(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006865
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2385 20110101AFI20240110BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20240110BHJP
G06F 15/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H04N21/2385
H04N21/235
G06F15/00 410A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164829
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2022106029の分割
【原出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】510054382
【氏名又は名称】市橋 敬男
(71)【出願人】
【識別番号】517215412
【氏名又は名称】海沼 健一
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海沼 健一
(72)【発明者】
【氏名】長内 弘喜
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA11
5C164MA06S
5C164SB06P
5C164SB22P
5C164TA04S
5C164TA05S
5C164TA08S
(57)【要約】
【課題】複数の端末の間で仮想空間に差が生じることを防止する。
【解決手段】情報処理装置は、記憶装置とプロセッサを備える。記憶装置は、複数のユーザに共用される仮想空間の仮想空間データを記憶する。プロセッサは、記憶装置をアクセス可能であり、前記複数のユーザに対応する複数の端末と通信可能である。プロセッサは、記憶装置に記憶されている仮想空間データに含まれており仮想空間に属するオブジェクトのモデルを含む第1のデータを読み出し、第1のデータを、ネットワーク回線を用いて複数の端末に送信し、記憶装置に記憶されている仮想空間データに含まれているオブジェクトの座標データ及び操作状況データを含む第2のデータを読み出し、第2のデータを、放送を用いて複数の端末に配信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザに共用される仮想空間の仮想空間データを記憶する記憶装置と、
前記記憶装置をアクセス可能であり、前記複数のユーザに対応する複数の端末と通信可能なプロセッサと、
を具備し、
前記プロセッサは、
前記記憶装置に記憶されている前記仮想空間データに含まれており前記仮想空間に属するオブジェクトのモデルを含む第1のデータを読み出し、
前記第1のデータを、双方向通信可能なネットワーク回線を用いて前記複数の端末に送信し、
前記記憶装置に記憶されている前記仮想空間データに含まれている前記オブジェクトの座標データ及び操作状況データを含む第2のデータを読み出し、
前記第2のデータを、デジタル放送を用いて前記複数の端末に配信し、
前記プロセッサは、
前記複数の端末のうちの第1の端末から仮想空間の参加リクエストを受信した場合に、前記第1のデータを前記ネットワーク回線経由で前記第1の端末に送信し、前記第1のデータのうちの少なくとも前記第1の端末に対応する部分を前記ネットワーク回線経由で前記複数の端末のうちの前記第1の端末ではない他の端末に送信する、
情報処理装置。
【請求項2】
複数のユーザに共用される仮想空間の仮想空間データを記憶する記憶装置と、
前記記憶装置をアクセス可能であり、前記複数のユーザに対応する複数の端末と通信可能なプロセッサと、
を具備し、
前記プロセッサは、
前記記憶装置に記憶されている前記仮想空間データに含まれており前記仮想空間に属するオブジェクトのモデルを含む第1のデータを読み出し、
前記第1のデータを、双方向通信可能なネットワーク回線を用いて前記複数の端末に送信し、
前記記憶装置に記憶されている前記仮想空間データに含まれている前記オブジェクトの座標データ及び操作状況データを含む第2のデータを読み出し、
前記第2のデータを、デジタル放送を用いて前記複数の端末に配信し、
前記プロセッサは、
前記デジタル放送のスクランブルを解除可能にするための処理を、前記ネットワーク回線経由で前記第1の端末に対して実行する、
情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータに、
記憶装置に記憶されており複数のユーザに共用される仮想空間の仮想空間データに含まれており前記仮想空間に属するオブジェクトのモデルを含む第1のデータを読み出す機能と、
前記第1のデータを、双方向通信可能なネットワーク回線を用いて複数の端末に送信する機能と、
前記記憶装置に記憶されている前記仮想空間データに含まれている前記オブジェクトの座標データ及び操作状況データを含む第2のデータを読み出す機能と、
前記第2のデータを、デジタル放送を用いて前記複数の端末に配信する機能と、
を実現させ、
前記コンピュータに、
前記複数の端末のうちの第1の端末から仮想空間の参加リクエストを受信した場合に、前記第1のデータを前記ネットワーク回線経由で前記第1の端末に送信し、前記第1のデータのうちの少なくとも前記第1の端末に対応する部分を前記ネットワーク回線経由で前記複数の端末のうちの前記第1の端末ではない他の端末に送信する機能を実現させる、
ためのプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
記憶装置に記憶されており複数のユーザに共用される仮想空間の仮想空間データに含まれており前記仮想空間に属するオブジェクトのモデルを含む第1のデータを読み出す機能と、
前記第1のデータを、双方向通信可能なネットワーク回線を用いて複数の端末に送信する機能と、
