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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068499
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】光学装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 19/07 20210101AFI20240513BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240513BHJP
   G03B 37/04 20210101ALI20240513BHJP
   G03B 9/08 20210101ALI20240513BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240513BHJP
   H04N 23/698 20230101ALI20240513BHJP
【FI】
G03B19/07
G03B15/00 W
G03B37/04
G03B9/08 C
H04N23/55
H04N23/698
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179009
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】菅原 俊
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
2H081
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB05
2H059BA03
2H059CA00
2H081AA41
2H081AA68
2H081AA72
5C122FA02
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB11
5C122FH20
5C122HA86
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】広範囲且つ拡大された光学情報を生成する。
【解決手段】光学装置16は光学系11と光学素子13とを有する。光学系11は入射する第1の光を結像させる。光学素子13は第2の光を複数の領域a1、a2を介して第1の光の結像領域に導く。複数の領域a1、a2は光軸OX方向に沿って光学素子13を分ける。複数の領域a1、a2は物体側の領域a2と像側の領域a1とを含む。物体側の領域a2を介する第2の光の結像領域と像側の領域a1を介する第2の光の結像領域とが重複する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する第1の光を結像させる光学系と、
前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記光学系の光軸方向に沿って物体側の領域と該物体側の領域より像側に位置する像側の領域とを含んで分けられる複数の領域を介して前記第1の光の結像領域に導く光学素子と、を備え、
前記物体側の領域を介する前記第2の光の結像領域と前記像側の領域を介する前記第2の光の結像領域とが重複する
光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学装置において、
前記複数の領域の中で、物体側の領域に入射する前記第2の光は、該領域より像側に位置する領域を介して前記第1の光の結像領域に到達する
光学装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光学装置において、
前記複数の領域の中で、物体側の領域に入射する前記第2の光は、該領域より像側に位置する領域を介さずに前記第1の光の結像領域に到達する
光学装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置において、
前記複数の領域の中で、少なくとも最も物体側に位置する領域では、該領域に向かって進行する前記第2の光の該領域からの出射と出射停止とを切替可能である
光学装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置において、
前記複数の領域の領域別に、該領域に向かって進行する前記第2の光の該領域からの出射と出射停止とを切替可能である
光学装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置において、
前記光学素子は、前記光学系に入射した前記第2の光の少なくとも一部を反射して前記第1の光の結像領域内に導くミラーである
光学装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置と、
前記第1の光の結像領域と撮像領域とが重なるように配置されている撮像素子と、
前記撮像素子が撮像により生成する画像信号に相当する画像を、前記撮像領域に対応する前記光学系の直接画角内の物点に対応する直接画像成分と、前記直接画角外の物点に対応する間接画像成分とに分離するコントローラと、を備える
撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記間接画像成分は、前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の画像成分を含み、
複数の画像成分のそれぞれに対応する物点は、前記光学系を介して最初に前記第2の光が入射する領域に対応する
撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置及び撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
観察対象を結像させる撮像光学系は、焦点距離、画角等の多様な物性を有する。焦点距離が長くなると、観察対象が拡大化された像が形成されるので、遠方の観察対象の詳細な光学情報、言換えると拡大された光学情報が得られる。画角は広角化するほど、広範囲に位置する観察対象の光学情報が得られる。しかし、焦点距離と画角とはトレードオフの関係があり、焦点距離が長くなると画角は狭角化し、焦点距離が短くなると画角は広角化する。
【0003】
それゆえ、状況に応じて望まれる光学情報を得られるように焦点距離の調整が行われている。例えば、撮像光学系に含まれるズームレンズを変位させることにより、焦点距離の調整が行われる。又、複数の単焦点レンズを切替えることにより、焦点距離の調整が行われる(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11―311832号公報
