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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068586
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6582 20110101AFI20240513BHJP
【FI】
H01R13/6582
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179148
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(72)【発明者】
【氏名】菅野 勇輝
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB01
5E021FB07
5E021FC19
5E021LA09
5E021LA14
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】シェルのシールド効果の低下を抑制する。
【解決手段】コネクタ装置1はプラグ8およびレセプタクル51を備え、プラグ8はシールド付きツイストペアケーブルに取り付けられ、プラグ8の嵌合部9には、プラグ端子が収容された絶縁部材の外周部を上方から覆い、ケーブルのシールドに電気的に接続された上シールド部材と、絶縁部材の外周部を下方から覆い、ケーブルのシールドに電気的に接続された下シールド部材とが設けられ、レセプタクル51は、そのハウジングの外周側を覆うシェル61を有し、シェル61には、プラグ8がレセプタクル51に嵌合されたときに上シールド部材の上端子シールド部22に接触する上接触片62と、プラグ8がレセプタクル51に嵌合されたときに下シールド部材の下端子シールド部32に接触する下接触片63と、基板6のグランド部に接続されるグランド接続部64とが設けられている。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁電線および前記絶縁電線を覆うシールドを備えたケーブルに取り付けられる第1のコネクタと、基板に取り付けられ、前記第1のコネクタと嵌合する第2のコネクタとを備えたコネクタ装置であって、
前記第1のコネクタは、
前記第2のコネクタと嵌合する嵌合部を有し、
前記嵌合部には、
前記絶縁電線が接続される第1の端子と、
前記第1の端子の外周側を覆う絶縁部材と、
導電材料により形成され、前記絶縁部材の外周部を一方から覆い、前記シールドに電気的に接続された第1のシールド部材と、
導電材料により形成され、前記絶縁部材の外周部を他方から覆い、前記シールドに電気的に接続された第2のシールド部材とが設けられ、
前記第2のコネクタは、
絶縁材料により形成され、前記嵌合部が嵌合される嵌合穴が設けられたハウジングと、
前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第1の端子と接触する第2の端子と、
導電材料により形成され、前記ハウジングの外周側を覆うシェルとを有し、
前記シェルには、
前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第1のシールド部材に接触する第1の接触部と、
前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第2のシールド部材に接触する第2の接触部と、
前記基板のグランド部に接続されるグランド接続部とが設けられていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記嵌合部において、前記第1のシールド部材の縁側部分および前記第2のシールド部材の縁側部分は互いに接近し、かつ互いに隣り合うように配置され、
前記第1の接触部および前記第2の接触部は、前記シェルにおいて、前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第1のシールド部材の前記縁側部分と前記第2のシールド部材の前記縁側部分との境界に対応する部分である境界対応部分に、互いに接近し、かつ互いに隣り合うように配置され、
前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに、前記第1の接触部は前記第1のシールド部材の前記縁側部分に接触し、前記第2の接触部は前記第2のシールド部材の前記縁側部分に接触することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記ハウジングにおいて、前記嵌合穴の外周側部分であって、前記シェルの前記境界対応部分に対応する部分には、当該部分を貫通する穴または切り欠きである貫通部が設けられ、
前記第1の接触部および前記第2の接触部は、前記シェルから前記貫通部を通って前記嵌合穴内へ、それぞれ直線状に、かつ互いに平行に伸長していることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第1の接触部において当該第1の接触部と前記シェルとの結合位置から当該第1の接触部の先端までの長さと、前記第2の接触部において当該第2の接触部と前記シェルとの結合位置から当該第2の接触部の先端までの長さとは互いに等しいことを特徴とする請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第1のコネクタは前記第2のコネクタに前記第2のコネクタの前方から嵌合され、
前記ハウジングは四角柱状に形成され、
前記嵌合穴は前記ハウジングの前面に開口し、かつ後方に伸長し、
前記貫通部は前記ハウジングにおいて前記嵌合穴の外周側部分の左右方向一側部分および左右方向他側部分のうちの少なくとも左右方向一側部分に設けられ、
前記シェルは前記ハウジングの左右方向一側の外面および左右方向他側の外面をそれぞれ覆う2つの側壁、および前記ハウジングの上側の外面を覆う上壁を有し、
前記第1の接触部および前記第2の接触部は前記シェルの前記2つの側壁のうちの少なくとも前記ハウジングの左右方向一側の外面を覆う側壁において前記貫通部に対応する部分に設けられ、
前記第1の接触部および前記第2の接触部は上下方向に並び、
前記第2のコネクタの側方視において、前記第1の接触部および前記第2の接触部は前記シェルから前記貫通部を通って前記嵌合穴内へ前後方向に伸長し、
前記グランド接続部は前記シェルの前記2つの側壁のうちの少なくとも前記ハウジングの左右方向一側の外面を覆う側壁の下端に設けられ、
前記グランド接続部は前記第1の接触部および前記第2の接触部の垂直方向下側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記第1のコネクタはその前部が前記第2のコネクタに嵌合され、
前記嵌合部は前記第1のコネクタの前部に配置され、
前記第1のシールド部材は前記絶縁部材の外周部を上方から覆い、前記第2のシールド部材は前記絶縁部材の外周部を下方から覆い、
前記第1のシールド部材の前記縁側部分および前記第2のシールド部材の前記縁側部分は、前記絶縁部材の左右方向一側の側面および左右方向他側の側面のうちの少なくとも前記絶縁部材の左右方向一側の側面の左右方向一側に、互いに接近し、かつ上下方向に互いに隣り合うように配置されていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記ケーブルを備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のコネクタ装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁電線およびシールドを備えたケーブルに取り付けられる第1のコネクタと、基板に取り付けられ、第1のコネクタと嵌合する第2のコネクタとを備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシールド付きツイストペアケーブル等、絶縁電線および絶縁電線を覆うシールドを備えたシールドケーブルは、電気・電子機器間における高周波信号の伝送に用いられる。シールドケーブルにおけるシールドは、ケーブルを介して電気・電子機器へノイズが侵入すること、およびケーブルを介して電気・電子機器からノイズが放射されることを抑える機能を有している。
【0003】
また、シールドケーブルに取り付けられるコネクタの多くは、ケーブルの絶縁電線が接続される端子、端子の外周側を覆う絶縁部材、および絶縁部材の外周側を覆うシェル(またはシールド部材)を備えている。シェルは、導電材料により形成され、シールドケーブルのシールドと電気的に接続される。また、当該コネクタが、基板に取り付けられた相手コネクタに嵌合されたとき、シェルは、相手コネクタが有する導電部に接触し、その導電部を介して基板のグランド部に電気的に接続される。シェルは、コネクタを介して電気・電子機器へノイズが侵入すること、およびコネクタを介して電気・電子機器からノイズが放射されることを抑える機能を有している。
