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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068473
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】蓄電装置及び蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240513BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240513BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20240513BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240513BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20240513BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/291
H01G11/10
H01G11/78
H01G11/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178967
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】富樫 英世
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078HA21
5E078HA22
5E078JA02
5E078JA07
5E078LA07
5H040AA03
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY08
5H040CC34
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】容易に製造できる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置1は、それぞれが容器110を有する第一方向に並ぶ複数の蓄電素子100を有する蓄電ユニット10と、第一方向と直交する第二方向の一方側に開口310aが形成されたケース本体310を有し、蓄電ユニット10を収容するケース300と、を備え、ケース本体310は、蓄電ユニット10の第一方向の一方側に配置されるケース壁部314を有し、ケース壁部314は、第一方向で蓄電ユニット10のユニット第一面211と接触するケース第一面314cと、ケース第一面314cよりも第二方向の一方側の、第一方向から見て容器110と重なる位置であって、ケース第一面314cから第一方向の一方側に凹んだ位置に、第一方向で蓄電ユニット10のユニット第二面221と対向して配置されるケース第二面314dと、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが容器を有する第一方向に並ぶ複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットと、
前記第一方向と直交する第二方向の一方側に開口が形成されたケース本体を有し、前記蓄電ユニットを収容するケースと、を備え、
前記ケース本体は、前記蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に配置される壁部を有し、
前記壁部は、
前記第一方向で前記蓄電ユニットのユニット第一面と接触するケース第一面と、
前記ケース第一面よりも前記第二方向の一方側の、前記第一方向から見て前記容器と重なる位置であって、前記ケース第一面から前記第一方向の一方側に凹んだ位置に、前記第一方向で前記蓄電ユニットのユニット第二面と対向して配置されるケース第二面と、を有する
蓄電装置。
【請求項2】
前記ケース第二面は、前記第一方向から見て、前記容器の前記第二方向における中央部と重なる位置に配置される
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記ケース第二面は、前記ユニット第二面と離間して配置される
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記ユニット第二面は、前記ユニット第一面よりも、前記第一方向の一方側に配置される
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記壁部は、前記ケース第一面と前記ケース第二面との間に、前記第二方向で前記蓄電ユニットのユニット第三面と接触するケース第三面をさらに有する
請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に向く面のうちの、ユニット第一面よりも前記第一方向と直交する第二方向の一方側のユニット第二面を、前記第一方向の他方側に圧迫する圧迫工程と、
ケースが有する、前記第二方向の一方側に開口が形成されたケース本体に、前記蓄電ユニットを挿入する挿入工程と、
前記ユニット第二面の圧迫を解除し、前記蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に配置される壁部のケース第一面に、前記ユニット第一面を前記第一方向で接触させる解除工程と、
を含む蓄電装置の製造方法。
【請求項7】
前記挿入工程では、前記壁部のうちの、前記ケース第一面よりも前記第二方向の一方側の、前記ケース第一面から前記第一方向の一方側に凹んだ位置に配置されるケース第二面が、前記第一方向で前記ユニット第二面と対向するように、前記蓄電ユニットを前記ケース本体に挿入する
請求項6に記載の蓄電装置の製造方法。
【請求項8】
前記挿入工程の後に、前記ケース本体及び前記蓄電ユニットを回転する回転工程をさらに含む
請求項6または7に記載の蓄電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子を有する蓄電ユニットとケースとを備える蓄電装置、及び、蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットとケースとを備え、蓄電ユニットがケースに収容された蓄電装置が広く知られている。例えば、特許文献1には、積層された複数の蓄電セル(蓄電素子)を含む蓄電モジュール(蓄電ユニット)と、蓄電モジュールを収納する内部空間を有する密閉ケース(ケース)と、を備える蓄電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-67208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置において、複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットをケースに収容する構成では、蓄電素子が膨れたりすることで蓄電素子の並び方向における蓄電ユニットの長さが安定しない等により、蓄電ユニットをケースに挿入するのが困難な場合がある。これにより、蓄電装置の製造が困難になるおそれがある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、容易に製造できる蓄電装置、及び、蓄電装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、それぞれが容器を有する第一方向に並ぶ複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットと、前記第一方向と直交する第二方向の一方側に開口が形成されたケース本体を有し、前記蓄電ユニットを収容するケースと、を備え、前記ケース本体は、前記蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に配置される壁部を有し、前記壁部は、前記第一方向で前記蓄電ユニットのユニット第一面と接触するケース第一面と、前記ケース第一面よりも前記第二方向の一方側の、前記第一方向から見て前記容器と重なる位置であって、前記ケース第一面から前記第一方向の一方側に凹んだ位置に、前記第一方向で前記蓄電ユニットのユニット第二面と対向して配置されるケース第二面と、を有する。
【0007】
本発明の一態様に係る蓄電装置の製造方法は、第一方向に並ぶ複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に向く面のうちの、ユニット第一面よりも前記第一方向と直交する第二方向の一方側のユニット第二面を、前記第一方向の他方側に圧迫する圧迫工程と、ケースが有する、前記第二方向の一方側に開口が形成されたケース本体に、前記蓄電ユニットを挿入する挿入工程と、前記ユニット第二面の圧迫を解除し、前記蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に配置される壁部のケース第一面に、前記ユニット第一面を前記第一方向で接触させる解除工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明における蓄電装置等によれば、容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の構成を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置が備える蓄電ユニット及びケース本体の構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電素子及びスペーサの構成を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係るケースのケース本体の構成を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係るケース本体とスペーサとの位置関係を示す断面図である。
