(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068533
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】保管管理システム及び保管管理方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240513BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240513BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179061
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 誠司
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F022MM26
3F522AA02
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522CC05
3F522GG07
3F522GG19
3F522GG24
3F522GG25
3F522GG26
3F522GG37
3F522GG39
3F522GG44
3F522GG49
3F522HH18
3F522HH22
3F522HH24
3F522HH36
3F522JJ02
3F522KK02
3F522KK05
3F522LL22
3F522LL42
3F522LL52
(57)【要約】
【課題】複数の棚段を有する保管棚の保管効率を向上することのできる技術を提供する。
【解決手段】保管管理システムは、物品の入出庫作業を行う移動体と通信可能な制御装置を備える。制御装置は、棚段に関連付けされた格納優先順位の情報を格納した記憶装置と、プロセッサとを含む。物品は、棚段に入庫される予定の入庫予定物品を含む。プロセッサは、入庫予定物品に対する入庫処理を実行するように構成される。プロセッサは、入庫処理において、複数の棚段のうち入庫予定物品に対して設定された入庫条件を満たす候補棚段を抽出して、候補棚段のうち格納優先順位の最も高い棚段を入庫予定物品を格納する対象棚段として決定する。更に、プロセッサは、入庫処理において、対象棚段に入庫予定物品を格納する入庫指示を移動体に送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管エリアに設置された複数の棚段を有する1又は複数の保管棚を使用して物品の保管を管理する保管管理システムであって、
前記物品の入出庫作業を行う移動体と通信可能な制御装置を備え、
前記制御装置は、前記棚段に関連付けされた格納優先順位の情報を格納した記憶装置と、プロセッサとを含み、
前記物品は、前記棚段に入庫される予定の入庫予定物品を含み、
前記プロセッサは、前記入庫予定物品に対する入庫処理を実行するように構成され、
前記プロセッサは、前記入庫処理において、
複数の前記棚段のうち前記入庫予定物品に対して設定された入庫条件を満たす候補棚段を抽出し、
前記候補棚段のうち前記格納優先順位の最も高い棚段を前記入庫予定物品を格納する対象棚段として決定し、
前記対象棚段に前記入庫予定物品を格納する入庫指示を生成し、
前記入庫指示を前記移動体に送信する
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の保管管理システムであって、
前記記憶装置は、更に、前記入庫予定物品に関連付けされた出庫予定時期の情報と、前記棚段に関連付けされた前記移動体による前記出庫作業が行われる期間を示す作業期間の情報と、を格納し、
前記プロセッサは、前記対象棚段を決定する処理において、
更に、前記出庫予定時期の情報と、前記作業期間の情報とに基づいて、前記候補棚段のうち前記出庫予定時期を含む前記作業期間に対応する仮対象棚段を抽出し、
前記仮対象棚段のうち前記格納優先順位の最も高い棚段を前記入庫予定物品を格納する対象棚段として決定する
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の保管管理システムであって、
前記格納優先順位は、出庫エリアに近い棚段ほど高い、あるいは、棚段の段数が低いほど高い、あるいは、出庫エリアに近い棚段且つ棚段の段数が低いほど高い
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の保管管理システムであって、
前記記憶装置は、更に、前記入庫予定物品のサイズ及び重量を含む諸元情報と、前記棚段の空き状況の情報と、前記棚段に積載可能な残重量の情報と、を格納し、
前記入庫条件は、前記入庫予定物品の前記サイズが前記空き状況から予測される空きスペースよりも小さいことと、前記入庫予定物品の前記重量が前記残重量未満であることと、を含む
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の保管管理システムであって、
前記諸元情報は、前記入庫予定物品の数量の情報を含み、
前記入庫予定物品の前記サイズは、前記入庫予定物品の前記数量に基づいて構成されるサイズであり、前記入庫予定物品の前記重量は、前記入庫予定物品の前記数量に基づいて構成される重量である
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の保管管理システムであって、
前記物品は、更に、前記棚段から出庫される予定の出庫予定物品を含み、
前記記憶装置は、更に、前記対象棚段に関連付けされた前記出庫予定物品の出庫予定時期及び配置を含む第1情報と、前記対象棚段に関連付けされた前記入庫予定物品の出庫予定時期の情報及び予測配置を含む第2情報と、を格納し、
前記プロセッサは、前記対象棚段を決定した後において、更に、
少なくとも前記入庫予定物品の配置が前記第1情報及び前記第2情報に含まれる前記出庫予定時期を考慮した配置となるように配置計画を生成し、
前記配置計画に基づいて、前記対象棚段に前記入庫予定物品を格納する入庫指示を生成する
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の保管管理システムであって、
前記物品は、更に、前記棚段から出庫される予定の出庫予定物品を含み、
