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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068508
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】位置決定装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
E02F9/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179024
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】522077948
【氏名又は名称】株式会社Hemisphere Japan
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツェツェグ ウルジー バトゾリグ
(72)【発明者】
【氏名】飯島 淳
(72)【発明者】
【氏名】今泉 斉朗
(72)【発明者】
【氏名】安富 敏
(72)【発明者】
【氏名】池田 充宏
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
(57)【要約】
【課題】 作業機に備えられた車両位置測定装置の位置に対する較正を、容易且つ精度良く実施する。
【解決手段】 バックホー10に適用される位置決定装置80によれば、3Dキャリブレーションのための、プライマリアンテナ位置決定部81が備えられている。プライマリアンテナ位置決定部81は、プライマリアンテナ41の位置として、車両座標系におけるプライマリアンテナ41上の中心点P1に対応する第6座標(X6,Y6,Z6)を決定するようになっている。プライマリアンテナ位置決定部81では、第1原点O1、第1座標(X1,Y2,Z3)、ピッチ角θ2、第2座標(S2,T2,U2)、第3座標(S3,T3,U3)、第4座標(S4,T4,U4)、第5座標(S5,T5,U5)、及び、第1方位角γ1に基づいて、第6座標(X6,Y6,Z6)が決定される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両と、
前記走行車両と接続部位を介して接続され、前記接続部位から離間する先端部位に向かう方向に沿って延びる可動操作具であって、前記接続部位を中心として前記走行車両に対して相対回転可能な可動操作具と、
前記走行車両の所定部位に搭載され、前記搭載された位置を測定する第1車両位置測定装置と、
前記走行車両の回転度合いを取得する車両回転度取得装置と、
前記可動操作具の回転度合いを取得する可動操作具回転度取得装置と、
を備え、
少なくとも、前記第1車両位置測定装置、前記車両回転度取得装置、及び、前記可動操作具回転度取得装置のそれぞれにより、測定・取得された前記第1車両位置測定装置の位置、前記走行車両の回転度合い、及び、前記可動操作具の回転度合いに基づいて、前記可動操作具の先端部位の位置が決定されるように構成された
作業機であって、
水平面に沿って前記接続部位から前記先端部位に向かう方向である第1方向と、
前記第1方向と直交し、且つ、前記走行車両の車幅方向に対応するとともに、前記水平面に沿って前記接続部位を通る第2方向と、
前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれと直交し、且つ、鉛直方向に沿って前記接続部位を通る第3方向と、
前記接続部位を第1原点とし、前記第1方向、前記第2方向、及び、前記第3方向にて構成される3次元の車両座標系と、
が規定され、
前記車両座標系において、前記車両回転度取得装置により取得される前記走行車両の前記第1方向を軸とした回転度合いを示すロール角がゼロとなる状態であるロール角ゼロ状態を達成可能に構成された
作業機に適用される位置決定装置において、
前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記第1原点と、
前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記可動操作具上の所定の点に対応する第1座標と、
前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記車両回転度取得装置により取得される前記走行車両の前記第2方向を軸とした回転度合いを示すピッチ角と、
任意の点を第2原点とし、水平面に沿って前記第2原点を通る第4方向、前記第4方向と直交し、且つ、前記水平面に沿って前記第2原点を通る第5方向、及び、前記第4方向及び前記第5方向のそれぞれと直交し、且つ、鉛直方向に沿って前記第2原点を通る第6方向にて構成される3次元の測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記可動操作具上の所定の点に対応する第2座標と、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記可動操作具上の所定の点に対応する座標であって、前記第2座標の位置と異なる第3座標と、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第1座標に対応する前記可動操作具上の所定の点に対応する第4座標と、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第1車両位置測定装置上の所定の点に対応する第5座標と、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第2座標及び前記第3座標に基づき取得される前記水平面上の前記第4方向に対する成す角である第1方位角と、
に基づいて、
前記第1車両位置測定装置の位置として、前記車両座標系における前記第1車両位置測定装置上の所定の点に対応する第6座標を決定する第1車両位置測定装置位置決定部
を備えた
位置決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決定装置において、
前記作業機は、更に、
前記走行車両において、前記第1車両位置測定装置の位置とは異なる所定部位に搭載され、前記搭載された位置を測定する第2車両位置測定装置を備え、
第1車両位置測定装置位置決定部に加え、更に、
前記決定された前記第6座標と、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第5座標、及び、前記第2車両位置測定装置上の所定の点に対応する第7座標に基づき取得される前記水平面上の前記第4方向に対する成す角である第2方位角と、
に基づいて、
前記第2車両位置測定装置の位置として、前記車両座標系における前記第2車両位置測定装置上の所定の点に対応する第8座標を決定する第2車両位置測定装置位置決定部
を備えた
位置決定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置決定装置において、
前記作業機はバックホーであり、
前記可動操作具は、
前記第1方向において一端側及び他端側が規定されたブームであって、前記接続部位としてのブームピンを介して前記一端側が前記走行車両と接続され、前記第2方向と平行な前記ブームピンを通る軸を中心に回転可能なブームと、
前記第1方向において一端側及び他端側が規定されたアームであって、前記一端側が前記ブームの他端側と接続されるアームと、
前記第1方向において一端側及び他端側が規定されたバケットであって、バケットピンを介して前記一端側が前記アームの他端側と接続され、前記他端側が前記先端部位として構成されて、前記第2方向と平行な前記バケットピンを通る軸を中心に回転可能なバケットと、
を備え、
前記第1車両位置測定装置位置決定部は、
前記第1原点として、
前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記ブームピン上の点を用い、
前記第1座標として、
前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記バケットピン上の点を用い、
前記第2座標として、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記ブーム上の点を用い、
前記第3座標として、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記バケットの前記先端部位の点を用い、
