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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068506
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】気体噴射装置及び気体噴射方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
B60S1/62 120C
B60S1/62 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179019
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚崎 充浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC07
3D225AD22
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングで気体を噴射する。
【解決手段】車両のセンサの検知面に吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置であって、検知面に対する付着物の付着頻度または付着量を含むセンサ付着情報を取得し、センサ付着情報に基づいて気体の噴射間隔を決定し、付着頻度または付着量が予め定めた閾値未満である場合に、前記サイクルで断続的に気体を噴射させ、付着頻度または付着量が前記閾値以上である場合に、前記サイクルで連続的に気体を噴射させる制御部を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のセンサの検知面に吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置であって、
前記検知面に対する付着物の付着頻度及び付着量を含むセンサ付着情報を取得し、
前記センサ付着情報に基づいて気体の噴射間隔を決定し、
前記付着頻度または前記付着量が予め定めた閾値未満である場合に、前記サイクルで断続的に気体を噴射させ、
前記付着頻度または前記付着量が前記閾値以上である場合に、前記サイクルで連続的に気体を噴射させる制御部を備える、
気体噴射装置。
【請求項2】
前記制御部は、連続的な気体噴射中に、前記付着頻度または前記付着量が前記閾値未満となった場合に、断続的な気体噴射に切り替える、
請求項1に記載の気体噴射装置。
【請求項3】
車両のセンサの検知面に吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置による気体噴射方法であって、
前記検知面に対する付着物の付着頻度または付着量を含むセンサ付着情報を取得するステップと、
前記センサ付着情報に基づいて気体の噴射間隔を決定するステップと、
前記付着頻度または前記付着量が予め定めた閾値未満である場合に、前記サイクルで断続的に気体を噴射させるステップと、
前記付着頻度または前記付着量が前記閾値以上である場合に、前記サイクルで連続的に気体を噴射させるステップと、
を含む、
気体噴射方法。
【請求項4】
車両のセンサの検知面に吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置であって、
前記車両の走行速度を示す速度情報を取得し、
前記車両に対する付着物の付着量を含む車両付着情報を取得し、
前記車両の周囲の照度を示す照度情報を取得し、
前記車両の走行時の日時を示す日時情報を取得し、
前記速度情報、前記車両付着情報、前記照度情報及び前記日時情報に基づいて気体の噴射間隔を決定し、
決定した前記噴射間隔に基づいて気体を噴射させる制御部を備える、
気体噴射装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車両の前記走行速度が速いほど前記噴射間隔を短くする、
請求項4に記載の気体噴射装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記付着物の前記付着量が多いほど前記噴射間隔を短くする、
請求項4に記載の気体噴射装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記日時情報に基づいて昼間であって、前記照度情報に基づいて明るい所から暗い所に移動したことを識別した場合に、前記速度情報に基づいて前記噴射間隔を決定する、
請求項4に記載の気体噴射装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記日時情報に基づいて夜間であって、前記照度情報に基づいて暗い所から明るい所に移動したことを識別した場合に、前記速度情報に基づいて前記噴射間隔を決定する、
請求項4に記載の気体噴射装置。
【請求項9】
前記制御部は、
決定した前記噴射間隔が予め定めた所定値未満である場合に、前記ポンプの駆動電圧を調整することにより気体を噴射させ、
決定した前記噴射間隔が前記所定値以上である場合に、前記ポンプの駆動タイミングを調整することにより気体を噴射させる、
請求項4に記載の気体噴射装置。
【請求項10】
