特開 2024-6847 木質材料製の壁構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024006847

(43)【公開日】2024-01-17

(54)【発明の名称】木質材料製の壁構造

(51)【国際特許分類】

   E04B 2/32 20060101AFI20240110BHJP

   E04B 2/02 20060101ALI20240110BHJP

   E04C 1/00 20060101ALI20240110BHJP

   E04B 2/36 20060101ALI20240110BHJP

【ＦＩ】

E04B2/32

E04B2/02 110

E04B2/02 131

E04C1/00 E

E04B2/36

【審査請求】未請求

【請求項の数】15

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022128130

(22)【出願日】2022-08-10

(31)【優先権主張番号】P 2022104852

(32)【優先日】2022-06-29

(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP

(71)【出願人】

【識別番号】000140292

【氏名又は名称】株式会社奥村組

(74)【代理人】

【識別番号】100128509

【弁理士】

【氏名又は名称】絹谷 晴久

(74)【代理人】

【識別番号】100119356

【弁理士】

【氏名又は名称】柱山 啓之

(74)【代理人】

【氏名又は名称】鈴木 知

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 淳

(72)【発明者】

【氏名】岸本 剛

(72)【発明者】

【氏名】秋竹 壮哉

(72)【発明者】

【氏名】平松 一夫

(57)【要約】

【課題】壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化が可能な木質材料を用い、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることが可能な木質材料製の壁構造を提供する。
【解決手段】同一寸法の木質材料製の八角形ブロック５を複数個用い、八角形ブロックは、１組の斜辺ｗが木質材料の繊維の向きと平行に形成され、他の１組の斜辺ｗが繊維の向きと交差させて形成され、柱２と梁３で区画した開口部分４の内方で、八角形ブロックは、木質材料の繊維の向きがすべて同方向となるように、斜辺同士が向かい合う配列で、かつ、柱に面する八角形ブロックの縦辺ｙが当該柱と向かい合い、梁に面する八角形ブロックの横辺ｘが当該梁と向かい合うように縦横方向に配設され、さらに、木質材料の繊維の向きと平行な方向に設けられる補強金物で連結されて、壁１が構築される。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

柱と梁とで区画される開口部分の内方に構築される壁構造であって、
互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺と、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺と、互いに平行関係でかつ等長で該縦辺と該横辺とを結ぶ、一対２組の４つの斜辺とを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロックを複数個用い、
該八角形ブロックの１組の上記斜辺は、木質材料の繊維の向きと平行に形成され、
上記八角形ブロックの他の１組の上記斜辺は、上記木質材料の繊維の向きと交差させて形成され、
複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、上記木質材料の繊維の向きがすべて同方向となるように、等長の上記斜辺同士が向かい合う配列で、かつ、上記柱に面する該八角形ブロックの上記縦辺が当該柱と向かい合い、上記梁に面する該八角形ブロックの上記横辺が当該梁と向かい合うように縦横方向に配設され、
複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、上記木質材料の繊維の向きと平行な方向に設けられる補強金物で連結されて、壁が構築されることを特徴とする木質材料製の壁構造。

【請求項2】

前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、前記補強金物が装入される孔部が形成され、該補強金物は、該孔部へ接着剤を注入する接着剤導入管部と、該斜辺間に配置されて該接着剤導入管部と連結され、当該接着剤導入管部へ接着剤を注入する接着剤注入管部とを含むことを特徴とする請求項１に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項3】

前記補強金物は中実な棒状材であり、前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、これら八角形ブロック双方にわたって上記補強金物を装入するための孔部が形成されることを特徴とする請求項１に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項4】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱と向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺が当該柱に接着され、前記梁と向かい合う該八角形ブロックの前記横辺が当該梁に接着されることを特徴とする請求項１～３いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項5】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱や前記梁とこれらに向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺や前記横辺との間の間隙には、当該間隙を封止する納まり代で形成された封止材が配設され、これら縦辺や横辺が該封止材に接着され、該封止材が上記柱や上記梁に接着されることを特徴とする請求項１～３いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項6】

前記八角形ブロックの前記斜辺と前記柱や前記梁との間の隙間には、当該隙間を封止するために、該斜辺と該柱や該梁とに接着して封止ブロックが配設されることを特徴とする請求項１～３いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項7】

前記開口部分の内方には、前記柱及び前記梁の幅方向に、前記壁が少なくとも２つ重ねて構築され、隣り合うこれら壁同士は、前記木質材料の繊維の向きが異なることを特徴とする請求項１～３いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項8】

前記開口部分が少なくとも２つ隣接して形成され、隣り合うこれら開口部分の内方にはそれぞれ、前記壁が構築され、これら壁同士は、前記木質材料の繊維の向きが異なることを特徴とする請求項１～３いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項9】

前記八角形ブロックは、前記木質材料の繊維の向きが同じ八角形板片を前記柱及び前記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した重合材であることを特徴とする請求項１～３いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項10】

柱と梁とで区画される開口部分の内方に構築される壁構造であって、
互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺と、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺と、互いに平行関係でかつ等長で該縦辺と該横辺とを結ぶ、一対２組の４つの斜辺とを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロックを複数個用い、
該八角形ブロックは、複数枚の八角形板片を上記柱及び上記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した重合材であり、
上記八角形ブロックの一対２組の上記斜辺となる上記八角形板片の傾斜部のうち、１組の該傾斜部が、木質材料の繊維の向きと平行に形成されると共に、該八角形板片の他の１組の該傾斜部が、該木質材料の繊維の向きと交差させて形成されて、上記柱及び上記梁の幅方向に隣り合うこれら八角形板片の該木質材料の繊維の向きが交差されており、
複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、等長の上記斜辺同士が向かい合う配列で、かつ、上記柱に面する該八角形ブロックの上記縦辺が当該柱と向かい合い、上記梁に面する該八角形ブロックの上記横辺が当該梁と向かい合うように縦横方向に配設され、
複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、上記八角形板片の繊維の向きそれぞれと平行な方向に設けられる補強金物で連結されて、壁が構築されることを特徴とする木質材料製の壁構造。

【請求項11】

前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、前記補強金物が装入される孔部が形成され、該補強金物は、該孔部へ接着剤を注入する接着剤導入管部と、該斜辺間に配置されて該接着剤導入管部と連結され、当該接着剤導入管部へ接着剤を注入する接着剤注入管部とを含むことを特徴とする請求項１０に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項12】

前記補強金物は中実な棒状材であり、前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、これら八角形ブロック双方にわたって上記補強金物を装入するための孔部が形成されることを特徴とする請求項１０に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項13】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱と向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺が当該柱に接着され、前記梁と向かい合う該八角形ブロックの前記横辺が当該梁に接着されることを特徴とする請求項１０～１２いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項14】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱や前記梁とこれらに向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺や前記横辺との間の間隙には、当該間隙を封止する納まり代で形成された封止材が配設され、これら縦辺や横辺が該封止材に接着され、該封止材が上記柱や上記梁に接着されることを特徴とする請求項１０～１２いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【請求項15】

