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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068673
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】薬剤識別システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240514BHJP
   G16H 20/10 20180101ALI20240514BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20240514BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240514BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20240514BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
G16H20/10
G16Y10/60
G16Y20/20
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179181
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】592007601
【氏名又は名称】株式会社コンテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】垣谷 輝男
(72)【発明者】
【氏名】高平 賢治
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047GG24
4C047JJ01
4C047JJ26
4C047JJ31
4C047JJ34
4C047KK03
4C047KK25
4C047KK30
4C047KK31
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】薬剤を収容する容器に静電気が帯電することを防止できる薬剤識別システムを提供する。
【解決手段】薬剤識別システム10は筐体20と、重量計40と、撮影器32と、薬剤識別部33とを備える。筐体20は、薬剤12を収容可能な金属製の容器22を有する。重量計40は、容器22に収容された薬剤12の重量値を測定可能である。撮影器32は、容器22に収容された薬剤12を撮影した撮影画像を撮影する。薬剤識別部33は、撮影画像の画像認識を行うことにより、撮影画像に写っている薬剤12の識別を行うと共に、重量計40によって測定された重量値に基づき、薬剤12の数量を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を写した撮影画像の画像認識を行うことにより、撮影された前記薬剤の識別を行う薬剤識別システムにおいて、
筐体と、重量計と、撮影器と、薬剤識別部とを備え、
前記筐体は、前記薬剤を収容可能な金属製の容器を有しており、
前記重量計は、前記容器に収容された前記薬剤の重量値を計測可能であり、
前記撮影器は、前記容器に収容された前記薬剤を写した撮影画像を取得し、
前記薬剤識別部は、前記撮影画像の画像認識を行うことにより、前記撮影画像に写っている薬剤の識別を行うと共に、前記重量計によって計測された前記重量値に基づき、前記薬剤の数量を算出する、薬剤識別システム。
【請求項2】
前記筐体は、前記容器を支持する金属製の枠体をさらに有し、前記枠体の少なくとも一部が、前記容器と電気的に導通する、請求項1に記載の薬剤識別システム。
【請求項3】
前記筐体は、前記枠体を前記筐体に対して入退出可能に案内するスライド機構をさらに有する、請求項2に記載の薬剤識別システム。
【請求項4】
前記筐体は、前記筐体の表面に配置された扉部をさらに有し、
前記扉部は、前記枠体と連動しており、前記扉部が開放されると、前記枠体は前記容器を前記重量計から垂直方向に離れた位置で支持し、前記扉部が閉鎖されると、前記枠体は前記容器を前記重量計に載置する、請求項2に記載の薬剤識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤識別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬局などの、薬剤を取り扱う施設において、薬剤の機械的な識別が求められることがある。例えば、処方箋に基づいて取り揃えられた薬剤が実際に処方箋の処方内容と合致しているか否かを、作業者(薬剤師など)とは別の主体によって判定するために、薬剤の機械的な識別を行う装置が用いられることがある。こうした装置を用いることにより、患者に対する薬剤の交付における作業ミスを防止することができる。
【0003】
