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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068568
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】穀類計量器のシャッター機構
(51)【国際特許分類】
   G01G 13/06 20060101AFI20240513BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G01G13/06 A
B02B7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179110
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】影山 正志
(72)【発明者】
【氏名】西本 昌昭
【テーマコード(参考)】
2F046
4D043
【Fターム(参考)】
2F046AA01
2F046BA04
4D043FA02
4D043JF09
(57)【要約】
【課題】計量操作時において作動音や振動を小さくできる低コストな穀類計量器のシャッター機構を提供する。
【解決手段】シャッター機構1は、穀粒Mを落下させる供給ノズル4と、供給ノズル4側に向かって伸縮する第1伸縮部6aを有する第1ソレノイド6と、回動動作により供給ノズル4の供給口4aを開閉させる回動シャッター9と、回動シャッター9と第1伸縮部6aとに接続される操作ロッド11とを備える。回動シャッター9には、ピン9fが設けられる。操作ロッド11には、ピン9fを操作ロッド11の基端側に案内可能なスリット部11aが設けられる。第1ソレノイド6は、ピン9fがスリット部11aにおける第1伸縮部6aから遠い側の端部に当接した状態で第1伸縮部6aを収縮させて操作ロッド11を引っ張ることにより、回動シャッター9を第1ソレノイド6側に回動させるよう構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給口を有する供給ノズルと、
前記供給ノズルの側方に配設され、前記供給ノズル側に向かって伸縮する伸縮部を有するソレノイドと、
回動軸を中心に回動可能に構成され、前記ソレノイド側への回動動作で前記供給口を開放する一方、前記ソレノイドから離れる回動動作で前記供給口を閉塞する回動シャッターと、
先端部が前記回動シャッターに接続される一方、基端部が前記伸縮部に接続された操作ロッドと、を備え、
前記回動シャッターには、ピンが設けられ、
前記操作ロッドの先端部には、当該操作ロッドの基端部に向かって延び、且つ、前記ピンを前記操作ロッドの基端部側へと案内可能なスリット部が設けられ、
前記ソレノイドは、前記ピンが前記スリット部における前記伸縮部から遠い側の端部に当接した状態で前記伸縮部を収縮させて前記操作ロッドを引っ張ることにより、前記回動シャッターを前記ソレノイド側に回動させるよう構成されていることを特徴とする穀類計量器のシャッター機構。
【請求項2】
請求項1に記載の穀類計量器のシャッター機構において、
前記ピンは、少なくとも外周面が樹脂材で形成されていることを特徴とする穀類計量器のシャッター機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の穀類計量器のシャッター機構において、
前記操作ロッドにおける前記スリット部の前記伸縮部側には、前記スリット部から下方に切り欠かれて前記スリット部と前記操作ロッドの外側領域とを繋ぐとともに、前記ピンが通過可能な切欠部が設けられていることを特徴とする穀類計量器のシャッター機構。
【請求項4】
請求項1に記載の穀類計量器のシャッター機構において、
前記回動シャッターには、係合部が設けられ、
装置本体側には、前記係合部が係合可能な被係合部が設けられ、
前記被係合部は、前記回動シャッターが前記ソレノイド側に回動するとともに前記ピンが前記スリット部に案内されて当該スリット部における前記伸縮部に近い側の端部に接近した状態において、前記係合部が係合する配置になっていることを特徴とする穀類計量器のシャッター機構。
【請求項5】
請求項1に記載の穀類計量器のシャッター機構において、
前記回動シャッターは、前記回動軸から当該回動軸と直交する方向に延びる側面部と、該側面部の延出端から当該側面部と直交する方向に延び、且つ、前記回動シャッターが前記ソレノイドから離れる側に回動した際に前記供給口を閉塞させる蓋面部とを備え、
