(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068475
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】排気管
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20240513BHJP
【FI】
F01N13/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178969
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂
(72)【発明者】
【氏名】大野 陸
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA05
3G004BA07
3G004DA11
3G004DA14
3G004DA15
3G004EA05
3G004FA04
(57)【要約】
【課題】排気管の端部に設けられたカバー部材のずれを抑制する。
【解決手段】排気管は、第1開口が形成された第1端部と、第1端部に設けられる第1フランジ部と、カバー部材と、抑制部とを備える。カバー部材は、両端が隙間を開けて対面するように第1端部に設けられ、挟持部と内周部とを備える。挟持部は、第1フランジ部と他の排気管の第2フランジ部とが締結された際、第1端部と、他の排気管の第2端部とにより挟持される。内周部は、排気管の内周面における第1開口に隣接する部分を覆う。抑制部は、カバー部材が、第1開口を囲む第1縁部に沿って変位するのを抑制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の排ガスの流路を形成する排気管であって、
第1開口が形成された第1端部と、
前記第1端部に設けられる第1フランジ部と、
前記第1端部に設けられるカバー部材と、を備え、
前記第1フランジ部は、前記排気管の前記第1端部に接続される他の排気管の第2端部に設けられた第2フランジ部に締結されるよう構成されており、
前記カバー部材は、
前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが締結された際、前記第1端部と前記第2端部とにより挟持される挟持部と、
前記排気管の内周面における前記第1開口に隣接する部分を覆う内周部と、を有し、
前記カバー部材は、第3端部から第4端部にわたって延びる湾曲した部材であり、前記第3端部と前記第4端部とが隙間を開けて対面するように前記第1端部に設けられるよう構成されており、
前記排気管は、前記第1端部に設けられた前記カバー部材が、前記第1開口を囲む第1縁部に沿って変位するのを抑制する抑制部を更に備える
排気管。
【請求項2】
請求項1に記載の排気管であって、
前記他の排気管は、ターボチャージャーのタービンブレードを迂回する排ガスの流路であるウエストゲートの出口を通過した排ガスを排出し、前記出口は、当該出口の縁部に沿って延びる回転軸を中心に回転する弁体により開閉されるよう構成されており、
前記第1開口と、前記ウエストゲートの前記出口とを含む、前記排気管及び前記他の排気管の内部における排ガスの流路の区間を、入口区間とし、
前記第1開口において、前記ウエストゲートの前記出口の前記回転軸を、前記入口区間における排ガスの流れ方向に沿って移動させた際に、前記回転軸が通過する線状の領域を、回転軸領域とすると共に、前記出口を前記入口区間における排ガスの流れ方向に沿って移動させた際に、前記出口が通過する領域を、出口領域とすると共に、
前記カバー部材の前記隙間は、前記回転軸領域を含み且つ前記回転軸領域に平行な直線よりも、前記出口領域の反対側に位置する
排気管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気管であって、
前記第1端部において、前記カバー部材の前記挟持部と対面する部分を、挟持面とし、
前記抑制部は、
前記第1端部の前記挟持面における陥没した部位である第1抑制部と、
前記挟持部から前記第1端部側に突出し、前記第1抑制部に配置される第2抑制部と、
を有する排気管。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の排気管であって、
前記第1端部において、前記カバー部材の前記挟持部と対面する部分を、挟持面とし、
前記抑制部は、前記第1端部の前記挟持面から前記他の排気管側に突出する部位であり、