前記第4座標として、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記バケットピン上の点を用いるように構成された
位置決定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の位置決定装置において、
前記走行車両は、
所定の軸を中心に前記可動操作具と一体的に旋回可能に構成され、
前記第1原点と、
前記第1座標と、
前記第2座標と、
前記第3座標と、
前記第4座標と、
前記ピッチ角と、
前記第1方位角と、
前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記走行車両の旋回にて描かれる前記可動操作具上の所定の点の円弧軌跡上の第9座標と、
に基づいて、
前記走行車両の旋回中心の位置として、前記車両座標系における前記走行車両の旋回中心の点に対応する第10座標を決定する車両旋回中心位置決定部
を備えた
位置決定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の位置決定装置において、
前記測定座標系における前記第2座標、前記第3座標、前記第4座標、前記第5座標、前記第7座標、及び、前記第9座標のうち、少なくとも1つ又は2つ以上が、前記作業機から離間して設置された外部座標測定装置を用いて測定される
位置決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも可動操作具を備えた作業機であって、可動操作具の先端部位の位置を決定するように構成された作業機に適用され、作業機における所定部位の位置を決定する位置決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械等の作業機として、バックホーが知られている。バックホーは、一般に、ブーム、アーム、バケット等の可動操作具を備えている。この可動操作具は、運転者の操作等に応じて、作動制御される。特に、可動操作具の先端部位は、地表面の狙いの位置にて掘削するために、位置を取得することが好ましい。例えば、取得された先端部位の位置を用いて、運転者に対し、可動操作具の操作をナビゲートすることができる。このような事情を鑑みて、近年、可動操作具の先端部位の位置を決定するための技術が、開発されてきている。
【0003】
特許文献1では、作業機としてのバックホーの刃先位置を決定する技術が、開示されている。バックホーの刃先位置を決定するために、少なくとも車体の位置情報が用いられる。車体位置を検出するために、バックホーに、GNSS用のアンテナが搭載されている。搭載されたアンテナの位置が、外部計測装置を用いて計測されて、アンテナパラメータが取得される。そして、アンテナパラメータは、較正値としてバケットの刃先位置の演算に用いられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5237408号公報(段落0063、0079等)
【発明の概要】
【0005】
上記特許文献1では、アンテナパラメータとして、車両座標系におけるブームピンと、アンテナとの間の距離が、演算される。当該距離は、3次元の各方向においてそれぞれ演算されることで、座標を構成する。他方、ブームピンの位置は、車体の3次元的な傾斜に伴って、種々変動する。係る観点を演算に十分に反映しなければ、アンテナパラメータも変動し、較正の精度を期待することが困難となる。上記特許文献1では、アンテナパラメータについて、具体的な演算プロセスも開示されていない。このため、アンテナの位置に対する較正を、容易且つ精度良く実施するにあたり、改善の余地があると言える。
【0006】
そこで、本発明は、上記を鑑み、少なくとも可動操作具、及び、車両位置測定装置を備えた作業機であって、可動操作具の先端部位の位置を、車両位置に基づき決定するように構成された作業機に適用され、作業機における所定部位の位置を決定する位置決定装置において、車両位置測定装置の位置に対する較正を、容易且つ精度良く実施できるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の位置決定装置は、走行車両と、前記走行車両と接続部位を介して接続され、前記接続部位から離間する先端部位に向かう方向に沿って延びる可動操作具であって、前記接続部位を中心として前記走行車両に対して相対回転可能な可動操作具と、前記走行車両の所定部位に搭載され、前記搭載された位置を測定する第1車両位置測定装置と、前記走行車両の回転度合いを取得する車両回転度取得装置と、前記可動操作具の回転度合いを取得
する可動操作具回転度取得装置と、を備え、少なくとも、前記第1車両位置測定装置、前記車両回転度取得装置、及び、前記可動操作具回転度取得装置のそれぞれにより、測定・取得された前記第1車両位置測定装置の位置、前記走行車両の回転度合い、及び、前記可動操作具の回転度合いに基づいて、前記可動操作具の先端部位の位置が決定されるように構成された作業機であって、水平面に沿って前記接続部位から前記先端部位に向かう方向である第1方向と、前記第1方向と直交し、且つ、前記走行車両の車幅方向に対応するとともに、前記水平面に沿って前記接続部位を通る第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれと直交し、且つ、鉛直方向に沿って前記接続部位を通る第3方向と、前記接続部位を第1原点とし、前記第1方向、前記第2方向、及び、前記第3方向にて構成される3次元の車両座標系と、が規定され、前記車両座標系において、前記車両回転度取得装置により取得される前記走行車両の前記第1方向を軸とした回転度合いを示すロール角がゼロとなる状態であるロール角ゼロ状態を達成可能に構成された作業機に適用される。
【0008】
本発明の位置決定装置は、前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記第1原点と、前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記可動操作具上の所定の点に対応する第1座標と、前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記車両回転度取得装置により取得される前記走行車両の前記第2方向を軸とした回転度合いを示すピッチ角と、任意の点を第2原点とし、水平面に沿って前記第2原点を通る第4方向、前記第4方向と直交し、且つ、前記水平面に沿って前記第2原点を通る第5方向、及び、前記第4方向及び前記第5方向のそれぞれと直交し、且つ、鉛直方向に沿って前記第2原点を通る第6方向にて構成される3次元の測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記可動操作具上の所定の点に対応する第2座標と、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記可動操作具上の所定の点に対応する座標であって、前記第2座標の位置と異なる第3座標と、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第1座標に対応する前記可動操作具上の所定の点に対応する第4座標と、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第1車両位置測定装置上の所定の点に対応する第5座標と、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第2座標及び前記第3座標に基づき取得される前記水平面上の前記第4方向に対する成す角である第1方位角と、に基づいて、前記第1車両位置測定装置の位置として、前記車両座標系における前記第1車両位置測定装置上の所定の点に対応する第6座標を決定する第1車両位置測定装置位置決定部を備える。
【0009】
本発明の位置決定装置において、前記作業機は、更に、前記走行車両において、前記第1車両位置測定装置の位置とは異なる所定部位に搭載され、前記搭載された位置を測定する第2車両位置測定装置を備え、第1車両位置測定装置位置決定部に加え、更に、前記決定された前記第6座標と、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での、前記第5座標、及び、前記第2車両位置測定装置上の所定の点に対応する第7座標に基づき取得される前記水平面上の前記第4方向に対する成す角である第2方位角と、に基づいて、前記第2車両位置測定装置の位置として、前記車両座標系における前記第2車両位置測定装置上の所定の点に対応する第8座標を決定する第2車両位置測定装置位置決定部が備えられる。