前記ピンは、前記側面部における前記回動軸と前記蓋面部との間の中間位置か、或いは、当該中間位置に近い領域に設けられていることを特徴とする穀類計量器のシャッター機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米や麦等の穀粒を風袋に詰めて計量する穀類計量器において、風袋へと穀粒を供給する供給ノズルの供給口を開閉させて穀粒の供給量を調整するシャッター機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、穀類を所定の重量となるまで風袋に袋詰めする穀類計量器が知られている。例えば、特許文献1に開示されている穀類計量器は、上下に延びる計量器本体を備え、該計量器本体の上部には、穀粒を貯留する穀粒タンクが側方に張り出すように設けられる一方、計量器本体の下部側方における穀粒タンクに対向する位置には、風袋を載置可能な計量台が設けられている。穀粒タンク下部には、穀粒を供給する供給口を下端に有する供給ノズルが設けられ、該供給ノズルの側方には、2つのソレノイドが配設されている。そして、穀粒タンクの下方には、水平方向に延びる回動軸を中心として回動可能な回動シャッターが設けられ、該回動シャッターは、一方のソレノイドの収縮動作で計量器本体側に回動することにより供給ノズルの供給口を開放して当該供給口から計量台に載置された風袋へと穀粒の供給を開始する一方、他方のソレノイドの伸長動作で計量器本体から離れる側に回動することにより供給ノズルの供給口を閉塞して当該供給口から計量台に載置された風袋への穀粒の供給を停止させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3844023号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の如きシャッター機構を備える穀類計量器の場合、例えば、穀粒を取り出す供給ノズルの供給口が幅広であると、当該供給口を開放させるためにソレノイドの伸縮部のストロークが大きなものを適用して回動シャッターを大きく回動させる必要がある。そうすると、ソレノイドにおける伸縮部の可動鉄心の吸引力を大きくする必要があるので、回路に使用する電気部品の容量が大きくなって部品コストが嵩むとともに、ソレノイドの作動時における作動音や振動が大きくなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、計量操作時において作動音や振動を小さくできる低コストな穀類計量器のシャッター機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、回動させた回動シャッターの慣性力を利用して供給ノズルの供給口を開放させる構造にしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、米や麦等の穀粒を風袋に詰めて計量する穀類計量器に用いられるシャッター機構を対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、供給口を有する供給ノズルと、前記供給ノズルの側方に配設され、前記供給ノズル側に向かって伸縮する伸縮部を有するソレノイドと、回動軸を中心に回動可能に構成され、前記ソレノイド側への回動動作で前記供給口を開放する一方、前記ソレノイドから離れる回動動作で前記供給口を閉塞する回動シャッターと、先端部が前記回動シャッターに接続される一方、基端部が前記伸縮部に接続された操作ロッドと、を備え、前記回動シャッターには、ピンが設けられ、前記操作ロッドの先端部には、当該操作ロッドの基端部に向かって延び、且つ、前記ピンを前記操作ロッドの基端部側へと案内可能なスリット部が設けられ、前記ソレノイドは、前記ピンが前記スリット部における前記伸縮部から遠い側の端部に当接した状態で前記伸縮部を収縮させて前記操作ロッドを引っ張ることにより、前記回動シャッターを前記ソレノイド側に回動させるよう構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記ピンは、少なくとも外周面が樹脂材で形成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記操作ロッドにおける前記スリット部の前記伸縮部側には、前記スリット部から下方に切り欠かれて前記スリット部と前記操作ロッドの外側領域とを繋ぐとともに、前記ピンが通過可能な切欠部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1の発明において、前記回動シャッターには、係合部が設けられ、装置本体側には、前記係合部が係合可能な被係合部が設けられ、前記被係合部は、前記回動シャッターが前記ソレノイド側に回動するとともに前記ピンが前記スリット部に案内されて当該スリット部における前記伸縮部に近い側の端部に接近した状態において、前記係合部が係合する配置になっていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