(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068558
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】作業機械の作業状態推定システムおよび作業機械の作業状態推定方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
E02F9/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179098
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 年晃
(72)【発明者】
【氏名】倉松 竜平
(72)【発明者】
【氏名】小山 幹
(72)【発明者】
【氏名】山中 伸好
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA08
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
(57)【要約】
【課題】簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能な作業機械の作業状態推定システムを提供する。
【解決手段】作業機械の作業状態推定システムは、作業機械の傾斜角度を取得する傾斜角度取得部と、記傾斜角度の変化に基づいて作業機械の作業状態を推定する作業状態推定部とを備える。傾斜角度は少なくともピッチ角を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の傾斜角度を取得する傾斜角度取得部と、
前記傾斜角度の変化に基づいて前記作業機械の作業状態を推定する作業状態推定部とを備え、
前記傾斜角度は少なくともピッチ角を含む、作業機械の作業状態推定システム。
【請求項2】
前記作業機械は、作業機を含み、
前記作業状態は掘削状態を含む、請求項1に記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項3】
前記作業状態は積荷状態あるいは空荷状態を含む、請求項2に記載の作業状態推定システム。
【請求項4】
前記作業状態は排土状態を含む、請求項2に記載の作業状態推定システム。
【請求項5】
前記傾斜角度はロール角およびヨー角の少なくとも一方をさらに含む、請求項1に記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項6】
前記作業機械は、旋回体を含み、
前記作業状態は旋回状態を含む、請求項5に記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項7】
前記作業状態推定部は、前記作業状態として掘削状態および積荷状態を判定する掘削積荷判定部を含み、
前記掘削積荷判定部は、前記傾斜角度と第1の閾値との比較に基づいて前記掘削状態を判定する、請求項2記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項8】
前記掘削積荷判定部は、前記傾斜角度と第2の閾値との比較に基づいて前記積荷状態を判定する請求項7記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項9】
前記掘削積荷判定部は、前記傾斜角度が所定期間前記第2の閾値以上の場合に前記積荷状態を判定する、請求項8記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項10】
前記作業状態推定部は、前記作業状態として旋回を判定する旋回判定部をさらに含み、
前記旋回判定部は、前記ピッチ角および前記ロール角の変化、あるいは前記ヨー角の変化に基づいて前記旋回を判定する請求項6記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項11】
前記作業状態推定部は、前記作業状態として排土を判定する排土判定部をさらに含み、
前記排土判定部は、前記傾斜角度が所定の値変化したか否かに基づいて前記排土を判定する請求項4記載の作業機械の作業状態推定システム。
【請求項12】
作業機械の傾斜角度を取得するステップと、
前記傾斜角度の変化に基づいて前記作業機械の作業状態を推定するステップとを備え、
前記傾斜角度は少なくともピッチ角を含む、作業機械の作業状態推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の状態に関し、特に作業状態を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業機械の作業状態に関し、種々のセンサーを設けて当該センサー結果に基づいて作業状態を推定する方式が種々提案されている(特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-71742号公報
【特許文献2】特開2021-21245号公報
【特許文献3】特開2021-22179号公報
【特許文献4】特開2021-55360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、上記方式は複雑であり作業状態を推定する点で改善の余地がある。
本開示の目的は、簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能な作業機械の作業状態推定システムおよび作業機械の作業状態推定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある局面に基づく作業機械の作業状態推定システムは、作業機械の傾斜角度を取得する傾斜角度取得部と、記傾斜角度の変化に基づいて作業機械の作業状態を推定する作業状態推定部とを備える。傾斜角度は少なくともピッチ角を含む。
