(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068474
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】コーナー部材及びコーナー構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240513BHJP
E04C 2/30 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
E04F13/08 101Q
E04C2/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178968
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 清一
(72)【発明者】
【氏名】古河 春樹
【テーマコード(参考)】
2E110
2E162
【Fターム(参考)】
2E110AA02
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB27
2E110BC02
2E110BD02
2E110CA04
2E110CA07
2E110CA25
2E110CB02
2E110CC03
2E110CC06
2E110CC17
2E110DC12
2E110DD01
2E110EA01
2E110GA24X
2E110GA33W
2E110GB01W
2E110GB01X
2E110GB01Y
2E110GB16X
2E110GB26X
2E162CB08
2E162DA06
2E162FA16
2E162GA02
2E162GB00
2E162GB03
(57)【要約】
【課題】一対の金属外皮を有するサンドイッチパネルで建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすいコーナー部材及びコーナー構造を提供する。
【解決手段】コーナー部材1は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に芯材4を挟んだ2枚のサンドイッチパネル5,5の間に配置されて、2枚のサンドイッチパネル5,5と共に建築物の外壁のコーナー部分を形成する。コーナー部材1は、屋外側に露出する本体部6と、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定されて、本体部6を支持する支持部7と、を備える。本体部6及び支持部7は、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。コーナー構造100は、2枚のサンドイッチパネル5,5と、コーナー部材1とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する金属製の屋外側外皮と屋内側外皮の間に芯材を挟んだ2枚のサンドイッチパネルの間に配置されて、前記2枚のサンドイッチパネルと共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材であって、
屋外側に露出する本体部と、
前記2枚のサンドイッチパネルのうちの少なくとも一方のサンドイッチパネルの前記屋外側外皮に固定されて、前記本体部を支持する支持部と、を備え、
前記本体部及び前記支持部は、前記2枚のサンドイッチパネルの前記屋内側外皮に対して非接触に設けられる、
コーナー部材。
【請求項2】
前記本体部は、自身の長さ方向に対して直交する断面形状が中空のL字状である、
請求項1に記載のコーナー部材。
【請求項3】
前記本体部は、外側の角と内側の角とをつなぐ連結壁を有する、
請求項2に記載のコーナー部材。
【請求項4】
前記本体部と前記支持部との間に配置される耐火部を更に備える、
請求項1に記載のコーナー部材。
【請求項5】
前記耐火部は、耐火フェルトと、石膏ボードと、を有し、
前記石膏ボードは、前記支持部に接している、
請求項4に記載のコーナー部材。
【請求項6】
前記支持部は、前記本体部の長さ方向に並び、前記本体部に固定された複数のパーツを有する、
請求項1に記載のコーナー部材。
【請求項7】
前記コーナー部材は、前記外壁の出隅を形成する出隅部材である、
請求項1に記載のコーナー部材。
【請求項8】
互いに対向する金属製の屋外側外皮と屋内側外皮の間に芯材を挟んだ2枚のサンドイッチパネルと、
前記2枚のサンドイッチパネルの間に配置されて、前記2枚のサンドイッチパネルと共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材と、を備え、
前記コーナー部材は、
屋外側に露出する本体部と、
前記2枚のサンドイッチパネルのうちの少なくとも一方のサンドイッチパネルの前記屋外側外皮に固定されて、前記本体部を支持する支持部と、を備え、
前記本体部及び前記支持部は、前記2枚のサンドイッチパネルの前記屋内側外皮に対して非接触に設けられる、
コーナー構造。
【請求項9】
前記支持部は、断熱材を介して前記屋外側外皮に固定されている、
請求項8に記載のコーナー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コーナー部材及びコーナー構造に関し、詳しくは、2枚のサンドイッチパネルと共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材及びコーナー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物の外壁をサイディング材で施工する際に、その出隅部分に取り付けられて、サイディング材の側端部を隠蔽する出隅材が、記載されている。
【0003】
出隅材は、金属製であり、サイディング材の側端部を、サイディング材の厚み方向の両側から挟むように、サイディング材に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネルで建築物の外壁を施工する際に、その出隅部分に特許文献1に記載の出隅材を取り付けると、下記の問題が起こるおそれがある。
【0006】
すなわち、外気温によってサンドイッチパネルの屋外側の金属外皮が冷やされると、金属製の出隅材を介して、屋外側の金属外皮と屋内側の金属外皮との間で熱が移動して、屋内側の金属外皮の表面に結露が生じる等の不具合が起こる。
【0007】
そのため、特許文献1に記載の出隅材は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネルで建築物の外壁を施工する際には適さない。
【0008】
上記事情に鑑みて、本開示は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネルで建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすいコーナー部材及びコーナー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るコーナー部材は、互いに対向する金属製の屋外側外皮と屋内側外皮の間に芯材を挟んだ2枚のサンドイッチパネルの間に配置されて、前記2枚のサンドイッチパネルと共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材である。このコーナー部材は、屋外側に露出する本体部と、前記2枚のサンドイッチパネルのうちの少なくとも一方のサンドイッチパネルの前記屋外側外皮に固定されて、前記本体部を支持する支持部と、を備える。前記本体部及び前記支持部は、前記2枚のサンドイッチパネルの前記屋内側外皮に対して非接触に設けられる。
