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特開2024-68662手持ち式電気外科器具のための電極及び電極の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068662
(43)【公開日】2024-05-20
(54)【発明の名称】手持ち式電気外科器具のための電極及び電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190588
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】63/423,537
(32)【優先日】2022-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・クノップ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ブロックマン
(72)【発明者】
【氏名】イジー・ラヴィチュカ
(72)【発明者】
【氏名】ペートル・コミネク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK16
4C160MM54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電極を製造するための方法、並びに特に効率的に使用することができ、特に費用効果の高い態様で製造することができる電極を提供する。
【解決手段】電気外科ハンド器具用の電極(16)が複数のセクションから成る導電性ワイヤを備えるという点において達成される。この場合、ワイヤ(26)の2つの端部に直接に隣接するワイヤの2つのセクションR1及びL1は、互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされる。更に、2つの第1のセクションR1及びL1には、同様に互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされる2つの第2のセクションR2及びL2が隣接している。これにより、セクションR2がセクションR1に直接に隣接し、セクションL2がセクションL1に直接に隣接する。2つのセクションR2及びL2は、更なるセクションCによって互いに接続される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科手持ち式器具、特にレゼクトスコープ(10)用の電極(16)であって、導電性ワイヤ(26)から成り、前記ワイヤ(26)の2つの端部を前記手持ち式器具の電極支持体(14)に結合できる、電気外科手持ち式器具用の電極(16)において、
前記ワイヤ(26)の前記2つの端部に隣接する前記ワイヤ(26)の2つのセクションR1及びL1が互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされ、前記第1のセクションR1及びL1には、同様に互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされる2つの第2のセクションR2及びL2が隣接していることを特徴とする電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項2】
前記セクションR2及びL2の長さが0.7mm~1.7mmであることを特徴とする、請求項1に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項3】
前記セクションR1及びL1及び/又はR2及びL2のワイヤ厚さ、及び好ましくは更なるセクションのワイヤ厚さも、0.2mm~1.0mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項4】
前記2つの第2のセクションR2及びL2は、前記第1のセクションR1及びL1と35°~120°、好ましくは45°、90°又は110°の角度αを成すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項5】
セクションR1,R2間及びセクションL1,L2間の曲げ半径が0.1mm~1mmであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気外科手持ち器具用の電極(16)。
【請求項6】
セクションCが前記2つのセクションR2,L2間で延在し、前記セクションCが2.0mm~3.6mm、好ましくは2.8mmの半径を有し、又は真っ直ぐであるとともに前記セクションR2及びL2に対して直角に位置合わせされ、又はV字形であり、又は台形であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項7】
前記セクションR2、L2、及びCが1つの平面内に位置することを特徴とする、請求項6に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項8】