図6】実施の形態に係る蓄電装置の製造方法のうちの圧迫工程を示す斜視図及び断面図である。
図7】実施の形態に係る蓄電装置の製造方法のうちの挿入工程を示す斜視図及び断面図である。
図8】実施の形態に係る蓄電装置の製造方法のうちの回転工程を示す斜視図である。
図9】実施の形態に係る蓄電装置の製造方法のうちの解除工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)本発明の一態様に係る蓄電装置は、それぞれが容器を有する第一方向に並ぶ複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットと、前記第一方向と直交する第二方向の一方側に開口が形成されたケース本体を有し、前記蓄電ユニットを収容するケースと、を備え、前記ケース本体は、前記蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に配置される壁部を有し、前記壁部は、前記第一方向で前記蓄電ユニットのユニット第一面と接触するケース第一面と、前記ケース第一面よりも前記第二方向の一方側の、前記第一方向から見て前記容器と重なる位置であって、前記ケース第一面から前記第一方向の一方側に凹んだ位置に、前記第一方向で前記蓄電ユニットのユニット第二面と対向して配置されるケース第二面と、を有する。
【0011】
これによれば、蓄電装置において、ケース本体の壁部が、蓄電ユニットのユニット第一面と接触するケース第一面よりも第二方向の一方側(開口側)の、ケース第一面から凹んだ位置に、蓄電ユニットのユニット第二面と対向するケース第二面を有している。このように、ユニット第二面と対向するケース第二面がケース第一面から凹んだ位置に配置されるため、蓄電ユニットのユニット第二面を治具で掴んだ(圧迫した)状態で、蓄電ユニットをケース本体に挿入できる構成である。特に、ケース第二面は、第一方向(蓄電素子の並び方向)から見て、蓄電素子の容器と重なる位置に配置される。これにより、第一方向から見て蓄電素子の容器と重なる位置に当該治具を配置できるため、蓄電ユニットをケース本体に挿入する際に、第一方向(蓄電素子の並び方向)において蓄電ユニットのユニット第二面を治具で掴みやすい(圧迫しやすい)。したがって、蓄電ユニットをケース本体に容易に挿入できるため、蓄電装置を容易に製造できる。
【0012】
(2)上記(1)に記載の蓄電装置において、前記ケース第二面は、前記第一方向から見て、前記容器の前記第二方向における中央部と重なる位置に配置される、としてもよい。
【0013】
これによれば、ケース本体の壁部のケース第二面が、第一方向から見て蓄電素子の容器の中央部と重なる位置に配置されることで、第一方向から見て蓄電素子の容器の中央部と重なる位置に治具を配置できる。これにより、蓄電ユニットをケース本体に挿入する際に、第一方向(蓄電素子の並び方向)において蓄電ユニットのユニット第二面を治具でさらに掴みやすい(圧迫しやすい)。
【0014】
(3)上記(1)または(2)に記載の蓄電装置において、前記ケース第二面は、前記ユニット第二面と離間して配置される、としてもよい。
【0015】
これによれば、ケース本体の壁部のケース第二面が、蓄電ユニットのユニット第二面と離間して配置されることで、蓄電ユニットをケース本体に挿入する際に、ケース第二面とユニット第二面との間に治具を容易に挿入できる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかひとつに記載の蓄電装置において、前記ユニット第二面は、前記ユニット第一面よりも、前記第一方向の一方側に配置される、としてもよい。
【0017】
これによれば、蓄電ユニットにおいて、ユニット第二面がユニット第一面よりも第一方向の一方側(外側)に配置されることで、ユニット第二面を治具で掴む(圧迫する)際に、治具がユニット第一面に接触するのを抑制できる。
【0018】
(5)上記(4)に記載の蓄電装置において、前記壁部は、前記ケース第一面と前記ケース第二面との間に、前記第二方向で前記蓄電ユニットのユニット第三面と接触するケース第三面をさらに有する、としてもよい。
【0019】
これによれば、ケース本体の壁部が、第二方向で蓄電ユニットのユニット第三面と接触するケース第三面を有していることで、蓄電ユニットをケース本体に挿入する際に、第二方向において蓄電ユニットをケース本体に対して容易に位置決めできる。
【0020】
(6)本発明の一態様に係る蓄電装置の製造方法は、第一方向に並ぶ複数の蓄電素子を有する蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に向く面のうちの、ユニット第一面よりも前記第一方向と直交する第二方向の一方側のユニット第二面を、前記第一方向の他方側に圧迫する圧迫工程と、ケースが有する、前記第二方向の一方側に開口が形成されたケース本体に、前記蓄電ユニットを挿入する挿入工程と、前記ユニット第二面の圧迫を解除し、前記蓄電ユニットの前記第一方向の一方側に配置される壁部のケース第一面に、前記ユニット第一面を前記第一方向で接触させる解除工程と、を含む。
【0021】
これによれば、蓄電装置の製造方法において、蓄電ユニットのユニット第二面を圧迫し(圧迫工程)、ケース本体に蓄電ユニットを挿入し(挿入工程)、ユニット第二面の圧迫を解除してケース本体の壁部のケース第一面にユニット第一面を接触させる(解除工程)。このように、蓄電ユニットを圧迫してからケース本体に挿入し、圧迫を解除することで、蓄電ユニットをケース本体に容易に挿入できるため、蓄電装置を容易に製造できる。
【0022】
(7)上記(6)に記載の蓄電装置の製造方法において、前記挿入工程では、前記壁部のうちの、前記ケース第一面よりも前記第二方向の一方側の、前記ケース第一面から前記第一方向の一方側に凹んだ位置に配置されるケース第二面が、前記第一方向で前記ユニット第二面と対向するように、前記蓄電ユニットを前記ケース本体に挿入する、としてもよい。
【0023】
これによれば、蓄電装置の製造方法において、挿入工程では、ケース本体の壁部のうちの、ケース第一面よりも第二方向の一方側(開口側)の、ケース第一面から凹んだ位置のケース第二面が、ユニット第二面と対向するように、蓄電ユニットをケース本体に挿入する。このように、ケース第一面から凹んだ位置のケース第二面がユニット第二面と対向するように蓄電ユニットをケース本体に挿入することで、蓄電ユニットのユニット第二面を治具で圧迫した状態で、蓄電ユニットをケース本体に挿入できる。したがって、蓄電ユニットをケース本体に容易に挿入できる。
【0024】
(8)上記(6)または(7)に記載の蓄電装置の製造方法は、前記挿入工程の後に、前記ケース本体及び前記蓄電ユニットを回転する回転工程をさらに含む、としてもよい。
【0025】
これによれば、蓄電装置の製造方法において、挿入工程の後にケース本体及び蓄電ユニットを回転することで、蓄電ユニットをケース本体に挿入した状態で所望の向きに配置できる。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置及びその製造方法について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0027】
以下の説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の端子の並び方向、蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向、または、蓄電ユニットの並び方向を、X軸方向と定義する。蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、蓄電素子若しくはスペーサの厚み方向(扁平方向)、蓄電ユニットが有する複数の蓄電素子の並び方向、または、蓄電ユニットが有する蓄電素子とスペーサとの並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の端子の突出方向、蓄電素子の容器本体と容器蓋部との並び方向、ケースのケース本体と蓋体との並び方向、ケース本体の開口及び底壁の対向方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0028】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。単にX軸方向という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の双方向またはいずれか一方の方向を示す。X軸方向の一方側及び他方側という場合は、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向のうちの一方及び他方を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。以下では、Y軸方向を第一方向とも呼び、Z軸方向を第二方向とも呼び、X軸方向を第三方向とも呼ぶ。平行及び直交等の、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行であるとは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0029】