【0010】
また、本開示の一態様に係るコーナー構造は、互いに対向する金属製の屋外側外皮と屋内側外皮の間に芯材を挟んだ2枚のサンドイッチパネルと、前記2枚のサンドイッチパネルの間に配置されて、前記2枚のサンドイッチパネルと共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材と、を備える。前記コーナー部材は、屋外側に露出する本体部と、前記2枚のサンドイッチパネルのうちの少なくとも一方のサンドイッチパネルの前記屋外側外皮に固定されて、前記本体部を支持する支持部と、前記本体部と前記支持部との間に配置される耐火部と、を備える。前記本体部及び前記支持部は、前記2枚のサンドイッチパネルの前記屋内側外皮に対して非接触に設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係るコーナー部材及びコーナー構造は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネルで建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1のコーナー部材を備えるコーナー構造を示す平面図である。
【
図2】
図2は、同上のコーナー部材を分解して示す平面図である。
【
図3】
図3は、同上のコーナー部材を組み立てた状態を示す平面図である。
【
図4】
図4Aは、同上のコーナー部材が有する固定部材を示す平面図であり、
図4Bは、同上の固定部材を示す正面図であり、
図4Cは、同上の固定部材を示す側面図である。
【
図5】
図5Aは、同上のコーナー部材が有する受け材を示す側面図であり、
図5Bは、同上の受け材を示す平面図であり、
図5Cは、同上の受け材を示す背面図である。
【
図6】
図6Aは、同上の受け材をコーナー部材に取り付けた状態を概略的に示す平面図であり、
図6Bは、
図6AのA-A線における断面図である。
【
図7】
図7A~Cは、同上のコーナー部材の本体部の変形例1~3を示す平面図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態2のコーナー部材及びコーナー構造を示す平面図である。
【
図9】
図9は、同上のコーナー部材が有する支持部を分解して示す平面図である。
【
図10】
図10Aは、同上のコーナー部材が有する固定部材を示す側面図であり、
図10Bは、同上の固定部材を示す平面図である。
【
図11】
図11は、同上のコーナー構造を組み立てる手順を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
1.概要
図1、
図2に示す実施形態1のコーナー部材1は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に芯材4を挟んだ2枚のサンドイッチパネル5,5の間に配置されて、2枚のサンドイッチパネル5,5と共に建築物の外壁のコーナー部分を形成する。このコーナー部材1は、屋外側に露出する本体部6と、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定されて、本体部6を支持する支持部7と、本体部6と支持部7との間に配置される耐火部8と、を備える。本体部6及び支持部7は、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。ここで、本開示において非接触とは、熱的に非接触であることを意味し、本体部6及び支持部7と屋内側外皮3とが離れて位置するものに加えて、断熱材を間に挟んだ状態で間接的に接触するものも非接触に含まれる。
【0014】
また、
図1に示す実施形態1のコーナー構造100は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に芯材4を挟んだ2枚のサンドイッチパネル5,5と、2枚のサンドイッチパネル5,5の間に配置されて、2枚のサンドイッチパネル5,5と共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材1と、を備える。コーナー部材1は、屋外側に露出する本体部6と、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定されて、本体部6を支持する支持部7と、本体部6と支持部7との間に配置される耐火部8と、を備える。本体部6及び支持部7は、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。
【0015】
上記構成を備える実施形態1のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1の本体部6と支持部7が、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定され、屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。そのため、実施形態1のコーナー部材1及びコーナー構造100では、外気温によってサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2が冷やされても、コーナー部材1を介して屋外側外皮2と屋内側外皮3との間で熱が移動することを防ぐことができて、屋内側外皮3の表面に結露が生じる等の不具合が起こることを抑制することができる。したがって、実施形態1のコーナー部材1及びコーナー構造100は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネル5で建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすい。
【0016】
2.詳細
続いて、
図1及び
図2に示す本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100について更に詳しく説明する。コーナー構造100は、2枚のサンドイッチパネル5と、2枚のサンドイッチパネル5と共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材1と、を備える。本実施形態では、コーナー部材1は、建築物の外壁の出隅を形成する出隅部材であり、コーナー構造100は、建築物の外壁の出隅を形成する出隅構造である。
【0017】
以下では、
図1に示す出隅を形成した状態を基準として、
図1に示す前後左右方向及びこの前後左右方向に対して直交する上下方向を用いて、コーナー部材1及びコーナー構造100について説明する。まず、2枚のサンドイッチパネル5について説明する。
