(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068572
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】溶液処理装置、および、溶液処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/34 20230101AFI20240513BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20240513BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240513BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C02F3/34 101B
C02F3/34 101A
C02F3/34 Z ZAB
C02F11/00 Z
C12M1/00 D
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179117
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】舩石 圭介
【テーマコード(参考)】
4B029
4D040
4D059
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029BB01
4B029FA01
4B029GB02
4D040BB02
4D040BB08
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4D040BB24
4D040BB52
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4D040BB67
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4D040DD03
4D040DD12
4D040DD14
4D040DD16
4D059AA01
4D059AA02
4D059AA03
4D059BF14
4D059DA01
4D059DA02
4D059DA45
(57)【要約】
【課題】溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制に優れた、溶液処理装置、および、溶液処理方法を実現する。
【解決手段】アルカリ処理された汚泥、および、ミネラルが共存する環境下にて、微生物による硝化反応および脱窒素反応によって、処理対象である溶液を処理する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象である溶液を収容し、当該溶液を微生物による硝化反応および脱窒素反応によって処理して処理液を得る、硝化脱窒素槽と、
上記硝化脱窒素槽から排出された上記処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理した後、当該汚泥を上記硝化脱窒素槽へ返送する、アルカリ処理槽と、
上記硝化脱窒素槽にミネラルを投入する、ミネラル投入部と、を備えている、溶液処理装置。
【請求項2】
上記硝化脱窒素槽内の上記微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つを検出する微生物検出部を備えている、請求項1に記載の溶液処理装置。
【請求項3】
上記好アルカリ性細菌は、バシラス(Bacillus)属細菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、および、クロストリジウム(Clostridium)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記硫酸還元菌は、デスルフォバルブス(Desulfobulbus)属細菌、デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)属細菌、デスルフォビブリオ(desulfovibrio)属細菌、および、デスルフォモニル(Desulfomonile)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記硫黄酸化細菌は、アロクロマチウム(Allochromatium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、および、チオバシラス(Thiobacillus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記アンモニア酸化細菌は、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属細菌、および、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記亜硝酸酸化細菌は、ニトロスピラ(Nitrospira)属細菌、および、ニトロバクター(Nitrobacter)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の溶液処理装置。
【請求項4】
上記ミネラル投入部は、上記アルカリ処理槽から上記硝化脱窒素槽へと返送される上記汚泥へ上記ミネラルを投入するものである、請求項1に記載の溶液処理装置。
【請求項5】
上記硝化脱窒素槽へ収容される前の上記溶液をアルカリ処理する前アルカリ処理槽を備えている、請求項1に記載の溶液処理装置。
【請求項6】
処理対象である溶液を硝化脱窒素槽内に収容し、当該溶液を微生物による硝化反応および脱窒素反応によって処理して処理液を得る、硝化脱窒素反応工程と、
上記硝化脱窒素槽から排出された上記処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理槽内でアルカリ処理した後、当該汚泥を上記硝化脱窒素槽へ返送する、アルカリ処理工程と、
上記硝化脱窒素槽にミネラルを投入する、ミネラル投入工程と、を有する、溶液処理方法。
【請求項7】
上記硝化脱窒素槽内の上記微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つを検出する微生物検出工程を有する、請求項6に記載の溶液処理方法。
【請求項8】
上記硫酸還元菌は、デスルフォバルブス(Desulfobulbus)属細菌、デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)属細菌、デスルフォビブリオ(desulfovibrio)属細菌、および、デスルフォモニル(Desulfomonile)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記硫黄酸化細菌は、アロクロマチウム(Allochromatium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、および、チオバシラス(Thiobacillus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記アンモニア酸化細菌は、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属細菌、および、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記亜硝酸酸化細菌は、ニトロスピラ(Nitrospira)属細菌、および、ニトロバクター(Nitrobacter)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の溶液処理方法。
