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特開2024-68596荷重調節機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびその洗浄システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068596
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】荷重調節機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびその洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/02 20060101AFI20240513BHJP
   A47L 11/283 20060101ALI20240513BHJP
   A47L 11/16 20060101ALI20240513BHJP
   B08B 1/32 20240101ALI20240513BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240513BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240513BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240513BHJP
   B64D 1/12 20060101ALI20240513BHJP
   B64D 1/22 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B08B5/02 A
A47L11/283
A47L11/16
B08B1/04
B08B3/02 E
B64C27/08
B64C39/02
B64D1/12
B64D1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179174
(22)【出願日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】522289688
【氏名又は名称】近藤 潤
(71)【出願人】
【識別番号】521357711
【氏名又は名称】渡辺 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 聡
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA31
3B116AA46
3B116AB52
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA13
3B116BA15
3B116BA35
3B116BB22
3B116BB62
3B116BB88
3B116CD42
3B116CD43
3B201AA31
3B201AA46
3B201AB52
3B201AB56
3B201BA02
3B201BA13
3B201BA15
3B201BA35
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB88
3B201BB93
3B201BB98
(57)【要約】
【課題】
物体表面の洗浄作業において、物体表面の形状や設置環境に応じて、物体表面を十分に洗浄することができ、界面活性剤等の環境負荷の高い洗浄剤を使用しないため自然環境を損なうことのない純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置において、特に荷重調整機構を備えた洗浄装置を提供しようとするものである。
【解決手段】
作業者が手荷物伸縮ポール部の先端のブラシ部に荷重調整機構を備え、あるいは、底部にブラシ部を設け、かつ物体表面に載置される自走式ロボットに荷重調整機構を備えることで、必要に応じて前記荷重調整機構を用いてブラシ部に荷重し、ブラシ部の物体表面への押し付けを強めて、物体表面を十分に洗浄することができる荷重調節機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄システム。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、
先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、
前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記純水を散水可能な散水ノズルと、
からなることを特徴とする荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項2】
水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、
先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、
前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記純水を散水可能な散水ノズルと、
からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置であって、
前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、
前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記ブラシ部が荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とする荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項3】
水から不純物を取り除いた純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、
前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、
先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、
前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記超微細気泡水を散水可能な散水ノズルと、
からなることを特徴とする荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項4】
水から不純物を取り除いた純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、
前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、
先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、
前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記超微細気泡水を散水可能な散水ノズルと、
からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置であって、
前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、
前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記ブラシ部が荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とする荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項5】
水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなることを特徴とする荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項6】
水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置であって、
前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、
前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とする荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項7】
水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、
前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、
前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなることを特徴とする荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項8】
水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、
前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、
前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置であって、
前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、
前記荷重用貯水タンクに前記超微細気泡水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とする荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項9】
前記自走式ロボットが、自走式ロボット本体と、
前記自走式ロボット本体の上部に着脱自在に取り付けられるマルチコプターと、
からなり、
前記自走式ロボットを前記対象の物体表面に搭載させる際には、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面の所定の箇所まで運搬し、
前記自走式ロボットを用いて前記対象の物体表面を洗浄する際は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体から取り外しておき、
前記自走式ロボットによる前記対象の物体表面の洗浄が完了した後は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面から回収することができるようにしたことを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の荷重調節機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項10】
前記荷重用貯水タンクが、該荷重用貯水タンク内に複数の貯水区画を備え、
該複数の貯水区画は、それぞれ、制御機構により開閉する開閉口を備え、
任意の前記貯水区画の前記開閉口を開口させることにより、該貯水区画に前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクの該貯水区画に相当する箇所が荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記背部に搭載された前記ブラシ部の、前記荷重部分に対応する箇所が荷重されて、前記ブラシ部の任意の箇所を前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とする請求項2または6に記載の荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項11】
前記荷重用貯水タンクが、該荷重用貯水タンク内に複数の貯水区画を備え、
該複数の貯水区画は、それぞれ、制御機構により開閉する開閉口を備え、
任意の前記貯水区画の前記開閉口を開口させることにより、該貯水区画に前記超微細気泡水が流入して、前記荷重用貯水タンクの該貯水区画に相当する箇所が荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットの、前記荷重部分に対応する箇所が荷重されて、前記ブラシ部の任意の箇所を前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とする請求項4または8に記載の荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置。
【請求項12】
水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置を用い、
前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を純水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とする荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄システム。
【請求項13】
水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置であって、
前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、
前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにし、
前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を純水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とする荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄システム。
【請求項14】
水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、