【0004】
特開2009-37826号公報(特許文献1)には、シールドケーブルに取り付けられるコネクタであって、シェルを有するものの一例が記載されている。詳しくは、特開2009-37826号公報に記載されたシールドコネクタ(1)は、シールドツイストペア電線(W)に取り付けられている。シールドコネクタ(1)は、内導体端子(2)、内導体端子(2)を収容するインナーハウジング(3)、およびインナーハウジング(3)を収容する外導体シェル(4)を有している。また、外導体シェル(4)は、外導体ケース(5)と外導体カバー(6)に分割されており、外導体カバー(6)は外導体ケース(5)に、折り曲げ片(6c)および係合片(5d)を介して組み付けられるようになっている。また、外導体ケース(5)および外導体カバー(6)は、シールドツイストペア電線(W)のシールド導体(Wd)に電気的に接続されている。なお、丸括弧内の符号は特開2009-37826号公報に記載されている符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-37826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2009-37826号公報に記載されたコネクタは、シェルがケースとカバーに分割され、ケースにカバーが係合片等を介して組み付けられることによってシェルが形成される構成となっている。そのため、シェルのケースおよびカバーのそれぞれに互いに別々の電気経路が形成されるおそれがある。
【0007】
特開2009-37826号公報に記載されたコネクタが、基板に取り付けられた相手コネクタと嵌合したとき、シェルのケースおよびカバーのうち、例えばケースのみが相手コネクタの導電部に接触し、その導電部を介して基板のグランド部に接続されたとする。この場合、シェルのケースは相手コネクタの導電部に直接接続されるのに対し、シェルのカバーはシェルのケースを介して相手コネクタの導電部に接続される。したがって、シェルのカバーから基板のグランド部に至る電気経路が、シェルのケースから基板のグランド部に至る電気経路と比較して長くなり、インダクタンスが増加する。その結果、シェルのカバーの電位が、シェルのケースの電位と比較して不安定になるおそれがある。そのため、シェルのシールド効果、すなわち、シェルによりノイズの放射および浸入を抑える効果が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、シェルのシールド効果の低下を抑制することができるコネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタ装置の第1の態様は、絶縁電線および前記絶縁電線を覆うシールドを備えたケーブルに取り付けられる第1のコネクタと、基板に取り付けられ、前記第1のコネクタと嵌合する第2のコネクタとを備えたコネクタ装置であって、前記第1のコネクタは、前記第2のコネクタと嵌合する嵌合部を有し、前記嵌合部には、前記絶縁電線が接続される第1の端子と、前記第1の端子の外周側を覆う絶縁部材と、導電材料により形成され、前記絶縁部材の外周部を一方から覆い、前記シールドに電気的に接続された第1のシールド部材と、導電材料により形成され、前記絶縁部材の外周部を他方から覆い、前記シールドに電気的に接続された第2のシールド部材とが設けられ、前記第2のコネクタは、絶縁材料により形成され、前記嵌合部が嵌合される嵌合穴が設けられたハウジングと、前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第1の端子と接触する第2の端子と、導電材料により形成され、前記ハウジングの外周側を覆うシェルとを有し、前記シェルには、前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第1のシールド部材に接触する第1の接触部と、前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第2のシールド部材に接触する第2の接触部と、前記基板のグランド部に接続されるグランド接続部とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコネクタ装置の第2の態様は、上記本発明のコネクタ装置の第1の態様の構成を有し、さらに、前記嵌合部において、前記第1のシールド部材の縁側部分および前記第2のシールド部材の縁側部分は互いに接近し、かつ互いに隣り合うように配置され、前記第1の接触部および前記第2の接触部は、前記シェルにおいて、前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに前記第1のシールド部材の前記縁側部分と前記第2のシールド部材の前記縁側部分との境界に対応する部分である境界対応部分に、互いに接近し、かつ互いに隣り合うように配置され、前記嵌合部が前記嵌合穴に嵌合されたときに、前記第1の接触部は前記第1のシールド部材の前記縁側部分に接触し、前記第2の接触部は前記第2のシールド部材の前記縁側部分に接触する構成を有している。
【0011】
また、本発明のコネクタ装置の第3の態様は、上記本発明のコネクタ装置の第2の態様の構成を有し、さらに、前記ハウジングにおいて、前記嵌合穴の外周側部分であって、前記シェルの前記境界対応部分に対応する部分には、当該部分を貫通する穴または切り欠きである貫通部が設けられ、前記第1の接触部および前記第2の接触部は、前記シェルから前記貫通部を通って前記嵌合穴内へ、それぞれ直線状に、かつ互いに平行に伸長している構成を有している。また、本発明のコネクタ装置の第3の態様において、前記第1の接触部において当該第1の接触部と前記シェルとの結合位置から当該第1の接触部の先端までの長さと、前記第2の接触部において当該第2の接触部と前記シェルとの結合位置から当該第2の接触部の先端までの長さとは互いに等しいこととしてもよい。
【0012】
また、本発明のコネクタ装置の第4の態様は、上記本発明のコネクタ装置の第3の態様の構成を有し、さらに次の構成を有している。前記第1のコネクタは前記第2のコネクタに前記第2のコネクタの前方から嵌合され、前記ハウジングは四角柱状に形成され、前記嵌合穴は前記ハウジングの前面に開口し、かつ後方に伸長し、前記貫通部は前記ハウジングにおいて前記嵌合穴の外周側部分の左右方向一側部分および左右方向他側部分のうちの少なくとも左右方向一側部分に設けられ、前記シェルは前記ハウジングの左右方向一側の外面および左右方向他側の外面をそれぞれ覆う2つの側壁、および前記ハウジングの上側の外面を覆う上壁を有し、前記第1の接触部および前記第2の接触部は前記シェルの前記2つの側壁のうちの少なくとも前記ハウジングの左右方向一側の外面を覆う側壁において前記貫通部に対応する部分に設けられ、前記第1の接触部および前記第2の接触部は上下方向に並び、前記第2のコネクタの側方視において、前記第1の接触部および前記第2の接触部は前記シェルから前記貫通部を通って前記嵌合穴内へ前後方向に伸長し、前記グランド接続部は前記シェルの前記2つの側壁のうちの少なくとも前記ハウジングの左右方向一側の外面を覆う側壁の下端に設けられ、前記グランド接続部は前記第1の接触部および前記第2の接触部の垂直方向下側に配置されている。また、前記第1のコネクタはその前部が前記第2のコネクタに嵌合され、前記嵌合部は前記第1のコネクタの前部に配置され、前記第1のシールド部材は前記絶縁部材の外周部を上方から覆い、前記第2のシールド部材は前記絶縁部材の外周部を下方から覆い、前記第1のシールド部材の前記縁側部分および前記第2のシールド部材の前記縁側部分は、前記絶縁部材の左右方向一側の側面および左右方向他側の側面のうちの少なくとも前記絶縁部材の左右方向一側の側面の左右方向一側に、互いに接近し、かつ上下方向に互いに隣り合うように配置されている。
【0013】
また、本発明のコネクタ装置の第5の態様は、上記本発明のコネクタ装置の第1ないし第4のいずれかの態様の構成を有し、さらに、前記ケーブルを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シェルのシールド効果の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態のコネクタ装置を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態のコネクタ装置におけるプラグを示す斜視図である。
図3図2中のプラグにおいてプラグハウジングを除いた部分を示す斜視図である。
