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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068706
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】無線受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H04B1/16 R
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179244
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000234937
【氏名又は名称】八重洲無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089956
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 利和
(72)【発明者】
【氏名】飯束 嘉庸
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061BB12
5K061CC42
5K061CD04
(57)【要約】
【課題】異なる受信チャネルに設定された複数の受信復調手段が出力する各復調信号を合成して音声再生する無線受信装置において、各受信チャネルの空中伝送路等でのノイズも合成されることによる再生音声の劣化を抑制する。
【解決手段】各受信復調部2-1~3の復調信号に音声信号が含まれているか否かを各音声信号検出部3-1~3で検出し、その結果を受けたシステム制御部12が各受信復調部2-1~3と信号合成部5の間に設けたMUTE回路4-1~3をON/OFF制御する。音声信号の無い受信チャネルの復調信号は再生不要であり、ミュートONにして信号合成部5へ出力させないことで、同チャネルに係るノイズが他の受信チャネルの復調信号の合成再生音のS/N比を低下させないようにする。MUTE回路4-1~3を所定減衰量に設定した信号減衰器に置換してON/OFF制御しても同様の効果が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信チャネルが異なる複数の受信復調手段がアンテナから得られる無線信号から前記各受信チャネルの無線信号を抽出して復調し、前記各受信復調手段による復調信号を信号合成手段で合成した信号を増幅手段で増幅して音再生手段により再生音を出力させる無線受信装置において、
前記各受信復調手段に対応させて設けられ、前記各受信復調手段の復調信号について音声信号の有/無を検出する各音声信号検出手段と、
前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間に設けられ、前記各受信復調手段の復調信号を前記信号合成手段へ出力させるミュートOFF状態と出力させないミュートON状態をとる各ミューティング手段と、
前記各音声信号検出手段による音声信号の有/無の検出結果に基づいて、前記各音声信号検出手段に対応する前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間の前記各ミューティング手段をミュートOFF状態/ミュートON状態に制御する制御手段と
を具備したことを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
受信チャネルが異なる複数の受信復調手段がアンテナから得られる無線信号から前記各受信チャネルの無線信号を抽出して復調し、前記各受信復調手段による復調信号を信号合成手段で合成した信号を増幅手段で増幅して音再生手段により再生音を出力させる無線受信装置において、
前記各受信復調手段に対応させて設けられ、前記各受信復調手段の復調信号について音声信号の有/無を検出する各音声信号検出手段と、
前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間に設けられ、前記各受信復調手段が出力する復調信号を所定比率で減衰させて前記信号合成手段へ出力させるON状態と減衰させないで前記信号合成手段へ出力させるOFF状態をとる各信号減衰手段と、
前記各音声信号検出手段による音声信号の有/無の検出結果に基づいて、前記各音声信号検出手段に対応する前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間の前記各信号減衰手段をOFF状態/ON状態に制御する制御手段と