車両のセンサの検知面に吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置による気体噴射方法であって、
前記車両の走行速度を示す速度情報を取得するステップと、
前記車両に対する付着物の付着量を含む車両付着情報を取得するステップと、
前記車両の周囲の照度を示す照度情報を取得するステップと、
前記車両の走行時の日時を示す日時情報を取得するステップと、
前記速度情報、前記車両付着情報、前記照度情報及び前記日時情報に基づいて気体の噴射間隔を決定するステップと、
決定した前記噴射間隔に基づいて気体を噴射させるステップと、
を含む、
気体噴射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体噴射装置及び気体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたカメラを含むセンサ等の検知面に付着した付着物に対し、気体を噴射して付着物を除去する気体噴射装置が提案されている。例えば、吸気及び噴射のサイクルで駆動するポンプ式の空気圧縮部を有し、圧縮空気をカメラのレンズに噴射し、レンズに付着した雨滴、塵埃、泥等の付着物を除去する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-91200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置において、センサ等の検知面に雨滴などが付着していることを、センサや車両等に対する付着情報から判定しているだけでは、適切なタイミングで気体を噴射できない場合がある。
【0005】
一例として、雨滴などの付着頻度が高い場合、頻繁に気体を噴射するように指示することになり、吸気が間に合わず、噴射指示のタイミングで気体を噴射できないことがある。別例として、車両が降雨時にトンネルや屋根のある空間に入った場合は、カメラレンズへの直接的な雨の付着は無くなるが、自車及び他車が路面に溜まった水を跳ね上げることによるカメラレンズへの水滴付着については考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、適切なタイミングで気体を噴射することが可能な気体噴射装置及び気体噴射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な本発明の気体噴射装置は、車両のセンサの検知面に吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置であって、前記検知面に対する付着物の付着頻度または付着量を含むセンサ付着情報を取得し、前記センサ付着情報に基づいて気体の噴射間隔を決定し、前記付着頻度または前記付着量が予め定めた閾値未満である場合に、前記サイクルで断続的に気体を噴射させ、前記付着頻度または前記付着量が前記閾値以上である場合に、前記サイクルで連続的に気体を噴射させる制御部を備える。
【0008】
例示的な本発明の他の気体噴射装置は、車両のセンサの検知面に吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式の気体噴射装置であって、前記車両の走行速度を示す速度情報を取得し、前記車両に対する付着物の付着量を含む車両付着情報を取得し、前記車両の周囲の照度を示す照度情報を取得し、前記車両の走行時の日時を示す日時情報を取得し、前記速度情報、前記車両付着情報、前記照度情報及び前記日時情報に基づいて気体の噴射間隔を決定し、決定した前記噴射間隔に基づいて気体を噴射させる制御部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、適切なタイミングで気体を噴射することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の気体噴射装置の全体構成図
図2図1の気体噴射装置の噴射部の斜視図
図3図2の噴射部の空気圧縮部の分解斜視図
図4図3の噴射部のシリンダ部の斜視図
図5図3の噴射部の回転部の斜視図
図6図3の噴射部の動作の説明図
図7】カメラの検知面への付着物の付着頻度と噴射部の空気の噴射間隔との関係を示すグラフ
図8図1の気体噴射装置が行う空気の噴射処理を示すフローチャート
図9】第2実施形態の気体噴射装置の全体構成図
図10図9の噴射部の昼間における動作サイクルを示す説明図
図11図9の噴射部の夜間における動作サイクルを示す説明図
図12】噴射部の駆動電圧を調整して噴射を行う場合の動作サイクルを示す説明図
図13】噴射部の駆動タイミングを調整して噴射を行う場合の動作サイクルを示す説明図
図14図9の気体噴射装置が行う空気の噴射処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この説明では、後述するシリンダ部41が延びる方向を「軸方向」と呼び、この軸方向を表す矢線Dzを図中に記載した。軸方向Dzのプラス側が「一端部側」であり、マイナス側が「他端部側」である。さらに、軸方向Dzに関して、直交座標系を表す矢線Dx、Dyを図中に記載した。また、軸方向Dzと交差する方向を「径方向」と呼ぶ。径方向は、軸方向Dzと直交する方向Dx、Dy、すなわちDx-Dy平面を含み、厳密に直交に限定されるわけではなく、略直交も含む。
