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特開2024-68642歯科用ガラスセラミックブランクを少なくとも2個製造するための多重型、多重型の使用、圧縮装置及び連続システム
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  • 特開-歯科用ガラスセラミックブランクを少なくとも2個製造するための多重型、多重型の使用、圧縮装置及び連続システム 図1
  • 特開-歯科用ガラスセラミックブランクを少なくとも2個製造するための多重型、多重型の使用、圧縮装置及び連続システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068642
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】歯科用ガラスセラミックブランクを少なくとも2個製造するための多重型、多重型の使用、圧縮装置及び連続システム
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/00 20060101AFI20240513BHJP
   A61C 13/00 20060101ALI20240513BHJP
   B28B 7/00 20060101ALI20240513BHJP
   B28B 7/42 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B28B3/00 C
A61C13/00 Z
B28B7/00 B
B28B7/00 D
B28B7/42
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023185459
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】22206188
(32)【優先日】2022-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL-9494 Schaan Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ラース アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター エントナー
【テーマコード(参考)】
4G053
4G054
【Fターム(参考)】
4G053BA01
4G053BA04
4G053BB19
4G053BC03
4G053BF01
4G053CA17
4G053DA01
4G053DA08
4G053EB17
4G054BB01
4G054BB04
4G054BB05
4G054BB06
4G054BE11
4G054BE12
4G054BE13
(57)【要約】
【課題】ガラスセラミックブランクの製造を更に改良すること。
【解決手段】少なくとも2個のガラスセラミックブランクを製造するための多重型(42)が記載されている。ガラスセラミックブランクは、歯科用であると共に、ホットプレスによって少なくとも2個の粉末ブランクから製造される。多重型(42)は、少なくとも2個の粉末ブランクのための収容容積(50)の少なくとも一部を規定するフレーム(48)を備える。また、収容容積(50)内に配置されると共に、その収容容積(50)を、それぞれが少なくとも2個の粉末ブランクのうちの1個を収容するよう設計された少なくとも2つのサブ容積に分割する、少なくとも1個の分離要素(52)が設けられている。更に、歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための多重型(42)の使用が記載されている。これに加えて、歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための圧縮装置及び連続システムが記載されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットプレスによって少なくとも2個の粉末ブランク(32)から少なくとも2個の歯科用ガラスセラミックブランク(12)を製造するための多重型(42)であって、
・前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)のための収容容積(50)の少なくとも一部を規定するフレーム(48)と、
・前記収容容積(50)内に配置されると共に、該収容容積(50)を、それぞれが前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)のうちの1個を収容するよう設計された少なくとも2つのサブ容積(54)に分割する、少なくとも1個の分離要素(52)と、
を備える、多重型。
【請求項2】
請求項1に記載の多重型(42)であって、前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)を、直接的又は間接的に支持するための支持面(46)を有する支持プレート(44)を備える、多重型。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多重型(42)であって、前記収容容積(50)の少なくとも一部を加熱するための加熱装置(64)を更に備える、多重型。
【請求項4】
請求項3に記載の多重型(42)であって、前記加熱装置(64)が、前記収容容積(50)における2つの異なる部分を独立して加熱するための少なくとも2個の別個の加熱セグメント(68)を含む、多重型。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の多重型(42)であって、前記加熱装置(64)が、少なくとも1個の誘導加熱要素を含む、多重型。
【請求項6】
請求項3~5の何れか一項に記載の多重型(42)であって、前記加熱装置(64)が、少なくとも1個の電気抵抗加熱要素(66)を含む、多重型。
【請求項7】
請求項6に記載の多重型(42)であって、分離要素(52)が、少なくとも部分的に抵抗加熱要素(66)として形成されている、多重型。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の多重型(42)であって、該多重型(42)が、少なくとも2個の抵抗加熱要素(66)を備え、該少なくとも2個の抵抗加熱要素(66)が、異なる電気抵抗を有する、多重型。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の多重型(42)であって、前記分離要素(52)が、グラファイト材料を含むか又はグラファイト材料から製造されている、多重型。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の多重型(42)であって、前記分離要素(52)及び前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)を前記収容容積(50)内にクランプするためのクランプ装置(56)が、前記フレーム(48)に設けられている、多重型。