前記セクションCは、ローラ(25)が真っ直ぐのセクションCに差し込まれるという点においてローラ電極を形成することを特徴とする、請求項6に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項9】
請求項1に記載の電気外科手持ち式器具、特にレゼクトスコープ用の電極(16)を製造するための方法であって、前記電極(16)が導電性ワイヤ(26)から成り、前記ワイヤ(26)の2つの端部を前記ハンド器具の電極支持体(14)に結合できる、方法において、中央セクションCが形成されるように最初に真っ直ぐなワイヤ(26)が変形され、その目的のために、前記ワイヤ(26)の2つの自由ワイヤ端部が、該ワイヤ端部が互いに平行に位置されるように互いの方に向かって曲げられ(ステップ1)、その後、前記2つのワイヤ端部が前記セクションCに対して平行且つ均等に曲げられて、残りの開放したワイヤ端部が前記セクションR1及びL1を形成する(ステップ2)ことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記2つのワイヤ端部は、前記セクションCに対して、前記セクションL1及びR1へと、35°~120°、好ましくは45°、90°又は110°の角度で曲げられることを特徴とする、請求項9に記載の電極(16)の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ2において、前記2つのワイヤ端部は、前記セクションCと前記2つの平行で真っ直ぐなセクションL1及びR1との間に2つの更なる平行で真っ直ぐなセクションL2及びR2が形成され、前記セクションL2及びR2が前記セクションL1及びR1と同じ平面内に位置するように、前記セクションCに対して曲げられることを特徴とする、請求項9又は10に記載の電極(16)の製造方法。
【請求項12】
前記ステップ1において、前記セクションCは、用途特有の円形、半円形、直線形、V字形などの態様で形成されることを特徴とする、請求項9から11のいずれか1項に記載の電極(16)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係る電気外科手持ち式器具のための電極に関する。更に、本発明は、請求項9に係る電極を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前述したタイプの電気外科手持ち装置、特にレゼクトスコープは、主に泌尿器科で電気外科的作業のために使用される。これに関連して、これらの装置は、通常、組織、例えば下部尿路の組織の切除及び蒸発のために使用される。この目的のため、手持ち式装置、特にレゼクトスコープは、処置対象の身体内に装置を挿入した後に手持ち式装置の器具シャフトの遠位端から遠位作業端を前進させることができる長手方向に変位可能な電極キャリアを備えることができる。電気外科電極は、電極キャリアの遠位端に配置される。この電極は、例えば、ループの形態であってもよく、器具の形態に応じて、組織を操作するために組織を通じて引っ張られたり押し込まれたりする。
【0003】
上記の用途の場合、電極に高周波電流が印加される。電極がハンドピースのシャフトチューブと電気的に接触しないようにすることが重要である。そのような電気的接触が発生した場合、短絡により装置の欠陥が生じたり、処置対象の身体に予期せぬ外傷が生じたりする可能性がある。そのような短絡を防ぐために、手持ち式装置は、遠位端領域に、絶縁チップとも呼ばれる、電気絶縁性の絶縁インサートを含む。この場合、絶縁インサートは、電極キャリアが案内される内側シャフト又はシャフトチューブ、或いは器具の外側シャフトのいずれかに取り付けられ得る。そのような手持ち式器具は複数回使用できるようにも設計され、したがって定期的に滅菌又は加圧滅菌する必要があるため、絶縁インサートは洗浄のために取り外しできるように設計される。
【0004】
患者の低侵襲処置のためにここで説明する手持ち式器具の場合、処置中の患者への外傷を最小限に抑えるべく、器具のサイズ又は断面を可能な限り小さくすることが目的である。同様に、目的は、特に効率的な態様で手技を行なうことである。効率的な手術のためには、電極の選択が非常に重要である。用途固有の適切な電極を使用してのみ、最適な処置目標を達成できる。特に、器具の断面積に対する電極又は作業器具の有効断面積が決定的に重要となり得る。しかしながら、電極の有効断面積又はサイズは、電気外科手持ち式器具のシャフトの形状及び直径によって制限される。したがって、電極の有効断面積がシャフトの外周の断面積よりも大きいことは現実的ではない。しかしながら、既知の機器では、電極に利用可能なスペースが最適に利用されない。利用可能なスペースをより有効に活用するための手法では、非常に複雑な電極形状が求められるが、これは、一方では非常に複雑で製造コストが高く、他方では品質管理に多大な労力を必要とする。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、特に効率的に使用でき、特に費用効果の高い態様で製造できる電極を製造するためのプロセス及び電極を作成するという課題に基づいている。
