上がより好ましく、8.0質量部以上が更に好ましい。他方、発泡剤は、見栄え確保(ワレ、ピンホール等の欠陥の抑制)の観点から、ゴム成分の合計100質量部に対して、35質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下が更に好ましい。これらの観点から、発泡剤の量は、ゴム成分の合計100質量部に対して、5.0質量部以上35質量部以下が好ましく、7.0質量部以上30質量部以下がより好ましく、8.0質量部以上25質量部以下が更に好ましい。
【0034】
(5)相溶化剤(任意成分)
本開示の発泡ゴム組成物は、相溶化剤が配合されていてもよい。相溶化剤は、複数種のゴムを用いた場合に、複数種のゴムの極性差を解消して、均一分散性の向上に寄与する。
例えば、EPDMは、NBR及びエピクロルヒドリンゴムと比較して、溶解度パラメータ(SP値)が低く、NBR及びエピクロルヒドリンゴムへの分散が困難である。相溶化剤を使用することにより、極性差が解消されて、NBR及びエピクロルヒドリンゴムに対して、EPDMのブレンドが容易となる。これにより、発泡ゴム組成物中に、EPDMを多く添加できるため、導電性を有する組成物の通電特性と環境特性が改善される。
相溶化剤は、脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素水素添加樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、及び芳香族炭化水素水素添加樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂が好ましい。組成物の均一分散の観点から、脂肪族炭化水素樹脂が好ましい。
【0035】
脂肪族炭化水素樹脂は、鎖状又は環状の非芳香族性の炭化水素の樹脂である。脂肪族炭化水素樹脂の炭素原子間の結合は、すべて単結合であっても、二重結合や三重結合などの不飽和結合を有していてもよい。
脂肪族炭化水素樹脂としては、例えば、パフォーマンスアディテイブ社製 商品名「UB6000」、Schill+Seilacher社製 ストラクトール 40 MS、Schill+Seilacher社製 商品名「ストラクトール 50 MS」、Schill+Seilacher社製 商品名「ストラクトール 60 NS」、Schill+Seilacher社製 商品名「ストラクト―ル 60NSF」、Schill+Seilacher社製「ストラクト―ルHP55」が好適に挙げられ、脂肪族炭化水素水素添加樹脂としては、パフォーマンスアディテイブ社製、商品名「UB XP108」が好適に挙げられる。これらの樹脂は、単独で使用しても良いし、2種以上混合しても使用してもよい。
【0036】
脂環式炭化水素樹脂は、分子の形状が環式の脂肪族炭化水素のことをいい、単結合の環状化合物であるシクロアルカン、二重結合の環状化合物であるシクロアルケン、三重結合の環状化合物であるシクロアルキンが含まれる。
脂環式炭化水素樹脂としては、特にジシクロペンタジエン樹脂が好適に挙げられる。ジシクロペンタジエン樹脂としては、日本ゼオン(株)製、商品名「クイントン 1325」、「クイントン 1700」、丸善石油化学(株)製、商品名「マルカレッツM M-890A」等が挙げられる。他の脂環式炭化水素樹脂としては、荒川化学工業(株)製、商品名「アルコン P-90」等が挙げられる。
【0037】
芳香族炭化水素樹脂は、環状不飽和有機化合物である。芳香族炭化水素樹脂は、例えば、ナフサの熱分解により得られ、そのC8-C10留分(特に、C9留分)中に含まれるα-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン等のビニル置換芳香族炭化水素等を重合した樹脂などが挙げられる。例えば、新日本石油精製(株)製、商品名「日石ネオポリマー L-90」、「日石ネオポリマー 120」等が挙げられる。
【0038】
相溶化剤の配合割合は、ゴム組成物を良好に混合する観点から、ゴム成分(「1.発泡ゴム組成物」の「(1)ゴム成分」の欄(段落[0013]―[0026])に記載のゴム成分)の合計100質量部に対して、3質量部以上であり、3.5質量部以上が好ましく、4.0質量部以上がさらに好ましい。他方、発泡ゴム組成物の成形性を確保するという観点から、相溶化剤の配合割合は、ゴム成分の合計100質量部に対して、20質量部以下であり、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。これらの観点から、相溶化剤の配合割合は、ゴム成分の合計100質量部に対して、3質量部以上20質量部であり、3.5質量部以上15質量部以下が好ましく、4.0質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
