(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068705
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】乗物用衝撃吸収部材
(51)【国際特許分類】
B60R 21/04 20060101AFI20240514BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240514BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B60R21/04 330
B60J5/00 501Z
B60J5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179240
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 大造
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 克彦
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 裕太
(72)【発明者】
【氏名】杉山 孝浩
(57)【要約】
【課題】コストが削減できる乗物用衝撃吸収部材を提供する。
【解決手段】乗物用内装材1の車室外側に取り付けられたEA材100であって、低剛性部10と、低剛性部10よりも剛性が高い高剛性部20と、低剛性部10と高剛性部20とに接続した第1接続部30と、を備え、低剛性部10は、乗物用内装材1に取り付けられる第1取付部11と、車室外側を向く面16Aを有し、第1取付部11の車室外側に配された第1面部15と、を備え、高剛性部20は、乗物用内装材1に取り付けられる第2取付部21と、車室外側を向く面26Aを有し、第2取付部21の車室外側に配された第2面部25と、を備え、第1接続部30は、第1面部15と第2面部25とに架橋する形で接続している、EA材100。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用内装材の乗物室外側に取り付けられた乗物用衝撃吸収部材であって、
低剛性部と、
前記低剛性部よりも剛性が高い高剛性部と、
前記低剛性部と前記高剛性部とに接続した第1接続部と、を備え、
前記低剛性部は、
前記乗物用内装材に取り付けられる第1取付部と、
乗物室外側を向く面を有し、前記第1取付部の乗物室外側に配された第1面部と、を備え、
前記高剛性部は、
前記乗物用内装材に取り付けられる第2取付部と、
乗物室外側を向く面を有し、前記第2取付部の乗物室外側に配された第2面部と、を備え、
前記第1接続部は、前記第1面部と前記第2面部とに架橋する形で接続している、乗物用衝撃吸収部材。
【請求項2】
前記低剛性部と前記高剛性部とに接続した第2接続部を備え、
前記第2接続部は、前記第1取付部及び前記第2取付部のうち、少なくとも一方に接続している、請求項1に記載の乗物用衝撃吸収部材。
【請求項3】
前記第1接続部は、
低剛性側板部と、
前記低剛性側板部よりも前記高剛性部側に位置する高剛性側板部と、を備え、前記低剛性側板部と前記高剛性側板部との間で折れ曲がった板状をなしている、請求項1または請求項2に記載の乗物用衝撃吸収部材。
【請求項4】
前記高剛性部は、前記第2面部から乗物室内側に延在し、前記第2取付部とは異なる取付構造によって前記乗物用内装材に取り付けられる第3取付部を備える、請求項1または請求項2に記載の乗物用衝撃吸収部材。
【請求項5】
前記乗物用内装材は、乗物用ドアトリムであり、
前記低剛性部は、乗物のシートに着座した乗員の腰部に対して乗物室外側となる位置に配され、