前記八角形ブロックの前記斜辺と前記柱や前記梁との間の隙間には、当該隙間を封止するために、該斜辺と該柱や該梁とに接着して封止ブロックが配設されることを特徴とする請求項１０～１２いずれかの項に記載の木質材料製の壁構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化が可能な木質材料を用い、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることが可能な木質材料製の壁構造に関する。

【背景技術】

【0002】

地球温暖化の防止や森林資源の活用、林業再生の必要が注目され、ＥＳＧ投資やＳＤＧｓの観点からも、木質材料の積極的な活用が求められている。

【0003】

木質材料は、繰り返し再利用できる素材であり、持続可能な資源活用としても、優れている。

【0004】

木質材料を利用した建設技術として、特許文献１や特許文献２が知られている。

【0005】

特許文献１の「木質構造部材、木質構造部材の接合構造及びその施工方法」は、燃え代設計による木造準耐火構造のロングスパン建築が可能で、ローコストかつ短納期で、現地での組み立て容易性も高い木質構造部材、木質構造部材の接合方法及び木質構造部材の接合構造の施工方法を提供することを課題とし、木質構造部材の木質部材は、中央に配置された内側木質板材と、この内側木質板材を両面から挟む一対の外側木質板材と、を積層して形成される。木質部材の外周には、所定の燃え代層を設けて、この燃え代層よりも内側を荷重支持部とし、木質構造部材全体を準耐火構造にしている。

【0006】

特許文献２の「耐震壁」は、木質系の材料を用いて耐震性能の優れた耐震壁を提供することを課題とし、耐震壁は、柱梁架構の構面内に設けられる。耐震壁は、長さ方向を繊維方向とする木質板が複数並んで配置されて形成された木質壁部と、木質壁部の周囲と柱梁架構との隙間をモルタル材で閉塞して形成された閉塞部と、を備える。木質板の角度は、柱梁架構の対角線の角度である。地震などにより柱梁架構に水平方向の外荷重が加わると、柱梁架構の構面内には、対角線方向に引張力あるいは圧縮力が作用する。木質板は繊維方向のヤング率および強度が高いため、この引張力あるいは圧縮力に対して十分に抵抗するから、優れた耐震性能を発揮できる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【特許文献1】特開２０１５－１４１５４号公報

【特許文献2】特開２０２１－１４７８１６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

特許文献２の壁では、構面内に配列される複数の木質板について、個々の柱梁架構固有の対角線方向に向けて、柱寸法や梁寸法に合わせて、各木質板を異なる寸法で成形する必要があり、木質板の製作に手間を要するという課題があった。

【0009】

また、柱梁架構の対角の隅角同士の間に亘る木質板になると、相当に大型化し、木質板が軽量であるという利点を十分に活かせず、施工性が良くないという課題もあった。

【0010】

本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化が可能な木質材料を用い、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることが可能な木質材料製の壁構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0011】

本発明にかかる木質材料製の壁構造は、柱と梁とで区画される開口部分の内方に構築される壁構造であって、互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺と、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺と、互いに平行関係でかつ等長で該縦辺と該横辺とを結ぶ、一対２組の４つの斜辺とを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロックを複数個用い、該八角形ブロックの１組の上記斜辺は、木質材料の繊維の向きと平行に形成され、上記八角形ブロックの他の１組の上記斜辺は、上記木質材料の繊維の向きと交差させて形成され、複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、上記木質材料の繊維の向きがすべて同方向となるように、等長の上記斜辺同士が向かい合う配列で、かつ、上記柱に面する該八角形ブロックの上記縦辺が当該柱と向かい合い、上記梁に面する該八角形ブロックの上記横辺が当該梁と向かい合うように縦横方向に配設され、複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、上記木質材料の繊維の向きと平行な方向に設けられる補強金物で連結されて、壁が構築されることを特徴とする。

【0012】

前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、前記補強金物が装入される孔部が形成され、該補強金物は、該孔部へ接着剤を注入する接着剤導入管部と、該斜辺間に配置されて該接着剤導入管部と連結され、当該接着剤導入管部へ接着剤を注入する接着剤注入管部とを含むことを特徴とする。

【0013】

前記補強金物は中実な棒状材であり、前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、これら八角形ブロック双方にわたって上記補強金物を装入するための孔部が形成されることを特徴とする。

【0014】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱と向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺が当該柱に接着され、前記梁と向かい合う該八角形ブロックの前記横辺が当該梁に接着されることを特徴とする。

【0015】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱や前記梁とこれらに向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺や前記横辺との間の間隙には、当該間隙を封止する納まり代で形成された封止材が配設され、これら縦辺や横辺が該封止材に接着され、該封止材が上記柱や上記梁に接着されることを特徴とする。

【0016】

前記八角形ブロックの前記斜辺と前記柱や前記梁との間の隙間には、当該隙間を封止するために、該斜辺と該柱や該梁とに接着して封止ブロックが配設されることを特徴とする。

【0017】

前記開口部分の内方には、前記柱及び前記梁の幅方向に、前記壁が少なくとも２つ重ねて構築され、隣り合うこれら壁同士は、前記木質材料の繊維の向きが異なることを特徴とする。

【0018】

前記開口部分が少なくとも２つ隣接して形成され、隣り合うこれら開口部分の内方にはそれぞれ、前記壁が構築され、これら壁同士は、前記木質材料の繊維の向きが異なることを特徴とする。

【0019】

前記八角形ブロックは、前記木質材料の繊維の向きが同じ八角形板片を前記柱及び前記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した重合材であることを特徴とする。

【0020】

また、本発明にかかる木質材料製の壁構造は、柱と梁とで区画される開口部分の内方に構築される壁構造であって、互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺と、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺と、互いに平行関係でかつ等長で該縦辺と該横辺とを結ぶ、一対２組の４つの斜辺とを有する、同一寸法の木質材料製の八角形ブロックを複数個用い、該八角形ブロックは、複数枚の八角形板片を上記柱及び上記梁の幅方向に重ね合わせて一体化した重合材であり、上記八角形ブロックの一対２組の上記斜辺となる上記八角形板片の傾斜部のうち、１組の該傾斜部が、木質材料の繊維の向きと平行に形成されると共に、該八角形板片の他の１組の該傾斜部が、該木質材料の繊維の向きと交差させて形成されて、上記柱及び上記梁の幅方向に隣り合うこれら八角形板片の該木質材料の繊維の向きが交差されており、複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、等長の上記斜辺同士が向かい合う配列で、かつ、上記柱に面する該八角形ブロックの上記縦辺が当該柱と向かい合い、上記梁に面する該八角形ブロックの上記横辺が当該梁と向かい合うように縦横方向に配設され、複数個の上記八角形ブロックは、上記開口部分の内方で、上記八角形板片の繊維の向きそれぞれと平行な方向に設けられる補強金物で連結されて、壁が構築されることを特徴とする。

【0021】

前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、前記補強金物が装入される孔部が形成され、該補強金物は、該孔部へ接着剤を注入する接着剤導入管部と、該斜辺間に配置されて該接着剤導入管部と連結され、当該接着剤導入管部へ接着剤を注入する接着剤注入管部とを含むことを特徴とする。

【0022】

前記補強金物は中実な棒状材であり、前記斜辺同士が互いに接着される一対の前記八角形ブロックそれぞれには、これら八角形ブロック双方にわたって上記補強金物を装入するための孔部が形成されることを特徴とする。

