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特開2024-68571移載システム、移載システムの制御方法および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068571
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】移載システム、移載システムの制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240513BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B65G47/91 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179116
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】上田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】森川 雅司
(72)【発明者】
【氏名】塚本 邦博
(72)【発明者】
【氏名】松本 紘輔
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707BS11
3C707DS01
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707FU01
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT03
3C707KT06
3C707LT06
3C707LV04
3C707LV05
3C707LV07
3C707LV08
3F072AA06
3F072GA10
3F072GD01
3F072GD03
3F072KD03
(57)【要約】
【課題】前記5軸ロボットを用いて物品をより適切に保持することができる。移載システム等を提供する。
【解決手段】移載システム(1)は、物品(W)を吸着する吸着部を含むピッキングヘッド(12a)と、ピッキングヘッド(12a)を回転させる回転機構(121)と、ピッキングヘッド(12a)を回転機構(121)の回転軸と直交するチルト軸回りに傾けるチルト機構(122)とを有する駆動部(12b)と、物品(W)の吸着対象面とチルト軸とが平行になるように回転機構(121)を制御する駆動制御部(15c)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を吸着する吸着部を含むピッキングヘッドと、
前記ピッキングヘッドを昇降させると共に、平面視において前記ピッキングヘッドを2方向へ移動させる駆動部であって、前記ピッキングヘッドを回転させる回転機構と、前記ピッキングヘッドを前記回転機構の回転軸と直交するチルト軸回りに傾けるチルト機構とを有する駆動部と、
前記物品の画像データを取得するカメラ部と、
前記画像データから前記物品の姿勢を検出する画像処理部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部であって、前記物品の吸着対象面と前記チルト軸とが平行になるように前記回転機構を制御する駆動制御部と、
を備える移載システム。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記物品または前記吸着対象面の重心位置を算出して、前記物品の傾斜方向に対して直交する方向で、前記重心位置を通る軸を前記物品のロール軸に設定し、
前記駆動制御部は、前記チルト軸の向きと前記ロール軸の向きとが一致するように前記回転機構を制御する請求項1に記載の移載システム。
【請求項3】
前記ピッキングヘッドは、複数の前記吸着部を含み、
前記画像処理部は、前記吸着対象面の寸法に応じて、複数の前記吸着部から前記吸着対象面に吸着させる特定吸着部を決定し、
前記駆動制御部は、前記特定吸着部を前記吸着対象面に吸着させる請求項1に記載の移載システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、複数の前記吸着部から選択される2以上の前記吸着部に外接する仮想的な外接矩形の寸法と前記吸着対象面の寸法とを比較し、前記特定吸着部を決定する請求項3に記載の移載システム。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記外接矩形が前記吸着対象面の外郭内に収まる寸法である場合、前記外接矩形内の前記吸着部を前記特定吸着部として決定する請求項4に記載の移載システム。
【請求項6】
前記ピッキングヘッドは、第1吸着部と第2吸着部とを含み、
前記ピッキングヘッドを前記昇降方向から見た場合、前記第1吸着部と前記第2吸着部とは、前記チルト軸を挟んで配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の移載システム。
【請求項7】
前記ピッキングヘッドは、第3吸着部をさらに含み、
前記第2吸着部と前記第3吸着部とは、前記チルト軸の方向に並んで配置される、請求項6に記載の移載システム。
【請求項8】
物品を吸着する吸着部を含むピッキングヘッドと、前記ピッキングヘッドを昇降させると共に、平面視において前記ピッキングヘッドを2方向へ移動させる駆動部であって、前記ピッキングヘッドを回転させる回転機構と、前記ピッキングヘッドを前記回転機構の回転軸と直交するチルト軸回りに傾けるチルト機構とを有する駆動部と、を備える移載システムの制御方法であって、
前記物品の画像データを取得する取得ステップと、
前記画像データから前記物品の姿勢を検出する画像処理ステップと、
前記物品の吸着対象面と前記チルト軸とが平行になるように前記回転機構を制御する制御ステップと、を含む移載システムの制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の移載システムの制御方法における前記取得ステップ、前記検出ステップ、および前記制御ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流における物品の移載を行う移載システム、移載システムの制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流倉庫等においては、多種多量の物品を効率よく出荷先別に出荷容器へ選別仕分けするために、ロボットアーム等のピッキング装置(移載装置)を備える移載システムが用いられている。この種の移載システムに関し、特許文献1には、画像処理により検知したワークの姿勢に基づいて、多軸ロボットを制御する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-245283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ピッキング装置としては6軸ロボットが従来使用されるが、より構造がシンプルであり多列のコンベアレイアウトにも適応し易い5軸ロボット(XYZ方向軸+ヘッドの回転軸+ヘッドのチルト軸の5軸)がピッキング装置として使用される場合がある。この場合、従来の6軸ロボットよりも1軸少ない5軸ロボットによって、物品を適切に保持する必要性がある。
【0005】