【請求項11】
請求項10及び請求項6に記載の多重型(42)であって、前記クランプ装置(56)が、少なくとも部分的に抵抗加熱要素(66)として形成されている、多重型。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の多重型(42)であって、補償プレート(61a,61b,61c,61d)が、前記収容容積(50)内において、前記粉末ブランク(32)のうちの少なくとも1個に隣接するよう及び/又は前記分離要素(52)に隣接するよう設けられている、多重型。
【請求項13】
請求項12及び請求項6に記載の多重型(42)であって、前記補償プレート(61a,61b,61c,61d)が、少なくとも部分的に抵抗加熱要素(66)として形成されている、多重型。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の多重型(42)であって、2つ以上の分離要素(52)及びサブ容積(54)が、前記フレーム(48)の第1端面(48a)から前記フレーム(48)の第2端面(48b)まで延びる第1方向(R1)に交互に配置され、前記第1端面(48a)及び前記第2端面(48b)が、互いに対向している、多重型。
【請求項15】
請求項14に記載の多重型(42)であって、2つ以上の分離要素(52)及びサブ容積(54)が、前記第1方向(R1)に対して直角な第2方向(R2)に交互に配置されている、多重型。
【請求項16】
請求項15に記載の多重型(42)であって、2つ以上の分離要素(52)及びサブ容積(54)が、前記第1方向(R1)及び前記第2方向(R2)に対して直角に延びる第3方向(R3)に交互に配置されている、多重型。
【請求項17】
歯科用、特に歯科修復物用のガラスセラミックブランク(12)を製造するための請求項1~16の何れか一項に記載の多重型(42)の使用。
【請求項18】
減圧チャンバ(24)を備える圧縮装置(18a)であって、請求項1~16の何れか一項に記載の多重型(42)が、前記圧縮装置(18a)の前記減圧チャンバ(24)内に配置されている、圧縮装置。
【請求項19】
歯科用ガラスセラミックブランク(12)を製造するための連続システム(10)であって、
・加熱ステーション(16)と、圧縮ステーション(18)と、冷却ステーション(20)とを備え、前記加熱ステーション(16)、前記圧縮ステーション(18)、並びに前記冷却ステーション(20)のそれぞれが、少なくとも1個の型(30)、特に請求項1~16の何れか一項に記載の多重型(42)を収容するよう設計され、
・前記型(30)及び/又は少なくとも1個の粉末ブランク(32)を、前記加熱ステーション(16)から前記圧縮ステーション(18)内へ移送し、該圧縮ステーション(18)から前記冷却ステーション(20)内へ移送するための搬送装置(26)と、
を備える、連続システム。
【請求項20】
請求項19に記載の連続システム(10)であって、前記加熱ステーション(16)が、少なくとも2つの固定温度ゾーン(16a,16b)を備え、及び/又は、前記冷却ステーション(20)が、少なくとも2つの固定温度ゾーン(20a,20b)を備える、連続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットプレスによって少なくとも2個の粉末ブランクから少なくとも2個の歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための多重型に関する。
【背景技術】
【0002】
また、本発明は、歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための多重型の使用に関する。
【0003】
更に、本発明は、減圧チャンバを備える圧縮装置に関する。
【0004】
これに加えて、本発明は、歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための連続システムに関する。
【0005】
これに関連して、歯科技術におけるガラスセラミックブランクの使用が既知である。これらガラスセラミックブランクは、極めて優れた光学的特性及び機械的特性を有する審美的に要求の高い歯科修復物を製造するのに特に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ガラスセラミックブランクの製造を更に改良することである。特に、ガラスセラミックブランクを効率的に製造する可能性が提供されるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、少なくとも2個の歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための多重型によって解決される。ガラスセラミックブランクは、ホットプレスによって少なくとも2個の粉末ブランクから製造される。多重型は、少なくとも2個の粉末ブランクのための収容容積の少なくとも一部を規定するフレームを備える。多重型はまた、収容容積内に配置されると共に、その収容容積を、それぞれが少なくとも2個の粉末ブランクのうちの1個を収容するよう設計された少なくとも2つのサブ容積に分割する、少なくとも1個の分離要素を備える。これに関連して、多重型とは、少なくとも2個のガラスセラミックブランクを同時に製造することができる型を意味すると理解される。多重型は、機械的に一体的なユニットである。例えば、多重型は、単一のダイを備える。従って、そのようなダイは、少なくとも2個のガラスセラミックブランクの製造に使用される。多重型においては、サブ容積の相対位置が固定的に規定されている。本明細書において、粉末ブランクとは、ガラスセラミックブランクが製造される粉末の量を意味すると理解される。この粉末の量は、グリーンボディ又はホワイトボディの形態をとることができる。粉末の量は、単純な粉末凝集体であってもよい。フレーム及び分離要素で構成される多重型の構造は、単純である。このことは、多重型が長寿命かつ頑丈であることを意味する。このように、多重型により、少なくとも2個のガラスセラミックブランクを同時かつ確実に製造することが可能である。このことは、特に、単一型の使用と比較して効率的である。
【0008】
一実施例において、フレームは長方形、特に正方形である。フレームは、丸い、例えば円形であってもよい。全ての変形例において、フレームは、環状と称することができる。このようなフレームは機械的に安定している。
【0009】