前記プロセッサは、更に、前記出庫予定物品に対する出庫処理を実行するように構成され、
前記記憶装置は、更に、前記出庫予定物品の入庫実績時期の情報、製造時期の情報、及び在庫数の情報を含む第3情報を格納し、
前記プロセッサは、前記出庫処理において、
前記第3情報に基づいて、前記出庫予定物品の出庫優先順位を決定し、
前記出庫優先順位に従って前記出庫予定物品を出庫する出庫指示を生成し、
前記出庫指示を前記移動体に送信する
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の保管管理システムであって、
前記出庫優先順位は、前記入庫実績時期が遅いほど高い、あるいは、前記製造時期が古いほど高い、あるいは、前記在庫数が少ないほど高い
ことを特徴とする保管管理システム。
【請求項9】
保管エリアに設置された複数の棚段を有する1又は複数の保管棚を使用して物品の保管を管理する保管管理方法であって、
前記物品は、前記棚段に入庫される予定の入庫予定物品を含み、
前記保管管理方法は、前記入庫予定物品に対する入庫処理を含み、
前記入庫処理において、
前記入庫予定物品の入庫条件を満たす候補棚段を抽出することと、
前記候補棚段のうち格納優先順位の最も高い棚段を前記入庫予定物品を格納する対象棚段として決定することと、
前記対象棚段に前記入庫予定物品を格納する入庫指示を生成することと、
前記入庫指示を前記物品の入出庫作業を行う移動体に送信することと、
を含むことを特徴とする保管管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品の保管を管理する保管管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された部品搬送設備は、自動ラック装置を有する。自動ラック装置は、収納(入庫)予定の部品(物品)を収納する部品箱を搭載したトレイを棚(保管棚)に保管して払い出しを行う。当該トレイを保管する棚は、所定の重さまでの物を載せることができる第1棚と、第1棚よりも軽い物だけを載せることができる第2棚とに区分されている。この技術では、当該トレイの重量を含む棚の総重量に基づいて、当該トレイを投入する棚として第1棚と第2棚のいずれか一方が選択される。これにより、耐荷重の異なる床の部位に応じた自動ラック装置が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、保管棚は、典型的には、複数の棚段で構成されている。この場合、複数の棚段のうち指定された棚段に物品を格納する入庫作業が行われる。入庫作業を行う際には、棚段の重量に入庫予定の物品の重量を加えた保管棚の総重量が最大積載量未満であるとしても、一旦指定された棚段に当該物品を格納できる大きさの空きスペースがない場合、別の棚段が指定される。つまり、当該物品を格納できる大きさの空きスペースが見つかるまで棚段の指定が繰り返し行われ、その間入庫作業が継続されるため、次に予定されている物品の入庫作業が待たされ続ける。これにより、入庫作業に要する時間が長くなり、保管棚の保管効率の低下を招くおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、複数の棚段を有する保管棚の保管効率を向上することのできる保管管理システム及び保管管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点は、保管エリアに設置された複数の棚段を有する1又は複数の保管棚を使用して物品の保管を管理する保管管理システムに関連する。保管管理システムは、物品の入出庫作業を行う移動体と通信可能な制御装置を備える。制御装置は、棚段に関連付けされた格納優先順位の情報を格納した記憶装置と、プロセッサとを含む。物品は、棚段に入庫される予定の入庫予定物品を含む。プロセッサは、入庫予定物品に対する入庫処理を実行するように構成される。プロセッサは、入庫処理において、複数の棚段のうち入庫予定物品に対して設定された入庫条件を満たす候補棚段を抽出する。また、プロセッサは、入庫処理において、候補棚段のうち格納優先順位の最も高い棚段を入庫予定物品を格納する対象棚段として決定する。更に、プロセッサは、入庫処理において、対象棚段に入庫予定物品を格納する入庫指示を生成する。また更に、プロセッサは、入庫処理において、入庫指示を移動体に送信する。
【0007】
本開示の第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。記憶装置は、更に、入庫予定物品に関連付けされた出庫予定時期の情報と、棚段に関連付けされた移動体による出庫作業が行われる期間を示す作業期間の情報と、を格納する。プロセッサは、対象棚段を決定する処理において、更に、出庫予定時期の情報と、作業期間の情報とに基づいて、候補棚段のうち出庫予定時期を含む作業期間に対応する仮対象棚段を抽出する。また、プロセッサは、対象棚段を決定する処理において、仮対象棚段のうち格納優先順位の最も高い棚段を入庫予定物品を格納する対象棚段として決定する。
【0008】
本開示の第3の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。格納優先順位は、出庫エリアに近い棚段ほど高い、あるいは、棚段の段数が低いほど高い、あるいは、出庫エリアに近い棚段且つ棚段の段数が低いほど高い。
【0009】
本開示の第4の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。記憶装置は、更に、入庫予定物品のサイズ及び重量を含む諸元情報と、棚段の空き状況の情報と、棚段に積載可能な残重量の情報と、を格納する。入庫条件は、入庫予定物品のサイズが空き状況から予測される空きスペースよりも小さいことと、入庫予定物品の重量が残重量未満であることと、を含む。
【0010】
本開示の第5の観点は、第4の観点に加えて、次の特徴を更に有する。諸元情報は、入庫予定物品の数量の情報を含む。入庫予定物品のサイズは、入庫予定物品の数量に基づいて構成されるサイズであり、入庫予定物品の重量は、入庫予定物品の数量に基づいて構成される重量である。
【0011】
