(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068478
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178974
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 義一
(72)【発明者】
【氏名】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】永井 信一郎
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA03
5D107AA13
5D107BB08
5D107CC09
5D107CC10
5D107CC11
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】はんだ付け部に生じる応力が高まることを抑制する。
【解決手段】アクチュエータ10は、取付部材12と、取付部材12の内部に配置されていると共に取付部材12に固定されたコイル24と、コイル24と対向して配置されているマグネット52を有し、コイル24へ通電されることで取付部材に対して変位する可動子14と、を備えている。また、アクチュエータ10は、その一部が取付部材12の内部に配置されていると共に、他の一部が取付部材12の外側に引出され、取付部材12の内部に配置されている側の端部がはんだ付けで固定されていることでコイル24と電気的に接続される複数のケーブル80を備えている。複数のケーブル80において取付部材12の内部に配置されている部分は、複数のケーブル80が取付部材12から引出される方向と交差する方向に延伸して配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材と、
前記取付部材の内側に配置されていると共に前記取付部材に固定されたコイルと、
前記コイルと対向して配置されているマグネットを有し、前記コイルへ通電されることで前記取付部材に対して変位する可動子と、
その一部が前記取付部材の内側に配置されていると共に、他の一部が前記取付部材の外側に引出され、前記取付部材の内側に配置されている側の端部がはんだ付けで固定されていることで前記コイルと電気的に接続され、前記取付部材の内側に配置されている部分が前記取付部材から引出される方向と交差する方向に延伸して配置されている複数のケーブルと、
を備えたアクチュエータ。
【請求項2】
複数の前記ケーブルが、前記取付部材の内側において交差している請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記取付部材には、前記取付部材の内側と外側とをつなぐように設けられた第1差込部及び第2差込部が形成されており、
前記取付部材の一部は、前記第1差込部と前記第2差込部とを隔てる第1隔壁部となっており、
前記第1差込部に差込まれた前記ケーブルと前記第2差込部に差込まれた前記ケーブルとの交差部分が、前記第1隔壁部における前記取付部材の内側の端部に沿って配置されている
請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1隔壁部における前記取付部材の内側の端部が、複数の前記ケーブルにおいてはんだ付けで固定されている部分に対して前記取付部材から引出される方向側に位置している
請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1差込部の内径と前記第2差込部の内径とが、互いに異なる内径となっている
請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記取付部材には、前記可動子が配置されている側と、前記第1差込部に差込まれた前記ケーブルと前記第2差込部に差込まれた前記ケーブルとの交差部分が配置されている側とを隔てる第2隔壁部が設けられている請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記取付部材には、前記ケーブルの一部が当接することで前記ケーブルの変位を制限する制限部が設けられている請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記取付部材には、前記コイル側へ向けて凹んでいると共に複数の前記ケーブルの一部分が収容されるケーブル収容部が形成されている請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記コイルに接続されたターミナルの一部分であるケーブル接合部が前記取付部材の外部に露出しており、
複数の前記ケーブルが、前記ケーブル接合部に接合されている
請求項8に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、コイルを備えた取付部材と、弾性支持体を介して取付部材に支持されている可動子と、を備えたアクチュエータが開示されている。この文献に記載されたコイルには、ケーブルを介して通電がなされるようになっている。そして、ケーブルを介してコイルへの通電が切り替えられることで、可動子が繰り返し変位する(振動する)ようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されたアクチュエータは、自らが振動を発生するようになっていると共に外部からの振動が入力される環境に設置される場合がある。また、ケーブルが取付部材に対して引っ張られる場合がある。そのため、ケーブルがはんだ付けで接合されている構成においては、はんだ付け部に生じる応力が高まることが考えられる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、はんだ付け部に生じる応力が高まることを抑制することができるアクチュエータを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のアクチュエータは、取付部材と、前記取付部材の内側に配置されていると共に前記取付部材に固定されたコイルと、前記コイルと対向して配置されているマグネットを有し、前記コイルへ通電されることで前記取付部材に対して変位する可動子と、その一部が前記取付部材の内側に配置されていると共に、他の一部が前記取付部材の外側に引出され、前記取付部材の内側に配置されている側の端部がはんだ付けで固定されていることで前記コイルと電気的に接続され、前記取付部材の内側に配置されている部分が前記取付部材から引出される方向と交差する方向に延伸して配置されている複数のケーブルと、を備えている。
【0007】
