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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068562
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20240513BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240513BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240513BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H05K3/18 G
H05K3/46 S
H05K3/46 B
H05K1/09 C
H01L23/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179102
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恭平
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
5E343
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351BB01
4E351BB33
4E351CC03
4E351CC06
4E351CC07
4E351DD04
4E351GG20
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC05
5E316CC08
5E316CC32
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD33
5E316EE01
5E316FF07
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH32
5E343AA02
5E343AA12
5E343BB16
5E343BB17
5E343BB24
5E343BB52
5E343BB71
5E343DD25
5E343DD33
5E343DD43
5E343DD75
5E343FF16
5E343GG11
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板の製造方法は、パッドを有する導体層を形成することと、導体層上に第1樹脂絶縁層を形成することと、第1樹脂絶縁層上に第1導体層を形成することと、第1樹脂絶縁層と第1導体層上に第2樹脂絶縁層を形成することと、第2樹脂絶縁層上に第2導体層を形成すること、とを有する。第1導体層を形成することは、第1樹脂絶縁層の第1面上に無電解めっきによって第1シード層を形成することを含む。第2導体層を形成することは、第2樹脂絶縁層の第3面上にスパッタリングによって第2シード層を形成することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドを有する導体層を形成することと、
前記導体層上に第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する第1樹脂絶縁層を形成することと、
前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に第1導体層を形成することと、
前記第1樹脂絶縁層と前記第1導体層上に第3面と前記第3面と反対側の第4面とを有する第2樹脂絶縁層を形成することと、
前記第2樹脂絶縁層の前記第3面上に第2導体層を形成すること、とを有するプリント配線板の製造方法であって、
前記第1導体層を形成することは、前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に無電解めっきによって第1シード層を形成することと前記第1シード層上に第1めっきレジストを形成することと前記第1めっきレジストから露出する前記第1シード層上に第1電解めっき層を形成することと前記第1めっきレジストを除去することと前記第1電解めっき層から露出する前記第1シード層を除去すること、とを含み、
前記第2導体層を形成することは、前記第2樹脂絶縁層の前記第3面上にスパッタリングによって第2シード層を形成することと前記第2シード層上に第2めっきレジストを形成することと前記第2めっきレジストから露出する前記第2シード層上に第2電解めっき層を形成することと前記第2めっきレジストを除去することと前記第2電解めっき層から露出する前記第2シード層を除去すること、とを含む。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第1導体層は、前記第1シード層内(第1か所)、もしくは、前記第1シード層と前記第1電解めっき層の境界部分(第2か所)にボイドを有し、前記第2導体層は、前記第2シード層内と前記第2シード層と前記第2電解めっき層の境界部分にボイドを有さない。
【請求項3】
請求項2のプリント配線板の製造方法であって、前記ボイドは、前記第1か所と前記第2か所の両方に形成される。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、さらに、前記第1樹脂絶縁層を貫通し前記パッドに至る第1開口を形成することと、前記第1開口に前記パッドと前記第1導体層を接続する前記第1ビア導体を形成すること、とを含み、前記第1ビア導体は前記パッド上に形成されている前記第1シード層と前記第1電解めっき層で形成されており、前記ボイドは、前記第1シード層内(第1か所)、または、前記第1シード層と前記第1電解めっき層の境界部分(第2か所)、または、前記第1シード層と前記パッドの境界部分(第3か所)に存在し、前記第2導体層は、前記第2シード層内と前記第2シード層と前記第2電解めっき層の境界部分にボイドを有さない。
【請求項5】
請求項4のプリント配線板の製造方法であって、前記ボイドは、前記第2か所と前記第3か所の両方、または、前記第1か所と前記第2か所と前記第3か所の全てに形成される。
【請求項6】
請求項2のプリント配線板の製造方法であって、さらに、前記第1シード層を加熱することを有する。
【請求項7】
請求項4のプリント配線板の製造方法であって、さらに、前記第2樹脂絶縁層を貫通し前記第1導体層に至る第2開口を形成することと、前記第2開口に前記第1導体層と前記第2導体層を接続する前記第2ビア導体を形成すること、とを含み、前記第2ビア導体は前記第2開口により露出される前記第1導体層上に形成されている前記第2シード層と前記第2電解めっき層で形成されており、前記第2開口により露出される前記第1導体層と前記第2ビア導体の第2接続部分にボイドは存在しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、層間樹脂絶縁層にバイアホール形成用開孔を形成することと、バイアホール形成用開孔を有する層間絶縁層の表面にスパッタリングで合金層を形成すること、を含むプリント配線板の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-124602号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
