(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068742
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】制御方法、制御プログラム、およびアラーム配信システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179305
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宗島 理恵
(72)【発明者】
【氏名】杉山 久珠
(72)【発明者】
【氏名】佐野 縁
(72)【発明者】
【氏名】田中 理恵
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB04
4C117XC02
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE24
4C117XE37
4C117XG03
4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ46
4C117XL01
(57)【要約】
【課題】生体情報モニタに対する複雑な設定を行うことなく生体情報モニタから他の医療機器等へ必要なアラームを確実に通知でき、かつ医療従事者が対応する必要のないアラームの発生を抑制できるアラーム配信システムの制御方法、制御プログラム、およびアラーム配信システムを提供する。
【解決手段】患者の状態、および患者が置かれている状況に応じたワークフローに応じて、患者の管理方法に関する説明または質問を出力し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付ける(S102)。そして、回答に応じて、複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行い(S103)、上記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される複数の医療機器のアラームを連携して制御する(S104)。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療機器を有するアラーム配信システムの制御方法であって、
患者の状態、または前記患者が置かれている状況に応じたワークフローに応じて、前記患者の管理方法に関する説明または質問を出力し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付けるステップ(a)と、
前記応答または回答に応じて、前記複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行うステップ(b)と、
前記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される前記複数の医療機器のアラームを連携して制御するステップ(c)と、含む、制御方法。
【請求項2】
前記ワークフローは、看取られる患者、特定の疾患がある患者、特定の症状がある患者、特定のケアを必要とする患者、特定の処置を必要とする患者、特定の環境下にある患者又は夜間における患者に対する管理手順の流れである、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記複数の医療機器は、前記患者の生体情報を測定して測定結果を出力する生体情報モニタを含み、
前記ステップ(c)において、前記生体情報モニタと他の前記医療機器のアラームを連携して制御する、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)において、さらに、前記生体情報モニタの測定結果を連携して出力する、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)において、看取り時の患者の管理方法に関する説明または質問を表示し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付け、
前記ステップ(b)において、前記応答または回答に応じて、前記複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行い、
前記ステップ(c)において、前記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される前記複数の医療機器のアラームを連携して制御する、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項6】
前記複数の医療機器は、前記患者の生体情報を測定して測定結果を出力する生体情報モニタを含み、
前記ステップ(c)において、さらに、前記生体情報モニタの測定結果を通常モード時とは異なる色で出力する、請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記ステップ(b)において、前記生体情報モニタに対してアラーム出力の設定を行い、
前記ステップ(c)において、前記アラーム出力の設定に応じて、前記複数の医療機器のアラームを連携して制御する、請求項3に記載の制御方法。
【請求項8】
前記複数の医療機器は、前記生体情報モニタに接続されたセントラルモニタをさらに含み、
前記ステップ(c)において、前記アラーム出力の設定に応じて、前記生体情報モニタと前記セントラルモニタとにおけるアラームの発生が異なるように制御する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)において、前記複数の医療機器に対してアラーム動作の設定を行い、
前記ステップ(c)において、前記アラーム動作の設定に応じて、前記複数の医療機器のアラームを連携して制御する、請求項3に記載の制御方法。
【請求項10】
医療従事者が前記患者に対してこれ以上の積極的な救命処置を行わないことに同意していると判定された場合、