本開示の第6の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。物品は、更に、棚段から出庫される予定の出庫予定物品を含む。記憶装置は、更に、対象棚段に関連付けされた出庫予定物品の出庫予定時期及び配置を含む第1情報と、対象棚段に関連付けされた入庫予定物品の出庫予定時期の情報及び予測配置を含む第2情報と、を格納する。プロセッサは、対象棚段を決定した後において、更に、少なくとも入庫予定物品の配置が第1情報及び第2情報に含まれる出庫予定時期を考慮した配置となるように配置計画を生成する。また、プロセッサは、対象棚段を決定した後において、更に、配置計画に基づいて、対象棚段に入庫予定物品を格納する入庫指示を生成する。
【0012】
本開示の第7の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。物品は、更に、棚段から出庫される予定の出庫予定物品を含む。プロセッサは、更に、出庫予定物品に対する出庫処理を実行するように構成される。記憶装置は、更に、出庫予定物品の入庫実績時期の情報、製造時期の情報、及び在庫数の情報を含む第3情報を格納する。プロセッサは、出庫処理において、第3情報に基づいて、出庫予定物品の出庫優先順位を決定する。また、プロセッサは、出庫処理において、出庫優先順位に従って出庫予定物品を出庫する出庫指示を生成する。更に、プロセッサは、出庫処理において、出庫指示を移動体に送信する。
【0013】
本開示の第8の観点は、第7の観点に加えて、次の特徴を更に有する。出庫優先順位は、入庫実績時期が遅いほど高い、あるいは、製造時期が古いほど高い、あるいは、在庫数が少ないほど高い。
【0014】
本開示の第9の観点は、保管エリアに設置された複数の棚段を有する1又は複数の保管棚を使用して物品の保管を管理する保管管理方法に関連する。物品は、棚段に入庫される予定の入庫予定物品を含む。保管管理方法は、入庫予定物品に対する入庫処理を含む。保管管理方法は、入庫処理において、入庫予定物品の入庫条件を満たす候補棚段を抽出することと、候補棚段のうち格納優先順位の最も高い棚段を入庫予定物品を格納する対象棚段として決定することと、対象棚段に入庫予定物品を格納する入庫指示を生成することと、入庫指示を物品の入出庫作業を行う移動体に送信することと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、保管管理システムは、入庫処理において、入庫予定物品に対して設定された入庫条件を満たす候補棚段を抽出する。また、保管管理システムは、入庫処理において、候補棚段のうち格納優先順位の最も高い棚段を入庫予定物品を格納する対象棚段として決定する。更に、保管管理システムは、入庫処理において、対象棚段に入庫予定物品を格納する入庫指示を移動体に送信する。これにより、入庫予定物品に格納する対象棚段が一意的に決まる。つまり、対象棚段の決定が繰り返し行われることがない。よって、入庫予定物品の入庫作業に要する時間を短縮することができる。ゆえに、複数の棚段を有する保管棚の保管効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1に係る保管管理システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る保管管理システムにおける入庫作業の具体例を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1に係る保管管理システムの入庫処理例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態2に係る保管管理システムにおける入庫作業の具体例を示す説明図である。
【
図5】実施の形態3に係る保管管理システムにおける入庫作業の具体例を示す説明図である。
【
図6】実施の形態3に係る保管管理システムの入庫処理例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態4に係る保管管理システムにおける出庫作業の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。尚、実施の形態に係る保管管理方法は、実施形態に係る保管管理システムのコンピュータ処理により実現される。また、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0018】
1.実施の形態1
1-1.保管管理システムの概要
図1は、実施の形態1に係る保管管理システム1の構成例を示す概略図である。保管管理システム1は、例えば、商品等の物品が製造されてから消費者の手に渡るまでの過程のうち、物品の保管を管理する目的として、物流倉庫等に適用される。
【0019】
保管管理システム1は、例えば物流倉庫の一部を構成する保管エリア2を備える。保管エリア2は、1又は複数の保管棚3(以下、単に保管棚3と称す)と、移動体20と、入庫エリア5と、出庫エリア8と、を含む。保管棚3は、複数の棚段4を有する。棚段4には、同一品目の物品が格納されてもよいし、複数品目の物品が混在して格納されてもよい。また、棚段4に格納される物品は、棚段4に直接置かれてもよいし、例えばパレットのような格納資材、収納資材を介して置かれてもよい。
【0020】
移動体20は、物品の入出庫作業を行う搬送機である。搬送機としては、伸縮及び昇降可能なロボット、等が例示される。搬送機は、自律走行可能であってもよい。移動体20は、棚段4に入庫される予定の物品(以下、「入庫予定物品6」と呼ぶ)を入庫エリア5から棚段4に搬入して棚段4に格納する入庫作業を行う。また、移動体20は、棚段4から出庫される予定の物品(以下、「出庫予定物品7」と呼ぶ)を棚段4から取り出して棚段4から出庫エリア8に搬出する出庫作業を行う。ただし、移動体20が行う入出庫作業はこれに限られなくてもよい。入出庫作業は、例えば、保管棚3内に限定して行われてもよい。具体的には、入出庫作業は、移動体20が出庫予定物品7をある棚段4から別の棚段4に移動させる作業であってもよい。尚、出庫予定物品7は、入庫予定物品6を棚段4に格納してから出庫エリア8に到着するまでの物品のことを意味する。また、出庫エリア8に到着した物品を「出庫完了物品9」と呼ぶ。尚、ここで、入庫予定物品6、出庫予定物品7、及び出庫完了物品9は、1つ以上の個別物品を収納した収納体(例えば、段ボール箱、プラスチックケース、等)であってもよい。また、入庫予定物品6、出庫予定物品7、及び出庫完了物品9のサイズは、複数種のサイズが存在していてもよい。更に、個別物品には複数の品目が存在しており、一つの収納体には、同一品目の個別物品が収納されてもよい。また更に、収納体には、収納体のサイズと、収納体に収納される個別物品の品目とに応じた所定の定格収納数(例えば、10個、100個、等)が設定されてもよい。定格収納数の個別物品が収納されている収納体を正袋と呼んでもよいし、定格収納数に満たない数量の個別物品が収納されている収納体を非正袋と呼んでもよい。個別物品としては、缶入り飲料、文房具、材料部品、日用品、等の単体で取り扱うことのできる物品が例示される。