【特許文献2】特開2004―279556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2においては、焦点距離の切替えにより、拡大された光学情報及び広範囲の光学情報が別々に提供され得る。しかし、広範囲且つ拡大された光学情報を同時に得ることはできなかった。
【0006】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、広範囲且つ拡大された光学情報を生成させる光学装置及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点による光学装置は、
入射する第1の光を結像させる光学系と、
前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記光学系の光軸方向に沿って物体側の領域と該物体側の領域より像側に位置する像側の領域とを含んで分けられる複数の領域を介して前記第1の光の結像領域に導く光学素子と、を備え、
前記物体側の領域を介する前記第2の光の結像領域と前記像側の領域を介する前記第2の光の結像領域とが重複する。
【0008】
第2の観点による撮像装置は、
入射する第1の光を結像させる光学系と、前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記光学系の光軸方向に沿って物体側の領域と該物体側の領域より像側に位置する像側の領域とを含んで分けられる複数の領域を介して前記第1の光の結像領域に導く光学素子と、を有し、前記物体側の領域を介する前記第2の光の結像領域と前記像側の領域を介する前記第2の光の結像領域とが重複する光学装置と、
前記第1の光の結像領域と撮像領域とが重なるように配置されている撮像素子と、
前記撮像素子が撮像により生成する画像信号に相当する画像を、前記撮像領域に対応する前記光学系の直接画角内の物点に対応する直接画像成分と、前記直接画角外の物点に対応する間接画像成分とに分離するコントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、広範囲且つ拡大された光学情報が生成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す構成図である。
図2図1の撮像素子及び光学系の物性を説明するための図である。
図3図1の撮像領域に到達する像を説明する概念図である。
図4図1の撮像光学系を通過して最初に第1の領域に入射する光束の撮像領域に到達するまでの軌跡を示す図である。
図5図1の撮像光学系を通過して最初に第2の領域に入射する光束の撮像領域に到達するまでの軌跡を示す図である。
図6図1の撮像領域に到達する重畳画像が形成される状況を説明する概念図である。
図7図1の光学素子の全領域を出射停止にした状態で撮像領域に到達する被写体光束を説明する概念図である。
図8図1の光学素子の第1の領域を出射且つ第2の領域を出射停止にした状態で撮像領域に到達する被写体光束を説明する概念図である。
図9図1の光学素子の全領域を出射状態にした状態で撮像領域に到達する被写体光束を説明する概念図である。
図10図1のコントローラにより重畳画像から復元画像を生成する過程を説明するための概念図である。
図11図1のコントローラが実行する第1の撮像処理を説明するためのフローチャートである。
図12図1のコントローラが実行する第2の撮像処理を説明するためのフローチャートである。
図13】第2の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す構成図である。
図14図13のコントローラが実行する第2の撮像処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の図面に示す構成要素において、同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0012】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に係る光学装置16を含む撮像装置10は、光学装置16、撮像素子12、及びコントローラ14を含んで構成される。光学装置16は、撮像光学系(光学系)11及び光学素子13を含んで構成される。
【0013】
撮像光学系11は、入射する被写体光束を結像させる。撮像光学系11は、結像領域iaに、入射する第1の光を結像させる。第1の光は、撮像光学系11単体の画角内に位置する物点が放射する光であってよい。結像領域iaは、例えば、中心が撮像光学系11の光軸oxと交差する三次元空間上の仮想の平面又は曲面であってよい。以後、撮像光学系11単体の画角、言換えると光学素子13を含まない構成における撮像光学系11の画角を、直接画角とも呼ぶ。撮像光学系11は、位置の異なる物点から放射する光束を、単体で、言換えると光学素子13無しで、異なる像点に結像させる光学素子によって構成される。撮像光学系11を構成する光学素子は、例えば、レンズ、ミラー、絞り等である。
【0014】
撮像光学系11は、像側テレセントリックでなくてよい。言換えると、撮像光学系11を通過する任意の光束の主光線の光軸に対する角度は0°より大きくてよい。又は、撮像光学系11は、像側テレセントリックであってよい。
【0015】
光学素子13は、撮像光学系11に入射する第2の光を、結像領域iaに導く。第2の光は、撮像光学系11の光軸oxと撮像光学系11に入射する主光線とのなす角度が第1の光と異なる。第2の光は、撮像光学系11の画角外、言換えると直接画角の外に位置する物点が放射する光であってよい。したがって、第2の光の主光線と光軸oxとのなす角度は、第1の光の主光線と光軸oxとのなす角度より大きくてよい。主光線は、撮像光学系15の開口絞りの中心を通る光線、撮像光学系15の入射瞳の中心を通る光線、及び任意の一つの物点から放射され撮像光学系15に入射する光束の中心の光線のいずれかであってよい。更に、光学素子13は、撮像光学系11を通過した第2の光を結像領域iaに結像させてよい。
【0016】
光学素子13は、撮像装置10において撮像光学系11の光軸方向に沿って分けられる複数の領域を有する。光学素子13は、例えば、第1の領域(像側の領域)a1及び第2の領域(物体側の領域)a2の2つの領域を有する。第1の領域a1は、第2の領域a2より像側に位置してよい。光学素子13は、前述の第2の光を複数の領域を介して、言換えると複数の領域のいずれかに入射及び出射させて、結像領域iaに導く。光学素子13は、後述するように、複数の領域にそれぞれ入射する第2の光を結像領域ia内に導く。又、第1の実施形態において、光学素子13は、後述するように、複数の領域の中で物体側に位置する領域に入射する第2の光を、当該領域より像側に位置する領域を介して、結像領域iaに到達させる。