【0023】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱と向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺が当該柱に接着され、前記梁と向かい合う該八角形ブロックの前記横辺が当該梁に接着されることを特徴とする。

【0024】

複数個の前記八角形ブロックは、前記開口部分の内方で、向かい合う前記斜辺同士が互いに接着されると共に、前記柱や前記梁とこれらに向かい合う該八角形ブロックの前記縦辺や前記横辺との間の間隙には、当該間隙を封止する納まり代で形成された封止材が配設され、これら縦辺や横辺が該封止材に接着され、該封止材が上記柱や上記梁に接着されることを特徴とする。

【0025】

前記八角形ブロックの前記斜辺と前記柱や前記梁との間の隙間には、当該隙間を封止するために、該斜辺と該柱や該梁とに接着して封止ブロックが配設されることを特徴とする。

【発明の効果】

【0026】

本発明にかかる木質材料製の壁構造にあっては、壁の構成部材として、柱・梁架構の開口部分に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量な木質材料を用いて構築することができ、優れた施工性と高い強度、そしてまた壁自体の軽量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【0027】

【図1】本発明に係る木質材料製の壁構造の第１実施形態を示す正面図である。

【図2】図１に示した壁構造に適用される八角形ブロックを示す正面図である。

【図3】図１に示した壁構造に封止ブロックとして適用される等脚台形状ブロックを示す正面図である。

【図4】図１の壁構造に代えて、八角形ブロックの納まり代を調整することが可能な封止ブロックを適用した壁構造を示す正面図である。

【図5】図１に示した壁構造に適用される八角形ブロックの、木質材料の繊維方向と斜辺の関係を説明する説明図である。

【図6】図５に示した八角形ブロックの厚さ方向（柱・梁の幅方向）の構成を説明する説明図である。

【図7】図１中、Ａ－Ａ線矢視断面図である。

【図8】図１に示した壁構造における応力伝達状態を説明する説明図である。

【図9】図１に示した壁構造に適用される補強金物の配置を説明するための説明図である。

【図10】図９に示した補強金物の全体斜視図である。

【図11】図９に示した補強金物を八角形ブロックに設ける様子を説明する斜視図である。

【図12】図９に示した補強金物を隣り合う八角形ブロックに設置した状態を示す説明図である。

【図13】図９に示した補強金物により、八角形ブロックを接着剤で接着した様子を説明する説明図である。

【図14】図１に示した壁構造を、隣接する２つの開口部分に構築する場合の応力伝達状態を説明する説明図である。

【図15】図１に示した壁構造を、単一の開口部分に２つ重ねて構築した様子を示す、図７に対応する図である。

【図16】図１５の場合の応力伝達状態を説明する説明図である。

【図17】本発明に係る木質材料製の壁構造の第２実施形態に適用される八角形ブロックの、木質材料の繊維方向と斜辺の関係を説明する説明図である。

【図18】図１７に示した八角形ブロックの厚さ方向（柱・梁の幅方向）の構成を説明する説明図である。

【図19】図１に示した壁構造に適用される補強金物が、図１７に示した八角形ブロックに配置される場合を説明するための説明図である。

【図20】図１９で示した補強金物の配置に対応させて、八角形ブロックに形成される孔部を説明する説明図である。

【図21】図２０に示した八角形ブロックの孔部となる溝を説明する説明図である。

【図22】本発明に係る木質材料製の壁構造に適用可能な、他の八角形ブロックの形態を説明する説明図である。

【図23】図１等に示した第１実施形態の変形例として、図１０の補強金物に代えて適用される中実な棒状材により、八角形ブロックを接着剤で連結する例を説明する説明図である。

【図24】図１７等に示した第２実施形態の変形例として、図１０の補強金物に代えて適用される中実な棒状材により、八角形ブロックを接着剤で連結する例を説明する説明図である。

【図25】図２３に示した連結の例とは異なる例を説明する説明図である。

【図26】図２４に示した連結の例とは異なる例を説明する説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0028】

以下に、本発明にかかる木質材料製の壁構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。

【0029】

図１に示すように、柱２と梁３で構成される柱・梁架構には、左右一対の柱２と上下一対の梁３で区画して、長方形状の開口部分４が形成される。

【0030】

この開口部分４に、木質材料製の壁１が構築され、当該壁１が、柱２及び梁３と接着されることで、壁構造とされる。

【0031】

第１実施形態では、壁１は、図１～図３に示すように、開口部分４に並べられ、積み上げられる複数個の同一寸法の木質材料製の八角形ブロック５と、これら八角形ブロック５と柱２や梁３との間に生ずる隙間を封止する木質材料製の封止ブロック６，７とから構成される。

【0032】

八角形ブロック５は、厚さが一定であって、その外形輪郭は、互いに平行関係でかつ等長の上下一対の２つの横辺ｘと、互いに平行関係でかつ等長の左右一対の２つの縦辺ｙと、互いに平行関係でかつ等長で縦辺ｙと横辺ｘとを結ぶ、一対２組の４つの斜辺ｗとを有する。

【0033】

図示例では、八角形ブロック５は、８つの辺ｘ，ｙ，ｗの長さがすべて等しい正八角形の場合が示されている。

【0034】

八角形ブロック５は、正八角形以外であっても良く、例えば、縦辺ｙと横辺ｘの長さを異ならせても良い。

【0035】

以下の説明では、正八角形の八角形ブロック５について説明するが、正八角形でない八角形ブロック５の場合であっても、同様に理解することができる。

【0036】

封止ブロック６，７としては、八角形ブロック５の厚さに合致する一定の厚さであって、外形輪郭が等脚台形状のブロック６と、直角二等辺三角形状のブロック７が用いられる。

【0037】

等脚台形状ブロック６は、長さの短い頂辺ｔｘｙが八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘと等長であって、斜辺ｔｗが八角形ブロック５の斜辺ｗと等長であって、長さの長い底辺ｔｂが、八角形ブロック５の縦辺ｙの長さの（１＋√２）倍や横辺ｘの長さの（１＋√２）倍の長さで形成される。

【0038】

直角二等辺三角形状ブロック７は、直角な頂角と対向する底辺ｒｂが八角形ブロック５の斜辺ｗと等長で形成され、頂角を挟む２つの斜辺ｒｗが八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘの長さの（１／√２）の長さで形成される。

【0039】

まず、開口部分４の内方への八角形ブロック５及び封止ブロック６，７の配列について説明する。八角形ブロック５は、開口部分４の上下方向及び左右方向に縦横に配設される。

【0040】

この際、隣接する八角形ブロック５同士は必ず、斜辺ｗ同士が向かい合う配列とされる。すなわち、図１に示したように、いずれか１つの八角形ブロック５を例にとると、４つの斜辺ｗそれぞれに、その周りの４つの八角形ブロック５それぞれのいずれか１つの斜辺ｗが向かい合うように配列される。