(実施の形態)
[1 蓄電装置1の説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置1の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1の構成を示す斜視図である。図1では、蓄電装置1において、ケース300のケース本体310から蓋体320を取り外した状態を示している。これにより、図1では、ケース300の内方に配置される2つの蓄電ユニット10が図示されている。図2は、本実施の形態に係る蓄電装置1が備える蓄電ユニット10及びケース本体310の構成を示す斜視図である。図2は、ケース本体310から蓄電ユニット10を取り出し、蓄電ユニット10が有する一部の蓄電素子100及びスペーサ200を分離させた状態を示している。
【0030】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置である。蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される。蓄電装置1は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0031】
図1及び図2に示すように、蓄電装置1は、蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10を収容するケース300と、を備えている。蓄電装置1は、外部の装置と電気的に接続するための外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)等も備えているが、それらの図示及び説明は省略する。蓄電装置1は、上記の構成要素の他、蓄電ユニット10の充電状態及び放電状態等を監視または制御する回路基板及びリレー等の電気機器等も備えていてもよい。
【0032】
蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100を有する電池モジュール(組電池)である。蓄電ユニット10は、Y軸方向(第一方向)に並ぶ複数の蓄電素子100と、当該複数の蓄電素子100をY軸方向で挟む一対のスペーサ200と、を有している。蓄電ユニット10は、Y軸方向に長い略直方体形状を有している。本実施の形態では、X軸方向に並ぶ2つの蓄電ユニット10が、ケース300の内方に収容されている。蓄電ユニット10は、蓄電素子100を直列または並列に接続するバスバー、バスバーを保持するバスバーフレーム、及び、蓄電素子100と外部端子とを接続するバスバー等も備えているが、それらの図示は省略する。バスバーは、全ての蓄電素子100を直列に接続してもよいし、いずれかの蓄電素子100を並列に接続してから直列に接続してもよいし、全ての蓄電素子100を並列に接続してもよい。蓄電ユニット10は、蓄電素子100同士の間にもスペーサを有していてもよい。
【0033】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、Y軸方向に扁平な直方体形状(角形、角型)を有している。本実施の形態では、7個の蓄電素子100がY軸方向に並んで配列されているが、配列される蓄電素子100の個数は特に限定されない。蓄電素子100の大きさ及び形状も特に限定されず、長円柱形状、楕円柱形状、円柱形状、直方体以外の多角柱形状等でもよい。蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子100は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。蓄電素子100の構成の詳細な説明については、後述する。
【0034】
スペーサ200は、複数の蓄電素子100のY軸方向両側に配置され、蓄電素子100とケース300とを絶縁するY軸方向に扁平な部材(エンドスペーサ)である。スペーサ200は、ケース300のケース本体310が有する後述のケース壁部314に対向し、かつ、ケース壁部314に隣り合う位置に配置される。つまり、スペーサ200は、Y軸方向において、蓄電素子100とケース壁部314とに挟まれるように、蓄電素子100とケース壁部314との間に配置される。スペーサ200は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、マイカ等の断熱性を有する部材等により形成されている。一対のスペーサ200は、双方が同じ材質の部材で形成されていてもよいし、互いに異なる材質の部材で形成されていてもよい。スペーサ200の構成の詳細な説明については、後述する。
【0035】
ケース300は、蓄電装置1の外装体(外殻)を構成する略直方体形状(箱形)の容器である。ケース300は、蓄電ユニット10の外方に配置され、蓄電ユニット10を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。ケース300は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材によって形成された金属ケースである。本実施の形態では、ケース300は、アルミニウムのダイカスト(アルミダイカスト)により形成されている。ケース300は、蓄電ユニット10が有するスペーサ200に採用可能ないずれかの樹脂材料等の絶縁性を有する部材で形成されていてもよい。
【0036】
図1に示すように、ケース300は、ケース300の本体を構成するケース本体310と、ケース300の蓋体を構成する蓋体320と、を有している。ケース本体310は、Z軸プラス方向(第一方向と直交する第二方向の一方側)に開口310aが形成されたハウジング(筐体)であり、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)を収容する。蓋体320は、ケース本体310の開口310aを塞ぐ扁平な矩形状の部材である。ケース本体310には、X軸方向に並ぶ2つの矩形状の開口310aが形成されており、それぞれの開口310aから蓄電ユニット10が挿入された後に、ケース本体310と蓋体320とが、ボルト等によるネジ止め、溶接、接着等によって接合される。これにより、ケース300は、内部が密閉(密封)された構造となる。ケース本体310または蓋体320には、外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)の端子台が取り付けられ、当該端子台に外部端子が配置されていてもよい。ケース本体310の構成の詳細な説明については、後述する。
【0037】
[1.1 蓄電素子100及びスペーサ200の説明]
図3は、本実施の形態に係る蓄電素子100及びスペーサ200の構成を示す斜視図である。図3は、図2に示した1つの蓄電ユニット10が有する複数の蓄電素子100のうちのY軸マイナス方向端部の蓄電素子100と、一対のスペーサ200のうちのY軸マイナス方向のスペーサ200と、を拡大して示している。2つの蓄電ユニット10は、同様の構成を有している。1つの蓄電ユニット10が有する複数の蓄電素子100は、全て同様の構成を有している。1つの蓄電ユニット10が有する一対のスペーサ200は、Y軸方向において対称(XZ平面に対して対称)、または、Z軸を中心に180°回転させた場合に同一形状となる構成を有している。このため、図3では、1つの蓄電素子100及び1つのY軸マイナス方向のスペーサ200を示し、以下ではこれらの構成について詳細に説明することとし、他の蓄電素子100及びスペーサ200の構成の説明は省略する。
【0038】
まず、蓄電素子100の構成について詳細に説明する。図3に示すように、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極及び負極)の端子140と、を有している。容器110の内方には、電極体と、一対(正極及び負極)の集電体と、電解液(非水電解質)とが収容され、端子140及び集電体と容器110との間にはガスケットが配置されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。ガスケットは、絶縁性を有していればどのような素材で形成されていてもよい。蓄電素子100は、上記の構成要素の他、電極体の側方に配置されるスペーサ、電極体等を包み込む絶縁フィルム、及び、容器110の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)等を有していてもよい。
【0039】