【0039】
(6)カーボンブラック(任意成分)
本開示の発泡ゴム組成物は、カーボンブラックが配合されていてもよい。カーボンブラックは、発泡ゴム組成物の機械物性を良好とし、連続通電における抵抗値の上昇を抑制する。発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの種類は特に限定されない。MT(Medium Thermal)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、HAF(High Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)、MAF(Medium Abrasion Furnace)、FT(Fine Thermal)、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等、いずれのカーボンブラックであってもよい。カーボンブラックは1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラックは、連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点、カーボンブラックを良好に混合する観点から、MT(Medium Thermal)であることが好ましい。
発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの配合割合は、発泡ゴム組成物の成形性を確保する観点から、ゴム成分(「1.発泡ゴム組成物」の「(1)ゴム成分」の欄(段落[0013]―[0026])に記載のゴム成分)の合計100質量部に対して、70質量部以下であり、65質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。他方、環境変化による電気的特性の変動量を抑制する観点から、発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの配合割合は、ゴム成分の合計100質量部に対して、30質量部以上であり、40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましい。これらの観点から、発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの配合割合は、ゴム成分の合計100質量部に対して、30質量部以上70質量部以下であり、40質量部以上65質量部以下が好ましく、50質量部以上60質量部以下がより好ましい。
【0040】
ASTM-D6556に準じて求めた発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの窒素表面積(m2/g)は、特に限定されない。カーボンブラックの分散性及び発泡ゴム組成物の成形性の観点から、窒素表面積は、100m2/g以下が好ましく、70m2/g以下がより好ましく、40m2/g以下がさらに好ましい。他方、連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点から、ASTM-D6556に準じて求めたカーボンブラックの窒素表面積(m2/g)は、3m2/g以上が好ましく、4m2/gがより好ましく、5m2/g以上がさらに好ましい。以上の観点から、ASTM-D6556に準じて求めたカーボンブラックの窒素表面積(m2/g)は、3m2/g以上100m2/g以下が好ましく、4m2/g以上70m2/g以下がより好ましく、5m2/g以上40m2/g以下がさらに好ましい。
【0041】