前記高剛性部は、前記乗員の大腿部に対して乗物室外側となる位置に配されている、請求項1または請求項2に記載の乗物用衝撃吸収部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用衝撃吸収部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用衝撃吸収部材として、特許文献1に記載の技術が知られている。具体的に、特許文献1には、自動車用ドアトリムにおいて、ベースとしての乗物用内装材(ドアトリム本体)のインパクトエリア、すなわち乗員の肩部や腰部等が触れ易い箇所のうち、乗員の腰部が触れ易い箇所に配置される乗物用衝撃吸収部材(衝撃吸収体)が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成では、複数の箇所に乗物用衝撃吸収部材を設けようとする場合、その増設した分、乗物用内装材に対する取付構造等も増加し、コストがかかる。また、乗物用衝撃吸収部材は、乗員の腰部や大腿部等、保護の対象となる乗員の部位ごとに要求される耐荷重が異なり、それぞれの部位に対する衝撃を好適に吸収できる構造であることが望ましい。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、コストが削減できる乗物用衝撃吸収部材を提供することを目的の一つとする。また、好適に衝撃を吸収できる乗物用衝撃吸収部材を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、乗物用内装材の乗物室外側に取り付けられた乗物用衝撃吸収部材であって、低剛性部と、前記低剛性部よりも剛性が高い高剛性部と、前記低剛性部と前記高剛性部とに接続した第1接続部と、を備え、前記低剛性部は、前記乗物用内装材に取り付けられる第1取付部と、乗物室外側を向く面を有し、前記第1取付部の乗物室外側に配された第1面部と、を備え、前記高剛性部は、前記乗物用内装材に取り付けられる第2取付部と、乗物室外側を向く面を有し、前記第2取付部の乗物室外側に配された第2面部と、を備え、前記第1接続部は、前記第1面部と前記第2面部とに架橋する形で接続している、乗物用衝撃吸収部材である。
【0007】
このような乗物用衝撃吸収部材によると、第1面部及び第2面部のうち、一方に対し乗物室外側から加わった力を、第1面部と第2面部とに架橋する形で接続した第1接続部を介して、他方に伝達させることが可能となる。これにより、第1面部又は第2面部において第1接続部に接続した部分(第1接続部の近傍)に、力を乗物用内装材へ伝達させる構造や乗物用内装材へ取り付けられる構造を設ける必要がない。よって、構造の簡素化や取付部品の低減が可能となり、コストを削減できる。また、乗物用内装材において要求される耐荷重が異なる部分を、低剛性部と高剛性部によってそれぞれ保護しつつ、第1接続部を介して衝突の力を分散させることで、好適に衝撃を吸収することができる。
【0008】
上記構成において、前記低剛性部と前記高剛性部とに接続した第2接続部を備え、前記第2接続部は、前記第1取付部及び前記第2取付部のうち、少なくとも一方に接続していてもよい。
【0009】
このような乗物用衝撃吸収部材によると、第1取付部及び第2取付部のうち、第2接続部が接続した部分の剛性が高まる。これにより、乗物用内装材に対する乗物用衝撃吸収部材の取付の安定性が向上する。
【0010】
上記構成において、前記第1接続部は、低剛性側板部と、前記低剛性側板部よりも前記高剛性部側に位置する高剛性側板部と、を備え、前記低剛性側板部と前記高剛性側板部との間で折れ曲がった板状をなしていてもよい。
【0011】
このような乗物用衝撃吸収部材によると、低剛性部、高剛性部、又は第1接続部に過度な力が加わった場合に、低剛性側板部と高剛性側板部との間で第1接続部が変形または破断し、衝撃を吸収することが可能となる。
【0012】
上記構成において、前記高剛性部は、前記第2面部から乗物室内側に延在し、前記第2取付部とは異なる取付構造によって前記乗物用内装材に取り付けられる第3取付部を備えていてもよい。
【0013】
このような乗物用衝撃吸収部材によると、第2面部から乗物室内側に延在した第3取付部が乗物用内装材に取り付けられることにより、高剛性部の剛性を高めることができる。また、高剛性部が、取付構造が異なる2つの取付部によって乗物用内装材に取り付けられるので、この2つの取付部のうち、例えば一方の取付部によって仮止めし、他方の取付部で本取付するように取り付けることによって取付作業が容易な乗物用衝撃吸収部材とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記乗物用内装材は、乗物用ドアトリムであり、前記低剛性部は、乗物のシートに着座した乗員の腰部に対して乗物室外側となる位置に配され、前記高剛性部は、前記乗員の大腿部に対して乗物室外側となる位置に配されていてもよい。