前記記憶装置に記憶されている前記仮想空間データに含まれている前記オブジェクトの座標データ及び操作状況データを含む第2のデータを読み出す機能と、
前記第2のデータを、デジタル放送を用いて前記複数の端末に配信する機能と、
を実現させ、
前記コンピュータに、
前記デジタル放送のスクランブルを解除可能にするための処理を、前記ネットワーク回線経由で前記第1の端末に対して実行する機能を実現させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間を実現する情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、仮想空間(例えば仮想現実によって実現される空間)のデータは、サーバから例えばインターネットなどのようなネットワーク回線経由で端末に送信される。仮想空間のユーザ数が多くなると、サーバが端末に送信するデータの量及び通信回数が多くなる。
また、仮想空間に変化が生じた場合、ある端末には変化が反映された仮想空間が提供されるが、他の端末には変化が反映されていない仮想空間が提供され、複数の端末の間で仮想空間に差が生じる場合がある。
さらに、既存のメタバースシステムでは、複数のユーザのそれぞれに対応する複数の仮想空間をアルゴリズムにより補正又は連携させる方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複数のユーザが仮想空間を共用することができる情報処理装置及びプログラムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様の情報処理装置は、情報処理装置は、記憶装置とプロセッサを備える。記憶装置は、複数のユーザに共用される仮想空間の仮想空間データを記憶する。プロセッサは、記憶装置をアクセス可能であり、前記複数のユーザに対応する複数の端末と通信可能である。プロセッサは、記憶装置に記憶されている仮想空間データに含まれており仮想空間に属するオブジェクトのモデルを含む第1のデータを読み出し、第1のデータを、双方向通信可能なネットワーク回線を用いて複数の端末に送信し、記憶装置に記憶されている仮想空間データに含まれているオブジェクトの座標データ及び操作状況データを含む第2のデータを読み出し、第2のデータを、デジタル放送を用いて複数の端末に配信する。プロセッサは、複数の端末のうちの第1の端末から仮想空間の参加リクエストを受信した場合に、第1のデータをネットワーク回線経由で第1の端末に送信し、第1のデータのうちの少なくとも第1の端末に対応する部分をネットワーク回線経由で複数の端末のうちの第1の端末ではない他の端末に送信する。
第2の態様の情報処理装置は、情報処理装置は、記憶装置とプロセッサを備える。記憶装置は、複数のユーザに共用される仮想空間の仮想空間データを記憶する。プロセッサは、記憶装置をアクセス可能であり、前記複数のユーザに対応する複数の端末と通信可能である。プロセッサは、記憶装置に記憶されている仮想空間データに含まれており仮想空間に属するオブジェクトのモデルを含む第1のデータを読み出し、第1のデータを、双方向通信可能なネットワーク回線を用いて複数の端末に送信し、記憶装置に記憶されている仮想空間データに含まれているオブジェクトの座標データ及び操作状況データを含む第2のデータを読み出し、第2のデータを、デジタル放送を用いて複数の端末に配信する。プロセッサは、デジタル放送のスクランブルを解除可能にするための処理を、ネットワーク回線経由で第1の端末に対して実行する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数のユーザが仮想空間を共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの構成の例を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理システムによって実現される仮想空間層とネットワーク層の例を示す概念図。
【
図3】第1の実施形態で使用される定義データの例を示す概念図。
【
図4】第1の実施形態で使用される操作データ及び変化データの例を示す概念図。
【
図5】第1の実施形態に係るサーバの概略構成の例を示すブロック図。
【
図6】第1の実施形態に係る端末の概略構成の例を示すブロック図。
【
図7】サーバから端末への定義データの送信処理の例を示すフローチャート。
【
図8】サーバから端末への変化データの送信処理の例を示すフローチャート。
【
図9】端末によるサーバからの定義データの受信処理の例を示すフローチャート。
【
図10】端末によるサーバからの放送データの受信処理の例を示すフローチャート。
【
図11】端末によって仮想空間を実現する処理の例を示すフローチャート。
【
図12】第2の実施形態に係る情報処理システムによって実行される端末の参加処理の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。図面において、同一又は類似の機能及び構成要素については、同一符号を付して説明を省略するか、又は、簡単に説明を行う。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る情報処理システムは、サーバから複数の端末へ、仮想空間を実現するためのデータのうちの一部を、デジタル放送を用いて一斉配信(言い換えれば同時送信)する。
【0010】
第1の実施形態において、ネットワーク回線は、放送ではない方式で通信を実行するための回線とする。当該ネットワーク回線は、無線ネットワーク回線でもよく、又は、有線ネットワーク回線でもよい。ネットワーク回線は、例えば、インターネットを含むとしてもよく、LAN(Local Area Network)を含むとしてもよく、又は、無線LANを含むとしてもよい。第1の実施形態において、ネットワーク回線は、例えば双方向通信を可能なネットワークとする。
【0011】