ASTM-D2414に準じて求めた発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラックの吸油量(cm3/100g)は、特に限定されない。連続通電における抵抗値の上昇を抑制する観点、カーボンブラックを良好に混合する観点から、発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラック吸油量は、20cm3/100g以上が好ましく、30cm3/100gがより好ましく、40cm3/100gが更に好ましい。他方、良好な機械物性を得る観点から、ASTM-D2414に準じて求めたカーボンブラック吸油量(cm3/100g)は、200cm3/100g以下が好ましく、100cm3/100g以下がより好ましく、50cm3/100g以下が更に好ましい。これらの観点からASTM-D2414に準じて求めた発泡ゴム組成物に含まれるカーボンブラック吸油量(cm3/100g)は、20cm3/100g以上200cm3/100g以下が好ましく、30cm3/100g以上100cm3/100g以下がより好ましく、40cm3/100g以上50cm3/100g以下が更に好ましい。
【0042】
(7)加硫促進助剤(任意成分)
本開示の発泡ゴム組成物は、加硫促進助剤が配合されていてもよい。加硫促進助剤は、主に硫黄架橋剤の働きを促進させるものである。加硫促進助剤は、特に限定されない。加硫促進助剤は、例えば、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、バリウム、ゲルマニウム、チタニウム、錫、ジルコニウム、アンチモン、バナジウム、ビスマス、モリブデン、タングステン、テルル、セレン、鉄、ニッケル、コバルト、オスミウムなどの金属単体、及びこれらの酸化物や水酸化物などを使用することができる。
これら金属化合物のなかでも、特に、酸化亜鉛、二酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化マグネシウムが、加硫効果が高いため好ましい。なお、これらの加硫促進助剤は2種以上を併用して用いてもよい。
加硫促進助剤の配合割合は、特に限定されない。ゴム成分(「1.発泡ゴム組成物」の「(1)ゴム成分」の欄(段落[0013]―[0026])に記載のゴム成分)の合計を100質量部とした場合に、加硫促進助剤は、導電性ゴムローラ等の用途に適した特性の発泡ゴムを得る観点から、2.0質量部以上が好ましく、3.0質量部以上がより好ましく、4.0質量部以上が更に好ましい。他方、加硫促進助剤は、耐ブルーム性の観点から、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。これらの観点から、加硫促進助剤の量は、ゴム成分の合計100質量部に対して、2.0質量部以上25質量部以下が好ましく、3.0質量部以上20質量部以下がより好ましく、4.0質量部以上15質量部以下が更に好ましい。
【0043】
(8)その他の充填剤(任意成分)
本開示のゴム組成物は、カーボンブラック以外にも充填剤が配合されていてもよい。充填剤は、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムなど)、炭酸マグネシウム、ケイ酸、及びその塩類、クレー、タルク、雲母粉、ベントナイト、シリカ、アルミナ、アルミニウムシリケート、アルミニウム粉等の無機系充填剤、例えば、コルクなどの有機系充填剤、その他公知の充填剤が用いられる。これら充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
その他の充填剤の配合割合は、特に限定されないが、良好な機械物性を得るため、例えば、ゴム成分(「1.発泡ゴム組成物」の「(1)ゴム成分」の欄(段落[0013]―[0026])に記載のゴム成分)の合計100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上75質量部以下がより好ましく、15質量部以上50質量部以下がさらに好ましい。
【0044】
(9)加工助剤(任意成分)
本開示のゴム組成物は、相溶化剤以外にも加工助剤が配合されていてもよい。加工助剤として、グリセリン脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン系脂肪酸エステル、プロピレン系脂肪酸エステル、n-ブチルステアレート等の脂肪酸エステルや、硫黄ファクチス、ステアリン酸を用いることができる。加工助剤の配合割合は特に問わない。ゴム成分(「1.発泡ゴム組成物」の「(1)ゴム成分」の欄(段落[0013]―[0026])に記載のゴム成分)の合計を100質量部とした場合に、加工助剤は、他のゴム組成物を凝集なく均一に分散させる観点から、ゴム成分の合計100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましい。他方、加工助剤は、ゴムコンパウンドの粘度を抑制する観点から、ゴム成分の合計100質量部に対して、10.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下が更に好ましい。これらの観点から、脂肪酸エステルの量は、ゴム成分の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.3質量部以上5.0質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下が更に好ましい。