本発明は、前記5軸ロボットを用いて物品を適切に保持することができる移載システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る移載システムは、物品を吸着する吸着部を含むピッキングヘッドと、前記ピッキングヘッドを昇降させると共に、平面視において前記ピッキングヘッドを2方向へ移動させる駆動部であって、前記ピッキングヘッドを回転させる回転機構と、前記ピッキングヘッドを前記回転機構の回転軸と直交するチルト軸回りに傾けるチルト機構とを有する駆動部と、前記物品の画像データを取得するカメラ部と、前記画像データから前記物品の姿勢を検出する画像処理部と、前記駆動部を制御する駆動制御部であって、前記物品の吸着対象面と前記チルト軸とが平行になるように前記回転機構を制御する駆動制御部と、を備える。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る移載システムの制御方法は、物品を吸着する吸着部を含むピッキングヘッドと、前記ピッキングヘッドを昇降させると共に、平面視において前記ピッキングヘッドを2方向へ移動させる駆動部であって、前記ピッキングヘッドを回転させる回転機構と、前記ピッキングヘッドを前記回転機構の回転軸と直交するチルト軸回りに傾けるチルト機構とを有する駆動部と、を備える移載システムの制御方法であって、前記物品の画像データを取得する取得ステップと、前記画像データから前記物品の姿勢を検出する画像処理ステップと、前記物品の吸着対象面と前記チルト軸とが平行になるように前記回転機構を制御する制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、前記5軸ロボットを用いて物品を適切に保持することができる移載システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る移載システムの概要を示す斜視図である。
図2】移載システムの概要を示す平面図である。
図3】移載システムの概要を示す機能ブロック図である。
図4】ピッキングヘッドおよび駆動部の構造を模式的に示した図である。
図5】移載システムの動作例を示すフローチャートである。
図6図5に示した物品の姿勢を検出する画像処理ステップの動作例を示すフローチャートである。
図7】移載部のチルト軸の軸心と物品の吸着対象面およびロール軸との具体例を説明する図である。
図8図4に示した吸着部のうち、2つの吸着部を特定吸着部として物品の吸着対象面に吸着させた場合の具体例を説明する図である。
図9】特定吸着部を変更する場合の具体例を説明する図である。
図10】1つの吸着部を特定吸着部として物品の吸着対象面に吸着させた場合の具体例を説明する図である。
図11】上記ピッキングヘッドの別の具体例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図1乃至図10を参照して説明する。なお、以下の説明では、第1容器17から第2容器18へ物品Wを移載する移載システムを構成した場合を例示して説明する。
【0011】
(移載システムの概要)
まず、図1および図2を参照して移載システム1の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る移載システム1の概要を示す斜視図である。図2は、移載システム1の概要を示す平面図である。移載システム1は、物流倉庫等において物品Wの移載を行うものである。図1および図2に示すように、本実施形態の移載システム1は、搬送部11、移載部12、カメラ部13、支持フレーム14、制御部15、および端末部16を含む。
【0012】
(搬送部)
搬送部11は、物品2を収容する第1容器17および第2容器18をY方向(前後方向)へ搬送するものである。具体的には、搬送部11は、Z方向下側に設けられた搬入用コンベア11a・11bと、Z方向上側に設けられた搬出用コンベア11c・11dとを含む。搬入用コンベア11a・11bによって第1容器17および第2容器18がY方向前側にそれぞれ搬送される。また、搬出用コンベア11c・11dによって第1容器17および第2容器18がY方向後側にそれぞれ搬送される。
【0013】
さらに、搬送部11は、移動機構11eおよび筐体11fを含む。移動機構11eは、搬入用コンベア11aからの第1容器17を第1移載位置P1に順次移動させると共に、搬入用コンベア11bからの第2容器18を第2移載位置P2に順次移動させる。また、移動機構11eは、第1移載位置P1に配置された第1容器17を搬出用コンベア11cに順次移動させると共に、第2移載位置P2に配置された第2容器18を搬出用コンベア11dに順次移動させる。筐体11fは、移動機構11eを収容する。
【0014】
(移載部)
移載部12は、搬送部11のY方向前端側(一端側)に設置され、第1移載位置P1に配置された第1容器17に収容された物品2を保持して、第2移載位置P2に配置された第2容器18へ移載するものである。移載部12は、搬送部11の移動機構11eおよび筐体11fのZ方向上側に、架台等(図示せず)によって設置される。
【0015】
移載部12は、物品Wを保持するピッキングヘッド12aと、該ピッキングヘッド12aをZ方向へ昇降させると共に、平面視においてピッキングヘッド12aをX方向およびY方向の2方向へ移動させる駆動部12bとを含む。ピッキングヘッド12aは、例えば、物品Wを吸着する1つまたは複数、例えば、3つの第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3(図4)を含む。ピッキングヘッド12aは、第1容器17に収容される物品Wに対して上方から吸着し、物品Wを吊った状態で保持する。
【0016】
駆動部12bは、固定レール12c、第1可動レール12d、第2可動レール12e、および支持アーム12fを含む。固定レール12cは、X方向に沿って設置される。第1可動レール12dは、Z方向に沿って設置され、固定レール12cに沿ってX方向に往復移動する。第2可動レール12eは、Y方向に沿って設置され、第1可動レール12dに沿ってZ方向に往復移動する。
【0017】
また、駆動部12bは、後に詳述するように、ピッキングヘッド12aを回転させる回転機構121(図3)を有する。また、駆動部12bは、ピッキングヘッド12aを回転機構121の回転軸121A(図4)と直交するチルト軸122A(図4)回りに傾けるチルト機構122(図4)を有する。換言すれば、移載部12には、5軸ロボットが用いられている。具体的には、移載部12において、駆動部12bは、ピッキングヘッド12aに対して、X方向、Y方向、およびZ方向の各方向への移動動作と、回転機構121による回転動作と、チルト機構122によるチルト動作とを実行可能に構成されている。
【0018】
支持アーム12fは、Z方向に沿って設置され、第2可動レール12eに沿ってY方向に往復移動する。また、支持アーム12fは、Z方向下側にピッキングヘッド12aが取り付けられている。これにより、移載部12は、駆動部12bの動作を制御することにより、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させることができる。
【0019】
移載部12には、上述したように、例えば6軸ロボット等の移載ユニットに比べて、構造がシンプルな5軸ロボットが用いられており、移載部12は、多列のコンベヤレイアウトにも適応し易い。このため、移載部12を用いることにより、移載システム1のレイアウト設計の自由度が向上する。
【0020】
(カメラ部)
カメラ部13は、移載部12の上方に配置され、物品Wを撮影して撮影画像を作成するものである。カメラ部13は、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bを含む。第1カメラ13aは、第1移載位置P1に配置された第1容器17を撮影することにより、第1容器17に収容された1または複数の物品Wを撮影する。第2カメラ13bは、第2移載位置P2に配置された第2容器18を撮影することにより、第2容器18に収容された1または複数の物品Wを撮影する。なお、カメラ部13は、ライト等を含めてもよく、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、各々ライト等により所定の照度で照らした状態で、物品Wを撮影してもよい。
【0021】
(支持フレーム)
支持フレーム14は、カメラ部13を支持する枠体である。支持フレーム14は、平面視で移載部12に対しY方向と直交するX方向(左右方向)に隣接してそれぞれ設置される支持部14a・14aと、支持部14a・14a間に架設される梁部材14b・14bとを含む。Y方向前側の梁部材14bの適所には、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bが設置される。なお、梁部材14bは、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0022】