【0012】
<1.第1実施形態>
<1-1.気体噴射装置の概要>
図1は、第1実施形態の気体噴射装置1の全体構成図である。図2は、図1の気体噴射装置1の噴射部4の斜視図である。気体噴射装置1は、例えば車両に搭載される。
【0013】
気体噴射装置1は、例えば車両に搭載されたカメラC(図2参照)を含むセンサ等の検知面(レンズ)Csに付着した付着物に対し、気体を噴射して当該付着物を除去する。気体噴射装置1は、例えば車両に搭載されたセンサ付着検知部D1(図1参照)から当該付着物の検知信号を受信し、検知面(レンズ)Csに向けて噴射される気体の噴射制御を行う。センサ付着検知部D1は、例えばカメラCで撮像した画像を時系列で比較することや、付着物を検出する別のセンサを用いること等により、検知面Csに対する付着物を検知する。
【0014】
なお、ここでは、気体噴射装置1によって付着物を除去する対象をカメラCの検知面(レンズ)Csとしたが、当該対象はこれに限定されるわけではない。付着物を除去する対象は、例えばレンズを介して車両周辺の映像を取得し、また車両周辺の物標の情報等を取得する光学センサを含む。また、気体噴射装置1は、車両以外の、例えば船舶、航空機、ロボット等の移動体に搭載されても良いし、移動体以外のものに搭載されても良い。
【0015】
気体噴射装置1は、制御部2と、記憶部3と、噴射部(ポンプ)4と、噴射駆動部5と、センサ付着情報検知部6と、を備える。まず、噴射部4及び噴射駆動部5について次に説明し、制御部2、記憶部3及びセンサ付着情報検知部6について後述する。
【0016】
<1-2.噴射部の詳細>
噴射部4は、ノズル4nと、チューブ4tと、噴射部本体4bと、を備える。さらに、噴射部本体4bは、モータ4mと、空気圧縮部4cと、を備える。ノズル4nは、カメラCの検知面(レンズ)Csに隣接して取り付けられ、検知面Csを指向する。チューブ4tは、噴射部本体4bとノズル4nとの間に接続される、内部を圧縮空気が流通する。モータ4mは、空気圧縮部4cを駆動し、空気を圧縮して圧縮空気を生成するとともに、当該圧縮空気をノズル4nに向けて送り出す。モータ4mは、制御部2により制御される。
【0017】
噴射部4は、噴射部本体4bで空気を圧縮して圧縮空気を生成し、生成された圧縮空気をノズル4nから噴射することで、カメラCの検知面(レンズ)Csに付着した雨滴、塵埃、泥等の付着物を除去する。噴射部4は、吸気及び噴射のサイクルで気体を噴射するポンプ式である。
【0018】
図3は、図2の噴射部4の空気圧縮部4cの分解斜視図である。図4は、図3の噴射部4のシリンダ部41の斜視図である。図5は、図3の噴射部4の回転部42の斜視図である。空気圧縮部4cは、回転式の空気圧縮機構を有する。空気圧縮部4cは、シリンダ部41と、回転部42と、を備える。
【0019】
シリンダ部41は、軸方向Dzに延びる円筒形状に形成され、円筒状の周壁41aを有する。シリンダ部41の軸方向Dz一端部は、閉塞され、端壁41bが設けられる。端壁41bは、シリンダ部41の軸方向Dz一端部に位置し、円筒の中心軸に対して径方向に広がる。端壁41bの中心軸付近は、軸方向Dzにおいて、空気圧縮部4cに接続されたチューブ4tと対向する(図2参照)。シリンダ部41の軸方向Dz他端部は、開口している。シリンダ部41は、仕切壁41cと、吸気口41dと、排気口41eと、流路部41fと、を有する。
【0020】
仕切壁41cは、シリンダ部41の内部空間に配置される。シリンダ部41は、2つの仕切壁41cを有する。仕切壁41cは、軸方向Dz及び略径方向に延びる平板形状に形成される。2つの仕切壁41cは、互いにシリンダ部41内の中心軸領域を隔てて反対側に位置し、互いに平行に延びる。言い換えれば、仕切壁41cは、軸方向Dzから見た円筒の中心に対して点対象となる2箇所の位置に、シリンダ部41の内部空間を2つに仕切るように配置される。
【0021】
吸気口41dは、シリンダ部41の周壁41aの、軸方向Dzの開口端に隣接して配置される。さらに、吸気口41dは、軸方向Dzから見た円筒の中心に対して点対象となる2箇所の位置に、2つの仕切壁41cそれぞれに隣接して配置される。2つの吸気口41dは、シリンダ部41の周壁41aを径方向に内外に貫通し、仕切壁41cによって仕切られた2つの内部空間それぞれと連通する。噴射部4が駆動すると、2つの吸気口41dを介して2つの内部空間それぞれに空気が流入する。
【0022】
排気口41eは、シリンダ部41の端壁41bの、周壁41aに隣接して配置される。さらに、排気口41eは、軸方向Dzから見た円筒の中心に対して点対象となる2箇所の位置に、2つの仕切壁41cそれぞれに隣接して配置される。2つの排気口41eは、シリンダ部41の端壁41bを軸方向Dzに内外に貫通し、仕切壁41cによって仕切られた2つの内部空間それぞれと連通する。1つの内部空間に対して配置された吸気口41d及び排気口41eは、互いに軸方向Dzから見た円筒の中心に対して略点対象となる位置に配置される。噴射部4が駆動すると、2つの排気口41eを介して2つの内部空間それぞれから空気が流出する。
【0023】
