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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068543
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】自走式ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/02 20060101AFI20240513BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B60K1/02
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179074
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中島 悟
(72)【発明者】
【氏名】荻野 翔矢
【テーマコード(参考)】
3C707
3D235
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707AS27
3C707CS08
3C707HS27
3C707KS10
3C707KT01
3C707WA16
3D235AA28
3D235BB18
3D235BB25
3D235CC15
3D235CC42
3D235DD47
3D235GA07
3D235GA12
3D235GA32
3D235GA62
3D235GB32
3D235GB34
3D235HH12
3D235HH32
(57)【要約】
【課題】台座部が撓むことを抑制でき、さらに、障害物に干渉することを避けることができる自走式ロボット装置を提供する。
【解決手段】自走式ロボット装置は、台座部と、走行用モータユニットと、ブラケットと、リブ部と、を備える。台座部は、上面に測定装置、制御装置、メインバッテリ、モータ用バッテリが配置される。走行用モータユニットは、台座部の下面において、第1対角線上、第2対角線上の位置に少なくとも4つ配置されてオムニホイールを駆動する。ブラケットは、走行用モータユニットを台座部の下面に取り付ける。リブ部は、ブラケットのうち隣り合う一対のブラケットに架け渡され、上方に向けて凹状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置と、制御装置と、バッテリとが上面に配置される板状の台座部と、
前記台座部の下面かつ対角線上の位置に少なくとも4つ配置され、前記対角線に沿った回転軸によってオムニホイールを駆動する走行用モータユニットと、
前記走行用モータユニットを前記台座部の下面に取り付けるブラケットと、
前記ブラケットのうち隣り合う一対のブラケットに架け渡され、上方に向けて凹状に形成されたリブ部と、
を備える自走式ロボット装置。
【請求項2】
前記リブ部は、前記台座部の周縁に沿って配置されている、
請求項1に記載の自走式ロボット装置。
【請求項3】
前記走行用モータユニットは、
前記オムニホイールの駆動源となるモータと、
前記モータの出力軸に連結され、前記出力軸に対して下方に変位された前記回転軸が設けられた減速機と、
を備える請求項2に記載の自走式ロボット装置。
【請求項4】
前記リブ部は、
前記隣り合う一対のブラケットに取り付けられた一対の基端部と、
前記一対の基端部に両端が連結され、上方に向けて凹状に形成された中央部と、を有し、
前記中央部は、少なくとも最上位箇所が前記モータの出力軸に対して上方に位置し、前記台座部の下面に接触している、
請求項3に記載の自走式ロボット装置。
【請求項5】
前記基端部と前記台座部との間に介在されたカラー部を備える、
請求項4に記載の自走式ロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所においては放射線が高い場所や狭隘な場所があり、これらの場所には人間が入ることができない。そこで、放射線が高い場所や狭隘な場所において安全、確実に調査などの作業が実施可能で、かつ必要最小限の機器から構成された遠隔操作用の自走式ロボット装置が提案されている。この自走式ロボット装置の台座部には調査用の機器が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-56500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、自走式ロボット装置が移動する移動経路には床面から障害物が上方に突出していることが考えられる。よって、床面から台座部までのクリアランスが十分に確保されていない場合、自走式ロボット装置の移動中に、台座部の下方のクリアランスで障害物を避けることは難しい。このため、台座部の下方のクリアランスで障害物を避けることができるように台座部の高を確保する必要がある。
例えば、台座部の高さを確保するために、車輪を駆動するモータを台座部の下側に取り付けることが考えられる。しかし、台座部の下側にモータを取り付けた場合、調査用の機器の荷重により台座部が撓みやすくなることが考えられる。