前記ステップ(c)において、前記アラーム動作の設定に応じて、アラームが発生しないように制御する、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記ステップ(b)において、前記アラーム動作として、Asystoleのバイタルアラームのみ発生、および患者アラームをOFFの2段階動作のうちから1つが選択される、請求項9に記載の制御方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の制御方法が含む処理をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項13】
複数の医療機器を有するアラーム配信システムであって、
患者の状態、および前記患者が置かれている状況に応じたワークフローに応じて、前記患者の管理方法に関する説明または質問を出力し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付ける管理方法受付部と、
前記応答または回答に応じて、前記複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行う動作設定部と、
前記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される前記複数の医療機器のアラームを連携して制御する動作制御部と、を有する、アラーム配信システム。
【請求項14】
前記ワークフローは、看取られる患者、特定の疾患がある患者、特定の症状がある患者、特定のケアを必要とする患者、特定の処置を必要とする患者、特定の環境下にある患者又は夜間における患者に対する管理手順の流れである、請求項13に記載のアラーム配信システム。
【請求項15】
前記複数の医療機器は、前記患者の生体情報を測定して測定結果を出力する生体情報モニタを含み、
前記動作制御部は、前記生体情報モニタと他の前記医療機器のアラームを連携して制御する、請求項13または14に記載のアラーム配信システム。
【請求項16】
前記管理方法受付部は、看取り時の患者の管理方法に関する説明または質問を表示し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付け、
前記動作設定部は、前記応答または回答に応じて、前記複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行い、
前記動作制御部は、前記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される前記複数の医療機器のアラームを連携して制御する、請求項13または14に記載のアラーム配信システム。
【請求項17】
前記動作設定部は、前記生体情報モニタに対してアラーム出力の設定を行い、
前記動作制御部は、前記アラーム出力の設定に応じて、前記複数の医療機器のアラームを連携して制御する、請求項15に記載のアラーム配信システム。
【請求項18】
前記動作設定部は、前記複数の医療機器に対してアラーム動作の設定を行い、
前記動作制御部は、前記アラーム動作の設定に応じて、前記複数の医療機器のアラームを連携して制御する、請求項15に記載のアラーム配信システム。
【請求項19】
前記複数の医療機器は、生体情報モニタ、セントラルモニタ、スレーブモニタ、施設内クライアント端末、施設外クライアント端末、およびパーソナルコンピュータの少なくともいずれかを含む、請求項13または14に記載のアラーム配信システム。
【請求項20】
動作設定の変更を行える医療機器が限定可能に構成されている、請求項19に記載のアラーム配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御方法、制御プログラム、およびアラーム配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場においては、生体情報モニタ等の医療機器を用いて、医師や看護師等の医療従事者による患者の容態のモニタリングが行われる。医療従事者は、例えば、医療機器に表示された生体情報を確認して、患者の容態を把握し、容態の変化、疾患等が認められた場合には、適宜医療介入等の処置を行う。
【0003】
通常、生体情報モニタには、各々の患者に対して、生体情報の適性範囲が予め設定され、測定された生体情報が適性範囲を逸脱している場合に警報(バイタルアラーム)を発生する機能が備わっている。また、患者に装着された電極、センサ等が脱落した場合や、生体情報モニタのバッテリが消耗した場合等、測定状況や、生体情報モニタのシステムに起因する警報(テクニカルアラーム)を発生する機能も備わっている。医療従事者は、生体情報モニタのモニタ画面に表示される生体情報の確認を行うとともに、これらの生体情報モニタアラーム(以下、単に「アラーム」ともいう)に注意し、対応することにより、患者の容態の監視をより確実に行うことができる。
【0004】
このように、生体情報モニタアラームは、医療従事者による患者の容態の監視を支援するツールとして重要な役割を果たす。しかしながら、アラームが頻発し、その発生数が医療従事者の対応可能な限度を超えた場合、アラーム対応が医療従事者の負担になりうる。また、患者やその家族、同室の他の患者等にとっても、アラーム音により、静かな環境が阻害されるおそれがある。このため、医療従事者は、患者やその家族、他の患者に対して静かな環境を保つため、アラームの解除操作を頻回に行って対応する必要がある。
【0005】
また、医療従事者が患者に対してこれ以上の積極的な救命処置を行わないこと、すなわちDNAR(Do Not Attempt Resuscitation)に患者が同意している場合、医療従事者がアラームに対応する必要がない場合もある。しかし、このような患者に対しても、生体情報モニタの各種アラームが頻発する可能性があり、終末期患者が家族と過ごす大切な時間の質を低下させうる。これに関連して、下記特許文献1には、DNARに同意した患者であることを通知する情報配信システムが開示されている。