スパッタリングは真空中で行われる。複数の導体層を含むプリント配線板が形成される場合、すべての導体層のシード層をスパッタリングで形成することは生産性に影響を与えると考えられる。生産コストが高くなると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板の製造方法は、パッドを有する導体層を形成することと、前記導体層上に第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する第1樹脂絶縁層を形成することと、前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に第1導体層を形成することと、前記第1樹脂絶縁層と前記第1導体層上に第3面と前記第3面と反対側の第4面とを有する第2樹脂絶縁層を形成することと、前記第2樹脂絶縁層の前記第3面上に第2導体層を形成すること、とを有する。前記第1導体層を形成することは、前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に無電解めっきによって第1シード層を形成することと前記第1シード層上に第1めっきレジストを形成することと前記第1めっきレジストから露出する前記第1シード層上に第1電解めっき層を形成することと前記第1めっきレジストを除去することと前記第1電解めっき層から露出する前記第1シード層を除去すること、とを含む。前記第2導体層を形成することは、前記第2樹脂絶縁層の前記第3面上にスパッタリングによって第2シード層を形成することと前記第2シード層上に第2めっきレジストを形成することと前記第2めっきレジストから露出する前記第2シード層上に第2電解めっき層を形成することと前記第2めっきレジストを除去することと前記第2電解めっき層から露出する前記第2シード層を除去すること、とを含む。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板の製造方法は、無電解めっきを用いて第1シード層を形成することと、スパッタリングを用いて第2シード層を形成することを含む。そのため、すべての導体層のシード層がスパッタリングで形成される方法と比べて生産負荷が小さい。プリント配線板の生産性が低下しがたい。生産コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2A】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図2B】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図5A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5H】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5I】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5J】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図5K】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5L】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図5M】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図2A図4は実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と導体層10とビルドアップ層500とを有する。導体層10は絶縁層4上に形成される。ビルドアップ層500は絶縁層4と導体層10上に形成される。
【0009】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4はコア基板であってもよい。
【0010】
導体層10は絶縁層4上に形成されている。導体層10はベタパターン12とパッド14を含む。図に示されていないが、導体層10はベタパターン12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。導体層10は主に銅によって形成される。導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aの厚みは0.5μm未満である。シード層10aは無電解めっきで形成される無電解めっき層である。改変例ではシード層10aはスパッタリングで形成されるスパッタ層であってもよい。シード層10aがスパッタ層である場合、シード層10aは、絶縁層4上の第1層と第1層上の第2層で形成されていてもよい。第1層は銅と特定卑金属を含む合金(銅合金)で形成されている。特定卑金属は銅以外の卑金属である。特定卑金属は例えばアルミニウムである。第2層は銅で形成されている。
【0011】
ビルドアップ層500は絶縁層4と導体層10上に形成されている。ビルドアップ層500は複数の樹脂絶縁層と複数の導体層を有する。樹脂絶縁層と導体層は交互に積層される。図1のビルドアップ層500では、樹脂絶縁層の数は5であり、導体層の数は5である。
【0012】
ビルドアップ層500内の樹脂絶縁層は第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320、第5樹脂絶縁層420を含む。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320、第5樹脂絶縁層420はそれぞれ第1開口26、第2開口126、第3開口226、第4開口326、第5開口426を有している。
【0013】
ビルドアップ層500内の導体層は第1導体層30と第2導体層130、第3導体層230、第4導体層330、第5導体層430を含む。
【0014】
第1樹脂絶縁層20は絶縁層4と導体層10上に形成されている。第1樹脂絶縁層20は第1面22(図中の上面)と第1面22と反対側の第2面24(図中の下面)を有する。第1樹脂絶縁層20の第2面24は導体層10と対向する。第1樹脂絶縁層20は導体層10を露出する第1開口26を有している。図1では、第1開口26はパッド14を露出している。第1開口26の底部の径は20μm以上50μm以下である。第1開口26の底部は導体層10を露出する。第1樹脂絶縁層20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は例えばシリカやアルミナである。無機粒子90の平均粒径は0.5μm以下である。第1樹脂絶縁層20中の無機粒子90の量は75wt%以上である。
【0015】
ビルドアップ層500はさらに各樹脂絶縁層20、120、220、320、420を貫通するビア導体を有する。第1樹脂絶縁層20を貫通するビア導体は第1ビア導体40である。第2樹脂絶縁層120を貫通するビア導体は第2ビア導体140である。第3樹脂絶縁層220を貫通するビア導体は第3ビア導体240である。第4樹脂絶縁層320を貫通するビア導体は第4ビア導体340である。第5樹脂絶縁層420を貫通するビア導体は第5ビア導体440である。第1ビア導体40は第1開口26内に形成されており、導体層10と第1導体層30を接続する。第2ビア導体140は第2開口126内に形成されており、第1導体層30と第2導体層130を接続する。第3ビア導体240は第3開口226内に形成されており、第2導体層130と第3導体層230を接続する。第4ビア導体340は第4開口326内に形成されており、第3導体層230と第4導体層330を接続する。第5ビア導体440は第5開口426内に形成されており、第4導体層330と第5導体層430を接続する。第2ビア導体140と第3ビア導体240、第4ビア導体340、第5ビア導体440は第1ビア導体40の直上に積層されている。第1ビア導体40と第2ビア導体140、第3ビア導体240、第4ビア導体340、第5ビア導体440はスタックビアを形成する。
【0016】