【0005】
本発明は、台座部が撓むことを抑制でき、さらに、障害物に干渉することを避けることができる自走式ロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る自走式ロボット装置は、測定装置と、制御装置と、バッテリとが上面に配置される板状の台座部と、前記台座部の下面かつ対角線上の位置に少なくとも4つ配置され、前記対角線に沿った回転軸によってオムニホイールを駆動する走行用モータユニットと、前記走行用モータユニットを前記台座部の下面に取り付けるブラケットと、前記ブラケットのうち隣り合う一対のブラケットに架け渡され、上方に向けて凹状に形成されたリブ部と、を備えた。
【0007】
この構成によれば、台座部の下面かつ対角線上の位置に走行用モータユニットを取り付け、オムニホイールを駆動する回転軸を対角線に沿って配置した。よって、走行用モータユニットより高い位置に台座部を配置できる。
【0008】
また、走行用モータユニットを台座部の下面にブラケットで取り付けた。さらに、ブラケットのうち隣り合う一対のブラケットにリブ部を架け渡した。このように、隣り合う一対のブラケットにリブ部を架け渡すことにより、ブラケットをリブ部で確実に固定できる。よって、ブラケットにより台座部を補強できる。これにより、台座部の上面に取り付けて配置した測定装置、制御装置、およびバッテリの荷重により台座部が撓むことを抑制できる。
【0009】
さらに、台座部を走行用モータユニットより高い位置に配置することにより、リブ部台座部に妨げられることなく上方に向けて高く凹状に凹ませることができる。よって、床面からリブ部の最上位箇所までのクリアランスを高く確保できる。これにより、自走式ロボット装置を床面において移動(自走)させる際に、自走式ロボット装置が床面から上方に突出する障害物に干渉することを避けることができる。
【0010】
(2)上記態様において、前記リブ部は、前記台座部の周縁に沿って配置されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、台座部の下面かつ対角線上の位置に走行用モータユニットをブラケットで取り付け、ブラケットのうち隣り合う一対のブラケットにリブ部を架け渡した。よって、リブ部を台座部の周縁に沿って配置できる。これにより、台座部の下面に配置された走行用モータユニットをリブ部により保護できる。
【0012】
(3)上記態様において、前記走行用モータユニットは、前記オムニホイールの駆動源となるモータと、前記モータの出力軸に連結され、前記出力軸に対して下方に変位された前記回転軸が設けられた減速機と、を備えていてもよい。
【0013】
この構成によれば、減速機の回転軸をモータの出力軸に対して下方に変位(オフセット)させることにより、台座部を床面から一層高い位置に配置できる。
【0014】
(4)上記態様において、前記隣り合う一対のブラケットに取り付けられた一対の基端部と、前記一対の基端部に両端が連結され、上方に向けて凹状に形成された中央部と、を有し、前記中央部は、少なくとも最上位箇所が前記モータの出力軸に対して上方に位置し、前記台座部の下面に接触していてもよい。
【0015】
この構成によれば、リブ部の中央部において、少なくとも最上位箇所をモータの出力軸に対して上方に位置させた。これにより、中央部73において、少なくとも最上位箇所を床面から確実に高い位置に確保できる。
さらに、最上位箇所を前記台座部に接触させることにより、最上位箇所(すなわち、リブ部)により台座部を補強できる。これにより、台座部の上面に取り付けて配置した測定装置、制御装置、およびバッテリの荷重により台座部が撓むことをリブ部により一層良好に抑制できる。
【0016】
(5)上記態様において、前記基端部と前記台座部との間に介在されたカラー部を備えていてもよい。
【0017】
この構成によれば、カラー部を基端部と台座部との間に介在することにより、カラー部により台座部を補強できる。これにより、台座部の上面に取り付けて配置した測定装置、制御装置、およびバッテリの荷重により台座部が撓むことをカラー部により一層良好に抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、台座部が撓むことを抑制でき、さらに、障害物に干渉することを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る実施形態の自走式ロボット装置おける一例を示す概略斜視図である。
図2】実施形態の自走式ロボット装置を示す底面図である。
図3図1の自走式ロボット装置を矢視IIIからみた側面図である。
図4図1の自走式ロボット装置を矢視IVからみた状態で一部を破断した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<自走式ロボット装置>
図1は、実施形態の自走式ロボット装置における一例を示す概略斜視図である。
