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特開2024-68674カラオケ装置、カラオケ再生方法及びカラオケ用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068674
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】カラオケ装置、カラオケ再生方法及びカラオケ用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179187
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】水谷 哲也
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CE07
5D208DA08
(57)【要約】
【課題】ストリーミング方式で背景映像を再生するカラオケ装置において、背景映像の受信状況が所定条件を満たしていない場合であっても、良好に歌唱を行う、あるいは、歌唱を継続することを可能とする。
【解決手段】本発明に係るカラオケ装置は、カラオケの背景映像をストリーミング方式により再生するカラオケ装置であって、背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は、記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を演奏音再生部に再生させ、記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像を映像再生部に再生させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケの背景映像をストリーミング方式により再生するカラオケ装置であって、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像を前記映像再生部に再生させる
カラオケ装置。
【請求項2】
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像を、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像に重ねて前記映像再生部に再生させる
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
カラオケの背景映像をストリーミング方式により再生するカラオケ装置であって、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データを記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画を前記映像再生部に再生させる
カラオケ装置。
【請求項4】
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像を、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画に重ねて前記映像再生部に再生させる
請求項3に記載のカラオケ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記映像受信処理において、一定時間内に一定サイズのデータを受信できた場合に、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしているとして、前記第1出力処理を実行し、一定時間内に一定サイズのデータを受信できなかった場合に、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていないとして、前記第2出力処理を実行する
請求項1または請求項3に記載のカラオケ装置。
【請求項6】
楽曲データには、ストリーミング方式で受信する背景映像データの再生リストが対応付けられており、
再生リストは、ストリーミング方式で受信する背景映像データの位置情報を含み、
前記映像受信処理は、再生リストに含まれる背景映像データの位置情報に基づき、背景映像データをストリーミング方式で受信する
請求項1または請求項3に記載のカラオケ装置。
【請求項7】
再生リストは、背景映像データの複数の位置情報を含み、
前記映像受信処理は、再生リストに含まれる背景映像データの複数の位置情報に基づき、背景映像データをストリーミング方式で受信する
請求項6に記載のカラオケ装置。
【請求項8】
再生リストに含まれる背景映像データの位置情報には、再生区間が規定されており、
前記第1出力処理は、背景映像データの位置情報に規定された再生区間に基づき、映像を前記映像再生部に再生させる
請求項6に記載のカラオケ装置。
【請求項9】
再生リストに含まれる背景映像データの位置情報には、演奏に対する背景映像の再生タイミングが規定されており、
前記第1出力処理は、背景映像データの位置情報に規定された再生タイミングに基づき、映像を前記映像再生部に再生させる
請求項6に記載のカラオケ装置。
【請求項10】
前記第1出力処理は、背景映像データの位置情報に規定された再生タイミングに基づき、映像の再生速度を調整する
請求項9に記載のカラオケ装置。
【請求項11】
代替映像データは、楽曲データに対応付けられている
