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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068480
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240513BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178977
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梨子田 典弘
(57)【要約】
【課題】配線部材の傾斜に起因した接合材の厚さの不足または不均一を抑制する。
【解決手段】半導体モジュール100は、主電極412を含む半導体チップ41と、主電極422を含む半導体チップ42と、導電パターン13bと、配線部材5とを具備する。配線部材5は、接続部分50と第1部分51と第2部分52と連結部分54とを含む。連結部分54は、接続部分50と第1部分51と第2部分52とを連結する。接続部分50の接続面F0には接続突起60が形成され、第1部分51の第1接続面F1には第1突起61が形成され、第2部分52の第2接続面F2には第2突起62が形成される。導電パターン13bと接続面F0とは接合材501により接合され、主電極412と第1接続面F1とは第1接合材511により接合され、主電極422と第2接続面F2とは第2接合材521により接合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主電極を含む第1半導体チップと、
第2主電極を含む第2半導体チップと、
導電パターンと、
配線部材とを具備し、
前記配線部材は、
前記導電パターンに対向する接続面を含む接続部分と、
前記第1主電極に対向する第1接続面を含む第1部分と、
前記第2主電極に対向する第2接続面を含む第2部分と、
前記接続部分と前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部分と、
前記接続面から前記導電パターンに向けて突出する接続突起と、
前記第1接続面から前記第1主電極に向けて突出する第1突起と、
前記第2接続面から前記第2主電極に向けて突出する第2突起とを含み、
前記導電パターンと前記接続面との間の接合材により前記導電パターンと前記接続面とが相互に接合され、
前記第1主電極と前記第1接続面との間の第1接合材により前記第1主電極と前記第1接続面とが相互に接合され、
前記第2主電極と前記第2接続面との間の第2接合材により前記第2主電極と前記第2接続面とが相互に接合される
半導体モジュール。
【請求項2】
前記配線部材は、平面視で線対称の形状である
請求項1の半導体モジュール。
【請求項3】
前記配線部材は、対称面を挟んで面対称の形状である
請求項1の半導体モジュール。
【請求項4】
前記連結部分は、
前記接続部分と前記第1部分とを相互に連結する第1配線部と、
前記接続部分と前記第2部分とを相互に連結する第2配線部とを含み、
前記第1配線部と前記第2配線部とは、相互に離間した位置において前記接続部分に連結される
請求項1の半導体モジュール。
【請求項5】
前記接続面には、前記接続突起を含む複数の接続突起が設置される
請求項1の半導体モジュール。
【請求項6】
前記接続部分は、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとが配列する第1方向に長尺な平面形状であり、
前記複数の接続突起は、前記第1方向に相互に間隔をあけて配列される
請求項5の半導体モジュール。
【請求項7】
前記第1接続面には1個の前記第1突起が形成され、
前記第2接続面には1個の前記第2突起が形成される
請求項6の半導体モジュール。
【請求項8】
第3主電極を含む第3半導体チップをさらに具備し、
前記配線部材は、
前記第3主電極に対向する第3接続面を含む第3部分と、
前記第3接続面から前記第3主電極に向けて突出する第3突起とを含み、
前記第3主電極と前記第3接続面との間の第3接合材により前記第3主電極と前記第3接続面とが相互に接合される
請求項1の半導体モジュール。
【請求項9】
前記接続突起の形状または寸法と、前記第1突起および前記第2突起の形状または寸法とは相違する
請求項1の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体チップを含む各種の半導体モジュールが従来から提案されている。例えば特許文献1には、絶縁基板上の銅回路パターンと半導体チップとがリードフレームにより電気的に接続された構成が開示されている。リードフレームのうち銅回路パターンおよび半導体チップに対向する部分には、突起が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-72098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、半導体モジュールの製造の過程においてリードフレームが傾斜する可能性がある。リードフレームが傾斜した状態では、銅回路パターンまたは半導体チップにリードフレームを接合するための接合材(例えばはんだ)の厚さが不均一化または不足する可能性がある。以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、配線部材の傾斜に起因した接合材の厚さの不足または不均一を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る半導体モジュールは、第1主電極を含む第1半導体チップと、第2主電極を含む第2半導体チップと、導電パターンと、配線部材とを具備し、前記配線部材は、前記導電パターンに対向する接続面を含む接続部分と、前記第1主電極に対向する第1接続面を含む第1部分と、前記第2主電極に対向する第2接続面を含む第2部分と、前記接続部分と前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部分と、前記接続面から前記導電パターンに向けて突出する接続突起と、前記第1接続面から前記第1主電極に向けて突出する第1突起と、前記第2接続面から前記第2主電極に向けて突出する第2突起とを含み、前記導電パターンと前記接続面との間の接合材により前記導電パターンと前記接続面とが相互に接合され、前記第1主電極と前記第1接続面との間の第1接合材により前記第1主電極と前記第1接続面とが相互に接合され、前記第2主電極と前記第2接続面との間の第2接合材により前記第2主電極と前記第2接続面とが相互に接合される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体モジュールの平面図である。
図2図1におけるII-II線の断面図である。
図3図1におけるIII-III線の断面図である。
図4】配線部材を設置する手順の工程図である。
図5】対比例の平面図である。
図6】第2実施形態における半導体モジュールの平面図である。
図7図6におけるVII-VII線の断面図である。
図8】第3実施形態の態様1における半導体モジュールの平面図である。
図9】第3実施形態の態様2における半導体モジュールの平面図である。
図10】第3実施形態の態様3における半導体モジュールの平面図である。
図11】第3実施形態の態様4における半導体モジュールの平面図である。
図12】第3実施形態の態様5における半導体モジュールの平面図である。
図13】第3実施形態の態様6における半導体モジュールの平面図である。
図14】変形例における半導体モジュールの平面図である。
図15】変形例における半導体モジュールの平面図である。
図16】変形例における配線部材の平面図である。
図17】変形例における配線部材の平面図である。
図18】変形例における半導体モジュールの断面図である。
図19】変形例における配線部材の平面図である。
図20】変形例における配線部材の平面図である。