容器110は、開口が形成された容器本体120と、容器本体120の当該開口を閉塞する容器蓋部130と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体120は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向側に開口が形成されている。容器蓋部130は、容器110の蓋部を構成するX軸方向に長い矩形状の板状部材であり、容器本体120のZ軸プラス方向に配置されている。容器110(容器蓋部130等)には、容器110内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部等が設けられていてもよい。容器110(容器本体120及び容器蓋部130)の材質は、特に限定されず、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0040】
容器110は、電極体等を容器本体120の内方に収容後、容器本体120と容器蓋部130とが溶接等によって接合されることにより、内部が密閉(密封)される。容器110は、Y軸方向両側の側面に一対の長側面111を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側面112を有し、Z軸マイナス方向側に底面113を有している。長側面111は、容器110の長側面を形成する矩形状の平面部であり、蓄電素子100の容器110の長側面111またはスペーサ200とY軸方向において対向して配置される。長側面111は、短側面112及び底面113に隣接し、短側面112よりも面積が大きい。短側面112は、容器110の短側面を形成する矩形状の平面部であり、ケース300のケース本体310が有する後述のケース壁部312または313(図2、4等参照)とX軸方向において対向して配置される。短側面112は、長側面111及び底面113に隣接し、長側面111よりも面積が小さい。底面113は、容器110の底面を形成する矩形状の平面部であり、ケース300のケース本体310が有する後述のケース底壁311(図2、4等参照)とZ軸方向において対向して配置される。底面113は、長側面111及び短側面112に隣接して配置される。
【0041】
端子140は、容器蓋部130に配置される、蓄電素子100の電極端子(正極端子及び負極端子)である。具体的には、端子140は、容器蓋部130の上面(端子配置面)からZ軸プラス方向に突出した状態で配置される。端子140は、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、端子140は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。端子140は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0042】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートまたは不織布等を用いることができる。本実施の形態では、電極体は、極板(正極板及び負極板)がY軸方向に積層されて形成されている。電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0043】
集電体は、端子140と電極体とに電気的及び機械的に接続される導電性の集電部材(正極集電体及び負極集電体)である。正極集電体は、電極体の正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、電極体の負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0044】
次に、スペーサ200の構成について詳細に説明する。図3に示すように、スペーサ200は、スペーサ本体210と、スペーサ突出部220と、を有している。スペーサ本体210は、スペーサ200の本体部を構成する平板状かつ矩形状の部位であり、XZ平面に平行に配置されている。スペーサ本体210は、蓄電ユニット10のY軸方向端部に位置する蓄電素子100のY軸方向外側(図3では、Y軸マイナス方向)に配置される。スペーサ本体210は、当該蓄電素子100の容器110が有する、スペーサ本体210と対向する長側面111の全面を覆うように、Y軸方向において当該長側面111と対向し、かつ、当該長側面111に接触した状態で配置される。
【0045】
スペーサ突出部220は、スペーサ本体210からY軸方向外側に突出する平板状かつ矩形状の部位であり、XZ平面に平行に配置されている。スペーサ突出部220は、スペーサ本体210の蓄電素子100とは反対側に向く面から蓄電素子100とは反対側(図3では、Y軸マイナス方向)に突出する。スペーサ突出部220は、スペーサ本体210のZ軸プラス方向端部からZ軸方向中央部までに亘ってZ軸方向に延び、かつ、スペーサ本体210のX軸方向の一端部から他端部までに亘ってX軸方向に延びる。本実施の形態では、スペーサ突出部220は、スペーサ本体210のZ軸プラス方向の端縁からZ軸方向の中心よりもZ軸マイナス方向寄りの位置までに亘ってZ軸方向に延び、かつ、スペーサ本体210のX軸方向の一端縁から他端縁までに亘ってX軸方向に延びる。
【0046】
スペーサ本体210のY軸方向外側(図3では、Y軸マイナス方向)に向く面(スペーサ突出部220よりもZ軸マイナス方向の面)を、ユニット第一面211と称する。スペーサ突出部220のY軸方向外側(図3では、Y軸マイナス方向)に向く面を、ユニット第二面221と称する。スペーサ突出部220のZ軸マイナス方向に向く面を、ユニット第三面230と称する。つまり、蓄電ユニット10は、Y軸方向端部において、ユニット第一面211と、ユニット第二面221と、ユニット第三面230と、を有している。
【0047】
ユニット第一面211は、ユニット第二面221よりも、Y軸プラス方向(第一方向の他方側)かつZ軸マイナス方向(第二方向の他方側)に配置される、XZ平面に平行かつX軸方向に延びる矩形状の平面(平坦面)である。つまり、ユニット第一面211は、ユニット第二面221よりもZ軸マイナス方向(第二方向の他方側)の、ユニット第二面221からY軸プラス方向(第一方向の他方側)に凹んだ位置に配置される。ユニット第二面221は、ユニット第一面211よりも、Y軸マイナス方向(第一方向の一方側)かつZ軸プラス方向(第二方向の一方側)に配置される、XZ平面に平行かつX軸方向に延びる矩形状の平面(平坦面)である。つまり、ユニット第二面221は、ユニット第一面211よりもZ軸プラス方向(第二方向の一方側)の、ユニット第一面211からY軸マイナス方向(第一方向の一方側)に突出した位置に配置される。
【0048】
ユニット第一面211及びユニット第二面221は、Y軸方向から見て、蓄電素子100の容器110と重なる位置に配置される。ユニット第二面221は、Y軸方向から見て、蓄電素子100の容器110のZ軸方向(第二方向)における中央部と重なる位置に配置される。具体的には、ユニット第一面211及びユニット第二面221は、Y軸方向から見て容器110の長側面111と重なる位置に配置され、ユニット第二面221は、Y軸方向から見て容器110の長側面111のZ軸方向における中央部と重なる位置に配置される。蓄電素子100の容器110(の長側面111)のZ軸方向(第二方向)における中央部とは、容器110(の長側面111)をZ軸方向(第二方向)に3等分した場合の中央に位置する部分である。以下の説明においても、同様である。
【0049】
ユニット第三面230は、ユニット第一面211とユニット第二面221との間に配置される、XY平面に平行かつX軸方向に延びる矩形状の平面(平坦面)である。ユニット第三面230は、ユニット第一面211及び/またはユニット第二面221と、交差(本実施の形態では、直交)している。ユニット第三面230は、ユニット第一面211のZ軸プラス方向端部(端縁)とユニット第二面221のZ軸マイナス方向端部(端縁)とに接続されて、ユニット第一面211とユニット第二面221とを繋ぐ。ユニット第三面230は、Y軸方向から見て、蓄電素子100の容器110(の長側面111)のZ軸方向における中心よりもZ軸マイナス方向寄りの位置と重なる位置に配置される。本実施の形態では、ユニット第三面230は、Y軸方向から見て、容器110(の長側面111)のZ軸方向(第二方向)における中央部と重なる位置に配置される。このように、スペーサ200は、Z軸方向における中央部で凹んだ(または突出した)段差状(階段状)の部材である。
【0050】
[1.2 ケース300のケース本体310の説明]
次に、ケース300が有するケース本体310の構成について、詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係るケース300のケース本体310の構成を示す斜視図である。図4は、図2に示したケース本体310を拡大し、かつ、ケース本体310の内部の構成を破線で示している。図5は、本実施の形態に係るケース本体310とスペーサ200との位置関係を示す断面図である。図5は、図1に示したケース本体310に蓄電素子100及びスペーサ200を収容した状態を、V-V線を通りYZ平面に平行な面で切断した場合の構成を示す断面図である。図5では、蓋体320も破線で示すことで、蓄電装置1の全体像を図示している。蓄電装置1のX軸プラス方向の半分とX軸マイナス方向の半分とは同様の構成を有し、蓄電装置1のY軸プラス方向端部とY軸マイナス方向端部とは同様の構成を有している。このため、図5では、当該X軸プラス方向の半分のY軸マイナス方向端部の部位について図示し、以下の図5に関する説明は、当該部位について行う。