図4図2中のプラグにおいてプラグハウジングを除いた部分を分解した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態のコネクタ装置におけるプラグ(プラグハウジングを除いた部分)の断面図であり、(A)は、当該プラグを、当該プラグの軸線を含み、前後方向および左右方向に拡がる平面で切断し、その切断したプラグの断面を上から見た状態を示し、(B)は、図5(A)中の切断線V-Vに沿って切断したプラグの断面を右から見た状態を示している。
図6】本発明の実施形態のコネクタ装置のプラグにおいてプラグハウジングおよび下シールド部材を除いた部分を示す外観図であり、(A)は、当該プラグにおいてプラグハウジングおよび下シールド部材を除いた部分を右から見た状態を示し、(B)は当該プラグにおいてプラグハウジングおよび下シールド部材を除いた部分を下から見た状態を示している。
図7】本発明の実施形態のコネクタ装置におけるレセプタクルを左前上から見た状態を示す斜視図である。
図8図7中のレセプタクルを左後ろ下から見た状態を示す斜視図である。
図9図7中のレセプタクルを分解した状態を示す斜視図である。
図10図7中のレセプタクルを左から見た状態を示す外観図である。
図11図10中の切断線XI-XIに沿って切断したレセプタクルの断面を上から見た状態を示す断面図である。
図12】本発明の実施形態のコネクタ装置のプラグとレセプタクルとの嵌合時において、プラグの上シールド部材および下シールド部材とレセプタクルのシェルとの接続を示す説明図である。
図13】本発明の実施形態のコネクタ装置におけるレセプタクルのシェルの変形例を示す説明図である。
図14】本発明の実施形態のコネクタ装置におけるプラグの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しながら説明する。実施形態について前(Fd)、後(Bd)、上(Ud)、下(Dd)、左(Ld)、右(Rd)の方向を述べる際には、図1~14中の下側に描いた矢印に従う。
【0017】
(コネクタ装置)
図1は本発明の実施形態であるコネクタ装置1を示している。図1に示すように、コネクタ装置1は、プラグ8、およびプラグ8と嵌合されるレセプタクル51を備えている。プラグ8は「第1のコネクタ」の具体例であり、レセプタクル51は「第2のコネクタ」の具体例である。
【0018】
プラグ8はケーブル2に取り付けられる。ケーブル2は、シールド付きツイストペアケーブルである。ケーブル2は、互いに撚られた2本の絶縁電線3、導電材料により形成され、2本の絶縁電線3の外周側を覆うシールド4、および絶縁材料により形成され、シールド4の外周側を覆うシース5を備えている。各絶縁電線3は、導体の外周側を絶縁体で覆うことにより形成されている。レセプタクル51は基板6に取り付けられる。レセプタクル51は基板6の実装面6A上に配置される。
【0019】
(プラグ)
図2はプラグ8を示している。図3はプラグ8においてプラグハウジング41を除いた部分を示している。図4はプラグ8においてプラグハウジング41を除いた部分を分解した状態を示している。図5(A)は、プラグ8の軸線を含み、前後方向および左右方向に拡がる平面で切断したプラグ8(プラグハウジング41を除いた部分)の断面を上から見た状態を示している。図5(B)は、図5(A)中の切断線V-Vに沿って切断したプラグ8の断面を右(図5(A)においては下)から見た状態を示している。図6(A)はプラグ8においてプラグハウジング41および下シールド部材31を除いた部分を右から見た状態を示している。図6(B)はプラグ8においてプラグハウジング41および下シールド部材31を除いた部分を下から見た状態を示している。
【0020】
プラグ8は、2つのプラグ端子10、絶縁部材14、上シールド部材21、下シールド部材31、およびプラグハウジング41を備えている。プラグ端子10は「第1の端子」の具体例であり、上シールド部材21は「第1のシールド部材」の具体例であり、下シールド部材31は「第2のシールド部材」の具体例である。
【0021】
プラグハウジング41は、樹脂等の絶縁材料により形成されている。プラグハウジング41は、図2に示すように、筒部42および突出部44を有している。筒部42は横断面の外形が四角形である筒状に形成されている。筒部42内には、上シールド部材21の後部(内電線シールド部25および接続片27等)、下シールド部材31の後部(下端子シールド部32の後部、外電線シールド部36およびシールド接続部38等)、およびケーブル2の端側部分が収容されている。また、ケーブル2は筒部42内から後方に引き出されている。また、筒部42の左側の壁部および右側の壁部には、下シールド部材31をプラグハウジング41に固定するための固定片43が設けられている。
【0022】
突出部44は、筒部42の上側の壁部の前端部から前方に突出している。突出部44の下方には、絶縁部材14、上端子シールド部22および下端子シールド部32が配置されている。また、突出部44の前端部には下方に突出した結合凸部45が設けられている。突出部44の前端部は、結合凸部45を介して絶縁部材14の前端部と結合している。また、突出部44、絶縁部材14、上端子シールド部22および下端子シールド部32により嵌合部9が形成されている。プラグ8は、嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59内に入って嵌合することにより、レセプタクル51と接続される。また、プラグハウジング41の上部には、プラグ8をレセプタクル51に抜け止めるためのロック片46が設けられている。
【0023】
2つのプラグ端子10は、図5(A)に示すように、絶縁部材14の内部に、左右方向に並ぶように配置されている。各プラグ端子10は、金属等の導電材料に形成されている。各プラグ端子10は接触子部11、導体接続部12、および電線固定部13を有している。図5(B)に示すように、接触子部11はプラグ端子10の前部に設けられ、前後方向に伸長している。接触子部11はレセプタクル51のレセプタクル端子52の接触子部53と接触する。本実施形態では、プラグ端子10の接触子部11が筒状に形成され、レセプタクル端子52の接触子部53がピン状に形成され、プラグ8がレセプタクル51に嵌合されたとき、レセプタクル端子52の接触子部53がプラグ端子10の接触子部11内に挿入される。導体接続部12は接触子部11の後方に設けられている。導体接続部12は、絶縁電線3の導体の端側部分をかしめることにより、プラグ端子10と絶縁電線3の導体とを接続する。電線固定部13は導体接続部12の後方に設けられている。電線固定部13は、絶縁電線3の絶縁体をかしめることによりプラグ端子10を絶縁電線3の端側部分に固定する。
【0024】
絶縁部材14は、樹脂等の絶縁材料により形成され、2つのプラグ端子10の外周側を覆っている。絶縁部材14は大略直方体状に形成されている。絶縁部材14の内部には、2つのプラグ端子10をそれぞれ収容する2つの端子収容部15が設けられている。絶縁部材14の前端部には、前方に開口し、かつ端子収容部15内と連通した2つの挿入口16が設けられている。プラグ8がレセプタクル51に嵌合されたとき、レセプタクル端子52の接触子部53が、挿入口16を介してプラグ端子10の接触子部11内に挿入され、接触子部11と接触する。また、絶縁部材14の後端部には、後方に開口し、かつ端子収容部15内と連通した2つの電線挿通口17が設けられている。各絶縁電線3はプラグハウジング41の筒部42内から電線挿通口17を通って絶縁部材14の端子収容部15内に進入している。
【0025】
また、図2に示すように、絶縁部材14の前端部の上部には結合凹部18が設けられている。絶縁部材14の前端部は、結合凹部18がプラグハウジング41の突出部44の前端部に設けられた結合凸部45に係合することにより、プラグハウジング41の突出部44の前端部と結合している。
【0026】
また、図4に示すように、絶縁部材14の左外面には2つの係止凸部19が前後方向に並ぶように設けられている。絶縁部材14の右外面にも、同様に、2つの係止凸部19が設けられている。合計4つの係止凸部19のうち、前側に配置された左右の2つの係止凸部19により、上シールド部材21の上端子シールド部22が絶縁部材14と結合される。また、後ろ側に配置された左右の2つの係止凸部19により、下シールド部材31の下端子シールド部32が絶縁部材14と結合される。
【0027】
上シールド部材21は、金属等の導電材料により形成されている。上シールド部材21は、上端子シールド部22、連結部24、内電線シールド部25、連結部26、および接続片27を有している。上シールド部材21は導電材料からなる板材にプレス加工を施すことにより形成されている。
【0028】