支持部14a・14aのそれぞれは、2本の柱部材14c・14d、桁部材14e、および補強部材14fを含む。柱部材14c・14dは、Y方向に配列され、固定部材14g・14hにより、移載システム1の設置場所に固定される。桁部材14eおよび補強部材14fは、柱部材14c・14d間に架設される。
【0023】
なお、梁部材14b・14bは、桁部材14e上に設置されてもよいし、柱部材14c・14dに設置されてもよい。また、補強部材14fは、2本以上であってもよいし、省略してもよい。また、支持部14a・14aのそれぞれが4本以上の柱部材によって立設されている場合、梁部材14b・14bを省略してもよい。この場合、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bは、支持部14a・14aの適所にそれぞれ設置すればよい。
【0024】
(制御部および端末部)
制御部15は、移載システム1における各部を制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)及びメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。なお、制御部15の詳細は後述する。
【0025】
端末部16は、移載システム1に対する操作を作業者S(図2)が行うためのものである。端末部16は、キーボード、タッチパネル、ジョイスティック等の入力部16aと、所定の情報を表示する表示部16bとを有している。これらの制御部15および端末部16は、移載システム1の制御機器の一例であり、後述の前ガード部24の外側であって、かつ作業エリア25に対し移載部12が設けられている側とは反対側(Y方向前側)に設置されている。
【0026】
具体的には、制御部15は、図示しない電気配線を各々介して搬送部11、移載部12、カメラ部13、および端末部16に接続されている。制御部15は、搬送部11および移載部12から各々動作状態などの所定の情報を取得するとともに、搬送部11および移載部12への指示信号などの所定の指令信号を各々出力する。制御部15は、カメラ部13の第1カメラ13aおよび第2カメラ13bに対して、オン・オフ信号などの所定の指示信号を各々出力するとともに、第1カメラ13aおよび第2カメラ13bから各々撮影データを取得する。制御部15は、端末部16から作業者Sの操作に応じた指示信号などを受信するとともに、搬送部11、移載部12、およびカメラ部13から取得した情報を端末部16に送信する。
【0027】
(ガード)
本実施形態の移載システム1では、移載部12は、ピッキングヘッド12aをXYZの3方向へ往復移動させる動作を行う。このため、図1および図2に示すように、移載部12の周囲には、安全性の観点から、作業者Sなどが移載部12と接触する可能性を大幅に低減するためのガードが設けられている。具体的には、本実施形態では、ガードとして、上記制御機器側からY方向後方に向かって、横ガード部21と、前ガード部24と、後ガード部41とが順次設けられている。
【0028】
(横ガード部)
図1および図2に示すように、支持部14a・14aのそれぞれは、移載部12とそのX方向の外部とを仕切る横ガード部21を含む。横ガード部21は、透明板22と透明板22を保持する枠部材23とを含む。これにより、作業者Sを含む人がX方向から進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。
【0029】
さらに、支持部14a・14aのそれぞれに横ガード部21が設けられているので、移載部12とそのX方向の外部とを仕切るガード部を、支持部14a・14aのX方向外側に新たに設ける必要が無い。その結果、移載システム1の省スペース化を図ることができる。
【0030】
ところで、2つの支持部14a・14aは、移載部12に対し、X方向に隣接して設置されているから、移載部12のZ方向下側に位置する搬送部11の筐体11fとも隣接している。そこで、本実施形態では、支持部14aの下部の領域、すなわち、筐体11fと対向する領域では、横ガード部21が省略されている。これにより、横ガード部21を設ける領域を減らすことができる。一方、作業者Sが支持部14aの下部から進入して移載部12と接触することは、筐体11fによって防止できる。すなわち、支持部14aの下部の領域は、筐体11fが移載部12とそのX方向の外部との仕切となる。
【0031】
(前ガード部)
図1および図2に示すように、移載システム1において、平面視で移載部12に対して搬送部11とは反対側に設定される作業エリア25と、その外部とを仕切るように前ガード部24が設けられている。前ガード部24は、2つの支持部14a・14aと接続されている。
【0032】
作業エリア25は、作業者Sが物品Wを保持して移載する手作業移載を行うためのスペースである。つまり、本実施形態の移載システム1は、移載部12が物品Wを保持して自動的に移載する自動移載と、作業者Sが作業エリア25内に入って物品Wを保持して移載する手作業移載との両方を実行可能となっている。また、前ガード部24は、作業エリア25の周囲に作業エリア25に隣接して設けられている。
【0033】
具体的には、前ガード部24は、複数の固定式ガード部26と可動式ガード部27とを連結して含む。固定式ガード部26は、透明板31と該透明板31を保持する枠部材32とを含む。枠部材32のZ方向下側の隅部は、固定部材26aにより、移載システム1の設置場所に固定される。また、Y方向後側の固定式ガード部26・26は、支持部14a・14aのY方向前側にそれぞれ連結している。
【0034】
可動式ガード部27は、作業エリア25への作業者Sの出入口扉を構成するものであり、固定用枠部材33と、固定用枠部材33内に設けられる可動部材34とを含む。固定用枠部材33のZ方向下側の隅部は、固定部材33aにより、移載システム1の設置場所に固定される。可動部材34は、固定用枠部材33に対しヒンジ部材(図示せず)等を介して回動可能に設けられている。可動部材34は、透明板35と、該透明板35を保持する枠部材36とを含む。
【0035】
以上により、作業者Sを含む人が作業エリア25に不用意に進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。また、前ガード部24が作業エリア25に隣接して設けられているので、前ガード部24を設けることによる移載システム1の設置空間の増大を抑制することができる。
【0036】
なお、移載システム1が自動移載のみ実行可能である場合、作業エリア25は、移載部12を監視者が監視するための監視エリアとして設定されてもよい。或いは、作業エリア25は省略されてもよい。このとき、前ガード部24は、移載部12のY方向前側に、移載部12と隣接して設ければよい。
【0037】
(後ガード部)
図1および図2に示すように、移載システム1には、搬送部11のY方向前端に対し、X方向に隣接し、かつ、上記前端とそのX方向の外部とを仕切る後ガード部41・41が設けられている。後ガード部41は、透明板42と、透明板42を保持する枠部材43とを含む。後ガード部41・41のY方向前側は、支持部14a・14aのY方向後側にそれぞれ連結(接続)している。また、枠部材43のZ方向下側の隅部は、固定部材43aにより、移載システム1の設置場所に固定される。さらに、後ガード部41・41の間には補強部材44・45が設けられている。
【0038】
これにより、作業者Sを含む人が搬送部11から進入して移載部12と接触することを防止でき、その結果、移載システム1の安全性を向上することができる。また、後ガード部41が搬送部11に隣接して設けられているので、後ガード部41を設けることによる移載システム1の設置空間の増大を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態の前ガード部24、横ガード部21、および後ガード部41では、透明板22・31・35・42を実質的なガードとして設けている。これにより、本実施形態では、移載システム1の作業者Sは、監視者として移載システム1の外部から搬送部11および移載部12を監視することができる。なお、透明板22・31・35・42の代わりに、柵、網、その他の形状のガードを用いてもよい。