【0015】
このような乗物用衝撃吸収部材によると、乗員の腰部、及び大腿部のように、保護対象となる部分で要求される耐荷重が異なっていたとしても、それぞれの部分に対する衝撃を好適に吸収することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、コストが削減できる乗物用衝撃吸収部材を提供することが可能となる。また、好適に衝撃を吸収できる乗物用衝撃吸収部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係るドアトリムを車室外側から視た図
【
図4】ドアトリムとEA材の断面図(
図1におけるIV-IV線断面)
【
図5】EA材の断面図(
図1におけるV-V線断面)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本開示の実施形態を
図1から
図5によって説明する。本実施形態では、自動車(乗物)のドアに取り付けられるドアトリム(乗物用内装材)1と、ドアトリム1の車室外側に取り付けられた乗物用衝撃吸収部材100について説明する。尚、矢印方向Fを前方、矢印方向Rを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向INを車室内側(乗物室内側)、矢印方向OUTを車室外側(乗物室外側)として各図を説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、ドアトリム1は、車両前後方向及び車両上下方向に広がる板状をなしている。
図1には、ドアトリム1の車室内側(紙面奥側)において車両(乗物)のシートに着座した乗員Hの一部が、二点鎖線で描かれている。乗員Hのうち、腰部をH1とし、腰部H1よりも前方に位置する大腿部をH2として示す。ドアトリム1において車室外側を向く裏面(車室外側面)1Aには、主に車両の側方(左右方向)からの衝突(側突)の際にエネルギー吸収(Energy Absorption)を行うことが可能なEA材(乗物用衝撃吸収部材)100が取り付けられている。
【0020】
EA材100は、例えば硬質ウレタン等の樹脂からなる構造体である。EA材100は、低剛性部10と、低剛性部10よりも剛性が高い高剛性部20と、低剛性部10と高剛性部20とに接続した第1接続部30及び第2接続部40と、を備える。低剛性部10は、乗員Hの腰部H1に対して車室外側となる位置に配されている。高剛性部20は、低剛性部10よりも前方の位置であって、乗員Hの大腿部H2に対して車室外側となる位置に配されている。第1接続部30及び第2接続部40は、低剛性部10と高剛性部20との間に延在している。低剛性部10、高剛性部20、第1接続部30、及び第2接続部40によって囲まれた部分は、開口をなす開口部Sとされる。
【0021】
低剛性部10は、ドアトリム1に取り付けられる第1取付部11と、車室外側を向く面16A(
図4参照)を有し、第1取付部11の車室外側に配された第1面部15と、を備える。第1取付部11は、第1面部15の後上端部に配された後上取付部12と、第1面部15の後下端部に配された後下取付部13と、第1面部15の前下端部に配された前下取付部14と、を含む。第1面部15の前上端部15A(
図1参照)には、第1取付部11のような取付構造が設けられていない。
【0022】
第1取付部11の各取付部12,13,14は、それぞれ、ドアトリム1の裏面1Aから車室外側に立設した複数のボス50に取り付けられている。
図2及び
図4に示すように、ボス50は、車室内外方向に延びる円筒状のボス本体52と、ボス本体52からドアトリム1の裏面1Aに沿って放射状に延びる板状のボス板部51と、を備える。後下取付部13は、車室内外方向に貫通形成された孔部13Cを有する基部13Aと、基部13Aから車室外側に立ち上がった立上部13Bと、を備える。立上部13Bは、上下方向と前後方向とによりなる平面における断面が、L字状をなしている。後下取付部13は、孔部13Cにボス本体52が挿入され、基部13Aがボス板部51に近接(又は当接)した状態で、ボス本体52に対し例えば超音波によるカシメ(USカシメ)がなされることにより、ボス50を介してドアトリム1に取り付けられる(この取り付けを、本取付とよぶ)。このようなボスによる取付構造は、他の取付部12,14や、後述する第2取付部21においても同様である。例えば、後上取付部12や前下取付部14は、それぞれ、ボス本体52が挿入される孔部を有する基部12A,14Aと、基部12A,14Aから車室外側に立ち上がった、断面視L字状の立上部12B,14Bと、を備える。尚、各図では、ボス本体52がUSカシメされる前の状態を示している。