【0021】
保管管理システム1は、更に、制御装置10を備える。制御装置10は、移動体20を制御するコンピュータである。制御装置10は、1又は複数のプロセッサ11(以下、単に「プロセッサ11」と呼ぶ)と、1又は複数の記憶装置12(以下、単に「記憶装置12」と呼ぶ)と、移動体20と通信可能な通信装置(図示省略)と、を含む。プロセッサ11は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)を含む。記憶装置12は、各種情報を格納する。記憶装置12としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。制御装置10は、保管エリア2から離間した場所に設置され、リモートで移動体20を制御してもよい。
【0022】
記憶装置12には、入庫予定物品6の関連情報200、出庫予定物品7の関連情報300、棚段の関連情報400、等が格納される。
【0023】
保管管理プログラム100は、移動体20を制御するためのコンピュータプログラムである。プロセッサ11が保管管理プログラム100を実行することにより、制御装置10による各種処理が実現される。保管管理プログラム100は、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録されていてもよい。
【0024】
入庫予定物品6の関連情報200は、入庫予定物品6の諸元情報210を含む。入庫予定物品6の諸元情報210には、入庫予定物品6のサイズ情報211と、入庫予定物品6の重量情報212と、入庫予定物品6の収納体の番号情報213と、入庫予定物品6に収納された個別物品の品目情報214と、入庫予定物品6に収納された個別物品の数量情報215とが含まれる。出庫予定物品7の関連情報300は、出庫予定物品7の諸元情報310を含む。出庫予定物品7の諸元情報310には、出庫予定物品7のサイズ情報311と、出庫予定物品7の重量情報312と、出庫予定物品7の収納体の番号情報313と、出庫予定物品7に収納された個別物品の品目情報314と、出庫予定物品7に収納された個別物品の数量情報315とが含まれる。入庫予定物品6の収納体の番号情報213及び出庫予定物品7の収納体の番号情報313とは、例えば、当該収納体の識別番号(すなわち、シリアル番号)を意味する。入庫予定物品6に収納された個別物品の数量情報215及び出庫予定物品7に収納された個別物品の数量情報315とは、例えば、当該収納体に収納されている個別物品の数量の情報を意味する。個別物品の数量の情報には、当該収納体が正袋か非正袋かの情報を含んでいてもよい。
【0025】
棚段の関連情報400は、空き状況の情報410と、残重量の情報420と、格納優先順位の情報430と、を含む。空き状況の情報410には、棚段4が満状態か空き状態かを示すステータス情報411と、棚段4の空きスペースが予測された空きスペースの予測情報412と、が含まれる。空きスペースの予測情報412は、出庫予定物品7のサイズ情報311に基づいて棚段4の空きスペースを予測した情報であってもよい。あるいは、棚段4に搭載されたセンサ(カメラ、3次元計測センサ、等)から取得した情報に基づいて棚段4の空きスペースを推定した情報であってもよい。
【0026】
残重量の情報420とは、棚段4に積載可能な残重量の情報のことである。棚段4に積載可能な残重量は、棚段4に設定された最大積載重量から棚段4に格納されている出庫予定物品7の重量を差し引いた重量でもよい。あるいは、保管棚3に設定された最大積載重量から保管棚3に格納されている出庫予定物品7の重量を差し引いた重量でもよい。あるいは、保管棚3が設置された床面の耐荷重と保管棚3の重量及び保管棚3の積載品の重量も更に考慮して決まる値であってもよい。
【0027】
格納優先順位の情報430は、棚段4ごとに格納優先順位が設定された情報のことである。格納優先順位は、出庫エリア8に近い棚段4ほど高い、あるいは、棚段4の段数が低いほど高い、あるいは、出庫エリア8に近い棚段4且つ棚段4の段数が低いほど高い。
【0028】
1-2.具体例
図2は、実施の形態1に係る保管管理システム1における入庫作業の具体例を示す説明図である。
図2に示す例では、棚段の関連情報400として、棚段4ごとの空き状況のステータス(
図2に示す「満」又は「空き」)と、棚段4ごとの格納優先順位とが示されている。棚段4ごとの空き状況のステータスは、ステータス情報411から得られる。棚段4ごとの格納優先順位は、格納優先順位の情報430から得られる。
図2に示すように、保管管理システム1は、複数(
図2では14個)の棚段4のうちから候補棚段30を抽出する。候補棚段30は、入庫予定物品6に対して設定された入庫条件を満たす棚段4である。入庫条件とは、入庫予定物品6のサイズが棚段4の空きスペースよりも小さいことと、入庫予定物品6の重量が棚段4の残重量未満であることと、を含む条件のことである。
図2に示す例では、空き状況のステータスが「空き」であり、且つ、重量等の条件を満たす4つの棚段4(S2_1L、S2_2R、S2_4R、S2_4L)が、候補棚段30として抽出されている。
【0029】
また、保管管理システム1は、候補棚段30のうち、対象棚段40を決定する。対象棚段40は、候補棚段30のうち格納優先順位の最も高い棚段4である。
図2に示す例では、候補棚段30として抽出された4つの棚段4(S2_1L、S2_2R、S2_4R、S2_4L)のうち格納優先順位の最も高い棚段4(S2_1L)が、対象棚段40として決定される。
【0030】
そして、保管管理システム1は、移動体20により対象棚段40に入庫予定物品6を格納する。
【0031】