【0006】
本開示のある局面に基づく作業機械の作業状態推定方法は、作業機械の傾斜角度を取得するステップと、傾斜角度の変化に基づいて作業機械の作業状態を推定するステップとを備える。傾斜角度は少なくともピッチ角を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の作業機械の作業状態推定システムおよび作業機械の作業状態推定方法は、簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に従う傾斜角検出装置70について説明する図である。
【
図3】実施形態に従う作業機械100のコントローラ60の構成について説明する図である。
【
図4】実施形態に従う作業機械100の作業状態の流れについて説明する図である。
【
図5】実施形態に従う作業機械100の作業状態の推定について説明する図である。
【
図6】実施形態に従う作業機械100の作業状態の判定について説明する図である。
【
図7】実施形態に従う作業機械100の作業状態の推定処理のフローについて説明する図である。
【
図8】実施形態に従う作業分類部62による作業状態の推定処理について説明するフロー図である。
【
図9】実施形態に従う掘削積荷判定部160による掘削積荷判定処理について説明するフロー図である。
【
図10】実施形態に従う掘削積荷判定部160の掘削積荷判定処理の具体例について説明する図である。
【
図11】実施形態に従う旋回判定部162の旋回判定処理について説明する図である。
【
図12】実施形態に従う旋回判定部162の積荷旋回判定処理について説明する図である。
【
図13】実施形態に従う旋回判定部162の空荷旋回判定処理について説明する図である。
【
図14】実施形態に従う旋回判定部162の積荷旋回判定処理および空荷旋回判定処理の具体例について説明する図である。
【
図15】実施形態に従う排土判定部164の排土判定処理について説明する図である。
【
図16】実施形態に従う排土判定部164の排土判定処理の具体例について説明する図である。
【
図17】実施形態の変形例1に従う掘削積荷判定部160による掘削積荷判定処理について説明するフロー図である。
【
図18】実施形態の変形例2に従う旋回判定部162の旋回判定について説明するフロー図である。
【
図19】実施形態の変形例2に従う旋回判定部162の旋回判定処理の具体例について説明する図である。
【
図20】実施形態に従う排土の際のバケット角について説明する図である。
【
図21】実施形態の変形例3に従う排土判定部164の排土判定処理について説明するフロー図である。
【
図22】実施形態の変形例3に従う排土判定部164の排土判定処理の具体例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能は同じである。したがって、それらについての詳細な説明については繰り返さない。
【0010】
<作業機械の全体構成>
図1は、実施形態に基づく作業機械の外観図である。
【0011】
図1に示されるように、本開示の思想を適用可能な作業機械として油圧により作動する作業機2を備える油圧ショベルを例に挙げて説明する。
【0012】
作業機械100は、車両本体1と、作業機2とを備える。
車両本体1は、旋回体3と、運転室4と、走行装置5とを有する。
【0013】
旋回体3は、走行装置5の上に配置される。走行装置5は、旋回体3を支持する。旋回体3は、旋回軸AXを中心に旋回可能である。運転室4には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられる。オペレータは、運転室4において作業機械100を操作する。走行装置5は、一対の履帯5Crを有する。履帯5Crの回転により、作業機械100が走行する。走行装置5は、車輪(タイヤ)で構成されていてもよい。
【0014】
運転席4Sに着座したオペレータを基準として各部の位置関係について説明する。前後方向とは、運転席4Sに着座したオペレータの前後方向をいう。左右方向とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした左右方向をいう。左右方向は、車両の幅方向(車幅方向)に一致する。運転席4Sに着座したオペレータに正面に正対する方向を前方向とし、前方向とは反対の方向を後方向とする。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したとき右側、左側をそれぞれ右方向、左方向とする。
【0015】
旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有する。旋回体3において、エンジンルーム9の前方に手すり19が設けられる。エンジンルーム9には、エンジン及び油圧ポンプなどが配置されている。
【0016】
作業機2は、旋回体3に支持される。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8と、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを有する。
【0017】
ブーム6は、ブームピン13を介して旋回体3に接続される。アーム7は、アームピン14を介してブーム6に接続される。バケット8は、バケットピン15を介してアーム7に接続される。ブームシリンダ10は、ブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブーム6の基端部(ブームフート)と旋回体3とが接続される。ブーム6の先端部(ブームトップ)とアーム7の基端部(アームフート)とが接続される。アーム7の先端部(アームトップ)とバケット8の基端部とが接続される。ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12はいずれも、作動油によって駆動される油圧シリンダである。