前記カバー部材は、前記隙間が前記抑制部に位置する状態で、前記第1端部に設けられる
排気管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンのターボチャージャー及びその周辺に用いられる部品は、高温の排ガスに晒されるため耐高温酸化性が求められると共に、加熱と冷却とが繰り返し発生するため耐繰返し酸化性も求められる。特に、ターボチャージャーの下流側では排ガスの偏流が生じ易い。このため、特許文献1に記載されているような、ターボチャージャーの下流側の排気管におけるVクランプにより締結される部分には、偏流した排ガスの熱により局所的な損傷が生じる恐れがある。
【0003】
これに対し、従来、耐熱性の高い材料でこれらの部品を構成することが検討されてきたが、これにより、形状の加工、溶接等が困難になったり、コストが増加したりする恐れがある。さらに、部分的に部品の材料を変更するのが困難な場合があるが、このような場合には、部品の一部が高温による損傷を受けるにも関わらず部品全体の材料を変更せざるを得なくなり、その結果、必要以上にコストが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題に鑑み、Vクランプ等で締結される排気管の開口の縁部同士でカバー部材を挟持し、該カバー部材により排気管の内周面における縁部周辺を局所的に覆うことで、排気管の耐熱性を向上させることが考えられる。しかし、車両の振動の影響や、加熱による熱伸びと冷却による収縮とが繰り返し生じることにより、このようなカバー部材が、排気管の開口の縁部に沿って周方向にずれる恐れがある。
【0006】
一方、このようなカバー部材は、開口の縁部の全周にわたって設けられず、縁部の一部を覆わない状態で配置される場合が想定され、このような場合には、縁部周辺に、カバー部材に覆われない露出部分が形成される。そして、このようなカバー部材に周方向のずれが生じると、偏流した排ガスによる局所的な損傷が生じ易い部分が、カバー部材に覆われなくなる恐れがある。
【0007】
本開示の一態様では、排気管の端部に設けられたカバー部材のずれを抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、車両の排ガスの流路を形成する排気管であって、第1端部と、第1フランジ部と、カバー部材と、を備える。第1端部は、第1開口が形成される。第1フランジ部は、第1端部に設けられる。カバー部材は、第1端部に設けられる。第1フランジ部は、排気管の第1端部に接続される他の排気管の第2端部に設けられた第2フランジ部に締結されるよう構成されている。カバー部材は、挟持部と、内周部と、を有する。挟持部は、第1フランジ部と第2フランジ部とが締結された際、第1端部と第2端部とにより挟持される。内周部は、排気管の内周面における第1開口に隣接する部分を覆う。カバー部材は、第3端部から第4端部にわたって延びる湾曲した部材であり、第3端部と第4端部とが隙間を開けて対面するように第1端部に設けられるよう構成されている。排気管は、第1端部に設けられたカバー部材が、第1開口を囲む第1縁部に沿って変位するのを抑制する抑制部を更に備える。
【0009】
上記構成によれば、抑制部は、カバー部材が第1開口の周方向に変位するのを抑制できる。したがって、排気管の端部に設けられたカバー部材のずれを抑制できる。
本開示の一態様では、他の排気管は、ターボチャージャーのタービンブレードを迂回する排ガスの流路であるウエストゲートの出口を通過した排ガスを排出してもよい。出口は、当該出口の縁部に沿って延びる回転軸を中心に回転する弁体により開閉されるよう構成されていてもよい。第1開口と、ウエストゲートの出口とを含んでもよい。排気管及び他の排気管の内部における排ガスの流路の区間を、入口区間としてもよい。第1開口において、ウエストゲートの出口の回転軸を、入口区間における排ガスの流れ方向に沿って移動させた際に、回転軸が通過する線状の領域を、回転軸領域とし、出口を入口区間における排ガスの流れ方向に沿って移動させた際に、出口が通過する領域を、出口領域としてもよい。カバー部材の隙間は、回転軸領域を含み且つ回転軸領域に平行な直線よりも、出口領域の反対側に位置してもよい。
【0010】
ここで、排気管の内周面において、カバー部材の隙間が位置することによりカバー部材により覆われなくなっている部分を、露出部分とする。上記構成によれば、排気管の内周面における露出部分に排ガスの流れが集中するのを抑制できる。
【0011】
