(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068728
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】磁着可能なフリーサイズホルダー
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A47G29/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179281
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】591092523
【氏名又は名称】株式会社伸晃
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山口 明
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA09
3K100AE01
3K100AF03
3K100AH05
3K100AJ08
(57)【要約】
【課題】磁性壁に取り付ける二個一対のマグネットホルダーにおいて、物品の長さだけではなく厚みにも対応したフリーサイズホルダーを提供する。
【解決手段】直方体の物品の角部を支持する二つの支持体を左右対称に備え、前記支持体のそれぞれはホルダーベースとスライダーの組み合わせからなる。ホルダーベースは、背面にマグネットを備えた背板部の前方に左右片側の側板部及び底板部からなる固定アングル部を設けてなる。これに対してスライダーは、ホルダーベースの側板部及び底板部に対応した可動側板部及び可動底板部からなる。そして、スライダー側の可動アングル部をホルダーベース側の固定アングル部に対して前後に伸縮可能に設けている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体の物品の角部を支持する二つの支持体を左右対称に備え、前記支持体のそれぞれはホルダーベースとスライダーの組み合わせからなり、前記ホルダーベースは、背面にマグネットを備えた背板部の前方に左右片側の側板部及び底板部からなる固定アングル部を設けてなり、前記スライダーは、前記ホルダーベースの前記側板部及び前記底板部に対応した可動側板部及び可動底板部からなる可動アングル部を前記固定アングル部に対して前後に伸縮可能に設けたことを特徴とする磁着可能なフリーサイズホルダー。
【請求項2】
各支持体は、固定アングル部と可動アングル部の一方に複数の凸部を前後等間隔に設けると共に、他方には前記可動アングル部の伸縮時に前記凸部それぞれに係脱可能に係合する爪部を設けてなる請求項1記載の磁着可能なフリーサイズホルダー。
【請求項3】
固定アングル部の側板部及び底板部の縁部、又は可動アングル部の可動側板部及び可動側底板部の縁部の一方に他方の縁部をスライド自在に差し込む断面コ字状のレール部を設けた請求項1または2記載の磁着可能なフリーサイズホルダー。
【請求項4】
可動アングル部は固定アングル部の背板部と平行する前板部を有する請求項1記載の磁着可能なフリーサイズホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁性を有する壁面に取り付けて、ラップケースやティッシュボックスなどの直方体の物品を支持するホルダーに係り、より詳しくは、物品の長さだけではなく厚みにも対応したフリーサイズホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫の扉などの磁性壁に取り付けて、ラップケースなどを支持するマグネットホルダーとして、支持体を二個一対とすることにより、物品の長さに対応したものは特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-2835号公報
【特許文献2】実開平03-119348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1・2のホルダーは、前後の幅(奥行き)の寸法が固定されているため、その奥行きに見合った厚みの物品しか支持できず、支持できる物品の種類が少ないという課題がある。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、磁性壁に取り付ける二個一対のマグネットホルダーにおいて、物品の長さだけではなく厚みにも対応したフリーサイズホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために本発明では、直方体の物品の角部を支持する二つの支持体を左右対称に備え、前記支持体のそれぞれはホルダーベースとスライダーの組み合わせからなり、前記ホルダーベースは、背面にマグネットを備えた背板部の前方に左右片側の側板部及び底板部からなる固定アングル部を突設してなり、前記スライダーは、前記ホルダーベースの前記側板部及び前記底板部に対応した可動側板部及び可動底板部からなる可動アングル部を前記固定アングル部に対して前後に伸縮可能に設けるという手段を用いた。