【0041】

これにより、八角形ブロック５の右側及び左側それぞれに、縦辺ｙの長さ寸法の間隔を隔てて、八角形ブロック５が２つずつ配列される。

【0042】

同様に、八角形ブロック５の上側及び下側それぞれに、横辺ｘの長さ寸法の間隔を隔てて、八角形ブロック５が２つずつ配列される。

【0043】

そして、互いに間隔を隔てる八角形ブロック５相互の関係では、横辺ｘ同士や縦辺ｙ同士が向かい合う位置関係となる。

【0044】

これにより、いずれか１つの八角形ブロック５の周りには、他の４つの八角形ブロック５によって、これら八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘで取り囲まれる開口Ｓが形成される。

【0045】

開口Ｓから周りの八角形ブロック５を見ると、当該開口Ｓは、その周りに配列される４つの八角形ブロック５の縦辺ｙ及び横辺ｘで取り囲んで正方形状に形成される。

【0046】

八角形ブロック５のうち、柱２や梁３に面する八角形ブロック５は、それらの縦辺ｙや横辺ｘが柱面２ａや梁面３ａに向かい合って接するように配設される。

【0047】

そのため、八角形ブロック５の斜辺ｗは、柱面２ａや梁面３ａに当接し得ず、八角形ブロック５の斜辺ｗと柱面２ａや梁面３ａとの間には、隙間が生じる。

【0048】

封止ブロック６，７は、当該斜辺ｗと柱面２ａや梁面３ａとの間に、当該隙間を封止するために配設される。

【0049】

直角二等辺三角形状ブロック７は、開口部分４の隅角と八角形ブロック５の斜辺ｗとの間の直角二等辺三角形状の隙間に配設される。

【0050】

等脚台形状ブロック６は、縦方向や横方向に対をなす八角形ブロック５の斜辺ｗの間と柱面２ａや梁面３ａとの間の隙間に配設される。

【0051】

等脚台形状ブロック６は、それらの斜辺ｔｗが２つの八角形ブロック５の斜辺ｗと向かい合い、底辺ｔｂが柱面２ａや梁面３ａと向かい合う配置で設けられ、これにより、頂辺ｔｘｙは、八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘと組み合わされて、開口Ｓを形成する。

【0052】

隣接する八角形ブロック５同士は、それらの互いに向かい合う斜辺ｗ同士が互いに接着剤で接着される。このように八角形ブロック５は、斜辺ｗが他の八角形ブロック５との接合部となる。

【0053】

柱２に面する八角形ブロック５は、当該柱２と向かい合う縦辺ｙが柱面２ａに接着剤で接着される。梁３に面する八角形ブロック５は、当該梁３と向かい合う横辺ｘが梁面３ａに接着剤で接着される。

【0054】

八角形ブロック５と等脚台形状ブロック６は、それらの斜辺ｗ，ｔｗ同士が互いに接着剤で接着される。

【0055】

八角形ブロック５と直角二等辺三角形状ブロック７は、八角形ブロック５の斜辺ｗと直角二等辺三角形状ブロック７の底辺ｒｂとが接着剤で接着される。

【0056】

柱２や梁３に面する等脚台形状ブロック６の底辺ｔｂ及び直角二等辺三角形状ブロック７の斜辺ｒｗは、それらが柱面２ａや梁面３ａと接着剤で接着される。

【0057】

以上のようにして開口部分４の内方に八角形ブロック５及び封止ブロック６，７を配列し接着することで、壁構造が構築される。

【0058】

接着剤としては、木質材料に浸潤するエポキシ樹脂などを用いることが好ましい。木質材料は、接着した面から浸潤した接着剤によって強度が増強される。

【0059】

八角形ブロック５は、接着剤が塗布される斜辺ｗの強度が増強されることから、正八角形状であるよりも、斜辺ｗの長さが縦辺ｙ及び／または横辺ｘよりも長い八角形状であることが好ましい。

【0060】

また、図１～図３は、八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘを、開口部分４の柱面２ａや梁面３ａに当てることにより、八角形ブロック５を柱２や梁３に直接接着できる場合であったが、開口部分４と八角形ブロック５の寸法関係によっては、柱２や梁３とこれらに向かい合う八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘとの間に間隙が生じて、この間隙のために、八角形ブロック５を直接柱面２ａや梁面３ａに当てることができない場合がある。

【0061】

このような場合には、図４に示すように、八角形ブロック５の納まり代を調整することが可能な封止ブロック９，１０が用いられ、八角形ブロック５は、これら封止ブロック９，１０を介して、柱面２ａや梁面３ａに対し接着される。

【0062】

すなわち、柱２や梁３とこれらに向かい合う八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘとの間に、間隙を封止する納まり代で形成された封止材が配設される。そして、縦辺ｙや横辺ｘを封止材に接着し、封止材を柱２や梁３に接着して、壁１が構築される。封止材を上述の封止ブロック６，７に組み込んだ例が図示されている。

【0063】

図示例では、開口部分４の左上隅角の納まりに、上記直角二等辺三角形状ブロック７の底角部分から、納まり代分の厚さであってかつ八角形ブロック５の縦辺ｙ及び横辺ｘの１／２程度の長さで、脚部９ａが突出形成された第１封止ブロック９が用いられている。

【0064】

この第１封止ブロック９の配設に応じて、当該第１封止ブロック９の下方向及び右方向には、柱面２ａ及び梁面３ａに並べて、等脚台形状ブロック６の底辺ｔｂ部分に、納まり代分の厚さであって、かつその両側から八角形ブロック５の縦辺ｙ及び横辺ｘの１／２程度の長さで、台座部１０ａが突出形成された第２封止ブロック１０が用いられている。

【0065】

他方、開口部分４の右上隅角の納まりについては、第３封止ブロック１１と第４封止ブロック１２とが組み合わされ、これら封止ブロック１１，１２と八角形ブロック５との間には、開口Ｓも形成されている。

【0066】

第３封止ブロック１１は、第２封止ブロック１０とほぼ同形態であって、柱面２ａに当接される右側の突出部分の突出寸法のみが、直下の八角形ブロック５の縦辺ｙと柱面２ａとの間の納まり代の寸法に設定されている。

【0067】

他方、第４封止ブロック１２は、第２封止ブロック１０を基にして、柱面２ａと第３封止ブロック１１との間に納まる外形形態で形成されている。

【0068】

すなわち、封止ブロック９，１０，１１，１２は、上述した封止ブロック６，７に対して、必要な納まり代で形成されて間隙を封止する封止材が一体的に形成されているものである。

【0069】

このような納まり代を備えた封止ブロック９，１０，１１，１２を用いることで、八角形ブロック５を直接柱面２ａや梁面３ａに当てることができない場合であっても、開口部分４の内方に八角形ブロック５による壁１が構築される。

【0070】

次に、八角形ブロック５自体の構成について詳述する。木質材料製の八角形ブロック５は、木質材料が備える繊維ｆを活かすようにして形成される。

【0071】

具体的には、八角形ブロック５は、図５に示すように、１組の斜辺ｗが、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成され、他の１組の斜辺ｗが、木質材料の繊維ｆの向きと直角に交差させて形成される。