図21】変形例における配線部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図面においては、各要素の寸法および縮尺が実際の製品とは相違する場合がある。また、以下に説明する形態は、本開示を実施する場合に想定される例示的な一形態である。したがって、本開示の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
【0008】
A:第1実施形態
図1は、第1実施形態における半導体モジュール100の平面図である。図2は、図1におけるII-II線の断面図であり、図3は、図1におけるIII-III線の断面図である。第1実施形態の半導体モジュール100は、例えばインバータ回路等の電力変換装置を構成するパワー半導体装置である。半導体モジュール100は、実装基板1と半導体ユニット2aと封止材3とを具備する。なお、図1においては封止材3の図示が便宜的に省略されている。
【0009】
以下の説明においては、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向の反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向の反対の方向をY2方向と表記する。また、Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向の反対の方向をZ2方向と表記する。半導体モジュール100の任意の要素をZ軸の方向(Z1方向またはZ2方向)に沿って視認することを以下では「平面視」と表記する。
【0010】
なお、実際に使用される場面では、半導体モジュール100は任意の方向に設置され得るが、以下の説明においては便宜的に、Z1方向を下方と想定し、Z2方向を上方と想定する。したがって、半導体モジュール100の任意の要素のうちZ1方向を向く表面が「下面」と表記され、当該要素のうちZ2方向を向く表面が「上面」と表記される場合がある。
【0011】
実装基板1は、半導体ユニット2aが実装される配線基板である。例えばDCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazing)基板、またはIMS(Insulated Metal Substrate)等の基板が、実装基板1として利用される。
【0012】
図2および図3に例示される通り、実装基板1は、絶縁基板11と金属層12と複数の導電パターン13(13a,13b)との積層で構成される。なお、図1においては、絶縁基板11および金属層12の図示が便宜的に省略されている。
【0013】
絶縁基板11は、絶縁材料で形成された矩形状の板状部材である。絶縁基板11は、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料で形成される。なお、絶縁基板11は、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素等のセラミックス材で形成されてもよい。
【0014】
金属層12は、絶縁基板11の下面に設置された矩形状の板状部材である。金属層12は、高熱伝導性の金属材料で形成される。金属層12の材料は任意であるが、例えば銅またはアルミニウム等が例示される。金属層12の表面は、例えばはんだ等の接合材により冷却機構(図示略)に接合される。半導体モジュール100に発生した熱は金属層12から冷却機構に伝達する。冷却機構は、半導体モジュール100を冷却するための水冷機構等の冷却器である。
【0015】
複数の導電パターン13(13a,13b)は、絶縁基板11の上面に形成された板状または膜状の導電体である。各導電パターン13は、低抵抗な導電材料により形成される。各導電パターン13の材料は任意であるが、例えば銅またはアルミニウムが例示される。導電パターン13aと導電パターン13bとは、X軸の方向に相互に間隔をあけて離間する。したがって、導電パターン13aと導電パターン13bとの間隔はY軸の方向に延在する。
【0016】
半導体ユニット2aは、実装基板1に実装される。封止材3は、半導体ユニット2aを封止する絶縁体である。半導体ユニット2aの全体が封止材3により被覆される。封止材3は、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料により形成される。なお、例えば酸化シリコンまたは酸化アルミニウム等の各種のフィラーが封止材3に含有されてもよい。
【0017】
半導体ユニット2aは、半導体チップ41と半導体チップ42と配線部材5とを含む。半導体チップ41は「第1半導体チップ」の一例であり、半導体チップ42は「第2半導体チップ」の一例である。なお、以下の説明においては、半導体チップ41と半導体チップ42とを区別する必要がない場合、半導体チップ41と半導体チップ42とを「半導体チップ4」として包括的に表記する。
【0018】
各半導体チップ4は、導電パターン13aに設置されたパワー半導体チップである。半導体チップ41は、接合材414により導電パターン13aの表面に接合される。半導体チップ42は、接合材424により導電パターン13aの表面に接合される。接合材414および接合材424は、例えば銀ペーストまたははんだ等の導電材料である。
【0019】
図1に例示される通り、半導体チップ41と半導体チップ42とは、Y軸の方向に相互に間隔をあけて配列される。すなわち、半導体チップ41と半導体チップ42とは、対称面Pを挟んで面対称に設置される。対称面Pは、半導体チップ41の重心と半導体チップ42の重心との間の中点を通過し、かつ、XZ平面に平行な平面である。すなわち、対称面Pは、
(1) 実装基板1の表面に平行な平面(XY平面)に直交し、かつ、半導体チップ41の重心と半導体チップ42の重心とを通過する平面(YZ平面)と、
(2) 実装基板1の表面に平行な平面(XY平面)と、
の2つの平面に直交し、かつ、半導体チップ41の重心と半導体チップ42の重心との間の中点を通過する平面である。なお、半導体チップ41および半導体チップ42の位置は一例であり、必要に応じて適宜に変更される。
【0020】
各半導体チップ4は、電流の導通/遮断を切替えるスイッチング素子である、第1実施形態の半導体チップ4は、例えば半導体材料としてSiC(シリコンカーバイド)が利用されたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。各半導体チップ4の平面形状は、例えば1辺が6mm程度の矩形状である。
【0021】
半導体チップ41は、主電極411と主電極412と制御電極413とを含む。主電極411および主電極412は、制御対象となる電流が入力または出力される電極である。主電極411は、半導体チップ41の下面を構成するドレイン電極である。半導体チップ41の主電極411が、接合材414により導電パターン13aに接合される。主電極412は、半導体チップ41の上面を構成するソース電極である。制御電極413は、半導体チップ41のオン/オフを制御するための制御電圧が印加されるゲート電極であり、主電極412とともに半導体チップ41の上面を構成する。なお、半導体チップ41の主電極412は「第1主電極」の一例である。
【0022】
同様に、半導体チップ42は、主電極421と主電極422と制御電極423とを含む。主電極421は、半導体チップ42の下面を構成するドレイン電極であり、接合材424により導電パターン13aに接合される。主電極422は、制御電極423とともに半導体チップ42の上面を構成するソース電極である。制御電極423は、制御電圧が印加されるゲート電極である。なお、半導体チップ42の主電極422は「第2主電極」の一例である。
【0023】
なお、図1においては、半導体チップ41の制御電極413が主電極412のY2方向に位置するが、主電極412と制御電極413との位置関係は以上の例示に限定されない。例えば、制御電極413は、主電極412のX1方向またはY1方向に位置してもよい。同様に、半導体チップ42における主電極422と制御電極423との位置関係も、図1の例示には限定されない。