第1の実施形態において、デジタル放送を用いることにより、サーバは多数の端末へ、同時に、かつ、低負荷で、放送データを配信可能である。デジタル放送は、地上デジタル放送と衛星デジタル放送とのうちの少なくとも一方としてもよい。デジタル放送は、所定の範囲の周波数帯の電波を用いて放送データを発信する。なお、デジタル放送に代えてアナログ放送が用いられてもよい。
【0012】
第1の実施形態において、データは、例えば、各種のソフトウェア、プログラム、情報、信号、リクエスト、コマンド、通知、指示、又は、応答などを含むとしてもよい。
【0013】
第1の実施形態において、仮想空間はメタバースと表記されてもよい。第1の実施形態においては、1つの仮想空間が複数のユーザに共用される。
【0014】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の構成の例を示すブロック図である。
【0015】
情報処理システム1は、サーバ2と複数の端末T1~Tnとを備える。第1の実施形態においては、複数の端末T1~Tnのうち端末T1を代表例として説明する場合がある。端末T2~Tnは、端末T1と同様の構成を持ち、同様の動作を行うとしてもよい。サーバ2は、例えば情報処理装置又はホストコンピュータとしてもよい。端末T1~Tnのそれぞれは、例えば、コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、ウェアラブルデバイス、又は、情報処理装置などでもよい。
【0016】
サーバ2は、端末T1~Tnからネットワーク回線3経由で、データを受信する。
【0017】
サーバ2は、主に、非変化性の第1のデータを、ネットワーク回線3経由で、端末T1~Tnに送信する。第1のデータは、例えば、変化が所定の頻度以下のデータとしてもよい。
【0018】
サーバ2は、主に、変化性の第2のデータを、デジタル放送4を用いて端末T1~Tnに1対多送信する。第2のデータは、例えば、第1のデータよりも変化回数が多いか、又は、変化頻度が高い。第2のデータは、例えば、変化が所定の頻度を超えるデータとしてもよい。
【0019】
第1の実施形態は、サーバ2が1台の場合を例として説明するが、サーバ2の機能は分散されている複数のサーバが連携することにより実現されてもよい。
【0020】
具体的には、サーバ2は、例えばメインサーバ21とオブジェクト管理サーバ22とを含むとしてもよい。オブジェクト管理サーバ22は、NFT(Non-Fungible Token)サーバとしてもよい。この場合、メインサーバ21は、例えば、端末T1~Tnとの間でデジタル放送4のスクランブル解除のための処理を実行する。オブジェクト管理サーバ22は、例えば、仮想空間の構成に必要なデータを管理し、当該データを端末T1~Tnへ送信する。
【0021】
図2は、第1の実施形態に係る情報処理システム1によって実現される階層の例を示す概念図である。
【0022】
情報処理システム1は、例えば、物理的な通信を行うネットワーク層5と、当該ネットワーク層5の上位層であり当該ネットワーク層5を用いて仮想空間を実現する仮想空間層6とを含む。
【0023】
図3は、第1の実施形態で使用される定義データ7の例を示す概念図である。
【0024】
第1の実施形態において、定義データ7とは、仮想空間を構成する各種のオブジェクトを定義する非変化性のデータとする。定義データ7は、変化データよりも変化が少ないデータ(例えば、単位時間あたりの変化回数が少ないデータ)の一例である。
【0025】
定義データ7は、例えば、仮想空間に存在する例えばモデル、3次元モデル、動産、不動産、構造物、物品、部品、背景、アバターなどのようなオブジェクトを定義するデータである。定義データ7は、例えば識別データ71とオブジェクトに関する非変化性のデータとを含むとしてもよい。識別データ71は、セキュリティが確保されている情報(セキュリティ情報)としてもよい。識別データ71は、例えばハッシュコードとしてもよい。識別データ71は、NFTとして管理される。このため、定義データ7によって定義されるオブジェクトは、所有するユーザが特定可能である。識別データ71とその所有者とは、例えば、ブロックチェーンなどを用いて管理されてもよい。
【0026】
図4は、第1の実施形態で使用される操作データ15及び変化データ8の例を示す概念図である。
【0027】
操作データ15は、端末T1~Tnのいずれかからサーバ2に送信される。操作データ15は、ユーザが仮想空間に関してどのような操作をしたかを示すデータである。操作データ15は、例えば、オブジェクトの識別データ151とユーザの操作内容を示す操作内容データ152とを含むとしてもよい。
【0028】
変化データ8は、例えば、仮想空間に関するデータの一種であり、操作データ15に基づいて時間的に変化するデータである。変化データ8は、オブジェクトの識別データ81と、例えばオブジェクトの位置データなどのような変化性のデータ(パラメータ)と、操作状況データ82とを含むとしてもよい。変化データ8は、定義データ7よりも変化が多いデータ(例えば、単位時間あたりの変化回数が多いデータ)の一例である。第1の実施形態において変化データ8は変動データと表記されてもよい。変化データ8は、例えば、識別データ81、操作状況データ82、仮想空間に存在するオブジェクトに関する仮想空間内の絶対座標データ83を含むとする。この場合、仮想空間内でオブジェクトが移動すると変化データ8は変化する。また、例えば、オブジェクトの形が変わると変化データ8も変化するとしてもよい。なお、第1の実施形態では、例として位置データが絶対座標データ83である場合を説明するが、位置が特定可能であれば絶対座標データ83に代えて他のデータ又は他の座標データが用いられてもよい。
【0029】
図5は、第1の実施形態に係るサーバ2の概略構成の例を示すブロック図である。
【0030】
サーバ2は、記憶装置9と、プロセッサ10と、第1の通信装置11と、第2の通信装置12とを備える。
【0031】
記憶装置9は、定義データ7及び変化データ8を含み仮想空間を実現するために必要な仮想空間データ13と、プログラム(ソフトウェア)14とを記憶する。また、記憶装置9は、操作データ15を記憶する。記憶装置9は、例えば、非一時的な不揮発性記憶装置と、揮発性記憶装置とを含むとしてもよい。記憶装置9は、複数の記憶装置の組み合わせにより実現されてもよい。