を具備したことを特徴とする無線受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の受信復調手段を備え、各受信復調手段による各受信チャネルの復調信号を合成して音声再生する構成の無線受信装置において、ノイズの合成により再生音が聴きづらくなることを抑制するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線通信システムにおいて、複数の子機が、それぞれの変調送信部に異なる送信チャネルを設定して音声信号を送信すると共に、受信復調部に共通の受信チャネルを設定して音声信号を再生する無線通信機である一方、親機が、各子機側の送信チャネルに対応する受信チャネルを設定した複数の受信復調部と、それら受信復調部の復調信号を合成する信号合成部と、各子機側の共通の受信チャネルに対応する送信チャネルに設定された変調送信部とからなる中継器であり、各子機間の同時通話ネットワークを実現したものがある。
例えば、下記特許文献1の図1において従来技術とされている無線通信システムがそれに相当する。
【0003】
また、前記親機は中継器であるが、例えば、下記特許文献2や3に開示されているように、無線通信機として、異なる受信チャネルが設定された受信復調部の復調信号を合成し、その合成した復調信号に含まれている音声を再生出力させる構成をとる場合が少なくない。
これは、建設工事やホテル業務の現場においては、各作業場所や業務部門の間で緊密な連絡網を維持している必要があり、他の作業場所や業務部門の通信ネットワークで使用されている通信チャネルでの音声のやり取りを聴取できるようにしておくことが望ましいからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-125619号公報(図1
【特許文献2】特開2021-118382号公報
【特許文献3】特開2022-049885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のように異なる受信チャネルで受信した各受信復調部の復調信号を合成して音声再生出力させる無線通信機においては、受信音声だけでなく当然に各受信チャネルに混入しているノイズ成分も合成されて音声出力されることになる。
したがって、受信復調部がN個(N≧2)あり、N個の受信チャネルの内の(N-1)個以下の受信チャネルにのみ音声信号がある場合には、N個の受信チャネル分のノイズを含みながら(N-1)個以下の音声信号が合成再生されることになるため、無駄にS/N比の条件を悪くして受信音声が聴きづらくしていることになる。
【0006】
そこで、本発明は、複数の受信復調手段による各受信チャネルの復調信号を合成して音声再生する構成の無線受信装置において、音声信号が含まれている受信復調信号だけを合成再生の対象とする無線受信装置を提供し、以って、受信音声のS/N比の低下を抑制して、良好な音声による無線通信を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、受信チャネルが異なる複数の受信復調手段がアンテナから得られる無線信号から前記各受信チャネルの無線信号を抽出して復調し、前記各受信復調手段による復調信号を信号合成手段で合成した信号を増幅手段で増幅して音再生手段により再生音を出力させる無線受信装置において、前記各受信復調手段に対応させて設けられ、前記各受信復調手段の復調信号について音声信号の有/無を検出する各音声信号検出手段と、前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間に設けられ、前記各受信復調手段の復調信号を前記信号合成手段へ出力させるミュートOFF状態と出力させないミュートON状態をとる各ミューティング手段と、前記各音声信号検出手段による音声信号の有/無の検出結果に基づいて、前記各音声信号検出手段に対応する前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間の前記各ミューティング手段をミュートOFF状態/ミュートON状態に制御する制御手段とを具備したことを特徴とする無線受信装置に係る。
【0008】
この発明の無線受信装置では、各受信復調手段と信号合成手段との間にそれぞれミューティング手段が設けられており、各受信復調手段に対応した各音声信号検出手段が当該受信復調手段の復調信号に音声信号が無いと判断した場合には、制御手段が当該ミューティング手段をミュートON状態にして前記出力信号が信号合成手段へ出力されないようにしている。
