(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068679
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】忌避システム
(51)【国際特許分類】
A01M 29/00 20110101AFI20240514BHJP
A01M 29/12 20110101ALI20240514BHJP
【FI】
A01M29/00
A01M29/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179197
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】北野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】宮田 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】瓜谷 真幸
(72)【発明者】
【氏名】日高 卓
(72)【発明者】
【氏名】中楯 哲史
(72)【発明者】
【氏名】福田 久展
(72)【発明者】
【氏名】木村 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 拓馬
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121CB47
2B121CB52
2B121DA70
2B121EA23
2B121FA13
2B121FA20
(57)【要約】
【課題】忌避システムの耐雷性能を向上させることが可能となる、忌避システムを提供すること。
【解決手段】忌避システム1は、所定領域内にいる忌避対象を所定領域外へ忌避させるためのシステムであって、忌避対象に対して流体を噴射するための噴射機構10を備え、噴射機構10は、流体を搬送する配管と、配管の導電性配管である吹出管20に設けられる噴射口と、吹出管20の近傍に設けられる検出センサ70を間隔を隔てて挟むようにして吹出管20に対して取り付けられる一対の接地配線100であり、当該一対の接地配線100を介して吹出管20を接地するための一対の接地配線100と、を備え、一対の接地配線100のいずれか一方と検出センサ70との相互間の距離である第1距離D1と、一対の接地配線100のいずれか他方と検出センサ70との相互間の距離である第2距離D2とを、略同一とした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内にいる忌避対象を前記所定領域外へ忌避させるための忌避システムであって、
前記忌避対象に対して流体を噴射するための噴射手段を少なくとも1つ以上備え、
前記噴射手段は、
前記流体を搬送する配管と、
前記配管に設けられる少なくとも1つ以上の噴射口であり、前記流体を噴射する噴射口と、
前記配管の少なくとも一部を構成する導電性配管であって、導電性を有する導電性配管の近傍に設けられる電気機器を間隔を隔てて挟むようにして前記導電性配管に対して取り付けられる一対の接地配線であり、当該一対の接地配線を介して前記導電性配管を接地するための一対の接地配線と、を備え、
前記一対の接地配線のいずれか一方と前記電気機器との相互間の距離である第1距離と、前記一対の接地配線のいずれか他方と前記電気機器との相互間の距離である第2距離とを、略同一とした、
忌避システム。
【請求項2】
前記電気機器を、前記導電性配管の近傍において、当該導電性配管に略沿って相互に所定の間隔を隔てて複数並設し、
前記一対の接地配線を、各前記電気機器を挟むようにして前記導電性配管に対して複数取り付け、
前記複数の一対の接地配線の各々に対応する前記第1距離及び前記第2距離の各々を、前記所定の間隔の略半分の長さとした、
請求項1に記載の忌避システム。
【請求項3】
前記電気機器の少なくとも一部を略覆うように設けられる遮蔽手段であり、落雷によって前記導電性配管が通電した際に、当該通電に伴って発生するノイズから前記電気機器を遮蔽するための遮蔽手段を備える、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【請求項4】
前記一対の接地配線の少なくともいずれか一方の接地極側の部分を、配線を介して他の接地配線の接地極側の部分と電気的に接続した、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【請求項5】
前記導電性配管全体の内径又は/及び外径を、略均一とした、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【請求項6】
前記配管は、
前記導電性配管と、
導電性を有しない非導電性配管と、を備える、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【請求項7】
前記導電性配管は、前記噴射口が設けられる吹出管を含み、
前記非導電性配管は、供給手段から供給される前記流体を前記吹出管に搬送する中継管を含み、
前記電気機器は、前記吹出管の近傍に設けられる検出センサであり、前記忌避対象を検出するための検出センサを含む、
請求項6に記載の忌避システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、忌避システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物に対する鳥害を防止するための忌避システムが提案されている。このような忌避システムとしては、例えば、忌避対象に対して気体を噴射するための噴射機構を備え、この噴射機構は、気体を搬送する吹出管であって、導電性を有する吹出管と、吹出管に設けられた少なくとも1つ以上の噴射口と、配管を介して吹出管に気体を供給するための供給源と、供給源から供給された気体を加圧するコンプレッサと、配管に設けられたバルブであって、コンプレッサにて加圧された気体を吹出管に送出するか否かを切り替えるためのバルブと、吹出管の近傍に設けられる検知部であって、忌避対象を検知する検知部と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、忌避システムの耐雷性能を高めたいというニーズが高まっている。ここで、上記従来の忌避システムにおいては、上述したように、導電性を有する吹出管の近傍に検知部の如き電気機器が設けられているものの、電気機器の設置の詳細については不明であることから、例えば、吹出管に落雷した際に、電気機器が設置される位置によっては、当該落雷に伴って電気機器が故障してしまうおそれがあった。よって、忌避システムの耐雷性能を高める観点からは、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、忌避システムの耐雷性能を向上させることが可能となる、忌避システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の忌避システムは、所定領域内にいる忌避対象を前記所定領域外へ忌避させるための忌避システムであって、前記忌避対象に対して流体を噴射するための噴射手段を少なくとも1つ以上備え、前記噴射手段は、前記流体を搬送する配管と、前記配管に設けられる少なくとも1つ以上の噴射口であり、前記流体を噴射する噴射口と、前記配管の少なくとも一部を構成する導電性配管であって、導電性を有する導電性配管の近傍に設けられる電気機器を間隔を隔てて挟むようにして前記導電性配管に対して取り付けられる一対の接地配線であり、当該一対の接地配線を介して前記導電性配管を接地するための一対の接地配線と、を備え、前記一対の接地配線のいずれか一方と前記電気機器との相互間の距離である第1距離と、前記一対の接地配線のいずれか他方と前記電気機器との相互間の距離である第2距離とを、略同一とした。
【0007】
請求項2に記載の忌避システムは、請求項1に記載の忌避システムにおいて、前記電気機器を、前記導電性配管の近傍において、当該導電性配管に略沿って相互に所定の間隔を隔てて複数並設し、前記一対の接地配線を、各前記電気機器を挟むようにして前記導電性配管に対して複数取り付け、前記複数の一対の接地配線の各々に対応する前記第1距離及び前記第2距離の各々を、前記所定の間隔の略半分の長さとした。