【0017】
光学素子13は、撮像光学系11に入射した第2の光の少なくとも一部を反射して結像領域iaに導くミラーであってよい。ミラーの反射面は、矩形の撮像領域raのいずれかの辺に平行であってよい。第1の実施形態においては、ミラーの反射面は、更に撮像光学系11の光軸oxに平行であってよい。又は、ミラーの反射面は、光軸oxに平行でなくてよい。
【0018】
光学素子13は、撮像光学系11の光軸ox方向から見て、当該撮像光学系11の射出瞳の外側に位置してよい。更に詳細には、反射面が射出瞳の外側に位置するように、光学素子13は撮像光学系11に対して配置されてよい。又は、ミラーは、光軸ox方向から見て、射出瞳の内側に位置してよい。特に、後述する撮像素子12の撮像領域raが瞳径より小さい構成においては、ミラーが射出瞳の内側に位置してよい。
【0019】
第1の実施形態において、ミラーである光学素子13は、複数の平面ミラーを含む。複数の平面ミラーの中の少なくとも1組に属する2つの平面ミラーは、反射面が互いに対向し平行になるように位置してよい。平面ミラーと撮像素子12の撮像領域raの外縁とは、当該平面ミラーの法線方向において密接していてよい。又は、平面ミラーと撮像領域raの外縁とは平面ミラーの法線方向において密接せずに隙間を有していてよい。
【0020】
図2に示すように、反射面が互いに平行な2つの平面ミラーそれぞれと、光軸oxとの間隔Hが等しくてよい。互いに平行な2つの平面ミラー、撮像光学系11、及び撮像素子12は、CRA≦tan-1(2H/B)を満たすように設計され、配置されてよい。CRAは、光軸oxから直接画角の3/2倍の角度における物点ppから放射される第2の光の撮像光学系11による主光線の光軸oxに対する角度である。Bは、撮像光学系11のバックフォーカスである。
【0021】
撮像装置10において、光学素子13の内面と、物点ppから放射されて、光学素子13がない場合に光軸oxから2H又は3H離れた位置に結像する第2の光の撮像光学系11による主光線との交点の位置が、光軸ox方向における第1の領域a1及び第2の領域a2の境界位置であってよい。
【0022】
後述するように撮像装置10内における撮像素子12の配置と上述のような構成との組合せにより、図3に示すように、結像領域iaには、直接画角内の物点、言換えると第1の光を放射する物点に対応する直接画像成分imdが光学素子13を介することなく到達する。直接画角内の物点に対応する直接画像成分imdとは、より具体的には、直接画角内に位置する被写体像に相当する。又、結像領域iaには、直接画角外の物点、言換えると第2の光を放射する物点に対応する間接画像成分imiが光学素子13を介して少なくとも1回反転して到達する。直接画角外の物点に対応する間接画像成分imiとは、より具体的には、直接画角外に位置する被写体像に相当する。
【0023】
間接画像成分imiは、複数の画像成分を含む。例えば、間接画像成分imiは、第1の画像成分im1及び第2の画像成分im2を含む。複数の画像成分のそれぞれに対応する物点は、撮像光学系11を介して最初に第2の光が入射する領域に対応する。例えば、第1の画像成分im1は、撮像光学系11の通過後に最初に光学素子13の第1の領域a1に入射する第2の光に対応する画像成分である。第2の画像成分im2は、撮像光学系11の通過後に最初に光学素子13の第2の領域a2に入射する第2の光に対応する画像成分である。
【0024】
上述のような構成である2つの平面ミラーである光学素子13において、図4に示すように、複数の領域の中で最も像側に位置する領域である第1の領域a1に入射する第2の光は、第1の領域a1において反射することにより、結像領域iaに到達する。又、図5に示すように、複数の領域の中で物体側に位置する第2の領域a2に入射する第2の光は、第2の領域a2で反射して、第2の領域a2より像側に位置する第1の領域a1を介して、更に具体的には反射することにより、結像領域iaに到達する。したがって、第2の領域a2を介する第2の光の結像領域iaと、第1の領域a1を介する第2の光の結像領域iaとは重複する。
【0025】
又、上述のような構成により、図6に示すように、直接画像成分imdと、光学素子13がミラーである構成において1回反転した第1の画像成分im1と、2回反転した第2の画像成分im2が結像領域iaにおいて重畳する。第1の実施形態では、このような構成により光学素子13は、複数の領域(第1の領域a1、第2の領域a2)にそれぞれ入射する第2の光を結像領域ia内の同じ位置に導き得る。したがって、後述するように撮像装置10内に配置された撮像素子12は、直接画像成分imdと、反転した第1の画像成分im1と、第2の画像成分im2との重畳画像olimを撮像する。
【0026】
光学素子13の複数の領域の中で、少なくとも最も物体側に位置する第2の領域a2は、当該領域に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能であってよい。光学素子13の複数の領域別に、当該領域に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能であってよい。例えば、光学素子13の光軸ox側の表面に領域別に開閉可能な切替素子が設けられてよい。切替素子は、例えばシャッタである。シャッタを開閉することにより、シャッタに対向する領域への第2の光の入射と遮光とが切替えられる。当該領域への第2の光の入射と遮光との切替により、当該領域に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とが切替えられてよい。シャッタは機械的な機構を有するものであってもよく、液晶を用いたものであってもよい。又は、シャッタは、例えば、MEMSミラーのように、反射方向を変えることにより出射及び出射停止を切替可能な機構であってよい。
【0027】
撮像素子12は、撮像領域ra内に結像する像を撮像する。撮像素子12は、撮像装置10において、光学装置21の結像領域iaと撮像領域raとが重なるように配置されていてよい。したがって、撮像素子12の撮像領域raは直接画角に対応してよい。直接画角は、光学素子13を介することなく撮像領域ra内に結像する物点の範囲に相当する画角であってよい。撮像領域raには、撮像光学系11の直接画角内から撮像光学系11に入射する第1の光である光束の少なくとも一部が結像してよい。又、撮像領域raには、撮像光学系11の直接画角の外から撮像光学系11に入射し光学素子13を介する第2の光である光束の少なくとも一部が結像してよい。