ここで“復調信号に音声信号が無い”場合とは、当該受信チャネルに係る電波を受信していない場合、及び電波を受信していても搬送波の信号だけで音声信号が含まれていない(搬送波が変調されていない)場合が該当し、いずれも復調信号から音声信号は検出されない。
しかしながら、復調信号に音声信号が無い場合であっても、空中伝送路で受ける各種ノイズや無線受信装置自体の回路で生じるホワイトノイズ等が含まれており、複数の受信復調手段の復調信号が常に合成されていると、各受信チャネルルートでのノイズが加算されることになる。
この発明では、無線受信装置としては本来的に音声信号の無い受信チャネルの復調信号を再生させる必要がないため、合成される前にその復調信号に対してミュート処理を行っており、音声信号の有る受信チャネルの受信復調手段の出力信号だけを合成して、結果的にS/N比の高い音声再生を可能にしている。
一般に、業務用無線通信機等では、ケースバイケースではあるが、複数の受信チャネルでの受信状態において全てのチャネルに音声信号が含まれている場合は少なく、この発明の無線受信装置による方式はその意味で平均的に良好な音声通信を実現する上で有効である。
【0009】
第2の発明は、受信チャネルが異なる複数の受信復調手段がアンテナから得られる無線信号から前記各受信チャネルの無線信号を抽出して復調し、前記各受信復調手段による復調信号を信号合成手段で合成した信号を増幅手段で増幅して音再生手段により再生音を出力させる無線受信装置において、前記各受信復調手段に対応させて設けられ、前記各受信復調手段の復調信号について音声信号の有/無を検出する各音声信号検出手段と、前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間に設けられ、前記各受信復調手段が出力する復調信号を所定比率で減衰させて前記信号合成手段へ出力させるON状態と減衰させないで前記信号合成手段へ出力させるOFF状態をとる各信号減衰手段と、前記各音声信号検出手段による音声信号の有/無の検出結果に基づいて、前記各音声信号検出手段に対応する前記各受信復調手段と前記信号合成手段の間の前記各信号減衰手段をOFF状態/ON状態に制御する制御手段とを具備したことを特徴とする無線受信装置に係る。
【0010】
この発明は、前記第1の発明におけるミューティング手段を信号減衰手段に置き換えた構成からなる無線受信装置である。
前記第1の発明でのミューティング手段による場合は、音声信号が無いと判断した音声信号検出手段に対応する受信復調手段の復調信号が信号合成手段へ出力されないが、この発明では信号減衰手段で所定比率だけ減衰させた復調信号が合成されることになる。
したがって、音声信号が無い受信チャネルに係る受信復調手段の出力信号に含まれているノイズも音声再生されることになるが、例えば、信号減衰手段で20dB程度も減衰されていると、ノイズの影響はミュートされた場合と大差のない程度になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無線受信装置は、複数の受信復調手段がそれぞれ異なる受信チャネルを設定して各受信チャネルに含まれる無線信号を復調し、各受信復調手段の復調信号を合成した信号を増幅して音声再生を行う無線受信装置において、各受信復調手段の復調信号の内の音声信号が含まれていない再生不要な復調信号に対してミュート処理又は減衰処理を施すようにしていることにより、その復調信号に含まれているノイズ成分を排除し又は低減させて、全ての受信チャネルに音声信号が含まれている状態以外における再生音声のS/N比の向上を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の無線受信装置を適用した無線通信機の機能ブロック図である。
図2】音声信号検出部の機能ブロック図である。
図3】一例としてのミューティング回路の電気回路図である。
図4】ミューティング回路の制御手順を示すフローチャートである。
図5】一例としての信号減衰器の電気回路図である。
図6】信号減衰器の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の無線受信装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は無線通信機の機能ブロック図であり、その受信機能側に本発明の無線受信装置が適用されている。
同図において、受信系統側は、受信アンテナ1、3つの受信復調部2-1~3、3つの音声信号検出部(ASD)3-1~3、3つのミューティング回路(以下、MUTE回路という)4-1~3、信号合成部5、増幅器6及びスピーカ7からなり、一方、送信系統側は、マイクロホン8、増幅器9、変調送信部10及び送信アンテナ11からなる。