前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、
前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置を用い、
前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を超微細気泡水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とする荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄システム。
【請求項15】
水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、
前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、
前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、
ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、
前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、
前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、
からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置であって、
前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、
前記荷重用貯水タンクに前記超微細気泡水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにし、
前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を超微細気泡水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とする荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄システム。
【請求項16】
前記自走式ロボットが、自走式ロボット本体と、
前記自走式ロボット本体の上部に着脱自在に取り付けられるマルチコプターと、
からなり、
前記自走式ロボットを前記対象の物体表面に搭載させる際には、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面の所定の箇所まで運搬し、
前記自走式ロボットを用いて前記対象の物体表面を洗浄する際は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体から取り外しておき、
前記自走式ロボットによる前記対象の物体表面の洗浄が完了した後は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面から回収することができるようにしたことを特徴とする請求項12ないし15のいずれかに記載の荷重調節機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル、屋根、壁面、路面その他洗浄が必要な物体の表面を、超微細気泡水を物体表面に噴霧または放水することにより洗浄する装置およびその洗浄システムにおいて、特に荷重調整機構を備えたものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の住宅、産業用施設等のあらゆる構造物において、その構造物を含む物体表面を洗浄し、綺麗な状態を保つニーズは、物体の表面が自然環境に晒される限り、なくなることはない。しかし、その物体の表面の洗浄は、例えば界面活性剤のような洗浄剤を使用してしまうと、自然環境への負荷が高く、昨今の産業界の方向性と逆行してしまうものの、洗浄効果の高い薬液を使用しない場合、十分な洗浄能力を発揮することができず、物体の表面を十分に洗浄できないという問題も存在する。
【0003】
そこで、自然環境への負荷を抑えながら、物体表面を十分に洗浄することができる方法として、微細気泡を含有させた液体を用いる方法が提案されている。
例えば、特許第6780172号公報(特許文献1)には、水系洗浄剤として、(a)ジエチレングリコールモノアルキルエーテルと、(b)三級アミンと、(c)乳酸エステルと、(d)ヒドロキシカルボン酸と、(e)水とを含有することを特徴とし、かかる水系洗浄剤は、界面活性剤を実質的に含有していないにもかかわらず、高い洗浄性能を発揮できるため、界面活性剤の残留による悪影響を生じさせることなく、種々の汚れを好適に除去でき、また、この水系洗浄剤は、人体への影響が比較的に少ない乳酸エステルを使用しているため、取扱いや廃棄が容易という利点も有することを特徴とする水系洗浄剤を用いた洗浄方法が提案されている。
【0004】
また、超微細気泡を含有させた洗浄水および該洗浄水を用いた物体表面の洗浄方法として、特開2021-049490号公報(特許文献2参照)には、軟水Wsをバブリング処理してファインバブルが含まれる軟水Wpとする第1工程と、軟水を電気分解処理することにより軟水の中に1ppm以上の濃度を持つオゾンバブルとファインバブルとが混在する洗浄水Wmを得る第2工程とを含むトイレ内の設備Tに散布されてその清掃に利用される洗浄水Wmを製造する洗浄水の製造方法および洗浄水散布システムが提案されている。
【0005】
そして、物体表面の洗浄における、具体的手法として、既知の人力による洗浄の他、特開2013-139958号公報には、物体表面の洗浄を行う装置として、自走式ロボットシステムを用いる記述がなされている。
【0006】
さて、このように物体表面の洗浄については、例えば人力により、洗浄作業者が長尺のブラシ等をもって、物体表面の洗浄を行い、あるいは、物体表面に自走式ロボットシステムにおける放水ロボットを積載して、無人で物体表面の洗浄を行うことになるが、その場合、次のような課題が存在する。
(ア)人力により、洗浄作業者が長尺のブラシ等をもって、物体表面の洗浄を行う場合、長尺のブラシの物体表面への押し付けの強さにより、洗浄能力にムラがでてしまい、物体表面における洗浄ムラが生じてしまう。特に、洗浄作業者から遠い箇所の洗浄においては、長尺のブラシの物体表面への押し付けの強さが低下してしまい、洗浄作業者から近い箇所の物体表面の洗浄に比べて、洗浄能力の低下により十分に洗浄できないことがある。
(イ)自走式ロボットシステムにおける放水ロボットを物体表面に積載して物体表面の洗浄を行う場合、自走式ロボットシステム本体の重量により、物体表面への積載に際して、物体表面への負担が大きくなりすぎ、物体表面の損傷、変形、物体を支える基台への負荷、損傷、変形、物体表面への積載また物体表面からの撤去における作業負担の増加等の課題が存在する。
(ウ)さらに、自走式ロボットシステムにおける放水ロボットの重量を軽量化した場合、物体表面への荷重が軽減してしまうことにより、物体表面の洗浄能力が低下してしまうといった課題も存在する。