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項12】
代替映像データは、動画再生ができないエラーを報知する映像である
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項13】
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ再生方法であって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像を前記映像再生部に再生させる
カラオケ再生方法。
【請求項14】
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ用プログラムであって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像を前記映像再生部に再生させる
カラオケ用プログラム。
【請求項15】
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ再生方法であって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画を前記映像再生部に再生させる
カラオケ再生方法。
【請求項16】
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ用プログラムであって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画を前記映像再生部に再生させる
カラオケ用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歌唱を行うためのカラオケ装置、カラオケ再生方法及びカラオケ用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
演奏に合わせて歌唱を楽しむカラオケ装置では、歌唱の雰囲気を向上させること等を目的として背景映像を表示することが行われている。背景映像には、楽曲の雰囲気に合ったものや、オリジナルアーティストを登場させたものを使用することで、歌唱の場を盛り上げることが可能となる。
【0003】
このような、背景映像を使用するカラオケ装置として、特許文献1には、背景映像をストリーミング方式によって再生するカラオケ装置が記載されている。特許文献1に記載のカラオケ装置では、ストリーミング再生する背景映像の断片映像が、予約曲にも使用される場合、断片映像を録画しておき、断片映像が録画されている場合は録画されているものを使用し、録画されていなければストリーミング再生することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-13291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるカラオケ装置によれば、演奏の際に再生される背景映像について、背景映像を断片的にサーバーから取得して再生するストリーミング技術を利用したものである。ここで、特許文献1のカラオケ装置において、ストリーミング再生を行うときに、背景映像のデータサイズが大きい場合、あるいは、サーバーとカラオケ装置との通信状況が悪い場合等には、ストリーミング再生が中断する、あるいは、背景映像が途切れ途切れになってしまうといった支障が生じる可能性がある。場合によっては、背景映像の再生のみならず、演奏音の再生も止まってしまうことも考えられる。
【0006】
このような支障が生じた場合、背景映像の停止、及び演奏音の再生停止により、ユーザは、歌唱を止めてしまう、あるいは、上手く歌唱できなくなることが考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みたものであって、背景映像をストリーミング再生するカラオケ装置において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合であっても、良好に歌唱を行う、あるいは、歌唱を継続できるカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明に係るカラオケ装置は、以下の構成を採用するものである。
カラオケの背景映像をストリーミング方式により再生するカラオケ装置であって、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像を前記映像再生部に再生させる。
【0009】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像を、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像に重ねて前記映像再生部に再生させる。
【0010】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
カラオケの背景映像をストリーミング方式により再生するカラオケ装置であって、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データを記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画を前記映像再生部に再生させる。