特許文献1に記載されている調剤監査装置においては、監査対象薬剤が撮像装置によって撮像され、その撮像装置の撮像情報に基づいて中央制御装置が監査対象薬剤の名称を判別する。さらに、秤量装置によって監査対象薬剤の重量が秤量され、その秤量装置の秤量データを利用して監査対象薬剤の数量を含む調剤内容の適否を中央制御装置が判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5725363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者が処方箋に基づいて薬剤を取り揃える作業において、合成樹脂製のトレイが用いられることがある。特許文献1に記載されている調剤監査装置においても、取り揃えられた薬剤(薬剤集合体)が収容される調剤トレイとして、合成樹脂製のトレイを利用可能である。
【0006】
しかしながら、合成樹脂製のトレイには静電気が帯電することがある。トレイに静電気が帯電していると、静電気が調剤監査装置内の各種センサなどに影響を与えて、正しく薬剤の識別を行えないことがある。特に冬季においては、合成樹脂製のトレイに静電気が帯電しやすい。例えば薬剤の重量値を測定するための重量計が設けられている場合、薬剤を収容するトレイに静電気が帯電していると、そのトレイを載せられた重量計が静電気の影響を受けてしまい、薬剤の重量値を正しく測定できないことがある。
【0007】
以上の問題に鑑み、本発明は、薬剤を収容する容器に静電気が帯電することを防止できる薬剤識別システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の態様の1つに係る薬剤識別システムは、薬剤を写した撮影画像の画像認識を行うことにより、撮影された前記薬剤の識別を行う薬剤識別システムにおいて、筐体と、重量計と、撮影器と、薬剤識別部とを備え、前記筐体は、前記薬剤を収容可能な金属製の容器を有しており、前記重量計は、前記容器に収容された前記薬剤の重量値を測定可能であり、前記撮影器は、前記容器に収容された前記薬剤を写した撮影画像を撮影し、前記薬剤識別部は、前記撮影画像の画像認識を行うことにより、前記撮影画像に写っている薬剤の識別を行うと共に、前記重量計によって測定された前記重量値に基づき、前記薬剤の数量を算出する。
【0009】
また好ましくは、筐体は、容器を支持する金属製の枠体をさらに有し、枠体の少なくとも一部が、容器と電気的に導通するとよい。
【0010】
また好ましくは、筐体は、容器を筐体に対して入退出可能に案内するスライド機構をさらに有するとよい。
【0011】
また好ましくは、筐体は、筐体の表面に配置された扉部をさらに有し、扉部は、枠体と連動しており、扉部が開放されると、枠体は容器を重量計から垂直方向に離れた位置で支持し、扉部が閉鎖されると、枠体は容器を重量計に載置するようになっているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様の1つに係る薬剤識別システムによれば、薬剤を収容する容器が金属製のため、静電気が容器に帯電する可能性が低くなる。また静電気が容器に帯電したとしても、その静電気は直ちに容器の外部へ放電され易くなる。
【0013】
また、筐体が容器を支持する金属製の枠体をさらに有し、枠体の少なくとも一部が、容器と電気的に導通する場合には、容器に帯電した静電気は筐体へと放電されることになり、容器に静電気が帯電することが確実に防止される。
【0014】
また、筐体が、枠体を筐体に対して入退出可能に案内するスライド機構をさらに有する場合には、枠体に支持される容器を、筐体に対して、作業者が容易に入退出させられるようになる。
【0015】
また、筐体の扉部が開放されると枠体が容器を重量計から垂直方向に離れた位置で支持し、扉部が閉鎖されると枠体が容器を重量計に載置する場合には、作業者にとって容器の取り回しが簡便となる。さらに、扉部が開放されている状態では、容器が重量計から垂直方向に離れた位置に支持されるため、容器に薬剤が収容される際に、容器への圧力による重量計への影響が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る薬剤識別システムの実施形態の一例を示すシステム構成図。
図2】筐体および端末装置の外形を示す正面斜視図。
図3】容器と枠体の関係を示す背面斜視図。
図4】扉部が閉鎖位置にある状態を示す側方断面図。
図5】扉部が閉鎖位置と開放位置との間にある状態を示す側方断面図。
図6】扉部が開放位置にある状態を示す側方断面図。
図7】容器が筐体から引き出された状態を示す側方断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(システム構成)
図1のシステム構成図には、本発明に係る薬剤識別システム10の実施形態の一例が示されている。本実施形態の薬剤識別システム10は、筐体20と、端末装置30を備えている。筐体20は、風および静電気などを遮蔽する壁体で囲まれた箱型の部材である。筐体20は、薬剤12の識別作業が行われる施設(例えば調剤薬局)において、床面や作業台の上など、安定した土台に配設される。端末装置30は、ユーザ(作業者)が携行可能な機器である。例えばタブレット機器またはスマートフォンなどが端末装置30として用いられる。
【0018】