上端子シールド部22は、後述する下シールド部材31の下端子シールド部32と共に絶縁部材14の外周側を包囲することにより、絶縁部材14内に設けられた2つのプラグ端子10をシールドする機能を有している。上端子シールド部22は、図3に示すように、絶縁部材14の外周部を上方から覆っている。上端子シールド部22は、図4に示すように、前後方向および左右方向に拡がる平板状の上壁22A、上壁22Aの前寄り部分の左縁から下方に伸長し、前後方向および上下方向に拡がる平板状の左壁22B、および上壁22Aの前寄り部分の右縁から下方に伸長し、前後方向および上下方向に拡がる平板状の右壁22Cを有している。上端子シールド部22の上壁22Aは、絶縁部材14の上側の外面の略全部を覆っている。上端子シールド部22の左壁22Bは、絶縁部材14の左側の外面における前上側部分を覆っている。上端子シールド部22の右壁22Cは、絶縁部材14の右側の外面における前上側部分を覆っている。なお、上端子シールド部22の左壁22Bおよび右壁22Cはそれぞれ「第1のシールド部材の縁側部分」の具体例である。
【0029】
また、上端子シールド部22の左壁22Bの前部および右壁22Cの前部には係止穴23がそれぞれ形成されている。これら2つの係止穴23が、絶縁部材14の左外面の前部および右外面の前部に設けられた2つの係止凸部19にそれぞれ係止されることにより、上端子シールド部22が絶縁部材14と結合される。
【0030】
内電線シールド部25は、ケーブル2の互いに撚られた2本の絶縁電線3においてシールド4から露出した部分(以下、これを「絶縁電線3の露出部分」という。)を互いに平行にした状態で束ねることによって絶縁電線3の露出部分の平行な状態を維持すると共に、当該2本の絶縁電線3の露出部分をシールドする機能を有している。内電線シールド部25は、図6(A)に示すように、上端子シールド部22の後方に配置されている。また、内電線シールド部25は連結部24を介して上端子シールド部22の後端に結合されている。連結部24は板状に形成され、上端子シールド部22の後端から下方に傾斜しつつ後方に伸長し、内電線シールド部25の前端に結合している。
【0031】
内電線シールド部25は2本の絶縁電線3の露出部分を覆っている。すなわち、ケーブル2をプラグ8に取り付けるとき、ケーブル2の端側部分のシース5を切除することにより、2本の絶縁電線3およびシールド4のそれぞれの端側部分をシース5から露出させる。さらに、シールド4においてシース5から露出させた部分をシース5の外周側に折り返すことにより、2本の絶縁電線3の端側部分をシールド4から露出させる。さらに、各絶縁電線3においてシールド4から露出させた部分の端側部分の絶縁体を切除することにより、各絶縁電線3の導体の端側部分を絶縁体から露出させる。ケーブル2にプラグ8が取り付けられた状態では、図5(B)に示すように、各絶縁電線3の導体の露出した端側部分がプラグ端子10の導体接続部12に接続され、各絶縁電線3の絶縁体の端側部分がプラグ端子10の電線固定部13に固定され、シールド4の折り返された端側部分が後述の下シールド部材31のシールド接続部38に接続されると共に、ケーブル2の端側部分がシールド接続部38に固定される。そして、2本の絶縁電線3においてシールド4から露出した部分(2本の絶縁電線3の露出部分)がプラグハウジング41の筒部42内に配置される。また、2本の絶縁電線3はケーブル2内においては互いに撚られているが、ケーブル2をプラグ8に取り付ける際に2本の絶縁電線3の端側部分をシールド4から露出させた後に、2本の絶縁電線の端側部分は、その撚りが解かれ、直線状に、かつ互いに平行に伸長した状態でプラグハウジング41の筒部42内に配置される。内電線シールド部25は、プラグハウジング41の筒部42内に配置された2本の絶縁電線3の露出部分を覆っている。
【0032】
内電線シールド部25は2本の絶縁電線3の露出部分を包囲している。内電線シールド部25は、互いに平行に直線状に伸長した2本の絶縁電線3の露出部分をそれらの平行状態を維持しつつ束ねるように、それらの外周側を全周に亘って覆っている。また、内電線シールド部25は、2本の絶縁電線3の露出部分を前後方向に広範囲に亘って包囲している。
【0033】
図6(B)に示すように、本実施形態において、内電線シールド部25は、2本の絶縁電線3の露出部分を束ねてかしめるバレルである。内電線シールド部25はバレル基部25Aおよび2つのバレル片25Bを有している。図4に示すように、バレル基部25Aは連結部24の後端から後方に伸長している。プラグ8が組み立てられる前においては、2つのバレル片25Bのうち、一方のバレル片25Bはバレル基部25Aの左縁から下方に傾斜しつつ左方に伸長している。他方のバレル片25Bはバレル基部25Aの右縁から下方に傾斜しつつ右方に伸長している。プラグ8が組み立てられるとき、2つのバレル片25Bは2本の絶縁電線3の露出部分の外周側を包囲するように折り曲げられる。これにより、2本の絶縁電線3の露出部分は、図6(B)に示すように、2つのバレル片25Bによりかしめられる。2本の絶縁電線3の露出部分が内電線シールド部25によりかしめられた状態において、2本の絶縁電線3の露出部分の外周面の一部は互いに接触し、または極めて接近している。また、内電線シールド部25の左側のバレル片25Bの内面の一部は、左側の絶縁電線3の露出部分の外周面の一部に接触し、または極めて接近している。また、内電線シールド部25の右側のバレル片25Bの内面の一部は、右側の絶縁電線3の露出部分の外周面の一部に接触し、または極めて接近している。
【0034】
接続片27は上シールド部材21をケーブル2のシールド4に電気的に接続させる機能を有している。接続片27は、図6(A)に示すように、内電線シールド部25の後方に配置されている。また、接続片27は連結部26を介して内電線シールド部25の後端に結合されている。連結部26は板状に形成され、内電線シールド部25の後端から上方に傾斜しつつ後方に伸長し、接続片27の前端に結合している。
【0035】
接続片27は、前後方向および左右方向に拡がる板状に形成されている。また、接続片27は、シールド4の外周面に沿うように湾曲している。接続片27の下面は、シールド4の外周面の上部に広く接触している。
【0036】
下シールド部材31は、金属等の導電材料により形成されている。下シールド部材31は、図3および4に示すように、下端子シールド部32、連結部35、外電線シールド部36、連結部37、およびシールド接続部38を有している。下シールド部材31は導電材料からなる板材にプレス加工を施すことにより形成されている。
【0037】
下端子シールド部32は、上シールド部材21の上端子シールド部22と共に絶縁部材14の外周側を包囲することにより、絶縁部材14内に設けられた2つのプラグ端子10をシールドする機能を有している。下端子シールド部32は、図3に示すように、絶縁部材14の外周部を下方から覆っている。下端子シールド部32は、図4に示すように、前後方向および左右方向に拡がる平板状の下壁32A、下壁32Aの左縁から上方に伸長し、前後方向および上下方向に拡がる平板状の左壁32B、および下壁32Aの右縁から上方に伸長し、前後方向および上下方向に拡がる平板状の右壁32Cを有している。下端子シールド部32の下壁32Aは、絶縁部材14の下側の外面の略全部を覆っている。下端子シールド部32の左壁32Bは、絶縁部材14の左側の外面における下側部分および後ろ上側部分を覆っている。下端子シールド部32の右壁32Cは、絶縁部材14の右側の外面における下側部分および後ろ上側部分を覆っている。なお、下端子シールド部32の左壁32Bおよび右壁32Cはそれぞれ「第2のシールド部材の縁側部分」の具体例である。
【0038】
また、図3に示すように、上端子シールド部22の左壁22Bと下端子シールド部32の左壁32Bとは、絶縁部材14の左側の外面上(外面の左方)において、左壁22Bの上縁と左壁32Bの下縁とが互いに向かい合うように配置されている。また、上端子シールド部22の左壁22Bと下端子シールド部32の左壁32Bとは、絶縁部材14の左側の外面上において互いに接近し、かつ上下方向に互いに隣り合うように配置されている。また、上端子シールド部22の左壁22Bおよび下端子シールド部32の左壁32Bによって、絶縁部材14の左側の外面の略全部が覆われている。同様に、上端子シールド部22の右壁22Cと下端子シールド部32の右壁32Cとは、絶縁部材14の右側の外面上(外面の右方)において、右壁22Cの上縁と右壁32Cの下縁とが互いに向かい合うように配置されている。また、上端子シールド部22の右壁22Cと下端子シールド部32の右壁32Cとは、絶縁部材14の右側の外面上において互いに接近し、かつ上下方向において互いに隣り合うように配置されている。また、上端子シールド部22の右壁22Cおよび下端子シールド部32の右壁32Cによって、絶縁部材14の右側の外面の略全部が覆われている。
【0039】