【0007】
このように、物体表面の洗浄において、物体表面を摩擦により洗浄する作業においては、物体表面への荷重の多寡がその洗浄能力に大きく影響するものの、物体表面への損傷、変形等とのおそれとの兼ね合いにより、洗浄対象の物体の外的要因により、洗浄方法が限定されてしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6780172号
【特許文献2】特開2021-049490号公報
【特許文献3】特開2013-139958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明が解決しようとする課題は、人力よる洗浄作業において用いられる長尺のブラシ等の洗浄装置に搭載され、あるいは、物体表面の載置される自走式ロボットに搭載される、荷重用貯水タンクからなる荷重調整機構を備えた洗浄装置および当該洗浄装置を用いた洗浄システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記純水を散水可能な散水ノズルと、からなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記純水を散水可能な散水ノズルと、からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置であって、前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記ブラシ部が荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いた純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記超微細気泡水を散水可能な散水ノズルと、からなることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いた純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、先端にブラシ部を備える伸縮ポール部と、前記ブラシ部の背部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、前記ブラシ部の近傍に取り付けられ、前記超微細気泡水を散水可能な散水ノズルと、からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置であって、前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記ブラシ部が荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置であって、前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置は、水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置であって、前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、前記荷重用貯水タンクに前記超微細気泡水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置において、前記自走式ロボットが、自走式ロボット本体と、前記自走式ロボット本体の上部に着脱自在に取り付けられるマルチコプターと、からなり、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面に搭載させる際には、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面の所定の箇所まで運搬し、前記自走式ロボットを用いて前記対象の物体表面を洗浄する際は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体から取り外しておき、前記自走式ロボットによる前記対象の物体表面の洗浄が完了した後は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面から回収することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置において、前記荷重用貯水タンクが、該荷重用貯水タンク内に複数の貯水区画を備え、該複数の貯水区画は、それぞれ、制御機構により開閉する開閉口を備え、任意の前記貯水区画の前記開閉口を開口させることにより、該貯水区画に前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクの該貯水区画に相当する箇所が荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記背部に搭載された前記ブラシ部の、前記荷重部分に対応する箇所が荷重されて、前記ブラシ部の任意の箇所を前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置は、前記荷重用貯水タンクが、該荷重用貯水タンク内に複数の貯水区画を備え、
該複数の貯水区画は、それぞれ、制御機構により開閉する開閉口を備え、
任意の前記貯水区画の前記開閉口を開口させることにより、該貯水区画に前記超微細気泡水が流入して、前記荷重用貯水タンクの該貯水区画に相当する箇所が荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットの、前記荷重部分に対応する箇所が荷重されて、前記ブラシ部の任意の箇所を前記物体表面により強く押し付けられるようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
本発明の荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄システムは、水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置を用い、前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を純水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の荷重調整機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄システムは、水から不純物を取り除いた純水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された純水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなる荷重調節機構付きの純水を用いた物体表面の洗浄装置であって、前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、前記荷重用貯水タンクに前記純水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにし、前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を純水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