第1導体層30は第1樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第1導体層30はベタパターン32とランド34を含む。図に示されていないが、第1導体層30はベタパターン32とランド34以外の導体回路も含んでいる。ベタパターン32は電源回路又はグランド回路である。ベタパターン32は第1幅W1を有する。ベタパターン32は第1導体層中の最小の幅を有する。
【0017】
第1導体層30は主に銅によって形成される。第1導体層30は、第1面22上のシード層(例えば、無電解銅めっき層)30aとシード層30a上の電解めっき層(例えば、電解銅めっき層)30bで形成されている。シード層30aは無電解めっきによって形成される無電解めっき層である。第1導体層を形成するシード層30aを第1シード層と称することができる。第1導体層を形成する電解めっき層30bを第1電解めっき層と称することができる。
【0018】
図1図2Aに示されるように、第1ビア導体40は第1開口26内に形成されている。第1ビア導体40は導体層10と第1導体層30を接続する。第1ビア導体40はパッド14とランド34を接続する。第1ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。第1ビア導体40を形成するシード層30aと第1導体層30を形成するシード層30aは共通である。第1ビア導体40を形成する電解めっき層30bと第1導体層30を形成する電解めっき層30bは共通である。
【0019】
図2A図2Bに示されるように、第1導体層30と第1ビア導体40はボイドBを有している。ボイドBは、シード層30a内(第1か所)とシード層30aと電解めっき層30bの境界部分(第2か所)と導体層10と第1ビア導体40の接続部分(第3か所)の少なくとも1か所に存在する。第2か所は、電解めっき層30bと接するシード層30a(図2A)と電解めっき層30b(図2A)との間の界面とシード層30aと接する電解めっき層30b(図2B)とシード層30a(図2B)との間の界面を含む。第3か所はシード層30aと導体層10の境界部分を含む。第3か所は、導体層10と接するシード層30a(図2A)と導体層10(図2A)との間の界面とシード層30aと接する導体層10(図2B)とシード30a(図2B)との間の界面を含む。第1か所にボイドBが存在する。この場合、第2か所と第3か所にボイドBは存在しないことが好ましい。あるいは、第2か所にボイドBが存在する。この場合、第1か所と第3か所にボイドBは存在しないことが好ましい。あるいは、第3か所にボイドBが存在する。この場合、第1か所と第2か所にボイドBは存在しないことが好ましい。あるいは、第1か所と第2か所にボイドBが存在する。この場合、第3か所にボイドBは存在しないことが好ましい。あるいは、第1か所と第3か所にボイドBが存在する。この場合、第2か所にボイドBは存在しないことが好ましい。あるいは、第2か所と第3か所にボイドBが存在する。この場合、第1か所にボイドBは存在しないことが好ましい。あるいは、第1か所と第2か所と第3か所にボイドBが存在する。
【0020】
図1に示されるように、第2樹脂絶縁層120は第1樹脂絶縁層20の第1面22と第1導体層30上に形成されている。第2樹脂絶縁層120は第3面122(図中の上面)と第3面122と反対側の第4面124(図中の下面)を有する。第2樹脂絶縁層120の第4面124は第1導体層30と対向する。第2樹脂絶縁層120は第1導体層30を露出する第2開口126を有している。図1では、第2開口126はランド34を露出している。第2開口126の底部の径は20μm以上50μm以下である。第2開口126の底部はランド34を露出する。第2樹脂絶縁層120は樹脂80と多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80と無機粒子90は第1樹脂絶縁層20内のものと同様である。
【0021】
図1図3に示されるように、第2樹脂絶縁層120内の無機粒子90は、樹脂80に部分的に埋まっている第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第1無機粒子91と第2無機粒子92の形は球である。図3に示されるように、第1無機粒子91は、樹脂80から突出する第1部分91aと樹脂80に埋まっている第2部分91bで形成されている。第2樹脂絶縁層120の第3面122は樹脂80の上面と樹脂80の上面から露出する第1部分91aの露出面で形成されている。
【0022】
第1部分91aの体積と第1無機粒子91の体積との比R(第1部分の体積/第1粒子の体積)は0より大きく0.4以下である。比Rは0.2以下であることが好ましい。比Rは0.1以下であることがより好ましい。比Rは0.05以下であることが最も好ましい。樹脂80から第1部分91aが突出すると第2樹脂絶縁層120の第3面122が僅かな凹凸を有する。しかし樹脂80の上面は荒らされていない。そのため第3面122は凹部をほぼ有していない。第3面122の算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。第3面122の粗さ(Ra)は0.05μm以下であることが好ましい。第3面122の粗さ(Ra)は0.03μm以下であることがより好ましい。
【0023】
図1図4に示されるように、第2樹脂絶縁層120内の無機粒子90は、第2開口126の内壁面127を形成する第3無機粒子93をさらに含む。第3無機粒子93の形状は球を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。第3無機粒子93は平坦部93aを有する。平坦部93aは内壁面127を形成する。内壁面127は樹脂80と平坦部93aで形成されている。平坦部93aと内壁面127を形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。内壁面127を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面127を形成する樹脂80の面はほぼ平滑である。平坦部93aの露出面(内壁面127を形成する面)上に凹凸が形成されない。平坦部93aの露出面は平滑である。内壁面127は平滑に形成される。内壁面127の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0024】
図1に示されるように、第2導体層130は第2樹脂絶縁層120の第3面122上に形成されている。第2導体層130は第1信号配線132と第2信号配線134とランド136を含む。図に示されていないが、第2導体層130は第1信号配線132と第2信号配線134とランド136以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線132と第2信号配線134はペア配線を形成している。第1信号配線132と第2信号配線134は第2導体層130中の最小の幅を有する。第1信号配線132と第2信号配線134は第2幅W2を有する。第2幅W2は第1幅W1(図1参照)より小さい。第1幅W1は第2幅W2より大きい。
【0025】
第2導体層130は主に銅によって形成される。第2導体層130は、第3面122上のシード層130aとシード層130a上の電解めっき層130bで形成されている。シード層130aはスパッタ層である。シード層130aは第3面122上の第1層131aと第1層131a上の第2層131bで形成されている。シード層130aの厚みは0.5μm未満である。第1層131aは銅と特定卑金属を含む合金(銅合金)で形成されている。特定卑金属は銅以外の卑金属である。特定卑金属は例えばアルミニウムである。第2層131bは銅で形成されている。電解めっき層130bは銅で形成されている。第1層131aは第3面122に接している。第2導体層130を形成するシード層130aを第2シード層と称することができる。第2導体層130を形成する電解めっき層130bを第2電解めっき層と称することができる。