【0045】
(10)発泡助剤(任意成分)
本開示のゴム組成物は、発泡助剤が配合されていてもよい。発泡助剤は特に限定されない。発泡助剤として、尿素系発泡助剤が好適に用いられる。尿素系発泡助剤は、尿素を主成分とするものであり、例えば、永和化成工業社製のセルペーストK-5、セルペースト101等が例示される。なお、主成分とは、含有率(質量%)が90質量%以上(100質量%以下)の物質をいう。
尿素系発泡助剤の配合割合は、特に限定されない。尿素系発泡助剤の配合割合は、発泡成形時の発泡剤の分解開始温度を調整する観点から、ゴム成分(「1.発泡ゴム組成物」の「(1)ゴム成分」の欄(段落[0013]―[0026])に記載のゴム成分)の合計100質量部に対して、1.0質量部以上9.0質量部以下が好ましく、1.5質量部以上8.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以上以8.0質量部以下がさらに好ましい。
【0046】
2.導電性ゴムローラ10の構成
導電性ゴムローラ10は、
図1、
図2に示すように、シャフト11と、シャフト11の外周に設けられた発泡ゴム12と、を備えている。
【0047】
発泡ゴム12は、中心にシャフト挿入用孔13を有する円筒形をなしている。導電性ゴムローラ10は、発泡ゴム12の層を一層のみ有しているが、複数層を有していてもよい。また、発泡ゴム12は、発泡体を使用しても良い。発泡ゴム12は、例えば0.5mm以上15mm以下とすることができる。
【0048】
シャフト11は、略棒状の金属製のシャフトであり、鉄、ステンレス、アルミニウム等の導電性の良好な金属製のものが採用されている。シャフト11は、両端を除いて、外周面が、発泡ゴム12によって覆われている。なお、シャフト11として、金属製のシャフト以外に、樹脂製のシャフト等を採用することが可能である。樹脂製のシャフトとしては、高剛性であり、導電性を有するものを採用することが好ましく、樹脂製のシャフトは、例えば、高剛性樹脂に導電剤を添加、分散させて形成される。
【0049】
導電性ゴムローラ10は、電子写真機器用導電部材の構成材料に用いられるものである。導電ゴム部材としては、例えば、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロール等の各種の導電性弾性ロールが挙げられる。導電性ゴムローラ10は、用途に応じて求められる機能に合わせて発泡ゴム12の表面に塗装が施されてもよい。例えば、導電性ゴムローラ10が帯電ロールの場合には、帯電性が要求され、一方、現像ロールの場合には、トナー帯電性やトナー離型性、残留電荷減衰性などの機能が要求されるため、要求機能に応じた組成物を調製し、発泡ゴム12の表面に塗装することができる。
【実施例0050】
1.ゴム粉末の調製(ゴム粉末1-4)
表1に示す配合割合で、ゴム粉末を調製した。表1におけるゴム粉末の原料の詳細を示す。表1において、配合の欄の単位は、全て「質量部」である。
【0051】
(1)ゴム粉末の原料の詳細
・GECO:大阪ソーダ(ダイソー)社製 エピクロマーCG102
・EPDM:三井化学株式会社製 EPT3045(エチレン量56質量%、ジエン量4.7質量%、ジエン類、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB))
・NBR:JSR株式会社製 N250SL(ニトリル含量19.5質量%)
・カーボンブラック1:デンカ株式会社製 デンカブラック(アセチレンブラック JIS K6217-2に規定される方法により測定される窒素比表面積69m2/g JIS K 6217:2017に準拠して測定するDBP吸着量160ml/100g)
・カーボンブラック2:旭カーボン社製 旭#70(HAF JIS K6217-2に規定される方法により測定される窒素比表面積77m2/g JIS K 6217:2017に準拠して測定するDBP吸着量101ml/100g)