【0010】
本発明の位置決定装置において、前記作業機はバックホーであり、前記可動操作具は、前記第1方向において一端側及び他端側が規定されたブームであって、前記接続部位としてのブームピンを介して前記一端側が前記走行車両と接続され、前記第2方向と平行な前記ブームピンを通る軸を中心に回転可能なブームと、前記第1方向において一端側及び他端側が規定されたアームであって、前記一端側が前記ブームの他端側と接続されるアームと、前記第1方向において一端側及び他端側が規定されたバケットであって、バケットピンを介して前記一端側が前記アームの他端側と接続され、前記他端側が前記先端部位として構成されて、前記第2方向と平行な前記バケットピンを通る軸を中心に回転可能なバケ
ットと、を備え、前記第1車両位置測定装置位置決定部は、前記第1原点として、前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記ブームピン上の点を用い、前記第1座標として、前記車両座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記バケットピン上の点を用い、前記第2座標として、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記ブーム上の点を用い、前記第3座標として、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記バケットの前記先端部位の点を用い、前記第4座標として、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記バケットピン上の点を用いるように構成される。
【0011】
本発明の位置決定装置において、前記走行車両は、所定の軸を中心に前記可動操作具と一体的に旋回可能に構成され、前記第1原点と、前記第1座標と、前記第2座標と、前記第3座標と、前記第4座標と、前記ピッチ角と、前記第1方位角と、前記測定座標系における、前記ロール角ゼロ状態での前記走行車両の旋回にて描かれる前記可動操作具上の所定の点の円弧軌跡上の第9座標と、に基づいて、前記走行車両の旋回中心の位置として、前記車両座標系における前記走行車両の旋回中心の点に対応する第10座標を決定する車両旋回中心位置決定部が備えられる。
【0012】
本発明の位置決定装置において、前記測定座標系における前記第2座標、前記第3座標、前記第4座標、前記第5座標、前記第7座標、及び、前記第9座標のうち、少なくとも1つ又は2つ以上が、前記作業機から離間して設置された外部座標測定装置を用いて測定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業機に備えられた車両位置測定装置の位置に対する較正を、容易且つ精度良く実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る位置決定装置が適用される作業機(バックホー)の側視図である。
図2図1に示す作業機の上面図である。
図3図1に示す作業機が備えるECUと、当該ECUに接続される各種装置とを示す機能ブロック図である。
図4図1に示す作業機の走行車両がロール角θ1にて傾斜した状態における背面図、及び、ピッチ角θ2にて傾斜した状態における側面図である。
図5図1に示す作業機のブームが傾斜角(水平方向に対するブーム回転軸の回転角)θ3にて傾斜した状態における側面図である。
図6図1に示す作業機のアームが傾斜角(水平方向に対するアーム回転軸の回転角)θ4にて傾斜した状態における側面図である。
図7図1に示す作業機のリストリンクが傾斜角(水平方向に対するリストリンク回転軸の回転角)θ5にて傾斜した状態における側面図である。
図8図1に示す作業機のバケットが傾斜角(水平方向に対するバケット回転軸の回転角)θ6にて傾斜した状態における側面図である。
図9図8に示す傾斜角θ6を決定するために用いられる値βを算出するための各種パラメータに対応する部位を示す図である。
図10図1に示す作業機の走行車両がロール角ゼロ状態である場合における背面図、及び、ピッチ角θ2にて傾斜した状態における側面図である。
図11図1に示す作業機に対し、外部座標測定装置にて第2座標、及び、第3座標を測定した場合における、測定座標系での各座標及び第1方位角の対応関係を示す図である。
図12図1に示す作業機に対し、外部座標測定装置にて第4座標を測定した場合における、測定座標系での各座標及び各ベクトルの対応関係を示す図である。
図13図1に示す作業機に対し、外部座標測定装置にて第5座標、及び、第7座標を測定した場合における、測定座標系での各座標及び第2方位角の対応関係を示す図である。
図14図1に示す作業機に対し、外部座標測定装置にて4つの第9座標を測定した場合における、測定座標系での旋回にて描かれる円弧軌跡、各座標、及び、各ベクトルの対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
<作業機の構成>
図1、及び、図2は、本発明の実施形態に係る位置決定装置80が適用される作業機10を示している。本実施形態では、作業機10が、バックホー10であるものとして説明する。なお、作業機10は、バックホーに限られず、可動操作具の先端を有する他の建設機械、農業機械等であってもよい。図1、及び、図2は、バックホー10の側面図、及び、バックホー10の上面図である。以下、バックホー10の構成を詳述する。
【0017】
図1、及び、図2に示すように、バックホー10は、走行車両20、可動操作具30、車両位置検出装置40、回転度検出装置50、駆動制御装置70、及び、位置決定装置80を、備えている。なお、駆動制御装置70、及び、位置決定装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90の一部を構成している。
【0018】
走行車両20は、上部旋回体21と、下部走行体22とを有する。上部旋回体21は、下部走行体22に対し、所定の軸を中心として旋回可能に搭載されている。旋回中心の軸は、下部走行体22が水平面に位置している場合に、鉛直方向と平行になっている。
【0019】
上部旋回体21には、可動操作具30、車両位置検出装置40、及び、キャビン21aが備えられている。キャビン21aには、運転席、操作具21b(例えば、レバー、スイッチ、ペダル等、図3を参照)、表示装置21c(例えば、モニタ等、図3を参照)が設けられている。なお、各図において適宜矢印で示すよう、運転者が、キャビン21a内に着座した状態において、運転者の前・後、運転者の左・右、運転者の上・下に対応する方向を、それぞれ前方・後方、左方・右方、上方・下方とする。
【0020】
下部走行体22は、走行装置22aと、ドーザ装置22bとを備えている。走行装置22aは、クローラ式となるよう構成されている。ドーザ装置22bは、走行装置22aの前方に設けられている。上部旋回体21において、左側に寄るようにキャビン21aが配置され、可動操作具30はキャビン21aの右隣に配置されている。
【0021】
図1に示すように、可動操作具30は、走行車両20の上部旋回体21と、ブームピン31a(接続部位に相当)を介して接続されている。可動操作具30は、ブームピン31aから、前方に離間するバケット34の先端部位34bに向かう方向に沿って、延びている。可動操作具30は、ブームピン31aを中心として、走行車両20に対して相対回転可能となっている。
【0022】
可動操作具30は、ブーム31、アーム33、及び、バケット34を備えている。また、可動操作具30は、ブームシリンダ36、アームシリンダ38、及び、バケットシリンダ39を備えている。これらのシリンダは、例えば、棒状の油圧シリンダ装置であり、運転者の操作により、一端から他端に向かう直線距離が変化するよう伸縮駆動が可能となっている。
【0023】
ブーム31は、後述する第1方向において一端側及び他端側が規定されており、接続部位としてのブームピン31aを介して、一端側が走行車両20と接続されている。後述する第2方向と平行なブームピン31aを通る軸を中心に、回転可能となっている。本実施形態では、ブーム31の後下側の一端部は、ブームピン31aを介して、上部旋回体21の前方に支持されている。ブームシリンダ36の一端は、ブームシリンダ支軸36aを介して、上部旋回体21の前方で、ブームピン31aよりも下側に接続されている。ブームシリンダ36の他端は、ブームシリンダ支軸36bを介して、ブーム31を下方から支持している。ブームシリンダ36の伸縮駆動により、ブーム31が、ブームピン31aを中心として回転可能となっている。なお、本実施形態では、ブーム31は、左右に向けてオフセットしないよう構成されているが、これに代えて、バックホー10がオフセットブーム方式となっていてもよい。