第1の態様のアクチュエータでは、複数のケーブルを介してコイルへ通電がなされると、可動子が取付部材に対して変位する。ここで、複数のケーブルの一部は、取付部材の内側に配置されていると共に、複数のケーブルの他の一部は、取付部材の外側に引出されている。また、複数のケーブルにおいて取付部材の内側に配置されている側の端部は、はんだ付けで固定されている。これにより、複数のケーブルとコイルとが電気的に接続されている。ところで、第1の態様のアクチュエータでは、複数のケーブルにおいて取付部材の内側に配置されている部分が、複数のケーブルが取付部材から引出される方向と交差する方向に延伸して配置されている。この構成では、複数のケーブルにおいて取付部材の内側に配置されている部分が、複数のケーブルが取付部材から引出される方向と同一直線上に延伸して配置されている構成と比べて、複数のケーブルにおいて取付部材から引出されている部分が振動した際や引っ張られた際に、はんだ付け部に生じる応力が高まることを抑制することができる。
【0008】
第2の態様のアクチュエータは、第1の態様のアクチュエータにおいて、複数の前記ケーブルが、前記取付部材の内側において交差している。
【0009】
第2の態様のアクチュエータでは、複数のケーブルが取付部材の内側において交差している。この構成では、複数のケーブルが取付部材の内側において交差していない構成と比べて、複数のケーブルの取付部材からの引っ張りに伴う抜け出しを抑制することができる。
【0010】
第3の態様のアクチュエータは、第2の態様のアクチュエータにおいて、前記取付部材には、前記取付部材の内側と外側とをつなぐように設けられた第1差込部及び第2差込部が形成されており、前記取付部材の一部は、前記第1差込部と前記第2差込部とを隔てる第1隔壁部となっており、前記第1差込部に差込まれた前記ケーブルと前記第2差込部に差込まれた前記ケーブルとの交差部分が、前記第1隔壁部における前記取付部材の内側の端部に沿って配置されている。
【0011】
第3の態様のアクチュエータでは、複数のケーブルが取付部材に対して引っ張られると、第1差込部に差込まれたケーブルと第2差込部に差込まれたケーブルとの交差部分が、第1隔壁部における取付部材の内側の端部に引っ掛かる。これにより、複数のケーブルの取付部材からの引っ張りに伴う抜け出しをより一層抑制することができる。
【0012】
第4の態様のアクチュエータは、第3の態様のアクチュエータにおいて、前記第1隔壁部における前記取付部材の内側の端部が、複数の前記ケーブルにおいてはんだ付けで固定されている部分に対して複数のケーブルが前記取付部材から引出される方向側に位置している。
【0013】
第4の態様のアクチュエータでは、第1隔壁部における取付部材の内側の端部の位置を上記位置にすることで、第1差込部に差込まれたケーブルと第2差込部に差込まれたケーブルとの交差部分を緩やかに湾曲させることができる。
【0014】
第5の態様のアクチュエータは、第3の態様のアクチュエータにおいて、前記第1差込部の内径と前記第2差込部の内径とが、互いに異なる内径となっている。
【0015】
第5の態様のアクチュエータでは、第1差込部の内径と第2差込部の内径とが、互いに異なる内径となっている。これにより、第1差込部の内径と第2差込部の内径とが、互いに同じ内径となっている構成と比べて、複数のケーブルにおいて取付部材の内側に配置されている部分の配置作業を良好にすることができる。
【0016】
第6の態様のアクチュエータは、第3の態様のアクチュエータにおいて、前記取付部材には、前記可動子が配置されている側と、前記第1差込部に差込まれた前記ケーブルと前記第2差込部に差込まれた前記ケーブルとの交差部分が配置されている側とを隔てる第2隔壁部が設けられている。
【0017】
第6の態様のアクチュエータでは、第2隔壁部が取付部材に設けられていることにより、第1差込部に差込まれたケーブルと第2差込部に差込まれたケーブルとの交差部分が可動子に接触することを防止又は抑制することができる。
【0018】
第7の態様のアクチュエータは、第3の態様のアクチュエータにおいて、前記取付部材には、前記ケーブルの一部が当接することで前記ケーブルの変位を制限する制限部が設けられている。
【0019】
第7の態様のアクチュエータでは、ケーブルの一部を制限部に当接させると、ケーブルの変位が制限される。これにより、ケーブルのバタつき(暴れ)を抑制することができる。
【0020】
第8の態様のアクチュエータは、第1の態様のアクチュエータにおいて、前記取付部材には、前記コイル側へ向けて凹んでいると共に複数の前記ケーブルの一部分が収容されるケーブル収容部が形成されている。
【0021】
第8の態様のアクチュエータでは、コイル側へ向けて凹んでいるケーブル収容部が取付部材に形成されている。この構成では、例えば、アクチュエータの最終組立段階で、複数のケーブルの一部分をケーブル収容部に収容することができる。また、ケーブル収容部がコイル側へ向けて凹んでいる構成とすることで、ケーブルとコイルとの距離を近づけることができる。これにより、ケーブルとコイルとがターミナルを介して接続される構成においては、ターミナルに必要な材料を削減することができる。
【0022】
第9の態様のアクチュエータは、第8の態様のアクチュエータにおいて、前記コイルに接続されたターミナルの一部分であるケーブル接合部が前記取付部材の外部に露出しており、複数の前記ケーブルが、前記ケーブル接合部に接合されている。
【0023】
第9の態様のアクチュエータでは、複数のケーブルをケーブル収容部側に収容した状態で、複数のケーブルをケーブル接合部に接合することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るアクチュエータは、はんだ付け部に生じる応力が高まることを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態のアクチュエータを示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態のアクチュエータを分解して示す分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態のアクチュエータをX方向及びZ方向に沿って切断した断面を示す断面図である。
【
図4】コイルが固定された状態の取付部材等を示す斜視図である。
【
図5】コイルが固定された状態の取付部材等を示す平面図である。
【
図6】コイルが固定された状態の取付部材等を示す断面図であり、第1差込部及び第2差込部と対応する部分においてX方向及びY方向に沿って切断した断面を示している。
【
図7】取付部材等を示す断面斜視図であり、第1差込部及び第2差込部と対応する部分においてX方向及びY方向に沿って切断した断面を示している。
【
図8】取付部材をケーブルの引出方向側から見た側面図である。
【
図9】第2実施形態のアクチュエータを示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態のアクチュエータを
図9とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図11】コイルが固定された状態の取付部材等を示す平面図である。
【
図12】コイルが固定された状態の取付部材等を示す断面図であり、第1差込部及び第2差込部と対応する部分においてX方向及びY方向に沿って切断した断面を示している。