【0008】
請求項3に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記電気機器の少なくとも一部を略覆うように設けられる遮蔽手段であり、落雷によって前記導電性配管が通電した際に、当該通電に伴って発生するノイズから前記電気機器を遮蔽するための遮蔽手段を備える。
【0009】
請求項4に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記一対の接地配線の少なくともいずれか一方の接地極側の部分を、配線を介して他の接地配線の接地極側の部分と電気的に接続した。
【0010】
請求項5に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記導電性配管全体の内径又は/及び外径を、略均一とした。
【0011】
請求項6に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記配管は、前記導電性配管と、導電性を有しない非導電性配管と、を備える。
【0012】
請求項7に記載の忌避システムは、請求項6に記載の忌避システムにおいて、前記導電性配管は、前記噴射口が設けられる吹出管を含み、前記非導電性配管は、供給手段から供給される前記流体を前記吹出管に搬送する中継管を含み、前記電気機器は、前記吹出管の近傍に設けられる検出センサであり、前記忌避対象を検出するための検出センサを含む。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の忌避システムによれば、噴射手段は、流体を搬送する配管と、配管に設けられる少なくとも1つ以上の噴射口と、配管の少なくとも一部を構成する導電性配管の近傍に設けられる電気機器を間隔を隔てて挟むようにして導電性配管に対して取り付けられる一対の接地配線であり、当該一対の接地配線を介して導電性配管を接地するための一対の接地配線と、を備え、第1距離と第2距離とを、略同一としたので、第1距離と第2距離とが同一でない場合に比べて、落雷によって導電性配管が通電しても、当該通電による大電流が電気機器に向けて流れることを抑制できる。よって、上記落雷に伴って電気機器が故障するリスクを低減でき、忌避システムの耐雷性能を高めることができる。
【0014】
請求項2に記載の忌避システムによれば、複数の一対の接地配線の各々に対応する第1距離及び第2距離の各々を、所定の間隔の略半分の長さとしたので、第1距離及び第2距離の各々を上記所定の間隔の略半分未満の長さとした場合に比べて、接地配線の設置数を低減でき、接地配線の設置作業の手間を軽減することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の忌避システムによれば、電気機器の少なくとも一部を略覆うように設けられる遮蔽手段であり、落雷によって導電性配管が通電した際に、当該通電に伴って発生するノイズから電気機器を遮蔽するための遮蔽手段を備えるので、落雷による導電性配管の通電に伴って発生するノイズから電気機器を遮蔽でき、当該ノイズによって電気機器が故障することを回避しやすくなる。
【0016】
請求項4に記載の忌避システムによれば、一対の接地配線の少なくともいずれか一方の接地極側の部分を、配線を介して他の接地配線の接地極側の部分と電気的に接続したので、一対の接地配線に流れる電流を他の接地配線に分離して流すことができ、一対の接地配線と接続される接地極と他の接地配線と接続される接地極との等電位化を図ることができる。よって、一対の接地配線の少なくともいずれか一方の接地極側の部分が、配線を介して他の接地配線の接地極側の部分と電気的に接続しない場合に比べて、接地極間で電位差が発生することを抑制できるため、例えば、導電性配管に落雷することによって忌避システムが設けられている建物内の電気機器が破損することを回避しやすくなる。
【0017】
請求項5に記載の忌避システムによれば、導電性配管全体の内径又は/及び外径を、略均一としたので、落雷によって導電性配管が通電しても、当該通電による大電流が電気機器に向けて流れることを抑制でしやすくなるため、落雷に伴う電気機器が故障するリスクを一層低減できる。
【0018】
請求項6に記載の忌避システムによれば、配管は、導電性配管と、非導電性配管とを備えるので、配管が導電性配管のみを備える場合に比べて、接地配線の設置数を低減でき、接地配線の設置作業の手間を低減できる。
【0019】
請求項7に記載の忌避システムによれば、導電性配管は、噴射口が設けられる吹出管を含み、非導電性配管は、供給手段から供給される流体を吹出管に搬送する中継管を含み、電気機器は、吹出管の近傍に設けられる検出センサであり、忌避対象を検出するための検出センサを含むので、落雷によって吹出管が通電しても、当該通電による大電流が検出センサに向けて流れることを抑制できる。また、中継管に接地配線を設置する手間を省略でき、接地配線の設置作業の手間を効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係る忌避システムが設けられた建物を示す斜視図である(一部図示省略)。
【
図4】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
【
図5】接地配線の設置状況を示す図であり、(a)は第1距離と第2距離とが同一でない設置状況を示す図、(b)は第1距離と第2距離とが同一である設置状況を示す図である。
【
図6】検出センサ及び遮蔽部の設置状況を示す図である(一部図示省略)。
【
図7】接地配線及び接地極の設置状況を示す図である(一部図示を省略し、且つ一部破断して示す)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る忌避システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、所定領域内にいる忌避対象を所定領域外へ忌避させるための忌避システムに関する。
【0023】
ここで、「所定領域」とは、忌避対象による被害が受ける可能性がある領域を意味する。この所定領域は、例えば、建物の屋上外周部(一例として、屋上に設置されたパラペット部、手擦部、パラペット部上に取り付けられる避雷導体等)、建物の屋上中央部、建物の搬入口近傍に設けられた庇の外周部又は下部、太陽光パネルやアンテナの上端部、田畑の外周部等を含む概念であるが、実施の形態では、建物の屋上外周部として説明する。
【0024】
また、「建物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、工場施設、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念であるが、実施の形態では、工場施設として説明する。
【0025】
また、「忌避対象」とは、所定領域から忌避させる対象であり、例えば、鳥獣、害虫等を含む概念であるが、実施の形態では、ドバトやカラス等の害鳥として説明する。
【0026】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態に係る忌避システム1が設置される設置場所の構成について説明する。
【0028】
以下の説明では、
図1のX方向を建物の左右方向(-X方向を建物の左方向、+X方向を建物の右方向)、
図1のY方向を建物の前後方向(+Y方向を建物の前方向、-Y方向を建物の後方向)、
図1のZ方向を建物の上下方向(+Z方向を建物の上方向、-Z方向を建物の下方向)と称する。
【0029】
忌避システム1は、建物2の屋上部に設置されている。具体的には、
図1に示すように、後述の忌避システム1の吹出管20が建物2の屋上外周部3に設けられている。なお、上述した「屋上外周部3」は、特許請求の範囲における「所定領域」に対応する。
【0030】
ここで、後述の吹出管20を屋上外周部3に設けた理由は、以下に示す通りとなる。
【0031】
すなわち、