このように、実施の形態1に係る保管管理システム1は、入庫予定物品6に対して設定された入庫条件を満たす候補棚段30を抽出する。また、保管管理システム1は、候補棚段30のうち格納優先順位の最も高い棚段4を入庫予定物品6を格納する対象棚段40として決定する。更に、保管管理システム1は、対象棚段40に入庫予定物品6を格納する。これにより、入庫予定物品6に格納する対象棚段40が一意的に決まる。つまり、対象棚段40の決定が繰り返し行われることがない。よって、入庫予定物品6の入庫作業に要する時間を短縮することができる。また、格納優先順位の高い棚段4を対象棚段40として決定することで、入庫予定物品6が出庫エリア8に近い棚段4に格納される。従って、出庫作業に要する時間を短縮することができる。ゆえに、複数の棚段4を有する保管棚3の保管効率を向上することが可能となる。
【0032】
1-3.処理例
図3は、実施の形態1に係る保管管理システム1の入庫処理例を示すフローチャートである。
図3に示されるルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。本ルーチンは、例えば、入庫予定物品6が登録されたタイミングで起動され得る。
【0033】
ステップS100において、プロセッサ11は、入庫予定物品6の諸元情報210(入庫予定物品6のサイズ情報211、入庫予定物品6の重量情報212)、空き状況の情報410、残重量の情報420、格納優先順位の情報430、等の各種情報を記憶装置12から取得する。その後、処理はステップS110に進む。
【0034】
ステップS110において、プロセッサ11は、ステップS100で取得された入庫予定物品6のサイズ情報211と、入庫予定物品6の重量情報212と、空き状況の情報410と、残重量の情報420とに基づいて、入庫予定物品6に対する入庫条件を設定する。その後、処理はステップS120に進む。
【0035】
ステップS120において、プロセッサ11は、複数の棚段4のうち、ステップS110で設定された入庫予定物品6に対する入庫条件を満たす候補棚段30が存在するか否かを判定する。入庫条件を満たす候補棚段30が存在すると判定された場合(ステップS120;Yes)、処理はステップS130に進む。それ以外の場合(ステップS120;No)、ステップS120に戻る。
【0036】
ステップS130において、プロセッサ11は、格納優先順位の情報430に基づいて、候補棚段30のうち格納優先順位の最も高い棚段4を入庫予定物品6を格納する対象棚段40として決定する。その後、処理はステップS140に進む。
【0037】
ステップS140において、プロセッサ11は、対象棚段40に入庫予定物品6を格納する入庫指示を生成する。プロセッサ11は、生成した入庫指示を移動体20に送信する。
【0038】
1-4.変形例
1-4-1.第1の例
実施の形態1に係る保管管理システム1によれば、入庫予定物品6に対する入庫条件は、入庫予定物品6のサイズ情報211と、入庫予定物品6の重量情報212とを含む情報に基づいて設定される。一方、実施の形態1の変形例に係る保管管理システム1では、入庫予定物品6の諸元情報210には、更に、入庫予定物品6の数量情報(図示省略)が含まれる。この場合、入庫予定物品6に対する入庫条件の設定に用いられる入庫予定物品6のサイズは、入庫予定物品6の数量に基づいて構成されるサイズである。また、入庫予定物品6に対する入庫条件の設定に用いられる入庫予定物品6の重量は、入庫予定物品6の数量に基づいて構成される重量である。これにより、実施の形態1の変形例に係る保管管理システム1は、入庫予定物品6の数量が複数存在する場合であっても、入庫予定物品6に対して設定された入庫条件を満たすかどうかを判定することができる。よって、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0039】
1-4-2.第2の例
実施の形態1の変形例に係る保管管理システム1によれば、格納優先順位の情報430は、入庫予定物品6の諸元情報210によって変更されてもよい。例えば、同一品目の個別物品が収納された収納体である入庫予定物品6が複数存在する場合、それらが同一の棚段4に格納されるように格納優先順位が決定されてもよい。あるいは、出荷頻度の高い品目やサイズの個別物品が収納された収納体である入庫予定物品6が出庫エリア8に近い棚段4や段数の低い棚段4に格納されるように格納優先順位が決定されてもよい。これにより、入出庫時に要する時間を短縮することが可能となる。
【0040】
1-4-3.第3の例
実施の形態1の変形例に係る保管管理システム1によれば、格納優先順位の情報430は、入庫予定物品6の諸元情報210に含まれる入庫予定物品6に収納された個別物品の数量情報215と、出庫予定物品7の諸元情報310に含まれる出庫予定物品7に収納された個別物品の数量情報315とによって変更されてもよい。例えば、入庫予定物品6に収納された個別物品の数量が非正袋である場合、入庫予定物品6に収納された個別物品と同一品目であり、且つ、個別物品の数量が非正袋である出庫予定物品7が格納されている棚段4に当該入庫予定物品6に収納された個別物品が優先して入庫されるように格納優先順位が決定されてもよい。これにより、棚段4の収納スペースの効率化を図ることが可能となる。
【0041】
2.実施の形態2
実施の形態2に係る保管管理システム1では、入庫予定物品6を格納する対象棚段40を決定する方法が実施の形態1と相違する。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0042】
図4は、実施の形態2に係る保管管理システム1における入庫作業の具体例を示す説明図である。具体的には、保管管理システム1は、候補棚段30が抽出された後において、更に、候補棚段30のうち仮対象棚段35を抽出する。仮対象棚段35は、入庫予定物品6の出庫予定時期を含む作業期間に対応する棚段4である。例えば、
図4に示すように、入庫予定物品6(品目X1)に着目した場合、入庫予定物品6(品目X1)の出庫予定時期は「12/3」である。この場合、候補棚段30として抽出された4つの棚段4(S2_1L、S2_2R、S2_4R、S2_4L)のうち、出庫予定時期「12/3」を含む作業期間に対応する棚段4は、S2_4R、S2_4Lの2つとなる。従って、これら2つの棚段4(S2_4R、S2_4L)が、仮対象棚段35として抽出される。
【0043】