【0018】
ブーム6は、回動軸であるブームピン13を中心に旋回体3に体して回動可能である。アーム7は、ブームピン13と平行な回動軸であるアームピン14を中心にブーム6に対して回転可能である。バケット8は、ブームピン13およびアームピン14と平行な回動軸であるバケットピン15を中心にアーム7に対して回動可能である。
【0019】
ブーム6の基端部はレボフレームと連結されており、レボフレームの先端に傾斜角検出装置70、本例においては、一例としてIMU(Inertial Measurement Unit)センサーが設けられる。
【0020】
図2は、実施形態に従う傾斜角検出装置70について説明する図である。
図2に示されるように、作業機2を支持するレボフレームの先端に傾斜角検出装置70の一例であるIMUセンサーが装着される場合が示される。
【0021】
傾斜角検出装置70は、作業機械100の傾斜角度を検出するセンサーであり、一例としてピッチ角、ロール角およびヨー角を検出することが可能である。傾斜角検出装置70は、左右方向の中心に近い位置に装着されている。当該装着位置により、精度良く作業機械100の傾斜角度を検出することが可能である。
【0022】
具体的には、傾斜角検出装置70は、作業機械100の左右方向に延びる軸を中心とする車両本体1の傾斜角度を示すピッチ角と、作業機械100の前後方向に延びる軸を中心とする車両本体1の傾斜角度を示すロール角と、作業機械100の上下方向に延びる軸を中心とする車両本体1の傾斜角度を示すヨー角とを検出する。
【0023】
図3は、実施形態に従う作業機械100のコントローラ60の構成について説明する図である。
図3を参照して作業機械100のコントローラ60は、演算部61と、記憶部64と、出力部65とを含む。
【0024】
演算部61は、一例としてCPU(Central Processing Unit)であり、各種の演算を実行する。記憶部64は、演算部61で実行する各種の演算処理を実行するためのプログラムおよびデータを格納する。
【0025】
演算部61は、作業分類部62と、取得部63とを含む。
取得部63は、傾斜角検出装置70の検出結果である傾斜角度を取得する。なお、検出結果について取得したデータを補正して用いるようにしてもよい。
【0026】
作業分類部62は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて作業機械100の作業状態を推定する。
【0027】
作業分類部62は、掘削積荷判定部160と、旋回判定部162と、排土判定部164とを含む。
【0028】
掘削積荷判定部160は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて掘削状態および積荷状態を判定する。具体的には空荷状態の後の掘削状態を判定する。また、掘削状態の後の積荷状態を判定する。
【0029】
旋回判定部162は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて旋回状態を判定する。具体的には積荷状態の後の旋回は積荷旋回状態と判定する。また、排土状態の後の旋回は空荷旋回状態と判定する。
【0030】
排土判定部164は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて排土状態を判定する。具体的には積荷旋回状態の後の排土状態を判定する。
【0031】
出力部65は、演算部61で実行した演算結果を出力する。出力部65は、一例として表示部(図示せず)に演算結果を出力するようにしてもよい。また、出力部65は、ネットワークを介して演算結果を送信するようにしてもよい。例えば出力部65は、ネットワークを介して演算部61で演算した作業機械100の推定した作業状態を外部のサ-バに送信してもよい。また、出力部65は、一日の作業機械100の作業状態をレポートとして記録して紙で出力するようにしてもよい。
【0032】
図4は、実施形態に従う作業機械100の作業状態の流れについて説明する図である。
図4を参照して、作業機械100は、作業状態として(1)掘削、(2)積荷、(3)積荷旋回、(4)排土、(5)空荷旋回、(6)空荷の各種の一連の作業状態を繰り返し実行する。
【0033】
実施形態においては、傾斜角検出装置70で取得した検出結果に基づいて作業機械100の上記(1)~(6)の作業状態を推定する。
【0034】
図5は、実施形態に従う作業機械100の作業状態の推定について説明する図である。縦軸はピッチ角を表し、横軸は時間tを表す。
【0035】
図5を参照して、本例においては、傾斜角検出装置70の傾斜角度としてピッチ角のデータが示されている。
【0036】
作業分類部62は、取得部63で取得した傾斜角度である少なくともピッチ角の変化に基づいて作業機械100の作業状態を推定する。
【0037】
具体的には、作業状態として(1)掘削、(2)積荷、(3)積荷旋回、(4)排土、(5)空荷旋回、(6)空荷の各種の一連の作業状態を推定する。
【0038】
図6は、実施形態に従う作業機械100の作業状態の判定について説明する図である。
図6を参照して、作業分類部62は、作業状態が空荷状態の際に掘削状態を判定する。次に作業分類部62は、掘削状態の際に積荷状態を判定する。次に、作業分類部62は、積荷状態の際に積荷旋回状態を判定する。次に、作業分類部62は、積荷旋回状態の際に排土状態を判定する。次に、作業分類部62は、排土状態の際に空荷旋回状態を判定する。次に、作業分類部62は、空荷旋回状態の際に空荷状態を判定する。そして、再び、最初の処理に戻り、作業分類部62は、作業状態が空荷状態の際に掘削状態を判定する。