【0028】
撮像素子12は、可視光、赤外線及び紫外線等の不可視光による像を撮像可能であってよい。撮像素子12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等である。撮像素子12は、カラーイメージセンサであってよい。言換えると、撮像素子12の撮像領域raに配置される複数の画素は、例えばRGBのカラーフィルタによって撮像領域ra内で均等に分布するように覆われてよい。撮像素子12は、撮像により受光する画像に相当する画像信号を生成する。撮像素子12は、30fps等の所定のフレームレートで画像信号を生成してよい。
【0029】
撮像素子12では、光学素子13が設けられる側の撮像領域raの外縁は、撮像光学系11の射出瞳の外縁よりも外側に位置してよい。射出瞳の外縁より外側とは、撮像光学系11の光軸oxを基準として外側であることを意味する。前述のように、撮像領域raは、矩形であってよい。
【0030】
コントローラ14は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等であってもよい。コントローラ14は、撮像素子12から取得する画像信号に画像処理を施してよい。
【0031】
コントローラ14は、撮像装置10が切替素子を有さない構成及び切替素子を有する構成のいずれであっても、直接画像成分imd及び間接画像成分imiのすべてを重畳させた重畳画像olimを撮像するように撮像素子12を制御してよい。
【0032】
コントローラ14は、撮像装置10が切替素子を有する構成において、任意の領域を変更しながら当該任意の領域を含めた撮像素子12側の全領域を出射可能且つ当該全領域以外の領域を出射停止に切替えた状態での撮像を実行するように、切替素子及び撮像素子12を制御してよい。更に、コントローラ14は、撮像装置10が切替素子を有する構成において、全領域を出射停止に切替えた状態で撮像を実行するように、切替素子及び撮像素子12を制御してよい。
【0033】
例えば、1フレームの画像の撮像のために、コントローラ14は、直接画像成分imdのみの撮像、直接画像成分imd及び第1の画像成分im1の重畳画像の撮像、並びに直接画像成分imd、第1の画像成分im1、及び第2の画像成分im2の重畳画像の撮像を連続して行うように、切替素子及び撮像素子12を制御してよい。図7に示すように、光学素子13の全領域を出射停止に切替えた状態で撮像を実行させることにより、直接画像成分imdのみが撮像される。図8に示すように、光学素子13の第2の領域a2のみを出射停止に切替えた状態で撮像を実行させることにより、直接画像成分imd及び第1の画像成分im1の重畳画像が撮像される。図9に示すように、光学素子13の全領域を出射に切替えた状態で撮像を実行させることにより、直接画像成分imd、第1の画像成分im1、及び第2の画像成分im2の重畳画像olimが撮像される。
【0034】
図10に示すように、コントローラ14は、画像処理により、画像信号に相当する重畳画像olimを、直接画像成分imdと、間接画像成分imiとに分離する画像処理を施してよい。間接画像成分imiは、複数の領域にそれぞれ対応する複数の画像成分を含んでよい。具体的には、間接画像成分imiは、第1の領域a1及び第2の領域a2にそれぞれ対応する第1の画像成分im1及び第2の画像成分im2を含んでよい。コントローラ14は、例えば、独立成分分析、ウェーブレット法、画像分離モデル等の画像処理方法の適用により、重畳画像olimを分離する。画像分離モデルは、例えば、事前に、複数の画像を重ねた重畳画像を作成し、当該重畳画像に対して、複数の画像を正解として学習させることにより構築されるモデルである。画像分離モデルは、Encoder-Decoderモデルのように画像を生成するgeneratorと、生成された画像が偽画像かどうか判定するdiscriminatorとを競わせて、その関係を反映したペア画像を生成するPix-to-Pixを適用したモデルであってよい。コントローラ14は、分離した直接画像成分imd及び間接画像成分imiを結合させることにより、復元画像rcimを生成してよい。
【0035】
コントローラ14は、任意の領域を変更しながら当該任意の領域を含めた撮像素子12側の全領域を出射可能且つ当該全領域以外の領域を出射停止に切替えた状態での撮像を実行する場合、上述の方法とは異なる方法で復元画像rcimを生成してよい。例えば、コントローラ14は、光学素子13の全領域を出射の状態にして撮像した画像、言換えると直接画像成分imd及び全間接画像成分imiの重畳画像olimから、最も物体側の領域を出射停止の状態にして撮像した画像を減じることにより、最も物体側の領域に入射する光束が結像する画像成分を生成する。例えば、コントローラ14は、複数の領域が第1の領域a1及び第2の領域a2である構成において、直接画像成分imd、第1の画像成分im1、及び第2の画像成分im2の重畳画像olimから、直接画像成分imd及び第1の画像成分im1の重畳画像を減じることにより、第2の画像成分im2を生成する。コントローラ14は、生成した第2の画像成分im2が互いに対向するミラーそれぞれに反射された画像成分を重畳した画像である構成では、上述の分離処理を適用して2つの画像成分に分離してよい。コントローラ14は、第2の画像成分im2と類似した方法で、第1の画像成分im1を生成してよい。コントローラ14は、分離した直接画像成分imd及び間接画像成分imiを結合させることにより、復元画像rcimを生成してよい。
【0036】
コントローラ14は、復元画像rcimを用いて、撮像装置10周辺において撮像された被写体の測距を行ってよい。コントローラ14は、例えば、DFD(Depth From Defocus)に基づいて、復元画像rcimを用いて測距を行う。コントローラ14は、運動視差法(SLAM:Simultaneous Localization and Mapping、Motion Stereo)、Deep Learningに基づく分離モデル、足元測距法等に基づいて、復元画像rcimを用いた測距を行ってよい。足元測距法は、被写体像の下端が地面に位置することを前提として画像座標に基づいて3次元座標を算出する方法である。
【0037】
コントローラ14は、復元画像rcimの各アドレスに対応する距離に基づいて、距離画像を生成してよい。距離画像は、各画素の画素値が距離に対応した画像である。コントローラ14は、距離画像を外部機器に付与してよい。