【0040】
〔移載システムの制御ブロック〕
図3は、移載システム1の概要を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御部15は、画像取得部15a、画像処理部15b、および駆動制御部15cを含む。
【0041】
画像取得部15aは、カメラ部13が撮像した画像データを取得する。具体的には、画像取得部15aは、第1カメラ13aが撮像した第1容器17の画像データを取得する。また、画像取得部15aは、第2カメラ13bが撮像した第2容器18の画像データを取得する。画像取得部15aは、取得した画像データを画像処理部15bに送出する。
【0042】
画像処理部15bは、画像データに対し所定の画像処理を行って、物品Wをピッキングヘッド12aに吸着(保持)して該物品Wを移載するための移載データを取得する。画像処理部15bは、取得したデータを駆動制御部15cに送出する。画像処理部15bでの画像処理の詳細については後述する。
【0043】
駆動制御部15cは、画像処理部15bから取得した画像認識処理の結果に基づいて、移載部12を制御する。例えば、駆動制御部15cは、物品Wの吸着対象面WS(図7)に対してチルト軸122A(図4)が平行になるように回転機構121(図4)を制御する。なお、駆動制御部15cによる回転機構121(図4)およびチルト機構122(図4)の制御の詳細については後述する。
【0044】
(ピッキングヘッドおよび駆動部の詳細な構成)
図4は、ピッキングヘッド12aおよび駆動部12bの構造を模式的に示した図である。図4の401および410に示すように、ピッキングヘッド12aは、第1吸着部12a1と、第2吸着部12a2と、第3吸着部12a3と、基部12a4とを備える。また、駆動部12bは、回転機構121と、チルト機構122とを備える。
【0045】
回転機構121は、チルト機構122に設けられたチルト軸122Aを介してピッキングヘッド12aに連結されて、該ピッキングヘッド12aを回転する回転軸121Aを備える。この回転軸121Aは、支持アーム12fに設けられた図示しないモータ等の駆動部材に連結されており、該駆動部材が、駆動制御部15cからの指示に従って動作するようになっている。これにより、ピッキングヘッド12aは、回転軸121Aの回転に応じて、チルト軸122Aを介在させて所望の方向に回転する。
【0046】
チルト機構122は、回転機構121の回転軸121Aと直交するチルト軸122Aを備える。チルト軸122Aでは、一端側が回転軸121Aに連結され、他端側がピッキングヘッド12aの基部12a4に連結されている。チルト機構122は、図4の401乃至403に示すように、駆動制御部15cからの指示に従って、基部12a4をZ方向に対して傾斜させる傾斜軸(図示せず)を動作させることにより、ピッキングヘッド12aをチルト軸122A回りに傾ける。これにより、ピッキングヘッド12aでは、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の吸着方向、すなわち物品Wの保持方向が図4の401乃至403に示すように変化する。
【0047】
また、ピッキングヘッド12aは、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3は基部12a4に一体的に取り付けられている。また、図4の410に示すように、第1吸着部12a1と第2吸着部12a2とは、ピッキングヘッド12aを昇降方向(Z方向)から見た場合、チルト軸122Aの軸心Tを挟んで配置されている。さらに、第2吸着部12a2と第3吸着部12a3とは、チルト軸122Aの軸心Tの方向に並んで配置されている。
【0048】
〔移載システムの制御〕
次に、図5乃至図10を参照して、移載システム1の制御について説明する。移載システム1では、基本的な動作例として、制御部15は、カメラ部13が撮像した画像データの画像処理の結果に基づいてピッキングヘッド12aを第1容器17および第2容器18の間で往復移動させて、第1容器17内の物品Wを第2容器18へ移載する移載動作の制御を行う。
【0049】
(移載システムの動作例)
図5は、移載システム1の詳細な動作例を示すフローチャートである。図6は、図5に示した物品Wの姿勢を検出する画像処理ステップの動作例を示すフローチャートである。
【0050】
第1容器17内の物品Wを第2容器18へ移載する移載動作の制御では、図5のステップS1に示すように、画像取得部15aは、第1カメラ13aから第1容器17の画像データを撮影データとして取得する。そして、画像取得部15aは、取得した撮影データを画像処理部15bに出力する。
【0051】
次に、画像処理部15bは、画像取得部15aからの画像データに対し所定の画像処理を行って、第1容器17に収容された物品Wの画像を抽出し、該物品WのX方向、Y方向、およびZ方向の位置(以下、「XYZ座標」と称する。)を特定する。換言すれば、画像処理部15bは、第1容器17の画像データから特定したXYZ座標に基づき、第1容器17内の移載すべき物品WのXYZ座標を特定する。
【0052】
次に、画像処理部15bは、XYZ座標を特定した物品Wの姿勢を検出する(ステップS2)。具体的にいえば、図6のステップS11に示すように、画像処理部15bは、物品Wについて、3D(Dimension:次元)画像認識処理を実行する。これにより、画像処理部15bは、第1容器17における移載すべき物品WのXYZ座標の各値を取得して認識する。なお、3D画像認識処理は公知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0053】
次に、画像処理部15bは、3D画像認識処理の結果を基に、物品Wにおける、X方向、Y方向、およびZ方向の各方向に対する傾斜角度Rx、Ry、Rzを検出する(ステップS12)。さらに、画像処理部15bは、検出した傾斜角度RxおよびRyの各値を用いて、物品Wの傾斜方向K(図8)を取得する。
【0054】
続いて、画像処理部15bは、物品Wまたは物品Wの吸着対象面WS(図7)の重心位置WL(図7)を算出する(ステップS13)。具体的にいえば、画像処理部15bは、取得した物品WのXYZ座標の各値を用いて、上記重心位置WLの位置、つまりXYZ座標の各値を求める。
【0055】
次に、画像処理部15bは、取得した傾斜方向K(図7)に対して直交する方向で、求めた重心位置WL(図7)を通る軸を物品Wのロール軸R0(図7)に設定する(ステップS14)。なお、物品Wのロール軸R0に設定については、後に詳述する。
【0056】
続いて、画像処理部15bは、物品Wの吸着対象面WSの寸法に応じて、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3から吸着対象面WSに吸着させる特定吸着部を決定する(ステップS15)。なお、画像処理部15bは、後に詳述するように、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3から少なくとも1つを特定吸着部として決定する。
【0057】
続いて、図5のステップS3に示すように、駆動制御部15cは、決定した特定吸着部に関するデータを含む画像処理部15bからのデータを用いて、駆動部12bの回転機構121およびチルト機構122の制御を行う。後に詳述するように、駆動制御部15cは、物品Wの傾斜方向Kに関するデータと、上記重心位置WLの位置に関するデータと、ロール軸R0に関するデータとを用いて、回転機構121およびチルト機構122の各動作を制御する。
【0058】