【0039】
図7は、実施形態に従う作業機械100の作業状態の推定処理のフローについて説明する図である。
【0040】
図7を参照して、取得部63は、傾斜角検出装置70からのデータを取得する(ステップS2)。
【0041】
次に、作業分類部62は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて作業機械100の作業状態を推定する(ステップS4)。作業状態の推定の詳細処理については後述する。
【0042】
次に、出力部65は、判定結果を出力する(ステップS6)。
そして、処理を終了する(エンド)。
【0043】
図8は、実施形態に従う作業分類部62による作業状態の推定処理について説明するフロー図である。
【0044】
図8を参照して、掘削積荷判定部160は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて作業機械100の掘削積荷判定処理を実行する(ステップS10)。掘削積荷判定処理の詳細については後述する。
【0045】
次に、旋回判定部162は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて作業機械100の積荷旋回判定処理を実行する(ステップS12)。積荷旋回判定処理の詳細については後述する。
【0046】
次に、排土判定部164は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて作業機械100の排土判定処理を実行する(ステップS14)。排土判定処理の詳細については後述する。
【0047】
次に、旋回判定部162は、取得部63で取得した傾斜角度の変化に基づいて作業機械100の空荷旋回判定処理を実行する(ステップS16)。空荷旋回判定処理の詳細については後述する。
【0048】
そして、作業機械100の作業が終了したか否かを判断する(ステップS18)。
ステップS18において、作業機械100の作業が終了していないと判断した場合(ステップS18においてNO)には、ステップS10に戻り、上記処理を繰り返す。
【0049】
一方、ステップS18において、作業機械100の作業が終了したと判断した場合(ステップS18においてYES)には、処理を終了する(リターン)。
【0050】
<掘削積荷判定処理>
図9は、実施形態に従う掘削積荷判定部160による掘削積荷判定処理について説明するフロー図である。
【0051】
図9を参照して、掘削積荷判定部160は、掘削積荷判定処理を開始した際のピッチ角に対して掘削閾値および積荷閾値を設定する(ステップS20)。掘削積荷判定処理を開始した際のピッチ角は、初期値として予め設定されたピッチ角を用いても良いし、一例として前回の空荷旋回処理が終了した際のピッチ角を用いても良い。
【0052】
具体的には、掘削積荷判定部160は、初期値あるいは前回の空荷旋回処理が終了した際のピッチ角から所定の値低いピッチ角を掘削閾値(負側)(第1の閾値の例)に設定する。また、掘削積荷判定部160は、初期値あるいは前回の空荷旋回処理が終了した際のピッチ角から所定の値高いピッチ角を積荷閾値(正側)(第2の閾値の例)に設定する。
【0053】
次に、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が掘削閾値(負側)以下か否かを判断する(ステップS22)。掘削積荷判定部160は、所定期間のピッチ角の時間平均値を算出して利用する。所定期間の長さは適宜調整することが可能である。
【0054】
ステップS22において、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が掘削閾値以下ではないと判断した場合(ステップS22においてNO)には、前の状態を維持する。
【0055】
一方、ステップS22において、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が掘削閾値以下と判断した場合(ステップS22においてYES)には、掘削状態と判定する(ステップS24)。
【0056】
次に、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が積荷閾値(正側)以上か否かを判断する(ステップS26)。
【0057】
ステップS26において、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が積荷閾値(正側)以上ではないと判断した場合(ステップS26においてNO)には、前の状態を維持する。
【0058】
一方、ステップS26において、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が積荷閾値(正側)以上と判断した場合(ステップS26においてYES)には、掘削積荷判定部160は、積荷状態と判定する(ステップS28)。
【0059】
そして、処理を終了する(リターン)。そして、次の積荷旋回判定処理に進む。
図10は、実施形態に従う掘削積荷判定部160の掘削積荷判定処理の具体例について説明する図である。縦軸はピッチ角を表し、横軸は時間tを表す。
【0060】
図10を参照して、本例においては、初期値あるいは前回の空荷旋回処理が終了した際のピッチ角P1~P3が示されている。
【0061】
掘削積荷判定部160は、初期値のピッチ角P1に対して掘削閾値PDth1(負側)と積荷閾値PUth1(正側)とを設定する。
【0062】
掘削積荷判定部160は、ピッチ角が掘削閾値PDth1(負側)以下の場合に掘削と判定する。
【0063】
掘削積荷判定部160は、ピッチ角が積荷閾値PUth1(正側)以上の場合に積荷と判定する。
【0064】