【
図13】取付部材及びケーブルを示す底面図である。
【
図14】ケーブルの図示を省略した
図13と対応する底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
図1~
図8を用いて、本発明の第1実施形態に係るアクチュエータ10について説明する。なお、図中に示す矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向は、アクチュエータ10の各方向を示している。以下の説明では、各図に示す+Z方向を上方向といい、-Z方向を下方向という。但し、これはアクチュエータを基準にした方向概念であり、アクチュエータの取付姿勢を限定するものではない。また、Z方向に平行な軸であって、後述する可動子14の重心を通る軸を可動子14の重心軸AXという。そして、X方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をX方向内側、離れる方向をX方向外側といい、Y方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をY方向内側、離れる方向をY方向外側という。また、+X方向をX方向一方側、-X方向をX方向他方側、+Y方向をY方向一方側、-Y方向をY方向他方側、+Z方向をZ方向一方側、-Z方向をZ方向他方側という。
【0027】
図1に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10は、一例としてタッチパネルとして構成された液晶パネル等の表示部や各種のコントローラ等に取り付けられることにより、当該表示部やコントローラを振動させるアクチュエータである。このアクチュエータ10への通電を制御することにより、タッチパネルやコントローラ等に触れる使用者の指に対して様々な触感を与えることが可能となっている。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、アクチュエータ10は、タブレット端末の表示部等の取付対象物に取り付けられる取付部材12と、取付部材12に固定されたコイル24と、取付部材12に対して変位する可動子14と、取付部材12に対して可動子14を弾性的に支持する弾性支持体16と、を備えている。また、アクチュエータ10は、弾性支持体16の振動を減衰する2つの緩衝材18と、弾性支持体16に取り付けられると共に緩衝材18における一方側の面を覆う2つのカバー部材20と、を備えている。さらに、
図4に示されるように、アクチュエータ10は、コイル24に通電を行うための一対のターミナル28及び一対のケーブル80を備えている。
【0029】
(取付部材12の構成)
図1~
図6に示されるように、取付部材12は、箱状に形成されたフレーム本体22と、取付用接着シート26と、を備えている。なお、取付部材12は、箱状に形成されたものに限定されない。
【0030】
フレーム本体22は、一例として樹脂材料を用いて形成され、Z方向一方側が開放された箱状に形成されている。このフレーム本体22は、Z方向を厚み方向とすると共にZ方向から見てX方向を長手方向とし、かつY方向を短手方向とする長方形状に形成された底壁部30を備えている。
図2及び
図4に示されるように、底壁部30におけるX方向及びY方向の中心部には、Z方向に貫通する円形の開口32が形成されている。
【0031】
また、フレーム本体22は、底壁部30におけるX方向一方側及び他方側の端部からZ方向一方側へ向けてそれぞれ立ち上がる一対の第1側壁部36と、底壁部30におけるY方向一方側及び他方側の端部からZ方向一方側へ向けてそれぞれ立ち上がる一対の第2側壁部38と、を備えている。
【0032】
図2に示されるように、一対の第1側壁部36のZ方向一方側の端面におけるY方向一方側及び他方側の端部は、それぞれ台座部40となっている。ここで、
図4~
図7に示されるように、本実施形態の取付部材12では、金属製のフレーム23がフレーム本体22にインサート成形等により固定されている。この金属製のフレーム23の大部分はフレーム本体22に内包されている。また、金属製のフレーム23の一部分は、それぞれの台座部40におけるZ方向一方側の端面において露出している。
【0033】
また、フレーム本体22は、一方の第1側壁部36におけるY方向の中央部から他方の第1側壁部36側へ向けて突出する中央突出部44を備えている。さらに、フレーム本体22は、他方の第1側壁部36におけるY方向の中央部から一方の第1側壁部36側へ向けて突出する中央突出部44を備えている。ここで、一方の中央突出部44におけるZ方向一方側の端面及び一方の第1側壁部36のZ方向一方側の端面におけるY方向中央部分は、後述する一方の緩衝材18が貼り付けられる緩衝材貼付面46となっている。また、他方の中央突出部44におけるZ方向一方側の端面及び他方の第1側壁部36のZ方向一方側の端面におけるY方向中央部分は、後述する他方の緩衝材18が貼り付けられる緩衝材貼付面46となっている。また、フレーム本体22は、一方(X方向一方側)の第1側壁部36におけるY方向の中央部からフレーム本体の外側(X方向一方側)へ向けて突出する中央外側突出部45を備えている。
【0034】
(コイル24の構成)
図2~
図7に示されるように、コイル24は、導電性の電線がZ方向を軸方向として環状に巻回されることで形成されている。
図3に示されるように、本実施形態では、環状に形成されたボビン25のまわりに導電性の電線が巻回されることで、コイル24がボビン25のまわりに形成されている。コイル24は、ボビン25を介してフレーム本体22の底壁部30に支持されている。なお、
図4においては、断面のハッチングの図示を省略している。
【0035】
(取付用接着シート26の構成)
図1及び
図2に示されるように、取付用接着シート26は、アクチュエータ10を取付対象物に取り付けるための部材である。取付用接着シート26は、両面が接着面とされた接着シートである。取付用接着シート26は、フレーム本体22の底壁部30の下面側に接着される。なお、取付用接着シート26には、フレーム本体22の底壁部30に形成された開口32に対応する円形の開口26Aが形成されている。
【0036】
(可動子14の構成)
可動子14は、ヨーク50と、マグネット52と、ポールピース54と、を含んで構成されている。
【0037】
ヨーク50は、軟磁性体の材料を用いて形成されている。このヨーク50は、Z方向を厚み方向とする円板状に形成された天壁部50Aと、天壁部50Aの外側周縁から下方向に延びる周壁部50Bと、を備えている。
【0038】
マグネット52は、Z方向を軸方向とする円板状に形成されている。このマグネット52は、ヨーク50の周壁部50Bの内側に配置された状態で当該ヨーク50の天壁部50Aの下面側に固定される。
【0039】
ポールピース54は、軟磁性体の材料を用いて形成されている。このポールピース54は、Z方向を軸方向とする円板状に形成されており、マグネット52の下面側に固定される。