【0007】
この手段によれば、各支持体を磁性壁等に取り付ける際、間隔を調整することによって物品の長さ(横幅)に対応することに加え、本発明ではスライダーを伸縮することによってホルダー全体の奥行きが調整されるため、物品の厚みにも対応する。即ち、ホルダーベースの固定アングル部の前後の幅を最小の奥行きとし、ここからスライダー(可動アングル部)を全部引き出したときは奥行きが最大となり、この間で物品の厚みに対応することができる。
【0008】
また、各支持体は、固定アングル部と可動アングル部の一方に複数の凸部を前後等間隔に設けると共に、他方には前記可動アングル部の伸縮時に前記凸部それぞれに係脱可能に係合する爪部を設けてなるという手段では、凸部に爪部が係合する毎にスライダーを間欠的に伸縮できるため、ホルダー全体の奥行きを段階的に調整することができる。そして、爪部や凸部の成形時に、係合力を予め調整し、スライダーを比較的強い力で押し込んだり引き出さない限り、爪部の係合は解除されないようにしておけば、静置の状態でスライダーが不用意に伸縮することがなく、一度決めた奥行きを維持することができる。
【0009】
さらに、固定アングル部の側板部及び底板部の縁部、又は可動アングル部の可動側板部及び可動側底板部の縁部の一方に他方の縁部をスライド自在に差し込む断面コ字状のレール部を設けるという手段では、スライダーが脱落することなく、確実に伸縮方向にスライド操作することができる。
【0010】
可動アングル部は固定アングル部の背板部と対峙する前板部を有するという手段では、物品を前板部と背板部とで挟持することができる。したがって、支持体を垂直壁に横並びに取り付けて、物品の両端を下から支持する場合に、前板部によって物品の落下を防止できることはもちろん、支持体を斜向かいに配置すれば、取付先が垂直壁であれ、テーブルの裏などの水平裏面であれ、物品をその対角で支持することも可能となる。
【0011】
また、二個一対の本ホルダーを二組使用すれば、物品の四隅に配置することで物品の保持力を高めることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品の長さだけではなく厚みにも対応したフリーサイズのマグネットホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るフリーサイズホルダーの伸長状態を示す斜視図
【
図6】本発明の第二実施形態に係るフリーサイズホルダーの背面と上面を示す斜視図
【
図7】本発明の第三実施形態に係るフリーサイズホルダーの背面と底面を示す斜視図
【
図8】本発明の第四実施形態に係るフリーサイズホルダーの斜視図
【
図9】本発明の第五実施形態に係るフリーサイズホルダーの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1~
図4は本発明の第一実施形態に係るフリーサイズホルダーを示しており、二つの支持体1・2を左右対称に備えてなる。各支持体1・2は、ホルダーベース1a・2aとスライダー1b・2bの組み合わせからなる。スライダー1b・2bはホルダーベース1a・2aに対して前後に伸縮可能に設けている。
図1はスライダー1b・2bをホルダーベース1a・2aから完全に引き出した伸長状態を示す一方、
図2はスライダー1b・2bをホルダーベース1a・2aに完全に収容した縮小状態を示している。このような伸縮構造において各支持体1・2の寸法を例示すると、上下の高さと左右の幅は70mm、前後方向の奥行きは内寸で65~115mmの範囲で伸縮する。
【0015】
次に、支持体1・2の詳細を説明する。なお、支持体1・2は左右対称であるため、ここでは左側の支持体1について
図3・4を用いて説明する。支持体1は、上述のようにホルダーベース1aとスライダー1bの組み合わせからなるところ、ホルダーベース1aは背板部3と、左側の側壁部4及び底板部5からなるL字形の固定アングル部6を前記背板部3から前方に水平に突出するように設けてなる。即ち、支持体1は上面、前面、及び右側面を開放した三面角コーナー部材を形成している。なお、背板部3の背面には