【0072】

斜辺ｗが繊維ｆの向きと平行であるとは、木質材料が備える一方向に向けて揃っている繊維ｆの向きと実質的に、おおよそ平行な斜辺ｗであればよいという意味である。

【0073】

従ってまた、斜辺ｗが繊維ｆの向きと交差するとは、木質材料が備える一方向に向けて揃っている繊維ｆの向きと実質的に、おおよそ交差する方向に向く斜辺ｗであればよいという意味である。

【0074】

封止ブロック６，７，９～１２についても、各八角形ブロック５における木質材料の繊維ｆの向きに合わせて形成されることが好ましい。

【0075】

このように構成される各八角形ブロック５は、図５に示すように、木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向が、引張力、そして殊に圧縮力Ｃに対し、強軸方向ＳＡとなる。

【0076】

また、各八角形ブロック５は、木質材料の繊維ｆの向きと交差する方向が、圧縮力、そして殊に引張力Ｔに対し、弱軸方向ＷＡとなる。

【0077】

八角形ブロックは、図６に示すように、各種の態様で形成される。図６（ａ）は、原材料である円柱状等の丸太を、繊維方向に切断したひき板で形成した場合の側面図である。

【0078】

図６（ｂ）は、ひき板を八角形板片５ａとして用い、この八角形板片５ａを重ね合わせて一体化した重合材の場合の側面図である。

【0079】

この場合、すべての八角形板片５ａが、木質材料の繊維ｆの向きが実質的に、おおよそ同じになるようにして、柱２及び梁３の幅方向に重ね合わされる。

【0080】

図６（ｃ）は、原材料である円柱状等の丸太から、かつら剥きの要領で薄板を作成し、この薄板から切り出した八角形板片５ａを複数枚重ね合わせて一体化した重合材の場合の側面図である。

【0081】

この場合も、すべての八角形板片５ａが、木質材料の繊維ｆの向きが実質的に、おおよそ同じになるようにして、柱２及び梁３の幅方向に重ね合わされる。

【0082】

開口部分４の内方に上述のように配列される複数個の八角形ブロック５は、すべての八角形ブロック５における木質材料の繊維ｆの向きがすべて実質的に、おおよそ同方向となるように、等長の斜辺ｗ同士が向かい合う配列で縦横方向に配設され、接着される。

【0083】

従って、図７にも示すように八角形ブロック５が上下の梁３，３間に積み上げられかつ左右の柱２，２間に並べられた開口部分４の内方では、応力伝達状態として、図８に示すように、木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向（図中、左上り傾斜方向；正八角形の場合４５°）が強軸方向ＳＡであって、繊維ｆの向きと交差する方向（図中、右上り傾斜方向；正八角形の場合４５°）が弱軸方向ＷＡとなる壁１が構築される。

【0084】

従って、このような壁１を備えた柱・梁架構は、右向きの外力ＲＦに対してよりも、左向きの外力ＬＦに対して、厳しい構造となる。

【0085】

本実施形態にかかる木質材料製の壁構造では、図９に示すように、木質材料の繊維ｆの向きと交差する方向（強軸方向ＳＡ）に配列される八角形ブロック５同士は、補強金物８で連結される。

【0086】

補強金物８は、木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向に向けて、接合面となる斜辺ｗを貫通して設けられる。

【0087】

すなわち、補強金物８は、互いに向かい合う一対の斜辺ｗを通じて、強軸方向ＳＡに、一方の八角形ブロック５から他方の八角形ブロック５に挿通されて配置される。

【0088】

このように補強金物８を配設すると、八角形ブロック５の間で、繊維ｆの向きに沿って引張力Ｔを伝達することができる。

【0089】

図８において、ＲＦ方向の右向きの外力に対しては、強軸方向ＳＡに発生する圧縮力を八角形ブロック５が負担し、ＬＦ方向の左向きの外力に対しては、強軸方向ＳＡに発生する引張力Ｔを補強金物８で伝達し負担する。すなわち、弱軸方向ＷＡへは応力を伝達しないで済むようになっている。

【0090】

補強金物８とその設置について説明すると、補強金物８は、金属製であって、図１０に示すように、中空の直管状に形成された接着剤導入管部８ａと、接着剤導入管部８ａの中央位置に、これより分岐するように連結された中空の直管状の接着剤注入管部８ｂとから、Ｔ字形状に形成される。

【0091】

八角形ブロック５の斜辺ｗには、図１１に示すように、補強金物８を設置するための孔部１３及び孔部１３につなげて窪み部１３ｂが形成される。

【0092】

孔部１３は、木質材料の繊維ｆの向きと交差する向きに、有底で形成される。図中、１４は、接着剤を注入した後に、接着剤注入管部８ｂを取り外した後の接着剤導入管部８ａを塞ぐために取り付けられ、接着剤が固化するまで封止するための栓である。

【0093】

補強金物８の接着剤導入管部８ａは、一方の八角形ブロック５の孔部１３に挿入され、その後、接着剤注入管部８ｂを挟むようにして被せられる他方の八角形ブロック５の孔部１３に挿入される。

【0094】

これにより、図１２に示すように、一対の斜辺ｗに設けた窪み１３ｂの間に接着剤注入管部８ｂが配置され、また、孔部１３を通じて、接着剤導入管部８ａが２つの八角形ブロック５に一連に挿入配置される。

【0095】

補強金物８の接着剤注入管部８ｂから接着剤を注入すると、接着剤は、接着剤導入管部８ａを経て、各八角形ブロック５双方の孔部１３に導入される。

【0096】

導入された接着剤Ｐは図１３に示すように、孔部１３に充満すると、孔部１３から溢れ出し、孔部１３を満たし、接着剤注入管部８ｂと窪み１３ｂとの隙間から外方へ溢れ出す。

【0097】

斜辺ｗ同士の間には、予め接着剤が塗布されており、補強金物８を孔部１３に挿入して斜辺ｗ同士を突き合わせることで、これら斜辺ｗ同士の接着がなされる。

【0098】

接着剤Ｐが固化することにより、八角形ブロック５同士が固着されると共に、補強金物８と八角形ブロック５とが固着され、これにより、一対の八角形ブロック５が補強金物８によって連結される。

【0099】

補強金物８は、木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向で八角形ブロック５同士を連結して、上記強軸方向ＳＡで引張力に抵抗できるようにし、図８に例示したＲＦ方向とＬＦ方向の双方向で抵抗作用が得られることにより、構造の強度を改善することができる。

【0100】

図１及び図４に示すように、八角形ブロック５と封止ブロック６，７，９～１２とを、上記と同様にして補強金物８で連結してもよいことはもちろんである。

【0101】

また、図示しないけれども、封止ブロック６，７，９～１２と柱２や梁３とを、上記と同様にして補強金物８で連結することが望ましい。

【0102】

八角形ブロック５と封止ブロック６，７，９～１２とを補強金物８で連結する場合、補強金物８は、互いに向かい合わされて接合面となる八角形ブロック５及び封止ブロック６，７，９～１２双方の斜辺等ｗ，ｔｗ，ｒｂを貫通して設けられる。

【0103】

封止ブロック６，７，９～１２と柱２や梁３とを補強金物８で連結する場合、柱２や梁３には補強金物８を挿入する孔部が形成される一方、封止ブロック６，７，９～１２については、後述する２分割される八角形ブロック５と同様に、孔部が溝で形成されるように、２分割したものが元通りに重ね合わされる２つ割りで構成される。