流路部41fは、シリンダ部41の端壁41bに配置される。流路部41fは、端壁41bの外面に、軸方向Dzに窪む凹状に形成される。流路部41fは、軸方向Dzから見た円筒の中心に対して点対象となる形状に形成され、径方向両端部のそれぞれが2つの排気口41eに接続する。流路部41fは、軸方向Dzから見た円筒の中心軸線上において、シリンダ部41に接続されたチューブ4tに連通する。噴射部4が駆動すると、2つの排気口41eそれぞれから流出した空気は、流路部41fを介してチューブ4tに流入する。
【0024】
回転部42は、シリンダ部41の、開口した軸方向Dz他端部に取り付けられる。回転部42は、シリンダ部41に対し、軸方向Dzに延びる中心軸回りに回転する。回転部42は、ベース部42aと、シャフト部42bと、羽根部42cと、を備える。
【0025】
ベース部42aは、シリンダ部41の軸方向Dz他端部に位置し、円筒の中心軸に対して径方向に広がる円板形状に形成される。ベース部42aは、シリンダ部41の軸方向Dz他端部の開口を閉塞する。ベース部42aの外端面には、従動ギヤ42dが設けられる。従動ギヤ42dは、欠歯歯車で構成され、モータ4mに連結された駆動ギヤ(不図示)と噛み合う。
【0026】
回転部42は、従動ギヤ42dを介してモータ4mによって回転される。なお、回転部42は、モータ4mによる回転方向(正方向)とは逆方向に回転するように、バネ部材(不図示)によって付勢されている。従動ギヤ42dの欠歯領域が駆動ギヤと対向するところまで回転部42が回転すると、従動ギヤ42dと駆動ギヤとの噛み合わせが解除される。これにより、回転部42は、バネ部材の付勢力によってモータ4mによる回転方向(正方向)とは逆方向に回転する。
【0027】
シャフト部42bは、ベース部42aの内端面上に配置され、シリンダ部41内に位置する。シャフト部42bは、円筒形状に形成され、シリンダ部41の中心軸に沿って軸方向Dzに延びる。
【0028】
羽根部42cは、ベース部42aの内端面上であって、シャフト部42bの径方向外側に配置される。回転部42は、2つの羽根部42cを有する。羽根部42cは、軸方向Dz及び径方向に延びる平板形状に形成される。2つの羽根部42cは、互いにシャフト部42bを隔てて反対側に位置し、互いに平行に延びる。言い換えれば、羽根部42cは、軸方向Dzから見た円筒の中心に対して点対象となる2箇所の位置に、シリンダ部41の内部空間を2つに仕切るように配置される。2つの羽根部42cのそれぞれは、吸気弁42eを有する。
【0029】
吸気弁42eは、羽根部42cの軸方向Dz及び径方向に延びる壁面上に配置される。吸気弁42eは、気体流路42fと、弾性部材42gと、を有する。気体流路42fは、羽根部42cの壁面を軸方向Dzと交差する方向に貫通する。弾性部材42gは、略円板形状に形成されて気体流路42fに隣接して配置され、気体流路42fを開放及び閉塞する。
【0030】
弾性部材42gは、回転部42がモータ4mによって正方向に回転されると、シリンダ部41内の圧力によって羽根部42cの壁面から離れる方向に弾性変形して湾曲し、気体流路42fを開放する。これにより、シリンダ部41内において、図5に示す気流F1の方向に、空気が吸気弁42eを通過する。
【0031】
一方、弾性部材42gは、回転部42がバネ部材によって逆方向に回転されると、シリンダ部41内の圧力によって羽根部42cの壁面に密着するように変位し、気体流路42fを閉塞する。これにより、吸気弁42eにおける空気の流通が阻止される。
【0032】
図6は、図3の噴射部4の動作の説明図である。図6には、「吸気前」、「吸気」工程、及び「噴射」工程の3つの状態の、軸方向Dz一端部側から見たシリンダ部41及び回転部42の断面図を描画している。
【0033】
「吸気前」において、回転部42の従動ギヤ42dは、モータ4m側の駆動ギヤと噛み合っていない。これにより、回転部42は、バネ部材によって付勢され、逆方向に回転された状態である。2つの羽根部42c、及びシリンダ部41の2つの仕切壁41cのそれぞれは、互いの壁面が対向し合うように接触する。
【0034】
「吸気」工程では、「吸気前」の状態からモータ4mが駆動して駆動ギヤが従動ギヤ42dに噛み合い、回転部42が正方向(図6の反時計方向)に回転する。羽根部42cは、「吸気前」において対向する仕切壁41cから離れるように正方向に回転し、羽根部42cと仕切壁41cとの間に気室41gが生じる。このとき、気室41gの内外の圧力差により、空気が、吸気口41d及び吸気弁42eを通過して気室41g内に流入する。
【0035】
「噴射」工程では、さらにモータ4mが駆動して欠歯領域において駆動ギヤと従動ギヤ42dとの噛み合いが解除され、バネ部材の付勢力により、回転部42が逆方向(図6の時計方向)に回転する。羽根部42cは、「吸気前」において対向する仕切壁41cに近づくように逆方向に回転し、気室41gを収縮させる。吸気弁42eは閉塞されており、気室41g内では圧縮空気が生成される。当該圧縮空気は、排気口41eを介してシリンダ部41内から排出され、チューブ4tを介してノズル4nまで送られ、カメラCの検知面(レンズ)Csに向けて噴射される。
【0036】
上記のように、噴射部4は、「吸気」及び「噴射」のサイクルで空気を噴射するポンプ式である。
【0037】