本開示の一態様では、第1端部において、カバー部材の挟持部と対面する部分を、挟持面としてもよい。抑制部は、第1抑制部と、第2抑制部と、を有してもよい。第1抑制部は、第1端部の挟持面における陥没した部位である。第2抑制部は、挟持部から第1端部側に突出し、第1抑制部に配置される。
【0012】
上記構成によれば、排気管の端部に設けられたカバー部材のずれを好適に抑制できる。
本開示の一態様では、第1端部において、カバー部材の挟持部と対面する部分を、挟持面としてもよい。抑制部は、第1端部の挟持面から他の排気管側に突出する部位であってもよい。カバー部材は、隙間が抑制部に位置する状態で、第1端部に設けられてもよい。
【0013】
上記構成によれば、排気管の端部に設けられたカバー部材のずれを好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態における、締結された第1及び第2排気管の第1及び第2端部の軸線に沿った断面図である。
【
図2】第1実施形態における第1排気管の第1端部の斜視図である。
【
図3】第1実施形態における、第1縁部の第1抑制部と、カバー部材のスリット及び第2抑制部との拡大図である。
【
図4】第1実施形態におけるカバー部材のスリットの位置を示す第1排気管の第1端部の正面図である。
【
図5】第1実施形態の変形例におけるカバー部材のスリットの位置を示す第1排気管の第1端部の正面図である。
【
図6】第1実施形態の変形例におけるカバー部材のスリットの位置を示す第1排気管の第1端部の正面図である。
【
図7】第2実施形態における第1排気管の第1端部の斜視図である。
【
図8】第2実施形態における、第1縁部の第1抑制部及びカバー部材の第2抑制部の拡大図である。
【
図9】第3実施形態における第1排気管の第1端部の斜視図である。
【
図10】第3実施形態における、第1縁部の第1抑制部及びカバー部材のスリットの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0016】
[1.第1実施形態]
[(1)第1排気管]
第1排気管1は、車両のエンジンからの排ガスの流路を構成する(
図1参照)。一例として、第1排気管1は、ターボチャージャーからの排ガスを排出する第2排気管3(換言すれば、他の排気管)の下流側に、Vクランプ5により締結される。また、第1排気管1は、排ガスを浄化する浄化部材(例えば、触媒やフィルタ)を収容するよう構成される。
【0017】
第1及び第2排気管1、3は、一例として、耐熱性を有するオーステナイト系の鋼材により構成されていても良い。しかし、第1及び第2排気管1、3は、オーステナイト系の鋼材に限らず、耐熱性を有する他の鋼材により構成されていても良い。また、第2排気管3は、第1排気管1を構成する材料よりも高い耐熱性を有する材料により構成されていても良い。
【0018】
第1排気管1は、第1端部10と、第1開口11と、第1フランジ部12と、カバー部材2とを備える(
図1、2参照)。
第1開口11は、第1排気管1の第1端部10に位置する円形の開口である。第1開口11は、第1排気管1における排ガスの流れ方向の上流側に位置し、第2排気管3に接続される。なお、第1開口11は、円形に限らず、様々な形状であっても良い。以後、第1開口11の中心を通過し、第1開口11に直交する直線を、軸線11Aと記載する。
【0019】
第1フランジ部12は、第1排気管1の第1端部10に設けられ、第2排気管3との締結に用いられる。
第1端部10は、第1開口11を囲み、第1開口11の軸線11Aに直交する向きに平面状に広がる。第1端部10は、溝部13と、第1縁部14とを備える。
【0020】
第1縁部14は、第1端部10から軸線11Aに沿って第2排気管3側に突出する部位であり、第1開口11に隣接し、且つ、第1開口11を囲む部位である。第1縁部14の頂部に位置する挟持面14Aは、軸線11Aに直交する向きに平面状に広がる。また、第1縁部14の内周面は、第1排気管1の内周面15を形成する。
【0021】
溝部13は、第1端部10に設けられた溝状の部位であり、第1開口11を囲む。溝部13は、第1縁部14の外側に隣接して設けられており、第1縁部14の外周面14Bは、溝部13の底面から軸線11Aに沿って突出する。
【0022】
また、第1縁部14には、後述する第1抑制部14Cが設けられている。
カバー部材2は、耐熱性を有し、第1端部10に設けられる。カバー部材2の構成については、後述する。
【0023】
また、以後、第1及び第2排気管1、3の内部の排ガスの流路における、第1及び第2開口11、31を含む区間を、入口区間Iと記載する(