筐体20は、扉部21と、容器22と、取付部26と、重量計40と、枠体50と、スライド機構60を備えている。扉部21は、筐体20の表面に配置されており、筐体20の内部空間を筐体20の外部に対して開放および閉鎖することができる。容器22は筐体20の内部に配置されており、識別対象となる薬剤12を収容可能である。容器22は金属製である。例えばアルミニウム製のトレイが容器22として用いられる。取付部26は筐体20の表面に配置されており、端末装置30を取り付け可能である。
【0019】
重量計40は筐体20の内部に配置されており、容器22に収容された薬剤12の重量値を計測可能である。重量計40は例えば調剤薬局に配備されている調剤用電子天秤である。なお薬剤12は容器22に収容されているので、重量計40は、容器22の重量値と実際の計測値とを基に、薬剤12のみによる重量値(例えば、実際の計測値から容器22の重量値を減算した値)を算出することが好ましい。
【0020】
枠体50は、筐体20の内部に配置されており、容器22を支持する。枠体50は金属製(例えば鋼鉄製)であることが好ましい。また枠体50の少なくとも一部が容器22と電気的に導通することがさらに好ましい。スライド機構60は、筐体20の内部で枠体50と接続されており、容器22を筐体20に対して入退出可能に案内する。容器22は、枠体50に支持された状態でスライド機構60によって案内されることにより、扉部21を通じて筐体20の外部へと移動することができる。スライド機構60および筐体20も金属製(例えば鋼鉄製)であることが好ましい。
【0021】
端末装置30は、制御部31と、撮影器32と、薬剤識別部33と、AIモデル34と、薬剤情報リスト35と、通信部36と、表示部37とを有する。制御部31は端末装置30の動作を制御する。例えばタブレット機器またはスマートフォンなどの動作を制御するCPU(Central Processing Unit、中央制御装置)などのマイコンが制御部31として用いられる。
【0022】
撮影器32は、容器22に収容された薬剤12を写した撮影画像を撮影可能である。例えばタブレット機器またはスマートフォンなどが備えるカメラが撮影器32として用いられる。薬剤識別部33は、撮影器32によって撮影された撮影画像に写っている薬剤12を画像認識によって識別する。例えば画像処理プログラムを記憶する記憶装置が薬剤識別部33として用いられる。薬剤識別部33に記憶されている画像処理プログラムが制御部31で実行されることにより、撮影画像の画像認識が行われる。あるいは、制御部31とは別の、画像処理を行うマイコンが薬剤識別部33として用いられてもよい。
【0023】
AIモデル34は、撮影画像を入力データとして、それに対応する特徴値を出力データとして返す入出力関係を記述したモデルである。薬剤情報リスト35は、識別対象となる薬剤12に関する情報が列挙されたリストである。薬剤情報リスト35には、AIモデル34が出力し得る特徴値と、その特徴値に対応する薬剤12の識別情報(薬剤12の名称などの、薬剤12の種類を特定する情報)が列挙されている。実体としては、AIモデル34および薬剤情報リスト35のデータを記憶する記憶装置が端末装置30に設けられている。
【0024】
通信部36は、端末装置30と、端末装置30以外の機器との間でデータの送受信を行う。例えばタブレット機器またはスマートフォンなどが備える無線通信装置が通信部36として用いられる。表示部37は、端末装置30のユーザに対して様々な情報を表示する。例えばタブレット機器またはスマートフォンなどが備えるタッチパネルディスプレイが表示部37として用いられる。
【0025】
(撮影画像の撮影)
端末装置30の撮影器32は、薬剤12を含む領域を対象として撮影を行うことで、薬剤12を含む撮影画像を撮影可能である。なお、タブレット機器またはスマートフォンにおいては、撮影が行われる際、表示部37が、撮影結果として得られる予定の撮影画像を表示することができる。
【0026】
(薬剤識別と数量算出)
撮影器32が撮影した撮影画像は、撮影画像の画像認識を行う薬剤識別部33に送信される。図1の薬剤識別部33は、AIモデル34を用いて、撮影器32が撮影した撮影画像から、薬剤12の特徴値を抽出する。そして薬剤識別部33は、抽出した特徴値を薬剤情報リスト35と照らし合わせて、その特徴値に対応する薬剤12の識別情報(薬剤12の名称などの、薬剤12の種類を特定する情報)を取得する。これにより薬剤識別部33は、撮影画像に含まれる薬剤12の識別を行う。
【0027】
また薬剤識別部33は、重量計40が計測した薬剤12の重量値に基づき、薬剤12の数量を算出する。薬剤情報リスト35には、薬剤12の1個当たりの重量値の情報が含まれている。薬剤識別部33は、重量計40が計測した薬剤12の重量値を、画像認識によって識別した薬剤12の1個当たりの重量値で除算することにより、容器22に収容されている薬剤12の数量を算出する。なお薬剤12の数量算出にあたっては、薬剤識別部33は薬剤12を覆う薬剤包装の重量値を考慮することが好ましい。薬剤包装の重量値を考慮した数量算出を可能とするために、薬剤情報リスト35には、1個分の薬剤12を覆う薬剤包装の重量値の情報が含まれていることが好ましい。例えば薬剤12がPTPシート(Press-Through Packageシート)で覆われた状態で容器22に収容されている場合は、薬剤12の重量値として、PTPシートの重量値を含む値が計測される。薬剤情報リスト35に、PTPシート全体から1個分の薬剤12が切り離されたときの、1個分の薬剤12を覆うPTPシートの断片の重量値が含まれていれば、薬剤識別部33は、計測された薬剤12の重量値を、1個分の薬剤12と1個分のPTPシートの断片の重量値との合計で除算することにより、薬剤12の数量を算出することができる、