【0018】
2-1.サンドイッチパネル
図1に示す2枚のサンドイッチパネル5は、互いに同じ構造である。サンドイッチパネル5は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に芯材4を挟んだ平板状のパネルである。サンドイッチパネル5は、例えばビル等の建物の外壁として用いられる。以下では、2枚のサンドイッチパネル5のうち、後側に位置するサンドイッチパネル5について詳しく説明する。
【0019】
サンドイッチパネル5は、例えば、長さ(上下方向の長さ)が、0.5~6.0mであり、幅(左右方向の長さ)が、0.2~1.5mであり、厚み(前後方向の長さ)が、50~150mmである。
【0020】
芯材4は、その全体形状が、矩形の板状である。全体形状が板状とは、1枚の板に限らず、複数の部材を1枚の板をなすように並べたものも含まれる。芯材4は、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等でブロック状に固めた複数のブロック体を1枚の矩形板状に並べたものである。芯材4は、断熱性を有する。なお、芯材4は、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の発泡系の有機材で形成されてもよいし、スチレンボード、ウレタンボード等であってもよい。
【0021】
芯材4は、幅方向(左右方向)の側面に凹条部40を有している。凹条部40は、芯材4の左右の側面の前後方向の略中央部に上下方向の全長にわたって位置する。なお、芯材4の上下の側面は、凹条部40を有しておらず、フラットに設けられている。
【0022】
屋外側外皮2と屋内側外皮3のそれぞれは、金属板をロール加工やプレス加工などにより所望の形状に成形することによって得られる。金属板は、例えば、厚みが0.23~6.0mmである。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これらに限定されない。
【0023】
屋外側外皮2は、前側に向けて開口した矩形の箱状である。屋外側外皮2は、芯材4の後面(屋外側面)を覆う矩形板状の本体部20と、芯材4の4つの側面に沿う4つの側壁部21と、を有する。4つの側壁部21は、芯材4の上下の側面(つまり上面と下面)を覆う壁部21aと、芯材4の左右の側面のうち凹条部40よりも後側の部分を覆う左右の壁部21bと、を有する。
【0024】
上下の壁部21aは、本体部20の上下の縁から前側に略直角に突出し、左右の壁部21bは、本体部20の左右の縁から前側に略直角に突出している。上下の壁部21aのそれぞれは、矩形の平板状である。左右の壁部21bのそれぞれは、矩形の平板部210と、平板部210の前端から左右方向外側に略直角に突出した矩形板状の突出部211と、を有する。
【0025】
屋内側外皮3は、芯材4の前面(屋内側面)を覆う矩形板状の本体部30と、芯材4の左右の側面のうち凹条部40よりも前側の部分を覆う左右の側壁部31と、を有する。左右の側壁部31は、本体部30の左右の縁から後側に突出している。なお、屋内側外皮3は、芯材4の上下の側面を覆う部分を有していない。
【0026】
左右の側壁部31のそれぞれは、本体部30の左右の縁から左右方向外側に平面視U字状に湾曲した湾曲部310と、湾曲部310の後端部から後側に突出した矩形状の平板部311と、を有する。
【0027】
外皮2,3のそれぞれは、本体部20,30が芯材4の前後の面に接着されて、芯材4と一体化している。
【0028】
サンドイッチパネル5は、屋外側外皮2の上下の壁部21aの前端部に取り付けられて、壁部21aと別部材(例えば取付金具10)との間での熱の移動を抑制する断熱縁材9を更に備える。
【0029】
断熱縁材9は、金属製の縁材本体を、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の断熱材と、ブチルテープ等の接着部材とで挟んだ三層構造である。断熱縁材9は、接着部材を介して壁部21aに取り付けられており、断熱材が断熱縁材9の外面を構成している。取付金具10は、サンドイッチパネル5を建築物の躯体に取り付けるための部材である。
【0030】
以上説明したサンドイッチパネル5は、例えば、2枚のサンドイッチパネル5が、コーナー部材1を間に挟んだ状態で、直角な出隅を形成するように、配置される。2枚のサンドイッチパネル5は、2枚のサンドイッチパネル5のうちの一方にコーナー部材1が取り付けられた状態で、建築物の外壁の出隅に配置され、その後、他方のサンドイッチパネル5が配置されて、他方のサンドイッチパネル5とコーナー部材1とが固定される。なお、出隅の形状は、直角に限定されない。
【0031】
2-2.コーナー部材
続いて、
図1、
図2に示すコーナー部材1について説明する。コーナー部材1は、屋外側に露出する本体部6と、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2に固定されて、本体部6を支持する支持部7と、本体部6と支持部7との間に配置される耐火部8と、を備える。コーナー部材1は更に、本体部6の長さ方向の両端部に取り付けられる一対の蓋11と、支持部7をサンドイッチパネルの屋外側外皮2に固定する固定部材12と、本体部6の上下方向の端部に取り付けられる受け材14と、を備える。
【0032】
本体部6は、自身の長さ方向に対して直交する断面形状が中空のL字状である。本体部6は、2枚のサンドイッチパネル5,5と長さが同じである。本体部6は、金属製であり、より詳しくは、アルミニウム製である。本体部6は、長さ方向の全長にわたって断面形状が一定である。本実施形態では、本体部6は、アルミニウム形材であり、加熱されたアルミニウム合金を、金型に通して押し出すことにより、成形される押出形材である。
【0033】
本体部6は、L字状に連続した一対の屋外側壁60,60と、L字状に連続した一対の屋内側壁61,61と、一対の屋外側壁60,60が連続する角部分と一対の屋内側壁61,61が連続する角部分とをつなぐ連結壁62と、を有する。本体部6は更に、一対の屋外側壁60,60の連続する側とは反対側の端部と一対の屋内側壁61,61の連続する側とは反対側の端部とをつなぐ一対の側壁63,63を有する。本体部6は更に、蓋11を固定するビスを受ける複数の受け部64と、耐火部8を押さえる複数の押さえ部65と、支持部7が固定される固定部66と、支持部7が係止される係止部67と、を有する。
【0034】
本体部6を構成する各壁60~63のそれぞれは、平板状である。一対の屋外側壁60,60と一対の屋内側壁61,61は、互いに平行であり、間隔をおいて位置する。一対の屋外側壁60,60の幅方向の長さは、互いに同じである。一対の屋内側壁61,61の幅方向の長さは、互いに同じである。
【0035】
一対の屋外側壁60,60は、直角に連続している。一対の屋外側壁60,60でなす屋外側の角は、先が尖った角であり、いわゆるピン角である。一対の屋内側壁61,61は、直角に連続している。なお、一対の屋外側壁60,60は、直角以外の角度(例えば、45°や60°)で連続してもよい。
【0036】