図3の忌避対象OAである害鳥は、建物2のうち見晴らしがよい高い場所に止まって建物2やその周囲の安全を確認してから、徐々に建物2に降りて営巣行為等を行うという習性を有している。このことを踏まえると、忌避対象OAが最初に飛来しやすい上記見晴らしがよい高い場所、すなわち、屋上外周部3に後述の吹出管20を設けることで、屋上外周部3内にいる忌避対象OAを効果的に忌避させることができ、建物2に対する鳥害を防止できると考えられるからである。
【0032】
また、建物2の具体的な構成については、実施の形態では、
図1、
図2に示すように、建物2の屋上は略矩形状に形成されており、屋上外周部3にはパラペット部4が複数設けられている。このパラペット部4は、縦断面形状が多角形状(一例として、略矩形状、略六角形状等)となるように形成されたコンクリート製(又は金属製)の長尺体であり、屋上外周部3の略全体にわたって設けられている。
【0033】
(構成-忌避システム)
次に、実施の形態に係る忌避システム1の構成について説明する。
【0034】
忌避システム1は、所定領域内(具体的には、屋上外周部3)にいる忌避対象OAを所定領域外へ忌避させるためのシステムであり、
図1に示すように、噴射機構10を少なくとも1つ以上備えている(
図1では、1つの噴射機構10を備えている)。
【0035】
(構成-忌避システム-噴射機構)
噴射機構10は、忌避対象OAに対して
図3の流体Fを噴射するための噴射手段であり、
図1から
図3に示すように、吹出管20、供給部30、コンプレッサ40、中継管50、切替弁60、検出センサ70、及び制御ユニット80を備えている。
【0036】
ここで、「流体F」の具体的な種類については任意であるが、例えば、気体(一例として、空気、害鳥が嫌う香りを含むガス)、液体(一例として、水、公知の忌避剤を含む水等)等を含む概念であるが、実施の形態では、空気として説明する。
【0037】
また、上述した「吹出管20」及び「中継管50」は、特許請求の範囲における「配管」に対応する。また、上述した「供給部30」、「切替弁60」、及び「検出センサ70」の各々は、特許請求の範囲における「電気機器」に対応する。
【0038】
(構成-忌避システム-噴射機構-吹出管)
図1に戻り、吹出管20は、流体Fを搬送する配管であって、流体Fを噴射する噴射口21を有する管である。この吹出管20は、例えば、導電性を有する公知の長尺な導電性配管を用いて構成されており、具体的には、
図1から
図3、
図5に示すように、複数の金属製(例えば鋼製)の管路部材22と、隣接する管路部材22同士を接続するための接続端子23(例えば、伸縮端子の如き公知の接続端子)とを備えている。
【0039】
また、この吹出管20は、屋上外周部3に設けられており、具体的には、
図2に示すように、屋上外周部3全体にわたって設けられており、詳細には、平面視において、略矩形環状に配置されている。
【0040】
なお、以下では、説明の都合上、吹出管20を4つの領域に区分して説明する。すなわち、
図2に示すように、吹出管20は、屋上外周部3の左側部分に位置する左側吹出管路部24と、屋上外周部3の右側部分に位置する右側吹出管路部25と、屋上外周部3の前側部分に位置する前側吹出管路部26と、屋上外周部3の後側部分に位置する後側吹出管路部27と、を備えている。
【0041】
また、吹出管20の具体的な形状及び大きさについて任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0042】
すなわち、吹出管20の管路部材22の縦断面形状については、
図3に示すように、略円環状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略円環状以外の形状(一例として、略矩形環状、略楕円環状等)に設定してもよい。
【0043】
また、吹出管20の管路部材22の内径及び管長については、噴射口21から噴射される流体Fの速度が噴射口21から所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる長さに設定している。例えば、吹出管20の管路部材22の内径が10φ~20φ程度に設定すると共に、吹出管20の管路部材22の管長が5m~10m程度に設定してもよい。
【0044】
また、吹出管20の管路部材22の厚さについては、吹出管20を避雷導体として機能させるために、吹出管20の断面積が70mm2以上となるように設定しており、例えば、2mm以上に設定してもよい。ただし、これに限らず、例えば、吹出管20が避雷導体として機能させない場合には、2mm未満に設定してもよい。
【0045】
また、吹出管20の設置方法については任意であるが、実施の形態では、吹出管20をパラペット部4の上端部に這わせるように配置し、パラペット部4に対して固定具等によって固定している。
【0046】
(構成-忌避システム-噴射機構-吹出管-噴射口)
噴射口21は、各吹出管20の壁部において複数設けられており、具体的には、相互に間隔を隔てて吹出管20の長手方向(軸方向)に略沿って複数並設されている。
【0047】
また、噴射口21の具体的な形状及び大きさについて任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0048】
すなわち、噴射口21の形状は、略真円状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略多角形状(一例として、略矩形状等)、略楕円形状に設定している。
【0049】
また、噴射口21の外径については、噴射口21から噴射される流体Fの速度が噴射口21から所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる大きさに設定している。例えば、1.0φ~2.0φ程度に設定してもよい。
【0050】
また、噴射口21の設置方法については任意であるが、実施の形態では、忌避対象OAを屋上外周部3外へ効果的に忌避できるように、流体Fが建物2の屋内側から屋外側へ向けて噴射可能な位置に、噴射口21を設置している。より具体的には、
図3に示すように、流体Fの噴射角度がパラペット部4の上端部に対して45度程度(又は、45度よりも高い角度又は低い角度)となる位置に、噴射口21を設置している。
【0051】
(構成-忌避システム-噴射機構-供給部)
図1に戻り、供給部30は、所定方法で加圧された流体F(実施の形態では、コンプレッサ40で加圧された流体F)を吹出管20に供給する供給手段である。この供給部30は、例えば公知のエアタンク等を用いて構成されており、
図1、
図2に示すように、建物2の屋上部において、吹出管20よりも内側部分に設けられている。
【0052】
(構成-忌避システム-噴射機構-コンプレッサ)
図1に戻り、コンプレッサ40は、供給部30から供給される流体Fを加圧する加圧手段である。このコンプレッサ40は、例えば公知のコンプレッサ(一例として、エアコンプレッサ)等を用いて構成されており、
図1、
図2に示すように、建物2の屋上部において、供給部30の近傍位置に設けられ、接続配管41(具体的には、第1供給側中継管路部55の管長よりも短い金属製(又は樹脂製)の接続配管41)を介して供給部30と接続されている。
【0053】
(構成-忌避システム-噴射機構-中継管)
図1に戻り、中継管50は、流体Fを搬送する配管であって、供給部30から供給される流体Fを吹出管20に送出するための管である。この中継管50は、
図1、
図2に示すように、建物2の屋上部において、供給部30と吹出管20との相互間に設けられている。
【0054】
また、この中継管50は、図に示すように、第1中継管50a及び第2中継管50bを備えている。
【0055】
(構成-忌避システム-噴射機構-中継管-第1中継管)
第1中継管50aは、供給部30から供給される流体Fを搬送する管である。この第1中継管50aは、例えば導電性を有しない公知の非導電性配管(一例として、長尺な樹脂製(例えば、ゴム製)の管路部材を複数組み合わせることにより形成されたもの)を用いて構成されている。具体的には、
図2に示すように、第1中継管50aは、第1左側中継管路部51、第1右側中継管路部52、第1前側中継管路部53、第1後側中継管路部54、及び第1供給側中継管路部55を備えている。
【0056】