【0028】
なお、重量計40が計測した薬剤12の重量値は、重量計40から通信部36を介して制御部31および薬剤識別部33に送信されてもよいし、薬剤識別部33による画像認識で特定されてもよい。薬剤識別部33による画像認識で薬剤12の重量値が特定される場合は、重量計40が計測した薬剤12の重量値を表示する重量表示器(図示せず)が筐体20の中に設けられているとよい。また、AIモデル34には、重量表示器がどのような表示であれば、どのような重量値を示しているかの対応関係(ここでは数字の形と、それが表す数値の対応関係)が記述されているとよい。撮影器32は薬剤12と、重量表示器の表示とを含んだ撮影画像を撮影し、薬剤識別部33は、撮影画像に含まれる重量表示器の表示を画像認識する。AIモデル34は撮影画像のデータから、薬剤12の特徴値と、重量表示器に表示されている薬剤12の重量値の数値とを出力することができる。したがって薬剤識別部33は、撮影画像のデータをAIモデル34へ入力することで、重量計40が計測した薬剤12の重量値を特定できる。
【0029】
(識別結果の表示)
薬剤12の識別と数量の算出が行われた後は、薬剤12の識別結果と数量の算出結果が、端末装置30の表示部37へ送信される。表示部37は、薬剤12の識別結果と数量を、ユーザに対して表示する。例えば薬剤12の名称(製品名)が「錠剤A」、数量が10個(10錠)であるならば、「錠剤A、10錠」といった識別結果の情報がユーザに対して表示される。また制御部31は、必要に応じて、薬剤12の識別結果と数量の算出結果を、通信部36を介して他の装置(例えば患者に対して交付された薬剤12の情報を記録する医療システム)に送信する。
【0030】
(筐体20および端末装置30の外形)
図2の正面斜視図には、本実施形態の薬剤識別システム10の、筐体20および端末装置30の外形が示されている。図2には、薬剤12を収容した容器22および枠体50がスライド機構60によって筐体20の外部へと案内された状態が示されている。筐体20の前面(表面の一部)に配置された扉部21は、図2では開放された状態になっており、筐体20の内部空間を筐体20の外部に対して開放している。筐体20の内部には重量計40が配置されている。スライド機構60は枠体50の左側と右側とにそれぞれ取り付けられている。またスライド機構60は、容器22および枠体50を、筐体20の外部と、筐体20の内部との間で入退出可能に案内する。そしてスライド機構60は、筐体20の内部においては、容器22および枠体50を、重量計40の上方へと案内する。
【0031】
筐体20の上方部には、水平な上面25と、上面25に対して傾斜した傾斜面24とが設けられている。そして、傾斜面24には、取付部26と、撮影窓27とが設けられている。取付部26は、端末装置30が取り付けられる箇所である。端末装置30は、表示部37を上向き(ユーザから見える向き)にして取付部26に取り付けられる。例えば取付部26には磁石が設けられているとよい。また、端末装置30の裏面(表示部37と反対側の面)には、取付部26の磁石と引き合う極性の磁石が設けられているとよい。端末装置30がタブレット機器またはスマートフォンである場合には、タブレット機器またはスマートフォンを覆うカバーに磁石が設けられているとよい。取付部26と端末装置30の裏面に磁石が設けられていると、取付部26に取り付けられた端末装置30は、取付部26に対して磁力によって引き付けられ、重力によって傾斜面24から滑り落ちる(自然落下する)ことがなくなる。
【0032】
傾斜面24の撮影窓27は、筐体20の外壁に開けられた開口部である。この撮影窓27を通じて、筐体20の外部から筐体20の内部を撮影器32によって撮影することができる。薬剤12を収容した容器22が、スライド機構60によって筐体20の内部に案内されて重量計40に載置されている場合、撮影器32は、容器22に収容された薬剤12を写した撮影画像を撮影することが可能である。
【0033】
なお、取付部26に端末装置30が取り付けられる際には、端末装置30の撮影器32(カメラ)が、撮影窓27に臨むように位置決めされることが好ましい。例えば取付部26が傾斜面24から盛り上がるようにして設けられた突出部であり、端末装置30の裏面には取付部26の形状とはまり合う窪みが設けられているとよい。例えば、タブレット機器またはスマートフォンを覆うカバーに窪みが設けられているとよい。そして、端末装置30の裏面の窪みと取付部26の形状が、端末装置30が特定の撮影姿勢の時にのみ嵌り合うように設けられていると、取付部26に端末装置30が取り付けられたとき、端末装置30は特定の撮影姿勢となる。端末装置30の撮影姿勢は、撮影器32が撮影窓27に臨む(対向する)姿勢であるとよい。