【請求項9】
上記ミネラル投入工程は、上記アルカリ処理槽から上記硝化脱窒素槽へと返送される上記汚泥へ上記ミネラルを投入する工程である、請求項6に記載の溶液処理方法。
【請求項10】
上記硝化脱窒素槽へ収容される前の上記溶液をアルカリ処理する前アルカリ処理工程を有する、請求項6に記載の溶液処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液処理装置、および、溶液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な溶液(例えば、排水、下水、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥)に含まれている成分(例えば、アンモニア)は、環境汚染の原因になるため、当該成分を溶液から除去する必要がある。当該成分を除去する技術としては、例えば、微生物を用いる技術が開発されている(例えば、特許文献1~4を参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、微生物を用いた硝化脱窒素法によって汚水を浄化する技術が開示されている。当該技術では、アルカリ剤を用いたアルカリ処理が用いられている。一方、特許文献2~4には、バチルス属細菌によって汚水を浄化する技術が開示されている。当該技術では、ミネラルが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5981096号公報
【特許文献2】特許第4759557号公報
【特許文献3】特許第4922214号公報
【特許文献4】特開2005-295887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術には、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制という点において、改善の余地がある。
【0006】
本発明の一態様は、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制に優れた、溶液処理装置、および、溶液処理方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、アルカリ処理された汚泥、および、ミネラルが共存する環境下にて、微生物による硝化反応および脱窒素反応によって、処理対象である溶液を処理すれば、溶液を処理する工程で発生する臭気、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明の一態様は、以下を含む。
【0008】
<1>
処理対象である溶液を収容し、当該溶液を微生物による硝化反応および脱窒素反応によって処理して処理液を得る、硝化脱窒素槽と、
上記硝化脱窒素槽から排出された上記処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理した後、当該汚泥を上記硝化脱窒素槽へ返送する、アルカリ処理槽と、
上記硝化脱窒素槽にミネラルを投入する、ミネラル投入部と、を備えている、溶液処理装置。
【0009】
上記構成によれば、硝化脱窒素槽内に、アルカリ処理された汚泥と、ミネラルとが共存する環境が実現される。当該環境では、特定の微生物が優占する菌叢が実現される。その結果、臭気の発生を抑えることができる。より具体的に、例えば、溶液処理装置に備えられている様々な構成(例えば、硝化脱窒素槽、アルカリ処理槽、これら以外の槽)内で発生する臭気、溶液処理装置によって処理された溶液が移送される水槽(例えば、貯留槽)および処理設備からの臭気、および、処理後に得られる脱水汚泥から発生する臭気を抑えることができる。
【0010】
<2>
上記硝化脱窒素槽内の上記微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つを検出する微生物検出部を備えている、<1>に記載の溶液処理装置。
【0011】
実施例からも判るように、特定の微生物が優占する菌叢によって、臭気の発生を抑えることができる。上記構成のように硝化脱窒素槽という1つの槽の中の特定の微生物を検出すれば、溶液処理装置の全体が所望の状態で運転されているか否か、換言すれば、溶液処理装置に備えられている様々な構成(例えば、硝化脱窒素槽、アルカリ処理槽、これら以外の槽)が所望の状態で運転されているか否か、を容易に把握することができる。また、上記構成であれば、微生物検出部の検出結果を、溶液処理装置の運転条件を調節するための指標として利用することができる。
【0012】
<3>
上記好アルカリ性細菌は、バシラス(Bacillus)属細菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、および、クロストリジウム(Clostridium)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記硫酸還元菌は、デスルフォバルブス(Desulfobulbus)属細菌、デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)属細菌、デスルフォビブリオ(desulfovibrio)属細菌、および、デスルフォモニル(Desulfomonile)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記硫黄酸化細菌は、アロクロマチウム(Allochromatium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、および、チオバシラス(Thiobacillus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記アンモニア酸化細菌は、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属細菌、および、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記亜硝酸酸化細菌は、ニトロスピラ(Nitrospira)属細菌、および、ニトロバクター(Nitrobacter)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つである、<2>に記載の溶液処理装置。
【0013】
実施例からも判るように、特定の微生物が優占する菌叢によって、臭気の発生を抑えることができる。上記構成のように硝化脱窒素槽という1つの槽の中の特定の微生物を検出すれば、溶液処理装置の全体が所望の状態で運転されているか否か、換言すれば、溶液処理装置に備えられている様々な構成(例えば、硝化脱窒素槽、アルカリ処理槽、これら以外の槽)が所望の状態で運転されているか否か、を容易に把握することができる。また、上記構成であれば、微生物検出部の検出結果を、溶液処理装置の運転条件を調節するための指標として利用することができる。