【0032】
プロセッサ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。プロセッサ10は、記憶装置9をアクセスすることが可能である。具体的には、プロセッサ10は、記憶装置9にデータを記憶させること、及び、記憶装置9からデータを読み出すことが可能である。プロセッサ10は、1以上のデバイス又は1以上のチップにより実現されてもよい。
【0033】
プロセッサ10は、第1の通信装置11を使用してネットワーク回線3経由で複数の端末T1~Tnのそれぞれと双方向で通信可能である。
【0034】
プロセッサ10は、第2の通信装置12を使用して単方向のデジタル放送4を行うことが可能である。
【0035】
プログラム14は、プロセッサ10によって実行されることにより、受信制御部16、データ処理部17、第1の読み出し部18A、第2の読み出し部18B、第1のデータ変換部19、第2のデータ変換部20、第1の送信制御部21、第2の送信制御部22として機能する。
【0036】
プログラム14は、例えば、仮想空間を利用するユーザを管理するためのユーザ管理プログラム、仮想空間を構成するオブジェクトの定義データ7を管理及び処理するための定義プログラム、識別データ71,81を生成及び管理するためのプログラム、オブジェクトの変化データ8を管理及び処理するための変化プログラム、データ変換(放送データインターフェイス)プログラム、及び、通信(配信)プログラムなどを含む。
【0037】
受信制御部16は、端末T1~Tnのいずれかからネットワーク回線3及び第1の通信装置11経由で操作データ15を受信する。受信制御部16は、操作データ15を記憶装置9に記憶させてもよい。
【0038】
データ処理部17は、操作データ15に基づいて例えば演算処理を実行し、演算結果に基づいて当該操作データ15に対応するオブジェクトの変化データ8を更新する。
【0039】
第1の読み出し部18Aは、記憶装置9に記憶されている仮想空間データ13に含まれている定義データ7を読み出す。例えば、第1の読み出し部18Aは、仮想空間データ13から複数のオブジェクトに関する定義データ7を抽出する機能を含む。この第1の読み出し部18Aによる定義データ7の読み出しは、端末T1~Tnのうちのいずれかから仮想空間の参加リクエストを受信した場合に実行されてもよい。
【0040】
第2の読み出し部18Bは、記憶装置9に記憶されている仮想空間データ13に含まれている変化データ8を読み出す。例えば、第2の読み出し部18Bは、仮想空間データ13から複数のオブジェクトに関する複数の変化データ8を抽出する機能を含む。この第2の読み出し部18Bによる変化データ8の読み出しは、周期的に実行されてもよい。第2の読み出し部18Bは、仮想空間データ14のうち先の読み出しの後に更新があった変化データ8を抽出してもよい。
【0041】
第1のデータ変換部19は、複数の端末T1~Tnのうちの1以上の端末に送信すべき定義データ7を、ネットワーク回線3用の第1の通信形式に準拠するデータ23へ変換する。
【0042】
第2のデータ変換部20は、複数の端末T1~Tnに一斉配信すべき変化データ8を、デジタル放送4の規格に準拠する第2の通信形式の放送データ24へ変換する。例えば、第2のデータ変換部20は、仮想空間に含まれている複数のオブジェクトに関する複数の変化データ8をまとめて放送データ24に変換する。言い換えれば、放送データ24は、仮想空間の複数のオブジェクトに関する複数の絶対座標データのリストを含む。
【0043】
より具体的に説明すると、第2のデータ変換部20は、例えば、変化データ8ごとに区切りコードを付加し、放送用の映像データ(ピクセルデータ)ブロックに代えて変化データ8及び区切りコードのまとまりを含むデータを生成し、このデータに対して、コーディング(圧縮)、グループ(パケット)化、多重化、スクランブル、変調(例えばOFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を実行し、放送データ24を生成する。
【0044】
第1の送信制御部21は、第1のデータ変換部19による変換によって得られた第1の通信形式のデータ23を、第1の通信装置11を使用してネットワーク回線3経由で端末T1~Tnのうちの1以上の端末に送信する。
【0045】
第2の送信制御部22は、例えば第2のデータ変換部20による変換によって得られた第2の通信形式の放送データ24に対して第2の通信装置12を使用してデジタル放送4を行う。
【0046】
図6は、第1の実施形態に係る端末T1の概略構成の例を示すブロック図である。
【0047】
端末T1は、入力装置25と、出力装置26と、記憶装置27と、プロセッサ28と、第3の通信装置29と、第4の通信装置30とを備える。
【0048】
入力装置25は、ユーザからの操作を受け付ける。入力装置25は、例えば、操作用コントローラ、タッチパネル、ポインティングデバイス、又は、キーボードなどを含むとしてもよい。
【0049】
出力装置26は、ユーザに画像又は音などを提供する。出力装置26は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドセット、又は、ウェアラブルデバイスなどを含むとしてもよい。
【0050】
記憶装置27は、定義データ7と、変化データ8と、プログラム(ソフトウェア)31とを記憶する。記憶装置27は、例えば、非一時的な不揮発性記憶装置と、揮発性記憶装置とを含むとしてもよい。
【0051】
プログラム31は、プロセッサ28によって実行されることにより、入力制御部32、送信制御部33、第1の受信制御部34、第2の受信制御部35、第3のデータ変換部36、第4のデータ変換部37、データ処理部38、出力制御部39として機能する。
【0052】