図1に示すように、自走式ロボット装置10は、例えば、原子力発電所の人間が入ることができない狭隘な場所において、遠隔操作により安全、確実に調査などの作業を実施する装置である。なお、実施形態では自走式ロボット装置10を原子力発電所の狭隘な場所で使用する例について説明するが、自走式ロボット装置10の使用箇所は原子力発電所の狭隘な場所に限らない。
【0021】
自走式ロボット装置10は、台座部12と、測定装置13と、制御装置14と、メインバッテリ(バッテリ)15と、モータ用バッテリ(バッテリ)16と、複数の走行用モータユニット17と、ブラケット18と、複数のオムニホイール19と、複数のリブ部20と、複数のカラー部21(図3参照)と、を備えている。なお、複数の走行用モータユニット17、複数のオムニホイール19、および複数のリブ部20を、一例として実施形態において、それぞれを4つ(以下、4個ということがある)として説明する。また、複数のカラー部21を、一例として実施形態において8つ(以下、8個ということがある)として説明する。
【0022】
<測定装置、制御装置、メインバッテリ、モータ用バッテリ>
測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16は、例えば、台座部12の上面12aにおいて、台座部12の周縁12cに沿って取り付けられることにより配置されている。測定装置13は、例えば、狭隘な場所において環境状態を調査するために動画像データ、線量測定データ、及び点群データなどを取得する機器である。具体的には、測定装置13として、USBカメラ22及び3次元スキャナ(図示せず)などを備えている。
【0023】
制御装置14は、USBカメラ22および3次元スキャナなど、調査用機器の動作を制御する測定用制御部と、走行用モータユニット17の駆動状態を制御するモータ制御部と、を備えている。メインバッテリ15は、制御装置14において測定用制御部に給電する。モータ用バッテリ16は、制御装置14においてモータ制御部に給電する。
【0024】
<台座部>
図2は、実施形態の自走式ロボット装置を示す底面図である。
図2に示すように、台座部12は、一例として、ポリカーボネート樹脂の板状材から概ね直径36cmの板状の円板に形成されている。
台座部12をポリカーボネート樹脂により形成することにより、例えば、台座部12の表面に付着した汚染物質を容易に除去できる。なお、台座部12の形状は、円板状に限らないで、その他の例として八角形などの任意の形状から選択可能である。
【0025】
台座部12は、周縁12cに4つの直線部12dを有する。4つの直線部12dは、台座部12の中心軸24に対して周方向に等間隔に形成されている。すなわち、4つの直線部12dは、台座部12の周縁12cにおいて、第1対角線(対角線)26および第2対角線(対角線)27上に位置している。第1対角線26および第2対角線27は、中心軸24において交差(実施形態では、直交)するように径方向に延びている。また、4つの直線部12dは、第1対角線26、第2対角線27に対して直交するように形成されている。
【0026】
さらに、台座部12は、一対の貫通孔28を有する。一対の貫通孔28は、中心軸24から径方向外側に間隔をあけて中心軸24を通る直線上に形成されている。貫通孔28は、一対の走行用モータユニット17の間に位置し、台座部12を上下方向に貫通している。
【0027】
<走行用モータユニット、ブラケット>
図3は、図1の自走式ロボット装置を矢視IIIからみた側面図である。図4は、図1の自走式ロボット装置を矢視IVからみた状態で一部を破断した側面図である。
図2から図4に示すように、複数の走行用モータユニット17は、台座部12の下面12bにおいて4つの直線部12dに沿ってブラケット18を介して取り付けられている。走行用モータユニット17は、電動モータ(モータ)35と、減速機36と、を備えている。電動モータ35には減速機36が一体に取り付けられている。電動モータ35は、不図示の出力軸が減速機36の回転軸37に減速機構(図示せず)を介して連結されている。
【0028】
減速機36は、一例として、ブラケット18の縦壁部41に複数のボルト45により固定されている。ブラケット18は、縦壁部41に加えて、上張出部42と、下張出部43と、を有する。上張出部42は、縦壁部41の上端から台座部12の下面12bに接触した状態で台座部12の内側に延びている。上張出部42は、減速機36および電動モータ35(すなわち、走行用モータユニット17)に対して上方に間隔をあけて配置されている。
下張出部43は、縦壁部41の下端から台座部12の下面12bに沿って台座部12の内側に延びている。下張出部43は、減速機36および電動モータ35(すなわち、走行用モータユニット17)に対して下方に間隔をあけて配置されている。ブラケット18は、縦壁部41、上張出部42、および下張出部43により側面視において概ねU字状に形成されている。
【0029】
上張出部42は、台座部12の下面12bに複数のボルト47、ナット48により固定され、縦壁部41が台座部12の直線部12dに沿って配置されている。この状態において、走行用モータユニット17は、台座部12の下面12bにブラケット18を介して取り付けられ、第1対角線26上、第2対角線27上の位置に4個配置されている。