図1参照)。
[(2)第2排気管]
第2排気管3は、第2端部30と、第2開口31と、第2フランジ部32と、ウエストゲート6とを備える(
図1参照)。
【0024】
第2開口31は、第2排気管3の第2端部30に位置する。また、第2開口31は、第1排気管1の第1開口11に接続され、その形状は、第1開口11と同様(一例として、円形)である。
【0025】
第2フランジ部32は、第2排気管3の第2端部30に設けられ、第1排気管1との締結に用いられる。
第2端部30は、第2開口31を囲み、第2開口31に接続された第1排気管1の第1開口11の軸線11Aに直交する向きに平面状に広がる。第2端部30は、陥没部33を備える。
【0026】
陥没部33は、第2開口31に隣接し、且つ、第2開口31を囲むように第2端部30に形成され、底面34と、第1内周面35とを有する。
底面34は、第2開口31に接続された第1開口11の軸線10Aに直交する向きに平面状に広がる部位であり、第2排気管3の内周面を一周するように設けられる。また、底面34は、第2排気管3の内周面における段差を形成しており、該内周面を第1内周面35と第2内周面36とに区切る。
【0027】
第1内周面35は、第2開口31に隣接し、第2開口31を囲む。また、第1内周面35は、底面34を挟んで第2内周面36に隣接し、第1内周面35の径は、第2内周面36の径よりも大きい。
【0028】
[(3)ウエストゲート]
ウエストゲート6は、第2排気管3の内部に設けられた排ガスの流路であり、ウエストゲート6の出口60は、第2開口31の上流側に設けられる(
図1参照)。ウエストゲート6は、ターボチャージャーのタービンブレードを迂回する排ガスが通過する。一方、タービンブレードを通過した排ガスは、第2排気管3の内部におけるウエストゲート6以外の領域を通過する。したがって、第2排気管3の第2開口31から、タービンブレードを通過した排ガスと、タービンブレードを迂回し、ウエストゲート6の出口60から流出した排ガスとが流出する。
【0029】
なお、ウエストゲート6の出口60は、上述した入口区間Iに位置する。第1実施形態では、一例として、入口区間Iは、軸線11A(換言すれば、排ガスの流れ方向)に沿って真っすぐに延びており、ウエストゲート6の出口60は、軸線11Aに沿って第1排気管1の第1開口11に対面する。
【0030】
また、ウエストゲート6の出口60には、スイング式のバルブが設けられており、出口60は、出口60を囲む縁部に沿って延びる回転軸61Aを中心に回転する弁体61により開閉される。換言すれば、回転軸61Aは、出口60の縁部の接線に含まれる。
【0031】
[(4)排気管の締結]
第1排気管1の第1開口11と第2排気管3の第2開口31との接続時には、第1フランジ部12と第2フランジ部32とが、Vクランプ5により締結される(
図1参照)。なお、第1及び第2フランジ部12、32は、Vクランプ5以外の手段(例えば、ボルトによる締結や溶接等)により締結されても良い。
【0032】
第1及び第2フランジ部12、32の締結時には、第1排気管1の第1端部10の第1縁部14は、第2排気管3の第2端部30の陥没部33に嵌入する。つまり、第1縁部14及び陥没部33は、第1排気管1と第2排気管3とを接続する際の位置決めに用いられる。
【0033】
第1縁部14の陥没部33への嵌入により、第1縁部14の挟持面14Aは陥没部33の底面34に対面すると共に、第1縁部14の外周面14Bは陥没部33の第1内周面35に当接する。また、このとき、第1端部10における溝部13の外側の部分は、第2端部30と当接し、第1排気管1の内周面15と第2排気管3の第2内周面36とが面一となる。また、第1開口11と第2開口31との隙間を封止するため、第1端部10の溝部13には、リング状のガスケット4が配置される。
【0034】
[(5)カバー部材]
締結された第1排気管1の第1端部10と、第2排気管3の第2端部30とにより、上述したカバー部材2が挟持される(
図1参照)。カバー部材2は、第3端部22から第4端部23にわたって延びる円弧状に湾曲した部材である(
図2、3参照)。換言すれば、カバー部材2はC字状である。
【0035】
このため、カバー部材2は、第3端部22と第4端部23とが隙間(以後、スリット24)を形成した状態で対面するように、第1端部10の第1縁部14に設けられる。一例として、カバー部材2は、第1縁部14に圧入され、弾性変形が生じた状態で第1縁部14に設けられる。そして、カバー部材2の弾性力により、カバー部材2の位置が保持されるよう促される。カバー部材2は、第1縁部14に取り付けられた際、第1開口11の縁部に沿って円弧状に湾曲して配置される。