フレームが長方形の場合、分離要素及びサブ容積は、立方体状であり得る。従って、フレームによって規定された収容容積内に、分離要素及びサブ容積を効率的に配置することが可能である。従って、フレームによって規定された収容容積は、サブ容積によって効率的に利用することができる。フレームが円形の場合、その内部に立方体状の分離要素及び立方体状のサブ容積を配置することも勿論可能である。ただし、この目的のためには、フレームの円形形状をサブ容積及び分離要素の立方体形状に適合させる、例えば補償プレートの形態の補償要素を使用する必要がある。
【0010】
丸いフレームは更に、テンションリングとして機能することができる。
【0011】
多重型は、少なくとも2個の粉末ブランクを、直接的又は間接的に支持するための支持面を有する支持プレートも備えることができる。このような支持プレートは、ベースプレートと称することもできる。これに関連して、直接的に支持するとは、少なくとも2個の粉末ブランクが支持プレートと直接、即ち介在要素なしに接触することを意味すると理解される。間接的に支持する場合、支持プレートと粉末ブランクとの間に少なくとも1個の介在要素、例えば分離要素が配置されている。少なくとも2個の粉末ブランクを一緒に支持するために、常に1個の支持プレートが使用される。従って、多重型の構造は、依然として単純である。従って、多重型は、長寿命で頑丈である。このように、少なくとも2個のガラスセラミックブランクを同時かつ確実に製造することが可能である。
【0012】
一変形例において、多重型は、収容容積の少なくとも一部を加熱するための加熱装置を備える。従って、粉末ブランクに熱処理を施すことが可能である。
【0013】
加熱装置は、収容容積における2つの異なる部分を独立して加熱するための少なくとも2個の別個の加熱セグメントを含むことができる。この構成には、多重型内において温度分布を制御状態で確立できるという利点がある。これにより、特に、厳しい公差要件を満たす多重型内の均一な温度分布を達成することが可能である。
【0014】
一実施例において、加熱装置は、少なくとも1個の誘導加熱要素を含む。このような加熱要素により、収容容積及びその中に配置された任意の粉末ブランクを確実かつ正確に加熱することが可能である。
【0015】
誘導加熱要素は、例えば、誘導加熱リング又は誘導加熱プレートとして設計されている。
【0016】
他の一実施例において、加熱装置は、少なくとも1個の電気抵抗加熱要素を含む。電気抵抗加熱要素は、電流が流れると熱を発生させる。このような加熱要素により、収容容積及びその中に配置された任意の粉末ブランクを正確かつ確実に加熱することも可能である。
【0017】
代替的な一設計例において、分離要素は、少なくとも部分的に抵抗加熱要素として形成されている。即ち、分離要素は、2つの機能を果たす。分離要素は、第一に収容容積をサブ容積に分割する。第二に、収容容積及びその中に存在する任意の粉末ブランクを加熱するよう機能する。この目的のために、分離要素は、導電性材料を含まなければならないことは明らかであろう。このような構成には、収容容積内に加熱効果をもたらすことができるという利点がある。これにより、収容容積内に配置された粉末ブランクを効率的かつ確実に加熱することができる。
【0018】
一変形例において、分離要素の一部のみが導電性材料を含む。これにより、分離要素を通る電流経路をピンポイントで規定することができる。これにより、熱の発生箇所を正確に固定することができる。
【0019】
多重型が複数の分離要素を備える一変形例においては、一部の分離要素のみが導電性材料を含むことができる。従って、他の分離要素は、電気絶縁体の形態をとる。これにより、電流経路にピンポイントで影響を及ぼし、従って熱の発生箇所を正確に規定することができる。
【0020】
多重型は、少なくとも2個の抵抗加熱要素を備えることができ、これら2個の抵抗加熱要素は、異なる電気抵抗を有することができる。これにより、局所的に発生させる熱量又は加熱出力を容易かつ確実に設定することができる。これは、第一に、多重型内で異なる温度レベルを発生させるために使用することができる。第二に、均一な温度分布を高精度で達成することができる。
【0021】
これに関連して、異なる電気抵抗は、異なる材料における固有の抵抗によってもたらすことができる。即ち、抵抗加熱要素は、異なる材料から作られている。代替的に、広い意味での異なる抵抗は、抵抗加熱要素の異なる形状によってもたらすことができる。
【0022】
歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための多重型の用途において、粉末ブランクは、導電性を有さないことが強調される。従って、粉末ブランクは、電気絶縁体である。従って、粉末ブランクに電流が流れることはなく、粉末ブランクが熱を発生させることもない。
【0023】
一変形例において、分離要素は、グラファイト材料を含むか又はグラファイト材料から製造されている。このことには2つの利点がある。第一に、グラファイト材料は導電性を有するので、分離要素は加熱効果を得ることができる。更に、グラファイト材料は、良好な非粘着特性を有する。これにより、粉末ブランクが分離要素に不所望に付着するのを防ぐことができる。
【0024】
グラファイト材料を含む分離要素は、グラファイト材料でコーティングされた金属又はセラミック材料で作られた分離要素本体を含むことができる。分離要素本体がセラミック材料から製造される場合、分離要素本体は、導電性又は電気絶縁性であり得る。
【0025】
分離要素が全体としてグラファイト材料から製造されていることも勿論可能である。
【0026】
一変形例においては、分離要素及び少なくとも2個の粉末ブランクを収容容積内にクランプするためのクランプ装置がフレームに設けられている。分離要素及び少なくとも2個の粉末ブランクは、ガラスセラミックブランクの製造中に所定位置に保持される。一例において、クランプ装置は、クランプをもたらすためにフレームに対して移動可能な機械的なクランプ要素、例えばねじを含む。フレーム及び分離要素の熱膨張特性を利用することにより、クランプ装置を形成することも可能である。この文脈において、特に、フレームは、比較的小さな熱膨張率しか有さない材料から製造することができる。特に、フレームの熱膨張率は、分離要素の熱膨張率よりも遥かに小さい。このような多重型が加熱されると、所望のクランプが生じる。この文脈において、フレームは、例えばセラミック材料から製造されている。フレームは、炭素繊維強化炭素から製造されていてもよい。炭素繊維強化炭素とは、炭素繊維で強化された炭素又はグラファイトマトリックスを有する材料を意味すると理解される。
【0027】
このように、クランプ装置は、少なくとも部分的に抵抗加熱要素として形成することができる。従って、クランプ装置の少なくとも一部は導電性を有する。クランプ装置における抵抗加熱要素の形態の部分が粉末ブランクと直接的に接触する場合、それらは例えばグラファイト材料から製造することができる。
【0028】