【0040】
以上説明した可動子14には、ヨーク50、マグネット52及びポールピース54によって磁気回路が形成されている。マグネット52及びポールピース54と、ヨーク50の周壁部50Bとの間には、空間が形成され、この空間にコイル24が配置される。
【0041】
(弾性支持体16の構成)
図1及び
図2に示されるように、弾性支持体16は、一例として板状(平面状)に形成された金属板を用いて形成されている。この弾性支持体16の自由状態(外力が作用していない状態)での形状は、当該弾性支持体16の全体がZ方向と直交する方向に沿う板状に形成されている。
【0042】
弾性支持体16は、一部において取付部材12に固定され、他の一部において可動子14に固定される。弾性支持体16において取付部材12に固定される部分と可動子14に固定される部分との間の部分は変形部60となっており、この変形部60は可動子14が変位(振動)する際に変形する部分となっている。詳述すると、弾性支持体16は、取付部材12に固定される4つの取付部材側被固定部56と、可動子14に固定される可動子側被固定部58と、取付部材側被固定部56と可動子側被固定部58との間を繋ぐ4つの変形部60と、から構成される。
【0043】
4つの取付部材側被固定部56は、Z方向から見てフレーム本体22の4つの台座部40と対応する矩形状に形成されている。この4つの取付部材側被固定部56は、台座部40において露出している金属製のフレーム23(
図4参照)の一部にそれぞれ溶接等により固定されている。
【0044】
可動子側被固定部58は、Z方向から見て可動子14の一部を構成するヨーク50の天壁部50Aよりも小径とされた円形状に形成されている。この可動子側被固定部58は、ヨーク50の天壁部50Aに溶接等により固定されている。
【0045】
(緩衝材18の構成)
図2に示されるように、緩衝材18は、粘弾性を有する素材を用いて板状に形成されており、Z方向を厚み方向とすると共にZ方向から見て矩形状に形成されている。緩衝材18におけるZ方向他方側の面(下面)は、他の部材と接着可能な接着面となっている。また、緩衝材18におけるZ方向一方側の面(上面)は、他の部材と接着可能な接着面となっている。
【0046】
そして、一方の緩衝材18の下面側の接着面は、フレーム本体22の一方の緩衝材貼付面46に貼り付けられる。これにより、一方の緩衝材18が、フレーム本体22の一方の緩衝材貼付面46に取り付けられる。これと同様に、他方の緩衝材18の下面側の接着面は、フレーム本体22の他方の緩衝材貼付面46に貼り付けられる。これにより、他方の緩衝材18が、フレーム本体22の他方の緩衝材貼付面46に取り付けられる。
【0047】
ここで、弾性支持体16がフレーム本体22に取り付けられた状態では、一方の緩衝材18の上面側の接着面が、弾性支持体16の変形部60の一部の下面側に貼り付けられる。これと同様に、弾性支持体16がフレーム本体22に取り付けられた状態では、他方の緩衝材18の上面側の接着面が、弾性支持体16の変形部60の一部の下面側に貼り付けられる。
【0048】
(カバー部材20の構成)
カバー部材20は、粘弾性を有する素材を用いて板状に形成されており、Z方向を厚み方向とすると共にZ方向から見て矩形状に形成されている。
【0049】
カバー部材20におけるZ方向他方側の面(下面)は、他の部材と接着可能な接着面となっている。なお、カバー部材20におけるZ方向一方側の面(上面)は接着面とはなっていない。一方のカバー部材20の下面側の接着面は、一方の緩衝材18の上面側の接着面及び弾性支持体16の変形部60の一部の上面側に貼り付けられる。これと同様に、他方のカバー部材20の下面側の接着面は、他方の緩衝材18の上面側の接着面及び弾性支持体16の変形部60の一部の上面側に貼り付けられる。
【0050】
(ターミナル28の構成)
図7に示されるように、一対のターミナル28は、定められた形状に切断された導電性の金属板が折り曲げられること等により形成されている。ここで、一対のターミナル28の一方及び他方をそれぞれ第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2と呼ぶことにする。
【0051】
第1ターミナル28T1は、フレーム本体22の底壁部30におけるY方向一方側においてX方向の中間部からX方向一方側の第1側壁部36側へ向けて延びるケーブル接合部28Aを備えている。また、第1ターミナル28T1は、ケーブル接合部28AのX方向他方側の端部からZ方向一方側へ向けて立ち上がっていると共にY方向他方側へ向けて延びるコイル端末接合部28Bを備えている。また、第2ターミナル28T2は、フレーム本体22の底壁部30におけるY方向他方側においてX方向の中間部からX方向一方側の第1側壁部36側へ向けて延びるケーブル接合部28Aを備えている。また、第2ターミナル28T2は、ケーブル接合部28AのX方向他方側の端部からZ方向一方側へ向けて立ち上がっていると共にY方向一方側へ向けて延びるコイル端末接合部28Bを備えている。第1ターミナル28T1のケーブル接合部28A及び第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aは、フレーム本体22の底壁部30に固定されている。また、第1ターミナル28T1のケーブル接合部28A及び第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aには、後述する一対のケーブル80(
図6参照)の端部がそれぞれはんだ付けで接合されるようになっている。さらに、第1ターミナル28T1のコイル端末接合部28B及び第2ターミナル28T2のコイル端末接合部28Bには、前述のコイル24(
図6参照)の一方側の端末及び他方側の端末がそれぞれ接合されるようになっている。
【0052】
(フレーム本体22の細部の構成)
次に、フレーム本体22において後述する一対のケーブル80が延伸して配置される部分の構成について説明する。
【0053】
図6~
図8に示されるように、フレーム本体22におけるX方向一方側の第1側壁部36におけるY方向の中央部、中央突出部44及び中央外側突出部45は、一対のケーブル80が差込まれるケーブル差込部82となっている。このケーブル差込部82には、フレーム本体22の内部(内側)と外部(外側)とを連通する第1差込部84H1及び第2差込部84H2が形成されている。
図8に示されるように、第1差込部84H1及び第2差込部84H2は、Y方向に並んで配置されている。なお、第1差込部84H1は第2差込部84H2に対してY方向一方側に配置されている。また、第1差込部84H1の内縁及び第2差込部84H2の内縁をX方向一方側から見た形状は、Z方向一方側が半円形状に湾曲した形状となっていると共にZ方向他方側が直線状となっている。また、第1差込部84H1のY方向への内径の最大値DY1と第2差込部84H2のY方向への内径の最大値DY2とは、ほぼ同じ寸法となっている。また、第1差込部84H1のZ方向への内径の最大値DZ1は、第2差込部84H2のZ方向への内径の最大値DZ2と比べて大きな寸法に設定されている。