また、保管管理システム1は、仮対象棚段35のうち、対象棚段40を決定する。対象棚段40は、仮対象棚段35のうち格納優先順位の最も高い棚段4である。
図4に示す例では、仮対象棚段35として抽出された2つの棚段4(S2_4R、S2_4L)のうち格納優先順位の最も高い棚段4(S2_4R)が、対象棚段40として決定される。
【0044】
そして、保管管理システム1は、移動体20により対象棚段40に入庫予定物品6を格納する。
【0045】
このように、実施の形態2に係る保管管理システム1は、候補棚段30のうち出庫予定時期を含む作業期間に対応する仮対象棚段35を抽出する。また、保管管理システム1は、仮対象棚段35のうち格納優先順位の最も高い棚段4を入庫予定物品6を格納する対象棚段40として決定する。これにより、実施の形態1と同じ効果が得られる。更に、入庫予定物品6の出庫予定時期に対応する棚段4に入庫予定物品6が格納されることで、棚段4の管理がより明確化される。ゆえに、複数の棚段4を有する保管棚3の保管効率を向上することが可能となる。以下、実施の形態2に係る制御装置10(プロセッサ11、記憶装置12)の詳細について説明する。
【0046】
記憶装置12に格納された入庫予定物品6の関連情報200は、更に、入庫予定物品6の出庫予定時期の情報220を含む。また、記憶装置12に格納された棚段の関連情報400は、更に、作業期間の情報440を含む。作業期間の情報440とは、移動体20による出庫作業が行われる期間を示す情報のことである。
【0047】
プロセッサ11は、対象棚段40を決定する処理において、入庫予定物品6の出庫予定時期の情報220と、作業期間の情報440とに基づいて、候補棚段30のうち出庫予定時期を含む作業期間に対応する仮対象棚段35を抽出する。
【0048】
また、プロセッサ11は、対象棚段40を決定する処理において、格納優先順位の情報430に基づいて、仮対象棚段35のうち格納優先順位の最も高い棚段4を入庫予定物品6を格納する対象棚段40として決定する。
【0049】
3.実施の形態3
3-1.具体例
実施の形態3に係る保管管理システム1では、対象棚段40を決定した後の方法が実施の形態1と相違する。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0050】
図5は、実施の形態3に係る保管管理システム1の具体例を示す説明図である。具体的には、保管管理システム1は、対象棚段40を決定した後において、更に、対象棚段40の配置計画を生成する。
【0051】
図5に示す例では、配置計画を生成する前に決定された対象棚段40における出庫予定物品7(品目Y1、Y2、Y3)の配置は、例えば、「左奥、右奥、右手前」で表されている。また、配置計画を生成する前に決定された対象棚段40における入庫予定物品6(品目X1)の予測配置は、例えば、「左手前」で表されている。出庫予定物品7の配置や入庫予定物品6の予測配置は、対象棚段40に搭載されたセンサ(カメラ、3次元計測センサ、等)から取得した情報に基づいて推定されてもよい。また、出庫予定物品7の配置や入庫予定物品6の予測配置は、対象棚段40上に表示された区画における指定場所で表されてもよいし、上述したセンサから取得した情報に基づいて推定された座標位置で表されてもよい。
【0052】
配置計画は、対象棚段40に格納されている出庫予定物品7の配置及び出庫予定時期と、対象棚段40に格納される入庫予定物品6の予測配置及び出庫予定時期とに基づいて生成される。具体的には、配置計画は、出庫予定時期の遅い入庫予定物品6あるいは出庫予定物品7が奥側に配置され、出庫予定時期の早い入庫予定物品6あるいは出庫予定物品7が手前側に配置されるように生成される。例えば、
図5に示すように、出庫予定時期の早い出庫予定物品7(品目Y1、Y2)は手前側に配置され、出庫予定時期の遅い入庫予定物品6(品目X1)と出庫予定物品7(品目Y3)は奥側に配置される。尚、入庫予定物品6(品目X1)の出庫予定時期が出庫予定物品7(品目Y1、Y2、Y3)の出庫予定時期よりも早い場合が想定される。この場合、配置計画は、出庫予定物品7(品目Y1、Y2、Y3)の配置を変更せずに、入庫予定物品6の配置のみの情報を更新する。
【0053】
そして、保管管理システム1は、配置計画に基づいて、移動体20により対象棚段40に入庫予定物品6を格納する。
【0054】
このように、実施の形態3に係る保管管理システム1は、対象棚段40を決定した後において、更に、入庫予定物品6の出庫予定時期と、出庫予定物品7の出庫予定時期とに基づいて、対象棚段40の配置計画を生成する。具体的には、実施の形態3に係る保管管理システム1は、入庫予定物品6の配置が出庫予定物品7の出庫予定時期及び入庫予定物品6の出庫予定時期を考慮した配置となるように配置計画を生成する。これにより、出庫予定時期の早い入庫予定物品6あるいは出庫予定物品7が棚段4から取り出しやすい場所に格納される。従って、出庫作業に要する時間を更に短縮することができる。ゆえに、複数の棚段4を有する保管棚3の保管効率を向上することが可能となる。以下、実施の形態3に係る制御装置10(プロセッサ11、記憶装置12)の詳細について説明する。
【0055】
記憶装置12に格納された棚段の関連情報400は、更に、対象棚段の関連情報450を含む。対象棚段の関連情報450には、対象棚段40に関連付けされた出庫予定物品7
の第1情報451と、対象棚段40に関連付けされた入庫予定物品6の第2情報452とが含まれる。第1情報451には、更に、出庫予定物品7の出庫予定時期の情報453と、出庫予定物品7の配置情報454とが含まれる。第2情報452には、更に、入庫予定物品6の出庫予定時期の情報455と、入庫予定物品6の予測配置情報456とが含まれる。入庫予定物品6の予測配置情報456は、空きスペースの予測情報412から得られる。尚、入庫予定物品6の出庫予定時期の情報455は、上述した入庫予定物品6の出庫予定時期の情報220と実質的に同じである。実施の形態3に係る制御装置10(プロセッサ11)の処理例を後述する。
【0056】
3-2.処理例
図6は、実施の形態3に係る保管管理システム1の入庫処理例を示すフローチャートである。
図6に示されるルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。本ルーチンは、例えば、入庫予定物品6が登録されたタイミングで起動され得る。