【0104】

柱２の孔部については、開口部分４内方へ横向きに向けたものであっても、あるいは八角形ブロック５の孔部１３と同方向に向く斜め向きであってもよく、梁３の孔部についても、開口部分４内方へ縦向きに向けたものであっても、あるいは八角形ブロック５の孔部１３と同方向に向く斜め向きであってもよい。

【0105】

開口部分４が２つ隣接して形成される柱・梁架構、すなわち中央の柱２を挟んで両側に開口部分４が形成される柱・梁架構では、隣り合うこれら開口部分４の内方それぞれに、補強金物８で連結する構造を備えた壁１が構築され、そしてこれら壁１同士は、木質材料の繊維ｆの向きが実質的に、おおよそ異なる向きとされる。

【0106】

木質材料は、繊維ｆの向きに平行な方向であっても、圧縮耐力よりも引張耐力の方がやや低く、壁１が１枚の場合は、ＲＦ方向とＬＦ方向で、耐力に差がある。

【0107】

このため、開口部分４が２つ隣接して形成される柱・梁架構では、図１４に示すように、これらの壁１における繊維ｆの向きが交差する（強軸方向ＳＡと弱軸方向ＷＡが異なる）ように配することが望ましい。

【0108】

他方、図１５に示すように、開口部分４の内方には、柱２及び梁３の幅方向に、上記補強金物８が設けられた壁１が少なくとも２つ重ねて構築される。

【0109】

そして、隣り合うこれら壁１同士は、木質材料の繊維ｆの向きが実質的に、おおよそ異なるように、従ってまた補強金物８で連結される方向が交差するように構築される。

【0110】

すなわち、一方の壁１の強軸方向ＳＡが、他方の壁１の弱軸方向ＷＡとされ、他方の壁１の強軸方向ＳＡが、一方の壁１の弱軸方向ＷＡとなるように、八角形ブロック５が配列されて各壁１が構築される。

【0111】

これら壁１同士は、柱２及び梁３の幅方向で互いに接着されることなく、縁切りされて、互いに自由に挙動するように並設される。

【0112】

これにより、図１６に示すように、この場合の応力伝達状態は、単一の開口部分４において、右向きの外力ＲＦに対しても、左向きの外力ＬＦに対しても、均等に抵抗作用を奏する柱・梁架構が得られる。

【0113】

以上説明した本実施形態にかかる木質材料製の壁構造にあっては、木質材料製の同一寸法の八角形ブロック５を複数個用い、八角形ブロック５の１組の斜辺ｗは、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成され、八角形ブロック５の他の１組の斜辺ｗは、木質材料の繊維ｆの向きと交差させて形成され、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、木質材料の繊維ｆの向きがすべて同方向となるように、等長の斜辺ｗ同士が向かい合う配列で縦横方向に配設され、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向に設けられる補強金物８で連結され、かつ向かい合う斜辺ｗ同士が互いに接着されると共に、柱２に面する八角形ブロック５の縦辺ｙが当該柱２に接着され、梁３に面する八角形ブロック５の横辺ｘが当該梁３に接着されて、壁１が構築されるようにしていて、八角形ブロック５同士で、互いに接合される斜辺ｗと木質材料の繊維ｆの向きとを合わせ、かつ木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向については補強金物８で連結することにより、木質材料製でありながら、耐震性を奏する高い強度を壁１に付与することができる。

【0114】

また、壁１の構成部材である木質材料製の八角形ブロック５は、柱・梁架構の開口部分４に対し、定形であって、かつ取り扱いが容易なように軽量化できるものであり、施工性に優れると共に、壁１自体の軽量化も図ることができる。

【0115】

木質材料の繊維ｆの向きがすべて同方向となるように八角形ブロック５を配列して得られる壁１の強軸方向ＳＡに対し、木質材料の繊維ｆの向きと平行な方向に配列されて強軸方向ＳＡとなる八角形ブロック５同士を補強金物８で、当該平行な方向に連結するようにしているので、強軸方向ＳＡに引張応力を伝達することができて、壁１の強度を高めることができる。

【0116】

補強金物８は、互いに接着される八角形ブロック５それぞれの孔部１３に挿入される接着剤導入管部８ａと、これら八角形ブロック５の斜辺ｗ間に配置されて接着剤導入管部８ａに連結された接着剤注入管部８ｂとを含むので、八角形ブロック５同士の接着と補強金物８による連結とを、接着剤の注入作業によって一挙に施工することができる。

【0117】

補強金物８は、接着剤注入管部８ｂが接着剤導入管部８ａの中央位置に連結して構成されるので、接着剤導入管部８ｂが斜辺ｗに配置されることで、接着剤導入管部８ａを各八角形ブロック５に等長で配設することができる。

【0118】

接着剤導入管部８ａを八角形ブロック５の孔部１３に挿入することで、八角形ブロックの斜辺ｗ同士を向かい合わせて配列するにあたり、八角形ブロック５同士を容易に位置決めすることができる。

【0119】

単体として形作られた八角形ブロック５同士の組み合わせによって、八角形ブロック５の強度は高く確保しつつ、採光や通風を確保する開口Ｓを合理的に壁１に形成することができる。

【0120】

八角形ブロック５自体、高い強度を発揮すると共に、八角形ブロック５同士及び八角形ブロック５と柱２や梁３との接着で壁１が構築されるため、騒音や振動、粉塵の発生がなく、居ながらで壁１を構築することができる。従って、既存建物に対する改修工事として施工することができる。

【0121】

壁１を、木質材料のブロック５～７，９～１２で構築することにより、仕上げは不要であり、木材の質感を活かした壁１を得ることができる。

【0122】

ブロック５～７，９～１２は、原材料である木材が小割にされたもの、すなわち端材でもよいので、木材資源の有効活用に資することができる。

【0123】

木質材料であるブロック５～７，９～１２に燃え代を確保したり、耐火被覆を設けてもよいことはもちろんである。

【0124】

ブロック５～７，９～１２を接着剤で接着するようにしていて、接着剤が浸潤される接着面の強度が増強されるので、ブロック５～７，９～１２は各接着面が補強されていると言え、壁１として、面外方向への座屈や圧壊などの変形を抑制することができる。

【0125】

開口部分４の内方には、柱２及び梁３の幅方向に、壁１が少なくとも２つ重ねて構築され、隣り合うこれら壁１同士は、木質材料の繊維ｆの向きが異なるので、木質材料の繊維ｆの向きによって強軸や弱軸がある場合に、必要強度の壁１を、単一の開口部分４に構築することができる。

【0126】

開口部分４が少なくとも２つ隣接して形成され、隣り合うこれら開口部分４の内方にはそれぞれ、壁１が構築され、これら壁１同士は、木質材料の繊維ｆの向きが異なるので、木質材料の繊維ｆの向きによって強軸や弱軸がある場合に、必要強度の壁１を、柱・梁架構に備えることができる。

【0127】

八角形ブロック５は、木質材料の繊維ｆの向きが同じ八角形板片５ａを柱２及び梁３の幅方向に重ね合わせて一体化した重合材であるので、この重合材によって、壁１の必要強度に合わせた八角形ブロック５を形成して壁１を構築することができる。