プログラム31は、例えば、ユーザ認証プログラム、定義データ7と変化データ8に基づいて仮想空間を実現するプログラム、他のプログラムと連携するためのプログラム、通信プログラムなどを含む。
【0053】
入力制御部32は、ユーザの操作内容を示す信号を入力装置25経由で受け付ける。
【0054】
送信制御部33は、入力制御部32によって受け付けた信号の示すユーザの操作内容にそって、例えば操作データ15、情報、信号、リクエスト、コマンド、通知、指示、応答などを、第3の通信装置29を使用してネットワーク回線3経由で、サーバ2へ送信する。
【0055】
第1の受信制御部34は、第3の通信装置29を制御し、サーバ2からネットワーク回線3及び第3の通信装置29経由で第1の通信形式のデータ23を受信する。
【0056】
第2の受信制御部35は、第4の通信装置30を制御し、サーバ2からデジタル放送4により送信された第2の通信形式の放送データ24を受信する。
【0057】
第3のデータ変換部36は、第1の受信制御部34によって受信された第1の通信形式のデータ23を、データ処理部38で処理可能な形式の定義データ7へ変換し、定義データ7を記憶装置27に記憶させる。
【0058】
第4のデータ変換部37は、第2の受信制御部35によって受信された第2の通信形式の放送データ24に対して、復調、デスクランブル、デコーディング(復号)を実行してデータ処理部38で処理可能な形式の変化データ8へ変換し、変化データ8を記憶装置27に記憶させる。
【0059】
データ処理部38は、記憶装置27に記憶されている定義データ7と変化データ8とに基づいて、仮想空間を実現するための処理を実行する。
【0060】
データ処理部38は、定義データ7に含まれている識別データ71と、変化データ8に含まれている識別データ81とに基づいて定義データ7と変化データ8との関連付け(マッピング)を行う。そして、データ処理部38は、例えば、変化データ8に含まれている操作状況データ82及び絶対座標データ83にそって定義データ7の示すオブジェクトを配置するなどのような、仮想空間の構築を行う。
【0061】
出力制御部39は、データ処理部38によって実現される仮想空間に関するデータを、出力装置26を用いて出力する。出力装置26を用いて出力される仮想空間に関するデータは、2Dデータを含むとしてもよく、仮想現実を実現する3Dデータを含むとしてもよく、動画データを含むとしてもよく、又は、音データを含むとしてもよい。
【0062】
第1の実施形態に係る情報処理システム1において、サーバ2は、デジタル放送4を用いて複数の端末T1~Tnへほぼ同時に放送データ24を一斉配信する。そして、複数の端末T1~Tnは、ほぼ同時に放送データ24を変化データ8へ変換し、仮想空間の構築に使用する。このため、複数の端末T1~Tnの間で変化データ8を整合させることができる。
【0063】
以下で、第1の実施形態に係る情報処理システム1に含まれているサーバ2及び端末T1の処理の例を説明する。
【0064】
図7は、サーバ2から端末T1への定義データ7の送信処理の例を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS701において、受信制御部16は、第1の通信装置11を制御し、端末T1からネットワーク回線3及び第1の通信装置11経由で、操作データ15を受信し、操作データ15を記憶装置9に記憶させる。
【0066】
ステップS702において、第1の読み出し部18Aは、端末T1から受信し記憶装置9に記憶された操作データ15に基づいて、記憶装置9に記憶されている仮想空間データ13に含まれている定義データ7を読み出す。
【0067】
ステップS703において、第1のデータ変換部19は、定義データ7を、ネットワーク回線3に対応する通信規約にそった第1の通信形式のデータ23に変換する。
【0068】
ステップS704において、第1の送信制御部22は、第1の通信装置11を制御し、第1の形式のデータ23を第1の通信装置11及びネットワーク回線3経由で、端末T1に送信する。
【0069】
図8は、サーバ2から端末T1~Tnへの変化データ8の送信処理の例を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS801において、受信制御部16は、第1の通信装置11を制御し、端末T1からネットワーク回線3及び第1の通信装置11経由で、操作データ15を受信し、操作データ15を記憶装置9に記憶させる。
【0071】
ステップS802において、データ処理部17は、端末T1から受信し記憶装置9に記憶された操作データ15に基づいて、記憶装置9に記憶されている仮想空間データ13の変化データ8を更新する。
【0072】
ステップS803において、第2の読み出し部18Bは、記憶装置9に記憶されている仮想空間データ13に含まれている変化データ8を読み出す。なお、第2の読み出し部18Bは、一度読み出した変化データ8に関しては、更新が生じた場合にのみ更新後の変化データ8を読み出してもよい
【0073】
ステップS804において、第2のデータ変換部20は、変化データ8を第2の通信形式に準拠する放送データ24へ変換する。具体的には、第2のデータ変換部20は、変化データ8に対してコーディング、グループ化、多重化、スクランブル、変調を実行し、放送データ24を生成する。
【0074】
ステップS805において、第2の送信制御部22は、第2の通信装置12を制御し、デジタル放送4を用いて、第2の通信形式の放送データ24を複数の端末T1~Tnへ一斉配信する。
【0075】
上記のステップS803からステップS805までは、例えば、所定期間が経過するたびに、繰り返し実行される。
【0076】
図9は、端末T1によるサーバ2からの定義データ7の受信処理の例を示すフローチャートである。
【0077】
ステップS901において、入力制御部32は、入力装置25からユーザの操作内容を受け付ける。
【0078】
ステップS902において、送信制御部33は、第3の通信装置29を制御し、入力制御部32によって受け付けたユーザの操作内容に対応する例えば操作データ15、情報、信号、リクエスト、コマンド、通知、指示、応答などを、第3の通信装置29及びネットワーク回線3経由で、サーバ2へ送信する。