1の発明において、前記回動シャッターは、前記回動軸から当該回動軸と直交する方向に延びる側面部と、該側面部の延出端から当該側面部と直交する方向に延び、且つ、前記回動シャッターが前記ソレノイドから離れる側に回動した際に前記供給口を閉塞させる蓋面部とを備え、前記ピンは、前記側面部における前記回動軸と前記蓋面部との間の中間位置か、或いは、当該中間位置に近い領域に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、回動シャッターが供給ノズルの供給口を閉塞した状態でソレノイドの伸縮部を収縮させると、当該ソレノイドの伸縮部に引っ張られる操作ロッドがソレノイド側に移動する。すると、操作ロッドのスリット部における伸縮部から遠い側の端部が回動シャッターに設けられたピンを勢い良く引っ張り、回動シャッターにソレノイド側に回動する大きな力が加わる。そうすると、操作ロッドの移動に伴って回動シャッターがソレノイド側に回動し始めるが、当該ソレノイドにおける伸縮部の収縮動作が終了して操作ロッドが停止すると、ピンが勢い余ってスリット部に案内されて操作ロッドの基端部側に移動し始め、それに連動して回動シャッターが慣性力でソレノイド側に回動し続けるようになる。このように、例えば、供給ノズルの供給口が幅広であっても回動シャッターを大きく回動させるためにソレノイドを大型化するといった必要が無くなり、ソレノイドにおける伸縮部のストロークを小さくしたまま回動シャッターを大きく回動させて供給ノズルの供給口を開放させることができるようになるので、計量操作時において作動音や振動を小さくできるとともに、低コストな穀類計量器にすることができる。
【0014】
第2の発明では、回動シャッターが慣性力により回動してピンが操作ロッドのスリット部に案内される際、当該スリット部に対するピンの滑り抵抗が小さくなる。したがって、回動シャッターの回動動作をスムーズにすることができ、計量操作時における作動音や振動をさらに小さくすることができる。
【0015】
第3の発明では、操作ロッドの切欠部に回動シャッターに設けられたピンを操作ロッドの外側領域からスリット部へと通過させることができるようになるので、操作ロッドの回動シャッターへの組み付け作業を簡単に行うことができる。
【0016】
第4の発明では、ソレノイドを作動させて回動シャッターをソレノイド側に回動させた際、係合部が被係合部に係合して回動シャッターの姿勢が供給ノズルの供給口を開放した状態で維持されるようになる。したがって、回動シャッターを慣性力で回動させても、供給ノズルの供給口を開放させた状態で維持させることができる。
【0017】
第5の発明では、ソレノイドの伸縮部における回動シャッターを回動させるのに必要な力とストロークとのバランスが良くなる。したがって、コストが嵩む能力の偏ったソレノイドを使用することを回避することができるようになるとともに、効率良く回動シャッターを回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係るシャッター機構を備えた穀類計量器の側面図である。
図2図1のII部拡大図である。
図3図2の後、回動シャッターが操作ロッドに引っ張られて回動している途中の状態を示す図である。
図4図3の後、回動シャッターが慣性力により装置本体側に回動して供給ノズルの供給口を開放した直後の状態を示す図である。
図5図4の後、回動シャッターが供給ノズルの供給口を全開にした状態で維持されているのを示す図である。
図6図5の後、回動シャッターが供給ノズルの供給口を少しだけ開いた状態で維持されているのを示す図である。
図7図6の後、回動シャッターを計量器本体から離れる側に回動させて供給ノズルの供給口を閉塞した直後の状態を示す図である。
図8】実施形態2に係る図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るシャッター機構1を備えた穀類計量器10を示す。該穀類計量器10は、上下に延びる略四角筒形状をなす計量器本体10aを備え、該計量器本体10aの上部には、穀粒M(図4参照)を貯留する穀粒タンク10bが装置の前面側に張り出すよう設けられている。
【0021】
計量器本体10aの上下中途部には、穀粒Mを当該計量器本体10aの内部へと導入するホッパー10cが装置の後面側に張り出すよう設けられ、ホッパー10cから計量器本体10aの内部へと導入された穀粒Mは、図示しない選別部において整粒と未熟粒等とに選別されながら順次上送されて穀粒タンク10bに貯留されるようになっている。
【0022】
計量器本体10aにおける下半部分の前方には、風袋2を載置して当該風袋2に供給された穀粒Mの重量を計量可能な計量台3が配置されている。該計量台3は、風袋2を載置する載置部3aと、該載置部3aから上方に延びて風袋2を支持する支持フレーム部3bとを備えている。