このうち、第1左側中継管路部51は、左側吹出管路部24の近傍に位置する管路部材であり、左側吹出管路部24よりも建物2の内側において、左側吹出管路部24の長手方向に略沿うように設けられている。また、第1右側中継管路部52は、右側吹出管路部25の近傍に位置する管路部材であり、右側吹出管路部25よりも建物2の内側において、右側吹出管路部25の長手方向に略沿うように設けられている。また、第1前側中継管路部53は、前側吹出管路部26の近傍に位置する管路部材であり、前側吹出管路部26よりも建物2の内側において、前側吹出管路部26の長手方向に略沿うように設けられている。また、第1後側中継管路部54は、後側吹出管路部27の近傍に位置する管路部材であり、後側吹出管路部27よりも建物2の内側において、後側吹出管路部27の長手方向に略沿うように設けられている。また、第1供給側中継管路部55は、供給部30の近傍に位置する管路部材であり、供給部30と第1右側中継管路部52との相互間に設けられている。
【0057】
(構成-忌避システム-噴射機構-中継管-第2中継管)
第2中継管50bは、第1中継管50aにて搬送される流体Fを吹出管20に搬送する管である。この第2中継管50bは、例えば導電性を有しない公知の非導電性配管(一例として、長尺な樹脂製(例えば、ゴム製)の管路部材を複数組み合わせることにより形成されたもの)を用いて構成されている。具体的には、
図2に示すように、第2中継管50bは、第2左側中継管路部56、第2右側中継管路部57、第2前側中継管路部58、及び第2後側中継管路部59を備えている。
【0058】
このうち、第2左側中継管路部56は、左側吹出管路部24と第1左側中継管路部51とを接続する管路部材であり、左側吹出管路部24と第1左側中継管路部51との相互間に設けられている。また、第2右側中継管路部57は、右側吹出管路部25と第1右側中継管路部52とを接続する管路部材であり、右側吹出管路部25と第1右側中継管路部52との相互間に設けられている。また、第2前側中継管路部58は、前側吹出管路部26と第1前側中継管路部53とを接続する管路部材であり、前側吹出管路部26と第1前側中継管路部53との相互間に設けられている。また、第2後側中継管路部59は、後側吹出管路部27と第1後側中継管路部54とを接続する管路部材であり、後側吹出管路部27と第1後側中継管路部54との相互間に設けられている。
【0059】
(構成-忌避システム-噴射機構-中継管-その他)
また、中継管50の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0060】
すなわち、中継管50の各中継管路部の縦断面形状は、略円環状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略円環状以外の形状(一例として、略矩形環状、略楕円環状等)に設定してもよい。
【0061】
また、中継管50の各中継管路部の内径については、噴射口21から噴射される流体Fの速度が噴射口21から所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる長さに設定しており、例えば、10φ~20φ程度に設定してもよい。
【0062】
また、中継管50の各中継管路部の管長については、噴射口21から噴射される流体Fの速度が噴射口21から所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる長さに設定している。
【0063】
具体的には、
図2に示すように、第1左側中継管路部51、第1右側中継管路部52、第1前側中継管路部53、及び第1後側中継管路部54の各々の管長については、吹出管20の管長よりも短い長さに設定している。また、第1供給側中継管路部55の管長については、第1左側中継管路部51の管長よりも短く設定している。また、第2左側中継管路部56、第2右側中継管路部57、第2前側中継管路部58、及び第2後側中継管路部59の各々の管長については、第1供給側中継管路部55の管長よりも短く設定している。
【0064】
また、中継管50の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、各種の管路部のうち、隣接する管路部同士が連通するように構成されている。
【0065】
具体的には、第1左側中継管路部51は、第1前側中継管路部53及び第1後側中継管路部54と連通されている。また、第1右側中継管路部52は、第1前側中継管路部53及び第1後側中継管路部54と連通されている。また、第1供給側中継管路部55は、第1右側中継管路部52と連通されている。
【0066】
また、第2左側中継管路部56は、第1左側中継管路部51及び左側吹出管路部24と連通されている。また、第2右側中継管路部57は、第1右側中継管路部52及び右側吹出管路部25と連通されている。また、第2前側中継管路部58は、第1前側中継管路部53及び前側吹出管路部26と連通されている。また、第2後側中継管路部59は、第1後側中継管路部54及び後側吹出管路部27と連通されている。
【0067】
このような中継管50により、配管が導電性配管のみを備える場合に比べて、後述の接地配線100の設置数を低減でき、後述の接地配線100の設置作業の手間を低減できる。また、第1中継管50a及び第2中継管50bに後述の接地配線100を設置する手間を省略でき、後述の接地配線100の設置作業の手間を効果的に低減できる。
【0068】
(構成-忌避システム-噴射機構-切替弁)
切替弁60は、中継管50内の流体Fを吹出管20に送出するか否かを切り替えるための弁である。この切替弁60は、例えば公知の電動弁又は電磁弁等を用いて構成されており、中継管50に複数設けられている。
【0069】
また、切替弁60の設置方法については任意であるが、実施の形態では、複数の切替弁60を中継管50における吹出管20側の端部又はその近傍部分にそれぞれ配置している。
【0070】
具体的には、
図2に示すように、第2左側中継管路部56、第2右側中継管路部57、第2前側中継管路部58、及び第2後側中継管路部59の各々における吹出管20側の端部の近傍部分にそれぞれ配置している。
【0071】
ただし、これに限らず、例えば、第2左側中継管路部56、第2右側中継管路部57、第2前側中継管路部58、及び第2後側中継管路部59の各々における吹出管20側の端部にそれぞれ配置してもよい。
【0072】
また、切替弁60の具体的な動作については、実施の形態では以下に示す通りとなる。
【0073】
すなわち、切替弁60の開閉状態が開放状態である場合には、供給部30から供給された中継管50内の流体Fが吹出管20に送出されることで、噴射口21から当該流体Fが噴射される。一方、切替弁60の開閉状態が閉鎖状態である場合には、供給部30から供給された中継管50内の流体Fが吹出管20に送出されず、噴射口21から当該流体Fが噴射されない。
【0074】
(構成-忌避システム-噴射機構-検出センサ)
検出センサ70は、所定領域内にいる忌避対象OAを検出するためのものであり、
図2に示すように、建物2の屋上部において、各吹出管20の近傍に設けられている(つまり、複数の検出センサ70が設けられている)。この検出センサ70は、例えば公知の検出センサ(一例として、集電型赤外線センサ(ただし、反射型又は通過型の赤外線センサであってもよい))を用いて構成されており、具体的には、検出センサ本体、アンプ部、及び信号処理部を備えている(いずれも図示省略)。
【0075】
このうち、検出センサ本体は、当該検出センサ本体の近傍領域における赤外線の熱エネルギーを吸収して温度変化を生じ、この温度変化に比例して誘起した信号をアンプ部に出力するものである。また、アンプ部は、検出センサ本体から出力された信号を増幅して信号処理部に出力するものである。また、信号処理部は、アンプ部から出力された検出信号に基づいて、忌避対象OAが所定領域に存在するか否かを判定し、この判定結果を示す信号を制御ユニット80に出力する。
【0076】
また、検出センサ70の設置方法については任意であるが、実施の形態では、各吹出管20の近傍において、当該吹出管20に略沿って相互に所定の間隔Dを隔てて設置している。
【0077】
具体的には、
図2、
図5に示すように、右側吹出管路部25においては、右側吹出管路部25の長手方向(