【0014】
そして、前記送信/受信系統を含むシステム全体はシステム制御部12によって制御される。
システム制御部12は、操作部13から送信/受信の切り替えや送信/受信チャネルの設定や各種モード設定などの指示操作が行われると、その操作信号に基づいて対応する動作や設定を実行すると共に、送信/受信動作中にあっては受信復調部2-1~3や変調送信部10の状態を監視する。
また、システム制御部12は、液晶パネルで構成された表示部14への設定チャネルやモード状態の表示も実行する。
【0015】
この無線通信機における受信系統側とシステム制御部12は次のように動作する。
先ず、各受信復調部2-1~3には予めそれぞれ異なる受信チャネルの設定がなされており、各受信復調部2-1~3は受信アンテナ1が受信した無線信号の中からそれぞれの受信チャネルの信号を同調受信して取り込み、その受信チャネルの信号を復調して各MUTE回路4-1~3へ出力する。
【0016】
また一方、各受信復調部2-1~3の復調信号は各音声信号検出部3-1~3にも出力されており、各音声信号検出部3-1~3はそれぞれ復調信号から音声信号が検出されるか否かを判断しており、音声信号の有無を識別するフラグ電圧をシステム制御部12へ出力している。
【0017】
この実施形態の各音声信号検出回路3-1~3としては、一例として図2に示すようなものが適用できる。
この音声信号検出回路3-1~3は、特開平5-234247号に開示されている構成を基本としたものであり、受信復調部2-1~3の復調信号中の音声帯域(50Hz~7000Hz)の信号を通過させるバンドパスフィルタ(BPF)回路31により音声帯域以外の不要な信号を除去した後、電圧レベル検出回路32でBFP回路31の出力の平均値又は実効値である出力電圧Vaを検出すると共に、尖頭値検出回路33でBFP回路31の出力の尖頭値である出力電圧Vpを検出し、レベル判定手段34により(a)電圧レベル検出回路32の出力電圧Vaが予め設定した電圧レベルの基準値以上であること、(b)尖頭値検出回路33の出力電圧Vpが予め設定した尖頭値の基準値以上であること、及び(c)電圧レベル検出回路32の出力電圧Vaに対する尖頭値検出回路33の出力電圧Vpの比(Vp/Va)が予め設定した尖頭値と電圧レベルの比の基準値以上であることがすべて成立していることを条件として音声信号有りと判定する。
そして、レベル判定手段34は音声信号の有/無の判定結果に応じて、それぞれのフラグ電圧をシステム制御部12へ出力する。
【0018】
この音声信号検出回路3-1~3によれば、音声信号の有無の判定を、入力信号の平均値、尖頭値、又は実効値の電圧レベルを基準値と比較した結果だけ行うのではなく、前記(a)~(c)のすべてが成立していることを“音声信号有り”の条件としていることで、入力音声信号の信号対雑音比が20dB未満の場合において、雑音を音声と誤って検出したり、低レベルの音声信号を検出できなかったりする確率が極めて低く、音声信号を高い確率で正しく検出することができる。
【0019】
一方、MUTE回路4-1~3については一例として図3に示すようにトランジスタTr1のスイッチング機能により信号線を接地させる一般的なものを適用できる。
各MUTE回路4-1~3のトランジスタTr1のON/OFF動作は各ベース電圧Vci(i=1~3)によって制御されるが、各ベース電圧Vciは、各音声信号検出部3-1~3による音声信号の有/無に係るフラグ電圧の出力の如何に基づいて、システム制御部12が各MUTE回路4-1~3へ出力する。
なお、ベース電圧のDCバイアスが急激に変化してポップスノイズが発生するため、抵抗R2とコンデンサC1で時定数を持たせることにより、その防止を行っている。
【0020】
したがって、MUTE回路4-i(i=1~3)のON/OFF動作の制御は、図4のフローチャートに示されるような手順で実行されることになる。
音声信号検出回路3-iが受信復調部2-iの復調信号から音声信号を検出して、“音声信号有り”と判定した場合には、対応するMUTE回路4-iをOFF状態に設定してミュート処理を行わないようにし(S1→S2)、逆に、音声信号が検出されず、“音声信号無し”と判定した場合には、対応するMUTE回路4-iをON状態に設定としてミュート処理を行うようにする(S1→S3)。
【0021】
図1に戻って、受信復調部2-1~3の復調信号のすべてに音声信号が含まれていて各MUTE回路4-1~3がすべてOFF状態の場合、当然にそれら復調信号は信号合成部5で合成され、その合成後の復調信号が増幅器6で増幅されてスピーカ7から再生音として音声出力される。