【0014】
<4>
上記ミネラル投入部は、上記アルカリ処理槽から上記硝化脱窒素槽へと返送される上記汚泥へ上記ミネラルを投入するものである、<1>~<3>の何れかに記載の溶液処理装置。
【0015】
上記構成によれば、硝化脱窒素槽に容易にミネラルを投入することができるとともに、硝化脱窒素槽内で特定の微生物が優占する菌叢を容易に実現することができる。
【0016】
<5>
上記硝化脱窒素槽へ収容される前の上記溶液をアルカリ処理する前アルカリ処理槽を備えている、<1>~<4>の何れかに記載の溶液処理装置。
【0017】
上記構成によれば、硝化脱窒素槽内のpHを容易に調節することができるとともに、硝化脱窒素槽内で特定の微生物が優占する菌叢を容易に実現することができる。
【0018】
<6>
処理対象である溶液を硝化脱窒素槽内に収容し、当該溶液を微生物による硝化反応および脱窒素反応によって処理して処理液を得る、硝化脱窒素反応工程と、
上記硝化脱窒素槽から排出された上記処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理槽内でアルカリ処理した後、当該汚泥を上記硝化脱窒素槽へ返送する、アルカリ処理工程と、
上記硝化脱窒素槽にミネラルを投入する、ミネラル投入工程と、を有する、溶液処理方法。
【0019】
上記構成によれば、硝化脱窒素槽内に、アルカリ処理された汚泥と、ミネラルとが共存する環境が実現される。当該環境では、特定の微生物が優占する菌叢が実現される。その結果、臭気の発生を抑えることができる。より具体的に、例えば、溶液処理装置に備えられている様々な構成(例えば、硝化脱窒素槽、アルカリ処理槽、これら以外の槽)内で発生する臭気、溶液処理装置によって処理された溶液が移送される水槽(例えば、貯留槽)および処理設備からの臭気、および、処理後に得られる脱水汚泥から発生する臭気を抑えることができる。
【0020】
<7>
上記硝化脱窒素槽内の上記微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つを検出する微生物検出工程を有する、<6>に記載の溶液処理方法。
【0021】
実施例からも判るように、特定の微生物が優占する菌叢によって、臭気の発生を抑えることができる。上記構成のように硝化脱窒素槽という1つの槽の中の特定の微生物を検出すれば、溶液処理装置の全体が所望の状態で運転されているか否か、換言すれば、溶液処理装置に備えられている様々な構成(例えば、硝化脱窒素槽、アルカリ処理槽、これら以外の槽)が所望の状態で運転されているか否か、を容易に把握することができる。また、上記構成であれば、微生物検出部の検出結果を、溶液処理装置の運転条件を調節するための指標として利用することができる。
【0022】
<8>
上記硫酸還元菌は、デスルフォバルブス(Desulfobulbus)属細菌、デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)属細菌、デスルフォビブリオ(desulfovibrio)属細菌、および、デスルフォモニル(Desulfomonile)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記硫黄酸化細菌は、アロクロマチウム(Allochromatium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、および、チオバシラス(Thiobacillus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記アンモニア酸化細菌は、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属細菌、および、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つであり、
上記亜硝酸酸化細菌は、ニトロスピラ(Nitrospira)属細菌、および、ニトロバクター(Nitrobacter)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つである、<7>に記載の溶液処理方法。
【0023】
実施例からも判るように、特定の微生物が優占する菌叢によって、臭気の発生を抑えることができる。上記構成のように硝化脱窒素槽という1つの槽の中の特定の微生物を検出すれば、溶液処理装置の全体が所望の状態で運転されているか否か、換言すれば、溶液処理装置に備えられている様々な構成(例えば、硝化脱窒素槽、アルカリ処理槽、これら以外の槽)が所望の状態で運転されているか否か、を容易に把握することができる。また、上記構成であれば、微生物検出部の検出結果を、溶液処理装置の運転条件を調節するための指標として利用することができる。
【0024】
<9>
上記ミネラル投入工程は、上記アルカリ処理槽から上記硝化脱窒素槽へと返送される上記汚泥へ上記ミネラルを投入する工程である、<6>~<8>の何れかに記載の溶液処理方法。
【0025】
上記構成によれば、硝化脱窒素槽に容易にミネラルを投入することができるとともに、硝化脱窒素槽内で特定の微生物が優占する菌叢を容易に実現することができる。
【0026】
<10>
上記硝化脱窒素槽へ収容される前の上記溶液をアルカリ処理する前アルカリ処理工程を有する、<6>~<9>の何れかに記載の溶液処理方法。
【0027】
上記構成によれば、硝化脱窒素槽内のpHを容易に調節することができるとともに、硝化脱窒素槽内で特定の微生物が優占する菌叢を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制に優れた、溶液処理装置、および、溶液処理方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る溶液処理装置の構成の概略を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る溶液処理方法の手順を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例に係る溶液処理装置のし尿受入槽における臭気の量を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施例に係る溶液処理装置の浄化槽汚泥受入槽における臭気の量を示すグラフである。
【
図5】本発明の実施例に係る溶液処理装置のアルカリ処理槽における臭気の量を示すグラフである。
【
図6】本発明の実施例に係る溶液処理装置の滞留槽における臭気の量を示すグラフである。
【
図7】本発明の実施例に係る溶液処理装置のアルカリ処理汚泥投入槽における臭気の量を示すグラフである。
【
図8】本発明の実施例に係る溶液処理装置を設置している施設全体における臭気の量を示すグラフである。
【
図9】本発明の比較例に係る溶液処理装置にて得られた脱水汚泥から発生する臭気の量を示すグラフである。
【
図10】本発明の実施例に係る溶液処理装置にて得られた脱水汚泥から発生する臭気の量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。本明細書中、数値範囲に関して「A~B」と記載した場合、当該記載は「A以上B以下」を意図する。