【0054】
図6及び
図7に示されるように、ケーブル差込部82において第1差込部84H1と第2差込部84H2とをY方向に隔てている部分は、第1隔壁部86となっている。この第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aの形状は、Z方向から見てY方向の両端部が湾曲した形状となっている。これに加えて、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aは、ケーブル差込部82におけるX方向他方側の端面82Aに対してX方向一方側に位置している。また、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aは、後述する一対のケーブル80において第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2にはんだ付けで固定されている部分に対してX方向一方側に位置している。
【0055】
フレーム本体22は、底壁部30からZ方向一方側へ突出する第2隔壁部88を備えている。この第2隔壁部88は、フレーム本体22の内部において可動子14が配置されている側と第1差込部84H1に差込まれたケーブル80と第2差込部84H2に差込まれたケーブル80との交差部分90が配置されている側とをX方向に隔てる部分として機能する。詳述すると、第2隔壁部88は、X方向を厚み方向としてY方向及びZ方向に延在する舌片状に形成されている。また、第2隔壁部88は、Y方向の中央部に配置されていると共にケーブル差込部82とX方向に対向して配置されている。
【0056】
フレーム本体22は、底壁部30からZ方向一方側へ突出する一対の制限部92を備えている。一対の制限部92は、フレーム本体22の内部において一対のケーブル80の位置決めをする機能や、一対のケーブル80の変位を固定する機能を有する。詳述すると、一方の制限部92は、第2隔壁部88に対してY方向一方側かつ第1ターミナル28T1のケーブル接合部28Aに対してY方向他方側に配置されている。また、他方の制限部92は、第2隔壁部88に対してY方向他方側かつ第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aに対してY方向一方側に配置されている。また、一対の制限部92のZ方向一方側の端部はZ方向他方側の端部に対してX方向一方側に突出している。
【0057】
(ケーブル80の構成)
図6に示されるように、一対のケーブル80は、一例として銅線等の導電性の部材が絶縁性を有する被覆部材に覆われた構成となっている。なお、一対のケーブル80において第1ターミナル28T1のケーブル接合部28A及び第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aにそれぞれはんだ付けで接合される部分をはんだ接合部80Aと呼ぶことにする。はんだ接合部80Aにおいては、被覆部材が除去されている。ここで、一対のケーブル80の一方及び他方をそれぞれ第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2と呼ぶことにする。
【0058】
図6に示されるように、第1ケーブル80C1は、ケーブル差込部82に形成された第1差込部84H1からフレーム本体22の内部に差込まれる。第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bは、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aに沿ってY方向他方側へ向けて曲げられて配置されている。また、第1ケーブル80C1の一部は、Y方向他方側の制限部92に対してX方向一方側に配置された状態で当該制限部92に当接している。これにより、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80Aが第2ターミナル28T2のケーブル接合部28A上に位置している状態が保たれるようになっている。また、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80Aは第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aに図示しないはんだを介して接合(固定)されている。
【0059】
第2ケーブル80C2は、ケーブル差込部82に形成された第2差込部84H2からフレーム本体22の内部に差込まれる。第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bは、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aに沿ってY方向一方側へ向けて曲げられて配置されている。また、第2ケーブル80C2の一部は、Y方向一方側の制限部92に対してX方向一方側に配置された状態で当該制限部92に当接している。これにより、第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aが第1ターミナル28T1のケーブル接合部28A上に位置している状態が保たれるようになっている。また、第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aは第1ターミナル28T1のケーブル接合部28Aに図示しないはんだを介して接合(固定)されている。
【0060】
第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80B及び第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bは、Z方向一方側から見て第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aと隣接する領域において交差している。なお、Z方向一方側から見て第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2とが交差している部分を交差部分90と呼ぶことにする。第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90においては、第2ケーブル80C2が第1ケーブル80C1に対してZ方向一方側に配置されている。
【0061】
