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  • 特開-車両構造 図1
  • 特開-車両構造 図2
  • 特開-車両構造 図3
  • 特開-車両構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068687
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/26 20060101AFI20240514BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240514BHJP
【FI】
B60R22/26
B60N2/90
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179209
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(72)【発明者】
【氏名】西村 成生
【テーマコード(参考)】
3B087
3D018
【Fターム(参考)】
3B087DE06
3B087DE10
3D018BA12
3D018CA07
3D018CB06
(57)【要約】
【課題】シートベルトのバックルをシートサイドフレームの近傍に設けつつ、衝突時のバックルの破損を防止することのできる車両構造の提供。
【解決手段】シートベルトのバックル2をシートサイドフレーム3aの近傍に配置する。バックル2を車両前後方向に回動可能に設定する。バックル2が回動に伴って上下方向に移動する。バックル2の下部が上下動してシートサイドフレーム3aの上面の側方を通るようにする。バックル2の下部に、下側がシートサイドフレーム3aから離れる方向に傾斜する傾斜面4を設ける。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトのバックルがシートサイドフレームの近傍に配置され、前記バックルは、車両前後方向に回動可能に設定されると共に、その回動に伴って上下方向に移動する際、該バックルの下部が前記シートサイドフレームの上面の側方を通る高さに設定された車両構造において、
前記バックルの下部に、下側がシートサイドフレームから離れる方向に傾斜する傾斜面が設けられたことを特徴とする車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前後方向に回動可能なシートベルトのバックルがシートサイドフレームの近傍に配置された車両構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両のシートベルトは、シートの右側又は左側に配置したアンカーでベルト端部を固定すると共に、シートの他方の側に回動可能に取り付けたバックルに金具を連結して使用するようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-182143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、シートベルトのバックルがシートサイドフレームの上面と同程度の高さに配置されている場合、そのバックルが回動することにより、バックルの下部がシートサイドフレームの上面に乗り上げて破損するおそれがある。
【0005】
特に、図4に示すように、シートベルトにプリテンショナーを備えている場合、車両が衝突する際、その衝突極初期には、プリテンショナーがシートベルトを巻き取ることにより、バックル101が、一旦、シート中央側に変位しつつ後方かつ上方に回動して(矢印A)、通常状態101aからシートサイドフレーム102の上方に位置する乗り上げ状態101bになる。
【0006】
その後の衝突中・後期には、乗員がシートから投げ出されてシートベルトを前方に引っ張ることにより、乗り上げ状態101bにあるバックル101が前方かつ下方に回動し(矢印B)、その際、バックル101の下部がシートサイドフレーム102の上面に強当接して破損するおそれがある。
【0007】
本発明は、シートベルトのバックルをシートサイドフレームの近傍に設けつつ、衝突時のバックルの破損を防止することのできる車両構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両構造は、シートベルトのバックルをシートサイドフレームの近傍に配置し、そのバックルを、車両前後方向に回動可能に設定すると共に、その回動に伴って上下方向に移動する際、バックルの下部がシートサイドフレームの上面の側方を通る高さに設定したものであり、バックルの下部に、下側がシートサイドフレームから離れる方向に傾斜する傾斜面を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、本発明によると、シートベルトのバックルの下部に、下側がシートサイドフレームから離れる方向に傾斜する傾斜面を設けるので、その傾斜面をシートサイドフレームに当接させて、シートサイドフレームの上面に乗り上げたバックルをシート外方側へガイドすることができる。これにより、車両衝突時に、バックルが車両中央側に撓みつつ車両前方かつ下方に向かって回動したとしても、そのバックルがシートサイドフレームに強当接することがなく、バックルの破損を防止することができる。
【0010】