【0034】
容器22は、薬剤12(ここでは10錠入りのPTPシート)を収容可能な金属製(例えばアルミニウム製)のトレイである。容器22は平坦な底面を有し、この底面に薬剤12が載置される。図2では容器22の底面は略矩形状の輪郭を有している。容器22の側面は底面の外周から、さらに外側へとわずかに傾いて上方に延びている。このため、容器22の側面の上端が囲む面積は底面よりもやや大きくなっている。側面の上端には縁部22aが設けられており、縁部22aの外周は側面の上端よりもさらに外側へ広がっている。したがって、縁部22aの外周は容器22の側面の上端から外側へ張り出した形状となっている。外側へ張り出した縁部22aは例えば、容器22を構成する板材(アルミニウム板など)の端部近くの範囲(例えば端部から1cm程度の範囲)が折り返されることで形成される。
【0035】
枠体50は、矩形状の領域を囲むように配置された、金属製(例えば鋼鉄製)の4つの棒状部材50aを含む。枠体50の棒状部材50aは容器22の前方、左方、右方、後方のそれぞれにおいて、容器22の縁部22aを下から支持するように配置されている。なお、これらの棒状部材50aは、4つの部材がネジ留めなどによって接続されたものであってもよいし、ひと繋がりの部材であってもよい。例えば枠体50が、矩形状の領域を囲む矩形枠を含んでいてもよい。枠体50が矩形枠を含む場合、その矩形枠の四辺がそれぞれ棒状部材50aに相当する。さらに、枠体50は前方部材51と、左方部材52と、右方部材53とを有する。前方部材51と、左方部材52と、右方部材53はそれぞれ金属製(例えば鋼鉄製)であるとよい。
【0036】
前方部材51は、容器22の前方(筐体20から見て外部側)を支持する枠体50の棒状部材50aの下方から延びた板状の部材である。前方部材51は、容器22の縁部22aの下方から、さらに下方へ延びるように広がっている。前方部材51は、ユーザが容器22および枠体50を、筐体20の内部と外部との間で、スライド機構60に沿って入退出させるためのハンドルとして使用することができる。
【0037】
左方部材52と、右方部材53はそれぞれ、容器22の左方および右方(図2において向かって左側および右側)において、枠体50の棒状部材50aの側面から上方へと延びる板状の部材である。左方部材52と、右方部材53は、縁部22aの側面よりもさらに上方へと延びている。そして、左方部材52および右方部材53の外側面(左方部材52の左側面および右方部材53の右側面)にスライド機構60が取り付けられている。ユーザが前方部材51を筐体20の外部へ向けて引き出すことで、容器22はスライド機構60に沿って、枠体50と共に筐体20の外部へ案内される。そしてユーザが前方部材51を筐体20の内部へ向けて押すことで、容器22はスライド機構60に沿って、枠体50と共に筐体20の内部へ案内される。
【0038】
図3は、図2とは反対側の視点から見た背面斜視図である。図3には、容器22と枠体50のみが示されている。枠体50は、前方部材51と、左方部材52と、右方部材53とに加えて、容器22の後方(筐体20から見て内部側)を支持する後方部材54を備えている。図3においては、後方部材54は、枠体50を構成する棒状部材50aの1つである。枠体50が容器22を支持するとき、後方部材54は、容器22の後方において、容器22の縁部22aの下方を支持する。なお、後方部材54は容器22を支持することが可能な構造であればよく、例えば容器22の縁部22aの下方に延びる板状の部材であってもよい。また、棒状部材50a、前方部材51、左方部材52、右方部材53、後方部材54を含む枠体50全体は、ひと繋がりの部材であってもよいし、複数の部材がネジ留めなどによって接続された構造であってもよい。
【0039】
後方部材54は、容器22と電気的に導通する。例えば、後方部材54が金属製の棒状部材50aであり、未塗装の状態であるとよい。未塗装の後方部材54を含む枠体50が容器22を支持することにより、枠体50が容器22と電気的に導通する。なお、枠体50の少なくとも一部が容器22と電気的に導通していればよい。例えば枠体50を構成する棒状部材50aのうち、後方部材54以外の箇所(前方、左方、右方)の棒状部材50aが未塗装であってもよい。また、前方部材51、左方部材52、右方部材53についても、これらの部材のうち容器22と接触する部分が未塗装になっていてもよい。また、枠体50の少なくとも一部が導電性の塗料によって塗装されている場合にも、枠体50が容器22と電気的に導通する。
【0040】
図2図3の薬剤識別システム10においては、容器22が金属製であることにより、静電気が容器22に帯電する可能性が低くなる。また静電気が容器22に帯電したとしても、その静電気は直ちに容器22の外部へ放電され易い。さらに、金属製の枠体50が容器22と電気的に導通しているため、容器22に静電気が帯電したとしても、その静電気は枠体50へと放電される。またスライド機構60が枠体50と筐体20とを接続しているため、スライド機構60が導電性の機構(例えば鋼鉄製の機構)であれば、枠体50へと放電された静電気はさらに筐体20へと逃がされる。そのため、容器22に静電気が残留する可能性は低い。したがって、本実施形態の薬剤識別システム10では、薬剤12を収容する容器22に対する静電気の帯電が防止される。