収容容積内においては、粉末ブランクの少なくとも1個に隣接するよう及び/又は分離要素に隣接するよう補償プレートを設けることができる。この補償プレートは、位置の補償及び/又は力の補償のために機能することができる。従って、第1選択肢において、補償プレートは、粉末ブランクのためのサブ容積が正確に位置決めされるという効果を有する。第2選択肢においては、制御された力、例えば張力を粉末ブランクに導入可能にすることが目的である。
【0029】
このように、補償プレートは、少なくとも部分的に抵抗加熱要素として形成することができる。即ち、補償プレートは、粉末ブランクの熱処理に役立つ熱を発生させるために利用される。この目的のために、補償プレートにおける対応部分は、やはり導電性を有さなければならない。これら部分は、例えば、グラファイト材料から製造することができる。これらが粉末ブランクと接触する場合、粉末ブランクが補償プレートに不所望に付着することが回避されるので、更に有利である。
【0030】
一実施形態において、2個以上の分離要素及びサブ容積は、フレームの第1端面からフレームの第2端面まで延びる第1方向に交互に配置されている。第1端面及び第2端面は互いに対向している。従って、粉末ブランク及び分離要素は、一次元に交互に配置されている。これにより、2個以上のガラスセラミックブランクを同時かつ効率的に製造することができる。
【0031】
2つ以上の分離要素及びサブ容積は、第1方向に対して直角な第2方向に交互に配置することも可能である。従って、この場合、サブ容積及び分離要素は、二次元パターンで配置されている。これにより、比較的多数のガラスセラミックブランクを同時に製造することが可能である。
【0032】
2個以上の分離要素及びサブ容積は、第1方向及び第2方向に対して直角な第3方向に交互に配置することも可能である。従って、この場合、分離要素及びサブ容積は、三次元に延びるパターンで配置されている。このように、多重型は、特に多数のガラスセラミックブランクを同時に製造するよう設計されている。
【0033】
また、本発明の課題は、歯科用、特に歯科修復物用のガラスセラミックブランクを製造するための多重型、特に本発明の多重型の使用によって解決される。これに関連して、歯科用機械加工ブランク、歯科用CAD/CAMブランク、又は歯科用修復ブランクとも称することができる。このようなガラスセラミックブランクは、典型的には、例えば機械加工及び/又は研削により、最初に歯科修復物を製造するために材料除去によって加工され、次いで熱処理が施される。熱処理の過程において、ガラスセラミックブランクは硬化され、これは特に結晶化プロセスの結果によるものである。多重型により、歯科用ガラスセラミックブランクを比較的多数製造することが可能である。このことは、特にコストの観点から効率的である。
【0034】
更に、本発明の課題は、減圧チャンバを備える圧縮装置によって解決される。この場合、本発明の多重型は、圧縮装置の減圧チャンバ内に配置されている。これに関連して、圧縮装置は、多重型を使用することができる固定圧縮装置である。減圧チャンバに加えて、圧縮装置は、加熱装置を含むこともできる。この場合、圧縮装置は、オーブンとも称することができる。全体として、圧縮装置内の多重型を使用して少なくとも2個のガラスセラミックブランクを同時に製造可能である。このことは、特に、単一の型、即ち、単一のガラスセラミックブランクだけを製造できる型のみが使用される圧縮装置と比較して、比較的効率的である。本発明の文脈において、圧縮装置は、ガラスセラミックブランクを製造するためのプラントに組み込むことができる。これに関連して、圧縮装置は、圧縮が減圧雰囲気下で行われることを保証する減圧チャンバ内に配置することができる。ガラスセラミックブランクを製造するためのシステムの更なる構成要素がこの減圧チャンバ内に配置されているか否かにかかわらず、このような減圧チャンバは、圧縮装置の減圧チャンバと見なされる。
【0035】
圧縮装置は、多重型を、直接的又は間接的に支持するための支持面を有する支持プレートを備えることができる。これにより、多重型を圧縮装置内で安全かつ確実に支持することができる。このことは、特に、支持プレートなしで設計された多重型に当てはまる。
【0036】
圧縮装置は、圧力ラムを備えることもでき、この圧力ラムは、その圧力ラムにより、多重型の収容容積内に配置された物体が力を受けることができるよう、可動に取り付けられている。従って、このような圧力ラムによって収容容積が制限される。その結果、幾何学的に規定されたガラスセラミックブランクを製造することが可能である。更に、圧力ラムにより、粉末ブランクに制御された力、即ち機械的圧力を加えることができる。このように、圧縮装置は、粉末ブランクに圧縮を施すのに適している。
【0037】
圧縮装置によるガラスセラミックブランクの製造においては、例えば、粉末ブランクを最初に700℃以上の温度に加熱することが可能である。この温度に達したら、粉末ブランクに圧縮力を加えることができる。この方法は、減圧チャンバ内において減圧下、即ち技術的な真空中で実施することができる。
【0038】
加熱装置を備える圧縮装置は、多重型の加熱装置が省略されるものでないことが強調される。その代わりに、2個の加熱装置は、多重型の加熱装置が粉末ブランクを加熱するために使用され、圧縮装置の加熱装置が多重型全体を加熱し、これにより熱損失を低減又は回避するという意味で、互いに補完的である。
【0039】
これに加えて、本発明の課題は、歯科用ガラスセラミックブランクを製造するための連続システムによって解決される。連続システムは、加熱ステーションと、圧縮ステーションと、冷却ステーションとを備え、加熱ステーション、圧縮ステーション、並びに冷却ステーションのそれぞれは、少なくとも1個の型、特に本発明の多重型を収容するよう設計されている。連続システムは、型及び/又は少なくとも1個の粉末ブランクを、加熱ステーションから圧縮ステーション内へ移送し、その圧縮ステーションから冷却ステーション内へ移送するための搬送装置を更に備える。連続システムは、単一の型、即ち単一のガラスセラミックブランクのみを製造するよう設計された型、又は多重型、特に本発明の多重型と共に操作することができる。
【0040】
搬送装置が型及び/又は少なくとも1個のブランクを移送するよう設計され得るという事実に関しては、幾つかの選択肢が明らかである。第1選択肢において、型は、搬送装置により、加熱ステーションから圧縮ステーションへ移送され、その圧縮ステーションから冷却ステーションへ搬送される。この場合に型は、1個以上の粉末ブランク又はガラスセラミックブランクを有し、従ってこれらは型と一緒に移送される。第2選択肢においては、少なくとも1個の型が圧縮ステーションに固定的に割り当てられている。このことは、ブランクが型なしで加熱ステーションを通過し、圧縮ステーションの型内に差し込まれなければならないことを意味する。同様に、ブランクは、ホットプレス後に圧縮ステーションの型から離型され、型なしで冷却ステーションを通過しなければならない。従って、第1選択肢は、移動型又は通過型を備える連続システムと称することができ、第2選択肢は、固定型を備える連続システムとも称することができる。