【0024】
アーム33は、第1方向において一端側及び他端側が規定されており、一端側がブーム31の他端側と接続されている。本実施形態では、アーム33の上後側の端部は、アームピン33aを介して、ブーム31の前側の他端部に支持されている。アームシリンダ38の一端は、アームシリンダ支軸38aを介して、アームピン33aよりも上後方で、ブーム31の上側に接続されている。アームシリンダ38の他端は、アームシリンダ支軸38bを介して、アームピン33aよりも上前方で、アーム33を上方から支持している。アームシリンダ38の伸縮駆動により、アーム33が、アームピン33aを中心として回転可能となっている。
【0025】
バケット34は、第1方向において一端側及び他端側が規定されており、バケットピン34aを介して一端側がアーム33の他端側と接続されている。バケット34は、バケット34の他端側が先端部位34bとして構成されて、第2方向と平行なバケットピン34aを通る軸を中心に回転可能となっている。更に、バケット34の一端側は、アーム33の他端側と、リストリンク34cを介して接続されている。本実施形態では、バケットシリンダ39の一端は、バケットシリンダ支軸39aを介して、アームピン33aよりも前方で、アーム33の上側に接続されている。バケットシリンダ39の他端は、バケットシリンダ支軸39bを介して、バケットピン34aよりも下方で、リストリンク34cを介して、バケット34を支持している。バケットシリンダ39の伸縮駆動により、バケット34が、バケットピン34aを中心として回転可能となっている。先端部位34bは、バケット34の回転径方向における最外部位に相当する。ブーム31、アーム33、及び、バケット34のうち、何れか1つ、2つ、又は、全てが回転することで、バケット34の先端部位34bは、走行車両20に対して、上方向、下方向、前方向、又は、後方向の移動が可能となっている。
【0026】
バックホー10においては、第1方向、第2方向、及び、第3方向が規定されている。第1方向は、水平面に沿ってブームピン31aから先端部位34bに向かう方向である。第2方向は、第1方向と直交し、且つ、走行車両20の車幅方向の左から右に向かう方向に対応するとともに、水平面に沿って、ブームピン31aを通る方向である。第3方向は、第1方向及び第2方向のそれぞれと直交し、且つ、鉛直上方向に沿ってブームピン31aを通る方向である。図1、及び、図2に示すように、本実施形態では、第1方向はX方向、第2方向はY方向、第3方向はZ方向に対応している。また、バックホー10においては、3次元の車両座標系が規定されている。車両座標系は、ブームピン31aの位置を第1原点O1とし、X方向、Y方向、及び、Z方向にて構成されている。
【0027】
図1、及び、図2に示すように、車両位置検出装置40は、プライマリアンテナ41、及び、セカンダリアンテナ42を備えている。プライマリアンテナ41、及び、セカンダリアンテナ42は、走行車両20の上部旋回体21に、それぞれ搭載されている。本実施
形態では、プライマリアンテナ41の搭載位置は、上部旋回体21におけるキャビン21aの後方である。セカンダリアンテナ42の搭載位置は、上部旋回体21におけるプライマリアンテナ41の搭載位置よりも右方である。プライマリアンテナ41、及び、セカンダリアンテナ42のそれぞれの位置は、これに限定されず、走行車両20上であれば任意である。
【0028】
プライマリアンテナ41、及び、セカンダリアンテナ42は、全球測位衛星からの測位用信号の受信に基づいて、走行車両20の位置として上記搭載位置を検出する。この検出信号は、位置決定装置80に向けて送出されるようになっている。プライマリアンテナ41、及び、セカンダリアンテナ42は、例えば、GNSS等の衛星測位システムにより位置検出が可能なものであってもよい。プライマリアンテナ41は、第1車両位置測定装置に相当し、セカンダリアンテナ42は、第2車両位置測定装置に相当する。本実施形態では、プライマリアンテナ41、及び、セカンダリアンテナ42は別体で構成されているが、これに代えて、一体に構成されてもよい。
【0029】
回転度検出装置50は、走行車両20の上部旋回体21、ブーム31、アーム33、及び、バケット34の4か所に、それぞれ1つずつ搭載されている(図1を参照)。これら4つの回転度検出装置50は、上記4つの部位における、回転度合いをそれぞれ検出する。これらの検出信号は、位置決定装置80に向けてそれぞれ送出されるようになっている。回転度検出装置50は、例えば、IMU(Inertial Measurement Unit)等の回転角検
出が可能なものであってもよい。以下。走行車両20の上部旋回体21、ブーム31、アーム33、及び、リストリンク34cにそれぞれ搭載される回転度検出装置50を、IMU51、IMU52、IMU53、及び、IMU54と称呼する場合もある。
【0030】
本実施形態では、IMU51は、2軸の傾斜センサに相当し、走行車両20のX方向、Y方向を軸中心とした各回転度合いを取得可能となっている。ここにおいて、X方向、及び、Y方向を軸中心とした回転度合いは、ロール角、及び、ピッチ角として示される。IMU51は、車両回転度取得装置に相当する。IMU52、IMU53、及び、IMU54は、それぞれ1軸の傾斜センサに相当し、ブーム31、アーム33、及び、リストリンク34cのそれぞれにおける、Y方向と平行な軸を中心とした各回転度合いを取得可能となっている。IMU52、IMU53、及び、IMU54は、可動操作具回転度取得装置に相当する。
【0031】
図1、及び、図3に示すように、ECU90は、駆動制御装置70、及び、位置決定装置80で構成されている。駆動制御装置70、及び、位置決定装置80は、CPU、電気回路等で構成されており、上記各種装置等と有線又は無線形式にて電気的に接続されている。具体的には、駆動制御装置70は、操作具21b、可動操作具30、及び、図示しない原動機、変速機等の動力伝達系と接続されている。位置決定装置80は、車両位置検出装置40、回転度検出装置50、及び、表示装置21cと接続されている。また、位置決定装置80は、外部座標測定装置100とも接続可能となっている。
【0032】
駆動制御装置70は、運転者により操作される操作具21bの操作信号を受信する。駆動制御装置70は、当該操作信号に応じて、可動操作具30のブームシリンダ36、アームシリンダ38、及び、バケットシリンダ39の伸縮駆動を制御する。これにより、ブーム31、アーム33、及び、バケット34の各支軸を中心とした各回転作動が制御されるようになっている。なお、駆動制御装置70は、図示しない原動機、変速機等の動力伝達系も制御し、走行装置22aの走行制御も実行するようになっている。
【0033】
位置決定装置80は、プライマリアンテナ位置決定部81、セカンダリアンテナ位置決定部82、車両旋回中心位置決定部83、及び、バケット先端部位位置決定部85を備え
ている。位置決定装置80は、外部座標測定装置100と接続されたとき、外部座標測定装置100にて測定された座標に対応する信号を受信する。測定された座標等に基づいて、プライマリアンテナ位置決定部81、セカンダリアンテナ位置決定部82、及び、車両旋回中心位置決定部83での各種演算が実行される。なお、演算については、後に詳述する。
【0034】
プライマリアンテナ位置決定部81は、プライマリアンテナ41の位置として、車両座標系におけるプライマリアンテナ41上の所定の点に対応する座標を、決定するようになっている。プライマリアンテナ位置決定部81は、外部座標測定装置100と通信可能に接続され、外部座標測定装置100にて測定された座標に対応する信号を受信可能となっている。プライマリアンテナ位置決定部81では、外部座標測定装置100にて測定された座標、回転度検出装置50にて取得された角度等に基づいて、プライマリアンテナ41における座標が決定される。プライマリアンテナ位置決定部81は、第1車両位置測定装置位置決定部に相当する。
【0035】