その場合、各受信復調部2-1~3の復調信号には、空中伝送路での各種ノイズや無線受信装置の回路でのノイズが不可避的に混入しており、個別の受信チャネルごとにノイズを除去しない限り、それらも合成されて音声と共に再生される。
【0022】
一方、音声信号が1つ又は2つの受信チャネルに係る復調信号にだけ含まれていた場合には、音声信号の含まれない受信チャネルの復調信号は対応するMUTE回路4-iでその出力が遮断され、その受信チャネルで混入したノイズは合成されないことになるため、音声信号が含まれている受信チャネルだけの復調信号によるS/N比を高めた音声再生が可能になる。
建設工事やホテル業務の現場で用いられている業務用無線通信機においては、複数の受信チャネルを同時に受信できるようにした構成のものが多いが、実際の使用において全ての受信チャネルの受号信号に音声信号が含まれている状態は比較的少なく、時間平均的には高品質な音声再生を有効に実現できることになる。
【0023】
なお、この無線通信機の送信系統側は、格別に特徴のある構成ではなく、マイクロホン8を通じて入力された音声信号は増幅器9で増幅された後、変調送信部10において、搬送波を音声信号で変調し、その変調信号を予め設定されている送信チャネルを通じて送信アンテナ11から電波として射出する。
【0024】
<実施形態2>
実施形態1が音声信号を含まない復調信号をMUTE回路4-1~3によって信号合成部5へ出力させない方式を採用しているのに対し、この実施形態2は信号減衰器によってその復調信号を大きく減衰させて信号合成部5へ出力させる方式を採用している。
すなわち、図1において符号4-1~3で示されている機能ブロックがMUTE回路から信号減衰器(ATT)へ置換されるだけで、他の機能ブロックとそれらの連携動作は実施形態1の場合と同様である。
【0025】
ここで、信号減衰器4-1~3としては、一例として、図5に示すように、抵抗R10,R11,R12を組み合わせ分圧により信号レベルを一定の減衰量だけ低下させる減衰回路41と、入出力間の短絡回路42と、それらの回路を切り替えるスイッチ回路43と、システム制御部12からの制御電圧Vciに基づいてスイッチ回路43を制御するスイッチ制御部44とからなるものを適用できる。
【0026】
そして、信号減衰器4-i(i=1~3)のON/OFF動作の制御は、図6のフローチャートに示されるような手順で実行されることになる。
音声信号検出回路3-iが受信復調部2-iの復調信号から音声信号を検出して、“音声信号有り”と判定した場合には、対応する信号減衰器4-iをOFF状態に設定して短絡回路42を選択して受信復調部2-iの復調信号をそのまま信号合成部5へ出力させ(S11→S12)、逆に、音声信号が検出されず、“音声信号無し”と判定した場合には、対応する信号減衰器4-iをON状態に設定として減衰回路41を通じて減衰させた復調信号を信号合成部5へ出力させる(S11→S13)
【0027】
したがって、この実施形態の無線通信機の受信側の構成によれば、各受信復調部2-1~3の復調信号に音声信号が含まれている場合には、その復調信号はそのまま信号合成部5で合成され、音声信号が含まれていない場合には、その復調信号は減衰されて信号合成部5で合成されることになるが、後者の減衰された復調信号におけるノイズ成分も減衰されていることから、減衰回路41を20dB程度の減衰率に設計しておけば、実施形態1のようにMUTE回路4-1~3を適用した構成と同等の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、異なる受信チャネルに設定されている複数の受信復調手段の復調信号を合成して音声再生する構成の無線受信装置に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1…受信アンテナ、2-1~3…受信復調部、3-1~3…音声信号検出部(ASD)、4-1~3…ミューティング(MUTE)回路又は信号減衰器(ATT)、5…信号合成部、6…増幅器、7…スピーカ、8…マイクロホン、9…増幅器、10…変調送信部、11…送信アンテナ、12…システム制御部、13…操作部、14…表示部、31…バンドパスフィルタ(BPF)、32…電圧レベル検出回路、33…尖頭値検出回路、34…レベル判定手段、41…減衰回路、42…短絡回路、43…スイッチ回路、44…スイッチ制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6