【0023】
穀粒タンク10bの下面には、図2に示すように、下方に行くにつれて次第に外形が小さくなる供給ノズル4が取り付けられ、該供給ノズル4は、穀粒タンク10bに貯留する穀粒Mを風袋2へと落下させる下方に向く供給口4aを有している。
【0024】
供給ノズル4の計量器本体10a側には、図1に示すように、供給口4aの開口状態を調整する開口調整機構5が配設され、該開口調整機構5は、略直方体形状をなすソレノイドボックス5aを備えている。
【0025】
該ソレノイドボックス5aの内部には、図2に示すように、第1ソレノイド6、第2ソレノイド7及び開口調整フレーム8が収容されている。
【0026】
第1ソレノイド6は、ソレノイドボックス5aの上半部分に配設され、供給ノズル4側の斜め下方に向かって伸縮する第1伸縮部6aを有している。
【0027】
第2ソレノイド7は、第1ソレノイド6の下方に配設され、供給ノズル4側に向かって水平方向に伸縮する第2伸縮部7aを有している。
【0028】
開口調整フレーム8は、側面視で略逆Y字形状をなしており、第2ソレノイド7の供給ノズル4側に配設されている。
【0029】
開口調整フレーム8は、側面視で下方に開放する略逆V字形状をなす第1フレーム8aと、該第1フレーム8aの上端から供給ノズル4側の斜め上方に直線状に延びて延出端8fがソレノイドボックス5aから飛び出した状態となっている第2フレーム8bとで構成され、第1フレーム8aと第2フレーム8bとの連続部分において、第2伸縮部7aの伸縮方向と直交する水平方向に延びる回動軸心C1を中心として回動可能になっている。尚、第2フレーム8bの延出端8fが本発明の被係合部を構成している。
【0030】
第1フレーム8aは、回動軸心C1から計量器本体10a側の斜め下方に向かって真っ直ぐに延びてソレノイドボックス5aから下方に飛び出す棒状の手動操作部8cと、回動軸心C1から下方に延びてソレノイドボックス5aから下方に飛び出た後、その延出端から供給ノズル4側に延びる側面視で略L字状をなす引掛部8dとを備え、作業者は、手動操作部8cの延出端を把持して開口調整フレーム8を回動軸心C1周りに手動で回動させることができるようになっている。
【0031】
第2フレーム8bは、第1フレーム8aとの連続部分において回動軸心C1を中心として第1フレーム8aに対して所定の範囲において回動可能になっている。
【0032】
第2フレーム8bの中途部には、連結棒8eの一端が回動軸心C1と同方向に延びる回動軸心C2周りに回動可能に軸支され、該連結棒8eの他端は、第2伸縮部7aに連結されていて、第2フレーム8bは、回動軸心C2周りに揺動可能になっている。
【0033】
そして、第2ソレノイド7を作動させて第2伸縮部7aを収縮させると、図6に示すように、連結棒8eが第2フレーム8bを計量器本体10a側に引っ張って開口調整フレーム8が回動軸心C1を中心に一側に回動するので、引掛部8dが供給ノズル4側に移動するようになっている。
【0034】
一方、第2ソレノイド7を作動させて第2伸縮部7aを伸長させると、図7に示すように、連結棒8eが第2フレーム8bを供給ノズル4側に押して開口調整フレーム8が回動軸心C1を中心に他側に回動するので、引掛部8dが計量器本体10a側に移動するようになっている。
【0035】
供給ノズル4の基端側には、取付ブラケットB1が固定され、該取付ブラケットB1の計量器本体10aから遠い側には、回動軸心C1と同方向に延びる回動軸S1が設けられている。
【0036】
該回動軸S1は、当該回動軸S1を中心に回動可能な回動シャッター9を吊下支持している。
【0037】
回動シャッター9は、回動軸S1から当該回動軸S1と直交する下方に延び、且つ、回動軸S1の延長方向に所定の間隔をあけて一対設けられた側面視で略扇板状をなす側面部9aと、該側面部9aの延出端同士を橋絡する板状の蓋面部9bとを備え、正面視で上方に開放する略U字状をなしている。
【0038】
すなわち、蓋面部9bは、側面部9aの延出端から当該側面部9aと直交する方向に延びる形状をなしており、回動シャッター9による第1ソレノイド6側への回動動作で供給口4aを開放する一方、回動シャッター9による第1ソレノイド6から離れる回動動作で供給口4aを閉塞するようになっている。
【0039】
蓋面部9bにおける開口調整機構5側の端部には、回動軸S1から離れる方向に突出する係合爪9c(係合部)が設けられている。
【0040】
一方、蓋面部9bにおける開口調整機構5から離れた側の端部には、当該開口調整機構5の反対側に開放する開口凹部9dが形成されている。
【0041】
