特開 2024-68709 手摺り

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024068709

(43)【公開日】2024-05-21

(54)【発明の名称】手摺り

(51)【国際特許分類】

   E04F 11/18 20060101AFI20240514BHJP

【ＦＩ】

E04F11/18

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022179252

(22)【出願日】2022-11-09

(71)【出願人】

【識別番号】522208081

【氏名又は名称】株式会社千都

(74)【代理人】

【識別番号】100172225

【弁理士】

【氏名又は名称】高松 宏行

(72)【発明者】

【氏名】山内 亮

【テーマコード（参考）】

2E301

【Ｆターム（参考）】

2E301HH03

2E301HH15

2E301JJ05

2E301KK08

(57)【要約】

【課題】握力が弱くても容易に階段を上り下りすることができる手摺りを提供する。
【解決手段】階段２に設置される手摺り１は、水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延びた第１部位４と、第１部位４と接続され、水平面内において進行方向と交差する方向に延び出た第２部位８を含む把持部５と、を含み、把持部５は、階段２の段差部２ｂに対応する位置に配置されている。把持部５（上り側把持部５Ｕ、下り側把持部５Ｄ）は、階段２の段差部２ｂに対応する上り側の位置と下り側の位置にそれぞれ配置されている。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

階段に設置される手摺りであって、
水平面内における階段の進行方向に延びた第１部位と、
前記第１部位と接続され、水平面内において前記進行方向と交差する方向に延び出た第２部位を含む把持部と、を含み、
前記把持部は、階段の段差部に対応する位置に配置されている、手摺り。

【請求項2】

前記把持部は、前記階段の段差部に対応する上り側の位置と下り側の位置にそれぞれ配置されている、請求項１に記載の手摺り。

【請求項3】

前記階段の段差部に対応する位置に、上段の第１部位または把持部と下段の第１部位または把持部とを接続する第３部位を、さらに含む、請求項１または２に記載の手摺り。

【請求項4】

前記手摺りを構成する前記上段の第１部位と把持部、前記第３部位、前記下段の第１部位と把持部は、一筆書きで接続されている、請求項３に記載の手摺り。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、階段に設置される手摺りに関する。

【背景技術】

【0002】

階段の壁面などには、階段の上り下りを補助するための手摺りが設置される。特許文献１には、階段の踏板に対応する位置に配置された水平部と階段の段差に対応する位置に配置された垂直部を、コーナーブラケット部材で接続して構成された手摺りが開示されている。特許文献１に記載の手摺りは、水平部や垂直部を手で掴んだり、掴んだ手を滑らせながら階段を上り下りすることで、足腰が弱ったお年寄りや身体が不自由な人などの転倒を防止したり、階段の上り下りを補助することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００３－５６１４９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、特許文献１を含む従来技術では、握力が弱ったお年寄りなどが階段の段差で手摺りを十分に掴むことができずに転倒したり、階段の段差を上り下りすることが困難になったりするという課題が有り、更なる改善の余地があった。

【0005】

そこで本発明は、握力が弱くても容易に階段を上り下りすることができる手摺りを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の手摺りは、階段に設置される手摺りであって、水平面内における階段の進行方向に延びた第１部位と、前記第１部位と接続され、水平面内において前記進行方向と交差する方向に延び出た第２部位を含む把持部と、を含み、前記把持部は、階段の段差部に対応する位置に配置されている。

【発明の効果】

【0007】

本発明によれば、握力が弱くても容易に階段を上り下りすることができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本発明の一実施の形態における手摺りが設置された階段の概略を示す斜視図

【図2】本発明の一実施の形態における手摺りが設置された階段の概略を示す側面図

【図3】本発明の一実施の形態における手摺りが設置された階段の概略を示す正面図

【図4】本発明の一実施の形態における手摺りが設置された階段の概略を示す平面図

【図5】（ａ）～（ｄ）本発明の一実施の形態における手摺りの他の実施例が設置された階段の概略を示す平面図

【発明を実施するための形態】

【0009】

図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、手摺り、階段の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図１、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する２軸として、階段を上り下りする進行方向のＸ軸（図２における左右方向）、進行方向に直交するＹ軸（図３における左右方向）が示される。図２、及び後述する一部では、水平面と直交する上下方向としてＺ軸（図２における上下方向）が示される。