同様に、掘削積荷判定部160は、前回の空荷旋回処理が終了した際のピッチ角P2に対して掘削閾値PDth2(負側)と積荷閾値PUth2(正側)とを設定する。
【0065】
掘削積荷判定部160は、ピッチ角が掘削閾値PDth2(負側)以下の場合に掘削状態と判定する。
【0066】
掘削積荷判定部160は、ピッチ角が積荷閾値PUth2(正側)以上の場合に積荷状態と判定する。
【0067】
同様に、掘削積荷判定部160は、前回の空荷旋回処理が終了した際のピッチ角P3に対して掘削閾値PDth3(負側)と積荷閾値PUth3(正側)とを設定する。
【0068】
掘削積荷判定部160は、ピッチ角が掘削閾値PDth3(負側)以下の場合に掘削状態と判定する。
【0069】
掘削積荷判定部160は、ピッチ角が積荷閾値PUth3(正側)以上の場合に積荷状態と判定する。
【0070】
当該処理により、傾斜角度のピッチ角の変化に基づいて掘削状態および積荷状態を判定するため簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能である。
【0071】
通常、バケットの先端を地面に挿した状態で、ブーム・アーム・バケット、またはそのいずれかを後方に引き込むような動きをすることで掘削をおこない、バケット内に土砂を抱え込む。バケット内に土砂を抱え込んで引き上げようとする際、地面からの反力を受けることで車体全体は前方に引っ張られ、前のめりになる。土砂を地面から引き上げると、掘削時の反動もあり、車体全体は掘削前の状態よりも、後方に傾くことになる。このように掘削作業において、車体前後方向の角度(ピッチ角)が特徴的な変化をするため、掘削状態・積荷状態を判定することが可能である。
【0072】
発明者らは掘削作業におけるピッチ角の微細な変化から、作業状態を判定できることに着目し、種々の試験を実施した結果その有効性を確認し、本開示の考案に至った。
【0073】
作業状態の判定に用いる閾値には、予め決められた固定の値を用いることも可能である。しかし、作業現場や作業内容、作業車両の個体差等によって、その値を調節するようにしてもよい。そのため、初期値あるいは前回の空荷旋回処理が終了した際のピッチ角に基づいて閾値を設定することで、より精度高く作業状態を判定することが可能である。
【0074】
本例においてはピッチ角のみに基づいた作業状態の推定方法について説明したが、作業状態の推定にピッチ角およびロール角を用いても良い。後述するが、ピッチ角およびロール角に基づいて、旋回状態を判定することが可能である。つまり、ロール角の変化を組み合わせることで、ピッチ角が旋回に伴って変化したものなのか、そうでないかを判断することが可能である。このようにピッチ角とロール角とを用いることで、より精度よく掘削状態および積荷状態を判定することが可能である。
【0075】
<旋回判定処理>
図11は、実施形態に従う旋回判定部162の旋回判定処理について説明する図である。縦軸はピッチ角またはロール角を表し、横軸は時間tを表す。
【0076】
図11を参照して、実施形態に従う旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角の変化を利用する。具体的には、当該図に示されるように作業機械100の旋回動作中は、ピッチ角およびロール角は位相が異なるsin波形およびcos波形になる。すなわち、ピッチ角およびロール角は連動した類似の波形となる。作業機械100が位置する地面が仮に完全な水平面であれば、旋回をしてもピッチ角およびロール角は変化しないため、ピッチ角およびロール角から旋回状態を判定することは難しい。一方、作業機械100が位置する地面は一般的に完全な水平面ではなく旋回によってピッチ角およびロール角が変化する。そのため、ピッチ角およびロール角の変化から、旋回状態を判定することが可能である。
【0077】
したがって、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角の波形を比較して連動した波形を検出した場合には旋回状態と判定する。
【0078】
図12は、実施形態に従う旋回判定部162の積荷旋回判定処理について説明する図である。
【0079】
図12を参照して、旋回判定部162は、積荷状態の後の旋回状態を積荷旋回と判定する。具体的には、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化しているか否かを判断する(ステップS30)。旋回判定部162は、所定期間のピッチ角およびロール角の時間平均値を算出して利用する。所定期間の長さは適宜調整することが可能である。
【0080】
ステップS30において、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化していないと判断した場合(ステップS30においてNO)には、前の状態を維持する。
【0081】
一方、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化していると判断した場合(ステップS30においてYES)には、積荷旋回状態と判定する(ステップS32)。
【0082】
次に、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化する状態が終了したか否かを判断する(ステップS34)。
【0083】
ステップS34において、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化する状態が終了しないと判断した場合(ステップS34においてNO)には、ステップS32に戻り、当該状態を維持する。
【0084】
一方、ステップS34において、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化する状態が終了したと判断した場合(ステップS34においてYES)には、処理を終了する(リターン)。そして、次の排土判定処理に進む。