第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の外側に配置される部分80C及び第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の外側に配置される部分80Cは、フレーム本体22からX方向一方側へ引き出された状態となっている。第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の外側に配置される部分80C及び第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の外側に配置される部分80Cは、互いに螺旋状に捩じられている。これにより、第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の外側に配置される部分80C及び第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の外側に配置される部分80Cが互いに離間し難くなっている。
【0062】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0063】
図1~
図6に示されるように、以上説明したアクチュエータ10では、可動子14が弾性支持体16に支持されており、コイル24に通電していない状態では、可動子14が
図1に示す原点位置にある。本実施形態のアクチュエータ10では、コイル24がフレーム本体22に固定され、マグネット52等が可動子14に設けられた構成となっている。そのため、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2並びに第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2を介してコイル24に通電することにより、可動子14には、コイル24から発生する力の反力としての推力が発生する。そして、コイル24に交流を通電させることにより、可動子14が重心軸AXに沿って上下方向に振動する。
【0064】
ここで、
図6に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10では、第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bが、第1ケーブル80C1のフレーム本体22からの引き出し方向(X方向一方側)に対してY方向他方側に曲げられて配置されている。これにより、第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bが、第1ケーブル80C1のフレーム本体22から引き出し方向(X方向一方側)と同一直線上に延伸して配置されている構成と比べて、第1ケーブル80C1においてフレーム本体22から引出されている部分80Cが振動した際や引っ張られた際に、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80Aを第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aに接合するためのはんだ付け部に生じる応力が高まることを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bが、第2ケーブル80C2のフレーム本体22からの引き出し方向(X方向一方側)に対してY方向一方側に曲げられて配置されている。これにより、第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bが、第2ケーブル80C2のフレーム本体22から引き出し方向(X方向一方側)と同一直線上に延伸して配置されている構成と比べて、第2ケーブル80C2においてフレーム本体22から引出されている部分80Cが振動した際や引っ張られた際に、第2ケーブルのはんだ接合部80Aを第1ターミナル28T1のケーブル接合部28Aに接合するためのはんだ付け部に生じる応力が高まることを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90が形成されるように第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80B及び第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bが配置されている。これに加えて、本実施形態では、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90が第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aに沿って配置されている。この構成では、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2が、フレーム本体22に対して引っ張られると、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90が、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aに引っ掛かる。これにより、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2のフレーム本体22からの引っ張りに伴う抜け出しを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aが、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2において第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2にそれぞれはんだ付けで固定されている部分(はんだ接合部80A)に対してX方向一方側に位置している。これにより、第1差込部84H1に差込まれた第1ケーブル80C1と第2差込部84H2に差込まれた第2ケーブル80C2との交差部分90を緩やかに湾曲させることができる。その結果、当該交差部分90が鋭角に曲げられることに伴う断線等を防止又は抑制することができる。
【0068】
また、
図8に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10では、第1差込部84H1のZ方向への内径の最大値DZ1が、第2差込部84H2のZ方向への内径の最大値DZ2と比べて大きな寸法に設定されている。これにより、第1ケーブル80C1において第1差込部84H1に差込まれている部分の位置を第2ケーブル80C2において第2差込部84H2に差込まれている部分に対してZ方向に微調整することができる。その結果、第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80B及び第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bの配置作業を良好にすることができる。
【0069】
また、
図6に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10では、フレーム本体22の内部において可動子14(