図5では、前後方向)に沿って相互に所定の間隔Dを隔てて設置している。より詳細には、右側吹出管路部25の前端部の近傍位置と、右側吹出管路部25の後端部の近傍位置と、右側吹出管路部25の中央部の近傍位置とに設けられている(なお、他の吹出管路部の近傍に設けられる検出センサ70についても略同様とする)。
【0078】
また、上記所定の間隔Dの設定方法については任意であるが、例えば、各検出センサ70の検出範囲DR(
図2では、検出範囲DR及び検出方向を点線の矢印で示す)を超えない長さに設定することが望ましく、2mから32m程度の範囲に設定してもよい。
【0079】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット)
図1に戻り、制御ユニット80は、噴射機構10の各部を相互に連動させる装置である。この制御ユニット80は、
図1、
図2に示すように、建物2の屋上部に設けられており、供給部30、コンプレッサ40、複数の切替弁60、及び複数の検出センサ70と配線80aを介して電気的に接続されている。
【0080】
また、
図4に示すように、この制御ユニット80は、操作部81、通信部82、電源部83、制御部84、及び記憶部85を備えている。
【0081】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-操作部)
操作部81は、制御ユニット80に対する操作入力を受け付ける操作手段であり、各種のスイッチやタッチパッド等の公知の操作手段を用いて構成されている。
【0082】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-通信部)
通信部82は、供給部30、コンプレッサ40、複数の切替弁60、及び複数の検出センサ70の各々と制御ユニット80との相互間で通信を行うための通信手段であり、例えば公知の通信手段(一例として、有線通信網を用いて通信を行う通信手段)を用いて構成されている。
【0083】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-電源部)
電源部83は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、制御ユニット80の各部に供給すると共に、供給部30、コンプレッサ40、複数の切替弁60、又は/及び複数の検出センサ70等にも供給する電源手段である。
【0084】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-制御部)
制御部84は、制御ユニット80の各部を制御する制御手段である。具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0085】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-記憶部)
記憶部85は、制御ユニット80の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な公知の記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0086】
(構成-噴射機構の構成の詳細)
次に、噴射機構10の構成の詳細について説明する。
【0087】
噴射機構10の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では以下に示す特徴を有する。なお、噴射機構10は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0088】
(構成-噴射機構の構成の詳細-第1の特徴)
最初に、噴射機構10の第1の特徴については、
図2、
図5に示すように、噴射機構10は、一対の接地配線100をさらに備えている。
【0089】
(構成-噴射機構の構成の詳細-第1の特徴-接地配線)
一対の接地配線100は、当該一対の接地配線100を介して導電性配管(具体的には、吹出管20)を接地するためのものである。この一対の接地配線100は、例えば公知の接地用配線等を用いてそれぞれ構成されており、吹出管20に対して複数取り付けられている。
【0090】
具体的には、
図5に示すように、各一対の接地配線100の上側部分は、対応する検出センサ70を間隔を隔てて挟むようにして吹出管20に対してそれぞれ取り付けられている(すなわち、一対の接地配線100が、各電気機器を挟むようにして吹出管20に対して複数取り付けられている)。
【0091】
また、
図7に示すように、各一対の接地配線100の下側部分(具体的には、接地極101側の部分)は、大地に複数設けられた接地極101のいずれかに対してそれぞれ取り付けられている。より詳細には、各一対の接地配線100のいずれか一方といずれか他方とは、異なる接地極101に対してそれぞれ取り付けれられている(ただし、これに限らず、例えば、同じ接地極101に対してそれぞれ取り付けられてもよい)。
【0092】
ここで、複数の一対の接地配線100の各々と対応する検出センサ70との間隔の設定方法については任意であるが、実施の形態では、
図5(b)に示すように、複数の一対の接地配線100の各々のいずれか一方と検出センサ70との相互間の距離D1(以下、「第1距離D1」と称する)と、複数の一対の接地配線100の各々のいずれか他方と検出センサ70との相互間の距離D2(以下、「第2距離D2」と称する)とを、略同一にそれぞれ設定している。
【0093】
具体的には、複数の一対の接地配線100の各々に対応する第1距離D1及び第2距離D2の各々を、上記所定の間隔Dの略半分の長さに設定している。
【0094】
ここで、第1距離D1と第2距離D2とを略同一に設定する理由については、以下に示す通りとなる。
【0095】
すなわち、電流は、抵抗の低い方に誘導されるという特性を有する。そのため、吹出管20に落雷して吹出管20が通電した際には、当該通電による大電流は、吹出管20の落雷地点から最寄りの接地配線100に向けて誘導されることになる。
【0096】
このことからすると、例えば、
図5(a)に示すように、第1距離D1と第2距離D2とが同一でない場合(
図5(a)では、第2距離D2が第1距離D1よりも長い場合)には、吹出管20の落雷地点が、吹出管20の第2距離D2側の部分であっても、最寄りの接地配線100が第1距離D1側の接地配線100である場合には、上記大電流HCが検出センサ70に向けて流れることから、上記大電流HCによって検出センサ70が故障するおそれがある。
【0097】
一方で、
図5(b)に示すように、第1距離D1と第2距離D2とが同一である場合に、吹出管20の第1距離D1側の部分又は第2距離D2側の部分のいずれに落雷LSしても、上記大電流HCが検出センサ70に向けて流れることを回避できる。
【0098】
したがって、検出センサ70が故障するリスクを低減する観点から、実施の形態では、第1距離D1と第2距離D2とを略同一に設定している。
【0099】
また、第1距離D1及び第2距離D2の各々を、上記所定の間隔Dの略半分の長さに設定している理由については、以下に示す通りとなる。
【0100】
すなわち、第1距離D1及び第2距離D2の各々を検出センサ70同士の所定の間隔Dの略半分未満の長さとした場合には、検出センサ70毎に一対の接地配線100を設ける必要がある。
【0101】
一方で、第1距離D1及び第2距離D2の各々を検出センサ70同士の所定の間隔Dの略半分の長さとした場合には、特定の検出センサ70に対応する一対の接地配線100の少なくともいずれか一方は、当該特定の検出センサ70に隣接して設けられる別の検出センサ70に対応する一対の接地配線100のいずれか一方としても兼用させることが可能となる。
【0102】
したがって、接地配線100の設置数の低減を図る観点から、第1距離D1及び第2距離D2の各々を検出センサ70同士の所定の間隔Dの略半分の長さに設定している。
【0103】
また、上述のような第1距離D1及び第2距離D2を設定する場合において、吹出管20の内径及び外径の設定方法については任意であるが、実施の形態では、上記大電流が検出センサ70に向けて流れることを一層回避するために、吹出管20全体(つまり、導電性配管全体)の内径及び外径の各々を、略均一に設定している。