【0041】
第2選択肢においては、粉末ブランクが高温状態で離型されなければならないことは明らかであろう。この目的のために、型を開かなければならない。ブランクの自由収縮及びその後の取り出しは不可能である。このことは、第2選択肢において、ブランクが全てのステーションで取り扱い可能であることを意味する。
【0042】
第2選択肢においては更に、洗浄ステップを設ける必要がある。これにより、型が新しい粉末ブランクを収容し、ホットプレスによってガラスセラミックブランクに変換されるよう再び準備される。少なくとも圧縮が減圧下又は真空下で行われた後、型を機械的に洗浄するのが好適である。この洗浄は、真空条件下で行ってもよい。
【0043】
連続システムは、ガラスセラミックブランクを製造する方法によって操作可能であり、この方法において、粉末ブランクは、最初に、例えば加熱ステーション内で700℃以上の温度に加熱され、その温度に到達した後にのみ、例えば圧縮ステーション内で圧縮力を加えることができる。従って、この関連においても、700℃以上の温度は、圧縮力を加えるためのトリガ基準として使用することもできる。
【0044】
内部に配置されるブランクを有する型の加熱及び冷却は通常、圧縮よりも時間がかかるので、加熱ステーション及び冷却ステーションは、圧縮ステーションよりも多くのブランクを有する型を収容できるよう設計されている。これにより、個々のステーションにおける異なる処理時間を補償することができ、従って連続システムを通過する型及び/又はブランクのスムーズな移送を実現することができる。このことは、移動型を含む変形例及び固定型を含む変形例の両方に適用可能であることは言うまでもない。
【0045】
加熱ステーションは、少なくとも2つの固定温度ゾーンを有することができる。代替的又は付加的に、冷却ステーションは、少なくとも2つの固定温度ゾーンを有することができる。従って、粉末ブランクが内部に配置された型は、少なくとも2つの固定温度ゾーンを通過することにより、規定の温度プロファイルに晒され得る。この代替として、単一の箇所で型が規定の温度プロファイルに晒されることも勿論可能である。両方の変形例において、粉末ブランクを有する型は、加熱ステーション及び/又は冷却ステーション内における規定の温度プロファイルに晒され得る。
【0046】
以下、本発明を、添付図面に示す様々な実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明における多重型が配置可能な本発明の圧縮装置を備える、第1実施例に係る本発明の連続システムを示す説明図である。
図2】本発明における多重型が配置可能な本発明の圧縮装置を備える、第2実施例に係る本発明の連続システムを示す説明図である。
図3】本発明の多重型を示す斜視図である。
図4図3における平面IVに沿う断面図において、本発明の多重型をより良好に理解できるよう本発明における圧縮装置の部分を付加した状態で示す説明図である。
図5図3及び図4における本発明の多重型を部分的に充填された状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、歯科用ガラスセラミックブランク12を製造するための連続システム10を示す。このようなガラスセラミックブランク12は、例えば、歯科修復物を作製するために使用することができる。
【0049】
特に、このようなガラスセラミックブランク12は、クラウン、アバットメント、アバットメントクラウン、インレー、オンレー、ベニア、ブリッジ、並びにオーバーデンチャーを作製するために使用することができる。
【0050】
連続システム10は、プロセス方向Pにおいて、入口ロック14と、加熱ステーション16と、圧縮ステーション18と、冷却ステーション20と、出口ロック20とを備える。
【0051】
加熱ステーション16、圧縮ステーション18、並びに冷却ステーション20は、減圧チャンバ24内に配置されている。
【0052】
従って、入口ロック14及び出口ロック20は、圧力ロック又は真空ロックとして設計されている。
【0053】
連続システム10は、搬送装置26を更に備え、図示の実施形態においては、簡略化して示されたコンベヤベルト28を含む。
【0054】
図1に示す第1実施例において、搬送装置26は、連続システム10を通して型30を搬送するよう設計されており、各型には、最初に粉末ブランク32が配置され、その後、即ちホットプレス作業の後、ガラスセラミックブランク12が配置されている。
【0055】
各粉末ブランク32を有する型30は、工程方向Pにおいて入口ロック14の上流に位置する導入領域34から、入口ロック14を通って加熱ステーション16へ移送される。その後、各粉末ブランク32を有する型30は、加熱ステーション16から圧縮ステーション18へ移送される。
【0056】
粉末ブランク32は、圧縮ステーション18内において、ホットプレスによりガラスセラミックブランク12に変換される。
【0057】
その後、各ガラスセラミックブランク12を有する型30は、圧縮ステーション18から冷却ステーション20へ移送される。各ガラスセラミックブランク12を有する型30は、冷却ステーション20から進み、出口ロック22を通って出口領域36へ移送される。この出口領域36において、ガラスセラミックブランク12を有する型30を連続システム10から取り出すことができる。
【0058】
明瞭性を高める見地から、図1においては、型30の一部のみ、粉末ブランク32の一部のみ、並びにガラスセラミックブランク12の一部のみに参照符号が付されている。
【0059】
連続システム10を通る各粉末ブランク32又は各ガラスセラミックブランク12を有する型30の均一な進行を保証すると同時に、各粉末ブランク32又はガラスセラミックブランク12を有する型30が異なるステーションで異なる時間にわたって処理されるという事実を考慮して、個々のステーションは、それぞれ割り当てられた粉末ブランク32又はガラスセラミックブランク12を有する異なる個数の型30を収容するよう設計されている。
【0060】
詳細について述べると、図示の実施例において、導入領域34は、付随の粉末ブランク32を有する単一の型30を収容するよう設計されている。
【0061】
入口ロック34も、付随の粉末ブランク32を有する単一の型30を収容するよう設計されている。
【0062】
加熱ステーション16は、付随の各粉末ブランク32を有する型30を合計で9個収容するよう設計されている。
【0063】
加熱ステーション16は、第1固定温度ゾーン16a及び第2固定温度ゾーン16bを有する。この場合、第1固定温度ゾーン16aの温度は、第2固定温度ゾーン16bの温度よりも低い。