【0006】
また、生体情報モニタから、看護師が常駐しているステーション等のセントラルモニタにアラームを通知する場合や、アラームの分岐、転送等により遠隔地の他の医療機器にアラームを通知する場合は、必ずしも患者側の生体情報モニタのアラームを動作させる必要はない。生体情報モニタから他の医療機器へアラーム通知を行う場合、各々の医療機器においてアラーム通知方法の設定が必要となるが、それらの設定は医療機器の数が多くなればなるほど複雑になることが想定される。他方、アラームは、医療安全の観点から対処すべき状態を通知する役割を担っている。各々の医療機器についてアラームを個別に抑制できるようにした場合、設定によっては、どの医療機器にもアラームが通知されない状態になり、対処すべき状態を通知するというアラームの本来の役割を果たせなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、医療従事者が生体情報モニタに対する複雑な設定を行う必要がなく、生体情報モニタから他の医療機器へ必要なアラームを確実に通知でき、かつ医療従事者が対応する必要のないアラームの発生を抑制できるアラーム配信システムの制御方法、制御プログラム、およびアラーム配信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
複数の医療機器を有するアラーム配信システムの制御方法であって、患者の状態、または患者が置かれている状況に応じたワークフローに応じて、患者の管理方法に関する説明または質問を出力し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付け、上記応答または回答に応じて、複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行い上記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される上記複数の医療機器のアラームを連携して制御する。
【0010】
複数の医療機器を有するアラーム配信システムであって、管理方法受付部、動作設定部、および動作制御部を有する。管理方法受付部は、患者の状態、および患者が置かれている状況に応じたワークフローに応じて、患者の管理方法に関する説明または質問を出力し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付ける。動作設定部は、上記応答または回答に応じて、複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行う。動作制御部は、上記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される複数の医療機器のアラームを連携して制御する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、医療機器は、患者の管理方法に関する説明または質問を出力し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付け、上記応答または回答に応じて、複数の医療機器に対して互いに関連、または連動するアラームに関する設定を行う。そして、上記設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される複数の医療機器のアラームを連携して制御する。これにより、医療従事者が患者の管理方法に関する説明または質問に応答または回答するだけで、医療機器から発生したアラームを通知する機器は、医療従事者が対応する必要のないアラームの発生を抑制できる。したがって、医療従事者が医療機器の動作設定を行う手間や、医療従事者が対応する必要のないアラーム対応を行う負担が軽減される。また、アラーム音の発生が抑制されるので、病室にいる患者やその家族は、静かな環境で過ごすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態におけるアラーム配信システムの構成を例示する概略ブロック図。
【
図2】
図1に示すベッドサイドモニタのハードウェア構成を例示する概略ブロック図。
【
図3】
図2に示す制御部の主要な機能を例示する機能ブロック図。
【
図4】
図1に示す送信機のハードウェア構成を例示する概略ブロック図。
【
図5】
図1に示す集中型受信機のハードウェア構成を例示する概略ブロック図。
【
図6】
図1に示すセントラルモニタのハードウェア構成を例示する概略ブロック図。
【
図7】アラーム配信システムにおけるコンフォートモードの適用例を例示する図。
【
図8】
図1に示すベッドサイドモニタおよびセントラルモニタによる患者の生体情報のモニタリングを例示する模式図。
【
図9】一実施形態における制御方法の処理手順を例示するフローチャート。
【
図10】患者の管理方法に関する質問を例示する図。
【
図11】コンフォートモードの設定項目を例示する図。
【
図12】コンフォートモードの設定項目のデフォルト(初期)設定を例示する図。
【
図13】コンフォートモードの開始時において「Asystoleのみ」に設定し途中でアラーム動作を「患者アラームOFF」に変更した場合の動作を例示する模式図。
【
図14】アラーム動作を設定するための画面を例示する模式図。
【
図15】コンフォートモードの開始時において「Asystoleのみ」に設定した後、アラーム通知方法を「通知しない」に設定した場合の動作を例示する模式図。
【
図16】アラーム通知方法を変更するための画面を例示する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るアラーム配信システムの制御方法、制御プログラム、およびアラーム配信システムについて詳細に説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
(アラーム配信システム100)