【0079】
ステップS903において、第1の受信制御部34は、第3の通信装置29を制御し、サーバ2からネットワーク回線3及び第3の通信装置29経由で第1の通信形式のデータ23を受信する。
【0080】
ステップS904において、第3のデータ変換部36は、第1の受信制御部29によって受信した第1の通信形式のデータ23をデータ処理部38で処理可能な形式の定義データ7に変換する。
【0081】
ステップS905において、第3のデータ変換部36は、定義データ7を記憶装置27に記憶させる。
【0082】
図10は、端末T1によるサーバ2からの放送データ24の受信処理の例を示すフローチャートである。
【0083】
ステップS1001において、第2の受信制御部35は、第4の通信装置30を制御し、サーバ2からデジタル放送4を用いて配信された放送データ24を、第4の通信装置30経由で受信する。
【0084】
ステップS1002において、第4のデータ変換部37は、第2の受信制御部35によって受信された第2の通信形式の放送データ24を、データ処理部38で処理可能な形式の変化データ8へ変換する。具体的には、第4のデータ変換部37は、放送データ24に対して復調、デスクランブル、デコーディングを実行し、変化データ8を生成する。
【0085】
ステップS1003において、第4のデータ変換部37は、変化データ8を記憶装置27に記憶させる。
【0086】
上記のステップS1001からステップS1003までは、例えば、所定期間が経過するたびに、繰り返し実行される。
【0087】
図11は、端末T1によって仮想空間を実現する処理の例を示すフローチャートである。この
図11の処理は、例えば、上記
図9の処理及び
図10の処理の後に実行される。
【0088】
ステップS1101において、データ処理部38は、記憶装置27から定義データ7と変化データ8とを読み出す。
【0089】
ステップS1102において、データ処理部38は、互いの識別データ71,81が一致する定義データ7と変化データ8とを認識する。変化データ8は、例えば識別データ81、操作状況データ82、絶対座標データ83を含む。
【0090】
ステップS1103において、データ処理部38は、識別データ71,81が一致する定義データ7と変化データ8とに基づいて現時点の仮想空間を構成する。
【0091】
ステップS1104において、出力制御部39は、データ処理部38によって構成された仮想空間に関するデータを、出力装置26に出力させる。
【0092】
上記のステップS1101からステップS1104までは、例えば、所定期間が経過するたびに、繰り返し実行される。
【0093】
以下で、第1の実施形態に係る情報処理システム1で実現される仮想空間の作用効果を説明する。
【0094】
第1の実施形態に係る情報処理システム1において、サーバ2は、仮想空間データ13を定義データ7と変化データ8に分ける。サーバ2は、定義データ7を例えばインターネットなどのようなネットワーク回線3を用いて端末T1~Tnへ送信する。サーバ2は、デジタル放送4を用いて、変化データ8を端末T1~Tnへ一斉配信し、この配信を繰り返す。これにより、複数の端末T1~Tn間で同じ状態の仮想空間を実現することができる。
【0095】
情報処理システム1は、インターネットなどの双方向のネットワーク回線3と一斉配信を行う単方向のデジタル放送4の電波網とを組み合わせて使用する。第1の実施形態において、端末T1~Tnからサーバ2へデータを送信するアップリンクは、ネットワーク回線3を用いて実現される。サーバ2から端末T1~Tnへデータを送信するためのダウンリンクは、ネットワーク回線3を使用する場合と、デジタル放送4を使用する場合がある。
【0096】
デジタル放送4を用いるダウンリンクは、放送電波を使用して各地域への配信を実現する。第1の実施形態に係る情報処理システム1によって仮想空間を実現することにより、同一の地域に存在する複数のユーザの端末T1~Tnに変化データ8を同時に配信することができる。これにより、同じ地域に存在する複数のユーザの端末T1~Tn間で仮想空間に差異が生じることを防止することができる。
【0097】
第1の実施形態においてデジタル放送4がサーバ2から端末T1~Tnへの単方向通信であっても、ネットワーク回線3を使用することでサーバ2と端末T1~Tnとの間の双方向通信を実現することができる。
【0098】
デジタル放送4としては、例えば地上デジタルテレビ放送網又は衛星デジタル放送網を使用することができる。地上デジタルテレビ放送網では、約10Mbpsのデータ通信が可能である。衛星デジタル放送網では、約20Mbpsのデータ通信が可能である。
【0099】
ネットワーク回線3としては、例えばインターネット回線、地上ネットワーク回線、又は、衛星ネットワーク回線などがある。ここで、比較例として、ネットワーク回線3が例えば1Gbpsのデータ通信を行う既存のメタバースシステムを考える。既存のメタバースシステムは、ネットワーク回線3を使用して多数の端末へデータの分散通信を行う。メタバースを実現する場合、ユーザ個人に使用されるネットワーク回線3の通信速度は、例えばベストエフォート型で概ね安定して10Mbps~20Mbps程度を確保する必要がある。既存のメタバースシステムにおいて、ネットワーク回線3が例えば1Gbpsのデータ通信能力を有していても、10億ビット毎秒あたり1万人の接続で1Mbpsのデータ通信速度しか確保できない。
【0100】
しかしながら、第1の実施形態のように、デジタル放送4による変化データ8の一斉配信を使用することで、同じ変化データ8を多数のユーザの端末T1~Tnにほぼ同時に一斉配信することができ、ユーザが10万人を超えてもダウンリンクの速度を一定に保つことができ、変化データ8の送信が遅延することを防止することができる。
【0101】