【0041】
容器22に対する静電気の帯電が防止されることにより、容器22に収容された薬剤12の重量値を測定する重量計40は、静電気の影響を受けることなく、薬剤12の重量値を正しく測定することができる。また、重量計40以外にも、薬剤識別システム10に含まれる各種電子機器(例えば端末装置30の撮影器32)も静電気の影響を受けることなく正しく動作する。したがって、本実施形態の薬剤識別システム10では、薬剤12の識別に対する静電気の影響が防止される。
【0042】
次に、図4図5図6図7を用いて、扉部21と枠体50との連動について説明する。図4図5図6図7は、筐体20の内部構造を示す側方断面図である。これらの側方断面図は、図2において左方部材52に平行な面で筐体20を切断し、切断面を筐体20の左方から見た場合の図を示している。なお説明のため、図4図5図6図7においては、容器22の周囲の領域のみが図示されている。また、図4図5図6図7には筐体20の左方における内部構造が図示されているが、筐体20の右方も同様の内部構造(左方の内部構造の鏡像)となっている。
【0043】
以下において、扉部21が筐体20の前面(図4において右側)を閉鎖している状態における、扉部21の位置を閉鎖位置と呼ぶ。そして、扉部21が筐体20の前面を開放している状態における、扉部21の位置を開放位置と呼ぶ。
【0044】
図4は、扉部21が閉鎖位置にある状態を示している。扉部21が閉鎖位置にあるとき、容器22は重量計40の上に(例えば調剤用電子天秤の計量台の上)載置されている。そして、枠体50(特に後方部材54)は容器22の縁部22aから垂直方向(重力方向)に離れており、容器22を支持していない。すなわち、扉部21が閉鎖されると、枠体50は容器22を重量計40に載置する。容器22が枠体50に支持されず、重量計40に載置された状態では、重量計40は枠体50の重量値を測定せず、容器22と、容器22に収容された薬剤12(図4には図示せず)との合計の重量値を測定する。
【0045】
扉部21の下端部には、筐体20に接続されたヒンジ21aが設けられている。扉部21は、ヒンジ21aを中心として旋回することにより、開放位置と閉鎖位置との間で移動する。また、ヒンジ21aよりやや上方には、扉部ピン72が設けられている。扉部ピン72は、リンク部材70に接続されている。リンク部材70は、扉部21と枠体50とを連動して移動させる部材である。リンク部材70は、筐体20の内部へ向けて扉部ピン72から真っ直ぐに延びる部分と、筐体20の内部で上方へ向けて曲がった部分とを有する。リンク部材70は、扉部ピン72に対して、旋回可能に接続されている。
【0046】
リンク部材70のうち真っ直ぐに延びる部分には、傾斜ピン74が設けられている。傾斜ピン74は、傾斜スライダー64に接続されている。傾斜スライダー64は筐体20の内部に設けられた部材であり、筐体20の内部の地点から、筐体20の外部へ向けて上向きに傾斜した経路を有する。傾斜ピン74は傾斜スライダー64に対して、傾斜した経路内でスライド可能に接続されている。
【0047】
リンク部材70のうち上方へ向けて曲がった部分の先端部には、水平ピン76が設けられている。水平ピン76は、水平スライダー66に接続されている。水平スライダー66は筐体20の内部に設けられた部材であり、水平に延びる経路を有する。水平ピン76は水平スライダー66に対して、水平な経路内でスライド可能に接続されている。
【0048】
また、水平スライダー66は、図4において仮想線(二点鎖線)で示される昇降部材61に接続されている。昇降部材61は、筐体20の内部に配置された部材であり、垂直方向に昇降することが可能である。昇降部材61は枠体50の左方部材52および右方部材53よりも筐体20の外側に近い位置に配置されているため、図4の側方断面図の視点からでは視認されない部材であるが、説明のため、図4において昇降部材61が仮想線で示されている。
【0049】
昇降部材61は、水平方向に延びる板状の部分と、板状の部分から下方へ垂直方向に延びる2つの支持部を有する。昇降部材61の板状の部分には水平方向に延びるスライド機構60が取り付けられる。昇降部材61の支持部には昇降スライダー62が取り付けられる。スライド機構60および昇降スライダー62は、図4の側方断面図の視点からでは視認されない部材であるが、説明のため、図4においてスライド機構60および昇降スライダー62が仮想線で示されている。
【0050】
なお、スライド機構60は枠体50と昇降部材61の両方に取り付けられている。スライド機構60の構造を詳しく説明すると、スライド機構60は複数のレールが組み合わされた部材である。そして、スライド機構60を構成するレールのうち1つが枠体50の外側面(図4における左方部材52の左側面および右方部材53の右側面)に取り付けられており、枠体50のレールに対応するレールが昇降部材61に取り付けられている。なお、スライド機構60を構成するレールは2つでも、3つ以上でもよい。例えば枠体50のレールと、昇降部材61のレールとの間に、スライド機構60の案内可能な長さを延長するための中間レールが配置されていてもよい。