【0036】
カバー部材2は、挟持部20と、内周部21と、第2抑制部25とを備える。
挟持部20は、カバー部材2の径方向に広がる部位である。
内周部21は、挟持部20の内周側の縁部から突出する壁状の部位であり、挟持部20の第3端部22から第4端部23にわたって設けられる。
【0037】
カバー部材2が第1縁部14に設けられると、挟持部20は第1縁部14の挟持面14Aに対面し、内周部21は第1排気管1の内周面15における第1開口11に隣接する部分を覆う。このとき、内周部21は内周面15に当接していても良いし、内周部21と内周面15との間に若干の隙間が形成されていても良い。そして、第1及び第2フランジ部12、32の締結時には、挟持部20は、挟持面14Aと第2端部30の陥没部33の底面34とにより挟持される。
【0038】
なお、第2抑制部25については、後述する。
また、カバー部材2は、第1排気管1の第1端部10等を構成する材料よりも高い耐熱性を有する材料により構成される。具体的には、カバー部材2は、一例としてフェライト系の鋼材により構成されていても良い。無論、カバー部材2は、他の材料により構成されていても良い。また、カバー部材2を構成する材料の耐熱性は、第1排気管1の第1端部10等を構成する材料の耐熱性と同程度であっても良いし、より低くても良い。
【0039】
また、カバー部材2は、挟持部20の外周側の縁部から内周部21と同方向に突出する壁状の部位である外周部をさらに有していてもよい。また、外周部は、挟持部20の第3端部22から第4端部23にわたって設けられても良い。
【0040】
[(6)抑制部]
第1排気管1における第1縁部14の第1抑制部14Cと、カバー部材2の第2抑制部25とは、第1及び第2端部10、30に挟持されているカバー部材2が、第1縁部14に沿って周方向に変位するのを抑制する(
図2~4参照)。
【0041】
第1抑制部14Cは、第1縁部14における切欠き部であり、挟持面14Aにおける下流側に陥没した部位を形成する。一例として、第1抑制部14Cは、第1縁部14における直方体状の窪みを形成しており、挟持面14Aの端部から下流側に広がり、周方向に対面する2つの壁面14Dを有する。
【0042】
第2抑制部25は、カバー部材2の第4端部23に設けられており、挟持部20から第1排気管1側(換言すれば、第1端部10側)に突出する。無論、第2抑制部25は、カバー部材2の第3端部22に設けられていても良い。
【0043】
カバー部材2は、第1抑制部14Cがスリット24に位置するように設けられ、第2抑制部25は、第1抑制部14Cに配置される。より詳しくは、第2抑制部25は、挟持部20における第4端部23に位置する部分から、第1抑制部14Cに向かって湾曲するように延出する。そして、第2抑制部25が第1抑制部14Cにおけるいずれかの壁面14Dに引っ掛かることで、カバー部材2が第1開口11の周方向に変位するのが抑制される。
【0044】
[(7)スリットの位置]
カバー部材2にはスリット24が設けられているため、第1排気管1の内周面15におけるスリット24が位置する部分は、カバー部材2に覆われない露出部分となる。このため、第2排気管3からの排ガスの流れが露出部分に集中すると、露出部分に損傷が生じる恐れがある。したがって、露出部分に排ガスの流れが集中しないよう、カバー部材2のスリット24の位置が調整される(
図4参照)。一例として、スリット24の位置は、ウエストゲート6の出口60のバルブにおける弁体61の回転軸61Aに基づき定められる。
【0045】
ここで、第1開口11において、入口区間Iにおける排ガスの流れ方向(換言すれば、軸線11A)に沿って回転軸61Aを移動させた際に、回転軸61Aが通過する線状の領域を、回転軸領域62Aとする。また、第1開口11において、入口区間Iにおける排ガスの流れ方向に沿ってウエストゲート6の出口60を移動させた際に、出口60が通過する領域を、出口領域60Aとする。
【0046】
スリット24は、回転軸領域62Aを含み、且つ、回転軸領域62Aに平行な直線62Bよりも、出口領域60Aの反対側に位置する。なお、直線62Bは、第1開口11及び第1縁部14を横断することを、念のため付言しておく。
【0047】
[(8)スリットの位置の変形例]