【0011】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像を、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画に重ねて前記映像再生部に再生させる。
【0012】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記制御部は、前記映像受信処理において、一定時間内に一定サイズのデータを受信できた場合に、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしているとして、前記第1出力処理を実行し、一定時間内に一定サイズのデータを受信できなかった場合に、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていないとして、前記第2出力処理を実行する。
【0013】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
楽曲データには、ストリーミング方式で受信する背景映像データの再生リストが対応付けられており、
再生リストは、ストリーミング方式で受信する背景映像データの位置情報を含み、
前記映像受信処理は、再生リストに含まれる背景映像データの位置情報に基づき、背景映像データをストリーミング方式で受信する。
【0014】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
再生リストは、背景映像データの複数の位置情報を含み、
前記映像受信処理は、再生リストに含まれる背景映像データの複数の位置情報に基づき、背景映像データをストリーミング方式で受信する。
【0015】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
再生リストに含まれる背景映像データの位置情報には、再生区間が規定されており、
前記第1出力処理は、背景映像データの位置情報に規定された再生区間に基づき、映像を前記映像再生部に再生させる。
【0016】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
再生リストに含まれる背景映像データの位置情報には、演奏に対する背景映像の再生タイミングが規定されており、
前記第1出力処理は、背景映像データの位置情報に規定された再生タイミングに基づき、映像を前記映像再生部に再生させる。
【0017】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
前記第1出力処理は、背景映像データの位置情報に規定された再生タイミングに基づき、映像の再生速度を調整する。
【0018】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
代替映像データは、楽曲データに対応付けられている。
【0019】
さらに本発明に係るカラオケ装置において、
代替映像データは、動画再生ができないエラーを報知する映像である。
【0020】
また本発明に係るカラオケ再生方法は、
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ再生方法であって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像を前記映像再生部に再生させる。
【0021】
また本発明に係るカラオケ用プログラムは、
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ用プログラムであって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される代替映像データに基づく映像を前記映像再生部に再生させる。
【0022】
また本発明に係るカラオケ再生方法は、
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ再生方法であって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画を前記映像再生部に再生させる。
【0023】
また本発明に係るカラオケ用プログラムは、
情報処理装置において、カラオケの背景映像をストリーミング方式で再生させるカラオケ用プログラムであって、
前記情報処理装置は、
演奏音を再生する演奏音再生部と、
映像を再生する映像再生部と、
カラオケの楽曲の演奏音データと歌詞データとを含む楽曲データと、代替映像データとを記憶する記憶部と、を備え、
背景映像データをストリーミング方式で受信する映像受信処理を実行し、前記映像受信処理において、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしている場合は第1出力処理を実行し、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合は第2出力処理を実行し、
前記第1出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる歌詞データに基づく映像と、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画とを重ねて前記映像再生部に再生させ、