・カーボンブラック3:cancarb社製 N990(MT ASTM-D6556に準じて求めたカーボンブラックの窒素表面積 7.0-12.0m2/g、ASTM-D2414に準じて求めたカーボンブラック吸油量 44.0cm3/100g)
・炭酸カルシウム 丸尾カルシウム株式会社製 スーパー4S
・酸化亜鉛:ハクスイテック株式会社製 酸化亜鉛2種
・硫黄架橋剤:硫黄 ラインケミー(株)製 S-80
・チウラム系加硫促進剤:ラインケミー(株)製 TETD-75
・スルフェンアミド系加硫促進剤:三新化学(株)製 CM-G
・ステアリン酸:日本油脂株式会社製 ステアリン酸ツバキ
【0052】
(2)ゴム粉末の作製
ゴム粉末は、具体的には以下のように作製した。
NBR、GECO、EPDM、カーボンブラック1-3、炭酸カルシウム、酸化亜鉛をバンバリーミキサーに投入し、バンバリーミキサー用いて混練りしてコンパウンドを得た。その後、そのコンパウンドに、ステアリン酸、硫黄、チウラム系加硫促進剤,スルフェンアミド系加硫促進剤を加え、ミキシングロールで、更に混練りし、ロールにて、シート状に分出しをおこなって、非発泡の組成物を調製した。非発泡の組成物を、金型に充填し、160℃×30分の条件で、加硫・架橋して、非発泡のゴムシート(本開示の「非発泡ゴム成形体」に相当)を得た。
各非発泡のゴムシートは、表1に示す配合表において、NBR、GECO、EPDM、カーボンブラック1-3の添加量を変えて調製した。
非発泡のゴムシート1,2,3,4を、切削機により粉砕し、ゴム粉末1,2,3,4を得た。ゴム粉末1,3,4は、後述する測定による粒度(D50)がいずれも300μmのものを用意した。ゴム粉末2は、後述する測定による粒度(D50)が100μm、300μm、600μm、1000μmのものを4種用意した。各ゴム粉末の粒度(D50)は、切削機の切削条件を変更することで調整した。
【0053】
(3)非発泡のゴムシートの体積電気抵抗率の測定
粉砕前の非発泡のゴムシートの体積電気抵抗率を測定した。体積電気抵抗率の測定は、エーディーシー社製の抵抗測定器(型式「5451」)により、JIS K 6271-1(2015年)に準拠して測定した。
非発泡のゴムシート1-4の体積電気抵抗率を表1に示す。
【0054】
【0055】
(4)ゴム粉末の粒度(D50)測定
ゴム粉末の粒度(D50)は、レーザ回折散乱法により求めた。具体的には、JIS Z 8825に準拠したレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(MT3300EXII、マイクロトラック・ベル社製)を用いて、レーザ回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算粒度50%の粒径D50(平均粒子径)を求めた。
【0056】
2.発泡ゴム組成物
発泡ゴム組成物の原料の配合割合を表2、3に示す。表2、3における発泡ゴム組成物の原料の詳細を示す。
【0057】
(1)発泡ゴムの原料の詳細
・GECO:大阪ソーダ(ダイソー)社製 エピクロマーCG102
・EPDM:三井化学株式会社製 EPT3045(エチレン量56質量%、ジエン量4.7質量%、ジエン類、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB))
・NBR:JSR株式会社製 N250SL(ニトリル含量19.5質量%)
・カーボンブラック3:cancarb社製 N990(ASTM D6556に準じて求めたカーボンブラックの窒素表面積 7.0-12.0 m2/g、ASTM D2414に準じて求めたカーボンブラック吸油量 44.0cm3/100g)
・炭酸カルシウム:丸尾カルシウム株式会社製 スーパー4S
・酸化亜鉛:ハクスイテック株式会社製 酸化亜鉛2種
・硫黄:ラインケミー(株)製 S-80
・チウラム系加硫促進剤:ラインケミー(株)製 TETD-75
・スルフェンアミド系加硫促進剤:三新化学(株)製 CM-G
・ステアリン酸:日本油脂株式会社製 ステアリン酸ツバキ
・ADCA:永和化成社製 ビニホールAC#3
・OBSH:永和化成社製 ネオセルボンN#1000S
・ゴム粉末:表1に示す非発泡のゴムシート1-4を切削したゴム粉末1-4
【0058】
【0059】
【0060】
3.発泡ゴム組成物の調製、及びそれを用いた発泡ゴム(導電性ゴムローラ)の作製
(1)実施例1-11、比較例1-5