また、下端子シールド部32の左壁32Bの前後方向中間部の上縁部は、上端子シールド部22の上壁22Aの後部の左縁部と接触し、または極めて接近している。同様に、下端子シールド部32の右壁32Cの前後方向中間部の上縁部は、上端子シールド部22の上壁22Aの後部の右縁部と接触し、または極めて接近している。
【0040】
また、下端子シールド部32の左壁32Bおよび右壁32Cは、絶縁部材14の後端よりも後方にそれぞれ伸長している。このように後方に伸長した下端子シールド部32の左壁32Bの後部は、図5(A)および5(B)に示すように、上シールド部材21の内電線シールド部25の前部を左方から覆っている。同様に、下端子シールド部32の右壁32Cの後部は、上シールド部材21の内電線シールド部25の前部を右方から覆っている。
【0041】
また、図4に示すように、下端子シールド部32の左壁32Bの前後方向中間部および右壁32Cの前後方向中間部には係止穴33がそれぞれ形成されている。これら2つの係止穴33が、絶縁部材14の左外面の後部および右外面の後部に設けられた2つの係止凸部19にそれぞれ係止されることにより、図3に示すように、下端子シールド部32が絶縁部材14と結合される。
【0042】
また、下端子シールド部32の左壁32Bの後部には左方に突出した固定凸部34が設けられ、下端子シールド部32の右壁32Cの後部には右方に突出した固定凸部34が設けられている。これら固定凸部34がプラグハウジング41の筒部42の左右の壁部にそれぞれ設けられた固定片43に係止されることにより、下シールド部材31がプラグハウジング41に固定される。
【0043】
外電線シールド部36は、2本の絶縁電線3の露出部分をシールドする機能を有している。外電線シールド部36は、図3に示すように、2本の絶縁電線3の露出部分を包囲した内電線シールド部25の外周側を覆っている。すなわち、外電線シールド部36は、2本の絶縁電線3の露出部分において内電線シールド部25により包囲されている部分を内電線シールド部25の外周側から覆っている。これにより、2本の絶縁電線3の露出部分は、内電線シールド部25と外電線シールド部36とによって二重にシールドされている。外電線シールド部36は、下端子シールド部32の後方に配置されている。また、外電線シールド部36は連結部35を介して下端子シールド部32の後端に結合されている。連結部35は板状に形成され、下端子シールド部32の後端から上方に傾斜しつつ後方に伸長し、外電線シールド部36の前端に結合している。
【0044】
本実施形態において、外電線シールド部36は、2本の絶縁電線3の露出部分を包囲した内電線シールド部25の外周側を包囲している。外電線シールド部36は内電線シールド部25をかしめるバレルである。外電線シールド部36はバレル基部36Aおよび2つのバレル片36Bを有している。図4に示すように、バレル基部36Aは連結部35の後端から後方に伸長している。プラグ8が組み立てられる前においては、2つのバレル片36Bのうち、一方のバレル片36Bはバレル基部36Aの左縁から上方に傾斜しつつ左方に伸長している。他方のバレル片36Bはバレル基部36Aの右縁から上方に傾斜しつつ右方に伸長している。プラグ8が組み立てられるとき、2つのバレル片36Bは内電線シールド部25の外周側を包囲するように折り曲げられる。これにより、内電線シールド部25は2つのバレル片36Bによりかしめられる。
【0045】
シールド接続部38は、下シールド部材31をケーブル2のシールド4に電気的に接続させる機能、上シールド部材21の接続片27がシールド4に接触した状態を保持する機能、およびケーブル2をプラグ8に固定する機能を有している。シールド接続部38は、外電線シールド部36の後方に配置されている。また、シールド接続部38は連結部37を介して外電線シールド部36の後端に結合されている。連結部37は板状に形成され、外電線シールド部36の後端から下方に傾斜しつつ後方に伸長し、シールド接続部38の前端に結合している。
【0046】
シールド接続部38は、ケーブル2のシールド4およびシース5、並びにシールド4に接触した接続片27をまとめてかしめるバレルである。シールド接続部38はバレル基部38Aおよび2つのバレル片38Bを有している。図4に示すように、バレル基部38Aは連結部37の後端から後方に伸長している。プラグ8が組み立てられる前においては、2つのバレル片38Bのうち、一方のバレル片38Bはバレル基部38Aの左縁から上方に傾斜しつつ左方に伸長している。他方のバレル片38Bはバレル基部38Aの右縁から上方に傾斜しつつ右方に伸長している。プラグ8が組み立てられるとき、2つのバレル片38Bはシールド4、接続片27およびシース5を包囲するように折り曲げられる。これにより、シールド4、接続片27およびシース5は2つのバレル片38Bによりかしめられる。
【0047】
(レセプタクル)
図7はレセプタクル51を左前上から見た状態を示している。図8はレセプタクル51を左後ろ下から見た状態を示している。図9はレセプタクル51を分解した状態を示している。図10はレセプタクル51を左から見た状態を示している。図11は、図10中の切断線XI-XIに沿って切断したレセプタクル51の断面を上から見た状態を示している。
【0048】
レセプタクル51は、2つのレセプタクル端子52、接続部材55、レセプタクルハウジング58、およびシェル61を備えている。なお、レセプタクル端子52は「第2の端子」の具体例であり、レセプタクルハウジング58は「ハウジング」の具体例である。
【0049】
レセプタクルハウジング58は、図9に示すように、樹脂等の絶縁材料により全体視四角柱状に形成されている。レセプタクルハウジング58には、プラグ8の嵌合部9が嵌合される嵌合穴59が設けられている。嵌合穴59はレセプタクルハウジング58の前面に開口し、後方に伸長している。プラグ8とレセプタクル51とは、プラグ8の前部とレセプタクル51の前部とを互いに向かい合わせ、プラグ8の嵌合部9をレセプタクルハウジング58の嵌合穴59に嵌合することにより接続される。その結果、嵌合部9が嵌合穴59に嵌合された状態においては、嵌合穴59の左側の内面が嵌合部9の右側の外面と対向し、嵌合穴59の右側の内面が嵌合部9の左側の外面と対向することとなる。
【0050】
また、レセプタクルハウジング58において、嵌合穴59の外周側部分の左部には、当該部分を貫通する穴または切り欠きである貫通部60が設けられている。左側の貫通部60は、レセプタクルハウジング58において、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたときにプラグ8の上端子シールド部22の右壁22Cと、プラグ8の下端子シールド部32の右壁32Cとの境界に対応する部分(以下、これを「左側境界対応部分」という。)に配置されている。また、嵌合穴59の外周側部分の右部にも同様の貫通部60が設けられている。右側の貫通部60は、レセプタクルハウジング58において、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたときにプラグ8の上端子シールド部22の左壁22Bと、プラグ8の下端子シールド部32の左壁32Bとの境界に対応する部分(以下、これを「右側境界対応部分」という。)に配置されている。また、レセプタクルハウジング58には、各レセプタクル端子52および接続部材55をレセプタクルハウジング58に取り付けるための穴、溝または係止構造等が設けられている。また、レセプタクルハウジング58の外周側には、シェル61をレセプタクルハウジング58に取り付けるための係止構造等が設けられている。
【0051】
2つのレセプタクル端子52は、図11に示すように、レセプタクルハウジング58に、左右方向に並ぶように取り付けられている。各レセプタクル端子52は、金属等の導電材料に形成されている。各レセプタクル端子52は接触子部53および回路接続部54を有している。接触子部53は、前後方向に伸長したピン状に形成されている。接触子部53の前端側部分は嵌合穴59内に位置している。接触子部53は、プラグ8のプラグ端子10の接触子部11と接触する。回路接続部54は、接触子部53の後端部から下方に伸長した後、曲がり、その後、後方に伸長している。回路接続部54は、基板6の実装面6A上に設けられた回路において、信号の入力または出力を行うためのパッド等に接続される。
【0052】
接続部材55は、その一端部56が嵌合穴59内に位置するように、レセプタクルハウジング58の下部に取り付けられている。接続部材55は、金属等の導電材料に形成されている。接続部材55の一端部56は、プラグ8がレセプタクル51に嵌合されたときに、プラグ8の下シールド部材31の下面に接触する。また、接続部材55の他端部57は基板6のグランド部に接続される。
【0053】