【0064】
従って、付随の粉末ブランク32を有する型30は、加熱ステーション16を通過する際に二段階で加熱される。
【0065】
圧縮ステーション18は、型30を合計で3個収容するよう設計されている。
【0066】
圧縮装置18a内には、何時でも、付随の粉末ブランク32を有する単一の型30のみが配置されている。粉末ブランク32は、圧縮装置18a内においてガラスセラミックブランク12に変換される。
【0067】
付随の粉末ブランク32を有するある型30は、圧縮ステーション18内に存在するが、プロセス方向Pにおいて圧縮装置18aの上流に位置している。
【0068】
付随のガラスセラミックブランク12を有する更なる型30は、圧縮ステーション18内に存在するが、プロセス方向Pにおいて圧縮装置18aを越えて位置している。
【0069】
冷却ステーション20は、付随の各粉末ブランク12を有する型30をやはり合計で9個収容するよう設計されている。
【0070】
加熱ステーション16と同様、冷却ステーション20は、第1固定温度ゾーン20a及び第2固定温度ゾーン20bを有する。この場合、第2固定温度ゾーン20bの温度は、第1固定温度ゾーン20aの温度よりも低い。
【0071】
図2は、第2実施例に従って設計された、歯科用ガラスセラミックブランク12を製造するための連続システム10を示す。以下においては、図1に示す実施例との違いだけを説明する。同じ又は互いに対応する要素には、同じ参照符号が付されている。
【0072】
図2に係る実施例において、図1に係る実施例と異なる点は、型30が圧縮ステーション18内に固定配置されていることである。従って、型30も連続システム10内に固定配置されている。
【0073】
従って、第2実施例における搬送装置26は、粉末ブランク32及びガラスセラミックブランク12を搬送するよう設計されているだけであり、型30を搬送するようには設計されていない。
【0074】
それ故、第2実施形態において、コンベヤベルト28は、2つのコンベヤベルト部分28a,28bに分割されており、この場合、コンベヤベルト部分28aは、導入領域34、入口ロック14、加熱ステーション16、並びに一部は圧縮ステーション18に割り当てられている。
【0075】
コンベヤベルト部分28bは、冷却ステーション20、出口ロック22、出口領域36、並びに一部はやはり圧縮ステーション18に割り当てられている。
【0076】
更に、第2実施例の搬送装置26は、合計4個のグリッパユニット38a、38b、38c、38dを含む。
【0077】
グリッパユニット38aは、プロセス方向Pにおいて、入口ロック14の上流、かつ導入領域34内に配置されている。
【0078】
グリッパユニット38dは、プロセス方向Pにおいて、出口ロック22を越えた位置、かつ出口領域36内に配置されている。
【0079】
2個のグリッパユニット38b,38cは、減圧チャンバ24内に配置されている。2個のグリッパユニット38b,38cのそれぞれは、直線移動ユニット40に結合されている。従って、グリッパユニット38b,38cは、減圧チャンバ24内において、それぞれ割り当てられた直線移動ユニット40によってプロセス方向Pに移動することができる。
【0080】
グリッパユニット38bに結合された直線移動ユニット40の一方は、プロセス方向Pにおいて、圧縮装置18aの上流に配置され、グリッパユニット38cに結合された直線移動ユニット40の他方は、プロセス方向Pにおいて、圧縮装置18aを越えた位置に配置されている。
【0081】
図2に係る連続システム10において、粉末ブランク32は、このようにして連続システム10によって実施されるプロセスを通過する。
【0082】
図示のプロセスにおいて、粉末ブランク32は先ず、グリッパユニット38aによってコンベアベルト部分28a上に配置され、次いでコンベアベルト部分28aによって入口ロック14内へ搬送される。
【0083】
粉末ブランク32は、図1に示す第1実施例に関連して上述したように、その後にコンベアベルト部分によって加熱ステーション16を通って搬送される。
【0084】
第1実施例と同様、加熱ステーション16は、第1固定温度ゾーン16a及び第2固定温度ゾーン16bを有する。従って、粉末ブランク32は、加熱ステーション16内において、最初に第1固定温度ゾーン16aで加熱され、一定時間が経過した後、第2固定温度ゾーン16bで加熱される。
【0085】
その後、グリッパユニット38bは、粉末ブランク32を圧縮ステーション18の型30、特に圧縮装置18aの型30に差し込むために使用される。粉末ブランク32は、その型内でホットプレスされる。
【0086】
その後、粉末ブランク32からホットプレスによって形成されたガラスセラミックブランク12は、グリッパユニット38cにより圧縮装置18の型30から取り出され、コンベアベルト部分28b上に配置される。
【0087】
ガラスセラミックブランク12は、コンベアベルト部分28b上において、冷却ステーション20、より具体的には、冷却ステーション20の第1固定温度ゾーン20a及び第2固定温度ゾーン20bを通過する。
【0088】
ガラスセラミックブランク12が十分に冷却された後、コンベアベルト部分によって出口ロック32を通って出口領域36へ移送される。
【0089】
ガラスセラミックブランク12は、グリッパユニット38dによってそこから取り出される。
【0090】
第2実施例において、粉末ブランク32は、常に取り扱い可能でなければならないことは言うまでもない。従って、粉末ブランク32は、例えば、まとまりのあるホワイトボディ又はグリーンボディ(未焼結成形体)として提供される。
【0091】
グリッパユニット38a,38b,38c,38dが単に概略的に示されていることも明らかであろう。用途に応じて、グリッパユニット38a~38dをより多く又はより少なく設けることも可能である。
【0092】
連続システム10は、それぞれ単一の型として設計された型30に関連して上述されている。このような型は、常に単一の粉末ブランク32又は単一のガラスセラミックブランク12を収容するよう設計されている。
【0093】
ただし型30ではなく、第1実施例(図1参照)に係る連続システム10内で多重型42を使用することも可能である。上述したことは、同様に適用することができる。
【0094】
多重型42及び歯科用ガラスセラミック12を製造するための多重型の使用については、以下において図3図5を参照しつつ説明する。
【0095】
多重型42によって製造されるガラスセラミックブランク12は、例えば、歯科修復物を作製するために使用することができる。
【0096】
図3図5に示す実施例において、多重型42は、支持プレートを備えない。
【0097】
ただし理解を容易にするために、図4においては、割り当てられた圧縮装置18aの支持プレート44が示されており、この支持プレート44は、多重型42及び特にその中に存在する粉末ブランク32を支持するための支持面46を有する。