次に、駆動制御部15cは、画像処理部15bからの物品Wを移載する先の第2容器18に関するデータを用いて、物品Wの移載を行う(ステップS4)。具体的にいえば、画像処理部15bは、第2カメラ13bから取得した第2容器18の画像データに基づき、物品Wを第2容器18に載置する位置のXYZ座標を特定する。そして、画像処理部15bは、載置する位置のXYZ座標の各値を駆動制御部15cに送出する。駆動制御部15cは、ピッキングヘッド12aによって物品Wを吸着して保持した後、画像処理部15bから入力した載置する位置のXYZ座標の各値を用いて、保持した物品Wを第2容器18内に移載する。
【0059】
(ロール軸とチルト軸との具体例)
図7は、移載部12のチルト軸122Aの軸心Tと物品Wの吸着対象面WSおよびロール軸R0との具体例を説明する図である。なお、以下の説明では、直方体状の物品Wを例示して説明する。また、第1吸着部12a1、第2吸着部12a2、および第3吸着部12a3については、それぞれ1、2、および3に簡略して図示する。また、以下の説明では、まず、画像処理部15bが、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の吸着面積の合計値よりも吸着対象面WSの寸法が大きく、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3を特定吸着部として決定した場合について説明する。
【0060】
(1)3つの吸着部が特定吸着部である場合の例
図7の701の左側の図面に示すように、例えば、ロール軸R0が物品Wの重心位置WLを通り、傾斜方向Kに対して直交し、かつ幅方向に沿っている場合、物品Wの吸着対象面WSは、図に両矢印R1にて示すように、長手方向に傾斜する。そして、駆動制御部15cは、画像処理部15bからのロール軸R0に関するデータを用いて、吸着対象面WSとチルト軸122Aとが平行となるように、回転機構121を駆動する。
【0061】
換言すれば、図7の701の右側の図面に示すように、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0062】
また、画像処理部15bは、駆動制御部15cにより、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとを一致させる場合、ピッキングヘッド12aの基部12a4の回転動作角度が小さくなるように、回転機構121の回転駆動を制御させる。
【0063】
具体的にいえば、回転機構121の回転駆動を行う前において、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の位置が図7の702の左側の図面に示す位置である場合、画像処理部15bは、基部12a4の回転動作角度が小さくなるように、反時計方向回りを選択する。そして、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きをロール軸R0の向きに一致させる際、矢印LKにて示すように、基部12a4を回転させる。
【0064】
一方、回転機構121の回転駆動を行う前において、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の位置が図7の702の右側の図面に示す位置である場合、画像処理部15bは、基部12a4の回転動作角度が小さくなるように、時計方向回りを選択する。そして、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きをロール軸R0の向きに一致させる際、矢印RKにて示すように、基部12a4を回転させる。
【0065】
また、図7の701の両矢印R1にて示すように、物品Wがその長手方向に傾斜している場合、ロール軸R0のX方向、Y方向、およびZ方向の各方向に対するロール角度のうち、X方向に対するロール角度は発生していない。換言すれば、Y方向およびZ方向の各方向に対するロール角度は、それぞれステップS12で検出された傾斜角度RyおよびRzであり、X方向に対するロール角度は、ステップS12で検出された傾斜角度Rxと同じ0°である。そして、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、傾斜角度RyおよびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度RyおよびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0066】
その後、図7の701の右側の図面に示すように、画像処理部15bが、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3を吸着対象面に吸着させる特定吸着部を決定している場合、駆動制御部15cは、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の中心位置を物品Wの重心位置WLに一致するよう駆動部12bを制御する。換言すれば、駆動制御部15cは、ピッキングヘッド12aの基部12a4の中心位置が、物品Wの重心位置WLに一致した状態で第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3による物品Wの吸着処理を実行させる。
【0067】
また、図7の703の左側の図面に示すように、例えば、ロール軸R0が物品Wの重心位置WLを通り、傾斜方向Kに対して直交し、かつ長手方向に沿っている場合、物品Wの吸着対象面WSは、図に両矢印R2にて示すように、幅方向に傾斜する。そして、駆動制御部15cは、画像処理部15bからのロール軸R0に関するデータを用いて、吸着対象面WSとチルト軸122Aとが平行となるように、回転機構121を駆動する。
【0068】
換言すれば、図7の703の右側の図面に示すように、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0069】
また、図7の703の両矢印R2にて示すように、物品Wがその幅方向に傾斜している場合、ロール軸R0のX方向、Y方向、およびZ方向の各方向に対するロール角度のうち、Y方向に対するロール角度は発生していない。換言すれば、X方向およびZ方向の各方向に対するロール角度は、それぞれステップS12で検出された傾斜角度RxおよびRzであり、Y方向に対するロール角度は、ステップS12で検出された傾斜角度Ryと同じ0°である。そして、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、傾斜角度RxおよびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度RxおよびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0070】
その後、図7の703の右側の図面に示すように、画像処理部15bが、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3を吸着対象面に吸着させる特定吸着部を決定している場合、駆動制御部15cは、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の中心位置を物品Wの重心位置WLに一致するよう駆動部12bを制御する。換言すれば、駆動制御部15cは、ピッキングヘッド12aの基部12a4の中心位置が、物品Wの重心位置WLに一致した状態で第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3による物品Wの吸着処理を実行させる。
【0071】
また、図7の704の左側の図面に示すように、例えば、ロール軸R0が物品Wの重心位置WLを通り、傾斜方向Kに対して直交し、かつ幅方向および長手方向に各々傾斜したダイアゴナル軸に沿っている場合、物品Wの吸着対象面WSは、図に両矢印R3にて示すように、ダイアゴナル軸を中心に傾斜する。そして、駆動制御部15cは、画像処理部15bからのロール軸R0に関するデータを用いて、吸着対象面WSとチルト軸122Aとが平行となるように、回転機構121を駆動する。
【0072】
換言すれば、図7の704の右側の図面に示すように、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0073】