【0026】
第1層131aを形成している銅合金中の銅の含有率は90at%より大きい。第1層131aの銅合金中の銅の含有率は99at%未満である。銅合金中の銅の含有率は98at%以下である。第2層131bを形成している銅の含有率は99.9at%以上である。第2層131b中の銅の含有率は99.95at%以上であることが好ましい。
【0027】
スパッタリングで形成されるシード層130aと電解めっきで形成される電解めっき層130bとの境界部分にボイドは存在しない。スパッタリングで形成されるシード層130a内にボイドは存在しない。スパッタリングで形成される第1層131aとスパッタリングで形成される第2層131bの境界部分にボイドは存在しない。
【0028】
第2ビア導体140は第2開口126内に形成されている。第2ビア導体140は第1導体層30と第2導体層130を接続する。第2ビア導体140はランド34とランド136を接続する。第2ビア導体140はシード層130aとシード層130a上の電解めっき層130bで形成されている。第2ビア導体140を形成するシード層130aと第2導体層130を形成するシード層130aは共通である。第2ビア導体140を形成する電解めっき層130bと第2導体層130を形成する電解めっき層130bは共通である。第1層131aは内壁面127に接している。第2導体層130と第2ビア導体140を形成するシード層130aはボイドを含まない。第2開口126により露出される第1導体層30(例えば、ランド34)と第2ビア導体140の第2接続部分にボイドは存在しない。第2接続部分は、第2開口126により露出される第1導体層30上のシード層130a内と、第2開口126により露出される第1導体層30とその第1導体層30上のシード層130aの境界部分と、第2開口126により露出される第1導体層30上のシード層130aとそのシード層130a上の電解めっき層130bの境界部分を含む。導体層(例えば、第1導体層30)とその導体層上にスパッタリングで形成されているシード層(例えば、シード層130a)の境界部分にボイドは存在しない。パッド(例えば、導体層内のビア導体用の開口の底部により露出されている部分)とそのパッド上にスパッタリングで形成されているシード層との境界部分にボイドは存在しない。パッドとパッド上に形成されているスパッタリングで形成されるシード層は接している。パッド上にスパッタリングで形成されているシード層はビア導体を形成している。
【0029】
第3樹脂絶縁層220は第2樹脂絶縁層120の第3面122と第2導体層130上に形成されている。第3樹脂絶縁層220は第5面222(図中の上面)と第5面222と反対側の第6面224(図中の下面)を有する。第3樹脂絶縁層220の第6面224は第2導体層130と対向する。第3樹脂絶縁層220は第2導体層130を露出する第3開口226を有している。図1では、第3開口226はランド136を露出している。第3開口226の底部の径は20μm以上50μm以下である。第3開口226の底部はランド136を露出する。第3樹脂絶縁層220は樹脂80と多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80と無機粒子90は第1樹脂絶縁層20内のものと同様である。
【0030】
第3導体層230は第3樹脂絶縁層220の第5面222上に形成されている。第3導体層230はベタパターン232とランド234を含む。図に示されていないが、第3導体層230はベタパターン232とランド234以外の導体回路も含んでいる。ベタパターン232は電源回路又はグランド回路である。第3導体層230を形成するシード層230aを第3シード層と称することができる。第3導体層230を形成する電解めっき層230bを第3電解めっき層と称することができる。
【0031】
第3導体層230は主に銅によって形成される。第3導体層230は、第5面222上のシード層230aとシード層230a上の電解めっき層230bで形成されている。シード層230aは無電解めっき層である。シード層230aは第1導体層30のシード層30aと同様である。
【0032】
第3ビア導体240は第3開口226内に形成されている。第3ビア導体240は第2導体層130と第3導体層230を接続する。第3ビア導体240はランド136とランド234を接続する。第3ビア導体240はシード層230aとシード層230a上の電解めっき層230bで形成されている。第3ビア導体240を形成するシード層230aと第3導体層230を形成するシード層230aは共通である。第3ビア導体240を形成する電解めっき層230bと第3導体層230を形成する電解めっき層230bは共通である。
【0033】
第3導体層230は第1導体層30と同様にボイドを有する。第3ビア導体240は第1ビア導体40と同様にボイドを有する。ボイドは図に示されていない。ボイドは図2A図2Bに示されているボイドBと同じである。
【0034】
第4樹脂絶縁層320は第3樹脂絶縁層220の第5面222と第3導体層230上に形成されている。第4樹脂絶縁層320は第7面322(図中の上面)と第8面324(図中の下面)を有する。第8面324は第3導体層230と対向する。第4樹脂絶縁層320は第3導体層230を露出する第4開口326を有している。第4開口326の底部はランド234を露出する。第4開口326の底部の径は20μm以上50μm以下である。第4開口326の底部はランド234を露出する。第4樹脂絶縁層320は樹脂80と多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80と無機粒子90は第2樹脂絶縁層120内のものと同様である。
【0035】
第4樹脂絶縁層320内の無機粒子90は、第2樹脂絶縁層120と同様に、樹脂80に部分的に埋まっている第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第1無機粒子91と第2無機粒子92は図3の第1無機粒子91と第2無機粒子92と同じである。第4樹脂絶縁層320の第7面322は樹脂80の上面と樹脂80の上面から露出する第1部分91a(図3参照)の露出面で形成されている。
【0036】
第4樹脂絶縁層320内の無機粒子90は、第2樹脂絶縁層120と同様に、第4開口326の内壁面327を形成する第3無機粒子93をさらに含む。第3無機粒子93は図4の第3無機粒子93と同じである。第3無機粒子93は平坦部93aを有する。平坦部93aは内壁面327を形成する。内壁面327は樹脂80と平坦部93aで形成されている。平坦部93aと内壁面327を形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。内壁面327を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面327を形成する樹脂80の面はほぼ平滑である。平坦部93aの露出面(内壁面327を形成する面)上に凹凸が形成されない。平坦部93aの露出面は平滑である。内壁面327は平滑に形成される。内壁面327の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0037】
第4導体層330は第4樹脂絶縁層320の第7面322上に形成されている。第4導体層330は第3信号配線332と第4信号配線334とランド336を含む。図に示されていないが、第4導体層330は第3信号配線332と第4信号配線334とランド336以外の導体回路も含んでいる。第3信号配線332と第4信号配線334はペア配線を形成している。