【0104】
ただし、これに限らず、例えば、吹出管20全体の内径又は外径のいずれか一方のみを同一に設定してもよい。あるいは、吹出管20全体の内径及び外径の各々を非同一に設定してもよい。
【0105】
このような第1の特徴により、第1距離D1と第2距離D2とが同一でない場合に比べて、落雷によって吹出管20が通電しても、当該通電による大電流が検出センサ70に向けて流れることを抑制できる。よって、上記落雷に伴って検出センサ70が故障するリスクを低減でき、忌避システム1の耐雷性能を高めることができる。また、第1距離D1及び第2距離D2の各々を検出センサ70同士の所定の間隔Dの略半分未満の長さとした場合に比べて、接地配線100の設置数を低減でき、接地配線100の設置作業の手間を軽減することが可能となる。
【0106】
(構成-噴射機構の構成の詳細-第2の特徴)
次に、噴射機構10の第2の特徴については、
図2、
図6に示すように、噴射機構10は、遮蔽部110をさらに備えている。
【0107】
(構成-噴射機構の構成の詳細-第2の特徴-遮蔽部)
遮蔽部110は、落雷によって導電性配管(具体的には、吹出管20)が通電した際に、当該通電に伴って発生するノイズから電気機器(具体的には、検出センサ70)を遮蔽するための遮蔽手段である。この遮蔽部110は、略箱状体で形成されており、各検出センサ70の少なくとも一部を略覆うように複数設けられている。
【0108】
具体的には、
図6に示すように、各遮蔽部110には、検出センサ70のうち、検出光が照射される照射部71(あるいは、照射部71と、検出光を受光する受光部(図示省略)とを有する検出センサ70である場合には、照射部71及び受光部)に対応する部分に開口111が設けられている。これにより、遮蔽部110は、検出センサ70の照射部71(あるいは、照射部71及び受光部)以外の他の部分全体を覆うように設けられる。
【0109】
また、遮蔽部110の具体的な大きさについては任意であるが、遮蔽部110のコンパクト化を図る観点から、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0110】
すなわち、遮蔽部110の左右方向の長さについては、検出センサ70の左右方向の長さと略同一に設定している。ただし、これに限らず、例えば、検出センサ70の左右方向の長さよりも長く設定してもよい。
【0111】
また、遮蔽部110の前後方向の長さについては、検出センサ70の前後方向の長さと略同一に設定している。ただし、これに限らず、例えば、検出センサ70の前後方向の長さよりも長く設定してもよい。
【0112】
また、遮蔽部110の上下方向の長さについては、検出センサ70の上下方向の長さと略同一に設定している。ただし、これに限らず、例えば、検出センサ70の上下方向の長さよりも長く設定してもよい。
【0113】
また、遮蔽部110の材質については任意であるが、上記ノイズから検出センサ70を遮蔽可能な金属材料で形成されており、具体的には、比較的遮蔽性の高い鋼材で形成されている。ただし、これに限らず、例えば鋼材以外の金属材料(一例として、銅材、アルミニウム材)で形成されてもよく、あるいは、電磁波を遮蔽可能な樹脂材料で形成されてもよい。
【0114】
このような第2の特徴により、落雷による吹出管20の通電に伴って発生するノイズから検出センサ70を遮蔽でき、当該ノイズによって検出センサ70が故障することを回避しやすくなる。
【0115】
(構成-噴射機構の構成の詳細-第3の特徴)
次に、噴射機構10の第3の特徴については、各一対の接地配線100の少なくともいずれか一方の接地極101側の部分が、配線123を介して他の接地配線100の接地極101側の部分と電気的にそれぞれ接続されている。
【0116】
具体的には、
図7に示すように、各一対の接地配線100の各々の接地極101側の部分が、建物2内(又は建物2外)に設置されている電気機器121(以下、「第1電気機器121」と称する。例えば、冷蔵庫、テレビ等。)に接続されている接地配線122(以下、「第1接地配線122」と称する)の接地極101側の部分と配線123を介して電気的にそれぞれ接続されている。また、第1接地配線122の接地極101側の部分は、建物2内(又は建物2外)に設置されている他の電気機器124(以下、「第2電気機器124」と称する)に接続されている接地配線125(以下、「第2接地配線125」と称する)の接地極101側の部分と配線123を介して電気的にそれぞれ接続されている。
【0117】
ただし、これに限らず、例えば、各一対の接地配線100の少なくともいずれか一方の接地極101側の部分が、当該一対の接地配線100の少なくともいずれか他方の接地極101側の部分、又は、当該一対の接地配線100とは異なる一対の接地配線100の接地極101側の部分と配線123を介して電気的にそれぞれ接続されてもよい。あるいは、第1接地配線122が、第2接地配線125と配線123を介して電気的に接続されていなくてもよい。
【0118】
このような第3の特徴により、
図7に示すように、各一対の接地配線100に流れる電流を他の接地配線(具体的には、第1接地配線122、第2接地配線125)に分離して流すことができ、一対の接地配線100と接続される接地極101と他の接地配線と接続される接地極101との等電位化を図ることができる。よって、各一対の接地配線100の少なくともいずれか一方の接地極101側の部分が、配線123を介して他の接地配線の接地極101側の部分と電気的に接続しない場合に比べて、接地極101間で電位差が発生することを抑制できるため、例えば、吹出管20に落雷することによって忌避システム1が設けられている建物2内の電気機器(第1電気機器121、第2電気機器124)が破損することを回避しやすくなる。
【0119】
(構成-忌避システムの作用について)
続いて、忌避システム1の作用について説明する。
【0120】
ここで、忌避システム1の作用の前提については、実施の形態では、各切替弁60の開閉状態が閉鎖状態であるとして説明する。
【0121】
例えば、まず、忌避システム1が起動した後に、複数の検出センサ70の少なくともいずれか1つから検出信号が入力されると(すなわち、噴射タイミングが到来すると)、制御装置の制御部84によって、供給部30から流体Fを供給させる。次に、制御装置の制御部84によって、供給部30から供給させた流体Fを加圧するようにコンプレッサ40を制御する。そして、制御装置の制御部84によって、忌避対象OAが検出された検出センサ70の近傍に位置する切替弁60を閉鎖状態から開放状態に切り替えるように制御することにより、上記加圧された流体Fが吹出管20に送出されて、吹出管20にて搬送された流体Fが複数の噴射口21から噴射される。
【0122】
これにより、
図3に示すように、忌避対象OAに上記噴射口21から噴射された流体Fを当てることで、当該忌避対象OAに刺激を加えることができ、当該忌避対象OAを屋上外周部3外へ忌避させることが可能となる。
【0123】
なお、複数の検出センサ70から検出信号が入力されなくなると、制御装置の制御部84によって、上記切替弁60を開放状態から閉鎖状態に切り替えるように制御することにより、流体Fが複数の噴射口21から噴射されることを停止させる。
【0124】
また、忌避システム1の起動中において吹出管20に落雷した場合には、複数の一対の接地配線100の各々に対応する第1距離D1と第2距離D2とが略同一であるので、
図5(b)に示すように、当該落雷によって吹出管20が通電して大電流が吹出管20の落雷地点に近い接地配線100を介して接地極101に流れるものの、当該接地配線100の近傍に位置する検出センサ70に向けて当該大電流が流れることを回避できる。よって、上記大電流によって検出センサ70が故障することを回避できる。
【0125】
また、上記落雷によって吹出管20が通電した際に、当該通電に伴って比較的大きいノイズが発生した場合には、各検出センサ70を覆う遮蔽部110によって当該ノイズを遮蔽でき、当該ノイズによって各検出センサ70が故障することを回避しやすくなる。
【0126】
さらに、