セカンダリアンテナ位置決定部82は、セカンダリアンテナ42の位置として、車両座標系におけるセカンダリアンテナ42上の所定の点に対応する座標を、決定するようになっている。セカンダリアンテナ位置決定部82は、外部座標測定装置100と通信可能に接続され、外部座標測定装置100にて測定された座標に対応する信号を受信可能となっている。セカンダリアンテナ位置決定部82では、上記決定されたプライマリアンテナ41の座標、外部座標測定装置100にて測定された座標等に基づいて、セカンダリアンテナ42における座標が決定される。セカンダリアンテナ位置決定部82は、第2車両位置測定装置位置決定部に相当する。
【0036】
車両旋回中心位置決定部83は、走行車両20の旋回中心の位置として、車両座標系における走行車両20の旋回中心の点に対応する座標を、決定するようになっている。車両旋回中心位置決定部83は、外部座標測定装置100と通信可能に接続され、外部座標測定装置100にて測定された座標に対応する信号を受信可能となっている。車両旋回中心位置決定部83では、外部座標測定装置100にて測定された座標、回転度検出装置50にて取得された角度等に基づいて、走行車両20の旋回中心における座標が決定される。
【0037】
バケット先端部位位置決定部85は、走行車両20の位置、走行車両20の回転度合い、可動操作具30の回転度合い等に基づいて、可動操作具30のバケット34における先端部位34bの位置を決定する。走行車両20の位置は、車両位置検出装置40により測定される。走行車両の回転度合いは、IMU51により取得される。可動操作具30の回転度合いは、IMU52,IMU53,IMU54により取得される。より具体的には、先端部位34bの位置は、例えば、特許第5237408号公報に記載の演算等、周知のプロセスにより決定されてもよく、そのための演算式等も限定されない。
【0038】
バケット先端部位位置決定部85は、決定された先端部位34bの位置情報を、表示装置21cにて表示する。例えば、表示装置21cのモニタにて、圃場における走行車両20近傍の地図上に、先端部位34bのマークを重ねて表示してもよい。これにより、バケット34の先端部位34bの位置を表示装置21cにて視認でき、運転者の操作をナビゲートすることが可能となる。
【0039】
他方、先端部位34bの位置を精度良く決定するために、車両位置検出装置40(プライマリアンテナ41、及び、セカンダリアンテナ42)、走行車両20の旋回中心について、予めキャリブレーションを実施しておくことが好適である。これらのキャリブレーションを、以下、「3Dキャリブレーション」と称呼することもある。3Dキャリブレーションは、外部座標測定装置100を用いて測定された座標が、プライマリアンテナ位置決
定部81、セカンダリアンテナ位置決定部82、及び、車両旋回中心位置決定部83に送信されて、それぞれ演算されることで実施される。
【0040】
更に、先端部位34bの位置を精度良く決定するために、回転度検出装置50(IMU51~54)、及び、バケット34の回転角についても、予めキャリブレーションを実施しておくことが好適である。これらのキャリブレーションを、以下、「2Dキャリブレーション」と称呼することもある。本実施形態では、バックホー10による実際の作業を実行する前に、上述の2Dキャリブレーション、及び、3Dキャリブレーションが、この順序で予め実施されるようになっている。なお、キャリブレーションに際し、各部位の寸法測定が必要となる場合には、例えば、コンベックス、金尺等、所定の機器を用い、各部位の寸法が測定されてもよい。当該所定の機器は、各部位を直接測定できるものであれば任意であり、限定されない。
【0041】
<2Dキャリブレーションのプロセス>
次に、2Dキャリブレーションのプロセスについて説明する。2Dキャリブレーションにおいては、以下の5つの補正量を決定する。これらの補正量は、例えば、センサの取付等により生じる誤差を補償し、また、バケット34の回転軸から先端部位34bまでの角度を算出するために用いられる。
【0042】
1.走行車両20の傾斜センサであるIMU51の補正量J1,J2
2.ブーム31の傾斜センサであるIMU52の補正量J3
3.アーム33の傾斜センサであるIMU53の補正量J4
4.リストリンク34cの傾斜センサであるIMU54の補正量J5
5.バケット34の内角としての補正量J6
【0043】
<<1.補正量J1,J2>>
図4に示すように、水平面に対し、X方向を軸中心とする走行車両20の傾斜角をθ1とする。水平面に対し、Y方向を軸中心とする走行車両20の傾斜角をθ2とする。IMU51を走行車両20に取り付ける際、IMU51の2軸をX方向、Y方向にあわせると、傾斜角θ1,θ2と、補正量J1,J2とは、下記(1),(2)式で示す関係となる。下記(1),(2)式において、K1,K2は、IMU51の設置方向にて決定され、その絶対値は「1」となる。α1,α2は、IMU51の各軸における出力値である。
【0044】
θ1=K1*α1+J1 ・・・(1)
θ2=K2*α2+J2 ・・・(2)
【0045】
この関係における補正量J1,J2を決定していく。より具体的には、先ず、任意方向にてIMU51の出力値α1[1],α1[2]を取得する。その後、走行車両20(上部旋回体21)を、180°旋回させた状態にてIMU51の出力値α2[1],α2[2]を取得する。そして、下記(3),(4)式で示す関係から、補正量J1,J2を決定する。
【0046】
J1=((K1*α1[1]+K1*α1[2])/2)*(-1) ・・・(3)
J2=((K2*α2[1]+K2*α2[2])/2)*(-1) ・・・(4)
【0047】
<<2.補正量J3>>
図5に示すように、水平面に対するブーム31の傾斜角をθ3とする。IMU52をブーム31に取り付ける際、IMU52の軸をブームの回転軸にあわせると、傾斜角θ3と、補正量J3とは、下記(5)式で示す関係となる。下記(5)式において、K3は、IMU52の設置方向にて決定され、その絶対値は「1」となる。α3は、IMU52の出
力値である。
【0048】
θ3=K3*α3+J3 ・・・(5)
【0049】
この関係における補正量J3を決定していく。より具体的には、先ず、上述した傾斜角θ1がゼロとなるよう、走行車両20(上部旋回体21)を旋回させる。その状態を維持し、ブーム31、アーム33の回転軸A3が水平となるよう、ブーム31の位置を調整する。この際、墨出レーザや水準器等を用い、水平であることを確認する。次に、水平とした状態におけるIMU52の出力値α3を取得する。そして、下記(6)式で示す関係から、補正量J3を決定する。
【0050】
J3=(-1)*K3*α3 ・・・(6)
【0051】
<<3.補正量J4>>
図6に示すように、水平面に対するアーム33の傾斜角をθ4とする。IMU53をアーム33に取り付ける際、IMU53の軸をアーム33の回転軸にあわせると、傾斜角θ4と、補正量J4とは、下記(7)式で示す関係となる。下記(7)式において、K4は、IMU53の設置方向にて決定され、その絶対値は「1」となる。α4は、IMU53の出力値である。
【0052】
θ4=K4*α4+J4 ・・・(7)
【0053】
この関係における補正量J4を決定していく。より具体的には、先ず、上述した傾斜角θ1がゼロとなるよう、走行車両20(上部旋回体21)を旋回させる。その状態を維持し、アーム33、バケット34の回転軸A4が水平に対し垂直となるよう、アーム33の位置を調整する。この際、墨出レーザや水準器等を用い、垂直であることを確認する。次に、垂直とした状態におけるIMU53の出力値α4を取得する。そして、下記(8)式で示す関係から、補正量J4を決定する。
【0054】
J4=(-1)*K4*α4-90° ・・・(8)
【0055】
<<4.補正量J5>>
図7に示すように、水平面に対するリストリンク34cの傾斜角をθ5とする。IMU54をリストリンク34cに取り付ける際、IMU54の軸をリストリンク34cの回転軸にあわせると、傾斜角θ5と、補正量J5とは、下記(9)式で示す関係となる。下記(9)式において、K5は、IMU54の設置方向にて決定され、その絶対値は「1」となる。α5は、IMU54の出力値である。
【0056】
θ5=K5*α5+J5 ・・・(9)
【0057】
この関係における補正量J5を決定していく。より具体的には、先ず、上述した傾斜角θ1がゼロとなるよう、走行車両20(上部旋回体21)を旋回させる。その状態を維持し、図7に示すリストリンク34cにおける回転軸A5が水平となるよう、バケット34の位置を調整する。この際、墨出レーザや水準器等を用い、水平であることを確認する。次に、水平とした状態におけるIMU54の出力値α5を取得する。そして、下記(10)式で示す関係から、補正量J5を決定する。