一対の側壁63,63のそれぞれの幅方向の中央部の外面(本体部6の内側の空間とは反対側を向く面)には、本体部6の屋外側の面を塗装する際の塗装範囲を示す凹み630が設けられている。一対の屋外側壁60,60の屋外側を向く面と、一対の側壁63,63の外面のうち、凹み630よりも屋外側の部分には、フッ素樹脂が塗装されている。
【0037】
複数の受け部64のそれぞれは、本体部6の内側の空間に向けて突出しており、C字状に設けられている。本実施形態では、一対の屋外側壁60,60のそれぞれの幅方向の一部と、屋外側壁60と側壁63の連続する角部分と、屋内側壁61と側壁63の連続する角部分とのそれぞれに、受け部64が設けられている。
【0038】
複数の押さえ部65のそれぞれは、一対の屋内側壁61のそれぞれから、本体部6の外側に向けて突出している。本実施形態では、一対の屋内側壁61のそれぞれの幅方向の中央部と端部から、押さえ部65が直角に突出している。屋内側壁61の幅方向の端部から突出する押さえ部65は、対応する側壁63に対して直線状に並んでいる。
【0039】
固定部66は、一対の屋内側壁61,61のうちの一方の幅方向の端部から本体部6の外側に向けて突出している。固定部66は、一方の屋内側壁61に対して直線状に並んでいる。固定部66の屋外側の面には、ビス等の固定具13(
図1参照)の挿入位置を示す凹部660が設けられている。
【0040】
係止部67は、本実施形態では、一対の係止片670,671で構成されている。一方の係止片670は、一対の屋内側壁61,61のうちの一方の幅方向の端部から本体部6の外側に向けて突出している。係止片670は、一方の屋内側壁61に対して直線状に並んでいる。他方の係止片671は、屋内側壁61の幅方向の端部から突出した押さえ部65から係止片670に対して平行に突出している。係止片671は、係止片670よりも突出長さが短い。一対の係止片670,671の間には、差込溝672が形成されている。
【0041】
支持部7は、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2に固定されて、本体部6を支持する部分である。本実施形態では、支持部7は、本体部6の長さ方向(上下方向)に並ぶ複数のパーツ70を有する。複数のパーツ70のそれぞれは、本体部6よりも2枚のサンドイッチパネル5,5側に突出した一対の中空部71を有する。
【0042】
複数のパーツ70は、互いに同じ構造である。各パーツ70の上下方向の長さは、例えば、本体部6の上下方向の長さの半分である。この場合、支持部7は、2つのパーツ70で構成される。パーツ70は、金属製であり、例えば、1.6mm厚のメッキ鋼板を折り曲げて形成される。支持部7は、本体部6を支持する機能に加えて、遮炎性を有する。
【0043】
本実施形態では、パーツ70は、角をなして連続する複数の部分700~707で構成されている。複数の部分700~707は、隣接する2つの部分同士が90度の角度をなして連続している。部分701~706は、3段の階段状に連続している。
【0044】
部分700は、本体部6の固定部66への固定に用いられる固定片である。部分702は、部分700に対向しており、部分700に対して平行である。部分700,701,702は、一対の中空部71のうちの一方を構成している。
【0045】
部分703,704は、一対の屋内側壁61,61に対向している。部分703,704は、耐火部8の一部(後述する石膏ボード81)を収容する収容スペースを形成している。
【0046】
部分705は、部分707に対向しており、部分707に対して平行である。部分707は、本体部6の係止部67との係止に用いられる係止片である。部分705,706,707は、一対の中空部71のうちの他方を構成している。
【0047】
支持部7は、複数のパーツ70の部分707(係止片)を、本体部6の係止部67の差込溝672に差し込むことで、支持部7の一端部が本体部6に係止される。支持部7は、複数のパーツ70の部分700(固定片)を、本体部6の固定部66の屋内側に重ねて、固定部66の凹み660にビス等の固定具13を打ち込むことで、支持部7の他端部が本体部6に固定される。
【0048】
図1、
図2に示す耐火部8は、コーナー部材1に耐火性を持たせるための部材である。本実施形態では、耐火部8は、耐火フェルト80と、石膏ボード81と、を有する。石膏ボード81は、支持部7に接している。耐火部8は、一対の中空部71の内側に配置される部分を含む。
【0049】
耐火フェルト80は、支持部7の一対の中空部71のうちの一方から他方にわたるように、支持部7の内側にL字状に折り曲げて配置される。耐火フェルト80は、本体部6の屋内側に、本体部6の長さ方向(上下方向)の全長にわたるように配置される。なお、耐火フェルト80は、1つの部材で構成されてもよいし、上下方向に並ぶ複数の部材で構成されてもよい。複数の部材で構成される場合、上下に並ぶ部材同士は、隣接する上下方向の端面同士が突き合わさるように隙間無く配置される。
【0050】
耐火フェルト80は、本体部6の複数の押さえ部65によって押されて、本体部6の一対の屋内側壁61から離れて位置する。耐火フェルト80と一対の屋内側壁61との間には、空気層からなる断熱層が形成される。
【0051】
耐火フェルト80の屋内側に、石膏ボード81が配置されている。石膏ボード81は、例えば、強化石膏ボードである。石膏ボード81は、上下方向に延びた角棒状である。石膏ボード81には、結晶水が含まれる。石膏ボード81は、支持部7の屋外側に支持部7の長さ方向の全長にわたるように配置される。石膏ボード81は、例えば、上下に並んだ複数のパーツで構成されている。複数のパーツ間の隙間は、その屋外側に位置する耐火フェルト80によって覆われる。
【0052】
本実施形態では、石膏ボード81は、支持部7の部分703,704で囲まれた収容スペースに配置される。石膏ボード81は、部分703と部分704のそれぞれに接する。石膏ボード81は、本実施形態では、ビス等の固定具16によって部分704に固定されている。
【0053】
一対の蓋11のそれぞれは、本体部6の長さ方向の端部に取り付けられて、本体部6の長さ方向の端部の開口を塞ぐ。一対の蓋11のそれぞれは、例えば、アルミ板を加工したプレートで形成される。一対の蓋11のそれぞれは、本体部6と同様の外観を有し、例えば、表面にアルマイト処理又はフッ素焼付塗装がされている。一対の蓋11のそれぞれは、例えば、平面視L字状に設けられる。一対の蓋11のそれぞれには、排水用の一対の排水孔110が設けられている(
図1、
図7B参照)。一対の蓋11のそれぞれは、ビス等の固定具(図示せず)を、蓋11を通じて本体部6の受け部64まで打ち込むことで、本体部6に対して固定される。
【0054】
固定部材12は、支持部7をサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定するための部材である。支持部7は、1つのサンドイッチパネル5に対して、上下一対の固定部材12を用いて固定される。支持部7は、上下一対の固定部材12によって、支持部7の上下の端部が、サンドイッチパネル5の屋外側外皮2の上下の壁部21aに対して固定される。そのため、支持部7は、2組の上下一対の固定部材12によって、2枚のサンドイッチパネル5に固定される。