また、図7の705の両矢印R3にて示すように、物品Wがダイアゴナル軸を中心に傾斜している場合、ロール軸R0のX方向、Y方向、およびZ方向の各方向に対するロール角度のうち、X方向、Y方向、およびZ方向に対するロール角度が発生している。換言すれば、X方向、Y方向、およびZ方向に対するロール角度は、それぞれステップS12で検出された傾斜角度Rx、Ry、およびRzに等しい。そして、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、傾斜角度Rx、Ry、およびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度Rx、Ry、およびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0074】
その後、図7の704の右側の図面に示すように、画像処理部15bが、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3を吸着対象面に吸着させる特定吸着部を決定している場合、駆動制御部15cは、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の中心位置を物品Wの重心位置WLに一致するよう駆動部12bを制御する。換言すれば、駆動制御部15cは、ピッキングヘッド12aの基部12a4の中心位置が、物品Wの重心位置WLに一致した状態で第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3による物品Wの吸着処理を実行させる。
【0075】
(2)2つの吸着部が特定吸着部である場合の例
図8は、図4に示した第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3のうち、2つの吸着部を特定吸着部として物品Wの吸着対象面WSに吸着させた場合の具体例を説明する図である。
【0076】
画像処理部15bは、ステップS15の処理において、物品Wの吸着対象面WSの寸法に応じて、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3のうち、2つの吸着部を特定吸着部として決定した場合、さらに以下の手順によって、該特定吸着部を決定する。
【0077】
具体的にいえば、図8に示すように、画像処理部15bは、ステップS15の処理において、吸着対象面WSの寸法が第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の吸着面積の合計値よりも小さことを判別する。さらに、画像処理部15bは、吸着対象面WSの寸法がいずれか2つの吸着部の吸着面積の合計値よりも大きいことを判別する。
【0078】
次に、画像処理部15bは、吸着対象面WSの長辺WNおよび短辺WMのうち、例えば、長辺WNと直線L12とのなす角度αを求める。直線L12は、第1吸着部12a1の中心位置および第2吸着部12a2の中心位置を通る直線である。また、画像処理部15bは、長辺WNと直線L13とのなす角度βを求める。直線L13は、第1吸着部12a1の中心位置および第3吸着部12a3の中心位置を通る直線である。また、画像処理部15bは、長辺WNと直線L23とのなす角度γを求める。直線L23は、第2吸着部12a2の中心位置および第3吸着部12a3の中心位置を通る直線である。
【0079】
さらに、画像処理部15bは、求めた角度α、β、およびγを比較して、最も小さい角度である角度αを取得する。そして、画像処理部15bは、取得した角度αに対応した第1吸着部12a1および第2吸着部12a2を特定吸着部として決定する。その後、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0080】
また、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、ロール軸R0のロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rx、Ry、およびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度Rx、Ry、およびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0081】
また、駆動制御部15cは、第1吸着部12a1および第2吸着部12a2が特定吸着部に決定されている場合、第1吸着部12a1および第2吸着部12a2の中心位置が物品Wの重心位置WLに一致した状態で、第1吸着部12a1および第2吸着部12a2による物品Wの吸着処理を実行させる。なお、2つの吸着部が特定吸着部として決定されている場合は、決定された2つの吸着部の中心位置を重心位置WLに一致させた状態で、該2つの吸着部による吸着動作が行われる。
【0082】
(3)特定吸着部を変更する場合
図9は、特定吸着部を変更する場合の具体例を説明する図である。図9において、画像処理部15bは、ステップS15の処理において、複数の吸着部から選択される2以上の吸着部に外接する仮想的な外接矩形RTの寸法と吸着対象面WSの寸法とを比較する。そして、画像処理部15bは、外接矩形RTが吸着対象面WSの外郭内に収まる寸法である場合、外接矩形RT内の吸着部を特定吸着部として決定する。
【0083】
具体的にいえば、図9の左側の図面において、画像処理部15bは、例えば、第1吸着部12a1および第2吸着部12a2の外接矩形RTの寸法と吸着対象面WSの寸法との比較を行う。そして、画像処理部15bは、外接矩形RTの寸法が吸着対象面WSの寸法よりも小さい場合、つまり吸着対象面WSの外郭内に収まる寸法である場合には、上述したように、第1吸着部12a1および第2吸着部12a2を特定吸着部として決定する。
【0084】
一方、図9の左側の図面に示すように、画像処理部15bは、上述した外接矩形RTの寸法が吸着対象面WSの外郭内に収まらない寸法であることを判別した場合、該外接矩形RTに含まれた第1吸着部12a1および第2吸着部12a2を特定吸着部と決定することは不可であると判断する。換言すれば、画像処理部15bは、2つの吸着部を特定吸着部とすることができないと判断する。そして、画像処理部15bは、1つの吸着部、例えば、第1吸着部12a1の外接矩形(図示せず)の寸法と吸着対象面WSの寸法との比較を行う。
【0085】
画像処理部15bは、吸着対象面WSの寸法が第1吸着部12a1の外接矩形の寸法よりも小さいことを判別すると、該物品Wの移載作業は不可能であると判断する。そして、制御部15は、例えば、表示部16bを介して該物品Wの移載作業が不可能であることを作業者Sに報知する。
【0086】
一方、画像処理部15bは、吸着対象面WSの寸法が第1吸着部12a1の外接矩形の寸法よりも大きいことを判別すると、第1吸着部12a1にて物品Wを吸着可能と判断して、該第1吸着部12a1を特定吸着部と決定する。その後、図9の右側の図面に示すように、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0087】
また、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、ロール軸R0のロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rx、Ry、およびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度Rx、Ry、およびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0088】
また、駆動制御部15cは、第1吸着部12a1が特定吸着部に決定されている場合、この第1吸着部12a1の中心位置が物品Wの重心位置WLに一致した状態で、第1吸着部12a1による物品Wの吸着処理を実行させる。
【0089】
(4)1つの吸着部が特定吸着部である場合の例
図10は、1つの吸着部を特定吸着部として物品Wの吸着対象面WSに吸着させた場合の具体例を説明する図である。