【0098】
同様に、やはり理解を容易にするために、図4においては、圧縮装置18aの圧力ラム62が示されている。
【0099】
多重型42は、図示の実施例において、正方形の断面を有するフレーム48を備える。
【0100】
この場合、フレーム48は、収容容積50を規定している。
【0101】
図示の実施例において、多重型42は、多数の分離要素52を更に備える。全ての分離要素52は、収容容積50内に配置されると共に、収容容積50を複数のサブ容積54に分割するよう設計されている。この目的のために、隣接する分離要素52はそれぞれ、それらの端部領域でオーバーラップしている(図4参照)。
【0102】
これらサブ容積54のそれぞれは、粉末ブランク32を収容するよう設計されている。
【0103】
図3及び図4に示す実施例において、各サブ容積54は、そのような粉末ブランク32で充填されている。
【0104】
従って、収容容積50は、粉末ブランク32のための収容容積50でもある。
【0105】
図示の実施例において、サブ容積54及び分離要素52は、規則的な三次元パターンを形成している。
【0106】
これは、3つの空間次元に対応する3つの方向R1,R2,R3において、複数の分離要素52と、サブ容積54又はそのサブ容積に設けられた粉末ブランク32とが交互に配置されていることを意味する。
【0107】
第1方向R1は、フレーム48の第1端面48aからフレーム48の第2端面48bまで延びている。第1端面及び第2端面は互いに対向している。
【0108】
第2方向R2は、第1方向R1に対して直角であり、従って、フレーム48の第3端面48cからフレーム48の第4端面48dまで延びている。第3端面48c及び第4端面48dは互いに対向している。更に、第3端面48c及び第4端面48dはそれぞれ、第1端面48aと第2端面48bとの間にある。
【0109】
第3方向R3は、第1方向R1及び第2方向R2に対して直角である。
【0110】
フレーム48には更に、クランプ装置56が設けられている。このクランプ装置は、分離要素52及び粉末ブランク32を収容容積50内にクランプするよう設計されている。換言すれば、粉末ブランク32及び分離要素52は、クランプ装置56によってフレーム48内に摩擦係合的に保持される。
【0111】
図示の実施例において、クランプ装置56は、合計4個のクランププレート58を有し、合計10個のクランプねじ60を作動させることにより、それらクランププレートの間で粉末ブランク32及び分離要素52をクランプすることができる。
【0112】
クランプねじ60によって加えられる圧力を、クランププレート58並びに分離要素52及び粉末ブランク32に可能な限り均一に導入できるようにするために、クランプねじ60のそれぞれの端部は、2個の圧力プレート59によってクランププレート58に作用する。
【0113】
更に、同じ目的のために、補償プレート61a,61b,61c,61dが粉末ブランク32及び分離要素52に隣接するよう各側に設けられている。
【0114】
ホットプレス作業中、収容容積50は、圧縮装置18aの圧力ラム62及び圧縮装置18aの支持プレート44によって制限される(図4参照)。
【0115】
圧力ラム62は、その圧力ラム62により、収容容積50内に配置された物体、即ち特に分離要素52及び粉末ブランク32が収容プレート44方向に圧縮力Fを受けることができるよう、可動に取り付けられている。
【0116】
この目的のために、隣接する分離要素52のエッジ領域間における上述したオーバーラップは、隣接する分離要素52が方向R3において互いに摺動可能に構成されており、これによりサブ容積54内に配置された粉末ブランク32が圧縮可能である(図4参照)。
【0117】
従って、分離要素52は、隣接する各サブ容積54のための圧縮ラム要素として機能する。
【0118】
明瞭性を高める見地から、多重型42は、図4にのみ示す加熱装置64も備える。
【0119】
加熱装置64は、収容容積50を加熱し、従ってその中に配置された粉末ブランク32を加熱するよう設計されている。
【0120】
図示の実施例における加熱装置64は、電気抵抗加熱器として設計されている。
【0121】
これに関連して、電気抵抗加熱器は、多数の電気抵抗加熱要素66を含む。
【0122】
図示の実施形態において、分離要素52の一部は、抵抗加熱要素66を形成している。クロスハッチングされた分離要素52のみ、電気絶縁体として設計されている。
【0123】
更に、クランプ装置56の補償プレート61a,61b,61c,61dは、電気抵抗加熱要素66を形成している。従って、補償プレート61a,61b,61c,61dは導電性を有する。
【0124】
これに関連して、各分離要素52は、グラファイト材料を含む。より具体的には、本文脈において、導電性を有する分離要素52は、グラファイト材料から製造される。
【0125】
従って、各導電性分離要素52は、隣接する各粉末ブランク32を加熱することができる別個の加熱セグメント68を形成している。
【0126】
従って、収容容積50内の加熱出力の分布を制御することが可能である。
【0127】
図4に示す実施例において、加熱装置64の回路は、圧縮装置18aの圧力ラム62及び支持プレート44を介して完成され、従ってこれらは少なくとも部分的に導電性を有する。
【0128】
対照的に、クランププレート58は、電気的に非導電性であるよう設計されている。これらクランププレートは、加熱装置64をクランプ装置56から電気的に絶縁するよう機能する。
【0129】
図4においては、明瞭性を高める見地から、電気抵抗加熱要素66の一部及び加熱セグメント68の一部にのみ参照符号が付されている。代替的な実施形態(図示せず)において、加熱装置64は、少なくとも1個の誘導加熱要素を有する。従って、加熱装置64は、誘導加熱器として設計されている。
【0130】
多重型42の加熱装置64は、連続システム10における加熱ステーション16の加熱装置に取って代わるものではなく、むしろそれを補完するものであることに留意されたい。従って、ガラスセラミックブランク12は、多重型42の加熱装置64及び加熱ステーション16における加熱装置の両方を使用して製造される。
【符号の説明】
【0131】
10 連続システム
12 ガラスセラミックブランク
14 入口ロック
16 加熱ステーション
16a 加熱ステーションの第1固定温度ゾーン
16b 加熱ステーションの第2固定温度ゾーン
18 圧縮ステーション
18a 圧縮装置
20 冷却ステーション
20a 冷却ステーションの第1固定温度ゾーン
20b 冷却ステーションの第2固定温度ゾーン
22 出口ロック
24 減圧チャンバ
26 搬送装置
28 コンベヤベルト
28a コンベヤベルト部分
28b コンベヤベルト部分