噴射部4は、制御部2によって制御される。詳細に言えば、噴射部4は、噴射駆動部5を介して制御部2によって制御される。噴射駆動部5は、制御部2から制御信号を受信し、噴射部4に対して駆動信号を送信する。詳細に言えば、噴射駆動部5は、制御部2から受信した制御信号に基づいてモータ4mの駆動信号を生成し、当該駆動信号を所定のタイミングでモータ4mに対して送信する。
【0038】
図2に示すように、本実施形態において、噴射駆動部5は、噴射部4の筐体内に設けられ、モータ4mに隣接している。一方、他の実施例として、制御部2においてモータ4mの駆動信号を生成し、当該駆動信号を制御部2がモータ4mに対して送信することにしても良い。
【0039】
<1-3.制御部の詳細>
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)によって構成される演算処理部を含む。また、制御部2は、例えば不揮発性メモリであって、電気的にデータの書き換えが可能な内部メモリを含む。内部メモリには、気体噴射装置1の機能を実現するためのプログラムが予め格納される。制御部2においては、CPUが内部メモリに予め格納された制御用のプログラムに従った演算処理を実行することにより、各種の機能が実現される。
【0040】
記憶部3は、例えば不揮発性メモリであって、電気的にデータの書き換えが可能な記憶装置である。記憶部3は、噴射部4を制御するための、制御情報テーブル31と、閾値テーブル32と、センサ付着情報33と、を記憶する。
【0041】
制御部2は、取得部21と、噴射間隔決定部22と、噴射制御部23と、を含む。これらの各構成要素それぞれの機能は、制御部2の内部メモリに予め格納された制御用のプログラムに従い、制御情報テーブル31及び閾値テーブル32のそれぞれに記憶されたデータを用いて、CPUが演算処理を行うことによって実現される。制御部2の一部、または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されても良い。
【0042】
取得部21は、センサ付着情報検知部6を介してセンサ付着情報33を取得する。センサ付着情報33は、カメラCの検知面(レンズ)Csに対する付着物の付着頻度及び付着量を含む情報である。センサ付着情報33は、記憶部3に形成されたセンサ付着情報テーブル(不図示)に記憶される。
【0043】
なお、センサ付着情報検知部6は、車両に搭載されたセンサ付着検知部D1から検知面Csに対する付着物の検知信号を受信する。センサ付着情報検知部6は、付着物の検知信号に対し、制御部2で容易に扱えるように、例えば電圧を合わせるなどのデータの整合性を図り、センサ付着情報33として制御部2に向けて送信する。
【0044】
噴射間隔決定部22は、センサ付着情報33に基づき、噴射部4による空気の噴射間隔を決定する。空気の噴射間隔に関し、制御部2は、噴射部4に対して断続噴射制御または連続噴射制御を行う。
【0045】
断続噴射制御では、先に説明した吸気及び噴射のサイクルで断続的に空気を噴射させる。噴射間隔決定部22は、断続的に空気を噴射させるために、例えば吸気工程にかける時間、或いはサイクル間の待機時間を調整して噴射間隔を決定する。
【0046】
連続噴射制御では、先に説明した吸気及び噴射のサイクルで連続的に空気を噴射させる。噴射間隔決定部22は、連続的に空気を噴射させるために、例えば吸気工程にかける時間、及びサイクル間の待機時間を可能な限り短くして噴射間隔を決定する。
【0047】
噴射制御部23は、噴射間隔決定部22によって決定された空気の噴射間隔に基づき、空気の噴射制御を行う。詳細に言えば、噴射制御部23は、噴射間隔決定部22によって決定された吸気工程にかける時間、サイクル間の待機時間等に基づいて噴射部4の制御信号を生成し、噴射駆動部5に対して送信する。
【0048】
図7は、カメラCの検知面(レンズ)Csへの付着物の付着頻度と噴射部4の空気の噴射間隔との関係を示すグラフである。図7の横軸は、カメラCの検知面(レンズ)Csへの付着物の付着頻度を示し、右に進むにつれて付着頻度が高くなることを示す。図7の縦軸は、噴射部4の空気の噴射間隔を示し、上に進むにつれて噴射間隔が長くなることを示す。
【0049】
なおここでは、噴射部4の空気の噴射間隔を決定する条件として、カメラCの検知面Csへの付着物の付着頻度を用いて説明するが、付着物の付着量であっても良い。この場合、「付着頻度」を「付着量」に読み替える。
【0050】
図7に示すように、噴射間隔決定部22は、カメラCの検知面Csへの付着物の付着頻度が低い場合、噴射部4の空気の噴射間隔として長い噴射間隔を決定する。そして、噴射間隔決定部22は、付着物の付着頻度が、予め定めた閾値Th1未満である場合に、付着物の付着頻度が高くなるにつれて空気の噴射間隔を短くする。言い換えれば、付着物の付着頻度と空気の噴射間隔とは、線形に変化する関係を有する(図7参照)。すなわち、カメラCの検知面Csへの付着物の付着頻度が予め定めた閾値Th1未満である場合に、制御部2は、噴射部4に対し、断続的に空気を噴射する断続噴射制御を行う。
【0051】
また、噴射間隔決定部22は、付着物の付着頻度が、予め定めた閾値Th1以上である場合に、断続噴射時よりも短い間隔で、空気の噴射間隔を一定に維持する。すなわち、カメラCの検知面Csへの付着物の付着頻度が予め定めた閾値Th1以上である場合に、制御部2は、噴射部4に対し、連続的に空気を噴射する連続噴射制御を行う。