シェル61は、図7および8に示すように、レセプタクルハウジング58の外周側および後ろ側を覆っている。シェル61は、金属等の導電材料からなる板材にプレス加工を施すことにより形成されている。シェル61は、2つのレセプタクル端子52、および嵌合穴59に嵌合されたプラグ8の嵌合部9をシールドする機能を有している。さらに、シェル61は、プラグ8がレセプタクル51に嵌合されたときに、プラグ8の上シールド部材21および下シールド部材31を基板6のグランド部に接続する機能を有している。
【0054】
シェル61は、レセプタクルハウジング58の上側の外面を覆う上壁61A、レセプタクルハウジング58の左側の外面を覆う左壁61B、レセプタクルハウジング58の右側の外面を覆う右壁61C、およびレセプタクルハウジング58の後側を覆う後壁61Dを有している。
【0055】
また、シェル61の左壁61Bには、上接触片62、下接触片63、グランド接続部64、および2つの基板接続部65が設けられている。これらはシェル61の左壁61Bに一体形成されている。なお、上接触片62は「第1の接触部」の具体例であり、下接触片63は「第2の接触部」の具体例である。
【0056】
シェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62および下接触片63は、シェル61の左壁61Bにおける左側境界対応部分に配置されている。これら上接触片62および下接触片63の位置は、レセプタクルハウジング58の左側の貫通部60の位置と対応している。また、これら上接触片62および下接触片63は、互いに接近し、かつ互いに上下方向に隣り合うように配置されている。また、これら上接触片62および下接触片63は互いに略同一の形状を有している。また、図10に示すようにレセプタクル51を左から見たとき、シェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62および下接触片63はそれぞれ前後方向に直線状に、かつ互いに平行に伸長している。また、上接触片62において当該上接触片62とシェル61との結合位置から当該上接触片62の先端までの長さBと、下接触片63において当該下接触片63とシェル61との結合位置から当該下接触片63の先端までの長さCとは互いに等しい。また、図7および11を見るとわかる通り、シェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62および下接触片63はシェル61から右方にそれぞれ傾斜している。これら上接触片62および下接触片63は、シェル61の左壁61Bから、レセプタクルハウジング58の左側の貫通部60を通って嵌合穴59内へ進入している。
【0057】
プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、シェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62の前端部は、プラグ8が有する上シールド部材21の上端子シールド部22の右壁22Cの外面に接触する。また、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、シェル61の左壁61Bに設けられた下接触片63の前端部は、プラグ8が有する下シールド部材31の下端子シールド部32の右壁32Cの外面に接触する。
【0058】
また、これら上接触片62および下接触片63はそれぞれ、細長い板状に形成されており、バネ性を有している。プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、上接触片62の前端部および下接触片63の前端部が、プラグ8の上端子シールド部22の右壁22Cおよび下端子シールド部32の右壁32Cにそれぞれ接触して左方に押されることにより、上接触片62および下接触片63がそれぞれ弾性変形する。これにより、上接触片62の前端部および下接触片63の前端部は、プラグ8の上端子シールド部22の右壁22Cおよび下端子シールド部32の右壁32Cにそれぞれ強く接触する。
【0059】
また、プラグ8において、上シールド部材21を形成している板材の厚さと、下シールド部材31を形成している板材の厚さとが互いに等しい場合には、上端子シールド部22の右壁22Cの外面と下端子シールド部32の右壁32Cの外面のそれぞれの左右方向における位置は同じになる。一方、上シールド部材21を形成している板材の厚さと、下シールド部材31を形成している板材の厚さとが互いに異なる場合には、上端子シールド部22の右壁22Cの外面と下端子シールド部32の右壁32Cの外面のそれぞれの左右方向における位置が互いにずれる。この場合、右壁22Cの外面と右壁32Cの外面との境界部分に段差が形成される。このように右壁22Cの外面と右壁32Cの外面のそれぞれの左右方向における位置が互いにずれた場合でも、上接触片62および下接触片63はそれぞれバネ性を有しているので、上接触片62の前端部および下接触片63の前端部は、右壁22Cおよび右壁32Cにそれぞれ確実に接触する。
【0060】
また、シェル61の左壁61Bに設けられたグランド接続部64は、図8に示すように、シェル61の左壁61Bの下端の前後方向中間部に配置されている。また、シェル61の左壁61Bに設けられたグランド接続部64は、シェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62および下接触片63の真下、すなわち垂直方向下側に配置されている。また、このグランド接続部64は、シェル61の左壁61Bの下端の前後方向中間部から下方に伸長した後に曲がり、その後、右方に伸長している。
【0061】
シェル61の左壁61Bに設けられたグランド接続部64は、基板6のグランド部に半田により接続される。当該グランド接続部64の下端側部分が右方に伸長していることにより、当該グランド接続部64の下端側部分の外面が基板6の実装面6Aと対向している。したがって、基板6の実装面6A上に、グランド部として大きな面積を有するパッドを形成することにより、当該グランド接続部64と基板6のグランド部との接続面積を大きくすることができる。
【0062】
また、シェル61の左壁61Bにおいて、2つの基板接続部65は、シェル61の左壁61Bの下端の前部および後部にそれぞれ配置されている。これら基板接続部65は、シェル61の左壁61Bの下端から下方に突出している。これら基板接続部65は、基板6に設けられたスルーホールに挿入され、半田により接続される。本実施形態においては、基板6のスルーホールの周部のランドが基板6のグランド部に電気的に接続されている。したがって、基板接続部65をスルーホールに接続することにより、基板接続部65は基板6のグランド部と接続される。
【0063】
シェル61の右壁61Cにも、シェル61の左壁61Bと同様に、上接触片62、下接触片63、グランド接続部64、2つの基板接続部65が設けられている。右壁61Cに設けられた上接触片62、下接触片63、グランド接続部64および2つの基板接続部65の形状および配置は、左壁61Bに設けられた上接触片62、下接触片63、グランド接続部64および2つの基板接続部65の形状および配置と左右対称である。
【0064】
(嵌合時の作用)
プラグ8とレセプタクル51とを接続するときには、図1に示すように、プラグ8の前面とレセプタクル51の前面とを向かい合わせ、プラグ8の嵌合部9をレセプタクル51の嵌合穴59にレセプタクル51の前方から挿入し、プラグ8の嵌合部9をレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合させる。プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、プラグ8の2つのプラグ端子10の接触子部11と、レセプタクル51の2つのレセプタクル端子52の接触子部53とがそれぞれ互いに接触する。これにより、ケーブル2の各絶縁電線3の導体が、プラグ端子10およびレセプタクル端子52を介して、基板6の回路(例えば信号の入力または出力を行うために実装面6A上に形成されたパッド)に電気的に接続される。
【0065】