前記第2出力処理は、前記記憶部に記憶される楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音を前記演奏音再生部に再生させ、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく静止画を前記映像再生部に再生させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るカラオケ装置によれば、ストリーミング方式で背景映像データを受信する際、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合には、ストリーミング方式で受信した背景映像データに基づく動画再生を行わず、楽曲データに含まれる演奏音データに基づく演奏音の再生は継続する。このような構成により、背景映像の受信状況が所定条件を満たしていない場合であっても、良好に歌唱を行う、あるいは、歌唱を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図
図2】本実施形態の全体統括処理を示すフロー図
図3】本実施形態の演奏処理を示すフロー図
図4】本実施形態の歌詞表示処理を示すフロー図
図5】本実施形態の動画再生処理を示すフロー図
図6】本実施形態のループ再生処理を示すフロー図
図7】本実施形態の時間指定再生処理を示すフロー図
図8】本実施形態で使用する再生リストの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、カラオケ装置2(コマンダと呼ぶこともある)と、リモコン装置1とを含んで構成されている。カラオケ装置2とリモコン装置1とは、LAN100及びアクセスポイント130を利用してネットワークを形成するように通信接続されている。
【0027】
カラオケボックス等の店舗に設置されるカラオケ装置2は、楽曲を演奏するための演奏音再生部として音響制御部25を備えている。また、カラオケ装置2は、ユーザからの各種入力を受け付ける操作部21を備える。カラオケ装置2は、操作部21からの入力を解釈してCPU30に伝達する操作処理部22を備える。また、カラオケ装置2は、各種情報を記憶する記憶部としてのハードディスク32を備える。カラオケ装置2は、LAN100に接続してネットワークに加入する通信手段としてのLAN通信部24aを備えている。また、本実施形態のカラオケ装置2は、無線LAN通信部24bも備えており、LAN通信部24aを使用した有線によるネットワーク接続に代え、無線LAN通信部24bを使用した無線によるネットワーク接続を行うことも可能である。
【0028】
また、カラオケ装置2は、モニタ41に対して歌詞映像、及び背景映像を表示させる映像再生部を備える。この映像再生部は、映像データに基づいて映像を再生する映像形成部29と、再生する映像を一時的に蓄積するビデオRAM28と、再生された映像に対する歌詞映像の重畳、及び映像効果の付与等を行う映像制御部31とを備えて構成される。本実施形態において、背景映像は動画であるが、その他の映像は動画、あるいは静止画である。
【0029】
さらに、このカラオケ装置2では、外部に接続されるモニタ41以外に、タッチパネルモニタ33に対して各種情報を表示することを可能としている。タッチパネルモニタ33は映像制御部31から入力された映像を表示する表示部35と、タッチ入力された位置を操作処理部22に出力するタッチパネル34とが重畳されて構成されている。このタッチパネルモニタ33は、カラオケ装置2の筐体前面等に配置され、カラオケ装置2の操作部21、あるいは、リモコン装置1のタッチパネルモニタ11等と同様、入力部として機能する。ユーザは、タッチパネルモニタ33にて楽曲を選択することで、直接カラオケ装置2に楽曲を予約する等、カラオケ装置2に対する各種操作を行うことが可能である。
【0030】
さらに、カラオケ装置2は、各構成を統括して制御するためのCPU30と、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27とを含んだ制御部を備えて構成されている。
【0031】
このような構成にてカラオケ装置2は、各種処理を実行することとなるが、カラオケ装置2の主な機能として、楽曲予約処理、及び楽曲再生処理等を実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザからの指定に基づいて楽曲を指定して予約するための処理であって、リモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1の選曲処理で形成された予約情報は、カラオケ装置2に送信される。カラオケ装置2は、受信した予約情報をメモリ27中の予約テーブルに登録する。楽曲再生処理は、予約された楽曲を再生させる処理であって、演奏処理、歌詞表示処理、及び動画再生処理が同期して実行される処理である。
【0032】
演奏処理は、楽曲データに含まれる演奏音データに基づき、音響制御部25に演奏を実行させる処理である。音響制御部25にて演奏された楽曲は、マイクロホン43a、43bから入力される歌唱音声と一緒にスピーカー42から放音される。歌詞表示処理は、楽曲データに含まれる歌詞データに基づく歌詞映像をモニタ41に表示させることで歌唱補助を行う処理である。この歌詞表示処理で表示される歌詞映像に、背景映像を重畳させて表示させる背景映像表示処理を実行することとしてもよい。
【0033】