図4に示すようにゴム磁石などのマグネット3aを設けている。こうした固定アングル部6において、7は側壁部4の縁部と底板部5の縁部に設けた断面コ字状のレール部である。また、8は固定アングル部6の内角に設けた爪部であり、後述するスライダー1bの凹凸部に係合する。なお、この実施形態では爪部8を三連に設けているが、その個数はこれに限定されず、最小数としては一つであってもよい。
【0016】
これに対してスライダー1bは、ホルダーベース1aの側板部4及び底板部5に対応した可動側壁部9及び可動底板部10からなるL字形の可動アングル部11を備えている。また、この可動アングル部11の前端下部にはホルダーベース1aの背板部3と平行して前板部を立ち上げてなる。この前板部12は、本実施形態ではL形に形成しているが、その形態はこれに限らず、三角形としたり、背板部3と同様に四角形としてもよい。
【0017】
そして、スライダー1bにおける可動アングル部11の可動側壁部9と可動底板部10の縁部は一段薄く成形し、ホルダーベース1aのレール部7に差し込むことによって伸縮構造を構成している。なお、13はストッパーであって、スライダー1bを最大に引き出したときにレール部7の後端部に係止して、スライダー1bがレール部7から引き抜かれて脱落することを防止するものである。
【0018】
さらに、スライダー1bは、
図4に示すように、可動アングル部11の外角に複数の凸部14を凹凸状に設けてなる。この凸部14は、ホルダーベース1a側の爪部8が係脱可能な部分であって、爪部8が間欠的に係合することによってスライダー1bを段階に伸縮可能としたものである。
【0019】
本ホルダーは、左右対称の支持体1・2を二個一対として備えるため、
図5に示すように、直方体の物品を支持する際、磁性壁に対して横並びに配置される支持体1・2の間隔を調整することで長い物品(同図(a))にも短い物品(同図(b))にも対応するうえ、各支持体が背板部3にマグネット3aを備えたホルダーベース1aに対して、前板部12を備えたスライダー1bを前後方向に伸縮可能に組み付けてなるため、スライダー1bを引き伸ばせば厚みが大きい物品(
図5(c))も支持できるなど、様々な厚みの物品を背板部3と前板部12とで挟持することができる。
【0020】
なお、支持体1・2の配置は
図5の横並びであれば、物品を上下に出し入れすることができるが、ティッシュボックスなどのように、支持した状態で内容物を取り出す物品(
図5(c))であれば、物品の対角を支持するように斜向かいに配置してもよい。さらに、支持体1・2からなる本ホルダーを二組用いれば、物品の四隅を支持することで支持力を高めることも可能である。こうした斜向かいの配置や四隅への配置は、垂直壁に限らず、テーブルの裏側などの水平裏面にも適用することができる。
【0021】
また、スライダー1bにおいて前板部12は背板部とで物品を挟持する部分であるが、これを省略することも可能である。この場合の使用態様は、支持体1・2を垂直壁に対して横並びに配置し、且つ、底板部5と可動底板部10に物品を載置するものに限定されるが、物品の長さだけではなく厚みにも対応したフリーサイズホルダーを提供するといった本発明の目的は達成することができる。
【0022】
図6~
図9は、第二~第五実施形態であり、スライダーの段階的な伸縮構造についてのバリエーションを示したものである。即ち、第一実施形態において可動アングル部11の外角に設けた凸部13に代えて、ホルダーベース1aの側壁部4の外面上部に複数の凸部20を等間隔に設けたものとしたり(
図6)、スライダー1bの可動側壁部9及び可動底板部10の外面に複数の突条21を等間隔に設けたものとしたり(
図7)、スライダー1bの可動側壁部9及び可動底板部10の内面上部に複数の凸部22を等間隔に設けたものとしたり(
図8)、スライダー1bの可動側壁部9及び可動底板部10の縁端部に凸部23を波状に設けたものとしたりすることができる(
図9)。なお、これらの図では、凸部20~23に係合する爪部が隠れているが、これらこうした爪部は凸部20~23と対応する位置に設けられていることはもちろんである。
【符号の説明】
【0023】
1 支持体(左側)
2 支持体(右側)
1a ホルダーベース
1b スライダー
3 背板部
4 側板部
5 底板部
6 固定アングル部
7 レール部
8 爪部
9 可動側板部
10 可動底板部
11 可動アングル部
12 前板部
13 凸部