【0031】
〔1.溶液処理装置〕
図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る溶液処理装置について説明する。
【0032】
本発明の一実施形態に係る溶液処理装置10は、処理対象である溶液を収容し、当該溶液を微生物による硝化反応および脱窒素反応によって処理して処理液を得る、硝化脱窒素槽1と、硝化脱窒素槽1から排出された上記処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理した後、当該汚泥を硝化脱窒素槽1へ返送する、アルカリ処理槽2と、硝化脱窒素槽1にミネラルを投入する、ミネラル投入部3と、を備えている。
【0033】
本発明の一実施形態に係る溶液処理装置10は、更に、(i)硝化脱窒素槽1へ収容される前の溶液をアルカリ処理する前アルカリ処理槽4、および/または、(ii)硝化脱窒素槽1内の微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つを検出する微生物検出部5を備えていてもよい。
【0034】
処理対象である溶液としては、限定されず、例えば、排水、下水、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥を挙げることができる。
【0035】
硝化脱窒素槽1は、微生物による硝化反応および脱窒素反応によって、収容した溶液を処理することにより、処理液を得るための構成である。硝化反応および脱窒素反応の概略を、以下に示す。
【0036】
【0037】
硝化反応は、好気的環境下にて微生物によって生じる反応であり、当該反応によって、NH4がNO2およびNO3へ変換される。一方、脱窒素反応は、嫌気的環境下にて微生物によって生じる反応であり、当該反応によって、NO3がN2へ返還される。
【0038】
硝化脱窒素槽1の具体的な構成は、限定されない。硝化脱窒素槽1は、硝化反応および脱窒素反応の両方を1つの槽の中で行う構成であってもよく、硝化反応および脱窒素反応の各々を別々の槽の中で行う構成であってもよい。
【0039】
硝化脱窒素槽1が硝化反応および脱窒素反応の両方を1つの槽の中で行う構成である場合、例えば、硝化脱窒素槽1内に空気を供給するための噴気孔を設け、硝化脱窒素槽1内へ空気を供給することによって、好気的環境下にて硝化反応を生じさせ、硝化脱窒素槽1内へ空気を供給することを停止することによって、嫌気的環境下にて脱窒素反応を生じさせることができる。
【0040】
硝化脱窒素槽1が硝化反応および脱窒素反応の各々を別々の槽の中で行う構成である場合、例えば、槽(硝化槽)内に空気を供給するための噴気孔が設けられた少なくとも1つの硝化槽、および、槽(脱窒素槽)内に空気を供給するための噴気孔が設けられていない少なくとも1つの脱窒素槽によって、硝化脱窒素槽1を構成することができる。硝化槽内へ空気を供給することによって、硝化槽内の好気的環境下にて硝化反応を生じさせ、脱窒素槽内へ空気を供給しないことによって、脱窒素槽内の嫌気的環境下にて脱窒素反応を生じさせることができる。
【0041】
硝化脱窒素槽1の上流側には、硝化脱窒素槽1に収容される前の処理対象である溶液を受け入れる受入口、受け入れた溶液に含まれる砂や石などを沈殿分離させる沈砂槽、砂や石などを沈殿分離させた溶液を一時的に滞留させるための処理対象溶液受入槽(処理対象の溶液がし尿である場合には、し尿受入槽とも呼ぶ)、受入槽の溶液に含まれるし渣を除去する前処理設備、および/または、し渣を除去した後の溶液を貯留する貯留槽を設けてもよい。処理対象溶液受入槽内では、処理対象である溶液を一時的に滞留させ、次工程に導入することができる。
【0042】
硝化脱窒素槽1の下流側には、(i)硝化脱窒素槽1から排出される処理液を受け入れて固液分離するための沈殿槽か、あるいは固液分離するための膜分離設備を浸漬した膜分離原水槽、および/または、(ii)膜分離原水槽で処理液と分離した汚泥を貯留する返送汚泥槽を設けてもよい。
【0043】
本発明の一実施形態に係る溶液処理装置10では、硝化脱窒素槽1で処理された汚泥を、硝化脱窒素槽1から、あるいは、沈殿槽、膜分離原水槽、返送汚泥槽のうち少なくとも1つ(換言すれば、硝化脱窒素槽1の後段の構成)から、上記処理対象溶液の受入口、受入槽、および/または、貯留槽へ返送することもできる。当該構成によれば、上記処理対象溶液受入槽における臭気の発生を抑制することができる。
【0044】
硝化脱窒素槽1の上流側には、他の施設などで発生した汚泥(例えば、浄化槽汚泥)を受け入れる受入口、受け入れた溶液に含まれる砂や石などを沈殿分離させる沈砂槽、砂や石などを沈殿分離させた溶液を一時的に滞留させるための汚泥受入槽(汚泥が浄化槽汚泥である場合には、浄化槽汚泥受入槽とも呼ぶ)、受入槽の溶液に含まれるし渣を除去する前処理設備、および/または、し渣を除去した後の溶液を貯留する貯留槽を設けてもよい。貯留槽内の溶液は、硝化脱窒素槽1に導入されて、処理され得る。
【0045】
本発明の一実施形態に係る溶液処理装置10では、硝化脱窒素槽1で処理された汚泥を、硝化脱窒素槽1から、あるいは沈殿槽、膜分離原水槽、返送汚泥槽のうち少なくとも1つから、上記浄化槽汚泥受入口、浄化槽汚泥受入槽、浄化槽汚泥貯留槽へ返送することもできる。当該構成によれば、上記汚泥受入槽における臭気の発生を抑制することができる。
【0046】
アルカリ処理槽2は、硝化脱窒素槽1から排出された処理液に含まれる汚泥を硝化脱窒素槽1から、あるいは、沈殿槽、膜分離原水槽、返送汚泥槽のうち少なくとも1つ(換言すれば、硝化脱窒素槽1の後段の構成)から移送してアルカリ処理した後、当該汚泥を硝化脱窒素槽1へ返送するための構成である。
【0047】
アルカリ処理槽2では、(i)硝化脱窒素槽1から排出された処理液にアルカリ剤を添加して当該処理液のpHをアルカリ性に調節することによって、処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理してもよいし、(ii)硝化脱窒素槽1から排出された処理液に含まれる汚泥を分離し、当該汚泥にアルカリ剤を添加して当該汚泥のpHをアルカリ性に調節することによって、処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理してもよい。
【0048】
上記アルカリ剤としては、特に限定されず、例えば、NaOH、KOH、Na2CO3、KCO3、Ca(OH)2、CaO、および、NaOClからなる群から選択される少なくとも1つを挙げることができる。安価でアルカリとしての強度が高く、かつ、高濃度の水溶液を入手可能で貯留や輸送が容易という利点が得られるという観点から、これらのアルカリ剤の中では、NaOH、KOH、および、NaOClが好ましい。
【0049】
上記アルカリ処理を行うときのpHとしては、特に限定されず、9.4~13.6であることが好ましく、10.5~12.5であることがより好ましく、11.6~12.5であることが更に好ましい。上記構成であれば、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制を、より良く行うことができる。
【0050】