【0051】
図4に示されているように、扉部21が閉鎖位置にある場合は、後方部材54は容器22の縁部22aに接触しておらず、縁部22aから垂直方向に離れた位置にある。すなわち、扉部21が閉鎖されると、枠体50は容器22を支持せず、容器22を重量計40に載置する。
【0052】
次に図5は、扉部21が閉鎖位置と開放位置との間にある状態を示している。ユーザが扉部21を開く動作を行う過程において、扉部21は図5に示された状態となる。ユーザが扉部21を開く動作を行うと、扉部21はヒンジ21aを中心として(図5において右周りに)旋回する。すると、扉部ピン72が筐体20の外部(図5において右方向)へ向けて移動する。扉部ピン72の移動に伴い、リンク部材70は筐体20の外部へ向かう力を受ける。
【0053】
リンク部材70が筐体20の外部へ向かう力を受けると、リンク部材70の傾斜ピン74は傾斜スライダー64の経路に沿って案内される。傾斜スライダー64は、筐体20の外部へ向けて上向きに傾斜した経路を有するため、傾斜ピン74は上方向へと移動する。傾斜ピン74が上方向に移動することに伴い、リンク部材70は扉部ピン72を中心として、傾斜ピン74および水平ピン76を上方向へ移動させる方向に(図5において右回りに)旋回する。
【0054】
リンク部材70が旋回することに伴い、リンク部材70の水平ピン76は、水平スライダー66の経路に沿って筐体20の外部へ向けて案内されつつ、上方向へ移動する。水平ピン76が上方向へ移動することに伴い、水平スライダー66が上方向へと移動する。水平スライダー66に接続されている昇降部材61は、昇降スライダー62に案内されて、水平スライダー66と共に上方向へ移動する(上昇する)。
【0055】
昇降部材61に取り付けられているスライド機構60が枠体50にも取り付けられているため、昇降部材61が上昇することに伴い、枠体50も上昇する。枠体50が上昇することで、枠体50が容器22の縁部22aに下方から接触する位置まで移動する。特に、図5に示されているように、後方部材54が縁部22aの下方に接触する。枠体50が容器22の縁部22aに下方から接触することにより、枠体50が容器22を支持する状態となる。
【0056】
次に図6は、扉部21が開放位置にある状態を示している。扉部21が図5の状態からさらに旋回されることで、扉部ピン72が図5の状態よりもさらに筐体20の外部へ向けて移動する。すると、傾斜ピン74は傾斜スライダー64に沿ってさらに上方向へ向けて移動する。これにより、水平ピン76が昇降部材61と共にさらに上昇する。
【0057】
昇降部材61の上昇に伴い、枠体50は容器22を支持したまま上昇する。すると、容器22は重量計40の上面の位置からさらに上昇し、重量計40から垂直方向に離れる。すなわち、扉部21が閉鎖位置から開放位置へと動くとき、枠体50は扉部21の動きに連動して上昇する。そして扉部21が開放された状態においては、枠体50は、容器22を、重量計40から垂直方向(重力方向)に離れた位置で支持する。
【0058】
次に図7は、容器22が筐体20から引き出された状態を示している。図6の状態から、ユーザが枠体50または容器22を筐体20の外部へと引き出すと、容器22は枠体50と共に、スライド機構60に案内されて筐体20の外部へと移動する(引き出される)。
【0059】
薬局などの、薬剤監査作業が行われる施設においては、ユーザは処方箋に基づいて取り揃えた薬剤12(図7には図示せず)を、筐体20の外部まで引き出された容器22へと投入すればよい。ここで、容器22が金属製であるため、例えばユーザと薬剤12との摩擦によって静電気が発生していたとしても、その静電気は容器22に帯電し難い。また、金属製の枠体50(特に後方部材54)が容器22と導通しているため、静電気が容器22に帯電したとしても、その静電気は枠体50へ伝わり、容器22の静電気は除去される。なお、枠体50は、スライド機構60、昇降部材61を介して、筐体20に対して電気的に導通していることが好ましい。例えば、スライド機構60、昇降部材61、筐体20も金属製であるとよい。あるいは、枠体50と筐体20とが、直接導通するように、電気的に接続されていてもよい。例えば、枠体50と筐体20との間が、導電性の部材(例えば銅線などの金属線)で接続されているとよい。静電気が放電される先の物体の電気容量が大きいほど、静電気による影響は小さくなるため、枠体50が筐体20と導通していると、薬剤識別および重量値の測定に対する静電気の影響はより小さくなる。
【0060】
ユーザが容器22に薬剤12を投入した後は、ユーザは薬剤12を収容した容器22を筐体20の内部へと押し戻してから、扉部21を閉鎖する。この場合、容器22および扉部21の状態は、図7図6図5図4の順番に遷移する。
【0061】
図7の状態において、ユーザが容器22を容器22の内部(図7において左側)へと押すと、容器22および枠体50は、スライド機構60に沿って筐体20の内部へと案内される。扉部21が開放位置にある状態では、筐体20の内部へと案内された容器22は、図6に示されているように、重量計40から垂直方向(重力方向)に離れた位置で枠体50によって支持されている。