【0055】
上下一対の固定部材12は、互いに同じ構造である。以下では、右側の組の上側の固定部材12について説明する。
【0056】
固定部材12は、
図4A~Cに示すように、正面視にてL字状である。固定部材12は、横片部120と、横片部120の一端から直角に延びた縦片部121と、を有する。
【0057】
横片部120には、一対の挿通孔122が設けられており、縦片部121には、一対の挿通孔123が設けられている。縦片部121は、
図1に示すように、支持部7の部分701に対して、ビス等の固定具17で固定される。横片部120は、サンドイッチパネル5の屋外側外皮2の上側の壁部21aの上の断熱縁材9の上に載せられて、ビス等の固定具18で、上側の壁部21aに対して固定される。横片部120の固定は、縦片部121の固定の後に行われる。
【0058】
左側の組の上側の固定部材12は、縦片部121が、支持部7の部分706に対して、固定具17で固定される。右側の組の下側の固定部材12は、縦片部121が、支持部7の部分701に固定具17で固定され、横片部120が、サンドイッチパネル5の屋外側外皮2の下側の壁部21a上の断熱縁材9に載せられて、固定具18で、下側の壁部21aに対して固定される。左側の組の下側の固定部材12は、縦片部121が、支持部7の部分706に固定具17で固定され、横片部120が、固定具18でサンドイッチパネル5の下側の壁部21aに対して固定される。
【0059】
受け材14は、蓋11を伝って屋内側へと流れる水を止める部材である。受け材14は、
図5A~C及び
図6A,Bに示すように、本体部6の一対の屋内側壁61,61に沿う平面視L字状の一対の縦片部140,140を有する。一対の縦片部140,140のそれぞれには、一対の屋内側壁61,61の幅方向の中央部から突出した押さえ部65が収まる切欠き141と、縦片部140を厚み方向に貫通する固定孔142が設けられている。
【0060】
コーナー部材1は、上下一対の受け材14を備える。上下一対の受け材14は、互いに同じ構造である。上側の受け材14と下側の受け材14とは、上下方向において向きが逆である。
【0061】
受け材14は、本体部6の屋内側壁61の上下の端部にそれぞれビス等の固定具19で取り付けられる。本体部6の屋内側壁61の上端部に取り付けられた受け材14は、一対の縦片部140,140の上部が上側の蓋11の上面よりも上方に位置する。本体部6の屋内側壁61の下端部に取り付けられた受け材14は、一対の縦片部140,140の下部が下側の蓋11の下面よりも下方に位置する。これにより、上側の蓋11の上面を伝って屋内側に流れる水を上側の受け材14で止めることができ、また、下側の蓋11の下面を伝って屋内側に流れる水を下側の受け材14で止めることができる。また、コーナー部材1を上下に2つ並べて配置した際には、上下に並ぶコーナー部材1の間に配置される目地材のバッカーを受ける受け材としても、受け材14は機能する。
【0062】
以上説明した本実施形態のコーナー部材1は、
図1に示すコーナー構造100のように、2枚のサンドイッチパネル5,5と共に、建築物の外壁のコーナー部分(出隅)を形成する。
【0063】
コーナー構造100では、2組の上下一対の固定部材12を介して、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2の上下の壁部21aに対してコーナー部材1が固定されている。コーナー部材1の本体部6と支持部7は、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触となっている。
【0064】
コーナー部材1の一対の屋外側壁60,60は、2枚のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2の本体部20に対して、略面一に配置されている。コーナー部材1の支持部7の一対の中空部71は、2枚のサンドイッチパネル5の芯材4の凹条部40内に入り込んでいる。
【0065】
コーナー部材1の本体部6の側壁63とこれに対向するサンドイッチパネル5の壁部21bとの間の目地には、バッカーとその屋外側に充填されたシール材とが、2重に配置されている。奥側のバッカーは、コーナー部材1の支持部7の一対の中空部71によって受けられている。コーナー部材1の本体部6と2枚のサンドイッチパネル5、5との間の目地の屋内側には、コーナー部材1の支持部7の一対の中空部71とその内側に配置された耐火部8の耐火フェルト80とが位置している。
【0066】
3.作用効果
以上説明した本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1の本体部6と支持部7が、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2に固定され、屋内側外皮3に対して非接触である。そのため、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、外気温によってサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2が冷やされても、コーナー部材1を介して屋外側外皮2と屋内側外皮3との間で熱が移動することを防ぐことができて、屋内側外皮3の表面に結露が生じる等の不具合が起こることを抑制することができる。したがって、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネル5で建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすい。
【0067】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1の本体部6と支持部7の間に耐火部8を有するため、2枚のサンドイッチパネル5,5の間の部分での耐火性も確保しやすくなっている。
【0068】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、支持部7が本体部6よりも2枚のサンドイッチパネル5,5側へと突出した中空部71とその内側に位置する耐火部8(詳しくは耐火フェルト80)を有する。そのため、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、本体部6と2枚のサンドイッチパネル5,5との間の目地における耐火性も確保しやすい。
【0069】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、本体部6は、自身の長さ方向に対して直交する断面形状が中空のL字状であり、本体部6の外側の角と内側の角をつなぐ連結壁62を有する。そのため、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、本体部6が熱伸びして外観が悪化することを抑制することができ、また、成形時の本体部6の型崩れを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1の本体部6がアルミ形材であるため、サンドイッチパネル5が長尺であっても、サンドイッチパネル5の長さに合わせて本体部6を製造しやすい。また、コーナー部材1の本体部6がアルミ形材であることで、本体部6の軽量化が図れて、支持部7によって支持しやすい。