一方、リモコン装置1は、ユーザからの指示に基づいて楽曲を検索し、再生指示のあった楽曲について予約情報をカラオケ装置2に送信する選曲処理を実行可能としている。また、リモコン装置1は、カラオケ装置2あるいはインターネット上に接続されたサーバー装置5から各種情報を受信し、各種処理を実行することが可能である。本実施形態では、ユーザから各種指示を受け付けるユーザインターフェイスとして、操作部17と、タッチパネルモニタ11とを備えている。タッチパネルモニタ11は、表示部11aとタッチパネル11bとを有して構成され、表示部11aに各種情報を表示するとともに、ユーザからのタッチ入力を受付可能としている。
【0034】
さらにリモコン装置1は、選曲処理に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶部として、メモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御部を備えて構成される。リモコン側制御部には、CPU15、タッチパネルモニタ11に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像の映像データを一時的に蓄えるビデオRAM12、及びタッチパネルモニタ11あるいは操作部17からの入力を解釈してCPU15に伝える操作処理部18が含まれている。
【0035】
リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント130と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。なお、各リモコン装置1は、特定のカラオケ装置2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたカラオケ装置2にて受信されることとなる。
【0036】
このようなリモコン装置1の構成により、ユーザからの各種入力をタッチパネルモニタ11、あるいは、操作部17から受付けるとともに、タッチパネルモニタ11の表示により各種情報を提供することで、カラオケ装置2に対して出力する予約情報を送信する選曲処理等、各種処理を行うことが可能となっている。
【0037】
カラオケ装置2において実行される各種処理について説明する。図2は、カラオケ装置2で実行される全体統括処理を示すフロー図である。カラオケ装置2は、リモコン装置1、あるいは、タッチパネルモニタ33等の入力部に対する操作に基づいて楽曲が予約される。楽曲の予約が行われた場合、楽曲データを識別するための楽曲ID、及び予約したユーザのユーザID等を含む予約情報が、カラオケ装置2のメモリ27で記憶管理される予約テーブルに登録される。
【0038】
全体統括処理では、予約テーブルのチェック(S101)を行い、楽曲の演奏が行われていないこと、及び、予約テーブルに次の楽曲が登録されていることを条件(S102:Yes)として、楽曲データの準備を行う(S103)。楽曲データの準備は、予約テーブルに登録された次に再生すべき楽曲の楽曲IDを参照し、当該楽曲IDに対応する楽曲データをメモリ27に読み出すこと等によって行われる。
【0039】
また、本実施形態では、楽曲に対応する再生リストが設けられており、楽曲データの読み出しに伴い、当該楽曲データに対応する再生リストも読み出される(S104)。再生リストは、背景映像をストリーミング再生するためのリストであって、ストリーミング再生に必要な位置情報であるURL(Uniform Resource Locator)等が記述されている。本実施形態における再生リストは、図8(A)に示されるループタイプ、図8(B)に示される時間指定タイプの2通りが用意されている。
【0040】
カラオケ装置2は、読み出された楽曲データ、及び再生リスト等の各種データに基づき、演奏処理、歌詞表示処理、及び動画再生処理を開始する(S105)。
【0041】
図3は、本実施形態の演奏処理を示すフロー図である。演奏処理は、楽曲データに含まれる演奏音データを音響制御部25に再生させる処理である。全体統括処理における演奏処理の開始(S105)により、演奏処理では、一定時間分の演奏音データを音響制御部25に送信(S120)し、音再生位置を進める(S121)。そして、音再生位置を示す音再生位置データを歌詞表示処理、及び動画再生処理に送信する(S122)。音響制御部25に送信された演奏音データにより楽曲の演奏音は、音響制御部25で再生され、スピーカー42から放音出力される。
【0042】
S120~S122の処理を繰り返し実行することで、演奏音データに基づく演奏音の再生が実行される。演奏音データが楽曲終端に到達した場合(S123:Yes)、演奏処理終了を全体統括処理、及び動画再生処理に送信(S124)することで、演奏処理は終了する。
【0043】
図4は、本実施形態の歌詞表示処理を示すフロー図である。歌詞表示処理は、楽曲データに含まれる歌詞データに基づく歌詞映像を映像再生部で再生させる処理である。全体統括処理における歌詞表示処理の開始(S105)により、歌詞表示処理では、歌詞データをビデオRAM28にグラフィック展開する(S140)。演奏に同期した歌詞表示を行うため、演奏処理から受信した音再生位置データに基づき(S141:YES)、グラフィック展開した歌詞データを、映像形成部29を使用してモニタ41に表示する(S142)。具体的には、グラフィック展開された歌詞データ中で、音再生位置データに対応する歌詞データを映像形成部29に渡すことで、演奏に同期した歌詞表示が行われることになる。
【0044】