図1参照)が配置されている側と第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90が配置されている側とをX方向に隔てる第2隔壁部88が設けられている。これにより、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90に弛み等が生じたとしても、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90と可動子14とが接触することを防止又は抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第1ケーブル80C1の一部及び第2ケーブル80C2の一部を一対の制限部92にそれぞれ当接させると、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80A及び第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aの変位が制限される。特に、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2のスプリングバックに伴うはんだ接合部80AのX方向他方側への変位が制限される。これにより、はんだ接合部80Aの第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2へのはんだ付け作業を良好にすることができる。また、一対の制限部92を有することにより、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80A及び第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aのバタつき(暴れ)を抑制することができる。
【0071】
なお、本実施形態のアクチュエータ10では、第1ケーブル80C1の一部及び第2ケーブル80C2の一部を一対の制限部92にそれぞれ当接させた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80A及び第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aの変位を制限するための治具を用いてはんだ付け作業を行う製法を採る場合においては、一対の制限部92を設けない構成としてもよい。
【0072】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90と可動子14との接触を防止又は抑制するための第2隔壁部88を設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90と可動子14との接触が想定されないほどのクリアランスが両者の間にある構成においては、第2隔壁部88を設けない構成としてもよい。
【0073】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第1差込部84H1のZ方向への内径の最大値DZ1が、第2差込部84H2のZ方向への内径の最大値DZ2と比べて大きな寸法に設定されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1差込部84H1及び第2差込部84H2の内径は、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2の配置経路等を考慮して適宜設定すればよい。
【0074】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aが、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2において第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2にそれぞれはんだ付けで固定されている部分(はんだ接合部80A)に対してX方向一方側に位置している例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内部側の端部86Aの位置についても第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2の配置経路等を考慮して適宜設定すればよい。
【0075】
また、本実施形態のアクチュエータ10では、第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90が形成されるように第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80B及び第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内部に配置されている部分80Bが延伸して配置されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1ケーブル80C1と第2ケーブル80C2との交差部分90が形成されるようにするか否かについては、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2のフレーム本体22からの引っ張り荷重の想定値等を考慮して適宜設定すればよい。
【0076】
(第2実施形態)
次に、
図9~
図14を用いて、本発明の第2実施形態に係るアクチュエータ94について説明する。なお、第2実施形態のアクチュエータ94において、前述の第1実施形態のアクチュエータ10と対応する部材及び部分には、第1実施形態のアクチュエータ10と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0077】
図9及び
図10に示されるように、本実施形態のアクチュエータ94の構成は、第1実施形態のアクチュエータ10の構成と同様の構成となっているが、以下の点が第1実施形態のアクチュエータ10の構成と異なる。
【0078】
図11、
図12、
図13及び
図14に示されるように、フレーム本体22におけるX方向一方側の第1側壁部36におけるY方向の中央部、中央突出部44及び底壁部30の一部分は、一対のケーブル80が差込まれるケーブル差込部82となっている。
【0079】
ケーブル差込部82には、フレーム本体22においてコイル24が設けられている側へ向けて凹むように形成されたケーブル収容部96が形成されている。
図10、
図12及び
図14に示されるように、ケーブル収容部96は、Z方向他方側が開放された構成となっている。
【0080】
ケーブル収容部96は、X方向一方側が開放された第1差込部84H1及び第2差込部84H2を備えている。第1差込部84H1及び第2差込部84H2は、Y方向に並んで配置されている。また、ケーブル収容部96は、第1差込部84H1におけるX方向他方側と第2差込部84H2におけるX方向他方側とをY方向に接続する接続部96Aを備えている。
【0081】