【0038】
第4導体層330は主に銅によって形成される。第4導体層330は、第7面322上のシード層330aとシード層330a上の電解めっき層330bで形成されている。シード層330aはスパッタ層である。シード層330aは第7面322上の第1層331aと第1層331a上の第2層331bで形成されている。第1層331aは第7面322に接している。シード層330aは第2導体層130のシード層130aと同様である。
【0039】
第4ビア導体340は第4開口326内に形成されている。第4ビア導体340は第3導体層230と第4導体層330を接続する。第4ビア導体340はランド234とランド336を接続する。第4ビア導体340はシード層330aとシード層330a上の電解めっき層330bで形成されている。第4ビア導体340を形成するシード層330aと第4導体層330を形成するシード層330aは共通である。第4ビア導体340を形成する電解めっき層330bと第4導体層330を形成する電解めっき層330bは共通である。第1層331aは内壁面327に接している。第4導体層330と第4ビア導体340のシード層330aはボイドを有していない。
【0040】
第5樹脂絶縁層420は第4樹脂絶縁層320の第7面322と第4導体層330上に形成されている。第5樹脂絶縁層420は第9面422(図中の上面)と第9面422と反対側の第10面424(図中の下面)を有する。第5樹脂絶縁層420の第10面424は第4導体層330と対向する。第5樹脂絶縁層420は第4導体層330を露出する第5開口426を有している。第5開口426の底部はランド336を露出している。第5開口426の底部の径は20μm以上50μm以下である。第5開口426の底部はランド336を露出する。第5樹脂絶縁層420は樹脂80と多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80と無機粒子90は第1樹脂絶縁層20内のものと同様である。
【0041】
第5導体層430は第5樹脂絶縁層420の第9面422上に形成されている。第5導体層430はベタパターン432とランド434を含む。図に示されていないが、第5導体層430はベタパターン432とランド434以外の導体回路も含んでいる。ベタパターン432は電源回路又はグランド回路である。
【0042】
第5導体層430は主に銅によって形成される。第5導体層430は、第9面422上のシード層430aとシード層430a上の電解めっき層430bで形成されている。シード層430aは無電解めっき層である。シード層430aは第1導体層30のシード層30aと同様である。
【0043】
図に示されないが、プリント配線板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。
【0044】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図5A図5Mは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図5A図5I図5K図5Mは断面図である。図5J図5Lは拡大断面図である。図5Aは絶縁層4と絶縁層4上に形成されている導体層10を示す。導体層10はセミアディティブ法によって形成される。シード層10aは無電解めっきで形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。改変例ではシード層10aはスパッタリングで形成される。
【0045】
図5Bに示されるように、絶縁層4と導体層10上に第1樹脂絶縁層20が形成される。第1樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の上面と対向している。第1樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90(第2無機粒子92)を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。
【0046】
図5Cに示されるように、第1面22の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは第1樹脂絶縁層20を貫通する。パッド14に至る第1ビア導体40用の第1開口26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。第1開口26によりパッド14が露出される。第1樹脂絶縁層20にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部が第1開口26の内壁面27に露出する。内壁面27を平滑にするための処理は行われない。内壁面27は凹凸を有する。第1樹脂絶縁層20は第3無機粒子93を有していない。
【0047】
第1開口26内が洗浄される。第1開口26内を洗浄することにより第1開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。第1開口26内の洗浄は過マンガン酸カリウムによって行われる。即ち洗浄はウェットプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。
【0048】
図5Dに示されるように、第1樹脂絶縁層20の第1面22上、および、第1開口26から露出する内壁面27とパッド14上にシード層30aが形成される。シード層30aは無電解めっきによって形成される。シード層30aの形成はウェットプロセスで行われる。ガスの発生を伴う無電解めっきでシード層30aが形成されるとき、そのガスが実施形態のプリント配線板2内に取り込まれやすい。シード層30aの例はガスの発生を伴う無電解めっきで形成される無電解めっき層である。例えば、ガスは第1か所と第2か所と第3か所の少なくとも1か所に取り込まれる。ガスが実施形態のプリント配線板2内に取り込まれると、そのガスはボイドの要因であると考えられる。ガスの例は水素ガスである。例えば、シード層30aはロッシェル塩を錯化材として用いるロッシェル塩浴によって形成される。ガスは無電解めっき層(例えば、無電解銅めっき層)で形成されるシード層を脆くすると考えられる。もしくは、ガスは無電解めっき層で形成されるシード層を含む導体層を脆くすると考えられる。無電解めっき層が凹凸を有する内壁面27上に形成される。無電解めっき層が第3無機粒子93を有していない内壁面27上に形成される。
【0049】
シード層30aの形成後、途中基板に熱が加えられる。途中基板が加熱処理(アニーリング)を受ける。実施形態の加熱処理の条件の例が次に示される。加熱温度Tは120℃であり、加熱時間は2時間である。この加熱条件で途中基板が加熱されると、途中基板内に取り込まれているガスを途中基板から完全に除去することは難しい。シード層30aの形成直後に加熱処理を行う必要はない。ガスが完全に除去されないと、シード層30a内(第1か所)とシード層30aの上面(第2か所)とシード層30aの下面(第3か所)の少なくとも1か所にボイドが形成される。第2か所はシード層30aと電解めっき層30bの境界部分を含む。第3か所はシード層30aとパッド14の接続部分を含む。
【0050】
[参考例の加熱条件]
参考例の加熱条件は次に示される。Tは加熱温度(℃)であり、tは加熱時間(時間)である。参考例の加熱条件は以下の2式(式1、式2)を両方とも満足する。
式1:7×10 < T×t <18×10
式2:60℃ ≦ T ≦ 180℃