具体的には、走行用モータユニット17は、電動モータ35の出力軸(図示せず)および減速機36の回転軸37が第1対角線26、第2対角線27に沿って配置されている。また、走行用モータユニット17は、回転軸37の第1軸線52が出力軸(図示せず)の第2軸線53に対して下方に間隔Hだけ変位(オフセット)された状態に配置されている。
【0030】
減速機36の回転軸37にはオムニホイール19が連結されている。すなわち、オムニホイール19には駆動源としての電動モータ35が減速機36を介して連結されている。電動モータ35には、制御装置14のモータ制御部がワイヤハーネス(図示せず)により接続されている。ワイヤハーネスは、台座部12の一対の貫通孔28を通して電動モータ35と制御装置14のモータ制御部とを接続するように配索されている。
このように、不図示のワイヤハーネスを一対の貫通孔28に通すことにより、ワイヤハーネスを台座部12の内側に配索できる。よって、ワイヤハーネスの周囲を台座部12で囲うことができる。これにより、ワイヤハーネスを台座部12で保護できる。
【0031】
<オムニホイール>
また、オムニホイール19は、台座部12の4つの直線部12dに対して第1対角線26、第2対角線27に沿って径方向外側に間隔をあけて配置されている。4個のオムニホイール19は、走行用モータユニット17の回転軸37にそれぞれ個別に連結されている。回転軸37には補強部材55が取り付けられている。補強部材55は、筒状部55aが回転軸37に嵌め込まれ、回転軸37にボルト56などにより固定されている。また、補強部材55は、フランジ55bがオムニホイール19にボルト57などにより固定されている。
すなわち、補強部材55は、回転軸37およびオムニホイール19とともに回転可能なように回転軸37およびオムニホイール19に取り付けられている。これにより、回転軸37は、補強部材55により補強され、さらに補強部材55により外部環境から保護されている。
【0032】
また、4個のオムニホイール19は、走行用モータユニット17の回転軸37により独立してそれぞれ個別に正転、逆転、回転速度などの制御が可能である。4個の走行用モータユニット17は、モータ用バッテリ16に備えたモータ制御部により制御される。
オムニホイール19は、一般に知られた車輪である。すなわち、オムニホイール19は、電動モータ35の駆動力により駆動するホイール本体62と、ホイール本体62の周縁に沿って自由回転可能に取り付けられた複数の樽型のタイヤ(図示せず)と、を備えている。オムニホイール19は、樽型のタイヤが自由回転することにより、ホイール本体62の軸線(すなわち、回転軸37の第1軸線52)に対して交差する方向に移動可能である。
よって、4個のオムニホイール19において正転、逆転、回転速度などを制御することにより、台座部12(すなわち、自走式ロボット装置10)を前後左右の方向へ任意に移動させることができる。
【0033】
<リブ部、カラー部>
また、台座部12の周方向において、4個のブラケット18のうち隣り合う一対のブラケット18にリブ部20が架け渡されている。リブ部20は、例えば、断面矩形状に形成されている。リブ部20は、一対の基端部72と、中央部73と、を有している。一対の基端部72は、中央部73の両端73aに連結されている。一対の基端部72は、台座部12の周方向において、隣り合う一対のブラケット18の下張出部43にボルト(締結部材)75、カラー部21、およびボルト(締結部材)76により取り付けられている。
【0034】
具体的には、基端部72と台座部12の下面12bとの間にカラー部21が鉛直に向けて介在されている。カラー部21は、例えば、円筒状に形成されている。カラー部21は、例えば、下端部21aにボルト75が下方からねじ結合されている。ボルト75は、ブラケット18の下張出部43の下方から下張出部43および基端部72を貫通した状態においてカラー部21の下端部21aに同軸上にねじ結合されている。よって、ボルト75おびカラー部21の下端部21aにより基端部72および下張出部43が締結され、基端部72が下張出部43に固定されている。
【0035】
また、カラー部21は、例えば、上端部21bにボルト76が台座部12の上方からねじ結合されている。ボルト76は、台座部12の上方から台座部12を貫通した状態においてカラー部21の上端部21bに同軸上にねじ結合されている。
よって、カラー部21は、鉛直に配置されている。また、カラー部21は、下端部21aが基端部72に接触し、上端部21bが台座部12の下面12bに接触した状態において基端部72と台座部12との間に介在されている。この状態において、カラー部21は、台座部12の周縁12cの近傍に配置されている。
【0036】
ここで、1個のブラケット18の下張出部43には、2個のカラー部21がそれぞれボルト75により取り付けられている。よって、4個のブラケット18の下張出部43には、8個のカラー部21が取り付けられている。すなわち、8個のカラー部21は、台座部12の周縁12cの近傍において、4個の基端部72と台座部12との間に介在されている。