【0038】
次に、第1の実施形態においてコントローラ14が実行する、第1の撮像処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。第1の撮像処理は、切替素子を有さない撮像装置10又は切替素子を有しながら全領域を出射可能な状態で撮像を行う撮像装置10に対して実行される。第1の撮像処理は、例えば、周期的に開始する。
【0039】
ステップS100において、コントローラ14は、撮像素子12に撮像領域raに結像する被写体光束を撮像させる。撮像後、プロセスはステップS101に進む。
【0040】
ステップS101では、コントローラ14は、ステップS100において撮像した画像を、直接画像成分imd、第1の画像成分im1、及び第2の画像成分im2に分離する。分離後、プロセスはステップS102に進む。
【0041】
ステップS102では、コントローラ14は、ステップS101において分離した直接画像成分imd、第1の画像成分im1、及び第2の画像成分im2を結合することにより、復元画像rcimを生成する。更に、コントローラ14は、復元画像rcimを撮像装置10に設けられるメモリに格納する。生成後、第1の撮像処理は終了する。
【0042】
次に、第1の実施形態においてコントローラ14が実行する、第2の撮像処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。第2の撮像処理は、切替素子を有する撮像装置10による1フレームの画像生成のために、複数の領域における出射停止を切替ながら撮像を行う処理であって、例えば、周期的に開始する。
【0043】
ステップS200において、コントローラ14は、光学素子13の全領域を出射可能にさせるように切替素子を制御する。制御後、プロセスはステップS201に進む。
【0044】
ステップS201では、コントローラ14は、撮像素子12に撮像させる。撮像後、プロセスはステップS202に進む。
【0045】
ステップS202では、コントローラ14は、光学素子13の第2の領域a2を出射停止させるように切替素子を制御する。制御後、プロセスはステップS203に進む。
【0046】
ステップS203では、コントローラ14は、撮像素子12に撮像させる。撮像後、プロセスはステップS204に進む。
【0047】
ステップS204では、コントローラ14は、光学素子13の第1の領域a1及び第2の領域a2を出射停止させるように切替素子を制御する。制御後、プロセスはステップS205に進む。
【0048】
ステップS205では、コントローラ14は、撮像素子12に撮像させる。撮像後、プロセスはステップS206に進む。
【0049】
ステップS206では、コントローラ14は、ステップS201において撮像した画像から、ステップS203において撮像した画像を減じることにより、第2の画像成分im2を分離する。分離後、プロセスはステップS207に進む。
【0050】
ステップS207では、コントローラ14は、ステップS203において撮像した画像から、ステップS205において撮像した画像を減じることにより、第1の画像成分im1を分離する。分離後、プロセスはステップS208に進む。
【0051】
ステップS208では、コントローラ14は、ステップS203において撮像した画像から、ステップS207において分離した第1の画像成分im1を減じることにより、直接画像成分imdを分離する。分離後、プロセスはステップS209に進む。なお、ステップS205において撮像した画像を直接画像成分imdと認定する構成においては、ステップS208が省略されてよい。
【0052】
ステップS209では、コントローラ14は、ステップS207において分離した第2の画像成分im2、ステップS208において分離した第1の画像成分im1、及びステップS208において分離した直接画像成分imdを用いて、復元画像rcimを生成する。更に、コントローラ14は、復元画像rcimを撮像装置10に設けられるメモリに格納する。格納後、第2の撮像処理は終了する。
【0053】
以上のような構成の第1の実施形態の光学装置16は、第1の光を結像領域iaに結像させる撮像光学系11と、撮像光学系11の光軸ox方向に沿って分けられる複数の領域a1、a2を有し、撮像光学系11の光軸oxと撮像光学系11に入射する主光線とのなす角度が第1の光と異なる第2の光を複数の領域a1、a2を介して結像領域iaに導く光学素子13を備え、光学素子13は複数の領域a1、a2にそれぞれ入射する第2の光を結像領域ia内の同じ位置に導く。このような構成により、光学装置16は、焦点距離が比較的長い撮像光学系11を採用しながら、当該焦点距離に対応する画角より広角の範囲の光学情報を含む画像を結像領域iaに導き得る。したがって、光学装置16は、広範囲かつ拡大された光学情報を生成させ得る。
【0054】
又、第1の実施形態の光学装置16では、複数の領域a1、a2の中で物体側の領域a2に入射する第2の光は当該領域a2より像側に位置する領域a1を介して結像領域iaに到達する。このような構成により、光学装置16は、物体側の領域a2に入射する第2の光である光束の一部のケラレによる光量の低下を低減させながら、結像領域iaに到達させ得る。したがって、光学装置16は、物体側の領域a1に対応する画像成分im2の輝度の低下を低減し得る。
【0055】
又、第1の実施形態の光学装置16では、複数の領域a1、a2の中で、少なくとも最も物体側に位置する領域a2では、当該領域a2に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能である。このような構成により、光学装置16では、当該領域a2の出射状態で撮像した画像及び当該領域a2の出射停止状態で撮像した画像との差分を算出することにより、当該領域a2に対応する画像成分im2を高精度で分離させ得る。
【0056】
又、第1の実施形態の光学装置16では、複数の領域a1、a2の領域別に、当該領域a1、a2に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能である。このような構成により、光学装置16は、高い分離精度で画像成分を分離させ得る。
【0057】
又、第1の実施形態の撮像装置10では、画像信号に相当する画像を、直接画像内の物点に対応する直接画像成分imdと、直接画角外の物点に対応する間接画像成分imiとに分離するコントローラ14を備える。このような構成により、撮像装置10は、複数の画像成分が重畳した重畳画像olimの重畳を解消させた画像を生成し得る。
【0058】