図1は、アラーム配信システム100の構成を例示する概略ブロック図である。本実施形態のアラーム配信システム100は、例えば、病院におけるアラーム配信システムであり、ベッドサイドモニタ10、送信機20、集中型受信機30、セントラルモニタ40、スレーブモニタ50、院内アクセスポイント60、院内クライアント端末(施設内クライアント端末)70、ゲートウェイサーバ80、Wifiアクセスポイント81、院外クライアント端末(施設外クライアント端末)82、PC(Personal Computer)83等を備える。
【0015】
これらのうち、ベッドサイドモニタ10、集中型受信機30、セントラルモニタ40、スレーブモニタ50、院内アクセスポイント60、院内クライアント端末70、およびゲートウェイサーバ80は、病院等の施設内に設置される機器であり、送信機20は、主に病院内において患者によって携帯される医療機器である。また、Wifiアクセスポイント81、院外クライアント端末82、PC83は、病院外に設置される機器である、
集中型受信機30およびセントラルモニタ40は、各々1つずつ備えられ、ベッドサイドモニタ10および送信機20は各々1つまたは複数備えられうる。また、送信機20、集中型受信機30、スレーブモニタ50、院内アクセスポイント60、院内クライアント端末70、ゲートウェイサーバ80、Wifiアクセスポイント81、院外クライアント端末82、およびPC83は、システム構成によっては備えられないこともある。また、アラーム配信システム100は、これらの構成要素以外の構成要素を備えることもできる。
【0016】
セントラルモニタ40とベッドサイドモニタ10との間は、有線または無線のネットワークにより相互に通信可能に接続される。同様に、セントラルモニタ40と集中型受信機30との間も、有線または無線のネットワークにより相互に通信可能に接続される。また、集中型受信機30と送信機20との間は、無線のネットワークにより相互に通信可能に接続される。
【0017】
ネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。ネットワークの通信規格として、例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または5Gを利用しうる。また、ゲートウェイサーバ80と、院外クライアント端末82およびPC83との間は、インターネットや電話回線により相互に通信可能に接続されうる。
【0018】
(ベッドサイドモニタ10)
図2は、
図1に示すベッドサイドモニタ10のハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。ベッドサイドモニタ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、センサ14、出力部15、および入力部16を有する。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。なお、一部の構成要素は、無線通信によりバスに接続されうる。
【0019】
ベッドサイドモニタ10は、例えば、生体情報モニタ(医療機器)であり、患者のベッドごとに設置されうる。ベッドサイドモニタ10は、各々の患者に対して、生体情報の適性範囲が生体情報ごとに予め設定され、測定された生体情報が適性範囲を逸脱している場合にバイタルアラームを発生する機能を備える。バイタルアラームには、例えば、Tachycardia(頻脈)、Bradycardia(徐脈)、Asystole(心停止)、SpO2(動脈血酸素飽和度)、RR(呼吸数)等が含まれる。
【0020】
また、ベッドサイドモニタ10は、患者に装着された電極、プローブ等のセンサ14が脱落した場合や、ベッドサイドモニタ10のバッテリ(不図示)が消耗した場合等、測定状況や、ベッドサイドモニタ10のシステム等に起因するテクニカルアラームを発生する機能も備える。
【0021】
制御部11は、例えば、不図示のプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有し、ベッドサイドモニタ10の各構成要素を制御するとともに、各種演算を行う。制御部11は、コンピュータとして機能する。
【0022】
記憶部12は、例えば、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置により構成され、制御プログラム等の各種プログラムや、測定された生体情報等の各種データを記憶する。また、記憶部12は、ベッドサイドモニタ10が実行している動作モードを記憶する。本実施形態では、動作モードには、通常モードの他に、コンフォートモード(Comfort Mode)や、夜間モード等が含まれる。コンフォートモードは、後述するように、終末期患者のモニタリング中に医療従事者によって設定され、当該患者の生体情報のモニタリングが継続している間は必要最低限のアラーム(例えば、一部のバイタルアラーム、およびテクニカルアラーム)のみを発生させる動作モードである。また、夜間モードは、アラームの機能の変更または制限により、夜間における生体情報のモニタリングに適した動作モードである。また、記憶部12は、動作モードの設定、患者の管理方法に関して医療従事者が容易に理解できる説明または質問、当該説明または質問に対するユーザの応答または回答、コンフォートモードの開始/終了/設定変更等の履歴を記憶する。
【0023】
通信部13は、ベッドサイドモニタ10と、セントラルモニタ40等の他の機器とを通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部13は、例えば入力端子、アンテナ、およびフロントエンド回路等を有しうる。
【0024】
センサ14は、生体情報を測定するためのデバイスまたは素子である。センサ14には、例えば、心電図測定用電極、SpO2プローブ等が含まれる。心電図測定用電極は、患者の胸部や四肢等に装着される。また、SpO2プローブは、患者の指等に装着される。
【0025】
出力部15は、表示部、LEDランプ17(