【0052】
なお、付着物の付着頻度と空気の噴射間隔との関係は、制御情報テーブル31内に予め記憶される。閾値Th1に係る情報は、閾値テーブル32内に予め記憶される。
【0053】
上記の構成によれば、カメラCの検知面Csへの付着物の付着頻度または付着量が所定の閾値Th1以上である場合、すなわち雨滴、塵埃、泥等が頻繁に検知面Csに付着する場合に、検知面Csに対して連続的に空気が噴射される。これにより、噴射部4の噴射動作のタイムラグの発生を抑制することができる。したがって、によれば、適切なタイミングで空気を噴射することが可能である。
【0054】
<1-4.気体噴射装置の動作例>
図8は、図1の気体噴射装置1が行う空気の噴射処理を示すフローチャートである。図8に示す処理は、気体噴射装置1を搭載する車両の走行中等において、図1の制御部2によって実行される。
【0055】
ステップS101において、制御部2(取得部21)は、カメラCの検知面Csに対する付着物の付着頻度及び付着量を含むセンサ付着情報33を取得し、ステップS102に移る。センサ付着情報33は、記憶部3に形成されたセンサ付着情報テーブル(不図示)に記憶される。
【0056】
ステップS102において、制御部2(噴射間隔決定部22)は、センサ付着情報33に基づき、噴射部4による空気の噴射間隔を決定し、ステップS103に移る。
【0057】
ステップS103において、制御部2(噴射間隔決定部22)は、付着頻度または付着量が予め定めた閾値Th1未満であるか否かを判定し、閾値Th1未満である場合はステップS104に移り、閾値Th1以上である場合はステップS105に移る。
【0058】
ステップS104において、制御部2は、噴射部4に対して断続噴射制御を行い、ステップS101に戻る。具体的に言えば、噴射間隔決定部22は、付着物の付着頻度または付着量が高くなるにつれて空気の噴射間隔を短くする。制御部2は、噴射部4に対し、断続的に空気を噴射させる断続噴射制御を行う。
【0059】
ステップS105において、制御部2は、噴射部4に対して連続噴射制御を行い、ステップS101に戻る。具体的に言えば、噴射間隔決定部22は、断続噴射時よりも短い間隔で、空気の噴射間隔を一定に維持する。制御部2は、噴射部4に対し、連続的に空気を噴射させる連続噴射制御を行う。
【0060】
そして、制御部2は、連続噴射制御中に、付着頻度または付着量が閾値Th1未満となった場合に、断続噴射制御に切り替える。言い換えれば、制御部2は、連続的な空気の噴射中に、付着頻度または付着量が閾値Th1未満となった場合に、断続的な空気の噴射に切り替える。
【0061】
この構成によれば、付着頻度または付着量に応じて、適宜好適に空気の噴射間隔を調整することができる。これにより、長期間にわたって継続して連続噴射が行われることを抑制することが可能である。したがって、噴射部4のモータ4mや従動ギヤ42dといった機械部品の損耗を抑制することができ、噴射部4の長寿命化を図ることが可能である。
【0062】
<2.第2実施形態>
<2-1.気体噴射装置の概要>
図9は、第2実施形態の気体噴射装置1の全体構成図である。なお、第2実施形態の基本的な構成は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0063】
気体噴射装置1は、例えば車両に搭載された速度検知部D2、車両付着検知部D3、照度検知部D4、及び日時検知部D5から各種の検知信号を受信し、検知面Cs(図2参照)に向けて噴射される気体の噴射制御を行う。
【0064】
速度検知部D2は、例えば車速センサを有し、車両の走行速度を検知する。車両付着検知部D3は、例えば車両のフロントガラスの内側に配置された光センサを有し、フロントガラスに付着した雨滴等の付着物を検知する。照度検知部D4は、例えば照度センサを有し、車両の周囲の照度を検知する。日時検知部D5は、車両の走行時の日時を検知する。
【0065】
気体噴射装置1は、制御部2と、記憶部3と、噴射部4と、噴射駆動部5と、速度情報検知部7と、車両付着情報検知部8と、照度情報検知部9と、日時情報検知部10と、を備える。
【0066】
速度情報検知部7は、車両に搭載された速度検知部D2から車両の走行速度に係る検知信号を受信する。車両付着情報検知部8は、車両に搭載された車両付着検知部D3から車両に対する付着物の検知信号を受信する。照度情報検知部9は、車両に搭載された照度検知部D4から車両の周囲の照度に係る検知信号を受信する。日時情報検知部10は、車両に搭載された日時検知部D5から車両の走行時の日時に係る検知信号を受信する。
【0067】
速度情報検知部7、車両付着情報検知部8、照度情報検知部9、及び日時情報検知部10は、それぞれが受信した検知信号に対し、制御部2で容易に扱えるようにデータの整合性を図り、速度情報34、車両付着情報35、照度情報36、及び日時情報37として制御部2に向けて送信する。速度情報34は、車両の走行速度を示す情報である。車両付着情報35は、車両に対する付着物の付着量を含む情報である。照度情報36は、車両の周囲の照度を示す情報である。日時情報37は、車両の走行時の日時を示す情報である。
【0068】
<2-2.制御部の詳細>