【0057】
ステップS200において、プロセッサ11は、入庫予定物品6の諸元情報210(入庫予定物品6のサイズ情報211、入庫予定物品6の重量情報212)、空き状況の情報410、残重量の情報420、格納優先順位の情報430、第1情報451(出庫予定物品7の出庫予定時期の情報453、出庫予定物品7の配置情報454)、第2情報452(入庫予定物品6の出庫予定時期の情報455、入庫予定物品6の予測配置情報456)、等の各種情報を取得する。その後、処理はステップS210に進む。
【0058】
ステップS210において、プロセッサ11は、入庫予定物品6のサイズ情報211と、入庫予定物品6の重量情報212と、空き状況の情報410と、残重量の情報420とに基づいて、入庫予定物品6に対する入庫条件を設定する。その後、処理はステップS220に進む。
【0059】
ステップS220において、プロセッサ11は、複数の棚段4のうち、入庫予定物品6に対して設定された入庫条件を満たす候補棚段30が存在するか否かを判定する。入庫条件を満たす候補棚段30が存在すると判定された場合(ステップS220;Yes)、処理はステップS230に進む。それ以外の場合(ステップS220;No)、ステップS220に戻る。
【0060】
ステップS230において、プロセッサ11は、格納優先順位の情報430に基づいて、候補棚段30のうち格納優先順位の最も高い棚段4を入庫予定物品6を格納する対象棚段40として決定する。その後、処理はステップS240に進む。
【0061】
ステップS240において、プロセッサ11は、第1情報451と、第2情報452とに基づいて、少なくとも入庫予定物品6の配置が出庫予定物品7及び入庫予定物品6の出庫予定時期を考慮した配置となるように配置計画を生成する。
【0062】
ステップS250において、プロセッサ11は、配置計画に基づいて、対象棚段40に入庫予定物品6を格納する入庫指示を生成する。プロセッサ11は、生成した入庫指示を移動体20に送信する。
【0063】
4.実施の形態4
実施の形態4に係る保管管理システム1では、出庫処理の機能を更に有する点が実施の形態1と相違する。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0064】
ところで、棚段4には、同一品目の出庫予定物品7が複数存在していることが想定される。具体的には、棚段4には、入庫実績時期(実際の入庫時期)の異なる出庫予定物品7が格納されているケースや、製造時期の異なる出庫予定物品7が格納されているケースが想定される。従って、出庫予定物品7を棚段4から出庫する場合、入庫実績時期の早い出庫予定物品7、あるいは、製造時期の早い出庫予定物品7、あるいは、その両方を満たす出庫予定物品7から優先して出庫するのが望ましい。また、入庫実績時期及び製造時期が同じ出庫予定物品7が異なる棚段4に跨って格納されている場合、棚段4ごとに出庫予定物品7の在庫数が異なることが想定される。この場合、在庫数の少ない出庫予定物品7から出庫するのが望ましい。
【0065】
従って、実施の形態4に係る保管管理システム1は、出庫予定物品7の入庫実績時期と、出庫予定物品7の製造時期と、出庫予定物品7の在庫数とに基づいて、出庫予定物品7の出庫優先順位を決定する。そして、実施の形態4に係る保管管理システム1は、出庫優先順位に従って出庫予定物品7を出庫する。以下、実施の形態4に係る保管管理システム1の具体例について説明する。
【0066】
図7は、実施の形態4に係る保管管理システム1における出庫作業の具体例を示す説明図である。具体的には、出庫予定物品7(品目Y1)は、ロットごとに分類されている。より詳細には、出庫予定物品7(品目Y1)は、ロットL1、L2、L3に分類されている。また、ロットL1における入庫予定物品6(品目Y1)は、2つの異なる棚段4(S2_3R、S2_4L)に跨って格納されている。尚、ロットとは、出庫予定物品7を識別するための番号を意味する。ロットは、製造メーカが付与した例えば製造番号のようなものであってもよいし、保管業者が入庫時に付与したものであってもよい。保管業者が入庫時にロットを付与する場合、入庫実績時期ごとに異なるロットが付与されてもよいし、製造時期ごとに異なるロットが付与されてもよい。
【0067】
次に、出庫優先順位を決定する方法について説明する。具体的には、
図7に示すケース(A)では、出庫予定物品7(品目Y1)の入庫実績時期に基づいて、出庫優先順位が決定される。この場合、出庫優先順位は、ロットL3における出庫予定物品7(品目Y1)が最も高い。つまり、出庫優先順位は、入庫実績時期が遅いほど高い。
図7に示すケース(B)では、出庫予定物品7(品目Y1)の製造時期に基づいて、出庫優先順位が決定される。この場合、出庫優先順位は、ロットL2の出庫予定物品7(品目Y1)が最も高い。つまり、出庫優先順位は、製造時期が古いほど高い。
図7に示すケース(C)では、出庫予定物品7(品目Y1)の在庫数に基づいて、出庫優先順位が決定される。この場合、出庫優先順位は、ロットL1且つ棚段S2_4Lの出庫予定物品7(品目Y1)が最も高い。つまり、出庫優先順位は、在庫数が少ないほど高い。
【0068】
このように、実施の形態4に係る保管管理システム1によれば、棚段4に複数の同一品目の出庫予定物品7が格納されている場合、入庫実績時期の遅い出庫予定物品7、あるいは、製造時期の古い出庫予定物品7、あるいは、在庫数の少ない出庫予定物品7から優先して出庫される。入庫実績時期の遅い出庫予定物品7から優先して出庫されることにより、出庫予定物品7が棚段4に保管されている期間が短縮される。また、製造時期の古い出庫予定物品7から優先して出庫されることにより、出庫予定物品7における経年変化や経年劣化等による品質低下を最小限に抑えられる。更に、在庫数の少ない出庫予定物品7から優先して出庫されることにより、利用可能な棚段4の空きスペースが確保される。ゆえに、複数の棚段4を有する保管棚3の保管効率を向上することが可能となる。以下、実施の形態4に係る制御装置10(プロセッサ11、記憶装置12)の詳細について説明する。
【0069】
記憶装置12に格納されている出庫予定物品7の関連情報300は、更に、出庫予定物品7の詳細情報を示す第3情報320を含む。第3情報320には、出庫予定物品7の入庫実績時期の情報321と、出庫予定物品7の製造時期の情報322と、出庫予定物品7の在庫数の情報323とが含まれる。