【0024】
配線部材5は、半導体チップ41および半導体チップ42を導電パターン13bに電気的に接続するための導電体である。すなわち、半導体チップ41と半導体チップ42とは相互に並列に接続される。配線部材5は、導電性の板状部材で構成されるリードフレームである。例えば所定の形状に成形された板状部材のプレス加工により配線部材5が形成される。具体的には、配線部材5は、接続部分50と第1部分51と第2部分52と連結部分54とが一体に構成された構造体である。配線部材5は、全体にわたり一定の板厚に形成される。ただし、配線部材5の板厚は一定でなくてもよい。
【0025】
接続部分50は、平面視で導電パターン13bに重複する矩形状の平坦部分である。したがって、接続部分50は、図1および図2に例示される通り、導電パターン13bに対向する下面(以下「接続面F0」という)を含む。また、接続部分50は、Y軸の方向に長尺な平面形状に形成される。すなわち、接続部分50は、半導体チップ41と半導体チップ42とが配列する方向に長尺である。なお、Y軸の方向(Y1方向またはY2方向)は、「第1方向」の一例である。
【0026】
第1部分51は、平面視で半導体チップ41に重複する矩形状の平坦部分である。具体的には、第1部分51の外縁は、平面視で半導体チップ41の主電極412の外縁の内側に位置する。したがって、図1から図3に例示される通り、第1部分51は、半導体チップ41の主電極412に対向する下面(以下「第1接続面F1」という)を含む。
【0027】
第2部分52は、平面視で半導体チップ42に重複する矩形状の平坦部分である。具体的には、第2部分52の外縁は、平面視で半導体チップ42の主電極422の外縁の内側に位置する。したがって、第2部分52は、図1および図3に例示される通り、半導体チップ42の主電極422に対向する下面(以下「第2接続面F2」という)を含む。
【0028】
図1に例示される通り、第1部分51のうちY1方向に位置する縁辺と第2部分52のうちY2方向に位置する縁辺との距離L1は、Y軸の方向における接続部分50の寸法Dを上回る(L1>D)。また、第1部分51と第2部分52との間隔L2は、Y軸の方向における接続部分50の寸法Dを下回る(L2<D)。
【0029】
連結部分54は、接続部分50と第1部分51と第2部分52とを相互に連結する部分である。連結部分54は、平面視において導電パターン13aと導電パターン13bとにわたりX軸の方向に延在する。したがって、連結部分54は、平面視において導電パターン13aと導電パターン13bとの間隔に交差する。第1実施形態の連結部分54は、第1配線部541と第2配線部542とを含む。
【0030】
第1配線部541は、接続部分50と第1部分51とを相互に連結する部分である。第1配線部541は、所定幅の帯状に形成され、接続部分50と第1部分51との間で立体的に屈曲または湾曲する。具体的には、第1配線部541は、図2に例示される通り、第1部分51よりも高い位置にある頂部540と、第1部分51から頂部540まで斜め上方に延在する部分と、頂部540から接続部分50まで斜め下方に延在する部分とを含む。
【0031】
図1の第2配線部542は、接続部分50と第2部分52とを相互に連結する部分である。第2配線部542は、所定幅の帯状に形成され、第1配線部541と同様に、接続部分50と第2部分52との間で立体的に屈曲または湾曲する。
【0032】
第1配線部541と第2配線部542とは、相互に離間した位置において接続部分50に連結される。すなわち、第1配線部541のうち接続部分50に連結される端部と第2配線部542のうち接続部分50に連結される端部とは、所定の間隔d1をあけて相互に離間する。また、第1配線部541のうち第1部分51に連結される端部と第2配線部542のうち第2部分52に連結される端部との間隔d2は、反対側の端部間の間隔d1を上回る(d2>d1)。すなわち、第1配線部541および第2配線部542は、平面視において対称面Pに対して傾斜する。
【0033】
図1および図2に例示される通り、接続部分50のうち導電パターン13bに対向する接続面F0には、複数の接続突起60(60a,60b)が形成される。各接続突起60は、接続面F0から導電パターン13bに向けてZ1方向に突出する。具体的には、各接続突起60は、所定径の円柱状に形成される。各接続突起60は、板状部材のプレス加工により形成される。したがって、接続部分50のうち接続面F0とは反対側の上面には、各接続突起60に対応する凹部601が形成される。
【0034】
複数の接続突起60(60a,60b)は、平面視でY軸の方向に相互に間隔をあけて配列される。接続部分50のうち第1配線部541および第2配線部542の各々に対応する位置に、接続突起60が形成される。具体的には、接続突起60aは、第1配線部541のうち接続部分50に連結される端部の近傍に位置し、接続突起60bは、第2配線部542のうち接続部分50に連結される端部の近傍に位置する。
【0035】
図1および図2に例示される通り、接続部分50の接続面F0は、接合材501により導電パターン13bに接合される。接合材501は、接続部分50の接続面F0と導電パターン13の表面との間に介在する導電体である。例えば銀ペーストまたははんだ等の導電材料が接合材501として利用される。各接続突起60は、接続面F0と導電パターン13bとの間の接合材501により包囲される。
【0036】
図2に例示される通り、接続突起60の先端は、導電パターン13bの表面に近接する。具体的には、接続部分50の先端は、充分に薄い接合材501を挟んで導電パターン13の表面に対向する。なお、接続突起60の先端は、導電パターン13の表面に接触してもよい。すなわち、接続部分50の接続面F0と導電パターン13bの表面との間隔は、接続突起60の高さ以上である。
【0037】
以上の説明の通り、接続部分50の接続面F0と導電パターン13の表面との間には接続突起60が介在する。したがって、接続部分50の接続面F0と導電パターン13の表面との間には、各接続突起60の高さに相当する間隔が確保される。すなわち、接合材501について接続突起60の高さに相当する厚さが確保される。接合材501について充分な厚さが確保される結果、例えば、接続部分50と導電パターン13との接合の強度が充分に確保されるという利点、および、接続部分50に作用する応力を接合材501により吸収し易いという利点が実現される。以上の説明から理解される通り、接続突起60は、接続部分50の接続面F0と導電パターン13の表面との間隔を所定の寸法に維持するためのスペーサとして機能する。
【0038】
図1から図3に例示される通り、第1部分51のうち半導体チップ41に対向する第1接続面F1には、1個の第1突起61が形成される。第1突起61は、第1接続面F1から半導体チップ41の主電極412に向けてZ1方向に突出する。具体的には、平面視における第1接続面F1の重心に第1突起61が形成される。第1突起61の形状および寸法は、接続突起60と同様である。例えば、第1突起61は、所定径の円柱状に形成される。第1突起61は、板状部材のプレス加工により形成される。したがって、図2および図3に例示される通り、第1部分51のうち第1接続面F1とは反対側の上面には、第1突起61に対応する凹部611が形成される。
【0039】
第1部分51の第1接続面F1は、第1接合材511により半導体チップ41の主電極412に接合される。第1接合材511は、第1接続面F1と主電極412の表面との間に介在する導電体である。例えば銀ペーストまたははんだ等の導電材料が第1接合材511として利用される。第1突起61は、第1接続面F1と主電極412との間の第1接合材511により包囲される。第1突起61の先端は、半導体チップ41の主電極412の表面に近接または接触する。すなわち、第1接続面F1と主電極412との間隔は、第1突起61の高さ以上である。
【0040】