上記アルカリ剤の使用量は、特に限定されず、アルカリ剤の種類、および/または、アルカリ処理を行うときのpHなどに基づいて、適宜、設定され得る。
【0051】
アルカリ処理槽2の下流側には、アルカリ処理槽2にてアルカリ処理された処理液を一時的に滞留させるための滞留槽を設けてもよい。当該滞留槽内では、アルカリ処理された汚泥を一定時間貯留し、汚泥から溶出した有機物の低分子化を図ることができる。また、当該構成によれば、上記滞留槽における臭気の発生を抑制することができる。
【0052】
上記滞留槽の下流側には、滞留槽で貯留された汚泥を一時的に貯蔵した後、当該汚泥を硝化脱窒素槽1へ返送するためのアルカリ処理汚泥投入槽を設けてもよい。当該構成によれば、硝化脱窒素槽1へ返送するアルカリ処理された汚泥の量を調節することができる。また、当該構成によれば、上記アルカリ処理汚泥投入槽における臭気の発生を抑制することができる。
【0053】
アルカリ処理槽2から硝化脱窒素槽1へ汚泥を返送する経路は、硝化脱窒素槽1へ汚泥を返送することができる経路であればよく、特に限定されない。例えば、硝化脱窒素槽1の上流側に配置されている任意の構成(例えば、任意の槽、任意の流路)へ汚泥を返送してもよいし、硝化脱窒素槽1へ溶液を供給するための流路へ汚泥を返送してもよいし、前アルカリ処理槽4へ汚泥を返送してもよいし、前アルカリ処理槽4から硝化脱窒素槽1へ溶液を供給するための流路へ汚泥を返送してもよいし、前アルカリ処理槽4へ溶液を供給するための流路へ汚泥を返送してもよいし、硝化脱窒素槽1へ直接汚泥を返送してもよい(例えば、
図1を参照)。
【0054】
ミネラル投入部3は、硝化脱窒素槽1にミネラルを投入するための構成である。
【0055】
上記ミネラルとしては、特に限定されず、例えば、マグネシウム、シリカ、カルシウム、鉄、マンガン、および、アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つを挙げることができる。バシラス(Bacillus)属細菌などの微生物の増殖に必要で、添加することでこれらの微生物が優占化しやすくなるという利点が得られるという観点から、これらのミネラルの中では、マグネシウム、および、シリカが好ましい。
【0056】
硝化脱窒素槽1に投入されるミネラルの量は、限定されない。例えば、硝化脱窒素槽1のBOD(Biochemical Oxygen demand)100kgあたり、0.01kg~10kg、0.01kg~5kg、または、0.1kg~1kgであってもよい。上記構成であれば、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制を、より良く行うことができる。
【0057】
ミネラル投入部3から硝化脱窒素槽1にミネラルを投入する経路は、硝化脱窒素槽1にミネラルを投入することができる経路であればよく、特に限定されない。例えば、硝化脱窒素槽1の上流側に配置されている任意の構成(例えば、任意の槽、任意の流路)へミネラルを投入してもよいし、硝化脱窒素槽1へ溶液を供給するための流路へミネラルを投入してもよいし、前アルカリ処理槽4へミネラルを投入してもよいし、前アルカリ処理槽4から硝化脱窒素槽1へ溶液を供給するための流路へミネラルを投入してもよいし、前アルカリ処理槽4へ溶液を供給するための流路へミネラルを投入してもよいし、硝化脱窒素槽1へ直接ミネラルを投入してもよいし、硝化脱窒素槽1からアルカリ処理槽2へ処理液(または、処理液に含まれる汚泥)を供給するための流路へミネラルを投入してもよいし、アルカリ処理槽2から硝化脱窒素槽1へアルカリ処理された汚泥を返送するための流路へミネラルを投入してもよい(例えば、
図1を参照)。
【0058】
ミネラル投入部3は、アルカリ処理槽2から硝化脱窒素槽1へと返送される汚泥へ上記ミネラルを投入するものであることが好ましい。上記構成であれば、硝化脱窒素槽1に容易にミネラルを投入することができるとともに、硝化脱窒素槽1内で特定の微生物が優占する菌叢を容易に実現することができる。
【0059】
微生物検出部5は、硝化脱窒素槽1内の微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つ)を検出するための構成である。
【0060】
上記好アルカリ性細菌は、バシラス(Bacillus)属細菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、および、クロストリジウム(Clostridium)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つ)であることが好ましい。
【0061】
上記硫酸還元菌は、デスルフォバルブス(Desulfobulbus)属細菌、デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)属細菌、デスルフォビブリオ(desulfovibrio)属細菌、および、デスルフォモニル(Desulfomonile)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、または、4つ)であることが好ましい。
【0062】
上記硫黄酸化細菌は、アロクロマチウム(Allochromatium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、および、チオバシラス(Thiobacillus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、または、3つ)であることが好ましい。
【0063】
上記アンモニア酸化細菌は、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属細菌、および、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、または、2つ)であることが好ましい。
【0064】
上記亜硝酸酸化細菌は、ニトロスピラ(Nitrospira)属細菌、および、ニトロバクター(Nitrobacter)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、または、2つ)であることが好ましい。
【0065】
微生物検出部5によって検出される微生物は、上述した微生物以外の微生物であって、かつ、上述した微生物と同様の能力(例えば、臭気を抑制する能力)を有する微生物、であってもよい。
【0066】
微生物検出部5の具体的な構成は、特に限定されない。微生物検出部5は、例えば、(a)硝化脱窒素槽1内の微生物、または、当該微生物を含む硝化脱窒素槽1内の溶液、を採取するための採取部のみを備えていてもよいし、(b)硝化脱窒素槽1内の微生物、または、当該微生物を含む硝化脱窒素槽1内の溶液、を採取するための採取部、および、微生物を検出するための検出部の両方を備えていてもよい。
【0067】
微生物検出部5が上述した(a)の構成である場合、溶液処理装置10の外部に存在する構成によって微生物を検出すればよい。この場合、微生物検出部5は、微生物の検出結果を微生物検出部5へ入力するための入力部を備えていてもよい。
【0068】