【0051】
図4に示すように、ケース本体310は、ケース底壁311と、ケース壁部312、313及び314と、を有している。つまり、ケース本体310は、Z軸マイナス方向(第二方向の他方側)の底面部にケース底壁311を有し、X軸方向両側の側面部に一対のケース壁部312を有し、X軸方向中央部にケース壁部313を有し、Y軸方向両側の側面部に一対のケース壁部314を有している。ケース本体310は、ケース底壁311と、2つのケース壁部312と、ケース壁部313と、2つのケース壁部314とが一体化された1つの部材である。つまり、ケース本体310は、アルミダイカスト等により一体成形されて、1つの部材(一部品)として一体的に形成されている。
【0052】
ケース底壁311は、主面がZ軸方向(第二方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310の底面を形成する、XY平面に平行な平板状かつ矩形状の壁部(底壁)である。ケース底壁311は、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)とZ軸方向において対向して配置される。具体的には、ケース底壁311は、蓄電ユニット10のZ軸マイナス方向に向く面の全面を覆うように蓄電ユニット10のZ軸マイナス方向に配置されて、蓄電ユニット10をZ軸マイナス方向から支持する。ケース底壁311は、ケース壁部312、313及び314に隣接した状態で配置される。
【0053】
ケース壁部312は、主面がX軸方向(第三方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310のX軸方向の側面(長側面)を形成する、YZ平面に平行かつY軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部(側壁)である。ケース壁部312は、ケース底壁311のX軸方向端部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)とX軸方向(第三方向)において対向して配置される。ケース壁部312は、ケース底壁311及びケース壁部314に隣接する。本実施の形態では、ケース本体310のX軸方向両端部に、2つのケース壁部312が互いに対向して配置されている。X軸プラス方向のケース壁部312は、X軸プラス方向の蓄電ユニット10のX軸プラス方向に向く面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸プラス方向に配置される。X軸マイナス方向のケース壁部312は、X軸マイナス方向の蓄電ユニット10のX軸マイナス方向に向く面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸マイナス方向に配置される。
【0054】
ケース壁部313は、主面がX軸方向(第三方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310の内方の空間を仕切る、Y軸方向に長い直方体形状の壁部である。ケース壁部313は、ケース底壁311のX軸方向中央部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)とX軸方向(第三方向)において対向して配置される。具体的には、ケース壁部313は、X軸方向に並ぶ2つの蓄電ユニット10の間に配置される。これにより、ケース壁部313は、X軸プラス方向の蓄電ユニット10のX軸マイナス方向に向く面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸マイナス方向に配置される。ケース壁部313は、X軸マイナス方向の蓄電ユニット10のX軸プラス方向に向く面の全面を覆うように、当該蓄電ユニット10のX軸プラス方向に配置される。ケース壁部313は、ケース底壁311及びケース壁部314に隣接する。
【0055】
ケース壁部314は、主面がY軸方向(第一方向)に向く姿勢で配置されて、ケース本体310のY軸方向の側面(短側面)を形成する、XZ平面に平行かつX軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部(側壁)である。ケース壁部314は、ケース底壁311のY軸方向端部からZ軸プラス方向に立ち上がる壁部であり、蓄電ユニット10(スペーサ200)とY軸方向(第一方向)において対向して配置される。ケース壁部314は、ケース底壁311、ケース壁部312及び313に隣接する。本実施の形態では、ケース本体310のY軸方向両端部に、2つのケース壁部314が互いに対向して配置されている。Y軸プラス方向のケース壁部314は、蓄電ユニット10(Y軸プラス方向のスペーサ200)のY軸プラス方向に向く面のほぼ全面を覆うように、蓄電ユニット10(当該スペーサ200)のY軸プラス方向に配置される。Y軸マイナス方向のケース壁部314は、蓄電ユニット10(Y軸マイナス方向のスペーサ200)のY軸マイナス方向に向く面のほぼ全面を覆うように、蓄電ユニット10(当該スペーサ200)のY軸マイナス方向に配置される。
【0056】
以上のような構成により、ケース本体310には、Z軸プラス方向(第二方向の一方側)に向けて開口する開口310aが形成されている。つまり、2つのケース壁部312とケース壁部313と2つのケース壁部314とで、X軸方向に並ぶ2つの開口310aが形成されている。開口310aは、ケース本体310のケース底壁311と対向する位置に配置される、ケース本体310のZ軸プラス方向に向く面が開口した、Z軸方向から見てY軸方向に長い矩形状の開口部である。開口310aは、蓄電ユニット10に対応する位置に配置され、Z軸方向において蓄電ユニット10が通過可能な大きさに形成されている。本実施の形態では、蓄電ユニット10は、開口310aからZ軸プラス方向に突出した状態で、ケース本体310内に配置される(図1、5等参照)。つまり、ケース壁部312、313及び314は、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)よりも高さが低い(Z軸方向の長さが短い)。
【0057】
ケース壁部314は、ケース本体310のX軸プラス方向の半分及びX軸マイナス方向の半分のそれぞれにおいて、Y軸方向両端部の双方に、ケース壁部本体314bと、ケース壁部本体314bからY軸方向内側に向けて突出するケース突出部314aと、を有している。ケース壁部本体314bは、ケース壁部314の本体部を構成する平板状かつ矩形状の部位であり、XZ平面に平行に配置されている。上述の通り、ケース壁部本体314bは、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)よりも高さが低い(Z軸方向の長さが短い)(図5等参照)。
【0058】
ケース突出部314aは、ケース壁部本体314bからY軸方向内側に突出する平板状かつ矩形状の部位であり、XZ平面に平行に配置されている。ケース突出部314aは、ケース壁部本体314bの蓄電ユニット10に向く面から蓄電ユニット10に向けて突出する。ケース突出部314aは、ケース壁部本体314bのZ軸マイナス方向端部からZ軸方向中央部までに亘ってZ軸方向に延び、かつ、ケース壁部本体314bのX軸方向の一端部から他端部までに亘ってX軸方向に延びる。本実施の形態では、ケース突出部314aは、ケース壁部本体314bのZ軸マイナス方向の端縁からZ軸方向の中心よりもZ軸マイナス方向寄りの位置までに亘ってZ軸方向に延び、かつ、ケース壁部本体314bのX軸方向の一端縁から他端縁までに亘ってX軸方向に延びる。
【0059】
以下、図5を用いて、ケース本体310のX軸プラス方向の半分におけるY軸マイナス方向端部の、ケース壁部314が有するケース壁部本体314b及びケース突出部314aについて、詳細に説明する。
【0060】
図5に示すように、ケース壁部314は、蓄電ユニット10のY軸マイナス方向(第一方向の一方側)に配置される壁部である。ケース突出部314aのY軸方向内側(図5では、Y軸プラス方向)に向く面を、ケース第一面314cと称する。ケース壁部本体314bのY軸方向内側(図5では、Y軸プラス方向)に向く面(ケース突出部314aよりもZ軸プラス方向の面)を、ケース第二面314dと称する。ケース突出部314aのZ軸プラス方向に向く面を、ケース第三面314eと称する。つまり、ケース本体310は、Y軸方向端部において、ケース壁部314に、ケース第一面314cと、ケース第二面314dと、ケース第三面314eと、を有している。
【0061】
ケース第一面314cは、ケース第二面314dよりも、Y軸プラス方向(第一方向の他方側)かつZ軸マイナス方向(第二方向の他方側)に配置される、XZ平面に平行かつX軸方向に延びる矩形状の平面(平坦面)である。つまり、ケース第一面314cは、ケース第二面314dよりもZ軸マイナス方向(第二方向の他方側)の、ケース第二面314dからY軸プラス方向(第一方向の他方側)に突出した位置に配置される。ケース第一面314cは、Y軸方向(第一方向)で蓄電ユニット10(スペーサ200)のユニット第一面211と対向して配置され、Y軸方向(第一方向)でユニット第一面211と接触する。具体的には、ケース第一面314cは、Y軸方向から見てユニット第一面211と同等の大きさに形成され、かつ、Z軸プラス方向の端縁がユニット第一面211のZ軸プラス方向の端縁と同じ位置に配置されており、ほぼ全面が、Y軸方向でユニット第一面211と面接触する。