表2、3の配合割合にて、NBR、GECO、EPDM、ゴム粉末、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化亜鉛をバンバリーミキサーに投入し、バンバリーミキサー用いて混練りしてコンパウンドを得た。その後、そのコンパウンドに、ステアリン酸、硫黄、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、ADCA、OBSHを加え、ミキシングロールで、更に混練りし、ロールにて、シート状に分出しをおこなって、発泡ゴム組成物を調製した。実施例及び比較例において、発泡ゴム組成物は、ゴム成分、及びゴム粉末の種類、添加量を変えて調製した。
【0061】
上記のように調製した発泡ゴム組成物を押出成形機に供給して、外径15mm、内径4.5mmの筒状に押出成形した後、所定の長さにカットし、架橋用の仮のシャフトに装着して、加硫釜において160℃で、30分間架橋させた。
架橋させた筒状体から仮シャフトを抜き、製品のシャフトを挿入した。次いで、外周面を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨して、研磨後の外径が12mmである実施例及び比較例の導電性ゴムローラを作製した。
【0062】
なお、実施例1-7、比較例1-3に用いたゴム粉末は、非発泡のゴムシート2を切削し、粒度(D50)を300μmに調整したものを使用した。非発泡のゴムシート2の体積電気抵抗率は、104Ω・cmであった。
実施例8に用いたゴム粉末は、非発泡のゴムシート1を切削し、粒度(D50)を300μmに調整したものを使用した。非発泡のゴムシート1の体積電気抵抗率は、102Ω・cmであった。
実施例9に用いたゴム粉末は、非発泡のゴムシート3を切削し、粒度(D50)を300μmに調整したものを使用した。非発泡のゴムシート3の体積電気抵抗率は、106Ω・cmであった。
実施例10に用いたゴム粉末は、非発泡のゴムシート2を切削し、粒度(D50)を100μmに調整したものを使用した。非発泡のゴムシート2の体積電気抵抗率は、104Ω・cmであった。
実施例11に用いたゴム粉末は、非発泡のゴムシート2を切削し、粒度(D50)を600μmに調整したものを使用した。非発泡のゴムシート2の体積電気抵抗率は、104Ω・cmであった。
比較例4に用いたゴム粉末は、非発泡のゴムシート4を切削し、粒度(D50)を、300μmに調整したものを使用した。非発泡のゴムシート4の体積電気抵抗率は107Ω・cmであった。
比較例5に用いたゴム粉末は、非発泡のゴムシート2を切削し、粒度(D50)を、1000μmに調整したものを使用した。非発泡のゴムシート2の体積電気抵抗率は、104Ω・cmであった。
【0063】
4.実施例及び比較例の各要件の充足状況
(1)実施例の各要件の充足状況
実施例1-11の発泡ゴム組成物は、下記要件(a)-(d)を全て満たしている。
・要件(a):EPDMの配合割合は、発泡剤組成物に含まれるゴム成分100質量部に対して、2質量部以上28質量部以下である。
・要件(b):ゴム粉末の原料となる非発泡のゴムシートの体積電気抵抗率は、106.5Ω・cm以下の範囲である。
・要件(c):ゴム粉末の粒度(D50)が800μm以下である。
・要件(d):ゴム粉末の配合割合は、発泡ゴム組成物に含まれるゴム成分100質量部に対して55質量部以下である。
(2)比較例の各要件の充足状況
これに対して、比較例1-5の発泡ゴム組成物は、以下の要件を満たしていない。
比較例1、2は、要件(a)を満たしていない。
比較例3は、要件(d)を満たしていない。
比較例4は、要件(b)を満たしてない。
比較例5は、要件(c)を満たしていない。
【0064】
5.評価方法
(1)通電耐久試験
各導電性ゴムローラについて、通電耐久試験を行った。
図3に示すように、通電耐久試験では、温度22℃、相対湿度55%の雰囲気下で、導電性ゴムローラ10の両端にそれぞれ500gfの荷重Fをかけて金属ドラム20に圧接させ、金属ドラム20を30rpmで連続回転させて、導電性ゴムローラ10と金属ドラム20間に20μAの電流を通電させた。通電直後と、24時間通電後の抵抗値(logΩ)をそれぞれ測定し、通電直後から24時間通電後の抵抗値(logΩ)の変化を通電上昇値として求めた。結果は表2、3に示すとおりである。なお、通電上昇値は、式(1)で表される。
式(1) 通電上昇値Δ=24時間通電後の抵抗値(logΩ)-通電直後の抵抗値(logΩ)