【0023】
第1面部15は、第1取付部11に接続し、前後方向及び上下方向に広がる板状の第1本体部16と、第1本体部16の車室外側面16Aから立設し、車室外側から視た場合に格子状をなした板状のリブ17と、を備える。第1面部15は、乗員Hの腰部H1の車室外側に位置し、側突の際に、ドアパネル等が当接して力が入力される部分である。
【0024】
高剛性部20は、ドアトリム1に取り付けられる第2取付部21及び第3取付部22と、 車室外側を向く面26A(
図4参照)を有し、第2取付部21の車室外側に配された第2面部25と、を備える。第2取付部21は、車室内外方向に貫通形成された孔部21C(
図2参照)を有する基部21Aと、基部21Aから車室外側に立ち上がった、断面視L字状の立上部21Bと、を備える。第2取付部21は、孔部21Cにボス本体52が挿入され、基部21Aがボス板部51に近接(又は当接)した状態で、ボス本体52がUSカシメされることにより、ボス50を介してドアトリム1に取り付けられる(本取付される)。
【0025】
第3取付部22は、第2面部25の中央部分から車室内側に延在している。
図2及び
図4に示すように、第3取付部22は、第1取付部11や第2取付部21におけるボス50による取付構造とは異なり、ドアトリム1の裏面1Aから車室外側に立設した爪部53を介する取付構造(爪嵌合による取付構造)によってドアトリム1に取り付けられる。爪部53は、突部56を有し、車室内外方向に延びる板状の爪本体54と、爪本体54からドアトリム1の裏面1Aに沿って延び、爪本体54を支持する複数の爪リブ55と、を備える。
【0026】
第3取付部22は、車室内外方向に貫通形成された孔部22A1(
図4参照)を有する基部22Aと、基部22Aから車室外側に立ち上がり、第2面部25に接続した立上部22B1,22B2,22B3と、を備える。基部22Aは、前端部22A2が車室外側に立ち上がっている。立上部22B1,22B2,22B3は、第1立上部22B1と、第1立上部22B1の上下両端部から前方に延びた第2立上部22B及び第3立上部22B3と、を含んでおり、全体として上下方向と前後方向とによりなる平面における断面が、前方に開口した門形状をなしている。第3取付部22は、孔部22A1に爪本体54が挿入され、孔部22A1の孔縁に突部56が引っ掛かり、基部22Aが爪リブ55に近接(又は当接)し、爪部53と爪嵌合がなされることで、爪部53を介してドアトリム1に取り付けられる(この取り付けを、仮取付と呼ぶ)。尚、仮取付の後に、本取付が行われる。
【0027】
第2面部25は、第2取付部21及び第3取付部22に接続し、前後方向及び上下方向に広がる板状の第2本体部26と、第2本体部26の車室外側面26Aから立設し、車室外側から視た場合に格子状をなした板状のリブ27と、を備える。
図1から
図4に示すように、第2面部25は、第1面部15の前方やや上方に配されている。第2面部25は、第1面部15よりも車室内側に位置しており、その高さ(ドアトリム1からの距離)が、第1面部15よりも低い。第2面部25の車室外側面26Aは、第1面部15の車室外側面16Aよりも面積が小さい。第2面部25の車室外側面26Aは、第1面部15の車室外側面16Aよりも車室内側に位置している。第2面部25は、乗員Hの大腿部H2の車室外側に位置し、側突の際に、ドアパネル等が当接して力が入力される部分である。
【0028】
高剛性部20が、低剛性部10よりも剛性が高くなるための構成(構造、材料等)については、特に限定されない。このような構成としては、例えば、高剛性部20が、第3取付部22を備えること、高剛性部20の板厚(例えば、第2取付部21や第2面部25の板厚)が、低剛性部10の板厚(例えば、第1取付部11や第1面部15の板厚)よりも厚いこと、第2面部25の車室外側面26Aが、第1面部15の車室外側面16Aよりも面積が小さいこと、第2面部25の高さが、第1面部15の高さよりも低いこと、等が挙げられる。