上記採取部の構成は、限定されず、硝化脱窒素槽1内の微生物または当該微生物を含む溶液を吸引して採取することができる、公知の構成を用いることができる。上記検出部の構成は、限定されず、例えば、菌叢を解析するための市販の解析装置(例えば、MiSeq(登録商標)システム)を用いることができる。上記入力部の構成は、限定されず、適宜、市販の構成を用いることができる。
【0069】
上記採取部、検出部、および、入力部は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えていてもよい。当該コンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えていてもよい。上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0070】
微生物の検出結果は、溶液処理装置10の運転条件を調節するための指標として利用され得る。例えば、微生物の検出結果は、微生物検出部5から、アルカリ処理槽2、および/または、ミネラル投入部3へ送られ得る(
図1を参照)。
【0071】
アルカリ処理槽2では、微生物の検出結果に基づいて、例えば、アルカリ剤の種類、アルカリ剤の使用量、および/または、アルカリ処理を行うときのpHを調節することによって、溶液処理装置10の運転条件を調節してもよい。当該構成によれば、特定の微生物が優占する菌叢を、より容易に実現することができる。
【0072】
ミネラル投入部では、微生物の検出結果に基づいて、例えば、ミネラルの種類、および/または、ミネラルの使用量を調節することによって、溶液処理装置10の運転条件を調節してもよい。当該構成によれば、特定の微生物が優占する菌叢を、より容易に実現することができる。
【0073】
微生物の検出結果に基づいて、硝化脱窒素槽1へ収容する溶液の量、供給する酸素の量、汚泥引抜量、および/または、pHを調節してもよい。当該構成によれば、特定の微生物が優占する菌叢を、より容易に実現することができる。
【0074】
上記のように微生物の検出結果に基づいて溶液処理装置10の運転条件を調節すれば、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制を、より良く行うことができる。
【0075】
前アルカリ処理槽4は、硝化脱窒素槽1へ収容される前の溶液をアルカリ処理するための構成である。前アルカリ処理槽は、硝化脱窒素槽1へ収容される前の溶液の全部、または、硝化脱窒素槽1へ収容される前の溶液の一部をアルカリ処理するための構成であり得る。
【0076】
前アルカリ処理槽4では、硝化脱窒素槽1へ収容される前の溶液にアルカリ剤を添加して当該溶液のpHをアルカリ性に調節することによって、硝化脱窒素槽1へ収容される前の溶液をアルカリ処理してもよい。
【0077】
上記アルカリ剤、上記アルカリ処理を行うときのpH、および、上記アルカリ剤の使用量は、特に限定されず、アルカリ処理槽2にて用いるアルカリ剤、アルカリ処理を行うときのpH、および、アルカリ剤の使用量の各々を、前アルカリ処理槽4にても用い得る。
【0078】
〔2.溶液処理方法〕
図1および
図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る溶液処理方法について説明する。
【0079】
本発明の一実施形態に係る溶液処理方法は、処理対象である溶液を硝化脱窒素槽1内に収容し、当該溶液を微生物による硝化反応および脱窒素反応によって処理して処理液を得る、硝化脱窒素反応工程S1と、硝化脱窒素槽1から排出された上記処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理槽2内でアルカリ処理した後、当該汚泥を硝化脱窒素槽1へ返送する、アルカリ処理工程S2と、硝化脱窒素槽1にミネラルを投入する、ミネラル投入工程S3と、を有する。
【0080】
ミネラル投入工程S3は、アルカリ処理槽2から硝化脱窒素槽1へと返送される汚泥へミネラルを投入する工程であってもよい。
【0081】
本発明の一実施形態に係る溶液処理方法は、更に、(i)硝化脱窒素槽1へ収容される前の溶液をアルカリ処理する前アルカリ処理工程S4、および/または、(ii)硝化脱窒素槽1内の上記微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つを検出する微生物検出工程S5を有してもよい。
【0082】
硝化脱窒素反応工程S1、アルカリ処理工程S2、ミネラル投入工程S3、前アルカリ処理工程S4、および、微生物検出工程S5は、各々、上述した硝化脱窒素槽1、アルカリ処理槽2、ミネラル投入部3、前アルカリ処理槽4、および、微生物検出部5によって行われ得る。
【0083】
本発明の一実施形態に係る溶液処理方法の各構成に関し、上述した〔1.溶液処理装置〕欄で既に説明した事項については、ここでは、その説明を省略する。
【0084】
微生物検出工程S5では、硝化脱窒素槽1内の上記微生物に含まれる好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つ)を検出する。
【0085】
上記好アルカリ性細菌は、バシラス(Bacillus)属細菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、および、クロストリジウム(Clostridium)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または、5つ)であることが好ましい。
【0086】
上記硫酸還元菌は、デスルフォバルブス(Desulfobulbus)属細菌、デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)属細菌、デスルフォビブリオ(desulfovibrio)属細菌、および、デスルフォモニル(Desulfomonile)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、または、4つ)であることが好ましい。
【0087】
上記硫黄酸化細菌は、アロクロマチウム(Allochromatium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、および、チオバシラス(Thiobacillus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、または、3つ)であることが好ましい。
【0088】
上記アンモニア酸化細菌は、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属細菌、および、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、または、2つ)であることが好ましい。
【0089】
上記亜硝酸酸化細菌は、ニトロスピラ(Nitrospira)属細菌、および、ニトロバクター(Nitrobacter)属細菌からなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、または、2つ)であることが好ましい。
【0090】
微生物検出工程S5で検出される微生物は、上述した微生物以外の微生物であって、かつ、上述した微生物と同様の能力(例えば、臭気を抑制する能力)を有する微生物、であってもよい。