【0071】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、固定部材12が断熱縁材9の断熱材の上に重なっているため、サンドイッチパネル5の屋外側外皮2とコーナー部材1との間での熱の移動を抑えやすい。
【0072】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1を、本体部6と支持部7と耐火部8の組み合わせで構成している。そのため、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、サンドイッチパネル5をコーナー形状に製造する場合に比べて、コーナー部分の製造が容易に行え、また製造コストを抑えることができる。
【0073】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1は2枚のサンドイッチパネル5に直接取り付けることで設置できるため、2枚のサンドイッチパネル5の間に、コーナー部材1を取り付けるための躯体が不要である。
【0074】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1は2枚のサンドイッチパネル5のうちの一方に取り付けた状態で、施工箇所に配置できるため、コーナー部材1の設置が容易に行える。
【0075】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、本体部6をアルミ形材としたことで、本体部6の屋外側を向く角部分を先の尖ったピン角で製造でき、また、様々な形状へと変更しやすい。
【0076】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、支持部7に石膏ボード81が接しているため、コーナー部材1の屋外側で火災が起こった際に、石膏ボード81中の水分が蒸発する。そのため、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、支持部7の屋内側の面である非加熱面の温度上昇を抑えることができる。
【0077】
また、本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100では、支持部7を、複数のパーツ70で構成することで、本体部6が熱伸びした際に、複数のパーツ70が追従するため、支持部7を1つの部材で形成する場合に比べて、支持部7による本体部6の支持を維持しやすい。
【0078】
4.変形例
以上説明した本実施形態のコーナー部材1及びコーナー構造100の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0079】
サンドイッチパネル5は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に芯材4を挟んだものであればよく、上述した構造に限定されない。
【0080】
本体部6は、
図1及び
図2に示す構造に限定されない。例えば、本体部6は、
図8Aに示す変形例1のように、屋外側の角部分に、屋内側に向けて凹んだ凹部68を有してもよい。また、本体部6は、
図8Bに示す変形例2のように、一対の屋外側壁60,60が角をなさずに円弧状に連続してもよい。また、本体部6は、
図8Cに示す変形例3のように、一対の屋外側壁60,60のうちの一方が他方よりも幅方向に長く、一対の屋内側壁61,61のうちの一方が他方よりも幅方向に長くてもよい。また、変形例3の本体部6は、上下反転させて用いてもよい。
【0081】
また、本体部6は、自身の長さ方向に対して直交する断面形状が中空のL字状に限らず、その他の断面形状であってもよい。本体部6の断面形状は、環状に連続した形状であることが好ましい。この場合、本体部6の熱伸びによる外観不良の発生を抑制することができる。
【0082】
また、本体部6は、外側の角と内側の角とをつなぐ連結壁62を有さなくてもよい。
【0083】
また、支持部7は、複数のパーツ70,70を有するものに限らず、1つの部材で構成されてもよい。
【0084】
また、コーナー構造100は、サンドイッチパネル5と同様の耐火性を有する必要がない場合には、耐火部8を備えなくてもよい。
【0085】
また、耐火部8は、耐火フェルト80と、石膏ボード81と、を有するものに限らず、耐火フェルト80のみで構成されてもよいし、必要な耐火性を確保可能な他の材料で構成されてもよい。
【0086】
また、コーナー部材1は、建築物の外壁の出隅を形成する出隅部材に限らず、建築物の外壁の入隅を形成する入隅部材であってもよい。
【0087】
また、一対の蓋11は、ビス等の固定具に限らず、溶着等によって、本体部6に固定されてもよい。同様に、固定部材12は、ビス等の固定具に限らず、溶着等によって、支持部7に固定されてもよい。また、固定部材12は、支持部7と一体に形成されてもよく、1枚のメッキ鋼板を折り曲げて形成してもよい。
【0088】
また、コーナー部材1は、受け材14を有さなくてもよい。
【0089】
また、支持部7を構成する複数のパーツ70のそれぞれは、1枚のメッキ鋼板を折り曲げて形成したものに限定されない。また、固定部材12は、
図4A~Cに示す構造に限定されない。
【0090】
(実施形態2)
続いて、
図8~11に示す実施形態2のコーナー部材1及びコーナー構造100について説明する。以下では、実施形態2のコーナー部材1及びコーナー構造100について、実施形態1と同様の構成については図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1と異なる構成については、詳しく説明する。
【0091】
本実施形態では、
図9に示すように、支持部7を構成する複数のパーツ70のそれぞれは、本体部72と、本体部72と組み合わされる複数の接続部73とを有する。本体部72は、平面視W字状の長尺な部材である。複数の接続部73のそれぞれは、平面視キャップ形状のピース部材であり、本体部72よりも上下方向に短い。複数の接続部73は、例えば、本体部72の上端部に取り付けられる一対の接続部73と、本体部72の下端部に取り付けられる一対の接続部73と、を含む。なお、複数の接続部73は、本体部72の上下の端部を除いた残りの部分に取り付けられる一対の接続部73を更に含んでも良い。
【0092】
本体部72は、実施形態1のパーツ70の部分702~705に対応する部分702a~705aを有する。一対の接続部73のうちの一方は、実施形態1のパーツ70の部分700~703に対応する部分700b~703bを有する。一対の接続部73のうちの他方は、実施形態1のパーツ70の部分704~707に対応する部分704c~707cを有する。
【0093】
本体部72と複数の接続部73のそれぞれは、鋼板を折り曲げて形成される。本実施形態では、本体部72を構成する鋼板は、複数の接続部73を構成する鋼板よりも厚みが大きい。例えば、本体部72を構成する鋼板の厚みは、複数の接続部73を構成する鋼板の厚みのおよそ2倍である。