30 型(モールド)
32 粉末ブランク
34 導入領域
36 出口領域
38a グリッパユニット
38b グリッパユニット
38c グリッパユニット
38d グリッパユニット
40 直線移動ユニット
42 多重型
44 支持プレート
46 支持面
48 フレーム
48a 第1端面
48b 第2端面
48c 第3端面
48d 第4端面
50 収容容積
52 分離要素
54 サブ容積
56 クランプ装置
58 クランププレート
59 圧力プレート
60 クランプねじ
61a 補償プレート
61b 補償プレート
61c 補償プレート
61d 補償プレート
62 圧力ラム
64 加熱装置
66 電気抵抗加熱要素
68 加熱セグメント

F 圧縮力
P プロセス方向
R1 空間次元
R2 空間次元
R3 空間次元
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットプレスによって少なくとも2個の粉末ブランク(32)から少なくとも2個の歯科用ガラスセラミックブランク(12)を製造するための多重型(42)であって、
・前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)のための収容容積(50)の少なくとも一部を規定するフレーム(48)と、
・前記収容容積(50)内に配置されると共に、該収容容積(50)を、それぞれが前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)のうちの1個を収容するよう設計された少なくとも2つのサブ容積(54)に分割する、少なくとも1個の分離要素(52)と、
を備える、多重型。
【請求項2】
請求項1に記載の多重型(42)であって、前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)を、直接的又は間接的に支持するための支持面(46)を有する支持プレート(44)を備える、多重型。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多重型(42)であって、前記収容容積(50)の少なくとも一部を加熱するための加熱装置(64)を更に備える、多重型。
【請求項4】
請求項3に記載の多重型(42)であって、前記加熱装置(64)が、前記収容容積(50)における2つの異なる部分を独立して加熱するための少なくとも2個の別個の加熱セグメント(68)を含む、多重型。
【請求項5】
請求項3に記載の多重型(42)であって、前記加熱装置(64)が、少なくとも1個の誘導加熱要素を含む、多重型。
【請求項6】
請求項3に記載の多重型(42)であって、前記加熱装置(64)が、少なくとも1個の電気抵抗加熱要素(66)を含む、多重型。
【請求項7】
請求項6に記載の多重型(42)であって、分離要素(52)が、少なくとも部分的に抵抗加熱要素(66)として形成されている、多重型。
【請求項8】
請求項6に記載の多重型(42)であって、該多重型(42)が、少なくとも2個の抵抗加熱要素(66)を備え、該少なくとも2個の抵抗加熱要素(66)が、異なる電気抵抗を有する、多重型。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の多重型(42)であって、前記分離要素(52)が、グラファイト材料を含むか又はグラファイト材料から製造されている、多重型。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の多重型(42)であって、前記分離要素(52)及び前記少なくとも2個の粉末ブランク(32)を前記収容容積(50)内にクランプするためのクランプ装置(56)が、前記フレーム(48)に設けられている、多重型。
【請求項11】
請求項10に記載の多重型(42)であって、前記クランプ装置(56)が、少なくとも部分的に抵抗加熱要素(66)として形成されている、多重型。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の多重型(42)であって、補償プレート(61a,61b,61c,61d)が、前記収容容積(50)内において、前記粉末ブランク(32)のうちの少なくとも1個に隣接するよう及び/又は前記分離要素(52)に隣接するよう設けられている、多重型。
【請求項13】
請求項12に記載の多重型(42)であって、前記補償プレート(61a,61b,61c,61d)が、少なくとも部分的に抵抗加熱要素(66)として形成されている、多重型。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の多重型(42)であって、2つ以上の分離要素(52)及びサブ容積(54)が、前記フレーム(48)の第1端面(48a)から前記フレーム(48)の第2端面(48b)まで延びる第1方向(R1)に交互に配置され、前記第1端面(48a)及び前記第2端面(48b)が、互いに対向している、多重型。
【請求項15】
請求項14に記載の多重型(42)であって、2つ以上の分離要素(52)及びサブ容積(54)が、前記第1方向(R1)に対して直角な第2方向(R2)に交互に配置されている、多重型。
【請求項16】
請求項15に記載の多重型(42)であって、2つ以上の分離要素(52)及びサブ容積(54)が、前記第1方向(R1)及び前記第2方向(R2)に対して直角に延びる第3方向(R3)に交互に配置されている、多重型。
【請求項17】
歯科用、特に歯科修復物用のガラスセラミックブランク(12)を製造するための請求項1又は2に記載の多重型(42)の使用。
【請求項18】
減圧チャンバ(24)を備える圧縮装置(18a)であって、請求項1又は2に記載の多重型(42)が、前記圧縮装置(18a)の前記減圧チャンバ(24)内に配置されている、圧縮装置。
【請求項19】
歯科用ガラスセラミックブランク(12)を製造するための連続システム(10)であって、
・加熱ステーション(16)と、圧縮ステーション(18)と、冷却ステーション(20)とを備え、前記加熱ステーション(16)、前記圧縮ステーション(18)、並びに前記冷却ステーション(20)のそれぞれが、少なくとも1個の型(30)、特に請求項1又は2に記載の多重型(42)を収容するよう設計され、
・前記型(30)及び/又は少なくとも1個の粉末ブランク(32)を、前記加熱ステーション(16)から前記圧縮ステーション(18)内へ移送し、該圧縮ステーション(18)から前記冷却ステーション(20)内へ移送するための搬送装置(26)と、
を備える、連続システム。
【請求項20】
請求項19に記載の連続システム(10)であって、前記加熱ステーション(16)が、少なくとも2つの固定温度ゾーン(16a,16b)を備え、及び/又は、前記冷却ステーション(20)が、少なくとも2つの固定温度ゾーン(20a,20b)を備える、連続システム。
【外国語明細書】