【0062】
容器22が筐体20の内部へ案内された状態で、ユーザが扉部21を閉じる動作を行うと、扉部21はヒンジ21aを中心として(図6において左周りに)旋回する。すると、扉部21が(リンク部材70などを介して)枠体50と連動する。枠体50は扉部21の動きに連動して、下向きに移動する(下降する)。そして、扉部21が開放位置と閉鎖位置との間にある状態において、図5に示されているように、枠体50は容器22を重量計40に載置する。
【0063】
扉部21が完全に閉鎖されて、扉部21が閉鎖位置にある状態においては、図4に示されているように、枠体50は容器22から垂直方向に離れた位置にある。したがって扉部21が閉鎖される動きに連動して、枠体50は下降して容器22を重量計40に載置し、容器22を支持しなくなる。
【0064】
扉部21が開放されている状態では、容器22は重量計40から垂直方向に離れた位置で支持されているため、ユーザは容器22を重量計40に衝突させることなく、筐体20に対して円滑に入退出させることができる。そして、ユーザは扉部21を閉鎖するだけで容器22を重量計40へ載置させることができるので、ユーザは容器22を筐体20の内部へと移動させた後、容器22を垂直方向に動かす必要がない。このように、扉部21の開放および閉鎖に連動して枠体50が容器22と共に昇降するようになっていると、ユーザにとって容器22の取り回しが簡便となる。
【0065】
また、容器22が重量計40から垂直方向に離れた位置に支持されていると、容器22に上方から圧力が加わっても、その圧力が重量計40に加わることはない。そのため、容器22に薬剤12が収容される際に、容器22への圧力による重量計40への影響が回避される。詳しく説明すると、扉部21が開放された状態では、容器22が筐体20の外部から視認できるため、ユーザは、容器22を筐体20の外部まで引き出さなくとも、容器22が筐体20の内部にある状態で、容器22へ薬剤12を収容することが可能である。容器22へ薬剤12が収容される際、容器22には圧力が加えられる。例えば薬剤12が容器22の上方から自由落下させられた場合には、落下による衝撃圧が容器22に加わる。ユーザが薬剤12を容器22上に載置するまで手で把持している場合でも、薬剤12が容器22上に載置される瞬間には、ユーザの手から容器22へ圧力が加わる。ここで、容器22が重量計40に載置されている場合には、重量計40は、容器22と薬剤12との合計の重量値だけでなく、加えられた圧力に応じた重量値を測定する。薬剤12の収容の際に容器22に加わる圧力は不定であるため、重量計40は薬剤12の重量値とは無関係な値を計測してしまう。薬剤12の重量値とは無関係な重量値が測定されると、薬剤識別システム10によって薬剤12の数量が正しく算出されないおそれがある。また、大きな圧力が加わった場合には重量計40が故障するおそれもある。これに対し、本実施形態では、扉部21が開放されて容器22へ薬剤12の収容が可能となった状態においては、容器22が重量計40から垂直方向に離れた位置に支持されているため、薬剤12の収容の際に容器22へ加えられる圧力が重量計40に伝わることはない。したがって、ユーザが薬剤12を容器22へ収容する際に容器22へ加わる圧力による、重量計40に対する影響が回避される。
【0066】
以上の実施形態においては、枠体50の一部(特に後方部材54)が容器22と電気的に導通していることにより、容器22に静電気が帯電し難くなっているが、枠体50は必ずしも容器22と電気的に導通していなくともよい。例えば、枠体50の全体が金属以外の素材で構成されている場合、あるいは枠体50の全体が非導電性の塗料で塗装されている場合などでも、容器22が金属製であれば、容器22に静電気が帯電する可能性は低い。
【0067】
また以上の実施形態においては、スライド機構60が枠体50を筐体20に対して入退出可能に案内しているが、スライド機構60は必ずしも設けられていなくともよい。また、扉部21の動きと連動する枠体50は必ずしも設けられていなくともよい。例えば、金属製の容器22を、ユーザが手作業で重量計40へ載置してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 薬剤識別システム
12 薬剤
20 筐体
21 扉部
21a ヒンジ
22 容器
22a 縁部
24 傾斜面
25 上面
26 取付部
27 撮影窓
30 端末装置
31 制御部
32 撮影器
33 薬剤識別部
34 AIモデル
35 薬剤情報リスト
36 通信部
37 表示部
40 重量計
50 枠体
50a 棒状部材
51 前方部材
52 左方部材
53 右方部材
54 後方部材
60 スライド機構
61 昇降部材
62 昇降スライダー
64 傾斜スライダー
66 水平スライダー
70 リンク部材
72 扉部ピン
74 傾斜ピン
76 水平ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7