【0091】
微生物の検出結果は、溶液処理装置10の運転条件を調節するための指標として利用され得る(溶液処理装置運転条件調節工程)。例えば、微生物の検出結果は、微生物検出部5から、アルカリ処理槽2、および/または、ミネラル投入部3へ送られ得る(
図1を参照)。
【0092】
アルカリ処理槽2では、微生物の検出結果に基づいて、例えば、アルカリ剤の種類、アルカリ剤の使用量、および/または、アルカリ処理を行うときのpHを調節することによって、溶液処理装置10の運転条件を調節してもよい(アルカリ処理槽運転条件調節工程)。
【0093】
ミネラル投入部では、微生物の検出結果に基づいて、例えば、ミネラルの種類、および/または、ミネラルの使用量を調節することによって、溶液処理装置10の運転条件を調節してもよい(ミネラル投入部運転条件調節工程)。
【0094】
微生物の検出結果に基づいて、硝化脱窒素槽1へ収容する溶液の量、供給する酸素の量、汚泥引抜量、および/または、pHを調節してもよい。
【0095】
上記のように微生物の検出結果に基づいて溶液処理装置10の運転条件を調節すれば、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制を、より良く行うことができる。
【0096】
上述した〔1.溶液処理装置〕欄にて説明したように、硝化脱窒素槽1の上流側には、硝化脱窒素槽1に収容される前の処理対象である溶液を受け入れる受入口、受け入れた溶液に含まれる砂や石などを沈殿分離させる沈砂槽、砂や石などを沈殿分離させた溶液を一時的に滞留させるための処理対象溶液受入槽(処理対象の溶液がし尿である場合には、し尿受入槽)、受入槽の溶液に含まれるし渣を除去する前処理設備、および/または、し渣を除去した後の溶液を貯留する貯留槽を設けてもよい。更に、本発明の一実施形態に係る溶液処理装置10では、硝化脱窒素槽1で処理された汚泥を、上記処理対象溶液の受入口、受入槽、および/または、貯留槽へ返送することもできる。
【0097】
当該構成に基づいて、本発明の一実施形態に係る溶液処理方法は、硝化脱窒素槽1で処理された汚泥を処理対象溶液の受入口、受入槽、および/または、貯留槽へ返送する返送工程Aを有してもよい。
【0098】
上述した〔1.溶液処理装置〕欄にて説明したように、硝化脱窒素槽1の上流側には、他の施設などで発生した汚泥(例えば、浄化槽汚泥)を受け入れる受入口、受け入れた溶液に含まれる砂や石などを沈殿分離させる沈砂槽、砂や石などを沈殿分離させた溶液を一時的に滞留させるための汚泥受入槽(汚泥が浄化槽汚泥である場合には、浄化槽汚泥受入槽)、受入槽の溶液に含まれるし渣を除去する前処理設備、および/または、し渣を除去した後の溶液を貯留する貯留槽を設けてもよい。更に、本発明の一実施形態に係る溶液処理装置10では、硝化脱窒素槽1で処理された汚泥を、硝化脱窒素槽1から、あるいは、沈殿槽、膜分離原水槽、返送汚泥槽のうち少なくとも1つ(換言すれば、硝化脱窒素槽1の後段の構成)から、上記浄化槽汚泥受入口、浄化槽汚泥受入槽、浄化槽汚泥貯留槽へ返送することもできる。
【0099】
当該構成に基づいて、本発明の一実施形態に係る溶液処理方法は、硝化脱窒素槽1で処理された汚泥を、硝化脱窒素槽1から、あるいは、沈殿槽、膜分離原水槽、返送汚泥槽のうち少なくとも1つ(換言すれば、硝化脱窒素槽1の後段の構成)から、浄化槽汚泥受入口、浄化槽汚泥受入槽、浄化槽汚泥貯留槽へ返送する返送工程Bを有してもよい。
【0100】
上述した〔1.溶液処理装置〕欄にて説明したように、アルカリ処理槽2の下流側には、アルカリ処理槽2にてアルカリ処理された処理液を一時的に滞留させるための滞留槽を設けてもよい。当該滞留槽内では、アルカリ処理された汚泥を一定時間貯留し、汚泥から溶出した有機物の低分子化を図ることができる。
【0101】
当該構成に基づいて、本発明の一実施形態に係る溶液処理方法は、アルカリ処理された汚泥を分離する(例えば、アルカリ処理された汚泥を溶液・液体から分離する)分離工程を有してもよい。
【0102】
上述した〔1.溶液処理装置〕欄にて説明したように、上記滞留槽の下流側には、滞留槽で貯留された汚泥を一時的に貯蔵した後、当該汚泥を硝化脱窒素槽1へ返送するためのアルカリ処理汚泥投入槽を設けてもよい。当該構成によれば、硝化脱窒素槽1へ返送するアルカリ処理された汚泥の量を調節することができる。
【0103】
当該構成に基づいて、本発明の一実施形態に係る溶液処理方法は、硝化脱窒素槽1へ返送するアルカリ処理された汚泥の量を調節する返送量調節工程を有してもよい。
【0104】
本発明の一実施形態に係る溶液処理装置および溶液処理方法によれば、溶液を処理する工程で発生する臭気の抑制、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気の抑制を実現することができる。それ故に、本発明の一実施形態に係る溶液処理装置および溶液処理方法は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標6「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」、目標11「住み続けられるまちづくりを」等の達成にも貢献することができる。
【実施例0105】
<1.溶液処理装置の設計、および、運転条件>
本実施例では、
図1に記載の硝化脱窒素槽1、アルカリ処理槽2、および、ミネラル投入部3を備え、更に、上記〔1.溶液処理装置〕にて説明した処理対象溶液受入槽(し尿受入槽、浄化槽汚泥受入槽)、滞留槽、アルカリ処理汚泥投入槽、膜分離原水槽、および、返送汚泥槽を備えた、溶液処理装置10を用いた。
【0106】
アルカリ剤としては、NaOHを用いた。アルカリ処理槽2にて、略pH11.5の条件下、2.5時間、処理液に含まれる汚泥をアルカリ処理した。アルカリ処理された汚泥を、アルカリ処理槽2の下流側にある、滞留槽・アルカリ処理汚泥投入槽へ送った。
【0107】
ミネラルとしては、マグネシウムとシリカとを主成分とするミネラル剤(中央バチルワールド製 ブルーミネラルBM-B)を用いた。当該ミネラルを、BOD100kgあたり略1kg、アルカリ処理汚泥投入槽へ加えた。
【0108】
アルカリ処理汚泥投入槽内の汚泥を、硝化脱窒素槽1へ返送するとともに、処理対象溶液受入槽(し尿受入槽)へ返送した。
【0109】
<2.溶液処理装置の各構成における臭気の発生に関する試験結果>
溶液処理装置10を運転してし尿を処理し、溶液処理装置10の各構成(具体的に、し尿受入槽、浄化槽汚泥受入槽、アルカリ処理槽2、滞留槽、アルカリ処理汚泥投入槽、溶液処理装置10を設置している施設全体)における臭気(具体的に、H2S、NH3、メルカプタン類)の量を測定した。なお、臭気の量は、市販の測定装置を用いて測定した。
【0110】
図3に、し尿受入槽における臭気の量を示す。
図3において、「改造前」は、し尿受入槽への汚泥の返送を開始する前の試験結果を示し、「改造後」は、し尿受入槽への汚泥の返送を開始した後の試験結果を示し、「馴致後」は、し尿受入槽への汚泥の返送を開始した後であって、返送される汚泥の品質が安定化するまで十分に時間が経過した後の試験結果を示す。
【0111】
図3から明らかなように、し尿受入槽では、汚泥を返送することによって、臭気(特にH
2SおよびNH
3)の発生を抑制することができた。