【0058】
J5=(-1)*K5*α5 ・・・(10)
【0059】
<<5.補正量J6>>
図8に示すように、水平面に対するバケット34の回転軸から先端部位34bまでの方向の傾斜角をθ6とする。傾斜角θ6と、バケット34の内角としての補正量J6とは、下記(11)式で示す関係となる。下記(11)式において、βは、リストリンク34cの各種寸法、リストリンク34c及びアーム33の傾斜角等に基づく値である。
【0060】
θ6=β+J6 ・・・(11)
【0061】
この関係における補正量J6を決定していく。より具体的には、先ず、上述した傾斜角θ1がゼロとなるよう、走行車両20(上部旋回体21)を旋回させる。その状態を維持し、バケット34の回転軸A6及び先端部位34bの方向が水平に対し垂直となるよう、バケット34の位置を調整する。この際、墨出レーザや水準器等を用い、垂直であることを確認する。次に、水平とした状態における値βを取得する。そして、下記(12)式で示す関係から、補正量J6を決定する。ここにおいて、値βは、下記(13)式で示す関係と、上記傾斜角θ4と、値δ,μ1,μ2と、に基づいて決定される。
【0062】
J6=(-1)*β-90° ・・・(12)
β=180°-μ1-μ2-δ-θ4 ・・・(13)
【0063】
ここにおいて、値δ,μ1,μ2は、図9にて同記号で示す各角度に対応する値であり、下記(14),(15),(16)式により算出される。下記(15),(16)式において、値dは、下記(17)式により算出される。下記(14),(15),(16),(17)式において、値L1,L2,L3,L4,L5は、図9にて同記号で示す各距離に対応する値である。
【0064】
δ=arcsin(L5/L2) ・・・(14)
μ1=arccos((L2*L2+d*d-L1*L1)/(2*L2*d)) ・・・(15)
μ2=arccos((L3*L3+d*d-L4*L4)/(2*L3*d)) ・・・(16)
d=√(L1*L1+L2*L2-2*L1*L2*cos(θ4+δ+θ5)) ・・・(17)
【0065】
以上のように、2Dキャリブレーションにおいて、補正量J1,J2,J3,J4,J5,J6が決定される。決定された補正量J1~J6は、例えば、ECU90が別途備えるメモリに格納され、位置決定装置80での演算の際、適宜読み出されるようにしてもよい。
【0066】
<3Dキャリブレーションのプロセス>
次に、3Dキャリブレーションのプロセスについて説明する。3Dキャリブレーションにおいては、以下の3つの位置を決定する。3Dキャリブレーションは、上述した2Dキャリブレーションの完了後に実施される。即ち、3Dキャリブレーションに、上述の傾斜角θ1~θ6が用いられる場合には、2Dキャリブレーションにて決定された補正量J1~J6にて補正されたものが用いられる。
【0067】
1.車両座標系におけるプライマリアンテナ41上の所定の点に対応する座標位置
2.車両座標系におけるセカンダリアンテナ42上の所定の点に対応する座標位置
3.車両座標系における走行車両20の旋回中心の点に対応する座標位置
【0068】
3Dキャリブレーションでは、バックホー10の所定の点に対応する座標を、外部座標測定装置100を用いて測定される。外部座標測定装置100は、バックホー10から離
間して設置され、測定系座標における座標として、バックホー10の所定の点に対応する座標を測定するものである。外部座標測定装置100は、例えば、トータルステーション、3Dスキャナ、レーザトラッカー等であり、座標を測定できるものであれば、何れの機器、システム、手法が用いられてもよい。
【0069】
外部座標測定装置100においては、3次元の測定座標系が構成される。測定座標系では、第2原点O2、第4方向、第5方向、及び、第6方向が規定されている。第2原点O2は、外部座標測定装置100にて測定可能な範囲内における、任意の点である。第4方向は、水平面に沿って第2原点O2を通る方向である。第5方向は、第4方向と直交し、且つ、水平面に沿って第2原点O2を通る方向である。第6方向は、第4方向及び第5方向のそれぞれと直交し、且つ、鉛直方向に沿って第2原点O2を通る方向である。本実施形態では、第4方向はS方向、第5方向はT方向、第6方向はU方向に対応している(図11図14を参照)。即ち、測定座標系は、任意の点を第2原点O2とし、S方向、T方向、及び、U方向にて構成されている。
【0070】
<<1.プライマリアンテナの座標位置>>
図10に示すように、先ず、走行車両20を旋回させて、車両座標系における、IMU51により取得されるX方向を軸とした傾斜角θ1(以下、「ロール角θ1」とも称呼する。)がゼロとなった状態で、旋回を完了する。この状態を、ロール角ゼロ状態と称呼する。即ち、バックホー10は、ロール角ゼロ状態を達成可能に構成されている。旋回の完了後、ロール角ゼロ状態の姿勢を維持する。
【0071】
次に、車両座標系における、ロール角ゼロ状態での、バケットピン34aの中心点に対応する第1座標(X1,Y1,Z1)を決定する。第1座標(X1,Y1,Z1)は、例えば、ブーム31、アーム33の寸法、IMU52、IMU53により取得されて補正量を反映した傾斜角等に基づき、プライマリアンテナ位置決定部81にて決定される。なお、第1座標(X1,Y1,Z1)におけるY1は、ゼロである。
【0072】
次に、車両座標系における、ロール角ゼロ状態での、IMU51により取得されるY方向を軸とした傾斜角θ2(以下、「ピッチ角θ2」とも称呼する。)を取得する。取得されたピッチ角θ2は、IMU51からプライマリアンテナ位置決定部81に送信される。
【0073】
図11に示すように、次に、測定座標系における、ロール角ゼロ状態での、掘削軸上の点に対応する第2座標(S2,T2,U2)と、バケット34の先端部位34bに対応する第3座標(S3,T3,U3)とを測定する。ここにおいて、掘削軸上の測定点は、例えば、ブーム31上の点であって、ブームピン31aからバケットピン34aの間における任意の点であってもよい。第2座標(S2,T2,U2)、及び、第3座標(S3,T3,U3)は、例えば、バックホー10の側面から、外部座標測定装置100により測定される。測定された第2座標(S2,T2,U2)、及び、第3座標(S3,T3,U3)は、外部座標測定装置100からプライマリアンテナ位置決定部81に送信される。
【0074】
次に、測定座標系における、ロール角ゼロ状態での第1方位角γ1を取得する。第1方位角γ1は、測定座標系において、水平面上のS方向に対する成す角である。第1方位角γ1は、上記測定された第2座標(S2,T2,U2)、及び、第3座標(S3,T3,U3)に基づき、プライマリアンテナ位置決定部81にて決定される。より具体的には、例えば、第2座標(S2,T2,U2)、第3座標(S3,T3,U3)、及び、下記(18)式により、第1方位角γ1が決定される。
【0075】
γ1=arctan((T3-T2)/(S3-S2))*(180/π) ・・・(18)
【0076】
図12に示すように、次に、測定座標系における、ロール角ゼロ状態での、バケットピン34aの中心位置に対応する第4座標(S4,T4,U4)を測定する。第4座標(S4,T4,U4)は、例えば、バックホー10の側面から、外部座標測定装置100により測定される。測定された第4座標(S4,T4,U4)は、外部座標測定装置100からプライマリアンテナ位置決定部81に送信される。
【0077】
次に、測定座標系における、ブームピン31aの中心位置に対応するベクトルBを決定する。ベクトルBは、例えば、ベクトルM、ベクトルN、ベクトルK、ベクトルD、及び、下記(19)式により、プライマリアンテナ位置決定部81にて決定される。ここにおいて、ベクトルMは、測定座標系における、上記測定された第4座標(S4,T4,U4)に対応するベクトルである。ベクトルNは、測定座標系における、バックホー10の方位ベクトルであり、例えば、上記決定された第1方位角γ1、及び、下記(20)式により決定される。ベクトルKは、測定座標系における、掘削軸上のべクトルであり、例えば、上記測定された第2座標(S2,T2,U2)に基づき決定される。ベクトルDは、測定座標系における、ブームピン31aからバケットピン34aに向かうベクトルであり、例えば、上記決定された第1座標(X1,Y1,Z1)、及び、ピッチ角θ2に基づき決定される。なお、ベクトルM,N,K,Dは、プライマリアンテナ位置決定部81にて決定される。
【0078】
B=(N・(M-K))×N+K-D ・・・(19)
N=(cos(γ1),sin(γ1),0) ・・・(20)