以上の説明の通り、第1部分51の第1接続面F1と主電極412の表面との間には、第1突起61の高さに相当する間隔が確保される。すなわち、第1接合材511について第1突起61の高さに相当する厚さが確保される。第1接合材511について充分な厚さが確保される結果、例えば、第1部分51と主電極412との接合の強度が充分に確保されるという利点、および、第1部分51に作用する応力を第1接合材511により吸収し易いという利点が実現される。以上の説明から理解される通り、第1突起61は、第1部分51の第1接続面F1と主電極412の表面との間隔を所定の寸法に維持するためのスペーサとして機能する。
【0041】
図1および図3に例示される通り、第2部分52のうち半導体チップ42に対向する第2接続面F2には、1個の第2突起62が形成される。第2突起62は、第2接続面F2から半導体チップ42の主電極422に向けてZ1方向に突出する。具体的には、平面視における第2接続面F2の重心に第2突起62が形成される。第2突起62の形状および寸法は、接続突起60および第1突起61と同様である。例えば、第2突起62は、所定径の円柱状に形成される。第2突起62は、板状部材のプレス加工により形成される。したがって、図3に例示される通り、第2部分52のうち第2接続面F2とは反対側の上面には、第2突起62に対応する凹部621が形成される。
【0042】
第2部分52の第2接続面F2は、第2接合材521により半導体チップ42の主電極422に接合される。第2接合材521は、第2接続面F2と主電極422の表面との間に介在する導電体である。例えば銀ペーストまたははんだ等の導電材料が第2接合材521として利用される。第2突起62は、第2接続面F2と主電極422との間の第2接合材521により包囲される。第2突起62の先端は、半導体チップ42の主電極422の表面に近接または接触する。すなわち、第2接続面F2と主電極422との間隔は、第2突起62の高さ以上である。
【0043】
以上の説明の通り、第2接合材521について第2突起62の高さに相当する厚さが確保される。したがって、例えば、第2部分52と主電極422との接合の強度が充分に確保されるという利点、および、第2部分52に作用する応力を第2接合材521により吸収し易いという利点がある。以上の説明から理解される通り、第2突起62は、第2部分52の第2接続面F2と主電極422の表面との間隔を所定の寸法に維持するためのスペーサとして機能する。
【0044】
図1から理解される通り、第1実施形態の配線部材5は、平面視で線対称の形状である。具体的には、配線部材5は、X軸に平行な対称軸に関して平面視で線対称である。対称軸は、対称面Pの面内においてX軸に平行な軸線である。なお、配線部材5について「線対称」とは、配線部材5が完全に線対称である場合のほか、配線部材5が実質的に線対称である場合も包含する。「配線部材5が実質的に線対称である場合」とは、対称軸を挟んで完全に線対称である仮想的な形状(以下「仮想形状」という)からの差異が製造誤差の範囲内にある場合である。例えば、配線部材5と仮想形状との寸法の誤差が±10%(より好適には±5%)である場合には、配線部材5は「線対称」であると解釈される。
【0045】
また、第1実施形態の配線部材5は、半導体チップ41と半導体チップ42との間の対称面Pを挟んで面対称の立体形状である。配線部材5について「面対称」とは、配線部材5が完全に面対称である場合のほか、配線部材5が実質的に面対称である場合も包含する。「配線部材5が実質的に面対称である場合」とは、対称面Pを挟んで完全に面対称である仮想的な立体形状(以下「仮想立体」という)からの差異が製造誤差の範囲内にある場合である。例えば、配線部材5と仮想立体との寸法の誤差が±10%(より好適には±5%)である場合には、配線部材5は「面対称」であると解釈される。
【0046】
図4は、配線部材5を設置する手順の工程図である。まず、平板状の接合材(501,511,521)が設置される(S1)。すなわち、導電パターン13bの面上に接合材501が載置され、半導体チップ41の主電極412の面上に第1接合材511が載置され、半導体チップ42の主電極422の面上に第2接合材521が載置される。次に、配線部材5が配置される(S2)。具体的には、接続部分50が接合材501の面上に位置し、第1部分51が第1接合材511の面上に位置し、第2部分52が第2接合材521の面上に位置するように、配線部材5が治具により支持される。
【0047】
以上の状態において、各接合材が加熱により溶融される(S3)。例えば、各接合材は300℃程度の高温に加熱される。接合材の溶融により配線部材5は降下する。すなわち、接続突起60は接合材501の内部に進入し、第1突起61は第1接合材511の内部に進入し、第2突起62は第2接合材521の内部に進入する。以上の状態において各接合材が硬化される(S4)。接合材の硬化により配線部材5が固定される。配線部材5を設置する手順は以上の通りである。
【0048】
ところで、半導体チップ41の主電極412と半導体チップ42の主電極422とを導電パターン13bに電気的に接続する構成としては、例えば図5に例示される形態(以下「対比例」という)も想定される。対比例は、第1実施形態の配線部材5が、配線部材5aおよび配線部材5bとに置換された形態である。配線部材5aと配線部材5bとは相互に別体で構成される。
【0049】
配線部材5aは、半導体チップ41の主電極412と導電パターン13bとを電気的に接続するリードフレームである。配線部材5aのうち導電パターン13bに対向する接続面Faには1個の接続突起60aが形成される。接続面Faは接合材501により導電パターン13bに接合される。また、配線部材5aのうち半導体チップ41の主電極412に対向する第1接続面F1には1個の第1突起61が形成される。第1接続面F1は第1接合材511により主電極412に接合される。
【0050】
同様に、配線部材5bは、半導体チップ42の主電極422と導電パターン13bとを電気的に接続するリードフレームである。配線部材5bのうち接合材501により導電パターン13bに接合される接続面Fbには、1個の接続突起60bが形成される。また、配線部材5aのうち第2接合材521により主電極422に接合される第2接続面F2には、1個の第2突起62が形成される。
【0051】
対比例においては、配線部材5aが2個の突起(60a,61)により支持される。したがって、製造工程のうち接合材が溶融される過程においては、配線部材5aの姿勢が安定しない。すなわち、配線部材5aが設計上の姿勢に対して傾斜する可能性がある。配線部材5aが傾斜した状態で接合材(501,511)が硬化すると、接合材の厚さが不均一となり、結果的に接合材の厚さが部分的に不足する可能性がある。そして、接合材の厚さが不足した部分においては、接合の強度が不足するという問題、または接合材により応力を充分に吸収されないという問題が想定される。なお、以上の説明では配線部材5aに便宜的に着目したが、配線部材5bについても同様の問題が想定される。
【0052】
なお、対比例において、配線部材5aの第1接続面F1に複数の第1突起61が形成されれば、配線部材5aが3点以上で支持されることで傾斜は抑制される。しかし、半導体チップ41が小型である形態では、配線部材5aの第1接続面F1に複数の第1突起61を形成する領域を確保することが困難である。配線部材5bについても同様である。
【0053】
以上に説明した対比例とは対照的に、第1実施形態においては、導電パターン13bに向けて突出する接続突起60と、半導体チップ41の主電極412に向けて突出する第1突起61と、半導体チップ42の主電極422に向けて突出する第2突起62とが、配線部材5に設置される。すなわち、配線部材5が3点以上で支持される。したがって、第1突起61または第2突起62の個数が少ない場合でも、配線部材5の姿勢は安定的に維持される。すなわち、設計上の姿勢に対して配線部材5が傾斜する可能性を低減できる。したがって、配線部材5の傾斜に起因した接合材(501,511,521)の厚さの不均一を抑制できる。