【0006】
この課題に対する解決策は、請求項1に記載される。この請求項によれば、手持ち式電気外科器具用の電極が、複数のセクションからなる導電性ワイヤを備えることが提供される。これにより、ワイヤの2つの端部に直接に隣接するワイヤの2つのセクションR1及びL1が、互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされる。更に、同様に互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされる2つの第2のセクションR2及びL2が2つの第1のセクションR1及びL1に隣接する。これにより、セクションR2がセクションR1と直接に隣接し、セクションL2がセクションL1と直接に隣接する。2つのセクションR2及びL2は、更なるセクションCによって互いに接続される。連続ワイヤが鏡面対称構造を有するとともに常に1つの空間次元のみで形状変化を示すという事実により、電極の製造が特に容易になる。電極が、複数の次元においてあるセクションから次のセクションへ方向が変化する形状を有さないという事実により、生産と品質管理の両方が特に簡単になる。品質管理は、1つの空間方向のみの曲げを自動化又は部分的に自動化した態様で、例えばカメラシステム又はプロファイルプロジェクタを用いて特に簡単に検査できるため、簡素化される。本発明に係る電極の構造のこの単純化は、特に製造を特に費用効率良く行なうことができることを意味する。
【0007】
好ましくは、セクションR2、L2の長さは、0.7mm~1.7mmとなるように与えられる。セクションR1及びL1及び/又はセクションR2とL2のワイヤ厚さ、及び好ましくは更なるセクションのワイヤ厚さも、0.2mm~1.0mmとすることができる。この寸法は、患者の効率的な処置と、特にコスト効率の高い電極の製造とにとって特に有利であることが分かってきた。
【0008】
好ましくは、本発明は、2つの第2のセクションR2及びL2が第1のセクションR1及びL1と35°~120°、好ましくは70°、45°又は110°の角度αを成すことを更に提供する。電極の用途の種類に応じて、セクションの2つの対間で異なる角度を選択できる。セクションR1及びR2、並びにセクションL1及びL2はそれぞれ1つの平面内にあり、これらの平面は互いに平行に位置合わせされる。本発明に従ってこのように様々なセクションを成形することにより、多数の異なる電極形状を特に簡単な態様で、従って安価な態様で製造することができる。更に、本発明の他の実施形態は、セクションR1,R2間及びセクションL1,L2間の曲げ半径が0.1mm~1mmであることを提供し得る。
【0009】
特に、本発明によれば、セクションR2,L2間のセクションCが、2.0mm~3.6mm、好ましくは2.8mmの半径を有することが提供される。このループ状の電極形状は、特に汎用性が高く、高い安定性も示す。更に、セクションCが真っ直ぐであってセクションR2及びL2に対して直角に位置合わせされると考えられる。或いは、セクションCがV形状を有する又は形状が台形であることも考えられる。セクションCは、本質的に、組織を操作する電極のセクションに相当する。電極キャリアの対応する動きによって、セクションCを伴う電極は、操作されるべき組織を通じて引っ張られたり押し込まれたりする。
【0010】
本発明の他の有利な実施形態は、セクションR2、L2、及びCが1つの平面内に位置することを提供し得る。電極の用途に応じて、前記セクションが異なる角度を有することが有利な場合がある。複数のセクションへと曲げられる本明細書に記載のセグメント形状を使用することにより、簡単な手段を使用して、様々な形状の電極を簡単に作製することができる。前述の長さ及び角度を変えることによって、この目的のために製造プロセスを適合させることなく、様々な異なる形状やサイズを生み出すことができる。
【0011】
好ましくは、中空円筒部が真っ直ぐなセクションCに差し込まれるという点においてセクションCがローラ電極として設計されることも考えられる。中空円筒部は、円筒形状又は樽形状を有することができる。中空円筒部は、円筒形状又は樽形状を有することができる。
【0012】
前記課題を解決するための方法は、請求項9の手段によって説明される。したがって、請求項1に記載の電気外科手持ち式器具用の電極を製造するに、幾つかのステップが連続して実行されることが提供される。最初のステップでは、中央セクションCが形成されるように最初に真っ直ぐなワイヤが変形され、その目的のために、ワイヤの2つの自由ワイヤ端部が、該ワイヤ端部が互いに平行に位置されるように互いの方に向かって曲げられる。その後、2つのワイヤ端部がセクションCに対して同じように平行に曲げられて、残りの開放したワイヤ端部がセクションR1及びL1を形成する(ステップ2)。これらの変形ステップにより、電極の製造を一般化又は標準化することができる。前述のステップを僅かに変えることによって、多数の異なる電極を製造することができ、これらの電極を適用分野に応じて異なる方法で形成することができる。前述のセクションの単純な1次元変形ステップにより、複雑な工具の使用を省くことができる。この製造の簡素化により、プロセスのコスト効率が特に高くなる。