また、測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16は、例えば、台座部12の上面12aにおいて、台座部12の周縁12cに沿って取り付けられている。よって、8個のカラー部21は、測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16の近傍に位置している。
【0037】
さらに、リブ部20は、隣り合う一対のブラケット18の下張出部43に一対の基端部72がボルト75、カラー部21、およびボルト76により取り付けられることにより、隣り合う一対の下張出部43に架け渡されている。この状態において、リブ部20は、台座部12の下面12bに一対のブラケット18を介して配置され、かつ、台座部12の周縁12cに沿って配置されている。これにより、台座部12の下面12bにおいて、4個のリブ部20が台座部12の周縁12cの全周に沿って配置されている。すなわち、台座部12の下面12bにおいて一対の貫通孔28側の空間78が4個のリブ部20により囲まれている。
【0038】
また、中央部73は、一対の基端部72が隣り合う一対のブラケット18の下張出部43に取り付けられた状態において、上方に向けて概ね逆V字の凹状に形成されている。中央部73は、長手方向の中央に最上位箇所73bを有する。中央部73は、少なくとも最上位箇所73bが電動モータ35の出力軸の第2軸線53に対して上方に位置している。また、最上位箇所73bは、台座部12の下面12bにおいて、台座部12の周縁12cに沿って配置され、下面12bに接触可能に直線状に形成されている。すなわち、最上位箇所73bは、台座部12の周縁12cに沿って配置された状態において、下面12bに下方から接触されている。
【0039】
ここで、測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16は、例えば、台座部12の上面12aにおいて、台座部12の周縁12cに沿って取り付けられている。よって、4つの最上位箇所73bは、例えば、測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16の下方に位置している。
また、最上位箇所73bは、例えば、台座部12の下面12bに対して下側に間隔をあけて配置されている。
【0040】
ここで、リブ部20の長さL、リブ部20の最上位箇所73bのクリアランスS1、およびリブ部20の最下位箇所のクリアランスS2の具体例について説明する。ここで、リブ部20の長さLは、リブ部20を固定する一対のボルト75間の距離である。また、リブ部20の最下位箇所は一対の基端部72である。よって、以下、リブ部20の最下位箇所を最下位箇所72ということがある。
【0041】
実施形態では、台座部12が概ね直径36cmの円板状に形成されている。この場合、リブ部20の長さLは16.2cmに設定される。最上位箇所73bのクリアランスS1は、床面82から6.8cmに設定されている。また、最下位箇所72のクリアランスS2は、床面82から3.8cmに設定されている。
このように、リブ部20は、中央部73を凹状に形成することにより、最上位箇所73bのクリアランスS1を最下位箇所72のクリアランスS2に比べて高く設定できる。
【0042】
なお、実施形態では、中央部73を概ね逆V字の凹状に形成する例について説明するが、凹状は逆V字に限らない。その他の例として、例えば、中央部73を湾曲の凹状などの他の形状に形成してもよい。また、実施形態では、中央部73の最上位箇所73bを台座部12の下面12bに接触させる例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、最上位箇所73bを台座部12の下面12bに接触した状態で台座部12に接着などにより固定してもよい。あるいは、最上位箇所73bを台座部12の下面から下側に離した状態で連結部材(図示せず)により台座部12に最上位箇所73bを連結(接触)してもよい。
【0043】
以上説明したように、実施形態の自走式ロボット装置10によれば、図2図3に示すように、台座部12の下面12bにおいて、かつ、第1対角線26上、第2対角線27上の位置に走行用モータユニット17を取り付けた。また、オムニホイール19を駆動する回転軸37を第1対角線26、第2対角線27に沿って配置した。よって、4個の走行用モータユニット17より高い位置に台座部12を配置できる。
【0044】
また、4個の走行用モータユニット17を台座部12の下面12bにブラケット18でそれぞれ取り付けた。さらに、4個のブラケット18のうち隣り合う一対のブラケット18にリブ部20を架け渡した。このように、隣り合う一対のブラケット18にリブ部20を架け渡すことにより、一対のブラケット18をリブ部20で確実に固定できる。よって、4個のブラケット18により台座部12を補強できる。これにより、台座部12の上面12aに取り付けた測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16の荷重により台座部12が上下方向(特に、下方)に撓むことを抑制できる。