【0085】
図13は、実施形態に従う旋回判定部162の空荷旋回判定処理について説明する図である。
【0086】
図13を参照して、旋回判定部162は、排土状態の後の旋回状態を空荷旋回と判定する。具体的には、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化しているか否かを判断する(ステップS40)。旋回判定部162は、所定期間のピッチ角およびロール角の時間平均値を算出して利用する。所定期間の長さは適宜調整することが可能である。
【0087】
ステップS40において、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化していないと判断した場合(ステップS40においてNO)には、前の状態を維持する。
【0088】
一方、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化していると判断した場合(ステップS40においてYES)には、空荷旋回状態と判定する(ステップS42)。
【0089】
次に、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化する状態が終了したか否かを判断する(ステップS44)。
【0090】
ステップS44において、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化する状態が終了しないと判断した場合(ステップS44においてNO)には、ステップS42に戻り、当該状態を維持する。
【0091】
一方、ステップS44において、旋回判定部162は、ピッチ角およびロール角が連動して変化する状態が終了したと判断した場合(ステップS44においてYES)には、空荷状態と判定する(ステップS46)。そして、処理を終了する(リターン)。そして、作業が継続される場合には、最初の掘削積荷判定処理に戻る。
【0092】
また、空荷旋回判定処理が終了した際のピッチ角を記憶する。当該ピッチ角は、掘削積荷判定処理の掘削閾値および積荷閾値に用いられる。
【0093】
図14は、実施形態に従う旋回判定部162の積荷旋回判定処理および空荷旋回判定処理の具体例について説明する図である。縦軸はピッチ角またはロール角を表し、横軸は時間tを表す。
【0094】
図14を参照して、実施形態に従う旋回判定部162は、ピッチ角とロール角の変化を利用してピッチ角およびロール角が連動して変化しているか否かを判定する。具体的には、旋回時にはロール角とピッチ角とが同じ方向に変化するため、それぞれの変化量を求め、変化量の正負が同じ場合に旋回状態と判断することが可能である。
【0095】
本例における斜線部においては、ピッチ角の大きな変化に伴って、ロール角の値が大きく変化している。例えば、一番左側の斜線部においては、ロール角が大きく減少しており、その少し前に、ピッチ角も大きく減少していることが分かる。このように、ピッチ角の変化のみでは旋回状態を判定することは難しいが、ロール角の変化も組み合わせることにより、旋回状態を判定することが可能である。
【0096】
当該図に示されるように、積荷後の旋回状態について積荷旋回状態と判定し、排土後の旋回状態について空荷旋回状態と判定する場合が示されている。
【0097】
当該処理により、傾斜角度のピッチ角およびロール角の変化に基づいて積荷旋回状態および空荷積荷状態を判定するため簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能である。
【0098】
<排土判定処理>
図15は、実施形態に従う排土判定部164の排土判定処理について説明する図である。
【0099】
図15を参照して、排土判定部164は、旋回終了の後、所定期間のピッチ角が所定の値以上降下したか否かを判定する(ステップS50)。これは、排土作業をおこなうことで、作業車両が僅かに前方に傾き、ピッチ角が変化することに基づいて判定することが可能である。所定の値は、予め決められた初期値でも良い。所定の値は定量値ではなく、割合値を用いても良い。排土に伴うピッチ角の変化は、作業車両の種類や、対象物等によっても変動する可能性があるため、所定の値は状況に応じて調整しても良い。なお、所定の値は手動で調整しても良いし、作業中のピッチ角の変化に推移に基づいて自動で算出して調整しても良い。排土判定部164は、所定期間のピッチ角の時間平均値を算出して利用する。所定期間の長さは適宜調整することが可能である。
【0100】
ステップS50において、排土判定部164は、旋回終了の後、所定期間のピッチ角が所定の値以上降下しないと判断した場合(ステップS50においてNO)には、前回の状態を維持する。
【0101】
一方、ステップS50において、排土判定部164は、旋回終了の後、所定期間のピッチ角が所定の値以上降下したと判断した場合(ステップS50においてYES)には、排土状態と判定する(ステップS52)。
【0102】
そして、処理を終了する(リターン)。そして、次の空荷旋回判定処理に進む。
図16は、実施形態に従う排土判定部164の排土判定処理の具体例について説明する図である。縦軸はピッチ角を表し、横軸は時間tを表す。
【0103】
図16を参照して、実施形態に従う排土判定部164は、所定期間のピッチ角が所定の値以上降下するか否かを判断して、所定の値以上降下したと判断した場合に排土と判定する場合が示されている。
【0104】
当該処理により、傾斜角度のピッチ角の変化に基づいて排土状態を判定するため簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能である。
【0105】