【0013】
特に、2つのワイヤ端部は、セクションCに対して、セクションL1及びR1へと、35°~120°、好ましくは45°、90°又は110°の角度で曲げられることが想定される。これらの角度を選択することにより、電極のあらゆる用途を実現できる。更に、他の、場合によっては新しい用途向けに電極を最適化することも可能である。
【0014】
好ましくは、ステップ2において、セクションCと2つの平行で真っ直ぐなセクションL1及びR1との間に2つの更なる平行で真っ直ぐなセクションL2及びR2が形成され、それらのセクションL2及びR2がセクションL1及びR1と同じ平面内に位置するように、2つのワイヤ端部をセクションCに対して曲げることが提供される。したがって、セクションR2及びL2がセクションCと同じ平面内にあり、セクションL1及びR1がセクションR2及びL2と同じ平面内にあり得る。したがって、合計5つのセクションが2つの平面のみに配置され、それにより、2つのステップで特に簡単な製造プロセスが可能になる。これは、製造コストの点でも、電極の品質の確認又は品質保証の点でも特に有利である。
【0015】
本発明に係る方法は、ステップ1において、セクションR2,L2間のセクションCが用途特有の態様で形成されることを提供し得る。したがって、セクションCは、円形、半円形、楕円形、多角形、直線形、V字形などが考えられる。セクションCは、ローラ、ピン、ボタンなどの更なる構成要素によって占められることも考えられる。
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】手持ち式外科装置、特にレゼクトスコープの概略図を示す。
図2】電極の側面図を示す。
図3図2に係る電極の正面図を示す。
図4】電極の他の実施形態の側面図を示す。
図5図4に係る電極の正面図を示す。
図6】電極の他の実施形態の側面図を示す。
図7図6に係る電極の正面図を示す。
図8a】ワイヤの描写を示す。
図8b】電極の製造プロセスのステップ1を示す。
図8c】電極製造プロセスのステップ2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、10として知られるレゼクトスコープの概略側断面図を示す。レゼクトスコープ10は、図示の外側シャフト12又はシースチューブを含むレゼクトスコープシャフト11を有する。チューブ状の内側シャフト13が外側シャフト12内で延在する。電極アレイ14及び示された光学系15が内側シャフト13内に示される。更に、ここに示されていない他の要素、例えば別個の灌流チューブ等がレゼクトスコープ10内に配置されてもよい。
【0019】
電極アレイ14は、遠位端に電気外科ツール又は電極16を有する。ここに示される電極16は、ループとして示されるが、ボタンなどとして形成されてもよい。
【0020】
電極ホルダ14は、ハンドル19を作動させることによって遠位方向及び近位方向に軸方向で強制的に移動され得る。そうすることで、電極ホルダを内側シャフト13及び外側シャフト12の遠位端を越えて押すことができる。これにより、外科医は、レゼクトスコープの先端から更に離れるように組織を操作することができる。更に、この目的のために、内側シャフト13及び/又は電極キャリア14を、それらの長手方向軸の周りに回転可能に取り付けることができる。組織を操作するために、高周波電流が電極16に印加される。
【0021】
図1に示されるレゼクトスコープ10は、スプリングブリッジ23によって印加されるばね力に抗してレゼクトスコープシャフト11上に近位側に配置されたハンドル部21及び22を相対移動させることによってキャリッジ20が遠位の第1のハンドル部21に対して遠位方向に移動される受動トランスポータを有する。キャリッジ20がハンドル部21に対して遠位方向に変位されると、電極支持体14は、図示されない態様で遠位方向に変位される。ハンドル部21、22にかかる負荷が軽減されると、スプリングブリッジ23によって生成されるばね力が、スライド20をその初期位置に押し戻し、電極キャリア14を近位方向に引っ張る。スライド20が後方に移動されると、電気外科処置は、術者によるいかなる手動力もなしに、すなわち受動的に、電極16を用いて実行され得る。
【0022】
電極16による標的処置の場合、光学系15は、外科医が手術領域を最適に見ることができるように配置される。この目的のために、レゼクトスコープ10は、光学系15に接続される接眼レンズ24を近位端に有する。或いは、接眼レンズ24の代わりにカメラがレゼクトスコープ10上に配置されることも考えられる。
【0023】