しかも、シートサイドフレームに強当接することによるバックルの破損に対して、その強当接を避けるようにバックルステーを伸ばしたり、バックルの強度を高めたりすると、使い勝手の悪化やコストの増加を生じさせやすいが、バックルをその傾斜面でシート外方側へガイドすることにより、簡易かつ安価に、バックルの破損を防止することができる。また、シートベルトのバックルの下部に傾斜面を設けることにより、傾斜面をシートフレーム側に設ける場合と比較して、シートクッションの載置面やシートパンの締結面を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る車両構造に装備されたシートフレーム及びバックルの斜視図
図2】乗り上げ状態のバックルの正面図
図3】バックル及びボロ隠しの斜視図
図4】従来のバックルがシートサイドフレームに乗り上げる様子を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る車両構造を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
図1図3に示すように、本発明に係る車両構造は、例えば助手席のシート1に装備されるシートベルト(図示せず)にプリテンショナー(図示せず)を設けると共に、シートベルトのバックル2をシートフレーム3のうちのシートサイドフレーム3aの近傍に配置したものであり、そのバックル2を、車両前後方向に回動可能に設定すると共に、その回動に伴って上下方向に移動する際にバックル2の下部がシートサイドフレーム3aの上面の側方を通る高さに設定し、さらに、バックル2の下部に、下側がシートサイドフレーム3aから離れる方向に傾斜する傾斜面4を設けたものである。
【0014】
シート1は、車両フロア上に固定されるシートフレーム3にシートクッション5及びシートバック6を取り付け、シートサイドフレーム3aのうちのシートクッション5の下方部分を樹脂カバー7で覆い隠して構成される。シート1の右側又は左側には、シートベルトの端部を固定するアンカー(図示せず)が配置され、シート1の他方の側には、シートベルトの金具を連結するバックル2が取り付けられている。
【0015】
シートベルトに設けられるプリテンショナーは、乗員の前方移動を素早く抑えてシートベルトの効果を高めるためのものであり、車両の衝突時にシートベルトを瞬時に巻き取ってたるみを取り除くようになっている。
【0016】
バックル2は、その上面の挿入口8にシートベルトの金具を挿入して連結するための装置であり、下方に延設されたバックルステー9の下端が、シートサイドフレーム3aの下部側面に、回動軸10を介して、車両前後方向に回動可能に取り付けられる。回動軸10の周辺には、バックル2及びバックルステー9の回動を許容する大きさで、樹脂カバー7を外面側に突出させてなるバックル配置空間11が構成され、このバックル配置空間11に、バックル2が車両前方に傾いた状態で配置される。
【0017】
バックルステー9の外側面には、シートベルトの未装着時に警告を発するシートベルトリマインダーのリマインダハーネス12が配線され、このリマインダハーネス12が、バックルステー9及びリマインダハーネス12を挿通させる硬質の合成樹脂製で扁平角筒状のボロ隠し13によって覆い隠される。
【0018】
ボロ隠し13は、上端をバックル2の下面と略同一形状に設定されて、バックル2の下面にその全体を覆うように係合され、下端を上端よりも薄く設定されて、シートサイドフレーム3a上面付近と車幅方向に対向する部位に傾斜面4が形成されている。
【0019】
ボロ隠し13の長さは、その下端を樹脂カバー7の上縁よりも下方に侵入させる長さに設定され、傾斜面4の反対側に位置する樹脂カバー7への乗り上げを阻止すると共に、ボロ隠し13及び樹脂カバー7によってリマインダハーネス12の全体を覆い隠すようになっている。
【0020】
上記構成によれば、バックル2の下部に係合するボロ隠し13に傾斜面4を形成するので、バックル2がシートサイドフレーム3aに乗り上げたとき、傾斜面4をシートサイドフレーム3aの上縁に当接させて、シート外方側へバックル2をガイドさせることができる。これにより、シートサイドフレーム3aに乗り上げたバックル2が前方に回動したとしても、シートサイドフレーム3aに強当接することによるバックル2の破損を防止することができる。
【0021】
特に、車両が衝突する際、その衝突極初期には、プリテンショナーがシートベルトを巻き取ることにより、バックル2がシート中央側に変位しつつ後方かつ上方に回動して、通常状態2aから乗り上げ状態2bに変位するが、その後、シートベルトが前方に引っ張られて、バックル2が前方かつ下方に回動する際にも、そのバックル2がシートサイドフレーム3aに強当接して破損することはない。
【0022】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、傾斜面4は、バックル2に係合させるボロ隠し13に形成するだけでなく、バックル2の下部に直に形成することもできる。また、バックル2をシートサイドフレーム3aの側面に取り付けるだけでなく、車両フロア上に取り付けることもできる。また、必ずしもシートベルトにプリテンショナーを備えている必要はない。
【符号の説明】
【0023】
1 シート
2 バックル
2a 正常状態
2b 乗り上げ状態
3 シートフレーム
3a シートサイドフレーム
4 傾斜面
5 シートクッション
6 シートバック
7 樹脂カバー
8 挿入口
9 バックルステー
10 回動軸
11 バックル配置空間
12 リマインダハーネス
13 ボロ隠し
図1
図2
図3
図4