上記処理により実施形態に従う作業分類部62は、傾斜角度として少なくともピッチ角を用いることにより簡易な方式で掘削、積荷、積荷旋回、排土、空荷旋回、空荷の各種の一連の作業状態を推定することが可能である。
【0106】
(変形例1)
実施形態の変形例1においては、精度の高い掘削積荷判定処理について説明する。
【0107】
図17は、実施形態の変形例1に従う掘削積荷判定部160による掘削積荷判定処理について説明するフロー図である。
【0108】
図17を参照して、
図9のフロー図と比較して、ステップS23およびS27を追加した点が異なる。他の部分については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0109】
ステップS22において、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が掘削閾値以下と判断した場合(ステップS22においてYES)には、所定期間以上、掘削閾値以下か否かを判断する(ステップS23)。
【0110】
ステップS23において、掘削積荷判定部160は、所定期間以上、掘削閾値以下と判断した場合(ステップS23においてYES)には、掘削状態と判定する(ステップS24)。
【0111】
一方、ステップS23において、掘削積荷判定部160は、所定期間以上、掘削閾値以下ではないと判断した場合(ステップS23においてNO)には、ステップS22に戻る。
【0112】
また、ステップS26において、掘削積荷判定部160は、ピッチ角が積荷閾値(正側)以上と判断した場合(ステップS26においてYES)には、所定期間以上、積荷閾以上か否かを判断する(ステップS27)。
【0113】
ステップS27において、掘削積荷判定部160は、所定期間以上、積荷閾値以上と判断した場合(ステップS27においてYES)には、積荷状態と判定する(ステップS28)。
【0114】
一方、ステップS27において、掘削積荷判定部160は、所定期間以上、積荷閾値以上ではないと判断した場合(ステップS27においてNO)には、ステップS26に戻る。
【0115】
当該処理により所定期間以上、掘削閾値以下あるいは積荷閾値以上か否かを判断して所定期間以上、掘削閾値以下あるいは積荷閾値以上の場合に掘削状態あるいは積荷状態と判定する。
【0116】
当該処理により傾斜角度としてピッチ角のノイズの影響による誤判定を回避してピッチ角の変化に基づいて掘削状態および積荷状態を判定するため精度の高い掘削あるいは積荷の判定処理を実行することが可能である。
【0117】
(変形例2)
図18は、実施形態の変形例2に従う旋回判定部162の旋回判定について説明するフロー図である。
【0118】
図18を参照して、旋回判定部162は、ヨー角が所定の閾値以上あるいは閾値以下か否かを判断する(ステップS60)。
【0119】
ステップS60において、旋回判定部162は、ヨー角が所定の閾値以上あるいは閾値以下と判断した場合(ステップS60においてYES)には、旋回状態と判定する。
【0120】
そして、処理を終了する(リターン)。
一方、ステップS60において、旋回判定部162は、ヨー角が所定の閾値以上あるいは閾値以下ではないと判断した場合(ステップS60においてNO)には、前の状態を維持する。
【0121】
例えば、旋回判定部162は、積荷の後の旋回の場合には積荷旋回状態と判定する。また、旋回判定部162は、排土の後の旋回の場合には空荷旋回状態と判定する。
【0122】
図19は、実施形態の変形例2に従う旋回判定部162の旋回判定処理の具体例について説明する図である。縦軸はヨー角を表し、横軸は時間tを表す。
【0123】
図19を参照して、実施形態に従う旋回判定部162は、所定の閾値以上あるいは閾値以下か否かを判断して、所定の閾値以上あるいは閾値以下と判断した場合に旋回状態と判定する場合が示されている。
【0124】
当該図に示されるように、積荷後の旋回状態について積荷旋回状態と判定し、排土後の旋回状態について空荷旋回状態と判定する場合が示されている。
【0125】
当該処理により傾斜角度としてピッチ角およびロール角の代わりにヨー角の変化に基づいて旋回状態を判定するため簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能である。
【0126】
図2に示されるように、ヨー角は旋回方向そのものを示す角度のため、ピッチ角およびロール角の代わりにヨー角の変化を利用することで、より精度よく旋回状態を推定することが可能である。
【0127】
(変形例3)
図20は、実施形態に従う排土の際のバケット角について説明する図である。
【0128】
図20を参照して、バケット角が所定の角度以下になったときには排土と判定することが可能である。バケット角は、作業機械100のバケット8に装着された基準線からの傾斜角度であるバケット角を検出する図示しないセンサーを用いて取得する。
【0129】
図21は、実施形態の変形例3に従う排土判定部164の排土判定処理について説明するフロー図である。
【0130】
図21を参照して、排土判定部164は、バケット角が所定の閾値以下か否かを判断する(ステップS70)。
【0131】
ステップS70において、排土判定部164は、バケット角が所定の閾値以下と判断した場合(ステップS70においてYES)には、排土状態と判定する(ステップS72)。そして、処理を終了する(リターン)。
【0132】
一方、ステップS70において、排土判定部164は、バケット角が所定の閾値以下ではないと判断した場合(ステップS70においてNO)には、前の状態を維持する。
【0133】
図22は、実施形態の変形例3に従う排土判定部164の排土判定処理の具体例について説明する図である。縦軸はバケット角を表し、横軸は時間tを表す。
【0134】