【0054】
第1実施形態においては特に、配線部材5が線対称であるから、配線部材5が非対称の形状である形態と比較して、配線部材5の姿勢が安定的に維持され易い。したがって、配線部材5の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。さらに第1実施形態においては、配線部材5が面対称である。以上の構成によれば、配線部材5の重心が対称面P上に位置するから、配線部材5が非対称の形状である形態と比較して、配線部材5の姿勢が安定的に維持され易い。したがって、配線部材5の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。
【0055】
また、第1実施形態においては、接続部分50の接続面F0に複数の接続突起60が設置されるから、接続面F0に1個の接続突起60のみが設置される形態と比較して、配線部材5の姿勢が安定的に維持され易い。したがって、配線部材5の傾斜に起因した接合材(501,511,521)の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。第1実施形態においては特に、接続部分50の長手方向に相互に間隔をあけて複数の接続突起60(60a,60b)が配列される。したがって、X方向に複数の接続突起60が配列される構成と比較して、配線部材5の姿勢が安定的に維持され易い。すなわち、配線部材5の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。
【0056】
また、第1実施形態においては、第1接続面F1に1個の第1突起61が形成され、第2接続面F2に1個の第2突起62が形成される。したがって、第1接続面F1に複数の第1突起61が形成された形態、または、第2接続面F2に複数の第2突起62が形成された形態と比較すると、半導体チップ41または半導体チップ42が小型でも、接合材(第1接合材511,第2接合材521)による接合の面積を確保し易い。
【0057】
B:第2実施形態
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0058】
図6は、第2実施形態における半導体モジュール100の平面図である。図7は、図6におけるVII-VII線の断面図である。図6および図7に例示される通り、第2実施形態の半導体ユニット2bは、3個の半導体チップ4(41,42,43)と配線部材5とを含む。3個の半導体チップ4は、Y軸の方向に相互に間隔をあけて配列される。具体的には、半導体チップ41と半導体チップ42との間に半導体チップ43が位置する。すなわち、3個の半導体チップ4は、対称面Pを挟んで面対称に設置される。なお、実装基板1および封止材3は第1実施形態と同様である。3個の半導体チップ(41,42,43)の位置は一例であり、必要に応じて適宜に変更される。
【0059】
各半導体チップ4(41,42,43)の構成は第1実施形態と同様である。すなわち、半導体チップ41は、主電極411と主電極412と制御電極413とを含み、半導体チップ42は、主電極421と主電極422と制御電極423とを含む。また、半導体チップ43も同様に、主電極431と主電極432と制御電極433とを含む。主電極431は、半導体チップ43の下面を構成するドレイン電極であり、主電極432は、半導体チップ43の上面を構成するソース電極である。制御電極433は、主電極432とともに半導体チップ43の上面を構成するゲート電極である。なお、半導体チップ43は「第3半導体チップ」の一例であり、主電極432は「第3主電極」の一例である。
【0060】
配線部材5は、複数の半導体チップ4(41,42,43)と導電パターン13bとを電気的に接続するための導電体である。すなわち、半導体チップ41と半導体チップ42と半導体チップ43とは、相互に並列に接続される。第2実施形態の配線部材5は、接続部分50と第1部分51と第2部分52と第3部分53と連結部分54とが一体に構成された構造体である
【0061】
接続部分50は、第1実施形態と同様に、平面視で導電パターン13bに重複する矩形状の平坦部分である。接続部分50のうち導電パターン13bに対向する接続面F0には、相異なる半導体チップ4(41,42,43)に対応する3個の接続突起60(60a,60b,60c)が形成される。各接続突起60は、接続面F0から導電パターン13bに向けてZ1方向に突出する。具体的には、第1実施形態と同様に、各接続突起60は、板状部材のプレス加工により所定径の円柱状に形成される。複数の接続突起60(60a,60b,60c)は、平面視でY軸の方向に相互に間隔をあけて配列される。
【0062】
第1実施形態と同様に、第1部分51は、半導体チップ41の主電極412に対向する第1接続面F1を含み、第2部分52は、半導体チップ42の主電極422に対向する第2接続面F2を含む。また、第1接続面F1には1個の第1突起61が形成され、第2接続面F2には1個の第2突起62が形成される。
【0063】
図6および図7に例示される通り、第3部分53は、平面視で半導体チップ43に重複する矩形状の平坦部分である。具体的には、第3部分53の外縁は、平面視で半導体チップ43の主電極432の外縁の内側に位置する。したがって、第3部分53は、半導体チップ43の主電極432に対向する下面(以下「第3接続面F3」という)を含む。第3部分53は、平面視で第1部分51と第2部分52との間に位置する。すなわち、第1部分51と第2部分52と第3部分53とは、Y軸の方向に相互に間隔をあけて配列される。
【0064】
第3部分53の第3接続面F3には1個の第3突起63が形成される。第3突起63は、第3接続面F3から半導体チップ43の主電極432に向けてZ1方向に突出する。具体的には、平面視における第3接続面F3の重心に第3突起63が形成される。第3突起63の形状および寸法は、第1突起61および第2突起62と同様である。例えば、第3突起63は、所定径の円柱状に形成される。第3突起63は、板状部材のプレス加工により形成される。したがって、図7に例示される通り、第3部分53のうち第3接続面F3とは反対側の上面には、第3突起63に対応する凹部631が形成される。
【0065】
第3部分53の第3接続面F3は、第3接合材531により半導体チップ43の主電極432に接合される。第3接合材531は、第3接続面F3と主電極432の表面との間に介在する導電体である。例えば銀ペーストまたははんだ等の導電材料が第3接合材531として利用される。第3突起63は、第3接続面F3と主電極432との間の第3接合材531により包囲される。第2突起62の先端は、半導体チップ43の主電極432の表面に近接または接触する。
【0066】
図6に例示される通り、第2実施形態の連結部分54は、第1実施形態と同様の第1配線部541および第2配線部542に加えて第3配線部543を含む。第3配線部543は、第1配線部541と第2配線部542との間においてX軸の方向に延在する。具体的には、第3配線部543は、第1配線部541および第2配線部542と同様に、所定幅の帯状に形成され、接続部分50と第3部分53との間で立体的に屈曲または湾曲する。
【0067】
第1配線部541と第2配線部542と第3配線部543とは、相互に離間した位置において接続部分50に連結される。すなわち、第1配線部541のうち接続部分50に連結される端部と、第2配線部542のうち接続部分50に連結される端部と、第3配線部543のうち接続部分50に連結される端部とは、所定の間隔をあけて相互に離間する。接続突起60aは、第1配線部541の端部の近傍に位置し、接続突起60bは、第2配線部542の端部の近傍に位置し、接続突起60cは、第3配線部543の端部の近傍に位置する。
【0068】
以上の説明から理解される通り、第2実施形態の配線部材5は、平面視で線対称の形状である。具体的には、配線部材5は、X軸に平行な対称軸に関して平面視で線対称である。また、第2実施形態の配線部材5は、対称面Pを挟んで面対称の立体形状である。すなわち、配線部材5の重心は対称面P上に位置する。