第1の実施形態においては、サーバ2からネットワーク回線3を使用して端末T1~Tnへ定義データ7を送信し、サーバ2からデジタル放送4を使用して端末T1~Tnへ変化データ8を送信する。このように、定義データ7及び変化データ8をサーバ2から端末T1~Tnへ異なる通信ルートで送信することにより、通信を効率化させることができる。例えば定義データ7をデジタル放送4ではなくネットワーク回線3を用いてサーバ2から端末T1~Tnへ送信することにより、デジタル放送4の通信負担を削減することができる。
【0102】
第1の実施形態において、デジタル放送4は、地域型のデジタル放送と広域型のデジタル方向とのうちの少なくとも一方を含むとしてもよい。
【0103】
地域型のデジタル放送としては、例えば地上デジタルテレビ放送網を利用してもよい。地上デジタル放送は、およそ半径10kmの放送エリアに対して放送可能である。したがって、地上デジタルテレビ放送網は、都市単位で、変化データ8を複数の端末T1~Tnに一斉配信することができる。
【0104】
広域型のデジタル放送としては、例えば衛星デジタル放送網を利用してもよい。衛星デジタル放送網は、複数の都市を含む放送エリアに対して放送可能である。このように広域型のデジタル放送を利用することで、広域の大規模仮想空間を運営することができる。
【0105】
第1の実施形態においては、変化データ8が、タウンリンク専門のデジタル放送4を用いてサーバ2から端末T1~Tnへ一斉配信される。第1の実施形態のように、サーバ2から端末T1~Tnへの通信を、ネットワーク回線3を用いた通信とデジタル放送4を用いた通信とに分離することにより、高度なセキュリティを実現することができる。例えば、仮想現実を実現する画像配信では、マルウェアなどのような不適切なソフトウェアがサーバから端末に送信されるデータに紛れ込むリスクが生じる。しかしながら、第1の実施形態においては、ダウンリンクの変化データ8がアップリンクのデータと分離されるため、物理的なデータダイオードが構成され、高度なセキュリティを確保することができる。
【0106】
例えば多数のユーザが参加する仮想空間を、デジタル放送4を利用することなくインターネットで実現した場合、参加数のアクセス数の増加に比例してデータ遅延が発生し、サーバ2と端末T1~Tnとの間の通信が飽和状態になる可能性がある。これに対して、第1の実施形態係る情報処理システム1においては、デジタル放送4を用いることにより、仮想空間を構成するために必要であり時間的に変化する変化データ8を、特定の地域へ送信することができ、放送データ24のスクランブルを解除可能な特定の契約者へ送信することができ、データ遅延を防止することができ、通信の遅延が発生することを防止することができる。
【0107】
既存のメタバースシステムにおいて、端末とサーバとの間のデータの送受信は、単流時間軸で行う。これに対して、第1の実施形態に係る情報処理システム1において、端末T1~Tnとサーバ2との間のデータの送受信は、並列時間軸で行うことができる。
【0108】
より具体的に説明すると、既存のメタバースシステムでは、一方のデバイスから他方のデバイスへコールを送信し、他方のデバイスから一方のデバイスへレスポンスを返すことで処理が実行される。このようにコールに対してレスポンスを返す処理は、個々に処理をする必要があり単流となる。このような単流の処理においては、端末数をNとすると、通信がNの階乗分増加する。これに対して、第1の実施形態に係る情報処理システム1においては、デジタル放送4を使用して端末T1~Tnが変化データ8を取得するため、端末T1~Tn及びサーバ2が互いにコールを送りレスポンスを返すなどの処理が必要ない。サーバ2から複数の端末T1~Tnのそれぞれへのデータ24の送信は、デジタル放送4を用いて並列に実行される。また、端末T1~Tnはデジタル放送4で受信した放送データ24を認証することなく正当であるとして処理可能である。したがって、N個の端末T1~Tnに対して、およそコマンド送信時間+サーバ2の処理速度+デジタル放送4の電波の伝達速度の時間、により通信を行うことができる。
【0109】
既存のメタバースシステムでは、複数のユーザのそれぞれに対して複数の仮想空間が割り当てられ、この複数の仮想空間の状態を例えば補正アルゴリズムなどを用いて整合させている。このような既存のメタバースシステムでは、ユーザ数を例えば1万人以上に増加することが困難である。しかしながら、第1の実施形態により実現される仮想空間は、複数のユーザである仮想空間を共用することができる。第1の実施形態に係る情報処理システム1においては、ユーザ数が1万人以上になってもデータの内容が整合した統一的な仮想空間(共用仮想空間)を提供することができる。また、例えば、複数の仮想空間の状態を補正アルゴリズムにより整合させる処理などが必要なく、処理を簡略化することができ、通信量を削減することができる。例えば、第1の実施形態に係る端末T1~Tnの処理負荷は、既存のメタバースシステムにおける端末の処理負荷の1/2以下とすることができる。
【0110】
(第2の実施形態)
第2の実施形態においては、上記第1の実施形態に係る情報処理システム1において端末T1がサーバ2に仮想空間の参加リクエスト(例えばログインリクエスト)を送信した場合の処理の例を説明する。
【0111】
図12は、第2の実施形態に係る情報処理システム1によって実行される端末T1の参加処理の例を示すフローチャートである。
【0112】
図12において、端末T2~Tnはサーバ2からデジタル放送4を用いて放送データ24をすでに受信中である場合を例示している。
【0113】
第2の実施形態においては、説明を簡略化するため、サーバのプロセッサ10で実行される処理と、端末T1~Tnのプロセッサ28で実行される処理を具体的に説明し、他の構成要素によって実行される処理は省略するか又は簡単に説明する。
【0114】
ステップS1201において、端末T1のプロセッサ28は、仮想空間の参加リクエスト40をネットワーク回線3経由でサーバ2に送信する。
【0115】
ステップS1202において、サーバ2のプロセッサ10は、端末T1からネットワーク回線3経由で参加リクエスト40を受信した場合に、端末T1に対する認証処理を実行する。