図8を参照)、スピーカ(不図示)等を有する。表示部は、測定された生体情報、生成されたアラーム等を表示する。表示部は、例えば液晶ディスプレイ等を有しうる。
【0026】
LEDランプ17は、アラームの種類(バイタルアラーム/テクニカルアラーム)、およびアラームの内容(Bradycardia、Asystole等)に応じて発光(色、点灯/消灯/点滅等)が制御される。例えば、Bradycardiaのバイタルアラーム(以下、「Bradyアラーム」という)の場合、LEDランプ17は黄色に点灯され、Asystoleのバイタルアラーム(以下、「Asysアラーム」という)の場合、LEDランプ17は赤色に点灯されうる。
【0027】
また、スピーカは、生成されたアラーム等を音声(アラーム音)により出力する。例えば、アラームの種類、およびアラームの内容に応じて音の大きさ、音程、音色、メロディー等が制御される。
【0028】
入力部16は、ユーザ(看護師、医師等の医療従事者)による入力操作を受け付ける。入力部16は、例えば、ハードウェアキー、および表示部に重畳するように配置されたタッチパッド等を有する。タッチパッドおよび表示部は、タッチパネルディスプレイを構成する。本実施形態では、入力部16は、動作モードの選択や、患者の管理方法に関する上記説明または質問に対するユーザの応答または回答を受け付けるために使用される。また、コンフォートモードの設定をユーザが手動で入力する場合は、入力部16を通じて入力されうる。また、入力部16は、音声入力するためのマイクを有することもできる。
【0029】
図3は、
図2に示す制御部11の主要な機能を例示する機能ブロック図である。本実施形態では、制御部11は、測定部111、取得部112、モード受付部113、管理方法受付部114、動作設定部115、および動作制御部116として機能する。
【0030】
測定部111は、センサ14の検出結果に基づいて生体情報を測定(算出)し、通信部13を制御して、測定された生体情報を、患者情報(患者に関する情報)と関連付けてセントラルモニタ40へ送信する。生体情報には、例えば、心電図(ECG)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、観血式血圧(IBP)、非観血式血圧(NIBP)、呼吸(RESP)、呼気および吸気の二酸化炭素(CO2)が含まれる。
【0031】
患者情報は、例えば、患者の氏名、登録番号(ID)、ベッド番号、年齢、性別、DNARの同意の有無等を含み、ユーザによってセントラルモニタ40に入力される。DNARは、医療従事者が終末期患者等に対してこれ以上の積極的な救命処置を行わないことを意味する。患者、またはその家族等の代理人がDNARに同意していると判定される場合は、DNARの「同意有」が登録され、同意していないと判定された場合はDNARの「同意無」が登録される。
【0032】
また、測定部111は、各々の生体情報について、測定値が適性範囲外である場合、生体情報に応じてバイタルアラームを生成する。生体情報の適性範囲は、予め設定された上限値、および下限値によって定義される範囲である。上限値、および下限値は、例えば、予め記憶部12に記憶されている。例えば、生体情報としての心拍数(HR:Heart Rate)が下限値を下回った場合、Bradyアラーム、またはAsysアラーム(心拍数が0の場合)を生成する。心拍数は、例えば心電図から算出されうる。
【0033】
取得部112は、患者情報を取得する。取得部112は、例えば、セントラルモニタ40から患者情報を取得する。後述するように、セントラルモニタ40の記憶部42(
図6を参照)には、病院内の複数の患者について患者情報が蓄積されている。
【0034】
モード受付部113は、動作モードの選択を受け付ける。ユーザは、通常モード、コンフォートモード、夜間モード等を含む複数の動作モードのいずれかを選択できる。コンフォートモード、夜間モード等の動作モードでは、患者の状態、および患者が置かれている状況に応じて患者を管理するためのワークフローに従って患者の管理を行うことができる。以下、ワークフローに従って患者の管理を行うコンフォートモード、夜間モード等の動作モードをワークフローモードと呼ぶ。
【0035】
医療従事者は、患者の状態、および患者が置かれている状況に応じて患者の管理方法を使い分けている。ある1つの状態、および状況における管理方法をワークフローと呼ぶ。ワークフローは、例えば、看取られる患者、特定の疾患がある患者、特定の症状がある患者、特定のケアを必要とする患者、特定の処置を必要とする患者、特定の環境下にある患者又は夜間における患者に対する管理手順の流れでありうる。特定のケアとしては、例えば、清拭、口腔ケア、移乗介助、食事介助等の院内で日常生活を送る際に必要な生活援助、ならびに患者および患者家族への環境整備や配慮等を行うことが挙げられる。これらは、主に看護師によって行われる。また、特定の処置としては、気管挿管、輸液ルート確保、創傷の消毒等入院加療する際に生じる医療的な介入が挙げられる。これらは主に医師または看護師によって行われる。コンフォートモードにおいては、看取られる患者を管理するためのワークフローが使用される。また、特定の環境としては、夜間、入院する部屋のベッド数(例、個室、相部屋)、面会中、食事中、リハビリ中が挙げられる。各動作モードに対応するワークフローが有する管理手順や管理内容は、記憶部12に予め記憶されている。
【0036】
以下では、選択された動作モードが通常モード、またはコンフォートモードである場合を例示して、本実施形態のアラーム制御について説明する。ベッドサイドモニタ10をコンフォートモードで動作させることにより、医療従事者による対応が不要なアラームを抑制し、終末期患者やその家族等にとって静かな環境を維持できる。
【0037】
なお、取得部112よって取得された患者情報に基づいて、患者が終末期患者であり、患者、またはその家族等の代理人がDNARに同意していると判定された場合(すなわち「同意有」)は、動作モードをコンフォートモードに自動的に設定するように構成してもよい。
【0038】