【0045】
さらに、台座部12を4個の走行用モータユニット17より高い位置に配置することにより、リブ部20の中央部73を台座部12に妨げられることなく上方に向けて高く凹状に凹ませることができる。よって、床面82から中央部73の最上位箇所73bまでのクリアランスS1を高く確保できる。これにより、自走式ロボット装置10を床面82において移動(自走)させる際に、自走式ロボット装置10が床面82から上方に突出する障害物(図示せず)に干渉することを避けることができる。
【0046】
また、台座部12の下面12bにおいて、4個のリブ部20が台座部12の周縁12cの全周に沿って配置されている。すなわち、台座部12の下面12bにおいて一対の貫通孔28側の空間78が4個のリブ部20により囲まれている。よって、台座部12の下面12bに配置された4個の走行用モータユニット17を4個のリブ部20に囲まれた領域に配置できる。これにより、4個の走行用モータユニット17を4個のリブ部20により保護できる。
【0047】
ここで、台座部12の一対の貫通孔28を通して電動モータ35に接続するワイヤハーネスは、台座部12の下面12bにおいて4個のリブ部20に囲まれた領域に配置される。これにより、電動モータ35に接続するワイヤハーネスを台座部12の下面12bにおいて4個のリブ部20により保護できる。
【0048】
さらに、減速機36の回転軸37の第1軸線52は、電動モータ35の出力軸の第2軸線53に対して下方に間隔Hだけ変位された状態に配置されている。これにより、台座部12を床面82から一層高い位置に配置できる。
【0049】
加えて、中央部73は、少なくとも最上位箇所73bが電動モータ35の出力軸の第2軸線53に対して上方に位置している。これにより、中央部73において、少なくとも最上位箇所73bを床面82から確実に高い位置に確保できる。これにより、中央部73の下面73cにおけるクリアランスを床面82から高く確保できる。
【0050】
さらに、4つの最上位箇所73bを台座部12の周縁12cに沿って配置した状態において、台座部12の下面12bに下方から接触させた。よって、4つの最上位箇所73b(すなわち、リブ部20)により台座部12(特に、台座部12の周縁12c)を補強できる。
ここで、4つの最上位箇所73bは、例えば、測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16の下方に位置している。これにより、台座部12の上面12aに取り付けて配置した測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16の荷重により台座部12が撓むことを4個のリブ部20により一層良好に抑制できる。
【0051】
また、8個のカラー部21を台座部12の周縁12cの近傍において、4個の基端部72と台座部12との間に介在させた。よって、カラー部21により台座部12(特に、台座部12の周縁12c)を補強できる。ここで、8個のカラー部21は、例えば、測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16の近傍に位置している。
これにより、台座部12の上面12aに取り付けて配置した測定装置13、制御装置14、メインバッテリ15、およびモータ用バッテリ16の荷重により台座部12が撓むことを8個のカラー部21により一層良好に抑制できる。
【0052】
このように、台座部12を4個のリブ部20および8個のカラー部21により補強することにより、例えば、台座部12をポリカーボネート樹脂で形成した場合において、台座部12の剛性を確保できる。これにより、例えば、台座部12の表面に付着した汚染物質を容易に除去できる。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記施形態では、走行用モータユニット17およびオムニホイール19をそれぞれ4個備える例について説明したが、走行用モータユニット17およびオムニホイール19の個数を任意に選択してもよい。例えば、台座部12を大きく形成した場合には、台座部12を安定させるために、走行用モータユニット17およびオムニホイール19の個数を4個より多くしてもよい。
また、走行用モータユニット17およびオムニホイール19の個数に合わせてリブ部20の個数を任意に選択してもよい。
【0054】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 自走式ロボット装置
12 台座部
12a 上面
12b 下面
12c 周縁
13 測定装置
14 制御装置
15 メインバッテリ(バッテリ)
16 モータ用バッテリ(バッテリ)
17 走行用モータユニット
18 ブラケット
19 オムニホイール
20 リブ部
21 カラー部
26 第1対角線(対角線)
27 第2対角線(対角線)
35 電動モータ(モータ)
36 減速機
37 回転軸
52 第1軸線
53 第2軸線
72 基端部
73 中央部
73a 中央部の両端
73b 最上位箇所
75,76 ボルト(締結部材)
図1
図2
図3
図4