本発明の荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄システムは、水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置を用い、前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を超微細気泡水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
本発明の荷重調整機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄システムは、水から不純物を取り除いて純水を生成する純水生成用フィルタと、前記純水に超微細気泡を含有させて超微細気泡水を生成する超微細気泡水生成装置と、前記超微細気泡水生成装置により生成された超微細気泡水を貯留する貯留用タンクと、ブラシ部を備え、対象の物体表面に搭載される自走式ロボットと、前記自走式ロボットの上部に取り付けられた荷重調整機構と、前記貯留用タンクに貯留された超微細気泡水を前記荷重調整機構に送出する送出ポンプ部と、からなる荷重調節機構付きの超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置であって、前記荷重調整機構が、荷重用貯水タンクからなり、前記荷重用貯水タンクに前記超微細気泡水が流入して、前記荷重用貯水タンクが荷重されることにより、前記荷重用貯水タンクが前記上部に搭載された前記自走式ロボットが荷重されて、前記ブラシ部が前記物体表面により強く押し付けられるようにし、前記自走式ロボットの自動走行または遠隔操作より、前記物体表面を超微細気泡水を用いて洗浄することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0025】
本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄システムにおいて、前記自走式ロボットが、自走式ロボット本体と、前記自走式ロボット本体の上部に着脱自在に取り付けられるマルチコプターと、からなり、
前記自走式ロボットを前記対象の物体表面に搭載させる際には、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面の所定の箇所まで運搬し、前記自走式ロボットを用いて前記対象の物体表面を洗浄する際は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体から取り外しておき、前記自走式ロボットによる前記対象の物体表面の洗浄が完了した後は、前記マルチコプターを前記自走式ロボット本体の上部に取り付けて、前記マルチコプターを操作して、前記自走式ロボットを前記対象の物体表面から回収することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置の奏する作用効果としては、次のものが挙げられる。
(1)純水または純水と超微細気泡からなる超微細気泡水を用いることで、界面活性剤等の洗剤を使用せずとも、十分な洗浄力を発揮することができる
(2)純水または純水と超微細気泡からなる超微細気泡水を用いることで、洗浄する対象物への物理的負荷がなく、界面活性剤や融雪剤等の環境負荷の大きい洗浄剤を使用せずに済み、環境に優しく、自然環境を損なうことがない
(3)超微細気泡水は、純水に超微細気泡を含有させて精製されるものであり、純水のほか、例えば水道水を用いる場合であれば所定のフィルタを通してカルキ等を除去して純水として用いることもでき、調達コストを非常に安く抑えることができる
(4)純水を用いることにより、物体表面の洗浄後の、洗浄に用いた水分による二次的な汚損、例えばカルキ汚れ等がない
(5)伸縮ポール部を用いることにより、対象の物体が屋根等の高所にある場合であっても、足場が不要で、屋根に上ることなく、安心安全に洗浄作業を行うことができる
(6)太陽光パネル等の設置環境により、人力による洗浄作業が効率的ではない場合、例えば太陽光パネル等の設置場所が高所であったり、洗浄する物体表面が極めて広大であったりする場合は、自走式ロボットを物体表面に載置し、当該自走式ロボットの自動走行または遠隔操作により、効率的に洗浄作業を行うことができる
(7)自走式ロボットを自走式ロボット本体と、該自走式ロボット本体に着脱自在に取り付けたマルチコプターとからなるようにしたことにより、自走式ロボットを物体表面に載置するに際して、人力による作業が不要となり、作業者の安全の確保と、作業効率の向上を同時に成しえることができる
(8)自走式ロボットのマルチコプターによる上げ下ろしを前提として、自走式ロボットを軽量化することができ、クレーン等による自走式ロボットの上げ下ろしが不要であり、作業コストを大幅に抑えることができる
(9)自走式ロボットの軽量化による洗浄力の低下の部分については、自走式ロボットに荷重用貯水タンクを搭載したので、自走式ロボットのマルチコプターでの運搬時には該貯水タンクをほぼ空にして自走式ロボットを軽量化させ、自走式ロボットによる物体表面の洗浄時には、物体表面の汚れ具合に応じて前記貯水タンクに純水または超微細気泡水を流入させて自走式ロボットに荷重させ、自走式ロボットは十分な洗浄力を発揮することができる
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびそのシステムの第1実施例における伸縮ポール部を示し、(a)は伸縮ポール部のブラシ部に荷重用貯水タンクを取り付けようとする状態の概略斜視図、(b)はブラシ部に荷重用貯水タンクを取り付けた状態の概略斜視図である。
図2】第1実施例において、太陽光パネル等の物体表面の手前側を洗浄している状態の概略斜視図である。
図3】第1実施例において、太陽光パネル等の物体表面の奥側を洗浄している状態の概略斜視図である。
図4】本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびそのシステムの第2実施例における自走式ロボットを示し、(a)は自走式ロボットの上部に荷重用貯水タンクを取り付けた状態の概略正面図、(b)はその概略平面図、(c)はその概略底面図、(d)はその概略側面図である。
図5】第2実施例における自走式ロボットを示し、(a)は自走式ロボットの上部に荷重用貯水タンクを取り付けようとする状態の概略斜視図、(b)は自走式ロボットの上部に荷重用貯水タンクを取り付けた状態の概略斜視図である。
図6】第2実施例において、自走式ロボットにマルチコプターを取り付けた状態の概略斜視図である。
図7】第2実施例において、マルチコプターを操作して、自走式ロボットを物体表面の上部へ運搬している状態を示す概略斜視図である。
図8】第2実施例において、マルチコプターを操作して、自走式ロボットを物体表面に載置しようとする状態の概略斜視図である。