また、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、レセプタクル51のシェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62がプラグ8の上端子シールド部22の右壁22Cの外面に接触し、レセプタクル51のシェル61の左壁61Bに設けられた下接触片63がプラグ8の下端子シールド部32の右壁32Cの外面に接触する。また、このとき、レセプタクル51のシェル61の右壁61Cに設けられた上接触片62がプラグ8の上端子シールド部22の左壁22Bの外面に接触し、レセプタクル51のシェル61の右壁61Cに設けられた下接触片63がプラグ8の下端子シールド部32の左壁32Bの外面に接触する。また、このとき、レセプタクル51のレセプタクルハウジング58に取り付けられた接続部材55の一端部56がプラグ8の下端子シールド部32の下壁32Aの外面に接触する。これにより、プラグ8の上シールド部材21が、レセプタクル51の上接触片62、シェル61、グランド接続部64および基板接続部65を介して、基板6のグランド部に電気的に接続される。また、プラグ8の下シールド部材31が、レセプタクル51の下接触片63、シェル61、グランド接続部64、基板接続部65を介して、基板6のグランド部に電気的に接続される。また、下シールド部材31は接続部材55によっても基板6のグランド部に電気的に接続される。
【0066】
このように、コネクタ装置1においては、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、プラグ8の上シールド部材21が上接触片62を介してレセプタクル51のシェル61に接続され、プラグ8の下シールド部材31が下接触片63を介してレセプタクル51のシェル61に接続されるので、プラグ8とレセプタクル51との接続時において、上シールド部材21からシェル61を介して基板6のグランド部に至る電気経路の長さと、下シールド部材31からシェル61を介して基板6のグランド部に至る電気経路の長さとを互いに同等にすることができ、これらの電気経路をそれぞれ短くすることができる。
【0067】
すなわち、仮に、レセプタクル51のシェル61の左壁61Bおよび右壁61Cのそれぞれに、上端子シールド部22に接触する上接触片62および下端子シールド部32に接触する下接触片63のうち下接触片63のみが形成されているとする。その場合、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、プラグ8の下シールド部材31は下接触片63を介して直接的にシェル61に接続されるのに対し、プラグ8の上シールド部材21は下シールド部材31および下接触片63を介してシェル61に接続されることになる。この場合、上シールド部材21とシェル61との間には、上シールド部材21から下シールド部材31を経由してシェル61に至る電気経路が形成される。それゆえ、上シールド部材21からシェル61を介して基板6のグランド部に至る電気経路の長さが、下シールド部材31からシェル61を介して基板6のグランド部に至る電気経路の長さと比較して長くなり、上シールド部材21と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路を、下シールド部材31と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路のように短くすることが困難になる。上シールド部材21と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路が長くなると、当該電気経路のインダクタンスが増加し、上シールド部材21の電位が下シールド部材31の電位と比較して不安定になり易くなり、上シールド部材21および下シールド部材31により発揮されるシールド効果が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態のコネクタ装置1においては、レセプタクル51のシェル61の左壁61Bおよび右壁61Cのそれぞれに、上端子シールド部22に接触する上接触片62および下端子シールド部32に接触する下接触片63が形成されているので、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたとき、下シールド部材31は下接触片63を介して直接的にシェル61に接続され、上シールド部材21は上接触片62を介して直接的にシェル61に接続される。したがって、上シールド部材21と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路の長さと、下シールド部材31と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路の長さとが互いに同等になり、その結果、上シールド部材21と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路が、下シールド部材31と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路と同様に短くなるので、2つの電気経路の双方のインダクタンスの増加を抑え、上シールド部材21および下シールド部材31の双方の電位を安定化させることができる。
【0068】
また、図12は、図1中のコネクタ装置1におけるレセプタクル51を簡略化して二点鎖線で示すことにより、レセプタクル51のシェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62がプラグ8の上端子シールド部22の右壁22Cの外面に接触し、レセプタクル51のシェル61の左壁61Bに設けられた下接触片63がプラグ8の下端子シールド部32の右壁32Cの外面に接触している様子を表している。
【0069】
図12に示すように、プラグ8においては、上端子シールド部22の右壁22Cと下端子シールド部32の右壁32Cとが、絶縁部材14の右側の外面上(外面の右方)において互いに接近し、かつ上下方向に互いに隣り合うように配置されている。また、レセプタクル51においては、シェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62および下接触片63が、上述したように、シェル61の左壁61Bにおける左側境界対応部分において、互いに接近し、かつ互いに上下方向に隣り合うように配置されている。そして、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたときには、シェル61の左壁61Bに設けられた上接触片62が上端子シールド部22の右壁22Cに接触し、シェル61の左壁61Bに設けられた下接触片63が下端子シールド部32の右壁32Cに接触する。このように、コネクタ装置1においては、上シールド部材21とシェル61の左壁61Bとの接続箇所と、下シールド部材31とシェル61の左壁61Bとの接続箇所とがシェル61の左壁61Bにおいて分散しておらず、左壁61Bの一部、具体的には、レセプタクル51の左方視において左壁61Bの略中央部分に集められている。さらに、コネクタ装置1においては、シェル61の左壁61Bにおける上接触片62および下接触片63の真下(垂直方向下側)にグランド接続部64が配置されている。同様に、上シールド部材21とシェル61の右壁61Cとの接続箇所と、下シールド部材31とシェル61の右壁61Cとの接続箇所とが右壁61Cの一部(レセプタクル51の右方視において右壁61Cの略中央部分)に集められており、また、シェル61の右壁61Cにおける上接触片62および下接触片63の真下にグランド接続部64が配置されている。コネクタ装置1のこのような構成により、上シールド部材21と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路と、下シールド部材31と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路とを互いに均一化することができると共に、これらの電気経路を短縮化することができる。これにより、これらの電気経路の双方においてインダクタンスの増加を抑え、上シールド部材21および下シールド部材31の双方の電位を安定化させることができる。
【0070】
また、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合された状態において、上シールド部材21の各所と基板6のグランド部との直線距離を考えた場合、それらの直線距離のうち、上端子シールド部22の右壁22C(または左壁22B)と基板6のグランド部との直線距離が最も短い。したがって、上接触片62およびシェル61を介して上端子シールド部22の右壁22C(または左壁22B)と基板6のグランド部とを接続することにより、上シールド部材21と基板6のグランド部との間の電気経路を短くすることができる。
【0071】