【0128】

八角形ブロック５の斜辺ｗと柱２や梁３との間の隙間や、柱２や梁３とこれらに向かい合う八角形ブロック５の縦辺ｙや横辺ｘとの間の間隙には、当該隙間や間隙を封止するために、斜辺ｗと柱２や梁３とに接着して、そしてまた、縦辺ｙや横辺ｘを封止材である封止ブロック９～１２に接着し、当該封止ブロック９～１２を柱２や梁３に接着するようにして、これら封止ブロック６，７，９～１２が配設されるので、柱２及び梁３に対して、堅固な壁１を構築することができる。

【0129】

次に、本発明にかかる木質材料製の壁構造の第２実施形態について説明する。図１～図４，図７，図１０，図１２，図１３，図１６にわたる説明は、第１実施形態と同様である。

【0130】

第２実施形態では、図５及び図６に示した第１実施形態に適用される八角形ブロック５に代えて、図１７及び図１８に示す八角形ブロック５が適用される。

【0131】

八角形ブロック５は、複数枚の八角形板片５ａを柱２及び梁３の幅方向に重ね合わせて一体化した重合材で形成される。

【0132】

そして、八角形ブロック５の一対２組の斜辺ｗとなる八角形板片５ａの傾斜部ｗｓのうち、１組の傾斜部ｗｓが、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成されると共に、八角形板片５ａの他の１組の傾斜部ｗｓが、木質材料の繊維ｆの向きと交差させて形成されて、柱２及び梁３の幅方向に隣り合うこれら八角形板片５ａ同士の木質材料の繊維ｆの向きが、例えば互い違いに、互いに交差される。

【0133】

八角形ブロック５は具体的には、図１８の各側面図で示すように、各種の態様で形成される。

【0134】

図１８（ａ）は、原材料である円柱状等の丸太を、繊維方向に切断したひき板を八角形板片５ａとして用い、この八角形板片５ａを、木質材料の繊維ｆの向きが交差するようにして、柱２及び梁３の幅方向に２枚重ねして一体化した場合の側面図である。

【0135】

図１８（ｂ）は、図６（ａ）に比して、八角形板片５ａを、枚数を増やしかつ繊維ｆの向きを交互にするなどして交差させて、重ね合わせて一体化した場合の側面図である。

【0136】

図１８（ｃ）は、原材料である円柱状等の丸太から、かつら剥きの要領で薄板を作成し、この薄板から切り出した八角形板片５ａを複数枚重ね合わせて一体化した重合材の場合の側面図である。

【0137】

この場合も、木質材料の繊維ｆの向きが交差するようにして、柱２及び梁３の幅方向に重ね合わされる。

【0138】

従って、第２実施形態では、開口部分４の内方には、複数個の八角形ブロック５を、等長の斜辺ｗ同士が向かい合う配列で縦横方向に配設し接着することで、図１６に示すように、単一の開口部分４において、強軸方向ＳＡが交差する（弱軸方向ＷＡも交差する）壁１が構築され、右向きの外力ＲＦに対しても、左向きの外力ＬＦに対しても、均等に抵抗作用を奏する柱・梁架構が得られる。

【0139】

この第２実施形態の木質材料製の壁構造ではさらに、第１実施形態で説明した補強部材８が備えられ、八角形ブロック５同士は、図１９に示すように、各八角形板片５ａにおける木質材料の繊維ｆの向きそれぞれと平行な方向に設けられる補強金物８で連結される。

【0140】

第２実施形態の八角形ブロック５は、八角形板片５ａの各繊維ｆの向きが直交して交差し、全体として等方性を呈するので、補強金物８は、４つの斜辺ｗすべてに設けられる。

【0141】

４つのすべての斜辺ｗに補強金物８を設けて八角形ブロック５同士を連結する場合、隣接する２つの八角形ブロック５双方に同時に補強金物８を設けることができない。

【0142】

４つの斜辺ｗに補強金物８を設ける場合には、図２０及び図２１に示すように、図１８に示した八角形ブロック５が柱２や梁３の幅方向に２分割とされ、これら２分割したものを、それらを元通りに重ね合わせることで孔部１３となる溝１３ａが形成される。

【0143】

補強金物８は、２分割したものの一方の溝部１３ａに配置され、その後、２分割したものの他方が一方のものに重ね合わされることで、孔部１３に挿入して配置される。

【0144】

八角形ブロック４を配列する際には、積み上げていく工程を基準として、下方の八角形ブロック５の上向きの斜辺ｗから斜めに突出する補強金物８を、当該八角形ブロック５に対し斜め上方に配置される八角形ブロック５の溝１３ａで挟むようにして配列していけばよい。

【0145】

孔部１３に挿入した補強金物８に対し、上記第１実施形態で説明したようにして接着剤を注入することで、補強部材８によって八角形ブロック５同士を連結することができる。これにより、４つの斜辺ｗに補強金物８を備えた八角形ブロック５による壁１が構築される。

【0146】

図５及び図６に示した第１実施形態の八角形ブロック５であっても、すべての斜辺ｗに補強金物８を設ける場合には、同様にすればよい。

【0147】

第２実施形態の木質材料製の壁構造では、八角形ブロック５は、複数枚の八角形板片５ａを柱２及び梁３の幅方向に重ね合わせて一体化した重合材であり、八角形ブロック５の一対２組の斜辺ｗとなる八角形板片５ａの傾斜部ｗｓのうち、１組の傾斜部ｗｓが、木質材料の繊維ｆの向きと平行に形成されると共に、八角形板片５ａの他の１組の傾斜部ｗｓが、木質材料の繊維ｆの向きと交差させて形成されて、柱２及び梁３の幅方向に隣り合うこれら八角形板片５ａの木質材料の繊維ｆの向きが交差されており、複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、等長の斜辺ｗ同士が向かい合う配列で縦横方向に配設されることにより、八角形ブロック５を配列して単一の壁１を構築するという簡便な施工で、左右双方向に抵抗する柱・梁架構を構築することができる。

【0148】

複数個の八角形ブロック５は、開口部分４の内方で、八角形板片５ａの繊維ｆの向きそれぞれと平行な方向に設けられる補強金物８で連結されるので、補強金物８で引張力Ｔを負担することができて、木質材料を主体としながら、高い耐震性を奏する高強度の壁１を構築することができる。

【0149】

このような第２実施形態であっても、上記第１実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。

【0150】

第２実施形態にあっても、第１実施形態で説明したように、八角形ブロック５と封止ブロック６，７，９～１２とを、上記と同様にして補強金物８で連結してもよいことはもちろんであり、また、封止ブロック６，７，９～１２と柱２や梁３とを、上記と同様にして補強金物８で連結することが望ましい。

【0151】

以上説明した八角形ブロック５については、正八角形状や縦辺ｙと横辺ｘの長さを異ならせた形態としたり、その他の形態であってもよい。図２２には、八角形ブロック５の他の変形例が示されている。