図9】第2実施例において、自走式ロボットからマルチコプターを取り外し、自走式ロボットを物体表面に載置した状態の概略斜視図である。
図10】純水または超微細気泡水を駐留する貯留タンクと自走式ロボットとを接続し、純水または超微細気泡水の流路となるチューブ部材の懸架手段の例を示す概略図である。
図11】その、別の懸架手段を示す概略図である。
図12】荷重用貯水タンクの内部構造の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびそのシステムを、図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
図1ないし図3は、本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびそのシステムの第1実施例であり、荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置11(以下、洗浄装置11という)を用いて、物体表面Sに純水または超微細気泡水を噴霧または放水し、かつ、前記洗浄装置11を構成する伸縮ポール部の先端に設けたブラシ部を介して、物体表面Sの洗浄を行うことができるようにしたものである。
このとき、前記超微細気泡水を用いれば、超微細気泡の高い洗浄能力により、前記物体表面Sの表面を容易にかつ十分に洗浄することができるのである。
また、純水または超微細気泡水のいずれを用いた場合であっても、十分な洗浄能力を発揮し、界面活性剤等の環境負荷の高い洗剤を用いることなく、十分に洗浄することができ、かつ、洗浄後の水垢汚れ等も生じることがない。
【0030】
特に、前記超微細気泡水は、噴霧または放水の対象である前記物体表面Sへの物理的負荷、基本的に屋外環境であることによる環境負荷等を考慮して、不純物を含まないかほとんど含まず純度の高い水である純水に、前記純水に直径が極めて小さい超微細気泡を含有させることにより得られるものを用いる。
前記純水としては、蒸留水や脱イオン水等の不純物が十分に取り除かれたものであればよく、水道水であってもフィルタを介して純水として使用することもできる。
前記純水に含有される前記超微細気泡の直径は100μm未満とすることがよく、特に1μm未満の超微細気泡(いわゆるウルトラ超微細気泡)を好適に用いることができる。
加えて、洗浄する対象物の形状、構造、材質等に合わせて、最も効果的な前記超微細気泡の直径を適宜選択して用いれば、洗浄する対象物がどのような性質のものであっても、常に高い洗浄能力を発揮させることができるのである。
【0031】
本発明の第1実施例に係る洗浄装置11は、水から不純物を取り除いた純水、または本発明を構成する超微細気泡水生成装置31を用いて純水に超微細気泡を含有させて生成した超微細気泡水、を好適に用いることができる。そして、図1ないし図3に示すように、前記純水または超微細気泡水を貯留する貯留用タンク41と、先端にブラシ部52を備える伸縮ポール部51と、前記ブラシ部52の背部52aに取り付けられた荷重調整機構61と、前記貯留用タンク41に貯留された純水または超微細気泡水を前記荷重調整機構61に送出する送出ポンプ部71と、前記ブラシ部52の近傍に取り付けられ、前記純水または超微細気泡水を噴霧または放水可能なノズル部(図示せず)とから構成されている。
【0032】
前記伸縮ポール部51は、その長さ方向において伸縮自在とすることができ、先端にはブラシ部52を設けてある。前記ブラシ部52の材質は、前記物体表面Sを摩擦により傷つけないものであればよく、かつ、洗浄力を高めるため、例えば、電動の回転式ブラシを好適に用いることができる。
【0033】
そして、前記伸縮ポール部51は、その長さを縮めておけば、図2に示すように、前記物体表面Sの手前側の洗浄を効率よく行うことができる。このとき、前記伸縮ポール部51が短く、前記伸縮ポール部51を持つ作業者の力が前記伸縮ポール部51に十分に伝わるため、前記伸縮ポール部51の先端に設けたブラシ部52を前記物体表面Sに強く押し付けることができ、前記物体表面Sを十分に洗浄することができる。
【0034】
また、前記伸縮ポール部51の長さを伸ばしておけば、図3に示すように、前記物体表面Sの奥側の洗浄を行うこともできる。このとき、前記伸縮ポール部51が長く、前記伸縮ポール部51を持つ作業者の力が前記伸縮ポール部51の先端に設けた前記ブラシ部52に伝わりにくく、前記ブラシ部52を前記物体表面Sに十分に押し付けられず、したがって十分な洗浄を行うことができない場合がある。そこで、前記伸縮ポール部51の前記ブラシ部52は、その背部52aに荷重調整機構61を備えている。
【0035】
前記荷重調整機構61として、本実施例では、荷重用貯水タンク62を採用しているが、荷重を調整できる機構であればよく、本実施例で挙げた荷重用貯水タンクに限られるものではない。
当該荷重用貯水タンク62は、前記ブラシ部52の背部52aに着脱自在に取り付けられ、常態においては、そのタンク内部が空であることが好ましい。
そして、図3に示すように、前記伸縮ポール部51を伸ばして物体表面Sの奥側を洗浄するような、前記伸縮ポール部51の先端のブラシ部52に作業者の力が十分に伝わらない場合に、前記荷重用貯水タンク62に純水または超微細気泡水を貯水して、前記荷重用貯水タンク62によってブラシ部52を荷重して、前記ブラシ部52を物体表面Sに強く押し付けることができるようにすることで、前記物体表面Sの奥側も、前記物体表面Sの手前側と同様に、十分に洗浄することができるのである。
【0036】
前記純水を得る際は、前記純水生成用フィルタ(図示せず)を好適に用いることができる。洗浄の対象となる物体の周辺の、例えば水道水を導入して、前記純水生成用フィルタを介して得られた純水、もしくは、さらに前記超微細気泡水生成装置31を用いて超微細気泡を含有させて、前記超微細気泡水を得ることもできる。
このようにして得られた前記純水または超微細気泡水は、前記貯留用タンク41に貯留され、物体表面Sの洗浄作業に際して、前記貯留用タンク41から前記送出ポンプ部71を介して前記伸縮ポール部51に送出され、前記ノズル部(図示せず)から、前記ブラシ部52による物体表面Sのブラッシングとともに、あるいはブラッシングの前後において、前記物体表面Sに噴霧または放水すればよい。
【0037】
上述のとおり、前記伸縮ポール部51は、適宜伸縮可能な伸縮機能を備えており、対象の物体表面Sの形状や設置環境に応じて、前記伸縮ポール部51の長さを調整することができ、作業者や作業場所を問わず、効率的に作業することができるようにしてある。
また、前記伸縮ポール部51は、ポール内部またはポール外周部に前記送出ポンプ部71から送出される純水または超微細気泡水の流路(図示せず)を備えている。このように、前記伸縮ポール部51のポール内部またはポール外周部に前記送出ポンプ部71から送出される純水または超微細気泡水の流路を設けることで、1本の前記伸縮ポール部51で対象の物体表面Sへのブラシ部52によるブラッシングと、純水または超微細気泡水の噴霧または放水を行うことができ、作業者が都度ポールを持ち替える必要がなく、非常に効率的に洗浄作業を行うことができる。
【0038】