この外にも、ウエストゲート6の出口60の向きが軸線11Bに対し傾斜している場合には、出口60を通過する排ガスの方向(以後、出口方向)に基づき、露出部分に排ガスの流れが集中しないようスリット24の位置が調整されても良い。なお、この場合、出口方向は、軸線11Bに対し傾斜していることを念のため付言しておく。
【0048】
すなわち、ウエストゲート6は、出口区間63と、進入区間64とを有する。出口区間63は、出口60を含む曲がった区間である(
図5参照)。上述した出口方向は、出口区間63の曲がり具合や出口60の向きに基づき定められる。進入区間64は、出口区間63の上流側に隣接する直線状に延びる区間である。そして、出口区間63に進入する排ガスは、進入区間64の伸長方向(以後、進入方向)に沿って出口区間63の入口63Aを通過する。進入方向は、出口方向とは異なる方向となる。
【0049】
ここで、入口区間Iを形成する第1及び第2排気管1、3の内周面15、36において、ウエストゲート6の出口60を出口方向に移動させた際に、出口60が通過する部分を、第1延長領域60Bとする。第1延長領域60Bは、第1縁部14と交差するか、又は、第1縁部14よりも上流側に位置する。
【0050】
また、第1縁部14において、入口区間Iの排ガスの流れ方向に移動させた第1延長領域60Bが通過する部分を、第1不可能領域N0とする。また、第1縁部14において、第1開口10の中心(換言すれば、軸線11A)を挟んで第1不可能領域N0に対面する部分を、第2不可能領域N1とする。なお、第1不可能領域N0と第2不可能領域N1とは、軸線11Aを中心とした点対称の関係にある。
【0051】
ウエストゲート6からの排ガスの流れは、第1排気管1の内周面15における第1不可能領域N0の周辺部分に集中し易くなる。さらに、排ガスは、第1不可能領域N0の周辺部分に衝突した後、該周辺部分の正面に向かうため、第1排気管1の内周面15における第2不可能領域N1の周辺部分もまた、ウエストゲート6からの排ガスの流れが集中し易くなる。
【0052】
このため、カバー部材2のスリット24は、第1縁部14における第1及び第2不可能領域N0、N1以外の領域に配置されても良い。これにより、排ガスの流れが露出部分に集中しないように促すことができる。
【0053】
この外にも、スリット24の位置は、次のようにして定められても良い。すなわち、入口区間Iを形成する第1及び第2排気管1、3の内周面15、36において、出口区間63の入口63Aを進入方向に移動させた際に入口63Aが通過する部分を、第2延長領域63Bとする(
図6参照)。第2延長領域63Bは、第1縁部14よりも上流側に位置する。そして、第1縁部14において、入口区間Iの排ガスの流れ方向に移動させた第2延長領域63Bが通過する部分を、基準領域Rとする。
【0054】
さらに、第1縁部14において、第1不可能領域N0と、第1不可能領域N0に最も近い基準領域Rの端部との間の領域を、中間領域とする。そして、第1不可能領域N0と中間領域とを、第3不可能領域N2とする。また、第1縁部14において、第1開口10の中心を挟んで第3不可能領域N2に対面する部分を、第4不可能領域N3とする。なお、第3不可能領域N2と第4不可能領域N3とは、軸線11Aを中心とした点対称の関係にある。
【0055】
ウエストゲート6の形状を考慮すると、ウエストゲート6からの排ガスの流れは、第1排気管1の内周面15における第3不可能領域N2の周辺部分に集中し易くなる。さらに、第1排気管1の内周面15における第4不可能領域N3の周辺部分もまた、ウエストゲート6からの排ガスの流れが集中し易くなる。
【0056】
このため、カバー部材2のスリット24は、第1縁部14における第3及び第4不可能領域N2、N3以外の領域に配置されても良い。これにより、排ガスの流れが露出部分に集中しないように促すことができる。
【0057】
[2.第2実施形態]
第2実施形態の第1排気管1は、抑制部の構成において第1実施形態と相違する。以下では、第2実施形態の第1排気管1における第1実施形態との相違点について説明する。
【0058】
第2実施形態では、第1排気管1の第1抑制部14Cは、第1実施形態と同様、挟持面14Aにおける陥没した部位を形成する(
図7、8参照)。第2実施形態では、第1抑制部14Cは、一例として、第1縁部14に、径方向に視認すると三角形状の窪みを形成する。
【0059】
一方、カバー部材2の第2抑制部25は、カバー部材2の第3及び第4端部22、23から離れた位置に設けられており、挟持部20における第1排気管1側に突出する突出部として構成される。一例として、第2抑制部25は、三角形状に屈曲した形状を有している。