【0152】

一般に使用される木質材料の重合材は、複数枚の八角形板片５ａを、それらの繊維ｆの向きが交互に直交するように重ねて、一体化されている。図２２（ａ）及び（ｂ）に示すように、すべての角の内角が１３５°である八角形板片５ａの重合材（八角形ブロック５）であれば、１組の斜辺ｗを繊維ｆと平行にすると、他の１組の斜辺ｗは、繊維ｆの向きと直角に交差する関係となる。図２２（ａ）は、辺の長さが縦辺ｙ及び横辺ｘ＜斜辺ｗである場合、図２２（ｂ）は、縦辺ｙ＜横辺ｘである場合である。

【0153】

正八角形ブロック５の斜辺ｗは、縦辺ｙ及び横辺ｘに対し、４５°の角度（内角が１３５°）をなす（図２参照）が、図２２（ｃ）は、縦辺ｙに対し６０°、横辺ｘに対し３０°をなし、かつ縦辺ｙ及び横辺ｘの長さに対して、斜辺ｗの長さをより長く形成した場合を示している。

【0154】

図２２（ｄ）は、平行関係で等長の２組の斜辺ｗのうち、一方の組の斜辺ｗが、縦辺ｙに対して６０°、横辺ｘに対し３０°をなし、他方の組の斜辺ｗが、縦辺ｙに対して３０°、横辺ｘに対し６０°をなすように形成した場合を示している。

【0155】

このように縦辺ｙ及び横辺ｘに対してなす角度の和が９０°である斜辺ｗを有する八角形ブロック５であれば、上記の４５°や３０°，６０°という角度に限定されることなく、それを適用して上記壁１を構築できることはもちろんである。

【0156】

図２２（ａ），（ｃ），（ｄ）に例示した形態は、接着箇所となる斜辺ｗの長さが、縦辺ｙ及び横辺ｘよりも相当に長いので、接着剤による接着で得られる壁１の高強度化を図ることができる。

【0157】

図２３には、上記実施形態で説明した中空でＴ字形状の補強金物８に代えて、中実な棒状材とした補強金物１８を用いて、第１実施形態にかかる壁構造の隣接する八角形ブロック５同士を連結し、接着剤で接着する変形例が示されている。

【0158】

図中、左側には、八角形ブロック５同士を連結した様子が、右側には、連結する途中の様子が示されている。

【0159】

第１実施形態の場合は、八角形ブロック５の斜辺ｗには、図１１に示したように、補強金物８を設置するための孔部１３及び孔部１３につなげて窪み部１３ｂが形成される。

【0160】

この変形例でも同様に、八角形ブロック５の斜辺ｗに孔部１３と窪み部１３ｂが形成される。

【0161】

この変形例では、隣接する八角形ブロック５の斜辺ｗ同士を向かい合わせ当接させることにより、窪み部１３ｂが孔部１３への接着剤の注入孔１９として形成される。

【0162】

また、互いに連結される八角形ブロック５それぞれには、これら八角形ブロック５の表裏いずれかから厚さ方向へ窪み部１３ｂと並行に穿設して、孔部１３に連通する空気抜き孔２０が一対で形成される。

【0163】

隣接する八角形ブロック５のうち、一方の孔部１３に補強金物１８を挿入しておき、その後、他方の八角形ブロック５の孔部１３内方へ、当該補強金物１８を差し入れていくことで、これら八角形ブロック５の斜辺ｗ同士を向かい合わせる。

【0164】

次いで、注入孔１９から接着剤を注入する。注入された接着剤は、各八角形ブロック５の孔部１３に充満していくと共に、斜辺ｗ同士の間にも充填されていく。孔部１３を満たした接着剤は、各空気抜き孔２０から漏れ出す。

【0165】

この際、一対の空気抜き孔２０双方から漏れ出さず、一方のみから漏れ出した場合には、接着剤が漏れ出した方の空気抜き孔２０を封鎖する。これにより、他方の空気抜き孔２０からも接着剤が漏れ出す。

【0166】

最後に、一対の空気抜き孔２０双方を封鎖することで、斜辺ｗ同士の間に十分な量の接着剤を確実に充填することができる。

【0167】

図２４には、上記の中実な棒状材とした補強金物１８を用いて、第２実施形態にかかる壁構造の隣接する八角形ブロック５同士を連結し、接着剤で接着する変形例が示されている。

【0168】

この変形例は、図２３で説明した変形例を第２実施形態にかかる壁構造の場合に適用したものである。

【0169】

図中、左側及び右下側には、八角形ブロック５同士を連結した様子が、右上側には、連結する途中の様子が示されている。

【0170】

第２実施形態の場合は、図２０及び図２１に示したように、図１８に示した八角形ブロック５が柱２や梁３の幅方向に２分割とされ、これら２分割したものを、それらを元通りに重ね合わせることで孔部１３となる溝１３ａが形成されている。

【0171】

その他の構成は、図２３で説明した変形例と同様であって、斜辺ｗ同士の間に形成される注入孔１９及び八角形ブロック５それぞれに形成される一対の空気抜き孔２０によって、補強金物１８を装入した孔部１３及び斜辺ｗ間に接着剤を充填することができる。

【0172】

図２５には、図２３で説明した変形例に代わる他の変形例が示されている。図中、左側には、八角形ブロック５同士を連結した様子が、右側には、連結する途中の様子が示されている。

【0173】

この変形例では、窪み部１３ｂ及び当該窪み部１３ｂで形成される注入孔１９は不要であって、上記変形例の一対の空気抜き孔２０のうち、下方に位置する空気抜き孔を注入孔１９とし、この注入孔１９から接着剤を注入する。

【0174】

注入された接着剤は、上方に位置する空気抜き孔２０へ向けて充満していき、当該空気抜き孔２０から漏れ出すようになれば、孔部１３及び斜辺ｗ間への接着剤の充填を完了することができる。

【0175】

必要に応じて、接着剤が漏れ出している空気抜き孔２０を封鎖すれば、斜辺ｗ同士の間に十分な量の接着剤を確実に充填することができる。

【0176】

図２６には、図２４で説明した変形例に代わる他の変形例が示されている。図中、左側及び右下側には、八角形ブロック５同士を連結した様子が、右上側には、連結する途中の様子が示されている。

【0177】

この変形例は、図２５で説明した変形例を第２実施形態にかかる壁構造の場合に適用したものである。

【0178】

図２５の場合と同様に、窪み部１３ｂ及び当該窪み部１３ｂで形成される注入孔１９は不要であって、上記変形例の一対の空気抜き孔２０のうち、下方に位置する空気抜き孔を注入孔１９とするものであって、これら注入孔１９及び空気抜き孔２０によって、補強金物１８を装入した孔部１３及び斜辺ｗ間に接着剤を充填することができる。

【0179】

以上の変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。

【符号の説明】

【0180】

１ 壁
２ 柱
３ 梁
４ 開口部分
５ 八角形ブロック
５ａ 八角形板片
６，７，９～１２ 封止ブロック
８ 補強金物
８ａ 接着剤導入管部
８ｂ 接着剤注入管部
１３ 孔部
１８ 補強金物
ｆ 木質材料の繊維
ｘ 八角形ブロックの横辺
ｙ 八角形ブロックの縦辺
ｗ 八角形ブロックの斜辺
ｗｓ 八角形板片の傾斜部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】