ケーブル収容部96内には、第1差込部84H1と第2差込部84H2とをY方向に隔てる第1隔壁部86が設けられている。この第1隔壁部86における接続部96A側の端部86Aの形状は、Z方向他方側から見てY方向の両端部が湾曲した形状となっている。
【0082】
また、ケーブル収容部96は、接続部96Aの開放端側(Z方向他方側)におけるY方向の一方側の端部からY方向一方側へ向けて形成された溝状の係止溝96Bを備えている。さらに、ケーブル収容部96は、接続部96Aの開放端側(Z方向他方側)におけるY方向の他方側の端部からY方向他方側へ向けて形成された溝状の係止溝96Bを備えている。これら係止溝96Bは、制限部の一例である。
【0083】
また、ケーブル収容部96は、一方の係止溝96Bを介して接続部96Aとつながっている端末配置凹部96Cを備えている。さらに、ケーブル収容部96は、他方の係止溝96Bを介して接続部96Aとつながっている端末配置凹部96Cを備えている。これらの端末配置凹部96Cは、Z方向一方側へ向けて凹んだ形状となっている。また、一方の端末配置凹部96Cの底においては、第1ターミナル28T1のケーブル接合部28Aが露出しており、他方の端末配置凹部96Cの底においては、第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aが露出している。
【0084】
また、取付用接着シート26においてケーブル収容部96、係止溝96B及び端末配置凹部96Cと対応する部分は、ケーブル収容部96、係止溝96B及び端末配置凹部96CをZ方向他方側から見た形状に切り取られている。これにより、ケーブル収容部96、係止溝96B及び端末配置凹部96CのZ方向他方側が、取付用接着シート26によって塞がれないようになっている。
【0085】
図10、
図12及び
図13に示されるように、第1ケーブル80C1は、ケーブル差込部82に形成された第1差込部84H1からフレーム本体22の内側に差込まれる。第1ケーブル80C1においてフレーム本体22の内側に配置されている部分80Bは、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内側の端部86Aに沿ってY方向他方側へ向けて曲げられて配置されている。また、第1ケーブル80C1の一部は、Y方向他方側の係止溝96B内に配置された状態で当該係止溝96Bに当接及び係止されている。これにより、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80Aが、Y方向他方側の端末配置凹部96C内に配置されて第2ターミナル28T2のケーブル接合部28A上に位置している状態が保たれるようになっている。また、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80Aは第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aにはんだを介して接合(固定)されている。
【0086】
第2ケーブル80C2は、ケーブル差込部82に形成された第2差込部84H2からフレーム本体22の内側に差込まれる。第2ケーブル80C2においてフレーム本体22の内側に配置されている部分80Bは、第1隔壁部86におけるフレーム本体22の内側の端部86Aに沿ってY方向一方側へ向けて曲げられて配置されている。また、第2ケーブル80C2の一部は、Y方向一方側の係止溝96B内に配置された状態で当該係止溝96Bに当接及び係止されている。これにより、第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aが、Y方向一方側の端末配置凹部96C内に配置されて第1ターミナル28T1のケーブル接合部28A上に位置している状態が保たれるようになっている。また、第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aは第1ターミナル28T1のケーブル接合部28Aにはんだを介して接合(固定)されている。
【0087】
図9~
図14に示されるように、以上説明した本実施形態のアクチュエータ94では、第1実施形態のアクチュエータ10と同様に、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80A及び第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aを第2ターミナル28T2のケーブル接合部28A及び第2ターミナル28T2のケーブル接合部28Aにそれぞれ接合するためのはんだ付け部に生じる応力が高まることを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態のアクチュエータ94では、コイル24側へ向けて凹んでいるケーブル収容部96がケーブル差込部82に形成されている。この構成では、例えば、アクチュエータの最終組立段階で、第1ケーブル80C1の一部分及び第2ケーブル80C2の一部分をケーブル収容部96に収容することができる。また、ケーブル収容部96がコイル側へ向けて凹んでいる構成とすることで、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2とコイルとの距離を近づけることができる。これにより、第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2におけるケーブル接合部28Aとコイル端末接合部28Bとの距離を短くすることができる。その結果、第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2に必要な材料を削減することができる。
【0089】
また、本実施形態のアクチュエータ94では、第1ケーブル80C1及び第2ケーブル80C2をケーブル収容部96に収容した状態では、第1ケーブル80C1のはんだ接合部80Aが第2ターミナル28T2のケーブル接合部28A上に位置している状態が保たれる。また、第2ケーブル80C2のはんだ接合部80Aが第1ターミナル28T1のケーブル接合部28A上に位置している状態が保たれる。これにより、はんだ接合部80Aの第1ターミナル28T1及び第2ターミナル28T2へのはんだ付け作業を良好にすることができる。
【0090】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
10 アクチュエータ
12 取付部材
14 可動子
24 コイル
28 ターミナル
28A ケーブル接合部
52 マグネット
80 ケーブル
80A はんだ接合部(ケーブルにおいて取付部材の内部に配置されている側の端部)
80B ケーブルにおいてフレーム本体の内部に配置されている部分(ケーブルにおいて取付部材の内部に配置されている部分)
84H1 第1差込部
84H2 第2差込部
86 第1隔壁部
86A 第1隔壁部におけるフレーム本体の内部側の端部(第1隔壁部における取付部88 第2隔壁部
90 交差部分
材の内部側の端部)
92 制限部
96 ケーブル収容部
96B 係止溝(制限部)