管理方法受付部114は、選択された動作モードに応じて、患者の管理方法に関して医療従事者が容易に理解できる説明または質問を出力部15の表示部に表示(出力)するように制御する。また、管理方法受付部114は、入力部16を介して上記説明または質問に対するユーザの応答または回答を受け付ける。説明または質問は、例えば、患者の看取り時において、アラーム配信システム100によって患者を管理(モニタリング)する方法に関する。質問の具体例については後述する(
図10を参照)。管理方法受付部114は、受け付けた応答または回答を動作設定部115に送信する。
【0039】
なお、管理方法受付部114は、上記説明または質問を表示する代わりに、あるいは表示することに加えて、出力部15のスピーカに音声出力するように構成されうる。また、管理方法受付部114は、音声認識部を備え、説明または質問に対する、音声によるユーザの回答を、マイクを介して受け付けることもできる。
【0040】
動作設定部115は、管理方法受付部114が受け付けた応答または回答に応じて、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40(複数の医療機器)に対して互いに関連、または連動する動作設定を行う。動作設定は、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40の使われ方により異なるが、1つのワークフローとして関連や一貫性があり、連動する。また、動作設定部115は、セントラルモニタ40が有してもよい。ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40の動作設定の詳細については後述する。なお、院内クライアント端末60および/または院外クライアント端末82が動作設定部115を有し、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40(複数の医療機器)に対して互いに関連、または連動する動作設定を行う構成としてもよい。
【0041】
動作制御部116は、動作設定部115によって行われた動作設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用される複数の医療機器のアラームを連携して制御する。ここで、同じ患者に同時に使用される複数の医療機器とは、1人の患者に対して使用されるベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40を含む複数の医療機器を意味し、患者群に同時に使用される複数の医療機器とは、異なる複数の患者に対して使用される各々のベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40を意味する。動作制御部116は、動作モードがコンフォートモードである場合、コンフォートモードに特有のアラーム制御を実行する。アラーム制御は、患者の生体情報に基づくバイタルアラーム、およびベッドサイドモニタ10に関するテクニカルアラームのうちの少なくとも1つに関する制御である。コンフォートモードに特有のアラーム制御の詳細については後述する。
【0042】
一方、動作制御部116は、動作モードが通常モードであり、アラームが生成された場合、出力部15にアラームが継続的に発生するように制御する。また、動作制御部116は、生体情報とともにアラーム情報をセントラルモニタ40へ送信するように制御する。アラーム情報は、生成されたアラーム(バイタルアラーム、および/またはテクニカルアラーム)と、生成された各々のアラームについてのアラームフラグとを含む。アラームフラグは、アラーム情報の送信先のセントラルモニタ40において、アラーム情報の出力が必要であることを表す情報である。
【0043】
このように、動作モードが通常モードである場合、生体情報およびアラーム情報の送信は、医療従事者による対応の要否にかかわらず継続的に行われる。
【0044】
(送信機20)
図4は、
図1に示す送信機20のハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。送信機20は、患者に携帯され、患者の生体情報を測定し、無線で集中型受信機30へ送信する装置である。送信機20は、制御部21、記憶部22、通信部23、およびセンサ24を有する。送信機20の制御部21、記憶部22、およびセンサ24の基本構成は、ベッドサイドモニタ10の対応する構成要素の基本構成と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0045】
制御部21は、センサ24による検出結果に基づいて生体情報を測定し、通信部23を制御して、無線でセントラルモニタ40へ送信する。通信部23は、送信機20とセントラルモニタ40とを、例えば無線LAN等のネットワークで通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部23は、例えば入力端子、アンテナ、およびフロントエンド回路等により構成されうる。なお、送信機20は、生体情報を表示する表示部(図示せず)をさらに備えうる。
【0046】
(集中型受信機30)
図5は、集中型受信機30のハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。集中型受信機30は、制御部31、記憶部32、および通信部33を含む。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。集中型受信機30の制御部31、記憶部32、および通信部33の基本構成は、ベッドサイドモニタ10や送信機20の対応する構成要素の基本構成と同様であるため重複する説明は省略する。
【0047】
制御部31は、各送信機20から生体情報を通信部33により受信する。制御部31は、生体情報の測定値が適性範囲外である場合、バイタルアラームを含むアラーム情報を生体情報とともにセントラルモニタ40へ送信する。また、制御部31は、送信機20においてエラー等を検出した場合は、通信部33を制御して、テクニカルアラームを含むアラーム情報をセントラルモニタ40へ送信する。