【0062】
ケース第二面314dは、ケース第一面314cよりも、Y軸マイナス方向(第一方向の一方側)かつZ軸プラス方向(第二方向の一方側)に配置される、XZ平面に平行かつX軸方向に延びる矩形状の平面(平坦面)である。つまり、ケース第二面314dは、ケース第一面314cよりもZ軸プラス方向(第二方向の一方側)の、ケース第一面314cからY軸マイナス方向(第一方向の一方側)に凹んだ位置に配置される。ケース第二面314dは、Y軸方向(第一方向)で蓄電ユニット10(スペーサ200)のユニット第二面221と対向して配置され、かつ、ユニット第二面221と離間して配置される。具体的には、ケース第二面314dは、X軸方向においてはユニット第二面221と同等の長さに形成され、Z軸方向においてはユニット第二面221よりも短く形成され、かつ、Z軸マイナス方向の端縁がユニット第二面221のZ軸マイナス方向の端縁と同じ位置に配置されている。ケース第二面314dは、全面が、ユニット第二面221と離間して配置される。
【0063】
ケース第一面314c及びケース第二面314dは、Y軸方向(第一方向)から見て、蓄電素子100の容器110と重なる位置に配置される。ケース第二面314dは、Y軸方向(第一方向)から見て、蓄電素子100の容器110のZ軸方向(第二方向)における中央部と重なる位置に配置される。具体的には、ケース第一面314c及びケース第二面314dは、Y軸方向から見て容器110の長側面111と重なる位置に配置され、ケース第二面314dは、Y軸方向から見て容器110の長側面111のZ軸方向における中央部と重なる位置に配置される。蓄電素子100の容器110(の長側面111)のZ軸方向(第二方向)における中央部の定義は、上述の通りである。
【0064】
ケース第三面314eは、ケース第一面314cとケース第二面314dとの間に配置される、XY平面に平行かつX軸方向に延びる矩形状の平面(平坦面)である。ケース第三面314eは、ケース第一面314cのZ軸プラス方向端部(端縁)とケース第二面314dのZ軸マイナス方向端部(端縁)とに接続されて、ケース第一面314cとケース第二面314dとを繋ぐ。ケース第三面314eは、Y軸方向から見て、蓄電素子100の容器110(の長側面111)のZ軸方向における中心よりもZ軸マイナス方向寄りの位置と重なる位置に配置される。本実施の形態では、ケース第三面314eは、Y軸方向から見て、容器110(の長側面111)のZ軸方向(第二方向)における中央部と重なる位置に配置される。つまり、ケース第三面314eは、Y軸方向から見て、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)のZ軸方向における中央部と重なる位置に配置される。このように、ケース壁部314は、Z軸方向における中央部で凹んだ(または突出した)段差状(階段状)の壁である。
【0065】
ケース第三面314eは、Z軸方向(第二方向)で蓄電ユニット10(スペーサ200)のユニット第三面230と対向して配置され、かつ、Z軸方向(第二方向)でユニット第三面230と接触する。具体的には、ケース第三面314eは、X軸方向においてはユニット第三面230と同等の長さに形成され、Y軸方向においてはユニット第三面230よりも長く形成され、かつ、Y軸プラス方向の端縁がユニット第三面230のY軸プラス方向の端縁と同じ位置に配置されている。ケース第三面314eは、Y軸プラス方向の端縁からY軸方向中央部までに亘る面が、Z軸方向でユニット第三面230と面接触する。
【0066】
[1.3 蓄電装置1の製造方法の説明]
次に、蓄電装置1の製造方法のうち、蓄電ユニット10をケース300(ケース本体310)の内方に収容する工程(圧迫工程、挿入工程、回転工程及び解除工程等)を詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る蓄電装置1の製造方法のうちの圧迫工程を示す斜視図及び断面図である。図6の(a)は、蓄電ユニット10を圧迫する圧迫工程を示す斜視図である。図6の(b)は、図6の(a)の構成のX軸プラス方向の半分のY軸マイナス方向端部の部位を、VIb-VIb線を通りYZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示す断面図である。図7は、本実施の形態に係る蓄電装置1の製造方法のうちの挿入工程を示す斜視図及び断面図である。図7の(a)は、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する挿入工程を示す斜視図である。図7の(b)は、図7の(a)の構成のX軸プラス方向の半分のY軸マイナス方向端部の部位を、VIIb-VIIb線を通りYZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示す断面図である。
【0067】
図8は、本実施の形態に係る蓄電装置1の製造方法のうちの回転工程を示す斜視図である。図8の(a)は、蓄電ユニット10及びケース本体310を回転する前の状態を示し、図8の(b)は、蓄電ユニット10及びケース本体310を回転した後の状態を示している。図9は、本実施の形態に係る蓄電装置1の製造方法のうちの解除工程を示す断面図である。図9の(a)は、蓄電ユニット10の圧迫を解除する前の状態を示し、図9の(b)は、蓄電ユニット10の圧迫を解除した後の状態を示している。具体的には、図9の(a)は、図8の(b)の構成のX軸プラス方向の半分のY軸マイナス方向端部の部位を、IXa-IXa線を通りYZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示す断面図である。図9の(b)は、図9の(a)の状態から治具20を取り除いた場合の構成を示す断面図である。
【0068】
上述の通り、蓄電装置1のX軸プラス方向の半分とX軸マイナス方向の半分とは同様の構成を有し、蓄電装置1のY軸プラス方向端部とY軸マイナス方向端部とは同様の構成を有している。このため、図6の(b)、図7の(b)及び図9では、当該X軸プラス方向の半分のY軸マイナス方向端部の部位について図示し、以下の図6の(b)、図7の(b)及び図9に関する説明は、当該部位について行う。図6図7及び図8の(a)(回転工程における回転前)においては、蓄電装置1(蓄電ユニット10及びケース本体310)を基準に座標軸を設定しているため、上方がZ軸マイナス方向となっている。
【0069】
図6に示すように、圧迫工程においては、まず、Y軸方向(第一方向)に並ぶ複数の蓄電素子100を有する蓄電ユニット10を、台座である治具20上に配置する。具体的には、複数の蓄電素子100をY軸方向に積層し、Y軸方向両側から一対のスペーサ200で挟んで蓄電ユニット10を構成し、蓄電ユニット10を、端子140が治具20に向いた状態で治具20上に配置する。端子140と治具20とが接触して電気的に導通するのを避けるために、図6の(b)に示すように、端子140と治具20とが接触しないように端子140の周囲と治具20との間には隙間が形成されている。端子140と治具20との間に、図示しない絶縁部材を配置してもよい。この状態で、一対のスペーサ200をY軸方向で挟む位置に一対の圧迫部材21を配置し、一対の圧迫部材21を互いに近付く向きに移動させて、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)をY軸方向に圧迫(圧縮)する。図6の(b)に示すように、蓄電ユニット10のY軸マイナス方向(第一方向の一方側)に向く面のうちの、ユニット第一面211よりもZ軸プラス方向(第一方向と直交する第二方向の一方側)のユニット第二面221を、Y軸プラス方向(第一方向の他方側)に圧迫する。
【0070】
蓄電素子100は、容器110の内部に収容した電極体並びに電解液の量及び成分等に応じて、長側面111がY軸方向に向かって膨らんでいる場合がある。スペーサ200は、樹脂製である等により、弾性変形が可能な場合がある。圧迫工程では、蓄電ユニット10が有する複数の蓄電素子100の膨らみ分、または、スペーサ200の弾性変形可能な分が圧縮される。圧迫工程では、ケース本体310が有するY軸方向で向かい合う一対のケース壁部314のケース突出部314aの間の長さよりも、蓄電ユニット10をY軸方向に圧縮する。つまり、蓄電ユニット10を圧縮する前は、蓄電ユニット10のY軸方向の長さは、ケース突出部314aの間の長さよりも長い。そして、圧迫工程において、蓄電ユニット10のY軸方向の長さが、ケース突出部314aの間の長さよりも短くなるように、蓄電ユニット10をY軸方向に圧縮する。圧迫工程においては、蓄電素子100の容器110が圧縮されて変形してもよいし、容器110が変形して容器110内の電極体に荷重が加わってもよい。
【0071】