取得部21は、速度情報検知部7、車両付着情報検知部8、照度情報検知部9、及び日時情報検知部10を介して速度情報34、車両付着情報35、照度情報36、及び日時情報37を取得する。速度情報34、車両付着情報35、照度情報36、及び日時情報37は、記憶部3に形成された速度情報テーブル、車両付着情報テーブル、照度情報テーブル、及び日時情報テーブル(いずれも不図示)に記憶される。
【0069】
噴射間隔決定部22は、速度情報34、車両付着情報35、照度情報36、及び日時情報37に基づき、噴射部4による空気の噴射間隔を決定する。
【0070】
図10及び図11は、図9の噴射部4の昼間及び夜間における動作サイクルを示す説明図である。なお、噴射間隔決定部22は、車両の走行時が昼間であること、或いは夜間であることを日時情報37に基づいて識別する。
【0071】
例えば、速度情報34に関して、車両の走行速度が速くなるにつれて吸気及び噴射の1サイクルの周期が短くなり、空気の噴射間隔は短くなる。また、車両付着情報35に関して、車両に対する付着物の付着量が多くなるにつれて吸気及び噴射の1サイクルの周期が短くなり、空気の噴射間隔は短くなる。さらに、これらの条件は、速度情報34と車両付着情報35との組み合わせにおいても適用される。すなわち、速度が遅く、付着量が少ない場合に、吸気及び噴射の1サイクルの周期が最も長く、空気の噴射間隔は最長となり、速度が速く、付着量が多い場合に、吸気及び噴射の1サイクルの周期が最も短く、空気の噴射間隔は最短となる。
【0072】
このような各種情報と空気の噴射間隔(サイクル周期)との関係は、制御情報テーブル31内に予め記憶される。
【0073】
噴射制御部23は、噴射間隔決定部22によって決定された空気の噴射間隔に基づき、空気を噴射させる噴射制御を行う。詳細に言えば、噴射制御部23は、噴射間隔決定部22によって決定された吸気工程にかける時間、サイクル間の待機時間等に基づいて噴射部4の制御信号を生成し、噴射駆動部5に対して送信する。
【0074】
上記の構成によれば、車両の走行速度や、車両に対する付着物の付着量等の各種情報に基づき、カメラCの検知面Csへの付着量が多いと想定される場合には空気の噴射間隔を短くし、付着量が少ないと想定される場合には空気の噴射間隔を長くする。すなわち、適宜好適に空気の噴射間隔を調整することができる。したがって、気体噴射装置1によれば、適切なタイミングで空気を噴射することが可能である。
【0075】
これにより、噴射部4の噴射動作のタイムラグの発生を抑制することができる。したがって、カメラCを含むセンサの検知精度を向上させることが可能である。また、長期間にわたって継続して連続噴射が行われることを抑制することが可能である。したがって、噴射部4のモータ4mや従動ギヤ42dといった機械部品の損耗を抑制することができ、噴射部4の長寿命化を図ることが可能である。
【0076】
上記のように、噴射間隔決定部22は、車両の走行速度が速いほど、空気の噴射間隔を短くする。車両の走行速度が速いほど、カメラCの検知面Csへの付着物の付着量が多いと想定される。したがって、本実施形態の構成によれば、検知面Csの付着物を好適に除去することが可能である。
【0077】
上記のように、噴射間隔決定部22は、カメラCの検知面Csへの付着物の付着量が多いほど、空気の噴射間隔を短くする。この構成によれば、検知面Csの付着物を好適に除去することが可能である。
【0078】
また、車両は、走行中に、例えばトンネルや屋根等の遮蔽物の内側に入ることがある。車両がトンネルに入ると、車両に雨滴が当たらなくなり、カメラCの検知面Csへの付着物(雨滴)が概ね無くなる。このため、噴射間隔決定部22は、照度情報36及び日時情報37に基づき、車両が遮蔽物内に入ったことを識別し、噴射部4による空気の噴射間隔を決定する。
【0079】
噴射間隔決定部22は、日時情報37に基づき、車両の走行時が昼間であるか、夜間であるかを識別する。さらに、噴射間隔決定部22は、照度情報36に基づき、車両が明るい所から暗い所に移動したか、暗い所から明るい所に移動したかを識別する。
【0080】
詳細に言えば、噴射間隔決定部22は、日時情報37に基づいて昼間であって、照度情報36に基づいて車両が明るい所から暗い所に移動したことを識別した場合に、速度情報34に基づいて空気の噴射間隔を決定する。また、噴射間隔決定部22は、日時情報37に基づいて夜間であって、照度情報36に基づいて車両が暗い所から明るい所に移動したことを識別した場合に、速度情報34に基づいて空気の噴射間隔を決定する。
【0081】
図10によれば、昼間において、車両付着情報35に基づいてカメラCの検知面Csへの付着量が中程度である場合に、車両が遮蔽物内に入り、照度が明から暗に変化すると、吸気及び噴射の1サイクルの周期が長くなり、空気の噴射間隔は長くなる。図11によれば、夜間において、車両付着情報35に基づいてカメラCの検知面Csへの付着量が中程度である場合に、車両が遮蔽物内に入り、照度が暗から明に変化すると、吸気及び噴射の1サイクルの周期が長くなり、空気の噴射間隔は長くなる。
【0082】
上記の構成によれば、車両が遮蔽物内に入ることで、カメラCの検知面Csへの付着量が少なくなると想定されるが、噴射動作を停止することなく、好適に空気の噴射間隔を調整することができる。したがって、気体噴射装置1によれば、車両が遮蔽物内に入った場合でも、適切なタイミングで空気を噴射することが可能である。