S141~S143の処理を繰り返し実行することで、歌詞データに基づく歌詞映像の表示が実行される。歌詞データが楽曲終端に到達した場合(S143:Yes)、歌詞表示処理終了を全体統括処理に送信(S144)することで、歌詞表示処理は終了する。
【0045】
図5は、本実施形態の動画再生処理を示すフロー図である。本実施形態の動画再生処理は、インターネットに接続されたサーバー装置5等にアクセスし、ストリーミング形式で背景映像を動画再生することとしている。ストリーミング方式の場合、回線状況によって動画再生が途切れ途切れになる、あるいは、停止することが考えられる。そのような場合、歌唱者は背景映像の異常に戸惑い、歌唱を良好に行う、あるいは、継続することが困難となる。また、カラオケシステムによっては、背景映像の停止に伴い、演奏も停止してしまうことが考えられる。このような演奏の停止は、歌唱を楽しむためのカラオケ装置2において致命的な問題である。
【0046】
本実施形態の動画再生処理はこのようなストリーミング形式による背景映像の再生を考慮したものであり、回線状況の悪化等で、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合であっても、ユーザが良好に歌唱を行う、あるいは、歌唱を継続することを可能とするものである。
【0047】
図8は、本実施形態で使用する再生リストの一例を示す図である。図2の全体統括処理のフロー図で説明したように、本実施形態では、楽曲に応じた再生リストを使用して背景映像の再生を行う。再生リストには2種類のタイプがあり、楽曲に応じた再生リストが使用される。
【0048】
図8(A)には、ループタイプの再生リストの一例が示されている。ループタイプの再生リストには、再生リストの種類(type)に「ループタイプ」が記述されている。また、使用する動画リストとして、3つのURL(URL1~URL3)が記述されている。記述されたURLに順番にアクセスすることで、ストリーミング再生が実行される。なお、URL3で記述された動画再生が終了した場合、最初のURL1に戻って再生するループ再生を行うこととしている。
【0049】
図8(B)には、時間指定タイプの再生リストの一例が示されている。時間指定タイプの再生リストには、再生リストの種類(type)に「時間指定」が記述されている。また、時間指定動画リストには、音再生位置を規定したURLが記述されている。図8(B)の例では複数のURL(URL4~7)が指定されており、各URLの先頭側には、カンマ(,)で区切られた時間t1,t2,t3が規定されている(例えば、URL4において、t1=0、t2=20、t3=30)。この時間は、音再生位置及び再生区間を示すものであって、開始から数えて音再生位置t1が到来した場合、当該URLが示す動画データのt2~t3の区間を再生することを示している。
【0050】
図8(B)の場合、開始(0秒)からは1番目に記述されたURL4の20~30秒の位置(10秒間)までを再生し、10秒からは2番目に記述されたURL5の10~25秒の位置(15秒間)までを再生し、25秒からは3番目に記述されたURL6の70~75秒の位置(5秒間)までを再生する。以下、時間指定動画リストを使用してストリーミング再生を継続することで演奏に同期した背景映像の再生が実行される。本実施形態では、このようにストリーミング方式で再生する動画データについて、その再生区間(t2~t3)を指定することとしており、楽曲の雰囲気、並びに、進行に合った背景映像を再生することが可能となっている。また、多数の楽曲に対してもバリエーションに富んだ背景映像を柔軟に作成することも可能となっている。
【0051】
また、時間指定タイプの再生リストでは、静止画リストが指定されている。本実施形態で使用される静止画は、カラオケ装置2のハードディスク32に予め記憶されており、ストリーミング方式による背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合、背景映像に代えて表示される。静止画リストには、静止画のファイルパス(Pic1~4)が記述されている。また、各ファイルパスの先頭側には、カンマ(,)で区切られた時間t4,t5が規定されている(例えば、Pic1において、t4=0、t5=10)。この時間は、音再生位置を示すものであって、開始から数えて音再生位置t4が到来した場合、当該ファイルパスが示す静止画をt5秒間再生することを示している。
【0052】
では、このような再生リストを使用した動画再生処理について、図5図7を使用して説明を行う。なお、図6図7において丸で囲われたアルファベットA~Cは、同じアルファベットA~Cに遷移することを意味する。動画再生処理では、再生対象となる楽曲に対応して読み出された再生リストを参照し、そのタイプを判断する(S201)。再生リストのタイプがループタイプの場合(S201:ループタイプ)、図6に示されるループ再生処理(S210)が実行される。一方、再生リストのタイプが時間指定タイプの場合(S201:時間指定タイプ)、図7に示される時間指定再生処理(S210)が実行される。
【0053】
まず、ループ再生処理(S210)について説明を行う。図6は、ループ再生処理(S210)を示すフロー図である。ループタイプの場合、図8(A)の再生リストを参照し、URL1、URL2、URL3の順にアクセスしてストリーミング方式による動画再生を実行する。したがってストリーミング方式による取得データの対象を動画リスト先頭のURL(URL1)とし、データ取得位置を動画先頭にセットする(S211)。そして、演奏処理から音再生位置データを受信することで次に、取得データのURLのデータ取得位置から、一定サイズのデータの受信を開始する(S212)。