【0029】
図2から
図5に示すように、第1接続部30は、第1面部15と第2面部25とに架橋する形で接続している。第1接続部30は、低剛性側板部31と、低剛性側板部31よりも高剛性部20側(前方であって大腿部H2側)に位置する高剛性側板部33と、を備え、低剛性側板部31と高剛性側板部33との間の境界部35で折れ曲がった板状をなしている。例えば、第1接続部30の板厚や、その前後方向における長さ(低剛性部10と高剛性部20との間の距離)を適宜変更することにより、低剛性部10の剛性、高剛性部20の剛性、さらにはEA材100の全体の剛性を変更することが可能である。
【0030】
低剛性側板部31は、第1面部15における第1本体部16の車室内側を向く車室内側面16B(
図4及び
図5参照)に接続している。低剛性側板部31は、車室外側から視た場合に四角形状をなしており、前方に向かうほど車室内側に傾斜する。高剛性側板部33は、第2面部25におけるリブ27のうち、第2本体部26の周囲の端部から立ち上がった枠リブ27Aに接続している。高剛性側板部33は、車室外側から視た場合に四角形状をなしており、前方に向かうほど車室内側上方に傾斜している。高剛性側板部33の大きさ(例えば車室外側面の面積)は、低剛性側板部31よりも小さい。境界部35は、前方に向かうほど車室内側上方に傾斜した形で延びている。
【0031】
高剛性側板部33は、低剛性側板部31に比してその傾斜が緩やかである。
図4に示すように、低剛性側板部31の上面31Aと第1面部15における第1本体部16とがなす角度をθ1とし、高剛性側板部33の上面33Aと第2面部25における第2本体部26とがなす角度をθ2とすると、角度θ2は、角度θ1よりも小さい。また、低剛性側板部31の上面31Aと高剛性側板部33の上面33Aとがなす角度をθ3とすると、角度θ3は、180度よりも小さい。
【0032】
図2、及び
図3に示すように、第2接続部40は、一方の端部(低剛性部10側の端部)が、第1取付部11のうち前下取付部14の基部14Aに接続し、他方の端部(高剛性部20側の端部)が、第2面部25における第2本体部26に接続している。第2接続部40は、前下取付部14の基部14Aから前方に延在した第1延在部41と、第1延在部41の前端部から車室外側に立ち上がり、第2本体部26に接続するように車室外側に延在した第2延在部42と、を備える。第2接続部40は、第1延在部41と第2延在部42との間で折れ曲がってなるL字型柱状体をなしている。
【0033】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、乗物用内装材1の車室外側に取り付けられたEA材100であって、低剛性部10と、低剛性部10よりも剛性が高い高剛性部20と、低剛性部10と高剛性部20とに接続した第1接続部30と、を備え、低剛性部10は、乗物用内装材1に取り付けられる第1取付部11と、車室外側を向く面16Aを有し、第1取付部11の車室外側に配された第1面部15と、を備え、高剛性部20は、乗物用内装材1に取り付けられる第2取付部21と、車室外側を向く面26Aを有し、第2取付部21の車室外側に配された第2面部25と、を備え、第1接続部30は、第1面部15と第2面部25とに架橋する形で接続している、EA材100を示した。
【0034】
このようなEA材100によると、第1面部15及び第2面部25のうち、一方に対し車室外側から加わった力を、第1面部15と第2面部25とに架橋する形で接続した第1接続部30を介して、他方に伝達させることが可能となる。これにより、第1面部15又は第2面部25において第1接続部30に接続した部分(第1接続部30の近傍であり、例えば、第1面部15の前上端部15A)に、力を乗物用内装材1へ伝達させる構造や乗物用内装材1へ取り付けられる構造を設ける必要がない。よって、構造の簡素化や取付部品の低減が可能となり、コストを削減できる。また、乗物用内装材1において要求される耐荷重が異なる部分を、低剛性部10と高剛性部20によってそれぞれ保護しつつ、第1接続部30を介して衝突の力を分散させることで、好適に衝撃を吸収することができる。
【0035】