【0065】
(2)通電耐久性の評価
各導電性ゴムローラについて、通電直後から、24時間通電後の通電上昇値Δに基づき導電性ゴムローラの通電耐久性を評価した。評価基準は以下のとおりとした。結果は表2,3に示すとおりである。
「A」:24時間通電後の通電上昇値Δが0.2未満
「B」:24時間通電後の通電上昇値Δが0.2以上、かつ、0.3未満
「C」:24時間通電後の通電上昇値Δが0.3以上
【0066】
(3)環境変動試験
高温高湿環境(32.5℃、80%RH)、常温常湿環境(22℃、55%RH)、低温低湿環境(10℃、20%RH)の3環境下において、抵抗値(logΩ)をそれぞれ測定した。
図3に示すように、抵抗値(logΩ)は、通電耐久試験と同様に、導電性ゴムローラ10の両端にそれぞれ500gfの荷重Fをかけて金属ドラム20に圧接させ、金属ドラム20を30rpmで連続回転させ、導電性ゴムローラ10と金属ドラム20間間に1000Vの電流を通電させて測定した。結果は表2,3に示すとおりである。環境変動量は、式(2)で算出される。なお、環境変動量Δが小さいほど環境依存性が小さい。
式(2)
環境変動量Δ=|常温常湿環境の抵抗値(logΩ)-高温高湿環境の抵抗値(logΩ)|+|低温低湿環境の抵抗値(logΩ)-常温常湿環境の抵抗値(logΩ)|
【0067】
(4)環境変動の評価
実施例及び比較例で調製したゴム組成物で作製した導電性ゴムローラについて、環境変動量Δに基づき環境変動を評価した。評価基準は以下のとおりとした。結果は表2,3に示すとおりである。
「A」:環境変動量Δが1.5未満
「B」:環境変動量Δが1.5以上、かつ、1.6未満
「C」:環境変動量Δが1.6以上
【0068】
(5)通電劣化評価
各導電性ゴムローラについて、通電耐久性の評価を実施した後に、ローラ内径側のクラックの有無を目視にて評価した。また、通電耐久性の評価を実施した後に、ローラ表面の黒色汚れの有無も目視にて評価した。評価基準は以下のとおりとした。結果は表2,3に示すとおりである。
「A」:クラック及び黒色汚れのいずれも確認されなかった。
「C」:クラック及び黒色汚れの少なくとも一方が発生した。
【0069】
(6)総合判定
各導電性ゴムローラについて、総合評価した。評価基準は以下のとおりとした。結果は表2,3に示すとおりである。
「A」:通電耐久の評価、環境変動の評価、及び通電劣化の評価がすべてAである。
「B」:通電耐久の評価及び環境変動の評価がB以上、かつ通電劣化の評価がAである。
「C」:通電耐久の評価、環境変動の評価、及び通電劣化の評価のうち、少なくとも1つがCである。
【0070】
6.結果
比較例1、3の導電性ゴムローラは、通電耐久の評価、通電劣化の評価がCであった。
比較例2の導電性ゴムローラは、環境変動の評価がCであった。
比較例4の導電性ゴムローラは、通電耐久の評価、環境変動の評価がCであった。
比較例5の導電性ゴムローラは、通電耐久の評価、環境変動の評価、及び通電劣化の評価がCであった。
実施例3、8、10の導電性ゴムローラは、通電耐久の評価、環境変動の評価、通電劣化の評価がともにAであり、総合評価がAであった。
実施例1、2、4、5、6、7、9、11で作製した導電性ゴムローラは、通電耐久の評価、環境変動の評価がBであり、総合評価がBであった。
【0071】
7.結果についての考察
実施例3と実施例1を比較すると、実施例3の導電性ゴムローラの通電耐久性の評価、環境変動性の評価が良好であった。このことから、発泡ゴム組成物に含まれるGECOは、ゴム成分100質量部に対して、50質量部より多く、85質量部以下であることが好ましいことが示唆された。
実施例8と実施例1を比較すると、実施例8の導電性ゴムローラの通電耐久性の評価、環境変動性の評価が良好であった。このことから、ゴム粉末の原料である非発泡のゴムシートの体積抵抗率は、101.5Ω・cm以上104.0Ω・cm未満の範囲であることがより好ましいことが示唆された。
実施例10と実施例1を比較すると、実施例10の導電性ゴムローラの通電耐久性の評価、環境変動性の評価が良好であった。このことから、ゴム粉末の粒度(D50)は、250μm以下が好ましいことが示唆された。
【0072】
8.実施例の効果
以上の実施例によれば、リサイクル性を考慮しつつ、通電耐久性が良好で、環境依存性が小さい導電性ゴムローラを提供できる。
【0073】
本開示は上記で詳述した実施形態に限定されず、様々な変形又は変更が可能である。