【0094】
本体部72と一対の接続部73とは、組み合わせた状態において、
図2に示す支持部7と平面視において略同じ形状となる。本体部72と一対の接続部73とは、本体部72の部分702a,703aの屋内側に一方の接続部73の部分702b,703bが重なり、本体部72の部分704a,705aの屋内側に他方の接続部73の部分704c,705cが重なるように組み合わされる。
【0095】
本体部72と一対の接続部73とは、互いに重なり合う部分703a,703bと部分704a,704cをそれぞれ、ビス等の固定具16で固定することによって、一体化されてパーツ70を構成する。ここで、固定具16は、支持部7に石膏ボード81を固定する固定具16を兼ねている。
【0096】
一方の接続部73の部分700bが、本体部6の固定部66に固定具13で固定され、他方の接続部73の部分707cが、本体部6の係止部67に係止される。
【0097】
固定部材12は、本実施形態では、
図4A~Cに示す固定部材12と同形状の固定部材12aと、
図10A,Bに示す固定部材12bとを含む。固定部材12bは、サンドイッチパネル5の屋内側外皮3の本体部30の下端部に支持部7を固定する部材である。
【0098】
固定部材12bは、平板状の金属製の本体部124と、本体部124の厚み方向の一面に貼り付けられたシート状の断熱材125と、を有する。断熱材125は、例えば、ブチルテープ、又は、エチレンプロピレンゴム等のゴムである。断熱材125は、本体部124のうち、支持部7の部分703aに重ねられる部分に貼り付けられている。
【0099】
本体部124には、固定部材12bを支持部7に固定するビス等の固定具(図示せず)が挿通される複数の貫通孔126と、固定部材12bをサンドイッチパネル5に固定するビス等の固定具(図示せず)が挿通される複数の貫通孔127とが設けられている。本実施形態では、本体部124には、2つの貫通孔126と、4つの貫通孔127とが設けられている。2つの貫通孔126のそれぞれは、一方向(詳しくは上下方向)に延びた長孔である。4つの貫通孔127のそれぞれは、丸孔である。
【0100】
本実施形態では、
図8に示すように、コーナー部材1は、固定部材12aと固定部材12bを用いて一方(本実施形態では左側)のサンドイッチパネル5にのみ固定される。より詳しくは、固定部材12aは、実施形態1の固定部材12と同様に、一方のサンドイッチパネル5に固定される。すなわち、固定部材12aは、縦片部121が、支持部7の部分706cに対して、固定具17で固定される。そして、固定部材12aは、横片部120が、サンドイッチパネル5の屋外側外皮2の上側の壁部21aの上の断熱縁材9の上に載せられて、固定具18で上側の壁部21aに対して固定される。
【0101】
固定部材12bは、本体部124の一部が、断熱材125を介して支持部7の部分703aに重ねられて、固定具(図示せず)で固定される。そして、本体部124の他の一部が、サンドイッチパネル5の屋内側外皮3の本体部30に重ねられて、固定具(図示せず)で固定される。本体部124は、断熱材125を介して支持部7の部分703aに重ねられるため、支持部7に対して熱的に非接触である。これにより、コーナー部材1の本体部6及び支持部7は、サンドイッチパネル5の屋内側外皮3に対して非接触となっている。
【0102】
本実施形態のコーナー構造100では、
図11に示すように、コーナー部材1が固定された一方のサンドイッチパネル5に対して、他方のサンドイッチパネル5が接続される。他方のサンドイッチパネル5の芯材4の側面の凹条部40にコーナー部材1の支持部7の一部が挿入される。ここで、コーナー部材1は、他方のサンドイッチパネル5に対しては、固定部材12a,12bを介して固定されない。これにより、コーナー部材1は、他方のサンドイッチパネル5の屋内側外皮3に対して熱的に非接触に配置される。
【0103】
以上説明した実施形態2のコーナー部材1及びコーナー構造100においても、実施形態1のコーナー部材1及びコーナー構造100と同様の作用効果を奏することができる。
【0104】
実施形態2のコーナー部材1及びコーナー構造100では、コーナー部材1の本体部6と支持部7が、2枚のうち一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定され、屋内側外皮3に対して非接触である。そして、コーナー部材1の本体部6と支持部7が、2枚のうち他方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2と屋内側外皮3のそれぞれに対して非接触である。
【0105】
そのため、実施形態2のコーナー部材1及びコーナー構造100では、外気温によってサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2が冷やされても、コーナー部材1を介して屋外側外皮2と屋内側外皮3との間で熱が移動することを防ぐことができて、屋内側外皮3の表面に結露が生じる等の不具合が起こることを抑制することができる。したがって、実施形態2のコーナー部材1及びコーナー構造100は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネル5で建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすい。
【0106】
また、上述した実施形態2のコーナー部材1及びコーナー構造100は、実施形態1のコーナー部材1及びコーナー構造100の変形例を適宜採用可能である。
【0107】
また、実施形態1のコーナー構造100は、実施形態2のコーナー構造100と同様に、固定部材12a,12bを用いて、2つのサンドイッチパネル5のうちの一方に固定されてもよい。
【0108】
(まとめ)
以上説明した実施形態1,2及びその変形例のように、第一態様のコーナー部材1は、下記の構成を備える。
【0109】
すなわち、第一態様のコーナー部材1は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に芯材4を挟んだ2枚のサンドイッチパネル5,5の間に配置されて、2枚のサンドイッチパネル5,5と共に建築物の外壁のコーナー部分を形成する。コーナー部材1は、屋外側に露出する本体部6と、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定されて、本体部6を支持する支持部7と、を備える。本体部6及び支持部7は、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。
【0110】