なお、前記荷重用貯水タンク62は、前記純水または超微細気泡水の流路と前記ノズル部との間に組み込むか、前記流路を分岐させて、前記ノズル部と前記荷重用貯水タンク62にそれぞれ接続させてもよい。
このようにすることにより、前記荷重用貯水タンク62への純水または超微細気泡水の貯水が不要な場合は、前記荷重用貯水タンク62への貯水を行わずにそのまま前記ノズル部から前記純水または超微細気泡水を噴霧または放水をし、前記ブラシ部52への荷重のために前記荷重用貯水タンク62に貯水が必要な場合には、前記荷重用貯水タンク62に純水または超微細気泡水を任意の貯水量まで貯水することにより、前記ブラシ部52を必要な分だけ荷重することができるのである。
【0039】
また、前記ブラシ部52には、対象の物体表面Sの状態を撮影することができるカメラ部(図示せず)や、映像表示機能を備えたコントロール部101を用いて、前記カメラ部が撮影した物体表面Sの映像を直ちに表示することにより、洗浄作業を行う作業者が洗浄作業を行いながら随時物体表面Sの洗浄状態を確認しながら効率的に洗浄作業を行うことができるようにしてもよい。
また、前記荷重用貯水タンク62には、AI装置を搭載させ、前記カメラ部で撮影した物体表面Sの画像を解析して、適宜前記荷重用貯水タンク62への貯水及び脱水を制御させても良い。このようにすることにより、さらに、正確に効率よく作業することもできる。
【0040】
図4ないし図11は、本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびそのシステムの第2実施例であり、荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置201(以下、洗浄装置201という)を構成する自走式ロボットを用いて、物体表面Sに純水または超微細気泡水を噴霧または放水し、かつ自走式ロボットのブラシ部でのブラッシングにより物体表面Sの洗浄を行うことができるようにしたものである。
このとき、前記超微細気泡水を用いれば、超微細気泡の高い洗浄能力により、前記物体表面Sの表面を容易にかつ十分に洗浄することができるのである。
また、純水または超微細気泡水のいずれを用いた場合であっても、十分な洗浄能力を発揮し、界面活性剤等の環境負荷の高い洗剤を用いることなく、十分に洗浄することができ、かつ、洗浄後の水垢汚れ等も生じることがない。
【0041】
特に、前記超微細気泡水は、噴霧または放水の対象である前記物体表面Sへの物理的負荷、基本的に屋外環境であることによる環境負荷等を考慮して、不純物を含まないかほとんど含まず純度の高い水である純水に、前記純水に直径が極めて小さい超微細気泡を含有させることにより得られるものを用いる。
前記純水としては、蒸留水や脱イオン水等の不純物が十分に取り除かれたものであればよく、水道水であってもフィルタを介して純水として使用することもできる。
前記純水に含有される前記超微細気泡の直径は100μm未満とすることがよく、特に1μm未満の超微細気泡(いわゆるウルトラ超微細気泡)を好適に用いることができる。
加えて、洗浄する対象物の形状、構造、材質等に合わせて、最も効果的な前記超微細気泡の直径を適宜選択して用いれば、洗浄する対象物がどのような性質のものであっても、常に高い洗浄能力を発揮させることができるのである。
【0042】
本発明の第2実施例に係る洗浄装置201は、水から不純物を取り除いた純水、または本発明を構成する超微細気泡水生成装置231を用いて純水に超微細気泡を含有させて生成した超微細気泡水、を好適に用いることができる。そして、前記洗浄装置201は、図4ないし図11に示すように、前記純水または超微細気泡水を貯留する貯留用タンク241と、底部にブラシ部252を備え、対象の物体表面Sに搭載される自走式ロボット251と、前記自走式ロボット251の上部251aに取り付けられた荷重調整機構261と、前記貯留用タンク241に貯留された純水または超微細気泡水を前記荷重調整機構261に送出する送出ポンプ部271と、前記自走式ロボット251の適所に設けられた前記純水または超微細気泡水を噴霧または放水可能なノズル部(図示せず)と、から構成されている。
【0043】
前記自走式ロボット251は、図4および図5に示すように、底部にブラシ部252を備え、前記物体表面Sに載置され、自動で、また遠隔操作により、前記物体表面Sを洗浄することができる。前記ブラシ部252の材質は、前記物体表面Sを摩擦により傷つけないものであればよく、かつ、洗浄力を高めるため、例えば、回転式ブラシを好適に用いることができる。
【0044】
そして、第2実施例においては、図6ないし図9に示すように、前記自走式ロボット251は、自走式ロボット本体253と、前記自走式ロボット本体253の上部251aに着脱自在に取り付けられるマルチコプター254と、から構成されている。
前記自走式ロボット251を前記対象の物体表面Sに搭載させる際には、まず、図6に示すように、前記マルチコプター254を前記自走式ロボット本体253の上部251aに取り付ける。
そして、図7ないし図9に示すように、前記マルチコプター254を操作して、前記自走式ロボット251を前記対象の物体表面Sの所定の箇所まで運搬して、前記自走式ロボット251を前記物体表面Sに載置する。前記自走式ロボット251を用いて前記対象の物体表面Sを洗浄する際は、前記マルチコプター254を前記自走式ロボット本体253から取り外しておき、前記自走式ロボット251による前記対象の物体表面Sの洗浄を行う。もちろん、前記マルチコプター254を前記自走式ロボット251に取り付けたまま、前記自走式ロボット251による前記物体表面Sの洗浄を行ってもよい。
【0045】
そして、前記自走式ロボット251による前記物体表面Sの洗浄が完了した後は、前記マルチコプター254を前記自走式ロボット本体253の上部251aに取り付けて、あるいは、取り付けたままの前記マルチコプター254を操作して、前記自走式ロボット251を前記対象の物体表面Sから回収すればよい。
【0046】
なお、前記自走式ロボット251を前記マルチコプター254を介して、前記物体表面Sに運搬して載置するに際して、前記自走式ロボット251は軽量化させておくと良い。このようにすることにより、前記マルチコプター254での前記自走式ロボット251の運搬を容易とすることができ、したがって、従来の自走式ロボットが物体表面へのクレーンによる上げ下ろしを行っていた点に比べ、作業コストを大幅に低減し、効率的に作業を実施することができる。
【0047】
また、前記自走式ロボット251の軽量化に伴い、前記自走式ロボット251の前記物体表面Sへの押し付けが軽減することによる洗浄力の低下する場合がある。そこで、前記自走式ロボット251は、その上部251aに荷重調整機構261を備えている。
【0048】
前記荷重調整機構261として、本実施例では、荷重用貯水タンク262を採用しているが、荷重を調整できる機構であればよく、本実施例で挙げた荷重用貯水タンクに限られるものではない。
当該荷重用貯水タンク262は、前記自走式ロボット251の上部251aに着脱自在に取り付けられ、常態においては、そのタンク内部が空であることが好ましい。