側面部9aの回動軸S1側には、開口調整機構5から離れる方向に直線状に延びるレバー部材9eが取り付けられ、作業者がレバー部材9eを下方に押すと、回動シャッター9が第1ソレノイド6側に回動する一方、作業者がレバー部材9eを上方に押すと、回動シャッター9が第1ソレノイド6から離れる側に回動するようになっている。
【0042】
一方の側面部9aにおける回動軸S1と蓋面部9bとの中間位置には、回動軸S1の延長方向と同方向に突出する樹脂製のピン9fが突設されている。
【0043】
該ピン9fと第1ソレノイド6との間には、細長い略帯板状をなす操作ロッド11が配設されている。操作ロッド11の先端部は、当該操作ロッド11におけるその他の領域に比べて幅広な形状をなす一方、操作ロッド11の基端部は、第1ソレノイド6の第1伸縮部6aに接続されている。
【0044】
操作ロッド11の先端部には、当該操作ロッド11の基端部に向かって延び、且つ、ピン9fが嵌合するスリット部11aが形成され、該スリット部11aは、ピン9fを操作ロッド11の基端部側へと案内可能になっている。
【0045】
そして、回動シャッター9が供給ノズル4の供給口4aを閉塞した状態で、且つ、ピン9fがスリット部11aにおける第1伸縮部6aから遠い側の端部に当接した状態において第1ソレノイド6を作動させると、図2に示すように、第1ソレノイド6が第1伸縮部6aを収縮させて操作ロッド11を引っ張り、当該操作ロッド11が第1ソレノイド6側に移動するようになっている。操作ロッド11が第1ソレノイド6側に移動すると、図3に示すように、操作ロッド11のスリット部11aにおける第1伸縮部6aから遠い側の端部が回動シャッター9に設けられたピン9fを勢い良く引っ張り、回動シャッター9に第1ソレノイド6側に回動する大きな力が加わるので、操作ロッド11の移動に伴って回動シャッター9が第1ソレノイド6側に回動し始めるようになっている。その後、第1ソレノイド6における第1伸縮部6aの収縮動作が終了して操作ロッド11が停止すると、図4に示すように、ピン9fが勢い余ってスリット部11aに案内されて操作ロッド11の基端部側に移動し始め、それに連動して回動シャッター9が慣性力で第1ソレノイド6側に回動し続けて供給ノズル4の供給口4aが全開となるようになっている。
【0046】
回動シャッター9が慣性力により回動する際、係合爪9cは、開口調整フレーム8における第2フレーム8bの延出端8fに摺接しながら回動軸心C2を中心に第2フレーム8bを第2ソレノイド7側に回動させることで第2フレーム8bの延出端8fを通過するようになっている。
【0047】
係合爪9cが第2フレーム8bの延出端8fを通過すると、スリット部11aに案内されるピン9fがスリット部11aにおける第1伸縮部6aに近い側の端部に接触して回動シャッター9の第1ソレノイド6側への回動が停止し、その後、回動シャッター9が自重で第1ソレノイド6から離れる側に回動し始めるようになっている。そして、図5に示すように、第2フレーム8bの延出端8fは、ピン9fがスリット部11aにおける第1伸縮部6aに近い側の端部に接近した状態において係合爪9cが係合する配置になっていて、これにより、供給ノズル4の供給口4aが全開の状態で維持されるようになっている。
【0048】
このように、慣性力を利用して回動シャッター9を回動させるので、例えば、供給ノズル4の供給口4aが幅広であっても回動シャッター9を大きく回動させるために第1ソレノイド6を大型化するといった必要が無くなる。したがって、第1ソレノイド6における第1伸縮部6aのストロークを小さくしたまま回動シャッター9を大きく回動させて供給ノズル4の供給口4aを開放させることができるようになるので、計量操作時において作動音や振動を小さくできるとともに、低コストな穀類計量器10にすることができる。
【0049】
回動シャッター9が供給ノズル4の供給口4aを全開にした状態において第2ソレノイド7を作動させて第2伸縮部7aを収縮させると、当該第2伸縮部7aが連結棒8eを介して第2フレーム8bを第2ソレノイド7側に引っ張るようになっている。すると、図6に示すように、第2フレーム8bが回動軸心C1を中心として第2ソレノイド7側に回動して第2フレーム8bの延出端8fから係合爪9cが外れ、回動シャッター9が自重で第1ソレノイド6から離れる側に回動し始めるようになっている。また、第2フレーム8bの回動動作に連動して第1フレーム8aが供給ノズル4側に回動するようになっていて、回動シャッター9が自重で回動している途中において係合爪9cが引掛部8dに引っ掛かり、回動シャッター9の開口凹部9dが供給ノズル4の供給口4aに対応する位置で回動シャッター9の姿勢が維持されるようになっていて、これにより、供給ノズル4の供給口4aが少しだけ開いた状態となるようになっている。
【0050】