【0112】
図4に、浄化槽汚泥受入槽における臭気の量を示す。
図4において、「改造前」は、浄化槽汚泥受入槽への汚泥の返送を開始する前の試験結果を示し、「改造後」は、し尿受入槽への汚泥の返送を開始した後の試験結果を示し、「馴致後」は、し尿受入槽への汚泥の返送を開始した後であって、返送される汚泥の品質が安定化するまで十分に時間が経過した後の試験結果を示す。
【0113】
図4から明らかなように、浄化槽汚泥受入槽では、汚泥を返送していないため、し尿受入槽のような臭気の発生を抑制することができなかった。
【0114】
図5に、アルカリ処理槽2における臭気の量を示す。
図5において、「改造前」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始する前の試験結果を示し、「改造後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後の試験結果を示し、「馴致後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後であって、返送される汚泥の品質が安定化するまで十分に時間が経過した後の試験結果を示す。
【0115】
図5から明らかなように、アルカリ処理槽2では、汚泥を返送することによって、臭気(特にNH
3)の発生を抑制することができた。
【0116】
図6に、滞留槽における臭気の量を示す。
図6において、「改造前」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始する前の試験結果を示し、「改造後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後の試験結果を示し、「馴致後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後であって、返送される汚泥の品質が安定化するまで十分に時間が経過した後の試験結果を示す。
【0117】
図6から明らかなように、滞留槽では、汚泥を返送することによって、臭気(特にNH
3)の発生を抑制することができた。
【0118】
図7に、アルカリ処理汚泥投入槽における臭気の量を示す。
図7において、「改造前」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始する前の試験結果を示し、「改造後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後の試験結果を示し、「馴致後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後であって、返送される汚泥の品質が安定化するまで十分に時間が経過した後の試験結果を示す。
【0119】
図7から明らかなように、アルカリ処理汚泥投入槽では、汚泥を返送することによって、臭気(特にH
2S、および、NH
3)の発生を抑制することができた。
【0120】
図8に、溶液処理装置10を設置している施設全体における臭気の量を示す。
図8において、「改造前」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始する前の試験結果を示し、「改造後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後の試験結果を示し、「馴致後」は、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後であって、返送される汚泥の品質が安定化するまで十分に時間が経過した後の試験結果を示す。
【0121】
図8から明らかなように、溶液処理装置10を設置している施設全体では、汚泥を返送することによって、臭気(特にH
2S、および、NH
3)の発生を抑制することができた。
【0122】
<3.脱水汚泥における臭気の発生に関する試験結果>
返送汚泥槽から引き抜かれた余剰汚泥および膜分離設備で分離された膜分離液に対して凝集沈殿槽で沈殿分離した凝集汚泥を貯留する汚泥貯留槽内の溶液から液体を除去して得られる脱水汚泥における臭気(具体的に、H2S、NH3、メルカプタン類)の量を測定した。なお、臭気の量は、市販の測定装置を用いて測定した。
【0123】
図9に、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始する前に得られた脱水汚泥の試験結果を示し、
図10に、硝化脱窒素槽1への汚泥の返送を開始した後であって、返送される汚泥の品質が安定化するまで十分に時間が経過した後に得られた脱水汚泥の試験結果を示す。
【0124】
図9および
図10から明らかなように、本発明の実施例に係る溶液処理装置によって得られた脱水汚泥は、長時間が経過した後であっても、臭気が抑制されることが明らかになった。このことは、特別な脱臭装置が無くても、脱水汚泥を長時間にわたって、保存および運搬できることを示している。
【0125】
<4.菌叢の解析結果>
本実施例の溶液処理装置10を、アルカリ処理汚泥投入槽内の汚泥を、硝化脱窒素槽1へ返送するとともに、処理対象溶液受入槽(し尿受入槽)へ返送しながら、硝化脱窒素槽1内の状態が安定するまで、長期間にわたって運転した。
【0126】
その後、硝化脱窒素槽1内の処理液を採取し、当該処理液に含まれる微生物の菌叢を、Illumina社製のMiSeq装置を用いてアンプリコンシーケンス解析した。
【0127】
試験の結果、硝化脱窒素槽1内の処理液には、好アルカリ性細菌、硫酸還元菌、硫黄酸化細菌、アンモニア酸化細菌、および、亜硝酸酸化細菌が多く存在していることが明らかになった。
【0128】
更に詳細に解析したところ、(1)好アルカリ性細菌としては、バシラス(Bacillus)属細菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、および、クロストリジウム(Clostridium)属細菌が多く存在し、(2)硫酸還元菌としては、デスルフォバルブス(Desulfobulbus)属細菌、デスルフォミクロビウム(Desulfomicrobium)属細菌、デスルフォビブリオ(desulfovibrio)属細菌、および、デスルフォモニル(Desulfomonile)属細菌が多く存在し、(3)硫黄酸化細菌としては、アロクロマチウム(Allochromatium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、および、チオバシラス(Thiobacillus)属細菌が多く存在し、(4)アンモニア酸化細菌としては、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属細菌、および、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)属細菌が多く存在し、(5)亜硝酸酸化細菌としては、ニトロスピラ(Nitrospira)属細菌、および、ニトロバクター(Nitrobacter)属細菌が多く存在することが明らかになった。
【0129】
つまり、上述した微生物が多く存在する環境下であれば、溶液を処理する工程で発生する臭気、および、溶液を処理する工程で得られる脱水汚泥から発生する臭気を抑制できることが明らかになった。