【0048】
通信部33は、集中型受信機30と、セントラルモニタ40および送信機20とを通信可能に接続するためのインターフェースである。送信機20によって測定された生体情報が適性範囲外である場合、または送信機20においてエラー等が検出されている場合、アラーム情報が継続的にセントラルモニタ40へ送信されうる。
【0049】
(セントラルモニタ40)
図6は、
図1に示すセントラルモニタ40のハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。セントラルモニタ40は、例えば、病院内において看護師が常駐しているステーション等に設置される医療機器である。セントラルモニタ40は、制御部41、記憶部42、通信部43、出力部44、および入力部45を有する。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。これらの構成要素の基本構成は、ベッドサイドモニタ10の対応する構成要素の基本構成と同様であるため重複する説明は省略する。
【0050】
制御部41は、通信部43を制御して、各ベッドサイドモニタ10、および/または集中型受信機30へ患者情報を送信するとともに、各ベッドサイドモニタ10および集中型受信機30から、生体情報、および/またはアラーム情報を受信する。制御部41は、受信した生体情報をモニタ画面に表示するように出力部44を制御する。制御部41は、コンピュータとして機能する。
【0051】
セントラルモニタ40は、例えば、患者毎に通常モード、コンフォートモード、夜間モード等を含む複数の動作モードのいずれかで動作する。ベッドサイドモニタ10の場合と同様に、ワークフローモードでは、患者の状態、および患者が置かれている状況に応じて患者を管理するためのワークフローに従って患者を管理できる。
【0052】
セントラルモニタ40の電源が投入された直後の初期状態では、動作モードは通常モードに設定されうる。また、患者が終末期患者であり、DNARに同意していると判定された場合は、後述するように、患者のモニタリング中にユーザによって動作モードがコンフォートモードに設定される。なお、患者情報に基づいて、患者が終末期患者であり、DNARに同意していると判定された場合は、動作モードをコンフォートモードに自動的に設定するように構成してもよい。動作モードがコンフォートモードに設定されると、制御部41は、看取られる患者を管理するためのワークフローを実行する。
【0053】
制御部41は、セントラルモニタ40の動作モードを判定し、判定された動作モードが通常モードである場合、通常のアラーム制御を実行する。通常のアラーム制御においては、受信したアラームにアラームフラグが付加されている場合、アラームが発生するように制御される。
【0054】
一方、判定された動作モードがコンフォートモードである場合、特有のアラーム制御を実行する。特有のアラーム制御においては、例えば、コンフォートモードの設定に応じて、必要最低限のアラーム(例えば、一部のバイタルアラーム、およびテクニカルアラーム)のみが発生するように制御される。コンフォートモードの設定の詳細については後述する。
【0055】
記憶部42は、例えば、SSD等の補助記憶装置により構成され、アラーム制御プログラム等の各種プログラムや、受信した生体情報、アラーム情報等の各種データを記憶する。また、記憶部42は、病院内の患者について患者情報を蓄積し、受信した生体情報および/またはアラーム情報を、受信した時間、および患者情報と対応付けて記憶する。また、記憶部42は、コンフォートモードの設定を記憶する。また、記憶部42は、セントラルモニタ40が実行している動作モードを記憶する。さらに、記憶部42は、セントラルモニタ40に対して行われたコンフォートモードの開始/終了/設定変更等の履歴を記憶する。
【0056】
出力部44は、表示部、LEDランプ46(
図8を参照)、およびスピーカ(不図示)を有する。表示部は、例えば、液晶ディスプレイ等を有し、受信した生体情報、およびアラーム等を表示する。LEDランプ46は、ベッドサイドモニタ10のLEDランプ17と同様に、アラームの種類、およびアラームの内容に応じて発光が制御される。また、スピーカは、受信したアラーム等を音声(アラーム音)により出力する。
【0057】
入力部45は、ユーザによる入力操作を受け付ける。入力部45は、例えば、ハードウェアキー、および表示部に重畳するように配置されたタッチパッド等を有する。タッチパッドおよび表示部は、タッチパネルディスプレイを構成する。本実施形態では、入力部45は、例えば、上記説明または質問に対するユーザの応答または回答を受け付けるために使用される。また、コンフォートモードの設定をユーザが手動で入力する場合は、入力部45を通じて入力されうる。後述するように、セントラルモニタ40は、コンフォートモードの設定項目において、「セントラルモニタからの操作」が許可されている場合のみコンフォートモードの設定が可能である。
【0058】
<アラーム配信システム100内のその他の機器>
ベッドサイドモニタ10によって測定された生体情報、および/または生成されたアラームは、スレーブモニタ50、院内クライアント端末70、院外クライアント端末82、およびPC83においても表示(出力)可能である。
【0059】
例えば、患者の担当医は、病院内の患者の病室やステーション以外の場所においても、スレーブモニタ50や院内クライアント端末70により、患者の生体情報、および/またはアラームをリアルタイムで確認できる。さらに、インターネットや電話回線を通じた通信を利用すれば、病院外にいる医療従事者(専門医等)が院外クライアント端末82やPC83により、患者の生体情報、および/またはアラームをリアルタイムで確認できる。
【0060】
<アラーム配信システム100におけるコンフォートモードの適用例>
図7は、アラーム配信システム100におけるコンフォートモードの適用例を例示する図である。本実施形態のアラーム配信システム100では、ベッドサイドモニタ10および送信機20は各々センサ14およびセンサ24を有し、生体情報を測定する患者デバイスに該当する。