【0010】

図１～図４において、階段２の横（Ｙ軸方向）の壁面（以下、「階段壁面３」と称する。）には、手摺り１が設置されている。手摺り１は、第１部位４、把持部５、第３部位６を備えて構成されている。第１部位４は、水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延び、階段２の踏板２ａの上方に配置されている。第１部位４は、それぞれ、複数（ここでは２個）の接続部７によって階段壁面３に固定されている。

【0011】

把持部５は、水平面内において進行方向と直角に交差する方向（Ｙ軸方向）に延び出た第２部位８および第５部位１０、ならびに水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延びた第４部位９を備えて構成されている。第２部位８の一端は第１部位４と接続され、第２部位８の他端は第４部位９の一端と接続されている。第４部位９の他端は、第５部位１０の一端に接続されている。すなわち、把持部５の第２部位８、第４部位９、第５部位１０は、コの字型を構成するように接続されている。

【0012】

この例では、把持部５は、踏板２ａの上方の上り側（図２における左側）の位置と下り側（図２における右側）の位置に、それぞれ配置されている。以下、上り側の把持部５を「上り側把持部５Ｕ」、下り側の把持部５を「下り側把持部５Ｄ」と称する。

【0013】

図１～図４において、第３部位６は、垂直方向（Ｚ軸方向）に延び、階段２の前後の踏板２ａを接続する段差部２ｂが配置された段差位置Ｐに配置されている。第３部位６の上端は、上段の下り側把持部５Ｄの第５部位１０の他端に接続されている。また、第３部位６の下端は、下段の上り側把持部５Ｕの第５部位１０の他端に接続されている。すなわち、第３部位６は、階段の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置され、上段の下り側把持部５Ｄと下段の上り側把持部５Ｕとを接続する。

【0014】

このように、把持部５は、階段の段差部２ｂに対応する上り側の位置と下り側の位置にそれぞれ配置されている。これによって、階段２を上り下りする人は、階段の進行方向（Ｘ軸方向）を向いた状態で把持部５の第２部位８または第４部位９を掴むことができるため、手摺り１を掴む握力が弱くても、容易に段差部２ｂを上り下りすることができる。また、手摺り１を構成する上段の第１部位４と下り側把持部５Ｄ、第３部位６、下段の上り側把持部５Ｕと第１部位４は、この順番により一筆書きで接続されている。これによって、手摺り１を掴んだ手を離すことなく、掴んだ手を滑らせて手摺り１をなぞりながら階段２を上り下りすることができる。

【0015】

上記説明したように、本実施の形態の手摺り１は、階段２に設置される手摺り１であって、水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延びた第１部位４と、第１部位４と接続され、水平面内において進行方向と交差する方向に延び出た第２部位８を含む把持部５と、を含み、把持部５は、階段２の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に少なくとも一部が含まれるように配置されている。これによって、握力が弱くても容易に階段２を上り下りすることができる。なお、把持部５は、必ずしもその一部が段差位置Ｐに含まれていなくてもよく、階段２を上り下りする人が把持可能な範囲に配置されていればよい。

【0016】

次に、図５（ａ）を参照して、階段２に設定される手摺りの他の実施例（以下、単に「手摺り１Ａ」と称する。）について説明する。手摺り１Ａは、下り側把持部５Ｄを備えていないところが図１～図４に示す手摺り１とは異なる。以下、手摺り１と同じ部分には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。

【0017】

図５（ａ）において、手摺り１Ａは、水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延びた第１部位４と、第１部位４と接続され、水平面内において進行方向と交差する方向に延び出た第２部位８を含む上り側把持部５Ｕ（把持部５）と、階段の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置され、上段の第１部位４と下段の上り側把持部５Ｕとを接続する第３部位６と、を含む。上り側把持部５Ｕ（把持部５）は、階段２の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置されている。また、手摺り１Ａを構成する上段の第１部位４、第３部位６、下段の上り側把持部５Ｕは、この順番により一筆書きで接続されている。

【0018】

次に、図５（ｂ）を参照して、階段２に設定される手摺りの他の実施例（以下、単に「手摺り１Ｂ」と称する。）について説明する。手摺り１Ｂは、上り側把持部５Ｕを備えていないところが図１～図４に示す手摺り１とは異なる。以下、手摺り１と同じ部分には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。