又、第1の実施形態の撮像装置10では、光学素子13は撮像光学系11に入射した第2の光の少なくとも一部を反射して結像領域ia内に導くミラーであり、ミラーの反射面が光軸ox、及び撮像素子12の矩形の撮像領域raのいずれかの辺に平行である。このような構成により、撮像装置10では、ミラーを介して撮像領域raに到達する像の歪む方向は1方向以下になる。したがって、撮像装置10は、撮像した画像に含まれるミラーによる反射光成分の歪を除去する画像処理の負荷を低減し得るので、反射光成分の再現性を向上させ得る。
【0059】
又、第1の実施形態の撮像装置10では、ミラーは複数の平面ミラーを含み、複数の平面ミラーの少なくとも1組の2つの平面ミラーは反射面が互いに平行になるように位置する。このような構成により、撮像装置10は、光軸oxを中心として、直接画角から両側に拡大させた光学情報を取得し得る。
【0060】
又、第1の実施形態の撮像装置10では、平面ミラーと撮像素子12の撮像領域raの外縁とは、当該平面ミラーの法線方向において密接している。当該法線方向において、平面ミラーと撮像素子12の撮像領域raとの間に隙間が生じていると、当該隙間において結像する被写体の光学情報は失われる。このような事象に対して、上述の構成を有する撮像装置10は、光学情報の喪失を防止する。
【0061】
又、第1の実施形態の撮像装置10では、ミラーは光軸ox方向から見て、撮像光学系11の射出瞳の外側に位置する。このような構成により、撮像装置10は、射出瞳の端部近傍を通過する光束をミラーに入射させ得る。したがって、撮像装置10は、射出瞳近傍を通過する光束の一部のケラレによる光量の低下を低減させ得る。
【0062】
又、第1の実施形態の撮像装置10では、撮像光学系11における任意の光束の主光線の光軸oxに対する角度が0°より大きい。このような構成により、撮像装置10では、撮像光学系11は像側テレセントリックでないので、直接画角より広い角度の物点からの光束を光学素子13に入射させ得る。したがって、撮像装置10は、直接画角から広角化させた範囲の光学情報を確実に生成させ得る。
【0063】
次に、本開示の第2の実施形態に係る撮像装置について説明する。第2の実施形態では、光学素子の構成及びコントローラによる分離処理が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0064】
図13に示すように、第2の実施形態に係る光学装置160を含む撮像装置100は、第1の実施形態と類似して、光学装置160、撮像素子12、及びコントローラ14を含んで構成される。第2の実施形態における撮像素子12の構造及び機能は、第1の実施形態と同じである。第2の実施形態におけるコントローラ14の構造は、第1の実施形態と同じである。光学装置160は、第1の実施形態と類似して、撮像光学系11及び光学素子130を含んで構成される。第2の実施形態における撮像光学系11の構造及び機能は、第1の実施形態と同じである。
【0065】
第2の実施形態において、光学素子130は、第1の実施形態と類似して、撮像光学系11に入射する第2の光を、結像領域iaに導く。。第2の実施形態において、光学素子130は、第1の実施形態と類似して、撮像装置10において撮像光学系11の光軸方向に沿って分けられる複数の領域a1、a2を有する。第2の実施形態では、光学素子130は、第1の実施形態と異なり、後述するように、複数の領域a1、a2の中で、物体側の領域a2に入射する第2の光を、当該領域a2より像側に位置する領域a1を介さずに、結像領域iaに到達させる。
【0066】
第2の実施形態において、光学素子130は、第1の実施形態と類似して、撮像光学系11に入射した第2の光の少なくとも一部を反射して結像領域iaに導くミラーであってよい。第2の実施形態において、ミラーの反射面は、第1の実施形態と類似して、矩形の撮像領域raのいずれかの辺に平行であってよい。第2の実施形態において、光学素子130の第1の領域a1におけるミラーの反射面は、更に撮像光学系11の光軸oxに平行であってよい。
【0067】
第2の実施形態において、光学素子130の第2の領域a2におけるミラーの反射面は、第1の実施形態と異なり、光軸oxに対して傾斜してよい。更に、第2の領域a2におけるミラーの反射面は、撮像素子12側を向くように傾斜してよい。第2の領域a2におけるミラーの反射面は、第2の領域a2に入射する第2の光を結像領域ia内に入射させるように傾斜してよい。第2の領域a2におけるミラーは、光軸oxに沿って分割されていてよい。第2の領域a2における分割されたミラーは、互いに平行な平面であってよい。第2の領域a2における分割されたミラーは、光軸oxに沿って並ぶように位置してよい。
【0068】
上述のような構成により、第2の実施形態において、結像領域iaには、第1の実施形態と同じく、直接画角内の物点、言換えると第1の光を放射する物点に対応する直接画像成分imdが光学素子13を介することなく到達する。又、第2の実施形態において、結像領域iaには、第1の実施形態に類似して、直接画角外の物点、言換えると第2の光を放射する物点に対応する間接画像成分imiが光学素子13を介して1回反転して到達する。又、第2の実施形態では、光学素子130は、第1の実施形態と異なり、複数の領域の中で物体側に位置する第2の領域a2に入射する第2の光は、第2の領域a2で反射して、第2の領域a2より像側に位置する第1の領域a1を介さずに、結像領域iaに結像する。
【0069】
第2の実施形態では、第1の実施形態に類似して、少なくとも最も物体側に位置する第2の領域a2は、当該領域に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能であってよい。又、光学素子130の複数の領域別に、当該領域に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能であってよい。
【0070】
第2の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、撮像装置10が切替素子を有さない構成及び切替素子を有する構成のいずれであっても、直接画像成分imd及び間接画像成分imiのすべてを重畳させた重畳画像olimを撮像するように撮像素子12を制御してよい。
【0071】
第2の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と異なり、撮像装置10が切替素子を有する構成で、任意の領域を出射状態且つ当該任意の領域以外の領域を出射停止状態に順番に切替えて撮像を実行するように、切替素子及び撮像素子12を制御してよい。更に、第2の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、撮像装置10が切替素子を有する構成において、全領域を出射停止に切替えた状態で撮像を実行するように、切替素子及び撮像素子12を制御してよい。