例えば加熱温度Tは100℃であり、加熱時間tは10時間である。プリント配線板が参考例の加熱条件を受けると、第1か所と第2か所と第3か所にボイドが観察されない。プリント配線板が参考例の加熱条件を受けると、そのようなプリント配線板は参考例のプリント配線板である。
【0051】
図5Eに示されるように、シード層30a上にめっきレジスト60が形成される。めっきレジスト60は、ベタパターン32とランド34(図1)を形成するための開口を有する。
【0052】
図5Fに示されるように、めっきレジスト60から露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。その場合、電解めっき層30bは電解銅めっき層である。電解めっき層30bは第1開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、ベタパターン32とランド34が形成される。第1導体層30が形成される。第1開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1ビア導体40が形成される。第1ビア導体40は、パッド14とランド34を接続する。
【0053】
実施形態のプリント配線板2は第1か所と第2か所と第3か所のいずれかにボイドBを有する。それに対し、参考例のプリント配線板は第1か所と第2か所と第3か所のいずれにもボイドBを有していない。導体層内にボイドBが存在すると、導体層の抵抗は高い。あるいは、導体層の強度が低い。導体層内にボイドBがあると、ボイドBから導体層にクラックが発生すると考えられる。ボイドBが境界部分(例えば、無電解めっき層と電解めっき層の境界)に存在すると、境界部分から剥がれが発生すると考えられる。例えば、電解めっき層が無電解めっき層から剥がれる。あるいは、ビア導体がパッドから剥がれる。従って、参考例のプリント配線板が市場で使われていると推測される。
【0054】
めっきレジスト60が除去される。図5Gに示されるように、電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。シード層30aはウェットエッチングによって除去される。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は過酸化水素水と硫酸を含む水溶液である。第1導体層30と第1ビア導体40は同時に形成される。
【0055】
図5Hに示されるように、第1樹脂絶縁層20の第1面22と第1導体層30上に第2樹脂絶縁層120と保護膜150が形成される。第2樹脂絶縁層120の第4面124が第1樹脂絶縁層20の第1面22と対向している。第2樹脂絶縁層120の第3面122上に保護膜150が形成されている。第2樹脂絶縁層120は樹脂80と無機粒子90(第2無機粒子92)を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。
【0056】
保護膜150は第2樹脂絶縁層120の第3面122を完全に覆っている。保護膜150の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜150と第2樹脂絶縁層120との間に離型剤が形成されている。
【0057】
図5Iに示されるように、保護膜150の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜150と第2樹脂絶縁層120を同時に貫通する。第1導体層30のランド34に至る第2ビア導体140用の第2開口126が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光とCO2レーザ光である。第2開口126によりランド34が露出される。第2開口126が形成される時、第3面122は保護膜150で覆われている。そのため、第2開口126が形成される時、樹脂が飛散しても、第3面122に樹脂が付着することが抑制される。
【0058】
図5Jは、レーザ光照射後の第2開口126の内壁面127bを示す。内壁面127bは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面127bは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第3無機粒子93が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面127bを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面127bをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の内壁面127bを処理することで、平坦部93a(図4参照)を有する第3無機粒子93が得られる。レーザ光照射後の内壁面127bを処理するための条件を制御することで、内壁面の形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0059】
第2樹脂絶縁層120にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面127bを形成する。レーザ光照射後の内壁面127bを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。レーザ光照射後の内壁面127bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面127bが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の内壁面127(図1図4)が形成される。第2無機粒子92から第3無機粒子93が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が形成される。平坦部93aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第3無機粒子93の形状が得られる。内壁面127は平坦部93aと樹脂80の面80aで形成される。平坦部93aの露出面93bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタリングで図5Jに示される内壁面127b上にシード層130aが形成されると、突出部分Pはスパッタ膜の成長を阻害する。例えば、内壁面127b上に連続しているシード層130aが形成されない。あるいは、シード層130aの厚みを大きくしなければならない。微細な導体回路を形成することができない。実施形態では、突出部分Pが除去される。スパッタリングで形成されるシード層130aの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層130aの厚みが薄くても、連続しているシード層130aが得られる。シード層130aの厚みは0.05μm以上、0.5μm未満である。
【0060】
内壁面127上に凹凸が形成されない。内壁面127は平滑に形成される。レーザ光照射後の内壁面127bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさが制御される。
【0061】
第2開口126内が洗浄される。第2開口126内を洗浄することにより第2開口126形成時に発生する樹脂残渣が除去される。第2開口126内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。第2樹脂絶縁層120の第3面122は保護膜150で覆われているためプラズマの影響を受けない。この時点で第2樹脂絶縁層120の第3面122には凹凸が形成されない。第3面122に無機粒子90が露出しない。第3面122は荒らされていない。
【0062】