次に、挿入工程において、図7に示すように、ケース300が有する、Z軸プラス方向(第二方向の一方側)に開口310aが形成されたケース本体310に、蓄電ユニット10を挿入する。具体的には、圧迫工程の後、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)を圧縮した状態で(圧縮状態を維持したまま)、ケース本体310に挿入する(ケース本体310を被せる)。図7の(b)に示すように、挿入工程では、ケース壁部314のうちの、ケース第一面314cよりもZ軸プラス方向(第二方向の一方側)の、ケース第一面314cからY軸マイナス方向(第一方向の一方側)に凹んだ位置に配置されるケース第二面314dが、Y軸方向(第一方向)でユニット第二面221と対向するように、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する。この際、圧迫部材21は、蓄電ユニット10とともにケース本体310に挿入されて、ケース第二面314dとユニット第二面221との間に配置される。ケース第一面314cは、Y軸方向でユニット第一面211と対向する位置に配置され、ケース第三面314eは、Z軸方向でユニット第三面230と接触する。
【0072】
次に、回転工程において、挿入工程の後、図8の(a)に示すように、ケース本体310及び蓄電ユニット10を回転する。具体的には、ケース本体310上に固定用台座である治具30を配置して、蓄電ユニット10及びケース本体310を治具20と治具30とでZ軸方向で挟み込む。その後、図8の(b)に示すように、蓄電ユニット10及びケース本体310を、上下が逆になるように、180°回転する。Y軸方向に延びる回転軸を中心に180°回転してもよいし、X軸方向に延びる回転軸を中心に180°回転してもよい。
【0073】
次に、解除工程において、図9に示すように、治具20(圧迫部材21)を取り外すことにより、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)のY軸方向における圧迫を解除する。具体的には、回転工程の後、図8の(b)及び図9の(a)の状態から、一対の圧迫部材21を互いに遠ざかる向きに移動させて、一対の圧迫部材21の間の距離を広げることで、蓄電ユニット10(スペーサ200)のユニット第二面221の圧迫を解除する。図9の(a)では図示していないが、圧迫部材21とケース第二面314dとの間には、圧迫部材21をY軸マイナス方向に移動可能な隙間が設けられている。これによって、図9の(b)に示すように、蓄電ユニット10のY軸マイナス方向(第一方向の一方側)に配置されるケース壁部314のケース第一面314cに、ユニット第一面211をY軸方向(第一方向)で接触させる。解除工程では、圧縮された複数の蓄電素子100の膨らみまたはスペーサ200の弾性変形可能な分が戻り、その反力で蓄電ユニット10の圧縮状態が復元されて蓄電ユニット10がY軸方向に伸び、ケース本体310内に収容された状態となる。本実施の形態では、ケース300(ケース本体310)は金属ケースであるため、蓄電ユニット10の圧縮状態が復元された後でも、ケース本体310が蓄電ユニット10の復元力に対抗でき、ケース本体310が損傷するのを抑制できる。その後、蓄電ユニット10から、治具20(圧迫部材21)を取り外す。
【0074】
蓄電ユニット10がケース本体310に挿入された後(または、挿入される前)に、複数の蓄電素子100に対してバスバー及びバスバーフレーム等が配置される。そして、ケース本体310と蓋体320とが接合されて、蓄電ユニット10がケース300に収容され、蓄電装置1が製造される。本実施の形態では、蓄電ユニット10は、ケース本体310に接着剤等で接着されることなく、ケース本体310内に収容され保持されるが、蓄電ユニット10がケース本体310に接着剤等で接着されてもよい。
【0075】
[2 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、ケース本体310のケース壁部314が、蓄電ユニット10のユニット第一面211と接触するケース第一面314cよりもZ軸プラス方向(第二方向の一方側、開口310a側)の、ケース第一面314cから凹んだ位置に、蓄電ユニット10のユニット第二面221と対向するケース第二面314dを有している。このように、ユニット第二面221と対向するケース第二面314dがケース第一面314cから凹んだ位置に配置されるため、蓄電ユニット10のユニット第二面221を治具で掴んだ(圧迫した)状態で、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入できる構成である。特に、ケース第二面314dは、Y軸方向(第一方向、蓄電素子100の並び方向)から見て、蓄電素子100の容器110と重なる位置に配置される。これにより、Y軸方向(第一方向)から見て蓄電素子100の容器110と重なる位置に当該治具を配置できるため、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する際に、Y軸方向(第一方向)において蓄電ユニット10のユニット第二面221を治具で掴みやすい(圧迫しやすい)。したがって、蓄電ユニット10をケース本体310に容易に挿入できるため、蓄電装置1を容易に製造できる。
【0076】
特に、ユニット第二面221及びケース第二面314dがX軸方向に延びるため、X軸方向に長い治具(圧迫部材21)を蓄電ユニット10のユニット第二面221に配置できる。これにより、当該治具で蓄電ユニット10を強固に保持(圧迫)できる。治具がX軸方向に短い場合、当該治具が蓄電ユニット10のX軸方向の中心位置からずれて配置されてしまうと、蓄電ユニット10をバランスよく保持(圧迫)できない。このため、X軸方向に長い治具を蓄電ユニット10のユニット第二面221に配置することで、蓄電ユニット10をバランスよく保持(圧迫)できる。
【0077】
ケース本体310のケース壁部314のケース第二面314dが、Y軸方向(第一方向)から見て蓄電素子100の容器110の中央部と重なる位置に配置されることで、Y軸方向(第一方向)から見て蓄電素子100の容器110の中央部と重なる位置に治具を配置できる。これにより、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する際に、Y軸方向(第一方向、蓄電素子100の並び方向)において蓄電ユニット10のユニット第二面221を治具でさらに掴みやすい(圧迫しやすい)。
【0078】
特に、ケース壁部314は、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)よりも高さが低い(Z軸方向の長さが短い)ため、治具を蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)の中央部にまで挿入しやすい。
【0079】
ケース本体310のケース壁部314のケース第二面314dが、蓄電ユニット10のユニット第二面221と離間して配置されることで、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する際に、ケース第二面314dとユニット第二面221との間に治具を容易に挿入できる。
【0080】
蓄電ユニット10において、ユニット第二面221がユニット第一面211よりもY軸方向外側(第一方向の一方側)に配置されることで、ユニット第二面221を治具で掴む(圧迫する)際に、治具がユニット第一面211に接触するのを抑制できる。
【0081】
ケース本体310のケース壁部314が、Z軸方向(第二方向)で蓄電ユニット10のユニット第三面230と接触するケース第三面314eを有している。これにより、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する際に、Z軸方向(第二方向)において蓄電ユニット10をケース本体310に対して容易に位置決めできる。
【0082】
本実施の形態に係る蓄電装置1の製造方法によれば、蓄電ユニット10のユニット第二面221を圧迫し(圧迫工程)、ケース本体310に蓄電ユニット10を挿入する(挿入工程)。その後、ユニット第二面221の圧迫を解除して、ケース本体310のケース壁部314のケース第一面314cにユニット第一面211を接触させる(解除工程)。このように、蓄電ユニット10を圧迫してからケース本体310に挿入し、圧迫を解除することで、蓄電ユニット10をケース本体310に容易に挿入できるため、蓄電装置1を容易に製造できる。
【0083】
蓄電装置1の製造方法において、挿入工程では、ケース本体310のケース壁部314のうちの、ケース第一面314cよりもZ軸プラス方向(第二方向の一方側、開口310a側)の、ケース第一面314cから凹んだ位置のケース第二面314dが、ユニット第二面221と対向するように、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する。このように、ケース第一面314cから凹んだ位置のケース第二面314dがユニット第二面221と対向するように蓄電ユニット10をケース本体310に挿入することで、蓄電ユニット10のユニット第二面221を治具で圧迫した状態で、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入できる。したがって、蓄電ユニット10をケース本体310に容易に挿入できる。
【0084】
蓄電装置1の製造方法において、挿入工程の後にケース本体310及び蓄電ユニット10を回転することで、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入した状態で所望の向きに配置できる。
【0085】
[3 変形例の説明]