以下の図には、電極16の幾つかの実施形態が示されており、それらの電極は全て同じ構造に従う。例えば、これらの電極はそれぞれ第1のセクションR1及びL1を有し、第1のセクションR1及びL1は、長さが等しく、互いに平行に方向付けられている。これらの第1のセクションR1及びL1は、電極支持チューブの遠位端に結合される。電極支持チューブとのこの結合は、電極16を安定させるとともに、電気エネルギーを電極に印加する。第1のセクションR1及びL1の後には、2つの第2のセクションR2及びL2が続く。これら2つの第2のセクションR2及びL2も、同じ長さで形成され、互いに平行に位置合わせされる。第1のセクションR1及びL1から第2のセクションR2及びL2への移行は1つの平面内で行なわれ、つまり、製造プロセスは特に単純であり、複雑な工具は必要ない(図2図7参照)。
【0024】
図2図5に示される実施形態の例において、第2のセクションR2及びL2は、第1のセクションR1及びL1に対してそれぞれ90°、45°の角度で傾斜している。この角度αは、35°と120°との間の値、好ましくは45°、90°もしくは110°、又は任意の他の角度をとることが想定される。
【0025】
セクションCは、2つの第2のセクションR2,L2間に位置される。このセクションCは、2つの第2のセクションR2及びL2を接続し、図2図5に示される実施形態の例ではループとして形成される。セクションCの形状を変えることもでき、セクションCの形状は、例えば、より大きい又はより小さい曲率半径を有することができる。本実施形態の例では、セクションCがセクションR2及びL2と同じ平面内にある。手術を実行するには、レゼクトスコープ10の種類に応じて、電極16を、セクションCにより処置されるべき組織を通じて引っ張るか押し込む。この目的のために、好ましくは、電極16のワイヤ26が円形断面を有することが提供される。
【0026】
図6及び図7は、いわゆるローラ電極16を示す。前の電極16と同様に、この電極16も、2つの第1のセクションR1及びL1と、第1のセクションR1及びL1に隣接して第1のセクションR1及びL1に対して角度をなしている第2のセクションR2及びL2とから構成される。2つの第2のセクションR2,L2間には、台形セクションCが配置され、台形セクションC上にローラ25が位置される。このローラ25は、処置中に操作されるべき組織を処置するために使用される。
【0027】
ここに示した実施形態の例に加えて、電極16の他の形態も考えられる。しかしながら、全ての電極16が1つのワイヤ26から構成され、そのワイヤから前述のセクションが形成され、1つの平面内でセクション間の方向の変化が常に1回だけであることが重要である。これにより、製造が特に困難であり、品質の制御が特に困難である複雑な形状を電極16が採用することが防止される。ここで説明する構造は3つの異なるセクションで構成されており、このことは、生産を標準化でき、その結果、非常にコスト効率の高い製造プロセスがもたらされることを意味する。
【0028】
図8a~図8cは、本発明に係る電極16を製造するための製造プロセスの非常に概略化されたスケッチを示す。したがって、既に電極16の全長を有していてもよく或いはそれよりも長い真っ直ぐなワイヤ26(図8a)は、第1のステップにおいて最初に中央で曲げられ、その結果、2つのセクションR1及びL1は、同じ長さを有するとともに、互いに平行に位置合わせされる(図8b)。2つのセクションR1及びL1を互いに接続するセクションCは、ある形状の周りで曲げることができ、それによってセクションCの形状が決定される。その後、セクションCをセクションL1の形状の周りで曲げることができる。したがって、ワイヤ26のこの第1の形成ステップは1つの平面内で実行される。ワイヤ26の第2の形成ステップは、セクションCによって決定される平面に対して横方向に方向付けられる平面内で行なわれる。図8cに示されるように、第2のステップでは、セクションR1及びL1がセクションCに対して横方向に均等に曲げられ、この場合、セクションR1及びL1は平行な向きを維持する。図8cに示される方法の実施形態において、曲げは、セクションCとセクションR1及びL1との間に真っ直ぐな平行セクションが残るように実行される。これらのセクションが第2のセクションR2及びL2を形成する。これらのセクションR2及びL2の長さを変えることによって、またセクションCの形状を変えることによっても、電極の形状又は有効断面積を変えることができる。必要に応じて、製造プロセスの完了後も、電気外科手持ち式器具の寸法に対応するようにセクションR1及びL1の長さを調整することができる。同様に、セクションR1及びL1の自由端部には、電極支持チューブへの電気的接触を改善するための更なる接触手段が設けられることも考えられる。
【0029】
このことは、電極16を製造するのに本質的に2つの平面における2つの曲げステップだけが必要であることを意味する。これにより、電極16の製造が特に容易になるだけでなく、電極16の品質のチェックも容易になる。
【符号の説明】
【0030】
10 レゼクトスコープ
11 レゼクトスコープシャフト
12 外側シャフト
13 内側シャフト
14 電極キャリア