レーザ光照射後の内壁面127bを処理することが第2開口126内を洗浄することを含む場合、第2開口126内を洗浄することを削除することができる。
【0063】
図5Kに示されるように、第2開口126内を洗浄することの後に、第2樹脂絶縁層120から保護膜150が除去される。レーザ光照射後の内壁面127bを処理することが第2開口126内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の内壁面127bを処理することの後に、第2樹脂絶縁層120から保護膜150が除去される。レーザ光照射後の内壁面127bが処理される時、保護膜150は第2樹脂絶縁層120の第3面122を覆っている。
【0064】
保護膜150の除去後、第2樹脂絶縁層120の第3面122がクリーニングされる。第3面122がドライエッチングされる。ドライエッチングはアルゴンガスを用いるスパッタリング(アルゴンスパッタリング)によって行われる。図5L(a)(b)はドライエッチング前後の第2樹脂絶縁層120の第3面122を模式的に示す。図5L(a)(b)に示されるように、ドライエッチングによって第2樹脂絶縁層120を形成する樹脂80が20nm程度除去される。例えば、保護膜150を第2樹脂絶縁層120に接着するための接着材が除去される。ドライエッチングによって、樹脂80が選択的に除去される。樹脂80の厚みが薄くなる。無機粒子90(第2無機粒子92)の一部は、ドライエッチングによって部分的に樹脂80の上面から露出する。樹脂80に埋まっている第2無機粒子92を樹脂80の上面から露出することで、第1無機粒子91が得られる。第1無機粒子91は第2無機粒子92から形成される。第1無機粒子91の形と第2無機粒子92の形は同じである。両者の形は球である。図5L(b)に示されるように、第1無機粒子91は、樹脂80から突出する第1部分91aと樹脂80に埋まっている第2部分91bで形成されている。第2樹脂絶縁層120の第3面122は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから突出している第1部分91aの露出面91aRで形成されている。ドライエッチングによって第1部分91aの露出面91aRが露出する。第2樹脂絶縁層120の第3面122は荒らされていない。そのため第3面122には凹部がほぼ形成されない。
【0065】
比Rは、例えば、図5L(b)に示される第1無機粒子91の断面図を用いて算出される。図5L(b)は上面80Rに垂直な面で第2樹脂絶縁層120を切断することで得られる。図5L(b)には、第2導体層130が省略されている。図5L(b)中の第1無機粒子91上に第2導体層130が形成されている。図5L(b)中の露出面91aRは第2導体層130で覆われている。図5L(b)を用いて、第1部分91aの断面積91aSが求められる。同様に、第1無機粒子91の断面積91Sが求められる。例えば、比Rは断面積91aSと断面積91Sの比(第1部分91aの断面積91aS/第1無機粒子91の断面積91S)で代表される。例えば、比Rが評価される時、50個の第1無機粒子91が観察される。50個の第1無機粒子91が比Rを満足する。
【0066】
図5Mに示されるように、第2樹脂絶縁層120の第3面122上にシード層130aが形成される。シード層130aはスパッタリングによって形成される。シード層130aの形成はドライプロセスで行われる。第1層131aが第3面122上にスパッタリングで形成される。同時に、第2開口126から露出する内壁面127とランド34上に第1層131aがスパッタリングで形成される。第3面122上には凹部がほとんど形成されていない。そのため、第3面122上の第1層131aはほぼ平坦に形成される。その後、第1層131a上に第2層131bがスパッタリングで形成される。第2層131bはほぼ平坦に形成される。第1層131aと第2層131bは真空中で形成される。シード層130aは第2開口126から露出するランド34の上面と第2開口126の内壁面127にも形成される。第1層131aは銅と特定卑金属(アルミニウム)を含む合金で形成される。第2層131bは銅で形成される。スパッタリングで形成されるシード層をスパッタ層と称することができる。スパッタ層が平坦部93aを含む内壁面127上に形成される。第3無機粒子93を含む内壁面127上にスパッタ層が形成される。
【0067】
第3面122は凹部を有していない。内壁面127は平滑に形成されている。そのためスパッタ層(第1層131a、第2層131b)の厚みが薄くても連続するシード層130aを形成することができる。その結果、微細な配線を形成することができる。
【0068】
シード層130a上にめっきレジストが形成される。めっきレジストは、第1信号配線132と第2信号配線134とランド136(図1)を形成するための開口を有する。第3面122が凹部を有すると、その凹部に起因する空気がめっきレジストとシード層130a間に閉じ込められやすい。しかしながら、実施形態では、第3面122は凹部をほとんど有していない。そのため、第3面122上のシード層130aはほぼ平坦に形成される。シード層130aがほぼ凹部を有さない。めっきレジストとシード層130aの間に空気が残りがたい。めっきレジストとシード層130a間の接触面積が大きい。第1信号配線132と第2信号配線134間の空間を形成するためのめっきレジストの幅が10μm以下であっても、めっきレジストがシード層130aの上面から剥がれがたい。実施形態によれば、めっきレジストの幅が3μm以上、8μm以下であっても、めっきレジストをシード層130a上に形成することができる。めっきレジストの幅が6μm以下であっても、めっきレジストがシード層130aから剥がれ難い。
【0069】
めっきレジストから露出するシード層130a上に電解めっき層130bが形成される。電解めっき層130bは銅で形成される。電解めっき層130bは第2開口126を充填する。第3面122上のシード層130aと電解めっき層130bによって、第1信号配線132と第2信号配線134とランド136が形成される。第2導体層130が形成される。第2開口126内のシード層130aと電解めっき層130bによって、第2ビア導体140が形成される。第2ビア導体140は、ランド34とランド136を接続する。第1信号配線132と第2信号配線134はペア配線を形成する。
【0070】
めっきレジストが除去される。電解めっき層130bから露出するシード層130aが除去される。シード層130aはウェットエッチングによって除去される。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は過酸化水素水と硫酸を含む水溶液である。ウェットエッチングにより第1層131aと第2層131bは同時に除去される。第2導体層130と第2ビア導体140は同時に形成される。
【0071】
第3樹脂絶縁層220と第3導体層230と第3ビア導体240が形成される。第3樹脂絶縁層220と第3導体層230と第3ビア導体240の形成手法は、第1樹脂絶縁層20と第1導体層30と第1ビア導体40の形成手法と同様である。
【0072】
第4樹脂絶縁層320と第4導体層330と第4ビア導体340が形成される。第4樹脂絶縁層320と第4導体層330と第4ビア導体340の形成手法は、第2樹脂絶縁層120と第2導体層130と第2ビア導体140の形成手法と同様である。
【0073】
第5樹脂絶縁層420と第5導体層430と第5ビア導体440が形成される。第5樹脂絶縁層420と第5導体層430と第5ビア導体440の形成手法は、第1樹脂絶縁層20と第1導体層30と第1ビア導体40の形成手法と同様である。実施形態のプリント配線板2(図1)が得られる。
【0074】