図7に示すように、上記吹出管20の落雷地点に近い接地配線100の接地極101側の部分が、配線123を介して他の接地配線の接地極101側の部分と電気的に接続されているので、上記大電流が他の接地配線に分離して流れることにより、接地極101間で電位差が発生することを抑制できることから、上記落雷によって建物2内の電気機器が破損することを回避しやすくなる。
【0127】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、噴射機構10は、流体Fを搬送する配管と、配管に設けられる少なくとも1つ以上の噴射口21と、配管の少なくとも一部を構成する導電性配管の近傍に設けられる電気機器を間隔を隔てて挟むようにして導電性配管に対して取り付けられる一対の接地配線100であり、当該一対の接地配線100を介して導電性配管を接地するための一対の接地配線100と、を備え、第1距離D1と第2距離D2とを、略同一としたので、第1距離D1と第2距離D2とが同一でない場合に比べて、落雷によって導電性配管が通電しても、当該通電による大電流が電気機器に向けて流れることを抑制できる。よって、上記落雷に伴って電気機器が故障するリスクを低減でき、忌避システム1の耐雷性能を高めることができる。
【0128】
また、複数の一対の接地配線100の各々に対応する第1距離D1及び第2距離D2の各々を、所定の間隔Dの略半分の長さとしたので、第1距離D1及び第2距離D2の各々を上記所定の間隔Dの略半分未満の長さとした場合に比べて、接地配線100の設置数を低減でき、接地配線100の設置作業の手間を軽減することが可能となる。
【0129】
また、電気機器の少なくとも一部を略覆うように設けられる遮蔽部110であり、落雷によって導電性配管が通電した際に、当該通電に伴って発生するノイズから電気機器を遮蔽するための遮蔽部110を備えるので、落雷による導電性配管の通電に伴って発生するノイズから電気機器を遮蔽でき、当該ノイズによって電気機器が故障することを回避しやすくなる。
【0130】
また、一対の接地配線100の少なくともいずれか一方の接地極101側の部分を、配線123を介して他の接地配線の接地極101側の部分と電気的に接続したので、一対の接地配線100に流れる電流を他の接地配線に分離して流すことができ、一対の接地配線100と接続される接地極101と他の接地配線と接続される接地極101との等電位化を図ることができる。よって、一対の接地配線100の少なくともいずれか一方の接地極101側の部分が、配線123を介して他の接地配線の接地極101側の部分と電気的に接続しない場合に比べて、接地極101間で電位差が発生することを抑制できるため、例えば、導電性配管に落雷することによって忌避システム1が設けられている建物2内の電気機器が破損することを回避しやすくなる。
【0131】
また、導電性配管全体の内径又は/及び外径を、略均一としたので、落雷によって導電性配管が通電しても、当該通電による大電流が電気機器に向けて流れることを抑制でしやすくなるため、落雷に伴う電気機器が故障するリスクを一層低減できる。
【0132】
また、配管は、導電性配管と、非導電性配管とを備えるので、配管が導電性配管のみを備える場合に比べて、接地配線100の設置数を低減でき、接地配線100の設置作業の手間を低減できる。
【0133】
また、導電性配管は、噴射口21が設けられる吹出管20を含み、非導電性配管は、供給手段から供給される流体Fを吹出管20に搬送する中継管50を含み、電気機器は、吹出管20の近傍に設けられる検出センサ70であり、忌避対象OAを検出するための検出センサ70を含むので、落雷によって吹出管20が通電しても、当該通電による大電流が検出センサ70に向けて流れることを抑制できる。また、中継管50に接地配線を設置する手間を省略でき、接地配線100の設置作業の手間を効果的に低減できる。
【0134】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0135】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0136】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、制御ユニット80を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部84を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に記憶部85を設けてもよい。
【0137】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0138】
(忌避システムについて)
上記実施の形態では、忌避システム1が1つの噴射機構10のみを備えていると説明したが、これに限らず、例えば、複数の噴射機構10を備えてもよい。
【0139】
(噴射機構について)
上記実施の形態では、噴射機構10が、1つの吹出管20及び複数の切替弁60を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、複数の吹出管20と、中継管50内の流体Fを複数の吹出管20の各々に送出するか否かを切り替えるための少なくとも1つ以上の切替弁60とを備えてもよい。
【0140】
また、上記実施の形態では、供給部30、コンプレッサ40、中継管50、及び制御ユニット80が建物2の屋上部に設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、供給部30、コンプレッサ40、中継管50の一部(例えば、第1供給側中継管路部55)、又は/及び制御ユニット80が建物2の屋上部以外の位置(例えば、建物2の壁部、建物2の内部等)に設けられてもよい。
【0141】
また、上記実施の形態では、噴射機構10が、コンプレッサ40を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、供給部30が流体Fを加圧する機能を有する場合には、コンプレッサ40を省略してもよい。
【0142】
(噴射口について)
上記実施の形態では、吹出管20に複数の噴射口21が設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、吹出管20に噴射口21が1つのみ設けられてもよい。
【0143】
(配管について)
上記実施の形態では、配管が、導電性配管及び非導電性配管を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、配管が、導電性配管のみを備えてもよく、一例として、吹出管20及び中継管50が公知の導電性配管で構成されてもよい。
【0144】
この場合には、例えば、一対の接地配線100は、供給部30を挟むようにして第1中継管50aに対して取り付けられると共に、当該一対の接地配線100に対応する第1距離D1と第2距離D2とは略同一に設定されてもよい。また、一対の接地配線100は、各切替弁60を挟むようにして第2中継管50bに対してそれぞれ取り付けられると共に、当該一対の接地配線100に対応する第1距離D1と第2距離D2とは略同一にそれぞれ設定されてもよい。
【0145】
(吹出管について)
上記実施の形態では、吹出管20が、接続端子23を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、接続端子23を省略してもよい。
【0146】
また、上記実施の形態では、吹出管20が、平面視において、略矩形環状に配置されていると説明したが、これに限らず、例えば、平面視において、直線状に配置されてもよい。この場合には、吹出管20の近傍位置に1つの検出センサ70のみが設けられてもよい。そして、一対の接地配線100のみが、1つの検出センサ70を挟むようにして吹出管20に対して取り付けられてもよい。
【0147】
(中継管について)
上記実施の形態では、第1中継管50a及び第2中継管50bの各々が、非導電性配管であると説明したが、これに限らない。例えば、第1中継管50a又は第2中継管50bのいずれか一方が、導電性配管であってもよく、第1中継管50a又は第2中継管50bのいずれか他方が、非導電性配管であってもよい。
【0148】
(接地配線について)