15 光学系
16 電極
17 ガイド要素
18 長手方向軸
19 ハンドル
20 スライド
21 ハンドル部
22 ハンドル部
23 スプリングブリッジ
24 接眼レンズ
25 ロール
26 ワイヤ
R1 第1のセクション
R2 第2のセクション
L1 第1のセクション
L2 第2のセクション
C 中央セクション
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科手持ち式器具、特にレゼクトスコープ(10)用の電極(16)であって、導電性ワイヤ(26)から成り、前記ワイヤ(26)の2つの端部を前記手持ち式器具の電極支持体(14)に結合できる、電気外科手持ち式器具用の電極(16)において、
前記ワイヤ(26)の前記2つの端部に隣接する前記ワイヤ(26)の2つのセクションR1及びL1が互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされ、前記第1のセクションR1及びL1には、同様に互いに平行に真っ直ぐに位置合わせされる2つの第2のセクションR2及びL2が隣接していることを特徴とする電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項2】
前記セクションR2及びL2の長さが0.7mm~1.7mmであることを特徴とする、請求項1に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項3】
前記セクションR1及びL1及び/又はR2及びL2のワイヤ厚さ、及び好ましくは更なるセクションのワイヤ厚さも、0.2mm~1.0mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項4】
前記2つの第2のセクションR2及びL2は、前記第1のセクションR1及びL1と35°~120°、好ましくは45°、90°又は110°の角度αを成すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項5】
セクションR1,R2間及びセクションL1,L2間の曲げ半径が0.1mm~1mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気外科手持ち器具用の電極(16)。
【請求項6】
セクションCが前記2つのセクションR2,L2間で延在し、前記セクションCが2.0mm~3.6mm、好ましくは2.8mmの半径を有し、又は真っ直ぐであるとともに前記セクションR2及びL2に対して直角に位置合わせされ、又はV字形であり、又は台形であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項7】
前記セクションR2、L2、及びCが1つの平面内に位置することを特徴とする、請求項6に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項8】
前記セクションCは、ローラ(25)が真っ直ぐのセクションCに差し込まれるという点においてローラ電極を形成することを特徴とする、請求項6に記載の電気外科手持ち式器具用の電極(16)。
【請求項9】
請求項1に記載の電気外科手持ち式器具、特にレゼクトスコープ用の電極(16)を製造するための製造方法であって、前記電極(16)が導電性ワイヤ(26)から成り、前記ワイヤ(26)の2つの端部を前記ハンド器具の電極支持体(14)に結合できる、方法において、中央セクションCが形成されるように最初に真っ直ぐなワイヤ(26)が変形され、その目的のために、前記ワイヤ(26)の2つの自由ワイヤ端部が、該ワイヤ端部が互いに平行に位置されるように互いの方に向かって曲げられ(ステップ1)、その後、前記2つのワイヤ端部が前記セクションCに対して平行且つ均等に曲げられて、残りの開放したワイヤ端部が前記セクションR1及びL1を形成する(ステップ2)ことを特徴とする電極(16)の製造方法。
【請求項10】
前記2つのワイヤ端部は、前記セクションCに対して、前記セクションL1及びR1へと、35°~120°、好ましくは45°、90°又は110°の角度で曲げられることを特徴とする、請求項9に記載の電極(16)の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ2において、前記2つのワイヤ端部は、前記セクションCと前記2つの平行で真っ直ぐなセクションL1及びR1との間に2つの更なる平行で真っ直ぐなセクションL2及びR2が形成され、前記セクションL2及びR2が前記セクションL1及びR1と同じ平面内に位置するように、前記セクションCに対して曲げられることを特徴とする、請求項9又は10に記載の電極(16)の製造方法。
【請求項12】
前記ステップ1において、前記セクションCは、用途特有の円形、半円形、直線形、V字形などの態様で形成されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の電極(16)の製造方法。
【外国語明細書】