実施形態のプリント配線板2は、無電解めっきを用いて形成されるシード層30aを含む導体層(例えば、第1導体層30)とスパッタリングを用いて形成されるシード層130aを含む導体層(例えば、第2導体層130)を有する。実施形態は、すべての導体層のシード層がスパッタリングで形成されない。そのため、生産工程がスパッタリングを含んでいても、生産性を高くすることができる。生産コストを抑制することができる。
【0075】
図2A図2Bに示されるように、無電解めっき層(例えば、無電解銅めっき層)で形成されるシード層を含む導体層(例えば、第1導体層30)はシード層30a内(第1か所)とシード層30aと電解めっき層30bの境界部分(第2か所)の少なくとも1か所にボイドを有する。無電解めっき層(例えば、無電解銅めっき層)で形成されるシード層を含むビア導体(例えば、第1ビア導体40)とパッドの接続部分は、シード層30a内(第1か所)とシード層30aと電解めっき層30bの境界部分(第2か所)とパッド14とビア導体(例えば、第1ビア導体40)の境界部分(第3か所)の少なくとも1か所にボイドを有する。第3か所はビア導体を形成する無電解めっき層とパッドの境界部分を含む。無電解めっきを用いるシード層(例えば、シード層30a)の形成の後の加熱処理の加熱条件を調整することによって、第1か所と第2か所と第3か所の少なくとも1か所にボイドBが形成される。一方、スパッタリングで形成されるシード層(例えば、シード層130a)を含む導体層(例えば、第2導体層130)はシード層130a内(第1か所)とシード層130aと電解めっき層130bの境界部分(第2か所)にボイドは存在しない。ビア導体(例えば、第2ビア導体140)とパッドの境界部分(第3か所)にボイドは存在しない。第3か所はビア導体を形成するスパッタ層とパッドの境界部分を含む。
【0076】
無電解めっきの原理とスパッタリングの原理は異なる。そのため、無電解めっき層と無電解めっき層上の電解めっき層間の密着力(前者)とスパッタ層とスパッタ層上の電解めっき層間の密着力(後者)を同じにすることは難しい。パッドとパッド上の無電解めっき層間の密着力(前者)とパッドとパッド上のスパッタ層間の密着力(後者)を同じにすることは難しい。プリント配線板が使用される時、プリント配線板はストレスを何度も受ける。後者が前者より低いと、ストレスはスパッタ層と電解めっき層間の境界部分に集中しやすい。または、ストレスはパッドとスパッタ層間の境界部分に集中しやすい。そのため、ストレスにより、次のような不具合が発生しやすい。例えば、スパッタ層と電解めっき層間で剥がれが発生する。あるいは、パッドとスパッタ層間で剥がれが発生する。あるいは、パッドとスパッタ層を含むビア導体間の接続抵抗が高くなる。
【0077】
無電解めっき層は液中で形成される。そのため、めっきされる面が凹凸を有しても、無電解めっき層はその凹凸に追従しやすい。また、めっきされる面が大きな凹を有しても、無電解めっき層はその大きな凹内に形成されやすい。それに対し、スパッタ粒子は真っすぐ進みやすい。そのため、スパッタされる面が凹凸を有していると、スパッタ層の厚みのバラツキが大きいと考えられる。また、スパッタされる面が大きな凹を有しても、スパッタ層はその大きな凹の壁や底に成長しがたい。スパッタされる面上にスパッタ層が形成される。従って、前者は後者より大きくなりやすい。しかしながら、実施形態では、無電解めっきで形成されるシード層(例えば、シード層30a)を含む導体層とビア導体は第1か所と第2か所と第3か所の少なくとも1か所にボイドBを有する。そのため、前者は低下しやすい。それに対し、スパッタリングで形成されるシード層(例えば、シード層130a)を含む導体層とビア導体は第1か所と第2か所と第3か所のいずれにもボイドBを有していない。そのため、後者は低下しがたい。実施形態のプリント配線板2では、前者と後者がほぼ等しい。そのため、ほぼ同等なストレスが第1境界部分(無電解めっき層と電解めっき層間の境界部分)と第3境界部分(スパッタ層と電解めっき層間の境界部分)に働く。ほぼ同等なストレスが第2境界部分(パッドと無電解めっき層間の境界部分)と第4境界部分(パッドとスパッタ層間の境界部分)に働く。ほぼ同等なストレスが第1境界部分と第2境界部分と第3境界部分と第4境界部分に働く。実施形態のプリント配線板2が何度もストレスを受けても、シード層と電解めっき層間で剥がれが発生し難い。パッドとビア導体間で剥がれがたい。パッドとビア導体間の接続抵抗が長期間安定である。高い接続信頼性を有するプリント配線板2が提供される。
【0078】
[実施形態の別例1]
別例1では、第1導体層30と第1ビア導体40は、シード層30a内(第1か所)と、シード層30aと電解めっき層30bの境界部分(第2か所)と、パッド14と第1ビア導体40の接続部分(第3か所)のうち、いずれか1か所または2か所にボイドを有している。同様に、第3導体層230と第3ビア導体240は、シード層230a内(第1か所)と、シード層230aと電解めっき層230bの境界部分(第2か所)と、ランド136と第3ビア導体240の接続部分(第3か所)のうち、いずれか1か所または2か所にボイドを有している。
【0079】
[実施形態の別例2]
実施形態のプリント配線板2では、無電解めっきを用いて形成されるシード層を含む導体層(第1導体層30、第3導体層230、第5導体層430)とスパッタリングを用いて形成されるシード層を含む導体層(第2導体層130、第4導体層330)が交互に設けられている。別例2のプリント配線板2では無電解めっきを用いて形成されるシード層を含む導体層とスパッタリングを用いて形成されるシード層を含む導体層が自由に積層される。両者を任意の順で積層することができる。例えば、スパッタリングを用いて形成されるシード層130aを含む第2導体層130の上に、無電解めっきを用いて形成されるシード層30aを含む第1導体層30が設けられてもよい。最上の導体層はスパッタリングを用いて形成されるシード層を含むことが好ましい。最上の導体層は開口を有するソルダーレジスト層で覆われる。ソルダーレジスト層の開口により露出される最上の導体層上に電子部品を搭載するためのバンプが形成される。バンプは半田で形成される。あるいは、バンプはめっきで形成される。
【0080】
実施形態と各別例のプリント配線板2は複数の導体回路を含む。ビア導体用の開口は導体回路の一部(第1部分)に至る。第1部分はビア導体用の開口の底部により露出される。第1部分をパッドと称することができる。ビア導体用の開口がランドに至っていると、ランドの一部をパッドと称することができる。ランドの一部はビア導体用の開口の底部により露出されている。
【0081】
導体層とビア導体がボイドBを有するとき、ボイドBの存在箇所は第1か所と第2か所と第3か所の少なくとも一つである。
【符号の説明】
【0082】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :導体層
14 :パッド
20 :第1樹脂絶縁層
26 :第1開口
27 :内壁面
30 :第1導体層
30a :シード層
30b :電解めっき層
40 :第1ビア導体
90 :無機粒子
91 :第1無機粒子
91a :第1部分
91b :第2部分
92 :第2無機粒子
93 :第3無機粒子
93a :平坦部
93b :露出面
120 :第2樹脂絶縁層
126 :第2開口
127 :内壁面
130 :第2導体層
130a :シード層
130b :電解めっき層
140 :第2ビア導体
220 :第3樹脂絶縁層
230 :第3導体層
320 :第4樹脂絶縁層
330 :第4導体層
420 :第5樹脂絶縁層
430 :第5導体層
B :ボイド
W1 :第1幅
W2 :第2幅
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M