【0054】
一定時間内に一定サイズのデータを受信できた場合(S213:Yes)、すなわち背景映像データの受信状況が所定条件を満たす場合は、取得データをデコードして動画再生を行う(S219)。演奏処理から演奏終了通知を受信せず(S220:No)、再生している動画の終端に到達していない場合(S221:No)、現在、データ取得しているURLについて、次の位置をデータ取得位置にセット(S225)して、一定サイズのデータを受信(S212)することで、同じURLについてストリーミング方式による動画再生を継続する。
【0055】
また、再生している動画の終端に到達した場合(S221:Yes)、まず、動画リストの終端(図8(A)の場合、URL3)に到達したか否かを判断する(S222)。動画リストの終端に到達した場合(S222:Yes)、取得データの対象を動画リストの先頭のURL(図8(A)の場合、URL1)とし、データ取得位置を動画先頭にセット(S224)して、動画リスト中、先頭のURLについてストリーミング方式による動画再生を開始する。また、動画リストの終端に到達していない場合(S222:No)、取得データの対象を動画リストの次のURLとし、データ取得位置を動画先頭にセット(S223)して、動画リスト中における、次のURLについてストリーミング方式による動画再生を開始する。
【0056】
なお、動画再生中、演奏処理から演奏終了通知を受信した場合(S220:Yes)、動画再生を停止(S226)し、動画再生処理の終了を全体統括処理に送信(S227)して、ループ再生処理を終了する。
【0057】
一方、一定時間内に一定サイズのデータを受信できない場合(S213:No)、すなわち、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合には、動画再生を停止し(S214)、専用静止画の表示を行う(S215)。専用静止画は、予めカラオケ装置2のハードディスク32等に記憶されており、CPU30がこれを読み出し、映像形成部29で再生させることでモニタ41に表示される。専用静止画は、通信状況が不安定のため動画再生ができない旨を表記したエラーメッセージを表示したものであってもよい。
【0058】
専用静止画の表示開始後、ループ再生処理では、通信状態の監視が行われる。演奏処理から演奏終了通知を受信せず(S216:No)、通信状態が改善しない場合(S217:No)、専用静止画が表示され続ける。通信状態の監視において、通信状態が改善した場合(S217:Yes)、専用静止画を消去(S218)して、ストリーミング方式による動画再生に戻る。なお、専用静止画の表示中、演奏処理から演奏終了通知を受信した場合(S216:Yes)、専用静止画の再生を停止(S226)し、動画再生処理の終了を全体統括処理に送信(S227)して、ループ再生処理を終了する。
【0059】
次に、時間指定再生処理(S250)について説明を行う。図7は、時間指定再生処理(S250)を示すフロー図である。再生リストが時間指定タイプの場合、図8(B)の再生リスト中で、時間指定されたURL(URL4~7)を参照し、音再生位置データに応じた動画再生が行われる。したがって、演奏に同期した動画再生が行われることになる。
【0060】
演奏処理から音再生位置データを受信した場合(S251:Yes)、動画再生中であるか否かが判断される(S252)。動画再生中である場合(S252:Yes)は、現在、再生対象としているURLの動画について、デコードした次の位置から一定サイズのデータを受信開始する(S254)。一方、動画再生中でない場合(S252:No)、演奏処理から受信した音再生位置データ、及び、図8(B)の再生リスト中の時間指定動画リストに基づき、再生対象URLとそのデータ取得位置とを算出し、一定サイズのデータを受信開始する(S253)。
【0061】
一定時間内に一定サイズのデータを受信できた場合(S255:Yes)、すなわち背景映像データの受信状況が所定条件を満たす場合は、取得データをデコードして動画再生を行う(S262)。なお、本実施形態では、静止画の表示等において、動画再生の位置にずれが生じる可能性を考慮し、動画再生速度調整を実行する(S263)。例えば、音再生位置データに対して動画再生位置が遅れている場合、動画再生の速度を速くする、また、動画音再生位置データに対して動画再生位置が進んでいる場合、動画再生の速度を遅くすることで、演奏と動画再生とのずれを抑えることが可能である。
【0062】
動画再生中、演奏処理から演奏終了通知を受信した場合(S264:Yes)、動画再生を停止(S268)し、動画再生処理の終了を全体統括処理に送信(S269)して、時間指定再生処理を終了する。
【0063】
動画再生中、演奏処理から演奏終了通知を受信せず場合(S264:No)、再生している動画の指定区間終端に到達した場合(S265:Yes)、例えば、図8(B)の時間指定動画リストで、URL4の20秒から30秒までの指定区間中、30秒に達した場合において、時間指定動画リストの終端に到達していない場合(S266:No)、動画再生を停止(S267)して、時間指定再生処理の先頭に戻り、動画は再生中でないため(S252:No)、時間指定動画リスト中、次のURLを参照し、その指定区間について一定サイズのデータを受信開始する(S253)。一方、再生している動画の指定区間終端に到達していない場合(S265:No)、時間指定再生処理の先頭に戻り、動画再生中のため(S252:Yes)、デコードした次の位置から一定サイズのデータを受信開始する(S254)。