以上説明した通り、本発明の実施形態のコネクタ装置1においては、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたときに、プラグ8の上シールド部材21が上接触片62を介してレセプタクル51のシェル61に接続されると共に、プラグ8の下シールド部材31が下接触片63を介してレセプタクル51のシェル61に接続される。また、シェル61は基板6のグランド部に接続されている。この構成により、プラグ8とレセプタクル51との接続時において、上シールド部材21と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路の長さと、下シールド部材31と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路の長さとを互いに同等にすることができ、これらの電気経路をそれぞれ短くすることができる。これにより、2つの電気経路の双方のインダクタンスの増加を抑え、上シールド部材21および下シールド部材31の双方の電位を安定化させることができる。よって、本実施形態のプラグ8のように、各プラグ端子10および各絶縁電線3の露出部分をシールドする構造を形成する部材が、上シールド部材21と下シールド部材31とに分割されている場合でも、各プラグ端子10および各絶縁電線3の露出部分をシールドする効果が低下することを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態のコネクタ装置1においては、上シールド部材21とシェル61とが上接触片62を介して接続される箇所と、下シールド部材31とシェル61とが下接触片63を介して接続される箇所とがシェル61の左壁61B(または右壁61C)の一部に集められている。また、シェル61の左壁61B(または右壁61C)における上接触片62および下接触片63の真下にグランド接続部64が配置されている。この構成により、上シールド部材21と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路と、下シールド部材31と基板6のグランド部との間のシェル61を介しての電気経路とを互いに均一化することができると共に、これらの電気経路を短縮化することができる。これにより、上シールド部材21および下シールド部材31の双方の電位を安定化させることができ、上シールド部材21および下シールド部材31のシールド効果を高めることができる。
【0073】
また、レセプタクル51においては、上接触片62において当該上接触片62とシェル61との結合位置から当該上接触片62の先端までの長さBと、下接触片63において当該下接触片63とシェル61との結合位置から当該下接触片63の先端までの長さCとが互いに等しい。これにより、上接触片62のシェル61に対する傾斜角度(上接触片62の基端部のシェル61に対する曲げ角度)、および下接触片63のシェル61に対する傾斜角度(下接触片63の基端部のシェル61に対する曲げ角度)を互いに等しい所定の角度に設定することにより、プラグ8の嵌合部9がレセプタクル51の嵌合穴59に嵌合されたときに、上接触片62および下接触片63を、上端子シールド部22の右壁22C(左壁22B)および下端子シールド部32の右壁32C(左壁32B)にそれぞれ容易かつ確実に接触させることができる。また、プラグ8において、例えば、上シールド部材21を形成している板材の厚さと、下シールド部材31を形成している板材の厚さとが互いに異なり、右壁22C(左壁22B)の外面と右壁32C(左壁32B)の外面のそれぞれの左右方向における位置が互いにずれている場合には、この位置ずれの状態に応じて上接触片62および下接触片63のシェル61に対する傾斜角度を調整することにより、上接触片62および下接触片63を上端子シールド部22の右壁22C(左壁22B)および下端子シールド部32の右壁32C(左壁32B)にそれぞれ容易かつ確実に接触させることができる。
【0074】
また、本実施形態のコネクタ装置1におけるプラグ8は、プラグハウジング41内に配置された2本の絶縁電線3の露出部分を、これら2本の絶縁電線3のうちの少なくとも1本の絶縁電線3の露出部分の外周面に接触しまたは極めて接近しつつ包囲する内電線シールド部25を有している。この内電線シールド部25によれば、2本の絶縁電線3がケーブル2内においてシールド4により包囲されている構造と同等の構造をプラグハウジング41内において形成することができる。また、2本の絶縁電線3の露出部分がプラグハウジング41内において撓むことを十分に抑えることができる。したがって、プラグ8の特性インピーダンスをケーブル2の特性インピーダンスに一致させ、または極めて近づけることができる。これにより、プラグ8を介して伝送する高周波信号の反射を抑え、高周波信号の伝送の効率を向上させることができる。また、内電線シールド部25は、2本の絶縁電線3の露出部分を束ねてかしめるバレルである。この構成により、2本の絶縁電線3の露出部分を包囲しつつ、2本の絶縁電線3同士を密着させることができ、また、絶縁電線3と内電線シールド部25とを互いに密着させることができる。これにより、プラグ8の特性インピーダンスをケーブル2の特性インピーダンスに一致させることが容易になり、または、プラグ8の特性インピーダンスをケーブル2の特性インピーダンスに一層近づけることができる。
【0075】
また、プラグ8は、2本の絶縁電線3の露出部分を包囲した内電線シールド部25を覆う外電線シールド部36を有している。この構成により、2本の絶縁電線3の露出部分を内電線シールド部25および外電線シールド部36により二重にシールドすることができる。これにより、プラグハウジング41内の絶縁電線3に対する上シールド部材21および下シールド部材31によるシールド効果を高めることができる。また、外電線シールド部36は、内電線シールド部25をかしめるバレルである。これにより、上記シールド効果を高めることができる。
【0076】
なお、上記実施形態のレセプタクル51においては、シェル61に設けられた上接触片62の長さBと下接触片63の長さCとが互いに等しい。しかしながら、図13に示すレセプタクル71のように、シェル72に設けられた上接触片73の長さと下接触片74の長さとを互いに異ならせてもよい。上接触片73の長さを変えることにより、上シールド部材21とシェル72との間の上接触片73を介しての電気経路の長さを変えることができる。また、下接触片74の長さを変えることにより、下シールド部材31とシェル72との間の下接触片74を介しての電気経路の長さを変えることができる。上接触片の長さと下接触片の長さとが互いに同じである場合に、コネクタ装置1、またはコネクタ装置1および基板6の回路を含む系において共振が生じた場合には、上接触片の長さまたは下接触片の長さを適宜変えることにより、この共振を抑制することができる。
【0077】
また、上記実施形態のコネクタ装置1におけるレセプタクル51は、コネクタ嵌合方向が前後方向であり、基板実装方向が上下方向であり、コネクタ嵌合方向と基板実装方向とが直交したライトアングル型のレセプタクルである。しかしながら、本発明のコネクタ装置のレセプタクル(第2のコネクタ)は、コネクタ嵌合方向と基板実装方向とが同一のストレート型のレセプタクルでもよい。
【0078】
また、上記実施形態において、プラグ8は、プラグハウジング41内に配置された絶縁電線3の露出部分を内電線シールド部25で包囲し、その内電線シールド部25を外電線シールド部36で包囲する構成を有しているが、本発明のコネクタ装置のプラグ(第1のコネクタ)は、このような構成を有していなくてもよい。例えば、図14に示すプラグ81のように、上シールド部材82および下シールド部材83により、絶縁電線3の露出部分の外周側を、絶縁電線3の露出部分の外周側から離れた位置で包囲するようにしてもよい。
【0079】
また、本発明は、互いに撚られた2本の絶縁電線3を有するシールド付きツイストペアケーブルに取り付けられるコネクタに限らず、互いに撚られた3本以上の絶縁電線3を有するシールド付きツイストケーブル、または、撚られていない複数の絶縁電線を有するシールド付き多芯ケーブル等に取り付けられるコネクタにも適用することができる。
【0080】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコネクタ装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1 コネクタ装置
2 ケーブル
3 絶縁電線
4 シールド
6 基板
8、81 プラグ(第1のコネクタ)
9 嵌合部
10 プラグ端子(第1の端子)
14 絶縁部材
21、82 上シールド部材(第1のシールド部材)
22 上端子シールド部
22B 左壁(第1のシールド部材の縁側部分)
22C 右壁(第1のシールド部材の縁側部分)
31、83 下シールド部材(第2のシールド部材)
32 下端子シールド部
32B 左壁(第2のシールド部材の縁側部分)
32C 右壁(第2のシールド部材の縁側部分)
51、71 レセプタクル(第2のコネクタ)
61、72 シェル
62、73 上接触片(第1の接触部)
63、74 下接触片(第2の接触部)
64 グランド接続部
65 基板接続部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14