【0072】
例えば、1フレームの画像の撮像のために、第2の実施形態では、コントローラ14は、第1の実施形態に類似して、直接画像成分imdのみの撮像、直接画像成分imd及び第1の画像成分im1の重畳画像の撮像、並びに直接画像成分imd及び第2の画像成分im2の重畳画像の撮像を連続して行うように、切替素子及び撮像素子12を制御してよい。
【0073】
第2の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態に類似して、画像処理により、画像信号に相当する重畳画像olimを、第1の画像成分im1と、第2の画像成分im2とに分離する画像処理を施してよい。又、コントローラ14は、分離した直接画像成分imd及び間接画像成分imiを結合させることにより、復元画像rcimを生成してよい。
【0074】
第2の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態に類似して、任意の領域を出射状態且つ当該任意の領域以外の領域を出射停止状態に順番に切替えて撮像を実行する場合、上述の方法とは異なる方法で復元画像rcimを生成してよい。例えば、コントローラ14は、複数の領域が第1の領域a1及び第2の領域a2である構成において、直接画像成分imd及び第1の画像成分im1の重畳画像から、直接画像成分imdを減じることにより、第1の画像成分im1を生成する。又、コントローラ14は、直接画像成分imd及び第2の画像成分im2の重畳画像から、直接画像成分imdを減じることにより、第2の画像成分im2を生成する。更に、コントローラ14は、分離した直接画像成分imd及び間接画像成分imiを結合させることにより、復元画像rcimを生成してよい。
【0075】
次に、第2の実施形態においてコントローラ14が実行する、第2の撮像処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。第2の撮像処理は、第1の実施形態に類似して、切替素子を有する撮像装置100による1フレームの画像生成のために、複数の領域における出射停止を切替ながら撮像を行う処理であって、例えば、周期的に開始する。
【0076】
ステップS300において、コントローラ14は、光学素子130の全領域を出射停止にさせるように切替素子を制御する。制御後、プロセスはステップS301に進む。
【0077】
ステップS301では、コントローラ14は、撮像素子12に撮像させる。撮像後、プロセスはステップS302に進む。
【0078】
ステップS302では、コントローラ14は、光学素子130の第1の領域a1を出射させるように切替素子を制御する。制御後、プロセスはステップS303に進む。
【0079】
ステップS303では、コントローラ14は、撮像素子12に撮像させる。撮像後、プロセスはステップS304に進む。
【0080】
ステップS304では、コントローラ14は、光学素子13の第2の領域a2を出射させるように切替素子を制御する。制御後、プロセスはステップS305に進む。
【0081】
ステップS305では、コントローラ14は、撮像素子12に撮像させる。撮像後、プロセスはステップS306に進む。
【0082】
ステップS306では、コントローラ14は、ステップS303において撮像した画像から、ステップS301において撮像した画像を減じることにより、第1の画像成分im1を分離する。分離後、プロセスはステップS307に進む。
【0083】
ステップS307では、コントローラ14は、ステップS305において撮像した画像から、ステップS301において撮像した画像を減じることにより、第2の画像成分im2を分離する。分離後、プロセスはステップS308に進む。
【0084】
ステップS308では、コントローラ14は、ステップS301において撮像した画像である直接画像成分imd、ステップS306において分離した第1の画像成分im1、及びステップS307において分離した第2の画像成分im2を用いて、復元画像rcimを生成する。更に、コントローラ14は、復元画像rcimを撮像装置10に設けられるメモリに格納する。格納後、第2の撮像処理は終了する。
【0085】
以上のような構成の第2の実施形態の光学装置160も、第1の光を結像領域iaに結像させる撮像光学系11と、撮像光学系11の光軸ox方向に沿って分けられる複数の領域a1、a2を有し、撮像光学系11の光軸oxと撮像光学系11に入射する主光線とのなす角度が第1の光と異なる第2の光を複数の領域a1、a2を介して結像領域iaに導く光学素子130を備え、光学素子130は複数の領域a1、a2にそれぞれ入射する第2の光を結像領域ia内の同じ位置に導く。したがって、光学装置160も、広範囲かつ拡大された光学情報を生成させ得る。
【0086】
第2の実施形態の光学装置160では、複数の領域a1、a2の中で、物体側の領域a2に入射する第2の光は、当該領域a2より像側に位置する領域a1を介さずに結像領域iaに到達する。このような構成により、光学装置160においては、物体側の領域a2に入射する第2の光を結像領域iaに導くために、複数の光学素子130が不要となり得る。したがって、光学装置160では、互いに対向する光学素子130を用いることによる迷光の影響を低減し得る。
【0087】
又、第2の実施形態の光学装置160でも、複数の領域a1、a2の中で、少なくとも最も物体側に位置する領域a2では、当該領域a2に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能である。したがって、光学装置160でも、当該領域a2に対応する画像成分im2を高精度で分離させ得る。
【0088】
又、第2の実施形態の光学装置160でも、複数の領域a1、a2の領域別に、当該領域a1、a2に向かって進行する第2の光の出射と出射停止とを切替可能である。したがって、光学装置160も、高い分離精度で画像成分を分離させ得る。特に、第2の実施形態においては、光学素子130が上述の構成の第2の領域a2を有するので、光学装置160は、直接画像成分imd及び任意の領域に対応する間接画像成分imiの重畳画像を撮像させ得る。したがって、光学装置160は、任意の領域に対応する画像成分を更に高精度で分離させ得る。
【0089】