【0070】
プロセッサ11は、出庫予定物品7に対する出庫処理を実行する。具体的には、プロセッサ11は、出庫処理において、第3情報320に基づいて、出庫予定物品7の出庫優先順位を決定する。また、プロセッサ11は、出庫処理において、出庫優先順位に従って出庫予定物品7を出庫する出庫指示を生成する。そして、プロセッサ11は、出庫処理において、出庫指示を移動体20に送信する。
【0071】
4-1.変形例
実施の形態4の変形例に係る保管管理システム1によれば、出庫優先順位は、出庫予定物品7に収納された個別物品の数量情報315が非正袋か正袋かの状態によって変更されてもよい。例えば、出庫予定物品7に収納された個別物品の数量が非正袋として格納されている棚段4の出庫優先順位を高くするようにしてもよい。これにより、出庫時における出庫予定物品7に収納された個別物品の数量が正袋を構成する数量でない場合、個別物品の数量が非正袋である出庫予定物品7から優先して出庫される。従って、棚段4の収納スペースの効率化を図ることが可能となる。尚、個別物品の数量が正袋である出庫予定物品7から一部の個別物品を取り出して出庫した場合、出庫予定物品7の重量情報312と、出庫予定物品7に収納された個別物品の数量情報315とが更新される。また、出庫予定物品7に収納された個別物品の数量情報315は、出庫予定物品7に収納された個別物品の数量が正袋の状態から非正袋の状態に更新される。
【0072】
5.その他の実施形態
5-1.第1の例
実施の形態3に係る保管管理システム1によれば、配置計画は、入庫予定物品6を入庫する場合に生成される。しかし、配置計画は、入庫予定物品6の入庫に関係なく生成されてもよい。むしろ、入庫予定物品6の入庫がない場合であっても、出庫予定物品7の出庫が行わることを考慮して、対象棚段40に格納されている出庫予定物品7の配置が定期的に最適となるように配置計画が生成されてもよい。従って、その他の実施形態に係る保管管理システム1では、入庫予定物品6の入庫がない場合、所定の間隔で配置計画が生成される。これにより、入庫予定物品6の入庫がない場合であっても、対象棚段40が定期的に最適化され、利用可能な棚段4の空きスペースが確保される。ゆえに、複数の棚段4を有する保管棚3の保管効率を向上することが可能となる。
【0073】
5-2.第2の例
実施の形態1乃至実施の形態4に係る保管管理システム1によれば、棚段4は、保管棚3に固定された台座の構成となる。しかし、棚段4は、この構成に限られなくてもよい。棚段4は、例えば、水平方向に回転できる機構を有する台座の構成であってもよい。従って、その他の実施形態に係る保管管理システム1では、棚段4の空きスペースが手前側、すなわち、入庫時に入庫予定物品6を棚段4に収納する方向となるように棚段4を回転させる。これにより、棚段4の空きスペースが奥側にある場合であっても、棚段4に入庫予定物品6を容易に格納することができ、入庫作業に要する時間を短縮できる。ゆえに、複数の棚段4を有する保管棚3の保管効率を向上することが可能となる。また、出庫時は出庫予定物品7を棚段4から取り出す方向となるように棚段4を回転させる。これにより、棚段4の奥側に出庫予定物品7が格納されている場合であっても、出庫予定物品7を容易に取り出すことができ、出庫作業に要する時間を短縮することが可能となる。
【0074】
5-3.第3の例
実施の形態1乃至実施の形態4に係る保管管理システム1によれば、制御装置10は、移動体20を制御するコンピュータである。更に、コンピュータは、持ち運びが可能な携帯端末装置であってもよい。そこで、その他の実施形態に係る保管管理システム1によれば、コンピュータは携帯端末装置であり、携帯端末装置には、バーコードの情報を読み取ることができる機能を有しているとする。また、棚段4には、棚段4に格納されている出庫予定物品7の情報が埋め込まれたQRコード(登録商標)等のバーコードが設けられているとする。このような場合、携帯端末装置を使用することにより、物品の保管を管理することができる。従って、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0075】
5-4.第4の例
各実施の形態及びその変形例は、単体での実施に限られず、組み合わせて実施されてもよい。これにより、入庫予定物品6の入庫作業に要する時間や出庫予定物品7の出庫作業に要する時間を短縮することが可能となる。ゆえに、複数の棚段4を有する保管棚3の保管効率を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1…保管管理システム, 2…保管エリア, 3…保管棚, 4…棚段, 5…入庫エリア, 6…入庫予定物品, 7…出庫予定物品, 8…出庫エリア, 9…出庫完了物品, 10…制御装置, 11…プロセッサ, 12…記憶装置, 20…移動体, 30…候補棚段, 35…仮対象棚段, 40…対象棚段, 100…保管管理プログラム, 200…入庫予定物品6の関連情報, 210…入庫予定物品6の諸元情報, 211…入庫予定物品6のサイズ情報, 212…入庫予定物品6の重量情報, 213…入庫予定物品6の収納体の番号情報, 214…入庫予定物品6に収納された個別物品の品目情報, 215…入庫予定物品6に収納された個別物品の数量情報, 220…入庫予定物品6の出庫予定時期の情報, 300…出庫予定物品7の関連情報, 310…出庫予定物品7の諸元情報, 311…出庫予定物品7のサイズ情報, 312…出庫予定物品7の重量情報, 313…出庫予定物品7の収納体の番号情報, 314…出庫予定物品7に収納された個別物品の品目情報, 315…出庫予定物品7に収納された個別物品の数量情報, 320…第3情報, 321…出庫予定物品7の入庫実績時期の情報, 322…出庫予定物品7の製造時期の情報, 323…出庫予定物品7の在庫数の情報, 400…棚段の関連情報, 410…空き状況の情報, 411…ステータス情報, 412…空きスペースの予測情報, 420…残重量の情報, 430…格納優先順位の情報, 440…作業期間の情報, 450…対象棚段の関連情報, 451…第1情報, 452…第2情報, 453…出庫予定物品7の出庫予定時期の情報, 454…出庫予定物品7の配置情報, 455…入庫予定物品6の出庫予定時期の情報, 456…入庫予定物品6の予測配置情報