【0069】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態においては、3個の半導体チップ4が並列に接続されるから、2個の半導体チップ4が並列に接続された形態(第1実施形態)と比較して大電流を制御できる。
【0070】
C:第3実施形態
第3実施形態においては、第1実施形態の半導体ユニット2aまたは第2実施形態の半導体ユニット2bの使用例を説明する。図8から図13に例示される通り、第3実施形態の実装基板1は、導電パターン13pと導電パターン13nと導電パターン13oと制御配線13g1と制御配線13g2とが、絶縁基板11の上面に形成された配線基板である。
【0071】
導電パターン13pには電源端子81が接続される。電源端子81には、外部電源から高位側の電源電圧が供給される。導電パターン13nには電源端子82が接続される。電源端子82には、外部電源から低位側の電源電圧が供給される。導電パターン13oには出力端子83が接続される。出力端子83は、例えば電動機等の負荷装置に電力を供給するための接続端子である。平面視で導電パターン13pと導電パターン13nとの間に導電パターン13oが位置する。
【0072】
制御配線13g1および制御配線13g2には、各半導体チップ4のオン/オフを制御するための制御電圧が駆動回路(図示略)から供給される。制御配線13g1と導電パターン13oとの間に導電パターン13pが位置し、制御配線13g2と導電パターン13oとの間に導電パターン13nが位置する。
【0073】
図8から図13に例示される通り、半導体モジュール100は、上アーム部A1と下アーム部A2とを含む。上アーム部A1は、導電パターン13pと導電パターン13oとの導通/絶縁を切替えるスイッチである。下アーム部A2は、導電パターン13oと導電パターン13pとの導通/絶縁を切替えるスイッチである。
【0074】
[態様1]
図8に例示される態様1においては、上アーム部A1および下アーム部A2の各々が、第1実施形態に例示した3個の半導体ユニット2aにより構成される。すなわち、上アーム部A1および下アーム部A2の各々は、相互に並列に接続された6個の半導体チップ4を含む。上アーム部A1の各半導体チップ4における制御電極(413,423)は、例えばワイヤ14を介して制御配線13g1に電気的に接続される。下アーム部A2の各半導体チップ4における制御電極(413,423)は、例えばワイヤ14を介して制御配線13g2に電気的に接続される。
【0075】
上アーム部A1の各半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52が、導電パターン13pに接合される。上アーム部A1の各半導体ユニット2aにおける接続部分50と、下アーム部A2の各半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52とが、導電パターン13oに接合される。また、下アーム部A2の各半導体ユニット2aにおける接続部分50が、導電パターン13nに接合される。
【0076】
[態様2]
図9に例示される態様2においては、上アーム部A1および下アーム部A2の各々が、第2実施形態に例示した2個の半導体ユニット2bにより構成される。すなわち、態様1と同様に、上アーム部A1および下アーム部A2の各々は、相互に並列に接続された6個の半導体チップ4を含む。
【0077】
上アーム部A1の各半導体ユニット2bにおける第1部分51と第2部分52と第3部分53とが、導電パターン13pに接合される。上アーム部A1の各半導体ユニット2aにおける接続部分50と、下アーム部A2の各半導体ユニット2aにおける第1部分51、第2部分52および第3部分53とが、導電パターン13oに接合される。また、下アーム部A2の各半導体ユニット2aにおける接続部分50が、導電パターン13nに接合される。
【0078】
[態様3]
図10に例示される態様3においては、上アーム部A1および下アーム部A2の各々が、第1実施形態の1個の半導体ユニット2aと第2実施形態の1個の半導体ユニット2bとにより構成される。すなわち、上アーム部A1および下アーム部A2の各々は、相互に並列に接続された5個の半導体チップ4を含む。
【0079】
上アーム部A1の半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52と、半導体ユニット2bにおける第1部分51、第2部分52および第3部分53とが、導電パターン13pに接合される。上アーム部A1の半導体ユニット2aおよび半導体ユニット2bにおける接続部分50と、下アーム部A2の半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52と、下アーム部A2の半導体ユニット2bにおける第1部分51、第2部分52および第3部分53とが、導電パターン13oに接合される。また、下アーム部A2の半導体ユニット2aおよび半導体ユニット2bにおける接続部分50が、導電パターン13nに接合される。
【0080】
[態様4]
図11に例示される態様4においては、上アーム部A1および下アーム部A2の各々が、2個の半導体ユニット2aにより構成される。すなわち、上アーム部A1および下アーム部A2の各々は、相互に並列に接続された4個の半導体チップ4を含む。
【0081】
上アーム部A1の各半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52が、導電パターン13pに接合される。上アーム部A1の各半導体ユニット2aにおける接続部分50と、下アーム部A2の各半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52とが、導電パターン13oに接合される。また、下アーム部A2の各半導体ユニット2aにおける接続部分50が、導電パターン13nに接合される。
【0082】
[態様5]
図12に例示される態様5においては、上アーム部A1および下アーム部A2の各々が、1個の半導体ユニット2bにより構成される。すなわち、上アーム部A1および下アーム部A2の各々は、相互に並列に接続された3個の半導体チップ4を含む。
【0083】
上アーム部A1の半導体ユニット2bにおける第1部分51と第2部分52と第3部分53とが、導電パターン13pに接合される。上アーム部A1の半導体ユニット2bにおける接続部分50と、下アーム部A2の半導体ユニット2bにおける第1部分51、第2部分52および第3部分53とが、導電パターン13oに接合される。また、下アーム部A2の半導体ユニット2bにおける接続部分50が、導電パターン13nに接合される。
【0084】
[態様6]
図13に例示される態様6においては、上アーム部A1および下アーム部A2の各々が、1個の半導体ユニット2aにより構成される。すなわち、上アーム部A1および下アーム部A2の各々は、相互に並列に接続された2個の半導体チップ4を含む。
【0085】
上アーム部A1の半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52が、導電パターン13pに接合される。上アーム部A1の半導体ユニット2aにおける接続部分50と、下アーム部A2の半導体ユニット2aにおける第1部分51および第2部分52とが、導電パターン13oに接合される。また、下アーム部A2の半導体ユニット2aにおける接続部分50が、導電パターン13nに接合される。
【0086】
D:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。なお、以下の説明においては、第1部分51の第1突起61に便宜的に着目する場合がある。第1突起61(第1部分51)に関する変形は、第2突起62(第2部分52)および第3突起63(第3部分53)にも同様に適用される。
【0087】