低剛性部10と高剛性部20とに接続した第2接続部40を備え、第2接続部40は、第1取付部11及び第2取付部21のうち、少なくとも一方である第1取付部11に接続している。
【0036】
このようなEA材100によると、第2接続部40が接続した第1取付部11の剛性が高まる。これにより、乗物用内装材1に対するEA材100の取付の安定性が向上する。
【0037】
第1接続部30は、低剛性側板部31と、低剛性側板部31よりも高剛性部20側に位置する高剛性側板部33と、を備え、低剛性側板部31と高剛性側板部33との間で折れ曲がった板状をなしている。
【0038】
このようなEA材100によると、低剛性部10、高剛性部20、又は第1接続部30に過度な力が加わった場合に、低剛性側板部31と高剛性側板部33との間で折れ曲がり部分を基点に第1接続部30が変形または破断し、衝撃を吸収することが可能となる。
【0039】
高剛性部20は、第2面部25から車室内側に延在し、第2取付部21とは異なる取付構造によって乗物用内装材1に取り付けられる第3取付部22を備えている。
【0040】
このようなEA材100によると、第2面部25から車室内側に延在した第3取付部22が乗物用内装材1に取り付けられることにより、高剛性部20の剛性を高めることができる。また、高剛性部20が、取付構造が異なる2つの取付部によって乗物用内装材1に取り付けられるので、この2つの取付部のうち、例えば一方の取付部によって仮止めし、他方の取付部で本取付するように取り付けることによって取付作業が容易なEA材100とすることができる。
【0041】
乗物用内装材1は、乗物用のドアトリムであり、低剛性部10は、乗物のシートに着座した乗員Hの腰部H1に対して車室外側となる位置に配され、高剛性部20は、乗員Hの大腿部H2に対して車室外側となる位置に配されている。
【0042】
このようなEA材100によると、乗員Hの腰部H1、及び大腿部H2のように、保護対象となる部分で要求される耐荷重が異なっていたとしても、それぞれの部分に対する衝撃を好適に吸収することが可能となる。
【0043】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0044】
(1)上記実施形態以外にも、第2接続部が接続する部分は適宜変更可能である。例えば、第2接続部は、一方の端部が第1面部に接続し、他方の端部が第2取付部に接続していてもよく、一方の端部が第1取付部に接続し、他方の端部が第2取付部又は第3取付部に接続していてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態以外にも、各取付部の取付構造は適宜変更可能である。例えば、第1取付部及び第2取付部を爪嵌合による取付構造とし、第3取付部をボスによる取付構造としてもよい。また、第1取付部のうちの一つを爪嵌合による取付構造とし、それ以外の取付部をボスによる取付構造にしてもよい。さらに、このような取付構造としては、爪嵌合やボス以外にも、種々の取付構造を採用してもよい。
【0046】
(3)第3取付部の構造は適宜変更可能である。例えば、第3取付部は、四角形状の基部と、基部の周囲の端部から立ち上がる合計4つの立上部と、を備えており、前方に開口していない形をなしていてもよい。また、第3取付部は、基部と、基部の前後両側端部又は上下両側端部から立ち上がる合計2つの立上部と、を備えており、上下方向又は前後方向に開口した形をなしていてもよい。
【0047】
(4)上記実施形態以外にも、第1面部のリブや第2面部のリブは、その長さ、形、厚み等を適宜変更してもよい。これにより、低剛性部や高剛性部の剛性を適宜調整することができる。
【0048】
(5)上記実施形態で例示した乗物用衝撃吸収部材は、車両用に限定されず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記乗物用衝撃吸収部材を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ドアトリム(乗物用内装材)、10…低剛性部、11…第1取付部、15…第1面部、20…高剛性部、21…第2取付部、22…第3取付部、25…第2面部、30…第1接続部、31…低剛性側板部、33…高剛性側板部、40…第2接続部、100…EA材(乗物用衝撃吸収部材)、H1…腰部、H2…大腿部、H…乗員