【0116】
ステップS1203において、サーバ2のプロセッサ10は、認証に成功した場合に、端末T1が仮想空間に参加することを許可し、許可通知41をネットワーク回線3経由で端末T1に送信する。
【0117】
ステップS1204において、端末T1のプロセッサ28は、ユーザの操作にしたがって識別データ42及び定義データ(例えばアバターデータ)43を、ネットワーク回線3経由でサーバ2に送信する。なお、定義データ43がすでにサーバ2に記憶されている場合、端末T1は、定義データ43のサーバ2への送信を省略してもよい。また、定義データ43内に識別データ42が含まれている場合には、端末T1のプロセッサ28は、定義データ43をネットワーク回線3経由でサーバ2に送信すればよい。
【0118】
ステップS1205において、サーバ2のプロセッサ10は、端末T1からネットワーク回線3経由で識別データ42及び定義データ43を受信し、識別データ42及び定義データ43に基づいて記憶装置9に記憶されている仮想空間データ13の定義データ7を更新する。これにより、サーバ2の記憶装置9に識別データ42及び定義データ43が記憶される。
【0119】
ステップS1206において、サーバ2のプロセッサ10は、記憶装置9から定義データ7を読み出す。
【0120】
ステップS1207において、サーバ2のプロセッサ10は、定義データ7を第1の通信形式のデータ23に変換し、データ23をネットワーク回線3経由で端末T1に送信する。同様に、サーバ2のプロセッサ10は、端末T1に対応する定義データ43を第1の通信形式のデータ231に変換し、データ231をネットワーク回線3経由で端末T2~Tnに送信する。ここで、定義データ43は、例えば、定義データ7のうちの少なくとも第1の端末T1に対応する部分である。なお、サーバ2は、定義データ43に代えて定義データ7を端末T2~Tnに送信してもよい。
【0121】
ステップS1208Aにおいて、端末T1のプロセッサ28は、サーバ2からネットワーク回線3経由でデータ23を受信し、データ23を定義データ7に変換する。
【0122】
ステップS1208Bにおいて、端末T2~Tnのプロセッサ28は、サーバ2からネットワーク回線3経由でデータ231を受信し、データ231を定義データ43に変換する。
【0123】
ステップS1209Aにおいて、端末T1のプロセッサ28は、サーバ2からネットワーク回線3経由でデータ23を受信すると、ネットワーク回線3経由でサーバ2のプロセッサ10と連携し、デジタル放送4のスクランブル解除を可能にするための処理を実行する。
【0124】
同様に、ステップS1209Bにおいて、サーバ2のプロセッサ10は、ネットワーク回線3経由で端末T1のプロセッサ28と連携し、デジタル放送4のスクランブル解除を可能にするための処理を端末T1に対して実行する。
【0125】
スクランブル解除を可能にするための処理とは、例えば、サーバ2がデジタル放送用IC(Integrated Circuit)カードの書き換え命令をネットワーク回線3経由で端末T1に送信し、端末T1がサーバ2からネットワーク回線3経由で受信した書き換え命令にしたがってデジタル放送用ICカードを書き換える処理としてもよい。
【0126】
ステップS1209A及びステップS1209Bの後、端末T1は、他の端末T2~Tnと同様に、サーバ2からデジタル放送4を用いて放送データ24を受信可能になる。
【0127】
第2の実施形態においては、ステップS1204~S1208A,S1208Bの後に、スクランブル解除に関するステップS1209A,1209Bが実行されている。しかしながら、ステップS1209A,1209Bは、ステップS1203において端末T1の参加が許可された後に実行されればよい。言い換えれば、ステップS1209A,1209Bは、ステップS1204~S1208A,S1208Bより前に実行されてもよく、ステップS1204~S1208A,S1208Bと並列に実行されてもよい。
【0128】
以上説明した第2の実施形態においては、サーバ2と端末T2~Tnが既に仮想空間を実現している状態から新規に端末T1が仮想空間に参加した後に、端末T1~Tnの間で同じ変化データ8に基づく共通の仮想空間を実現することができる。
【0129】
第2の実施形態においては、放送データ24にスクランブルがかけられていても、新規の端末T1をスクランブル解除可能に変更し、端末T1を仮想空間に参加させることができる。
【0130】
上記の第1及び第2の実施形態においては、デジタル放送4を用いて、仮想空間に関する識別データ81、操作状況データ82、絶対座標データ83を、サーバ2から端末T1~Tnに送信するが、その他のデータはデジタル放送4により送信する必要がない。したがって、デジタル放送4で送信すべきデータの量が過大になること、及び、デジタル放送4が複雑になることを抑制することができる。
【0131】
なお、本願発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削減してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1…情報処理システム、2…サーバ、3…ネットワーク回線、4…デジタル放送、T1~Tn…端末、5…ネットワーク層、6…仮想空間層、7…定義データ、8…変化データ、71,81,151…識別データ、82…操作状況データ、83…絶対座標データ、9…記憶装置、10…プロセッサ、11…第1の通信装置、12…第2の通信装置、13…仮想空間データ、14,31…プログラム、15…操作データ、152…操作内容データ、16…受信制御部、17…データ処理部、18A…第1の読み出し部、18B…第2の読み出し部、19…第1のデータ変換部、20…第2のデータ変換部、21…第1の送信制御部、22…第2の送信制御部、23…第1の通信形式のデータ、24…放送データ、29…第3の通信装置、30…第4の通信装置、33…送信制御部、34…第1の受信制御部、35…第2の受信制御部、36…第3のデータ変換部、37…第4のデータ変換部、38…データ処理部