【0079】
次に、測定座標系における、ロール角ゼロ状態での、プライマリアンテナ41上の点に対応する第5座標(S5,T5,U5)を測定する。ここにおいて、プライマリアンテナ41上の測定点は、例えば、プライマリアンテナ41及びセカンダリアンテナ42が別体である場合、上面視におけるプライマリアンテナ41の中心点P1(図2、及び、図13を参照)である。これに代えて、例えば、プライマリアンテナ41及びセカンダリアンテナ42が一体である場合には、プライマリアンテナ41寄りのネジ穴等の部位に対応する点が、測定点として用いられてもよい。第5座標(S5,T5,U5)は、例えば、バックホー10の側面から、外部座標測定装置100により測定される。測定された第5座標(S5,T5,U5)は、外部座標測定装置100からプライマリアンテナ位置決定部81に送信される。
【0080】
そして、プライマリアンテナ位置決定部81にて、上記測定された第5座標(S5,T5,U5)に対応するベクトルから、上記(19)式にて決定されたベクトルBを減算する。この減算して得られたベクトルを、上記(18)式にて決定された第1方位角γ1をもって、Z方向の軸を中心に回転させる。回転させて得られた座標は、車両座標系における、プライマリアンテナ41の中心点に対応する第6座標(X6,Y6,Z6)となる。このように、プライマリアンテナ41の位置として、プライマリアンテナ位置決定部81にて、第6座標(X6,Y6,Z6)が決定されるようになっている。
【0081】
<<2.セカンダリアンテナの座標位置>>
図13に示すように、先ず、測定座標系における、ロール角ゼロ状態での、プライマリアンテナ41上の点に対応する第5座標(S5,T5,U5)、及び、セカンダリアンテナ42上の点に対応する第7座標(S7,T7,U7)を測定する。第5座標(S5,T5,U5)としては、上述したプライマリアンテナ41の第6座標(X6,Y6,Z6)を決定する際に、測定されたものが援用されてもよい。
【0082】
セカンダリアンテナ42上の測定点は、例えば、プライマリアンテナ41及びセカンダ
リアンテナ42が別体である場合、上面視におけるセカンダリアンテナ42の中心点P2(図2を参照)である。これに代えて、例えば、プライマリアンテナ41及びセカンダリアンテナ42が一体である場合には、セカンダリアンテナ42寄りのネジ穴等の部位に対応する点が、測定点として用いられてもよい。第5座標(S5,T5,U5)、及び、第7座標(S7,T7,U7)は、例えば、バックホー10の側面から、外部座標測定装置100により測定される。測定された第5座標(S5,T5,U5)、及び、第7座標(S7,T7,U7)は、外部座標測定装置100からセカンダリアンテナ位置決定部82に送信される。
【0083】
次に、測定座標系における、ロール角ゼロ状態での第2方位角γ2を取得する。第2方位角γ2は、測定座標系において、水平面上のS方向に対する成す角である。第2方位角γ2は、上記測定された第5座標(S5,T5,U5)、及び、第7座標(S7,T7,U7)に基づき、セカンダリアンテナ位置決定部82にて決定される。より具体的には、例えば、第5座標(S5,T5,U5)、第7座標(S7,T7,U7)、及び、下記(21)式により、第2方位角γ2が決定される。第2方位角γ2は、図2の破線で示すように、プライマリアンテナ41からセカンダリアンテナ42に向かう方向と、X方向との成す角に対応している。
【0084】
γ2=arctan((T7-T5)/(S7-S5))*(180/π) ・・・(21)
【0085】
そして、セカンダリアンテナ位置決定部82にて、上記決定された第2方位角γ2と、上記決定されたプライマリアンテナ41の第6座標(X6,Y6,Z6)と、に基づいて、車両座標系における、セカンダリアンテナ42の中心点に対応する第8座標(X8,Y8,Z8)を決定する。このように、セカンダリアンテナ42の位置として、セカンダリアンテナ位置決定部82にて、第8座標(X8,Y8,Z8)が決定されるようになっている。
【0086】
<<3.旋回中心の点に対応する座標位置>>
図14に示すように、先ず、測定座標系における、ロール角ゼロ状態での、可動操作具30上の所定の点の円弧軌跡上の第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)を測定する。当該円弧軌跡は、走行車両20の旋回にて描かれるものである。可動操作具30上の所定の点は、任意の位置に対応する点であるが、旋回中心の位置からより離間した位置の点が用いられると好適である。
【0087】
本実施形態では、上述した円弧軌跡を描くにあたり、先ず、ロール角ゼロ状態の所定の姿勢から、走行車両20を90°旋回させる。旋回後の状態を維持し、可動操作具30上の所定の点に対応する1つ目の第9座標(S91,T91,U91)を測定する。次に、更に走行車両20を90°旋回させて、最初の状態から180°旋回後の状態を維持する。この状態で、可動操作具30上の所定の点に対応する2つ目の第9座標(S92,T92,U92)を測定する。次に、更に走行車両20を90°旋回させて、最初の状態から270°旋回後の状態を維持する。この状態で、可動操作具30上の所定の点に対応する3つ目の第9座標(S93,T93,U93)を測定する。そして、更に走行車両20を90°旋回させて、最初の状態から360°旋回後の状態を維持する。この状態で、可動操作具30上の所定の点に対応する4つ目の第9座標(S94,T94,U94)を測定する。
【0088】
これら4つの第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)は、例えば、バックホー10の
側面から、外部座標測定装置100により測定される。測定された第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)は、外部座標測定装置100から車両旋回中心位置決定部83に送信される。
【0089】
次に、車両旋回中心位置決定部83にて、上記測定された第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)に基づいて、測定座標系における旋回中心点Cを決定する。より具体的には、例えば、先ず、第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)がフィットする面を、最小二乗法により求める。次に、当該フィットする面に第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)を投影し、これらの座標を全て通る円弧を決定する。そして、決定された円弧における中心点を、測定座標系における旋回中心点Cとして決定してもよい。
【0090】
なお、本実施形態では、第9座標を4つ測定するようになっているが、これに代えて、測定点数を5つ以上としてもよい。この場合、90°よりも小刻みとなる角度にて、走行車両20を旋回させる毎に、外部座標測定装置100にて座標を測定するようにしてもよい。また、第9座標の測定点数を3つ以下の複数としてもよい。この場合、90°よりも粗刻みとなる角度にて、走行車両20を旋回させる毎に、外部座標測定装置100にて座標を測定するようにしてもよい。
【0091】
次に、車両旋回中心位置決定部83にて、上記決定された測定座標系における旋回中心点Cの座標と、上記(19)式にて決定されたベクトルBとに基づいて、ブームピン31aの中心位置から旋回中心点に向かうベクトルEを決定する。ベクトルBとしては、上述したプライマリアンテナ41の第6座標(X6,Y6,Z6)を求める際に、決定されたものが援用されてもよい。
【0092】
そして、車両旋回中心位置決定部83にて、上記決定されたベクトルEを、上記(18)式にて決定された第1方位角γ1をもってZ方向の軸を中心に回転させ、次いで、IMU51にて取得されたピッチ角θ2をもってY方向の軸を中心に回転させる。回転させて得られた座標は、車両座標系における、走行車両20の旋回中心の点に対応する第10座標(X10,Y10,Z10)となる。このように、走行車両20の旋回中心の点に対応する位置として、車両旋回中心位置決定部83にて、第10座標(X10,Y10,Z10)が決定されるようになっている。
【0093】