【0090】
図10の101および102に示すように、画像処理部15bが第2吸着部12a2を特定吸着部と決定している場合、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0091】
また、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、ロール軸R0のロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rx、Ry、およびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度Rx、Ry、およびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0092】
また、駆動制御部15cは、第2吸着部12a2の中心位置が物品Wの重心位置WLに一致した状態で、第2吸着部12a2による物品Wの吸着処理を実行させる。
【0093】
図10の103および104に示すように、画像処理部15bが第3吸着部12a3を特定吸着部と決定している場合、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0094】
また、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、ロール軸R0のロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rx、Ry、およびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度Rx、Ry、およびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0095】
また、駆動制御部15cは、第3吸着部12a3の中心位置が物品Wの重心位置WLに一致した状態で、第3吸着部12a3による物品Wの吸着処理を実行させる。
【0096】
図10の105および106に示すように、画像処理部15bが第1吸着部12a1を特定吸着部と決定している場合、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの軸心Tの向きとロール軸R0の向きとが一致するように、回転機構121の回転駆動を制御する。また、駆動制御部15cは、ロール軸R0のZ方向に対するローリング角度であるロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rzに関係なく、回転機構121を回転させる。
【0097】
また、画像処理部15bは、チルト軸122Aのチルト角度として、ロール軸R0のロール角度、つまりステップS12で検出された傾斜角度Rx、Ry、およびRzを駆動制御部15cに出力する。その後、駆動制御部15cは、傾斜角度Rx、Ry、およびRzで示されるチルト角度となるように、チルト機構122をチルト制御する。
【0098】
また、駆動制御部15cは、第1吸着部12a1の中心位置が物品Wの重心位置WLに一致した状態で、第1吸着部12a1による物品Wの吸着処理を実行させる。
【0099】
(移載システム1の作用効果)
以上のように、本実施形態の移載システム1は、物品Wを吸着する第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3を含むピッキングヘッド12aを備える。移載システム1は、ピッキングヘッド12aを昇降させると共に、平面視においてピッキングヘッド12aをX方向およびY方向へ移動させる駆動部12bであって、ピッキングヘッド12aを回転させる回転機構121と、ピッキングヘッド12aを回転機構121の回転軸121Aと直交するチルト軸122A回りに傾けるチルト機構122とを有する駆動部12bを備える。移載システム1は、物品Wの画像データを取得するカメラ部13と、画像データから物品Wの姿勢を検出する画像処理部15bとを備える。移載システム1は、駆動部12bを制御する駆動制御部15cであって、物品Wの吸着対象面WSとチルト軸122Aとが平行になるように回転機構121を制御する駆動制御部15cを備える。
【0100】
以上の構成により、本実施形態の移載システム1では、ピッキングヘッド12aを物品Wにアプローチさせる際、例えば、傾斜した吸着対象面WSに対して第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3の少なくとも1つが正対するようにピッキングヘッド12aを角度調整することが可能となる。従って、本実施形態の移載システム1では、前記5軸ロボットを用いて物品Wを適切に保持することができる。
【0101】
また、本実施形態の移載システム1では、駆動制御部15cは、チルト軸122Aの向きとロール軸R0の向きとが一致するように回転機構121を制御しているので、移載部12、ひいては移載システム1の構成を簡略化することができる。具体的にいえば、ピッキングヘッド12aにおいて、基部12a4を回転する回転構造を設けて、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3を適宜回転させて物品Wを吸着させることもできる。しかしながら、本実施形態の移載システム1では、駆動制御部15cが上記のように回転機構121を制御しているので、上述の回転構造を設けることなく、第1吸着部12a1乃至第3吸着部12a3を適宜回転させて、少なくとも1つの吸着部によって物品Wを吸着可能であるからである。
【0102】
なお、上記の説明では、全ての物品Wについてロール軸R0を設定する場合について説明した。しかしながら、本発明は物品Wの吸着対象面WSとチルト軸122Aとが平行になるように回転機構121を制御するものであれば、何等限定されるものではない。
【0103】
具体的にいえば、本発明は、例えば、ステップS12で検出される傾斜角度RxおよびRyが所定角度を超える場合のみ、その物品Wのロール軸R0を設定して、チルト軸122Aの向きとロール軸R0の向きとが一致するように回転機構121を制御してもよい。また、上記傾斜角度RxおよびRyが所定角度以内である場合、ロール軸R0を設定することなく、ステップS12で検出される傾斜角度Rzをチルト角度としてチルト機構122をチルト制御する。さらに、特定吸着部の中心と吸着対象面WSの重心位置WLとを一致させた状態で、該特定吸着部によって吸着させればよい。
【0104】
また、上記の説明では、ピッキングヘッド12aにおいて、上記特定吸着部となり得る、例えば、3つの第1吸着部12a1と、第2吸着部12a2と、第3吸着部12a3とを備えた構成について説明した。しかしながら、本発明のピッキングヘッドはこれに限定されるものではなく、特定吸着部として機能する、少なくとも1つの吸着部を有するものであれば何等限定されない。
【0105】
具体的にいえば、図11に例示するように、ピッキングヘッド22aは、例えば、4つの第1吸着部22a1と、第2吸着部22a2と、第3吸着部22a3と、第4吸着部22a4と、基部12a5とを備えてもよい。なお、図11では、第1吸着部22a1、第2吸着部22a2、第3吸着部22a3、および第4吸着部22a4については、それぞれ1、2、3、および4に簡略して図示している。
【0106】
(ソフトウェアによる実現例)
移載システム1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部15に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0107】
この場合、前記装置は、前記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により前記プログラムを実行することにより、前記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0108】