回動シャッター9が供給ノズル4の供給口4aを少しだけ開く状態において第2ソレノイド7を作動させて第2伸縮部7aを伸長させると、当該第2伸縮部7aが連結棒8eを介して第2フレーム8bを第2ソレノイド7から離れる側に押すようになっている。すると、図7に示すように、第2フレーム8bが回動軸心C1を中心に第2ソレノイド7から離れる側に回動するとともに第1フレーム8aが供給ノズル4から離れる側に回動して引掛部8dから係合爪9cが外れ、回動シャッター9が自重で第1ソレノイド6から離れる側に回動して供給ノズル4の供給口4aを閉塞させるようになっている。
【0051】
このように、本発明の実施形態1によると、慣性力を利用して回動シャッター9を回動させて供給ノズル4の供給口4aを開放させる構成になっているので、第1ソレノイド6における第1伸縮部6aのストロークを小さくしたまま回動シャッター9を大きく回動させて供給ノズル4の供給口4aを開放させることができるようになり、計量操作時において作動音や振動を小さくできるとともに、低コストな穀類計量器10にすることができる。
【0052】
また、回動シャッター9のピン9fが樹脂材で形成されているので、回動シャッター9が慣性力により回動してピン9fが操作ロッド11のスリット部11aに案内される際、当該スリット部11aに対するピン9fの滑り抵抗が小さくなる。したがって、回動シャッター9の回動動作をスムーズにすることができ、計量操作時における作動音や振動をさらに小さくすることができる。
【0053】
さらに、第1ソレノイド6を作動させて回動シャッター9を第1ソレノイド6側に回動させた際、係合爪9cが第2フレーム8bの延出端8fに係合して回動シャッター9の姿勢が供給ノズル4の供給口4aを開放した状態で維持されるようになる。したがって、回動シャッター9を慣性力で回動させても、供給ノズル4の供給口4aを開放させた状態で維持させることができる。
【0054】
それに加えて、ピン9fが側面部9aにおける回動軸S1と蓋面部9bとの中間位置に設けられているので、第1ソレノイド6の第1伸縮部6aにおける回動シャッター9を回動させるのに必要な力とストロークとのバランスが良くなる。したがって、コストが嵩む能力の偏ったソレノイドを使用することを回避することができるようになるとともに、効率良く回動シャッター9を回動させることができる。
【0055】
《発明の実施形態2》
図8は、本発明の実施形態2のシャッター機構1を示す。この実施形態2では、操作ロッド11の一部構造が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0056】
実施形態2の操作ロッド11におけるスリット部11aは、実施形態1のスリット部11aよりも基端部側に長く延びる寸法で形成されている。
【0057】
スリット部11aにおける第1ソレノイド6側の端部には、下方に切り欠かれてスリット部11aと操作ロッド11の外側領域とを繋ぐとともに、ピン9fが通過可能な切欠部11bが設けられている。
【0058】
このように、本発明の実施形態2によると、操作ロッド11の切欠部11bに回動シャッター9に設けられたピン9fを操作ロッド11の外側領域からスリット部11aへと通過させることができるようになるので、操作ロッド11の回動シャッター9への組み付け作業を簡単に行うことができる。
【0059】
尚、本発明の実施形態1,2では、樹脂製のピン9fが使用されているが、少なくともピン9fの外周面が樹脂材で形成されていればよい。
【0060】
また、本発明の実施形態1,2では、回動シャッター9を第1ソレノイド6側に回動させた際、係合爪9cを第2フレーム8bの延出端8fに載せることで係合させているが、回動シャッター9が供給ノズル4の供給口4aを開放する状態で維持できるのであれば、これ以外の係合構造であってもよい。
【0061】
さらに、本発明の実施形態1,2では、ピン9fが側面部9aにおける回動軸S1と蓋面部9bとの中間位置に設けられているが、当該中間位置に近い領域に設けられていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば、米や麦等の穀粒を風袋に詰めて計量する穀類計量器において、風袋へと穀粒を供給する供給ノズルの供給口を開閉させて穀粒の供給量を調整するシャッター機構に適している。
【符号の説明】
【0063】
1 シャッター機構
2 風袋
4 供給ノズル
4a 供給口
6 第1ソレノイド
6a 第1伸縮部
7 第2ソレノイド
7a 第2伸縮部
8f 第2フレームの延出端(被係合部)
9 回動シャッター
9a 側面部
9b 蓋面部
9c 係合爪(係合部)
9f ピン
10 穀類計量器
10a 計量器本体
11 操作ロッド
11a スリット部
11b 切欠部
M 穀粒
S1 回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8