以上のように、3Dキャリブレーションにおいて、図1、及び、図2に示すように、車両座標系において、第6座標(X6,Y6,Z6)、第8座標(X8,Y9,Z8)、及び、第10座標(X10,Y10,Z10)が、プライマリアンテナ41の中心点P1、セカンダリアンテナ42の中心点P2、及び、走行車両20の旋回の中心点P3の、それぞれの位置に対応するよう決定される。バケット先端部位位置決定部85では、3Dキャリブレーションにて決定された座標、及び、2Dキャリブレーションにて決定された補正量が用いられ、先端部位34bの位置が決定される。即ち、2D,3Dキャリブレーションを経て決定された先端部位34bを、表示装置21cに表示できるため、運転者の操作を精度良くナビゲートすることが可能となる。
【0094】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の実施形態に係る位置決定装置80によれば、3Dキャリブレーションのための、プライマリアンテナ位置決定部81が備えられている。プライマリアンテナ位置決定部81は、プライマリアンテナ41の位置として、車両座標系におけ
るプライマリアンテナ41上の中心点P1に対応する第6座標(X6,Y6,Z6)を決定するようになっている。プライマリアンテナ位置決定部81では、第1原点O1、第1座標(X1,Y2,Z3)、ピッチ角θ2、第2座標(S2,T2,U2)、第3座標(S3,T3,U3)、第4座標(S4,T4,U4)、第5座標(S5,T5,U5)、及び、第1方位角γ1に基づいて、第6座標(X6,Y6,Z6)が決定される。
【0095】
これによれば、測定系座標における各座標を測定することで、ベクトル演算等を経て、容易且つ精度良く第6座標(X6,Y6,Z6)を決定できる。即ち、バケット34の先端部位34bの位置決定に際し、プライマリアンテナ41の位置に対する較正を、容易且つ精度良く実施することができる。
【0096】
本発明の実施形態では特に、3Dキャリブレーションのための、セカンダリアンテナ位置決定部82が備えられている。セカンダリアンテナ位置決定部82は、セカンダリアンテナ42の位置として、車両座標系におけるセカンダリアンテナ42上の中心点P2に対応する第8座標(X8,Y8,Z8)を決定するようになっている。セカンダリアンテナ位置決定部82では、第6座標(X6,Y6,Z6)、及び、第2方位角γ2に基づいて、第8座標(X8,Y8,Z8)が決定される。第2方位角γ2は、第5座標(S5,T5,U5)、及び、第7座標(X7,Y7,Z7)に基づいて取得される。
【0097】
これによれば、測定系座標における各座標を測定することで、容易且つ精度良く第2方位角γ2を取得でき、第2方位角γ2を用いて第8座標(X8,Y8,Z8)を容易に決定できる。従って、プライマリアンテナ41の位置に加え、セカンダリアンテナ42の位置に対するそれぞれの較正を、容易且つ精度良く実施することができる。
【0098】
本発明の実施形態では特に、作業機はバックホー10であり、可動操作具30は、ブームピン31aを介して走行車両20と接続されるブーム31と、アーム33と、バケットピン34aを介してアーム33と接続されるバケット34と、を備える。プライマリアンテナ位置決定部81においては、第1原点O1として、ブームピン31a上の中心点が用いられる。第1座標(X1,Y1,Z1)として、バケットピン34a上の中心点が用いられる。第2座標(S2,T2,U2)として、ブーム31上の点が用いられる。第3座標(S3,T3,U3)として、バケット34の先端部位34bの点が用いられる。第4座標(S4,T4,U4)として、バケットピン34a上の中心点が用いられる。
【0099】
これによれば、測定系座標の各座標を測定するに際し、バックホー10の構成部位において測定し易い点を、用いることができる。従って、測定系座標の各座標を、容易且つ精度良く測定することができる。
【0100】
本発明の実施形態では特に、3Dキャリブレーションのための、車両旋回中心位置決定部83が備えられている。車両旋回中心位置決定部83は、走行車両20の旋回中心の位置として、車両座標系における走行車両20の旋回の中心点P3に対応する第10座標(X10,Y10,Z10)を決定するようになっている。車両旋回中心位置決定部83では、第1原点O1、第1座標(X1,Y2,Z3)、ピッチ角θ2、第2座標(S2,T2,U2)、第3座標(S3,T3,U3)、第4座標(S4,T4,U4)、第1方位角γ1、及び、4つの第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)に基づいて、第10座標(X10,Y10,Z10)が決定される。4つの第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)は、走行車両20の旋回にて描かれる、可動操作具30上の所定の点の円弧軌跡上の座標である。
【0101】
これによれば、4つの第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)を測定することで、容易且つ精度良く測定系座標における旋回中心点Cを決定でき、旋回中心点Cを用いて第10座標(X10,Y10,Z10)を容易に決定できる。従って、プライマリアンテナ41及びセカンダリアンテナ42の位置に加え、走行車両20の旋回中心の位置に対するそれぞれの較正を、容易且つ精度良く実施することができる。
【0102】
本発明の実施形態では特に、第2座標(S2,T2,U2)、第3座標(S3,T3,U3)、第4座標(S4,T4,U4)、第5座標(S5,T5,U5)、第7座標(S7,T7,U7)、及び、4つの第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)が、バックホー10から離間して設置された、外部座標測定装置100を用いて測定される。
【0103】
これによれば、外部座標測定装置100を用いることで、測定座標系における各座標を、さらに容易且つ精度良く測定することができる。
【0104】
[変形例]
本発明の実施形態に係る位置決定装置80においては、第2座標(S2,T2,U2)、第3座標(S3,T3,U3)、第4座標(S4,T4,U4)、第5座標(S5,T5,U5)、第7座標(S7,T7,U7)、及び、4つの第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)の全てが、外部座標測定装置100を用いて測定される。これに代えて、例えば、第2座標(S2,T2,U2)、第3座標(S3,T3,U3)、第4座標(S4,T4,U4)、第5座標(S5,T5,U5)、第7座標(S7,T7,U7)、及び、4つの第9座標(S91,T91,U91)、(S92,T92,U92)、(S93,T93,U93)、(S94,T94,U94)の全てではなく、これらのうち、1つ又は2つ以上が外部座標測定装置100を用いて測定されてもよい。
【0105】
今回開示された上記各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが、意図される。
【符号の説明】
【0106】
10…バックホー、20…走行車両、30…可動操作具、31…ブーム、31a…ブームピン、33…アーム、34…バケット、34a…バケットピン、34b…先端部位、34c…リストリンク、40…車両位置検出装置、41…プライマリアンテナ、42…セカンダリアンテナ、50…回転度検出装置、51…IMU、52…IMU、53…IMU、54…IMU、80…位置決定装置、81…プライマリアンテナ位置決定部、82…セカンダリアンテナ位置決定部、83…車両旋回中心位置決定部、85…バケット先端部位位置決定部、90…ECU、O1…第1原点、O2…第2原点、(X1,Y2,Z3)…第1座標、(S2,T2,U2)…第2座標、(S3,T3,U3)…第3座標、(S4,T4,U4)…第4座標、(S5,T5,U5)…第5座標、(X6,Y6,Z6)…第6座標、(S7,T7,U7)…第7座標、(X8,Y8,Z8)…第8座標、(S91,T91,U91)…第9座標、(S92,T92,U92)…第9座標、(S93,T93,U93)…第9座標、(S94,T94,U94)…第9座標、(X10,Y10,Z10)…第10座標、B…ベクトル、C…旋回中心、D…ベクトル、E…ベクトル、γ1…第1方位角、γ2…第2方位角、θ1…ロール角、θ2…ピッチ角
図1
図2
図3
図4
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図7
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図10
図11
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