図22を参照して、実施形態の変形例3に従う排土判定部164は、バケット角が所定の閾値以下か否かを判断して、バケット角が所定の閾値以下と判断した場合に排土状態と判定する場合が示されている。
【0135】
当該図に示されるように、所定の角度を閾値として当該バケット角が所定の閾値以下の場合に排土状態と判定することが可能である。
【0136】
当該処理により傾斜角度としてピッチ角の代わりにバケット角の変化に基づいて排土状態を判定するため簡易な方式で作業機械の作業状態を推定することが可能である。
【0137】
なお、本例においては、バケット角を利用する場合について説明したが例えばピッチ角と併用してバケット角を用いて作業機械の作業状態を推定するようにしてもよい。
【0138】
また、バケット角の算出にあたり傾斜角検出装置70で取得した傾斜角度を用いて補正した値を用いて作業機械の排土状態を判定するようにしてもよい。
【0139】
(他の実施形態)
上記の傾斜角度のデータと、正解データとして作業状態の判定結果とを組み合わせた教師データを作成し、機械学習のアルゴリズムを用いて学習させることにより作業状態を推定する学習モデルを作成するようにしてもよい。
【0140】
また、上記のコントローラは、図示しないネットワークと接続され、外部装置(例えば、サーバ)との間でのデータ通信処理を実行してもよい。
【0141】
コントローラにおいて実行される機能の少なくとも一部が、ネットワーク(広域ネットワークおよび/またはローカルネットワーク)によって通信可能な複数の装置によって分散して実行されてもよい。具体的には、コントローラにおいて実行される各種機能の少なくとも一部をサーバに実行させるようにしてもよい。
【0142】
上記の実施形態では、作業機械の一例として油圧ショベルを挙げているが油圧ショベルに限られず、ホイールローダ、ブルドーザ、モータグレーダ等の他の種類の作業機械にも適用可能である。
【0143】
<付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0144】
<付記1>
作業機械(100)の傾斜角度を取得する傾斜角度取得部(63)と、
前記傾斜角度の変化に基づいて前記作業機械の作業状態を推定する作業状態推定部(62)とを備え、
前記傾斜角度は少なくともピッチ角を含む、作業機械の作業状態推定システム。
【0145】
<付記2>
前記作業機械は、作業機(2)を含み、
前記作業状態は掘削状態を含む、付記1に記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0146】
<付記3>
前記作業状態は積荷状態あるいは空荷状態を含む、付記2に記載の作業状態推定システム。
【0147】
<付記4>
前記作業状態は排土状態を含む、付記2~3のいずれか1項に記載の作業状態推定システム。
【0148】
<付記5>
前記傾斜角度はロール角およびヨー角の少なくとも一方をさらに含む、付記1~4のいずれか1項に記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0149】
<付記6>
前記作業機械は、旋回体(3)を含み、
前記作業状態は旋回状態を含む、付記5に記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0150】
<付記7>
前記作業状態推定部は、前記作業状態として掘削状態および積荷状態を判定する掘削積荷判定部(160)を含み、
前記掘削積荷判定部は、前記傾斜角度と第1の閾値との比較に基づいて前記掘削状態を判定する、付記2~6のいずれか1項に記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0151】
<付記8>
前記掘削積荷判定部は、前記傾斜角度と第2の閾値との比較に基づいて前記積荷状態を判定する付記7記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0152】
<付記9>
前記掘削積荷判定部は、前記傾斜角度が所定期間前記第2の閾値以上の場合に前記積荷状態を判定する、付記8記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0153】
<付記10>
前記作業状態推定部は、前記作業状態として旋回を判定する旋回判定部(162)をさらに含み、
前記旋回判定部は、前記ピッチ角および前記ロール角あるいは前記ヨー角の変化に基づいて前記旋回を判定する付記6記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0154】
<付記11>
前記作業状態推定部は、前記作業状態として排土を判定する排土判定部(164)をさらに含み、
前記排土判定部は、前記傾斜角度と所定の閾値との比較に基づいて前記排土を判定する付記4記載の作業機械の作業状態推定システム。
【0155】
<付記12>
作業機械の傾斜角度を取得するステップ(S2)と、
前記傾斜角度の変化に基づいて前記作業機械の作業状態を推定するステップ(S4)とを備え、
前記傾斜角度は少なくともピッチ角を含む、作業機械の作業状態推定方法。
【0156】
以上、本開示の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0157】
1 車両本体、2 作業機、3 旋回体、4 運転室、4S 運転席、5 走行装置、5Cr 履帯、6 ブーム、7 アーム、8 バケット、9 エンジンルーム、10 ブームシリンダ、11 アームシリンダ、12 バケットシリンダ、13 ブームピン、14 アームピン、15 バケットピン、19 手すり、60 コントローラ、61 演算部、62 作業分類部、63 取得部、64 記憶部、65 出力部、70 傾斜角検出装置、100 作業機械、160 掘削積荷判定部、162 旋回判定部、164 排土判定部。