(1)配線部材5の形状は、前述の各形態の例示に限定されない。例えば、図14または図15に例示する形状の配線部材5が採用されてもよい。
【0088】
図14の配線部材5における連結部分54は、基礎部544と第1配線部545と第2配線部546とを含むY字型に形成される。基礎部544は、接続部分50からX1方向に直線状に延在する部分である。第1配線部545は、基礎部544におけるX1方向の端部と第1部分51とを連結する部分である。第2配線部546は、基礎部544におけるX1方向の端部と第2部分52とを連結する部分である。すなわち、第1配線部545および第2配線部546は、平面視において対称面Pに対して傾斜する。以上の説明から理解される通り、図14の配線部材5は、接続部分50からX1方向に向かう途中の部分において2方向に分岐する平面形状である。
【0089】
図15の配線部材5における連結部分54は、基礎部547と配線部548とを含むT字型に形成される。基礎部547は、接続部分50からX1方向に直線状に延在する部分である。配線部548は、第1部分51と第2部分52とにわたりY軸の方向に直線状に延在する部分である。配線部548の中央に基礎部547が連結される。以上の説明から理解される通り、図15の配線部材5は、接続部分50からX1方向に向かう部分から2方向に分岐する平面形状である。
【0090】
図14および図15の配線部材5は、第1実施形態および第2実施形態の配線部材5と同様に、平面視で線対称の形状である。また、図14および図15の配線部材5は、第1実施形態および第2実施形態の配線部材5と同様に、対称面Pを挟んで面対称の立体形状である。
【0091】
なお、図14および図15においては、各半導体チップ4に流れる電流が連結部分54の分岐する部分に集中する可能性がある。例えば、図14の配線部材5においては、基礎部544と第1配線部545と第2配線部546とが交差する箇所に電流が集中し、図15の配線部材5においては、基礎部547と配線部548とが交差する箇所に電流が集中する。電流の集中により発熱する可能性がある。
【0092】
図14および図15の形態とは対照的に、第1実施形態においては、接続部分50と第1部分51とを連結する第1配線部541と、接続部分50と第2部分52とを連結する第2配線部542とが、相互に離間した位置において接続部分50に連結される。したがって、図14または図15の形態と比較して電流の集中が緩和され、結果的に半導体モジュール100の過度な発熱を抑制できる。第2実施形態においても同様である。したがって、発熱を抑制する観点からは、図14または図15に例示した形態よりも第1実施形態または第2実施形態が有効である。
【0093】
ところで、封止材3の密着性を向上するための被膜(以下「下地膜」という)が、半導体チップ4の外面(上面および側面)と実装基板1の上面とに形成される場合がある。封止材3の形成前の工程では、下地膜の成膜状態の適否(例えば欠陥の有無)が検査される。配線部材5の下方(Z1方向)の空間は、配線部材5の背後に隠れるため、下地膜の成膜状態を検査することが困難である。第1実施形態においては、第1配線部541と第2配線部542とが相互に離間するから、図14または図15の形態と比較して、配線部材5が各半導体チップ4に重複する面積が低減される。したがって、各半導体チップ4における下地膜の成膜状態を外部から確認し易いという利点がある。第2実施形態においても同様である。
【0094】
(2)前述の各形態においては、接続部分50の接続突起60と第1突起61、第2突起62および第3突起63との間で形状および寸法が共通する形態を例示したが、接続突起60の形状または寸法と、第1突起61、第2突起62および第3突起63の形状または寸法とは相違してもよい。
【0095】
配線部材5の第1部分51を半導体チップ4に強固に接合するためには、第1接合材511の面積を充分に確保する必要がある。また、第1部分51に作用する応力を第1接合材511により吸収する観点からも、第1接合材511の面積を充分に確保することが重要である。すなわち、配線部材5の第1部分51については、第1接合材511の面積を充分に確保することが優先される。他方、配線部材5の接続部分50については、第1部分51と比較して接合材501の面積の確保が容易である反面、接続突起60により配線部材5の姿勢を安定させることが優先される。以上のように、接続突起60と第1突起61との間では、優先されるべき技術的な作用が相違することが想定される。
【0096】
接続突起60と第1突起61との間で形状または寸法が相違する形態によれば、接続突起60に好適な形状または寸法と、第1突起61または第2突起62に好適な形状または寸法とを、相互に独立に採用できる。例えば、接続突起60については、当該接続突起60に要求される作用が有効に実現されるように形状または寸法を選定でき、第1突起61については、当該第1突起61に要求される作用が有効に実現されるように形状または寸法を選定できる。接続突起60および第1突起61の具体的な形態について以下に例示する。
【0097】
図16に例示された形態において、第1突起61および第2突起62の直径は、接続突起60(60a,60b)の直径を下回る。図17に例示された形態において、第1突起61および第2突起62の断面形状は円形である一方、接続突起60の断面形状は、Y軸の方向に長尺な長円状または楕円状である。また、図18に例示された形態において、接続突起60は先端が平面状である一方、第1突起61および第2突起62は先端が曲面状(例えば球面状)である。図16から図18の形態によれば、第1接合材511および第2接合材521について面積を充分に確保しつつ、接続突起60により配線部材5の姿勢を安定的に維持できる。
【0098】
(3)前述の各形態においては、接続突起60および第1突起61が円柱状である形態を例示したが、接続突起60および第1突起61の形状は以上の例示に限定されない。例えば、図19に例示される通り、接続突起60が角柱状(例えば四角柱状)である形態、または、第1突起61が角柱状(例えば四角柱状)である形態も想定される。また、接続突起60または第1突起61は、円錐台状または角錐台状でもよい。
【0099】
(4)前述の各形態においては、接続部分50に2個の接続突起60(60a,60b)が形成され、第1部分51に1個の第1突起61が形成された形態を例示したが、接続突起60の個数および第1突起61の個数は、以上の例示に限定されない。例えば、図20に例示される通り、接続部分50に1個の接続突起60が形成された形態、または、第1部分51に複数の第1突起61が形成された形態も想定される。
【0100】
(5)接続部分50において接続突起60が形成される位置、および、第1部分51において第1突起61が形成される位置は、前述の各形態における例示に限定されない。例えば、図21に例示される通り、接続面F0の角部の近傍に接続突起60(60a,60b)が位置してもよい。また、前述の各形態においては、第1接続面F1の重心に第1突起61が形成された形態を例示したが、図21の例示の通り、第1接続面F1の角部の近傍に第1突起61が位置してもよい。
【0101】
(6)第1実施形態においては、半導体チップ41と半導体チップ42とが単一の導電パターン13aに実装された形態を例示したが、半導体チップ41と半導体チップ42とは、相互に別体の導電パターン13に接合されてもよい。同様に、第2実施形態においては、半導体チップ41と半導体チップ42と半導体チップ43とが相互に別体の導電パターン13に接合されてもよい。以上の例示から理解される通り、本開示における「導電パターン」は、単体のパターンで構成されてもよいし複数のパターンで構成されてもよい。
【0102】
(7)前述の各形態においては、半導体材料としてSiCが利用されたMOSFETを半導体チップ4として例示したが、半導体チップ4の形態は以上の例示に限定されない。例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)、RC-IGBT(Reverse Conducting IGBT)またはSBD(Schottky Barrier Diode)が、半導体チップ4として利用されてもよい。半導体チップ4としてIGBTを採用した形態において、主電極411はコレクタ電極であり、主電極412はエミッタ電極である。