前記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、前記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、前記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して前記装置に供給されてもよい。
【0109】
また、前記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、前記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより前記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0110】
また、前記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは前記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0111】
〔まとめ〕
本発明の第1態様の移載システムは、物品を吸着する吸着部を含むピッキングヘッドと、前記ピッキングヘッドを昇降させると共に、平面視において前記ピッキングヘッドを2方向へ移動させる駆動部であって、前記ピッキングヘッドを回転させる回転機構と、前記ピッキングヘッドを前記回転機構の回転軸と直交するチルト軸回りに傾けるチルト機構とを有する駆動部と、前記物品の画像データを取得するカメラ部と、前記画像データから前記物品の姿勢を検出する画像処理部と、前記駆動部を制御する駆動制御部であって、前記物品の吸着対象面と前記チルト軸とが平行になるように前記回転機構を制御する駆動制御部と、を備える。
【0112】
上記構成によれば、ピッキングヘッドを物品にアプローチさせる際、傾斜した吸着対象面に対して吸着部が正対するようにピッキングヘッドを角度調整することが可能となる。従って、5軸ロボットを用いた場合でも、物品の吸着対象面を吸着部によって確実に吸着することができる。
【0113】
本発明の第2態様は、第1態様の移載システムであって、前記画像処理部は、前記物品または前記吸着対象面の重心位置を算出して、前記物品の傾斜方向に対して直交する方向で、前記重心位置を通る軸を前記物品のロール軸に設定し、前記駆動制御部は、前記チルト軸の向きと前記ロール軸の向きとが一致するように前記回転機構を制御してもよい。
【0114】
上記構成によれば、駆動制御部は、重心位置を通るロール軸の向きに対して、チルト軸の向きが一致するように、回転機構を制御する。これにより、5軸ロボットを用いた場合でも、ピッキングヘッドの角度調整をより適切することができ、物品の吸着対象面を吸着部によって確実に吸着することができる。
【0115】
本発明の第3態様は、第1態様または第2態様の移載システムであって、前記ピッキングヘッドは、複数の前記吸着部を含み、前記画像処理部は、前記吸着対象面の寸法に応じて、複数の前記吸着部から前記吸着対象面に吸着させる特定吸着部を決定し、前記駆動制御部は、前記特定吸着部を前記吸着対象面に吸着させてもよい。
【0116】
上記構成によれば、複数の吸着部をピッキングヘッドに設けた場合において、画像処理部は吸着対象面の寸法に応じて特定吸着部を決定する。また、駆動制御部が、画像処理部によって決定された特定吸着部を吸着対象面に吸着させるように回転機構を制御する。これにより、5軸ロボットを用いた場合でも、物品の吸着対象面を特定吸着部によって確実に吸着することができる。
【0117】
本発明の第4態様は、第3態様の移載システムであって、前記画像処理部は、複数の前記吸着部から選択される2以上の前記吸着部に外接する仮想的な外接矩形の寸法と前記吸着対象面の寸法とを比較し、前記特定吸着部を決定してもよい。
【0118】
上記構成によれば、複数の吸着部をピッキングヘッドに設けた場合において、画像処理部は2以上の吸着部に外接する仮想的な外接矩形の寸法と吸着対象面の寸法とを比較して特定吸着部を決定している。これにより、複数の吸着部をピッキングヘッドに設けた場合において、5軸ロボットを用いた場合でも、特定吸着部を適切に決定することができる。この結果、物品の吸着対象面を特定吸着部によってより確実に吸着することができる。
【0119】
本発明の第5態様は、第4態様の移載システムであって、前記画像処理部は、前記外接矩形が前記吸着対象面の外郭内に収まる寸法である場合、前記外接矩形内の前記吸着部を前記特定吸着部として決定してもよい。
【0120】
上記構成によれば、複数の吸着部をピッキングヘッドに設けた場合において、画像処理部は、外接矩形が吸着対象面の外郭内に収まる寸法であることを判別すると、外接矩形内の吸着部を特定吸着部として決定する。これにより、複数の吸着部をピッキングヘッドに設けた場合において、5軸ロボットを用いた場合でも、特定吸着部をさらに適切に決定することができる。この結果、物品の吸着対象面を特定吸着部によってより確実に吸着することができる。
【0121】
本発明の第6態様は、第1態様から第5態様のいずれかの態様の移載システムであって、前記ピッキングヘッドは、第1吸着部と第2吸着部とを含み、前記ピッキングヘッドを前記昇降方向から見た場合、前記第1吸着部と前記第2吸着部とは、前記チルト軸を挟んで配置されてもよい。
【0122】
上記構成によれば、ピッキングヘッドにおいて、第1吸着部と第2吸着部とがチルト軸を挟んで配置されているので、5軸ロボットを用いた場合でも、物品の吸着対象面を第1吸着部または第2吸着部の少なくとも一方によって確実に吸着することができる。
【0123】
本発明の第7態様は、第6態様の移載システムであって、前記ピッキングヘッドは、第3吸着部をさらに含み、前記第2吸着部と前記第3吸着部とは、前記チルト軸の方向に並んで配置されてもよい。
【0124】
上記構成によれば、ピッキングヘッドにはチルト軸の方向で第2吸着部と並んで配置された第3吸着部が設けられている。これにより、5軸ロボットを用いた場合でも、物品の吸着対象面を第1吸着部、第2吸着部、または第3吸着部の少なくとも1つによって確実に吸着することができる。
【0125】
本発明の第8態様の移載システムの制御方法は、物品を吸着する吸着部を含むピッキングヘッドと、前記ピッキングヘッドを昇降させると共に、平面視において前記ピッキングヘッドを2方向へ移動させる駆動部であって、前記ピッキングヘッドを回転させる回転機構と、前記ピッキングヘッドを前記回転機構の回転軸と直交するチルト軸回りに傾けるチルト機構とを有する駆動部と、を備える移載システムの制御方法であって、前記物品の画像データを取得する取得ステップと、前記画像データから前記物品の姿勢を検出する画像処理ステップと、前記物品の吸着対象面と前記チルト軸とが平行になるように前記回転機構を制御する制御ステップと、を含む。この場合、前記第1態様と同様の効果を奏する。
【0126】
本発明の各態様に係る移載システムおよびその制御方法は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記移載システムおよびその制御方法がそれぞれ備える各部および各ステップ(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記移載システムおよびその制御方法をコンピュータにて実現させる移載システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0127】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 移載システム
12a ピッキングヘッド
12a1 第1吸着部(特定吸着部)
12a2 第2吸着部(特定吸着部)
12a3 第3吸着部(特定吸着部)
12b 駆動部
22a ピッキングヘッド
22a1 第1吸着部(特定吸着部)
22a2 第2吸着部(特定吸着部)
22a3 第3吸着部(特定吸着部)
22a4 第4吸着部(特定吸着部)
121 回転機構
121A 回転軸
122 チルト機構
122A チルト軸
W 物品
WS 吸着対象面
WL 重心位置
R0 ロール軸
RT 外接矩形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11