そして、図9に示すように、前記自走式ロボット251を物体表面Sに載置して、前記物体表面Sを洗浄する際に、前記自走式ロボット251の軽量化による洗浄力の低下を補うべく、あるいは、自走式ロボット251を荷重して、前記ブラシ部252の前記物体表面Sへの押し付けを強めてさらに洗浄力を高めるべく、前記荷重用貯水タンク262に純水または超微細気泡水を貯水し、前記荷重用貯水タンク262によってブラシ部252を荷重して、前記ブラシ部252を物体表面Sに強く押し付けることで、前記物体表面Sを十分に洗浄することができるのである。
【0049】
さて、前記純水を得る際は、前記純水生成用フィルタ(図示せず)を好適に用いることができる。洗浄の対象となる物体の周辺の、例えば水道水を導入して、前記純水生成用フィルタを介して得られた純水、もしくは、さらに前記超微細気泡水生成装置231を用いて超微細気泡を含有させて、前記超微細気泡水を得ることもできる。
このようにして得られた前記純水または超微細気泡水は、前記貯留用タンク241に貯留され、物体表面Sの洗浄作業に際して、前記貯留用タンク241から前記送出ポンプ部271を介して前記自走式ロボット251に送出され、前記ノズル部(図示せず)から、前記ブラシ部252による物体表面Sのブラッシングとともに、あるいはブラッシングの前後において、前記物体表面Sに噴霧または放水すればよい。
【0050】
上述のとおり、前記自走式ロボット251は、適宜、物体表面Sに載置して、自動走行または遠隔操作にて物体表面Sの洗浄を行うことができ、対象の物体表面Sの形状や設置環境に応じて、作業者や作業場所を問わず、効率的に作業することができるようにしてある。
【0051】
また、前記自走式ロボット251は、図10または図11に示すように、前記純水または超微細気泡水の流路となるチューブ部材281を介して、前記貯留タンク241と接続してもよい。このとき、前記チューブ部材281は、前記自走式ロボット251の移動による断線や破損を防ぐため、図10に示すように、懸架柱301に懸架させるか、または、図11に示すように、前記マルチコプター254または懸架用のマルチコプター302を用いて、懸架しておくと良い。
【0052】
なお、前記荷重用貯水タンク262は、前記純水または超微細気泡水の流路であるチューブ部材281と前記ノズル部との間に組み込むか、前記チューブ部材282を分岐させて、前記ノズル部と前記荷重用貯水タンク262にそれぞれ接続させてもよい。
このようにすることにより、前記荷重用貯水タンク262への純水または超微細気泡水の貯水が不要な場合は、前記荷重用貯水タンク262への貯水を行わずにそのまま前記ノズル部から前記純水または超微細気泡水を噴霧または放水をし、前記ブラシ部252への荷重のために前記荷重用貯水タンク262に貯水が必要な場合には、前記荷重用貯水タンク262に純水または超微細気泡水を任意の貯水量まで貯水することにより、前記ブラシ部252を必要な分だけ荷重することができるのである。
【0053】
また、前記自走式ロボット251には、対象の物体表面Sの状態を撮影することができるカメラ部(図示せず)と、AI装置(図示せず)とを搭載させ、前記カメラ部で撮影した物体表面Sの画像を解析して、適宜、前記荷重用貯水タンク262への貯水及び脱水を制御させても良い。このようにすることにより、さらに、正確に効率よく作業することもできる。
【0054】
なお、上述の第1実施例、第2実施例における前記荷重用貯水タンク62,262は、図12に示すように、該荷重用貯水タンク62,262内に複数の貯水区画311を備え、該複数の貯水区画311は、それぞれ、手動または自動の制御機構により開閉する開閉口312を備え、任意の前記貯水区画311の前記開閉口312を開口させることにより、該貯水区画311に前記純水または超微細気泡水が流入して、前記荷重用貯水タンク62,262の該貯水区画311に相当する箇所が荷重されることにより、前記荷重用貯水タンク62,262が前記ブラシ部52,252の、前記荷重部分に対応する箇所が荷重されて、前記ブラシ部52,252の任意の箇所を前記物体表面Sにより強く押し付けられるようにしてもよい。
【0055】
このように、本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびそのシステムにおいては、作業者が洗浄作業を行う場合であっても、純水または超微細気泡水を用いることで、洗浄する対象物への物理的負荷がなく、界面活性剤や融雪剤等の環境負荷の大きい洗浄剤を使用せずに済み、環境に優しく、自然環境を損なうことがないようにすることができる。
さらに、超微細気泡水は、純水に超微細気泡を含有させて生成されるものであり、水道水等を用い所定のフィルタを通してカルキ等を除去して純水として用いることもで、調達コストを非常に安く抑えることができ、純水を用いることにより、物体表面の洗浄後の、洗浄に用いた水分による二次的な汚損、例えばカルキ汚れ等を生じさせないようにすることができる。
【0056】
加えて、洗浄対象物の設置環境により、前記伸縮ポール部を用いた人力での洗浄作業と、自走式ロボットを用いた自動走行または遠隔操作による洗浄作業とを選択することができ、作業コストの低減や、作業環境の安全性の向上といった効果も期待することができる。
【0057】
さらに、自走式ロボットに関しては、自走式ロボット本体を軽量化することにより、前記洗浄対象物への物理的負担を低減しながら、搭載した荷重用貯水タンクを活用することで、自走式ロボットの軽量化による洗浄力の低下を補い、あるいは自走式ロボットの洗浄力をより強化することができ、十分な洗浄を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の荷重調整機構付きの純水または超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄装置、およびそのシステムによれば、洗浄する対象物の形状や設置環境に応じて、作業員の洗浄作業において、対象の物体表面を容易にかつ安全に、そして十分に洗浄することができるので、ありとあらゆる物体表面の洗浄に適用することができることはいうまでもない。
また、洗浄に際して純水または超微細気泡水を用いているので、界面活性剤等の設備への物理的負荷や周囲の自然環境への負荷の大きい洗浄剤を不要とすることもでき、あらゆる設備に対応することができるとともに、周囲の自然環境を損なうことのない洗浄方法となっている。
【符号の説明】
【0059】
11 洗浄装置
31 超微細気泡水生成装置
41 貯留用タンク
51 伸縮ポール部
52 ブラシ部
52a 背部
61 荷重調整機構
62 荷重用貯水タンク
71 送出ポンプ部
101 コントロール部
201 洗浄装置
231 超微細気泡水生成装置
241 貯留用タンク
251 自走式ロボット
251a 上部
252 ブラシ部
253 自走式ロボット本体
254 マルチコプター
261 荷重調整機構
262 荷重用貯水タンク
271 送出ポンプ部
281 チューブ部材
301 懸架柱
302 懸架用のマルチコプター
311 複数の貯水区画
312 開閉口
S 物体表面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12