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1及びその製造方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であり、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0086】
上記実施の形態では、ケース本体310のケース壁部314において、ケース突出部314aは、ケース壁部本体314bに一体的に形成されることとしたが、ケース壁部本体314bとは別体で構成されてもよい。同様に、スペーサ200において、スペーサ突出部220は、スペーサ本体210に一体的に形成されることとしたが、スペーサ本体210とは別体で構成されてもよい。
【0087】
上記実施の形態において、ケース壁部314のケース突出部314a、及び、スペーサ200のスペーサ突出部220の形状は、上記には限定されない。ケース突出部314a及びスペーサ突出部220は、X軸方向に連続的に形成されておらず、複数の突出部がX軸方向に断続的に形成されていてもよいし、X軸方向に長くなくてもよい。
【0088】
上記実施の形態において、スペーサ200は、蓄電素子100のX軸方向両側及びZ軸方向両側に壁部を有することで、蓄電素子100を保持し、蓄電素子100の位置決めを行うホルダ(エンドホルダ)でもよい。
【0089】
上記実施の形態において、全ての蓄電ユニット10が有する全てのスペーサ200及びケース壁部314が上記の構成を有していることとしたが、いずれかのスペーサ200及びケース壁部314が上記の構成を有していなくてもよい。
【0090】
上記実施の形態では、一対のスペーサ200が、複数の蓄電素子100のY軸方向両側に配置されるが、当該一対のスペーサ200のいずれか一方または双方が配置されない構成でもよい。スペーサ200が配置されない場合、蓄電ユニット10のうちのスペーサ200とは異なる部材(蓄電素子100等)に、ユニット第一面211、ユニット第二面221及びユニット第三面230が配置されてもよい。
【0091】
上記実施の形態では、ケース壁部314のケース第二面314dは、Y軸方向から見て、蓄電素子100の容器110のZ軸方向における中央部と重なる位置に配置されることとしたが、容器110のZ軸方向における端部としか重ならなくてもよい。ケース第二面314dは、Y軸方向から見て、容器110内に収容されている電極体(または、電極体のうちのY軸方向に向く面が平坦になっている部分(平坦部))と重なる位置に配置されることにしてもよい。
【0092】
上記実施の形態では、ケース壁部314のケース第二面314dは、蓄電ユニット10のユニット第二面221と離間して配置されることとしたが、ユニット第二面221に接触していてもよい。蓄電ユニット10がケース本体310に収容された後に、蓄電素子100が膨れる等により、ユニット第二面221がケース第二面314dに接触してもよい。ケース壁部314を治具で広げて蓄電ユニット10をケース本体310に挿入する等の構成の場合、挿入後にケース第二面314dが内側に戻ることでユニット第二面221に接触することにしてもよい。
【0093】
上記実施の形態では、蓄電ユニット10のユニット第二面221は、ユニット第一面211よりもY軸方向外側に配置されることとしたが、Y軸方向において、ユニット第一面211と同じ位置、または、ユニット第一面211よりも内側に配置されてもよい。つまり、スペーサ200は、ユニット第三面230を有していなくてもよいし、Z軸プラス方向に向くユニット第三面230を有していてもよい。これにより、ユニット第二面221とケース第二面314dとの間の隙間を大きくできるため、ユニット第二面221とケース第二面314dとの間に治具を挿入しやすくなる。
【0094】
上記実施の形態では、ケース壁部314のケース第三面314eは、Z軸方向で蓄電ユニット10のユニット第三面230と接触することとしたが、Z軸方向から傾斜した方向でユニット第三面230と接触してもよい。ケース第三面314eは、ユニット第三面230と接触しなくてもよい。
【0095】
上記実施の形態では、ケース300は、ケース本体310と蓋体320とを有していることとしたが、蓋体320を有していなくてもよい。
【0096】
上記実施の形態において、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100及びスペーサ200を拘束する拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)等を備えていてもよい。
【0097】
上記実施の形態では、ケース300の内方に、X軸方向に並ぶ2つの蓄電ユニット10が収容されていることとしたが、X軸方向に並ぶ3つ以上の蓄電ユニット10が収容されていてもよいし、1つの蓄電ユニット10しか収容されていなくてもよい。ケース300の内方に、1つの蓄電ユニット10しか収容されない場合、ケース300は、ケース壁部313を有することなく、一対のケース壁部312を有することとなる。ケース300の内方に、Y軸方向に並ぶ複数の蓄電ユニット10が収容されていてもよい。ケース300に、複数の蓄電ユニット10が収容される場合、複数の蓄電ユニット10のそれぞれについて、上述の構成が設けられてもよいし、いずれかの蓄電ユニット10に対しては、上述の構成が設けられなくてもよい。
【0098】
上記実施の形態では、ケース壁部312、313及び314は、蓄電ユニット10(蓄電素子100及びスペーサ200)よりも高さが低い(Z軸方向の長さが短い)こととしたが、蓄電ユニット10よりも高さが高く(Z軸方向の長さが長く)てもよい。
【0099】
上記実施の形態では、蓄電装置1の製造方法において、上述した圧迫工程、挿入工程、回転工程及び解除工程を行って、蓄電ユニット10をケース本体310に収容することとしたが、これには限定されない。解除工程におけるユニット第二面221の圧迫を解除し、ケース第一面314cにユニット第一面211を接触させる工程は、挿入工程と回転工程との間に行ってもよい。回転工程を行わずに、解除工程を行うことで、蓄電ユニット10をケース本体310に収容してもよい。圧迫工程及び解除工程を行わずに、蓄電ユニット10をケース本体310に収容してもよい。蓄電ユニット10のユニット第二面221を圧迫(圧縮)することなく保持することで、蓄電ユニット10をケース本体310に挿入してもよい。つまり、圧迫工程及び解除工程を行わずに、蓄電ユニット10をケース本体310に収容してもよい。挿入工程において、ケース第一面314cから凹んだケース第二面314dは、ユニット第二面221と対向しない位置に配置されてもよいし、ケース第二面314dは、ケース第一面314cから凹むことなくユニット第二面221と対向して配置されてもよい。
【0100】
上記実施の形態では、回転工程において、ケース本体310上に治具30を配置して、蓄電ユニット10及びケース本体310を回転することとしたが、治具30を配置することなく蓄電ユニット10及びケース本体310を回転してもよい。この場合、挿入工程の後に解除工程を行い、その後に回転工程を行うことで、蓄電ユニット10がケース本体310に保持された状態で蓄電ユニット10及びケース本体310を回転できる。つまり、回転させる前に圧迫を解除することで、蓄電ユニット10からの反力によってケース本体310内で蓄電ユニット10が保持され、蓄電ユニット10及びケース本体310を回転させても蓄電ユニット10がケース本体310から離脱するのを抑制できる。圧迫を解除する前に回転する場合には、上述のケース本体310内での蓄電ユニット10の保持が期待できないため、蓄電ユニット10を、他の部材でX軸方向から支持したり角部を押さえて支持するなど、治具30以外の部材で支持してから回転するのが好ましい。蓄電ユニット10及びケース本体310を、治具20を取り外してから回転してもよい。
【0101】
上記実施の形態では、回転工程において、蓄電ユニット10及びケース本体310を、上下が逆になるように180°回転させて図8の(b)の状態にすることとしたが、これには限定されない。蓄電ユニット10及びケース本体310を、傾いた状態から回転させて図8の(b)の状態にしてもよいし、垂直に立った状態から90°回転させて図8の(b)の状態にしてもよいし、図8の(a)の状態から90°回転させて垂直に立った状態にしてもよい。その他、蓄電ユニット10及びケース本体310を、どのような状態からどのような状態に回転させてもよく、ユーザの所望の向きに配置できればよい。
【0102】
上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1 蓄電装置
10 蓄電ユニット
20、30 治具
21 圧迫部材
100 蓄電素子
110 容器
111 長側面
140 端子
200 スペーサ
210 スペーサ本体
211 ユニット第一面
220 スペーサ突出部
221 ユニット第二面
230 ユニット第三面
300 ケース
310 ケース本体
310a 開口
311 ケース底壁
312、313、314 ケース壁部
314a ケース突出部
314b ケース壁部本体
314c ケース第一面
314d ケース第二面
314e ケース第三面
320 蓋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9