上記構成を備える第一態様のコーナー部材1は、本体部6と支持部7が、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定され、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。そのため、第一態様のコーナー部材1では、外気温によってサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2が冷やされても、コーナー部材1を介して屋外側外皮2と屋内側外皮3との間で熱が移動することを防ぐことができて、屋内側外皮3の表面に結露が生じる等の不具合が起こることを抑制することができる。したがって、第一態様のコーナー部材1は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネル5で建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすい。
【0111】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第二態様のコーナー部材1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0112】
すなわち、第二態様のコーナー部材1では、本体部6は、自身の長さ方向に対して直交する断面形状が中空のL字状である。
【0113】
上記構成を備える第二態様のコーナー部材1では、本体部6の断面形状が中空のL字状であることで、本体部6が熱伸びして外観不良となることを抑えやすい。
【0114】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第三態様のコーナー部材1は、第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0115】
すなわち、第三態様のコーナー部材1は、本体部6は、外側の角と内側の角とをつなぐ連結壁62を有する。
【0116】
上記構成を備える第三態様のコーナー部材1では、断面形状が中空のL字状の本体部6が外側の角と内側の角をつなぐ連結壁62を有することで、本体部6が熱伸びして外観不良となることを更に抑えやすいうえ、本体部6の成形時の変形を抑えやすい。
【0117】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第四態様のコーナー部材1は、第一から第三のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0118】
すなわち、第四態様のコーナー部材1は、本体部6と支持部7との間に配置される耐火部8を更に備える。
【0119】
上記構成を備える第四態様のコーナー部材1では、本体部6と支持部7との間に耐火部8を備えることで、コーナー部材1の耐火性の向上を図りやすい。
【0120】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第五態様のコーナー部材1は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0121】
すなわち、第五態様のコーナー部材1は、耐火部8は、耐火フェルト80と、石膏ボード81と、を有する。石膏ボード81は、支持部7に接している。
【0122】
上記構成を備える第五態様のコーナー部材1では、コーナー部材1の屋外側で火災があった際に、石膏ボード81中に含まれる水分が蒸発することで、非加熱面を構成する支持部7の温度上昇を抑えることができる。
【0123】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第六態様のコーナー部材1は、第一から第五のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0124】
すなわち、第六態様のコーナー部材1では、支持部7は、本体部6の長さ方向に並び、本体部6に固定された複数のパーツ70,70を有する。
【0125】
上記構成を備える第六態様のコーナー部材1では、本体部6が熱によって長さ方向に収縮した際に、複数のパーツ70,70を追従させることができて、支持部7を1つの部材で形成する場合に比べて、支持部7による本体部6の支持を維持しやすい。
【0126】
また、実施形態1,2及びその変形例のように、第七態様のコーナー部材1は、第一から第六のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0127】
すなわち、第七態様のコーナー部材1は、前記外壁の出隅を形成する出隅部材である。
【0128】
上記構成を備える第七態様のコーナー部材1は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネル5で建築物の外壁を施工する際に、その出隅部材として用いやすい。
【0129】
また、実施形態1,2及びその変形例のように、第八態様のコーナー構造100は、下記の構成を備える。
【0130】
すなわち、第八態様のコーナー構造100は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に芯材4を挟んだ2枚のサンドイッチパネル5,5と、2枚のサンドイッチパネル5,5の間に配置されて、2枚のサンドイッチパネル5,5と共に建築物の外壁のコーナー部分を形成するコーナー部材1と、を備える。コーナー部材1は、屋外側に露出する本体部6と、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定されて、本体部6を支持する支持部7と、を備える。本体部6及び支持部7は、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。
【0131】
上記構成を備える第八態様のコーナー構造100では、コーナー部材1の本体部6と支持部7が、2枚のサンドイッチパネル5,5のうちの少なくとも一方のサンドイッチパネル5の屋外側外皮2に固定され、2枚のサンドイッチパネル5,5の屋内側外皮3に対して非接触に設けられる。そのため、第八態様のコーナー構造100では、外気温によってサンドイッチパネル5,5の屋外側外皮2が冷やされても、コーナー部材1を介して屋外側外皮2と屋内側外皮3との間で熱が移動することを防ぐことができて、屋内側外皮3の表面に結露が生じる等の不具合が起こることを抑制することができる。したがって、第八態様のコーナー構造100は、一対の金属外皮を有するサンドイッチパネル5で建築物の外壁を施工する際に、そのコーナー部分に用いやすい。
【0132】
また、実施形態1,2及びその変形例のように、第九態様のコーナー構造100は、第八態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0133】
すなわち、第九態様のコーナー構造100では、支持部7は、断熱材(つまり断熱縁材9の断熱材)を介して屋外側外皮2に固定されている。
【0134】
上記構成を備える第九態様のコーナー構造100では、サンドイッチパネル5の屋外側外皮2と支持部7との間で熱が移動することも防ぐことができて、屋内側外皮3の表面に結露が生じる等の不具合が起こることを更に抑制しやすい。
【0135】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 コーナー部材
2 屋外側外皮
3 屋内側外皮
4 芯材
5 サンドイッチパネル
6 本体部
62 連結壁
7 支持部
70 パーツ
8 耐火部
80 耐火フェルト
81 石膏ボード
100 コーナー構造