又、第2の実施形態の撮像装置100でも、光学素子13は撮像光学系11に入射した光束の少なくとも一部を反射して撮像領域ra内に結像させるミラーであり、ミラーの反射面が光軸ox、及び撮像素子12の矩形の撮像領域raのいずれかの辺に平行である。したがって、撮像装置100も、反射光成分の再現性を向上させ得る。
【0090】
又、第2の実施形態の撮像装置100でも、ミラーは複数の平面ミラーを含み、複数の平面ミラーの少なくとも1組の2つの平面ミラーは反射面が互いに平行になるように位置する。したがって、撮像装置100も、光軸oxを中心として、直接画角から両側に拡大させた光学情報を取得し得る。
【0091】
又、第2の実施形態の撮像装置100でも、平面ミラーと撮像素子12の撮像領域raの外縁とは、当該平面ミラーの法線方向において密接している。したがって、撮像装置100も、光学情報の喪失を防止する。
【0092】
又、第2の実施形態の撮像装置100でも、ミラーは光軸ox方向から見て、撮像光学系11の射出瞳の外側に位置する。したがって、撮像装置100は、射出瞳近傍を通過する光束の一部のケラレによる光量の低下を低減させ得る。
【0093】
又、第2の実施形態の撮像装置100でも、撮像光学系11における任意の光束の主光線の光軸oxに対する角度が0°より大きい。したがって、撮像装置100も、直接画角から広角化させた範囲の光学情報を確実に生成させ得る。
【0094】
一実施形態において、(1)光学装置は、
入射する第1の光を結像させる光学系と、
前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記光学系の光軸方向に沿って物体側の領域と該物体側の領域より像側に位置する像側の領域とを含んで分けられる複数の領域を介して前記第1の光の結像領域に導く光学素子と、を備え、
前記物体側の領域を介する前記第2の光の結像領域と前記像側の領域を介する前記第2の光の結像領域とが重複する。
【0095】
(2)上記(1)の光学装置では、
前記複数の領域の中で、物体側の領域に入射する前記第2の光は、該領域より像側に位置する領域を介して前記第1の光の結像領域に到達する。
【0096】
(3)上記(1)の光学装置では、
前記複数の領域の中で、物体側の領域に入射する前記第2の光は、該領域より像側に位置する領域を介さずに前記第1の光の結像領域に到達する。
【0097】
(4)上記(1)乃至(3)の光学装置では、
前記複数の領域の中で、少なくとも最も物体側に位置する領域では、該領域に向かって進行する前記第2の光の該領域からの出射と出射停止とを切替可能である。
【0098】
(5)上記(1)乃至(4)の光学装置では、
前記複数の領域の領域別に、該領域に向かって進行する前記第2の光の該領域からの出射と出射停止とを切替可能である。
【0099】
(6)上記(1)乃至(5)の光学装置では、
前記光学素子は、前記光学系に入射した前記第2の光の少なくとも一部を反射して前記第1の光の結像領域内に導くミラーである。
【0100】
(7)撮像装置は、
上記(1)乃至(6)の光学装置と、
前記第1の光の結像領域と撮像領域とが重なるように配置されている撮像素子と、
前記撮像素子が撮像により生成する画像信号に相当する画像を、前記撮像領域に対応する前記光学系の直接画角内の物点に対応する直接画像成分と、前記直接画角外の物点に対応する間接画像成分とに分離するコントローラを、備える。
【0101】
(8)上記(7)の撮像装置では、
前記間接画像成分は、前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の画像成分を含み、
複数の画像成分のそれぞれに対応する物点は、前記光学系を介して最初に前記第2の光が入射する領域に対応する。
【0102】
以上、光学装置16、160及び撮像装置10、100の実施形態を説明してきたが、本開示の実施形態としては、装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、又はメモリカード等)としての実施態様をとることも可能である。
【0103】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であってもよい。さらに、プログラムは、制御基板上のCPUにおいてのみ全ての処理が実施されるように構成されてもされなくてもよい。プログラムは、必要に応じて基板に付加された拡張ボード又は拡張ユニットに実装された別の処理ユニットによってその一部又は全部が実施されるように構成されてもよい。
【0104】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0105】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0106】
本開示に記載された構成要件の全て、及び/又は、開示された全ての方法、又は、処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。又、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、又は類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一、又は、均等となる特徴の一例にすぎない。
【0107】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴、又は、それらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法、又は、処理のステップ、又は、それらの組合せに拡張することができる。
【0108】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1の画像成分は、第2の画像成分と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0109】
10、100 撮像装置
11 撮像光学系
12 撮像素子
13、130 光学素子
14 シャッタ
15 コントローラ
16、160 光学装置
a1、a2 第1の領域、第2の領域
CRA 光軸から直接画角の3/2倍の角度における物点から放射される光束の撮像光学系による主光線の光軸に対する角度
ia 結像領域
imd 直接画像成分
imi 間接画像成分
im1 第1の画像成分
im2 第2の画像成分
olim 重畳画像
ox 光軸
pp 光軸に対して直接画角の3/2倍の角度で傾斜した方向における物点
ra 撮像領域
rcim 復元画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14