【0103】
(8)本願における「第n」(nは自然数)という記載は、各要素を表記上において区別するための形式的かつ便宜的な標識(ラベル)としてのみ使用され、如何なる実質的な意味も持たない。したがって、「第n」という表記を根拠として、各要素の位置または製造の順番等が限定的に解釈される余地はない。
【0104】
E:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0105】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る半導体モジュールは、第1主電極を含む第1半導体チップと、第2主電極を含む第2半導体チップと、導電パターンと、配線部材とを具備し、前記配線部材は、前記導電パターンに対向する接続面を含む接続部分と、前記第1主電極に対向する第1接続面を含む第1部分と、前記第2主電極に対向する第2接続面を含む第2部分と、前記接続部分と前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部分と、前記接続面から前記導電パターンに向けて突出する接続突起と前記第1接続面から前記第1主電極に向けて突出する第1突起と、前記第2接続面から前記第2主電極に向けて突出する第2突起とを含み、前記導電パターンと前記接続面との間の接合材により前記導電パターンと前記接続面とが相互に接合され、前記第1主電極と前記第1接続面との間の第1接合材により前記第1主電極と前記第1接続面とが相互に接合され、前記第2主電極と前記第2接続面との間の第2接合材により前記第2主電極と前記第2接続面とが相互に接合される。以上の態様においては、導電パターンに向けて突出する接続突起と、第1主電極に向けて突出する第1突起と、第2主電極に向けて突出する第2突起とが、配線部材に設置される。すなわち、配線部材が3点以上で支持される。したがって、第1突起または第2突起の個数が少ない場合でも、配線部材の姿勢は安定的に維持される。すなわち、配線部材が所望の姿勢に対して傾斜する可能性を低減できる。したがって、配線部材の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できる。
【0106】
態様1の具体例(態様2)において、前記配線部材は、平面視で線対称の形状である。以上の態様によれば、配線部材の形状が線対称であるから、配線部材が非対称の形状である形態と比較して、配線部材の姿勢が安定的に維持され易い。したがって、配線部材の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。
【0107】
態様1または態様2の具体例(態様3)において、前記配線部材は、対称面を挟んで面対称の形状である。以上の態様によれば、配線部材の形状が面対称であるから、配線部材の重心が対称面上に位置する。したがって、配線部材が非対称の形状である形態と比較して、配線部材の姿勢が安定的に維持され易い。すなわち、配線部材の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。
【0108】
態様1から態様3の何れかの具体例(態様4)において、前記連結部分は、前記接続部分と前記第1部分とを相互に連結する第1配線部と、前記接続部分と前記第2部分とを相互に連結する第2配線部とを含み、前記第1配線部と前記第2配線部とは、相互に離間した位置において前記接続部分に連結される。以上の態様によれば、接続部分と第1部分とを連結する第1配線部と、接続部分と第2部分とを連結する第2配線部とが、相互に離間した位置において接続部分に連結される。したがって、第1配線部と第2配線部とが相互に連結される構成と比較して、配線部材における電流の集中が緩和され、結果的に半導体モジュールの過度な発熱を抑制できる。また、配線部材が、第1部分と第2部分とを連結する第1配線部と、第1配線部と接続部分と連結する第2配線部とで構成される形態(T字形)と比較して、配線部材が第1半導体チップまたは第2半導体チップに重複する面積が低減される。したがって、第1半導体チップまたは第2半導体チップの状態を外部から確認し易い。
【0109】
態様1から態様4の何れかの具体例(態様5)において、前記接続面には、前記接続突起を含む複数の接続突起が設置される。以上の態様においては、接続面に複数の接続突起が設置されるから、接続面に1個の接続突起のみが設置される形態と比較して、配線部材の姿勢が安定的に維持され易い。したがって、配線部材の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。
【0110】
態様5の具体例(態様6)において、前記接続部分は、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとが配列する第1方向に長尺な平面形状であり、前記複数の接続突起は、前記第1方向に相互に間隔をあけて配列される。以上の態様によれば、接続部分の長手方向(第1方向)に相互に間隔をあけて複数の接続突起が配列される。したがって、第1方向に直交する方向に複数の接続突起が配列される構成と比較して、配線部材の姿勢が安定的に維持され易い。したがって、配線部材の傾斜に起因した接合材の厚さの不均一を抑制できるという前述の効果は、格別に顕著である。
【0111】
態様1から態様6の何れかの具体例(態様7)において、前記第1接続面には1個の前記第1突起が形成され、前記第2接続面には1個の前記第2突起が形成される。以上の態様によれば、第1接続面に1個の第1突起が形成され、第2接続面に1個の第1突起が形成される。したがって、第1接続面に複数の第1突起が形成された形態、または、第2接続面に複数の第2突起が形成された形態と比較すると、第1半導体チップまたは第2半導体チップが小型でも、接合材(第1接合材,第2接合材)による接合の面積を確保し易い。
【0112】
態様1から態様7の何れかの具体例(態様8)において、第3主電極を含む第3半導体チップをさらに具備し、前記配線部材は、前記第3主電極に対向する第3接続面を含む第3部分と、前記第3接続面から前記第3主電極に向けて突出する第3突起とを含み、前記第3主電極と前記第3接続面との間の第3接合材により前記第3主電極と前記第3接続面とが相互に接合される。以上の態様によれば、3個の半導体チップが並列に接続されるから、2個の半導体チップが並列に接続された形態と比較して大電流を制御できる。
【0113】
態様1から態様8の何れかの具体例(態様9)において、前記接続突起の形状または寸法と、前記第1突起および前記第2突起の形状または寸法とは相違する。以上の態様によれば、接続突起に好適な形状または寸法と、第1突起または第2突起に好適な形状または寸法とを、相互に独立に採用できる。
【符号の説明】
【0114】
100…半導体モジュール、1…実装基板、11…絶縁基板、12…金属層、13(13a,13b,13p,13n,13o)…導電パターン、13g1,13g2…制御配線、2a,2b…半導体ユニット、3…封止材3、4(41,42,43)…半導体チップ4、411,421,431,412,422,432…主電極、413,423,433…制御電極、414,424,434…接合材、5…配線部材、50…接続部分、501…接合材、51…第1部分、511…第1接合材、52…第2部分、521…第2接合材、53…第3部分、531…第3接合材、54…連結部分、540…頂部、541,545…第1配線部、542,546…第2配線部、543…第3配線部、544,547…基礎部、548…配線部、60…接続突起、61…第1突起、62…第2突起、63…第3突起。
図1
図2
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