上記実施の形態では、複数の一対の接地配線100の各々に対応する第1距離D1及び第2距離D2の各々が、上記所定の間隔Dの略半分の長さに設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、上記所定の間隔Dの略半分未満の長さに設定されてもよい。
【0149】
また、上記実施の形態では、噴射機構10が、遮蔽部110を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、遮蔽部110を省略してもよい。
【0150】
また、上記実施の形態では、各一対の接地配線100の各々の接地極101側の部分が、配線123を介して他の接地配線の接地極101側の部分と電気的にそれぞれ接続されていると説明したが、これに限らない。例えば、各一対の接地配線100の各々の接地極101側の部分が、配線123を介して他の接地配線の接地極101側の部分と電気的に接続されていなくてもよい。
【0151】
(付記)
付記1の忌避システムは、所定領域内にいる忌避対象を前記所定領域外へ忌避させるための忌避システムであって、前記忌避対象に対して流体を噴射するための噴射手段を少なくとも1つ以上備え、前記噴射手段は、前記流体を搬送する配管と、前記配管に設けられる少なくとも1つ以上の噴射口であり、前記流体を噴射する噴射口と、前記配管の少なくとも一部を構成する導電性配管であって、導電性を有する導電性配管の近傍に設けられる電気機器を間隔を隔てて挟むようにして前記導電性配管に対して取り付けられる一対の接地配線であり、当該一対の接地配線を介して前記導電性配管を接地するための一対の接地配線と、を備え、前記一対の接地配線のいずれか一方と前記電気機器との相互間の距離である第1距離と、前記一対の接地配線のいずれか他方と前記電気機器との相互間の距離である第2距離とを、略同一とした。
【0152】
付記2の忌避システムは、付記1に記載の忌避システムにおいて、前記電気機器を、前記導電性配管の近傍において、当該導電性配管に略沿って相互に所定の間隔を隔てて複数並設し、前記一対の接地配線を、各前記電気機器を挟むようにして前記導電性配管に対して複数取り付け、前記複数の一対の接地配線の各々に対応する前記第1距離及び前記第2距離の各々を、前記所定の間隔の略半分の長さとした。
【0153】
付記3の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記電気機器の少なくとも一部を略覆うように設けられる遮蔽手段であり、落雷によって前記導電性配管が通電した際に、当該通電に伴って発生するノイズから前記電気機器を遮蔽するための遮蔽手段を備える。
【0154】
付記4の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記一対の接地配線の少なくともいずれか一方の接地極側の部分を、配線を介して他の接地配線の接地極側の部分と電気的に接続した。
【0155】
付記5の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記導電性配管全体の内径又は/及び外径を、略均一とした。
【0156】
付記6の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記配管は、前記導電性配管と、導電性を有しない非導電性配管と、を備える。
【0157】
付記7の忌避システムは、付記6に記載の忌避システムにおいて、前記導電性配管は、前記噴射口が設けられる吹出管を含み、前記非導電性配管は、供給手段から供給される前記流体を前記吹出管に搬送する中継管を含み、前記電気機器は、前記吹出管の近傍に設けられる検出センサであり、前記忌避対象を検出するための検出センサを含む。
【0158】
(付記の効果)
付記1に記載の忌避システムによれば、噴射手段は、流体を搬送する配管と、配管に設けられる少なくとも1つ以上の噴射口と、配管の少なくとも一部を構成する導電性配管の近傍に設けられる電気機器を間隔を隔てて挟むようにして導電性配管に対して取り付けられる一対の接地配線であり、当該一対の接地配線を介して導電性配管を接地するための一対の接地配線と、を備え、第1距離と第2距離とを、略同一としたので、第1距離と第2距離とが同一でない場合に比べて、落雷によって導電性配管が通電しても、当該通電による大電流が電気機器に向けて流れることを抑制できる。よって、上記落雷に伴って電気機器が故障するリスクを低減でき、忌避システムの耐雷性能を高めることができる。
【0159】
付記2に記載の忌避システムによれば、複数の一対の接地配線の各々に対応する第1距離及び第2距離の各々を、所定の間隔の略半分の長さとしたので、第1距離及び第2距離の各々を上記所定の間隔の略半分未満の長さとした場合に比べて、接地配線の設置数を低減でき、接地配線の設置作業の手間を軽減することが可能となる。
【0160】
付記3に記載の忌避システムによれば、電気機器の少なくとも一部を略覆うように設けられる遮蔽手段であり、落雷によって導電性配管が通電した際に、当該通電に伴って発生するノイズから電気機器を遮蔽するための遮蔽手段を備えるので、落雷による導電性配管の通電に伴って発生するノイズから電気機器を遮蔽でき、当該ノイズによって電気機器が故障することを回避しやすくなる。
【0161】
付記4に記載の忌避システムによれば、一対の接地配線の少なくともいずれか一方の接地極側の部分を、配線を介して他の接地配線の接地極側の部分と電気的に接続したので、一対の接地配線に流れる電流を他の接地配線に分離して流すことができ、一対の接地配線と接続される接地極と他の接地配線と接続される接地極との等電位化を図ることができる。よって、一対の接地配線の少なくともいずれか一方の接地極側の部分が、配線を介して他の接地配線の接地極側の部分と電気的に接続しない場合に比べて、接地極間で電位差が発生することを抑制できるため、例えば、導電性配管に落雷することによって忌避システムが設けられている建物内の電気機器が破損することを回避しやすくなる。
【0162】
付記5に記載の忌避システムによれば、導電性配管全体の内径又は/及び外径を、略均一としたので、落雷によって導電性配管が通電しても、当該通電による大電流が電気機器に向けて流れることを抑制でしやすくなるため、落雷に伴う電気機器が故障するリスクを一層低減できる。
【0163】
付記6に記載の忌避システムによれば、配管は、導電性配管と、非導電性配管とを備えるので、配管が導電性配管のみを備える場合に比べて、接地配線の設置数を低減でき、接地配線の設置作業の手間を低減できる。
【0164】
付記7に記載の忌避システムによれば、導電性配管は、噴射口が設けられる吹出管を含み、非導電性配管は、供給手段から供給される流体を吹出管に搬送する中継管を含み、電気機器は、吹出管の近傍に設けられる検出センサであり、忌避対象を検出するための検出センサを含むので、落雷によって吹出管が通電しても、当該通電による大電流が検出センサに向けて流れることを抑制できる。また、中継管に接地配線を設置する手間を省略でき、接地配線の設置作業の手間を効果的に低減できる。
【符号の説明】
【0165】
1 忌避システム
2 建物
3 屋上外周部
4 パラペット部
10 噴射機構
20 吹出管
21 噴射口
22 管路部材
23 接続端子
24 左側吹出管路部
25 右側吹出管路部
26 前側吹出管路部
27 後側吹出管路部
30 供給部
40 コンプレッサ
41 接続配管
50 中継管
50a 第1中継管
50b 第2中継管
51 第1左側中継管路部
52 第1右側中継管路部
53 第1前側中継管路部
54 第1後側中継管路部
55 第1供給側中継管路部
56 第2左側中継管路部
57 第2右側中継管路部
58 第2前側中継管路部
59 第2後側中継管路部
60 切替弁
70 検出センサ
71 照射部
80 制御ユニット
80a 配線
81 操作部
82 通信部
83 電源部
84 制御部
85 記憶部
100 接地配線
101 接地極
110 遮蔽部
111 開口
121 第1電気機器
122 第1接地配線
123 配線
124 第2電気機器
125 第2接地配線
F 流体
OA 忌避対象
D 所定の間隔
D1 第1距離
D2 第2距離
DR 検出範囲
HC 大電流
LS 落雷