【0083】
また、噴射部4のモータ4mを高速で駆動させる場合、すなわち空気の噴射間隔が極めて短い場合に、例えば吸気工程にかける時間、及びサイクル間の待機時間を可能な限り短くする必要がある。このため、制御部2は、噴射間隔決定部22によって決定した噴射間隔が予め定めた所定値未満である場合に、噴射部4の駆動電圧を調整することにより空気を噴射させる噴射制御を行う。
【0084】
図12は、噴射部4の駆動電圧を調整して噴射を行う場合の動作サイクルを示す説明図である。噴射間隔決定部22によって決定した噴射間隔が短くて所定値未満である場合、サイクル間の待機時間Twaは、例えば可能な限り最短であって一定に設定される。そして、噴射部4の駆動電圧を調整することで、吸気工程にかける時間を変更し、噴射動作のサイクル周期を、例えば図12に示す周期Tsa、Tsb、Tscに設定する。
【0085】
一方、制御部2は、噴射間隔決定部22によって決定した噴射間隔が予め定めた所定値以上である場合に、噴射部4の駆動タイミングを調整することにより空気を噴射させる噴射制御を行う。
【0086】
図13は、噴射部4の駆動タイミングを調整して噴射を行う場合の動作サイクルを示す説明図である。噴射間隔決定部22によって決定した噴射間隔が長くて所定値以上である場合、噴射動作のサイクル周期Tsdは、例えばモータ4mの駆動に好適な期間であって一定に設定される。そして、噴射部4の駆動タイミングを調整することで、サイクル間の待機時間を、例えば図13に示す待機時間Twb、Twc、Twdに設定する。
【0087】
なお、噴射動作のサイクル周期(吸気工程にかける時間)、サイクル間の待機時間、駆動電圧、及び駆動タイミングに係る情報は、制御情報テーブル31内に予め記憶される。噴射間隔の所定値に係る情報は、閾値テーブル32内に予め記憶される。
【0088】
上記の構成によれば、噴射部4のモータ4mを高速で駆動させる場合においても、好適に空気の噴射間隔を調整することができる。したがって、噴射部4のモータ4mや従動ギヤ42dといった機械部品にかかる負荷を軽減することが可能である。すなわち、噴射部4の長寿命化を図ることが可能である。
【0089】
<2-3.気体噴射装置の動作例>
図14は、図9の気体噴射装置1が行う空気の噴射処理を示すフローチャートである。図14に示す処理は、気体噴射装置1を搭載する車両の走行中等において、図9の制御部2によって実行される。
【0090】
ステップS201において、制御部2(取得部21)は、速度情報34、車両付着情報35、照度情報36、及び日時情報37の各種情報を取得し、ステップS202に移る。速度情報34、車両付着情報35、照度情報36、及び日時情報37は、記憶部3に形成された速度情報テーブル、車両付着情報テーブル、照度情報テーブル、及び日時情報テーブル(いずれも不図示)に記憶される。
【0091】
ステップS202において、制御部2(噴射間隔決定部22)は、速度情報34、車両付着情報35、照度情報36、及び日時情報37に基づき、噴射部4による空気の噴射間隔を決定し、ステップS203に移る。
【0092】
ステップS203において、制御部2(噴射間隔決定部22)は、噴射間隔決定部22によって決定した噴射間隔が予め定めた所定値未満であるか否かを判定し、所定値未満である場合はステップS204に移り、所定値以上である場合はステップS205に移る。
【0093】
ステップS204において、制御部2は、噴射部4の駆動電圧を調整することにより空気を噴射させる噴射制御を行い、ステップS201に戻る。具体的に言えば、制御部2は、噴射動作のサイクル間の待機時間を一定に設定し、噴射部4の駆動電圧を調整することで噴射動作のサイクル周期を複数に設定し、空気を噴射させる。
【0094】
ステップS205において、制御部2は、噴射部4の駆動タイミングを調整することにより空気を噴射させる噴射制御を行い、ステップS201に戻る。具体的に言えば、制御部2は、噴射動作のサイクル周期を一定に設定し、噴射部4の駆動タイミングを調整することで噴射動作のサイクル間の待機時間を複数に設定し、空気を噴射させる。
【0095】
<3.留意事項等>
本明細書中で実施形態として開示された種々の技術的特徴は、その技術的創作の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれる。また、本明細書中で示した複数の実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせて実施して良い。
【符号の説明】
【0096】
1 気体噴射装置
2 制御部
3 記憶部
4 噴射部(ポンプ)
4m モータ
4n ノズル
5 噴射駆動部
6 センサ付着情報検知部
7 速度情報検知部
8 車両付着情報検知部
9 照度情報検知部
10 日時情報検知部
21 取得部
22 噴射間隔決定部
23 噴射制御部
31 制御情報テーブル
32 閾値テーブル
33 センサ付着情報
34 速度情報
35 車両付着情報
36 照度情報
37 日時情報
C カメラ(センサ)
Cs 検知面
Th1 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14