【0019】

図５（ｂ）において、手摺り１Ｂは、水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延びた第１部位４と、第１部位４と接続され、水平面内において進行方向と交差する方向に延び出た第２部位８を含む下り側把持部５Ｄ（把持部５）と、階段の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置され、上段の下り側把持部５Ｄと下段の第１部位４とを接続する第３部位６と、を含む。下り側把持部５Ｄ（把持部５）は、階段２の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置されている。また、手摺り１Ｂを構成する上段の下り側把持部５Ｄ、第３部位６、下段の第１部位４は、この順番により一筆書きで接続されている。

【0020】

次に、図５（ｃ）を参照して、階段２に設定される手摺りの他の実施例（以下、単に「手摺り１Ｃ」と称する。）について説明する。手摺り１Ｃは、コの字型の把持部５の代わりに、Ｕ字型の把持部１２を備えているところが図１～図４に示す手摺り１とは異なる。すなわち、把持部１２は、第２部位８、半円周形の第６部位１１、第５部位１０を接続して構成されている。以下、手摺り１と同じ部分には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。

【0021】

図５（ｃ）において、手摺り１Ｃは、水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延びた第１部位４と、第１部位４と接続され、水平面内において進行方向と交差する方向に延び出た第２部位８を含む把持部１２（上り側把持部１２Ｕ、下り側把持部１２Ｄ）と、階段の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置され、上段の下り側把持部１２Ｄと下段の上り側把持部１２Ｕとを接続する第３部位６と、を含む。把持部１２（上り側把持部１２Ｕ、下り側把持部１２Ｄ）は、階段２の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置されている。また、手摺り１Ｃを構成する上段の第１部位４と下り側把持部１２Ｄ、第３部位６、下段の上り側把持部１２Ｕと第１部位４は、この順番により一筆書きで接続されている。

【0022】

なお、把持部１２は、階段２の段差部２ｂに対応する上り側の位置と下り側の位置にそれぞれ配置される他、上り側の位置のみ、または、下り側の位置のみに配置する形態であってもよい。

【0023】

次に、図５（ｄ）を参照して、階段２に設定される手摺りの他の実施例（以下、単に「手摺り１Ｄ」と称する。）について説明する。手摺り１Ｄは、コの字型の把持部５の代わりに、レの字型の把持部１４を備えているところが図１～図４に示す手摺り１とは異なる。すなわち、把持部１４は、水平面内において進行方向と鈍角に交差する方向（Ｙ軸方向）に延び出た第２部位１３、第５部位１０を接続して構成されている。以下、手摺り１と同じ部分には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。

【0024】

図５（ｄ）において、手摺り１Ｄは、水平面内における階段の進行方向（Ｘ軸方向）に延びた第１部位４と、第１部位４と接続され、水平面内において進行方向と交差する方向に延び出た第２部位１３を含む把持部１４と、階段の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置され、上段の把持部１４と下段の第１部位４とを接続する第３部位６と、を含む。把持部１４は、階段２の段差部２ｂに対応する位置（段差位置Ｐ）に配置されている。また、手摺り１Ｄを構成する上段の把持部１４、第３部位６、下段の第１部位４は、この順番により一筆書きで接続されている。

【0025】

なお、把持部１４は、階段２の段差部２ｂに対応する下り側の位置にのみ配置される他、上り側の位置のみ、または、上り側の位置と下り側の位置にそれぞれ配置する形態であってもよい。

【0026】

上記では、手摺り１、１Ａ～１Ｄは、２個の接続部７によって階段壁面３に固定される形態で説明したが、手摺り１、１Ａ～１Ｄの固定方法はこれに限定されることはない。例えば、階段２の踏板２ａから上方に突出するように設置された支柱部材に手摺り１、１Ａ～１Ｄを固定するようにしてもよい。

【産業上の利用可能性】

【0027】

握力が弱くても容易に階段を上り下りすることができる手摺りを提供する。

【符号の説明】

【0028】

１、１Ａ～１Ｄ 手摺り
２ 階段
２ｂ 段差部
４ 第１部位
５、１２、１４ 把持部
６ 第３部位
８、１３ 第２部位
Ｐ 段差位置（階段の段差部に対応する位置）

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】