【0060】
そして、カバー部材2は、第2抑制部25が第1抑制部14Cに配置されるように設けられる。一例として、第2抑制部25は、第1抑制部14Cに嵌合した状態となり、これにより、カバー部材2が第1開口11の周方向に変位するのが抑制される。
【0061】
[3.第3実施形態]
第3実施形態の第1排気管1は、抑制部の構成において第1実施形態と相違する。以下では、第3実施形態の第1排気管1における第1実施形態との相違点について説明する。
【0062】
第3実施形態では、カバー部材2には第2抑制部は設けられていない(
図9、10参照)。一方、第1排気管1の第1抑制部14Cは、第1縁部14の挟持面14Aから第2排気管3側に突出する部位として構成される。
【0063】
そして、カバー部材2は、第1抑制部14Cがスリット24に位置するように第1縁部14に設けられる。つまり、第1抑制部14Cは、カバー部材2の第3及び第4端部22、23の間に位置しており、カバー部材2の第3又は第4端部22、23が第1抑制部14Cに当接することで、カバー部材2が第1開口11の周方向に変位するのが抑制される。なお、第1抑制部14Cと第3及び第4端部22、23との間には、若干の隙間が設けられているが、第3及び第4端部22、23は、第1抑制部14Cに当接していても良い。
【0064】
[4.効果]
(1)第1及び第2実施形態によれば、第1排気管1の第1抑制部14C及びカバー部材2の第2抑制部25により、第1排気管1の第1端部10に設けられたカバー部材2のずれを抑制できる。また、第3実施形態によれば、第1抑制部14C及びカバー部材2のスリット24により、第1排気管1の第1端部10に設けられたカバー部材2のずれを抑制できる。
【0065】
(2)また、カバー部材2のスリット24の位置は、ウエストゲート6の出口60を弁体61が開閉する際の回転軸62の位置に基づき定められる。すなわち、スリット24は、第1開口10における回転軸領域62Aを含み、且つ、回転軸領域62Aに平行な直線62Bよりも、出口領域60Aの反対側に位置する。このため、弁体61が出口60を開放している際、弁体61により、出口60から流出した排ガスがスリット24側に向かうのが抑制される。このため、排ガスの流れが、第1排気管1の内周面15における露出部分に集中しないように促すことができる。
【0066】
[5.他の実施形態]
(1)第1~第3実施形態において、同様の構成により、第2端部30にカバー部材2を設け、カバー部材2により、第2排気管3の内周面を覆うようにしても良い。
【0067】
また、第1~第3実施形態では、ターボチャージャーの下流側に位置し、浄化部材を収容する第1排気管1の上流側に位置する第1端部10に、カバー部材2が設けられる。しかし、これに限らず、例えば、第1排気管1の下流側の端部や、車両に搭載される他の排気管の端部と、これらの端部に締結される排気管の端部とを、第1及び第2端部10、30と同様に構成しても良い。そして、締結されたこれらの端部に、上記実施形態と同様にしてカバー部材2を設けても良い。
【0068】
(2)第1~第3実施形態では、第1縁部14の頂部に位置する挟持面14Aに、カバー部材2の挟持部20が配置される。しかし、例えば、段差の無い平面として形成された第1端部10における第1開口11に隣接する部分を挟持面とし、該挟持面にカバー部材2の挟持部20を配置しても良い。また、例えば、第1端部10における第1開口11に隣接する部分を陥没させることで、第1開口11を囲むように段差を形成すると共に、該段差の底面を挟持面とし、該挟持面にカバー部材2の挟持部20を配置しても良い。そして、第1~第3実施形態と同様にして、挟持部20が配置される部分に第1抑制部14Cを形成すると共に、カバー部材2に第2抑制部25を形成しても良い。
【0069】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…第1排気管、10…第1端部、11…第1開口、11A…軸線、12…第1フランジ部、14…第1縁部、14A…挟持面、14B…外周面、14C…第1抑制部、14D…壁面、15…内周面、2…カバー部材、20…挟持部、21…内周部、22…第3端部、23…第4端部、24…スリット、25…第2抑制部、3…第2排気管、30…第2端部、31…第2開口、32…第2フランジ部、33…陥没部、34…底面、35…第1内周面、36…第2内周面、5…Vクランプ、6…ウエストゲート、60…出口、60A…出口領域、61…弁体、62…回転軸、62A…回転軸領域、62B…直線。