【0064】
動画再生中において、演奏処理から演奏終了通知を受信した場合(S264:Yes)、あるいは、時間指定動画リストの終端に到達した場合(S266:Yes)には、動画再生を停止(S268)し、動画再生処理の終了を全体統括処理に送信(S269)して、時間指定再生処理を終了する。
【0065】
一方、一定時間内に一定サイズのデータを受信できない場合(S255:No)、すなわち、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合には、動画再生を停止し(S256)、再生リスト中の静止画リストについて、音再生位置データに対応する静止画を特定して表示する(S257)。ループ再生処理の場合と同様、静止画再生中には、通信状態の監視が行われる。通信状態の監視において、通信状態が改善した場合(S260:Yes)、静止画を消去(S261)して、時間指定再生処理の先頭に戻る。通信状態が改善するまでの期間において、演奏処理から音再生位置データを受信した場合(S258:Yes)、静止画リストを参照し、音再生位置データに対応する静止画が表示される。また、演奏処理から演奏終了通知を受信した場合(S259:Yes)、静止画の再生を停止(S268)し、動画再生処理の終了を全体統括処理に送信(S269)して、時間指定再生処理を終了する。
【0066】
このように時間指定再生処理では、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合、再生リスト中の静止画リストに基づいて静止画の表示が行われる。したがって、楽曲の雰囲気等に対応した静止画を表示することが可能である。また、静止画表示中において、音再生位置データに基づいて、静止画を変更することが可能となっており、楽曲の再生タイミングに応じた静止画を表示することも可能である。
【0067】
以上、本実施形態に係るカラオケ装置2について、動画再生処理の説明を行ったが、本実施形態の動画再生処理では、回線状況の悪化等、背景映像データの受信状況が所定条件を満たしていない場合であっても、良好に歌唱を行う、あるいは、歌唱を継続することが可能となる。
【0068】
[第1変形例]
次に本実施形態の各種変形例について説明する。前述の実施形態では、一定時間内に一定サイズのデータを受信できないことを条件として、静止画再生を行うこととしていた。このような条件は、各種形態を採用することが可能である。例えば、サーバー装置5との通信速度を監視し、通信速度が閾値以下となったことを条件とする、あるいは、データ受信が所定時間(0秒以上)途切れたことを条件とする等、各種形態を採用することが可能である。
【0069】
[第2変形例]
前述の実施形態では、ストリーミング方式による動画再生に代え、静止画(あるいは、専用静止画)といった代替映像データを再生することとしている。代替映像データとしては、カラオケ装置2のハードディスク32等の記憶部に記憶されていればよく、静止画のみならず動画を使用することとしてもよい。また、静止画は、背景映像の動画再生が停止する直前に表示していた背景映像の切り抜きの静止画であってもよい。
【0070】
[第3変形例]
前述の実施形態における通信状態の改善の判定(S217、S260)における条件は各種形態を採用することが可能である。例えば、サーバー装置5との通信速度を監視し、通信速度が一定以上となったことを条件とする。あるいは、サーバー装置5に対してpingの応答があったこと、または、pingの応答が所定時間内であったことを条件とする。あるいは、予め準備してある通信状態監視専用のデータを送受信し、正常に送受信が完了できたことを条件とする等、各種形態を採用することが可能である。
【0071】
[第4変形例]
前述の実施形態における再生リストでは、背景映像の動画をストリーミング再生するために必要な位置情報として、URLを使用している。位置情報は、URLに限定されず、例えばURI(Uniform Resource Identifier)等のインターネット上でのサーバー装置5における動画データの位置を示すものであればよい。
【0072】
なお、本発明は、カラオケ装置2の範疇に留まるものではない。例えば、カラオケ装置2、あるいは、スマートフォン等の各種情報処理装置で実行されることでカラオケ装置2と同様の機能を実現するカラオケプログラム、あるいは、カラオケ再生方法も本発明の範疇に属するものである。
【符号の説明】
【0073】
1:リモコン装置 24b:無線LAN通信部
2:カラオケ装置 25:音響制御部
5:サーバー装置 27:メモリ
11:タッチパネルモニタ 28:ビデオRAM
11a:表示部 29:映像形成部
11b:タッチパネル 30:CPU
12:ビデオRAM 31:映像制御部
13:映像制御部 32:ハードディスク
14:メモリ 33:タッチパネルモニタ
15:CPU 34:タッチパネル
16:無線LAN通信部 35:表示部
17:操作部 41:モニタ
18:操作処理部 42:スピーカー
21:操作部 43a、43b:マイクロホン
22:操作処理部 130:アクセスポイント
24a:LAN通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8