【0061】
また、ベッドサイドモニタ10、セントラルモニタ40、スレーブモニタ50、院内クライアント端末70、院外クライアント端末82、およびPC(パーソナルコンピュータ)83は、生体情報、および/またはアラームを表示する表示部を有し、コンフォートモードを動作させることができる。一方、送信機20は、患者の生体情報をセントラルモニタ40へ送信するための機器であるので、コンフォートモードを動作させることはできない。また、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40においては、コンフォートモードの設定を行うことができる。
【0062】
<制御方法>
以下、
図8~
図12を参照して、制御方法の処理手順を説明する。
図8は、
図1に示すベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40による患者の生体情報のモニタリングを例示する模式図である。また、
図9は、本実施形態におけるアラーム配信システム1の制御方法の処理手順を例示するフローチャートである。同図の制御方法の処理は、制御部11、および制御部41のプロセッサが各々制御プログラムを実行することにより実現される。また、
図10は、患者の管理方法に関する質問を例示する図、
図11はコンフォートモードの設定項目を例示する図、
図12はコンフォートモードの設定項目のデフォルト(初期)設定を例示する図である。
【0063】
図8に示すように、ベッドサイドモニタ10は、病室のベッドに仰臥した終末期の患者Aの生体情報、およびバイタルアラームを表示している。この時、バイタルアラームの内容に対応するアラーム音も併せて出力されうる。また、アラーム発生を示すLEDランプ17も点灯している。この時点では、ベッドサイドモニタ10は、通常モードで動作している。医療従事者であるスタッフ(例えば、患者Aの受け持ち看護師)は、病室において、患者Aの様子や、ベッドサイドモニタ10に表示された生体情報から患者Aの容態を確認し、必要に応じてベッドサイドモニタ10のアラームに対応する。また、病室において、患者Aの家族が患者Aを見守っている。
【0064】
また、病院内のステーションでは、セントラルモニタ40がベッドサイドモニタ10から生体情報、およびアラーム情報を受信し、出力部44の表示部に生体情報およびアラームを表示するとともに、スピーカからアラーム音を出力する。また、アラーム発生を示すLEDランプ46も点灯している。リーダ(例えば、看護師長)は、セントラルモニタ40の表示内容、アラーム音、およびLEDランプ46を確認し、患者Aの容態を把握する。また、リーダは、必要に応じて医師に連絡(ドクターコール)する。なお、
図8には、患者Aのベッドサイドモニタ10のみ例示されているが、例えば病院内の他の患者のベッドサイドモニタもセントラルモニタ40にLAN等により接続されうる。複数の患者のベッドサイドモニタがセントラルモニタ40に接続されている場合は、セントラルモニタ40の出力部44の表示部に複数の患者(
図8の例では4人分)の生体情報およびアラームが並んで表示されうる。
【0065】
図9に示すように、まず、動作モードの設定を受け付ける(ステップS101)。制御部11は、ベッドサイドモニタ10の表示部に選択可能な動作モードを表示させる。ユーザは、表示部に表示された動作モードのいずれかを入力部16を使用して選択し、モード受付部113は、ユーザによって選択された動作モードの設定を受け付ける。なお、いずれの動作モードも選択されない場合、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40の動作モードは、例えば、通常モードのまま維持されうる。
【0066】
次に、患者の管理方法に関して説明または質問を出力し、応答または回答を受け付ける(ステップS102)。例えば、
図10に示すように、管理方法受付部114は、看取られる患者を管理するためのワークフローに応じて、看取り時の患者の管理方法に関する質問(図中における破線の左側の部分に対応)を表示する。一例として、「コンフォートモードを使用しますか?」の質問と、それに続くQ1~Q4の4つの質問とが表示される。これらの質問は、ユーザが容易に理解でき、例えば、「はい」、または「いいえ」で回答できる平易な質問である。質問は、ワークフローごとに用意され、記憶部12に予め記憶されている。なお、看取り時の患者の管理方法に関する質問は、
図10に例示されている4つに限らず、必要に応じて追加できる。他のワークフローの質問も同様である。
【0067】
次に、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40の動作設定を行う(ステップS103)。動作設定部115は、質問の回答に応じて、「コンフォートモードの使用」、「アラーム出力」、「アラーム動作」、および「セントラルモニタからの操作」のコンフォートモードの設定項目について設定を行う(
図10の破線の右側の部分に対応)。「アラーム出力」、および「アラーム動作」の設定は、アラームに関する設定に対応する。
【0068】
例えば、「コンフォートモードを使用しますか?」の質問に対して回答が「いいえ」である場合、「コンフォートモードの使用」は「しない」に設定され、回答が「はい」である場合、「コンフォートモードの使用」は「する」に設定される。また、回答が「はい」である場合、Q1~Q4の質問に対する回答に応じて、各々「アラーム出力」、「アラーム動作」、および「セントラルモニタからの操作」の設定が行われる。
【0069】
このように、患者を管理する方法に関する合計5つの質問にユーザが回答することにより、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40の動作設定を自動的に行うことができる。
【0070】
なお、以上では、コンフォートモードの設定項目のうち、「コンフォートモードの使用」、「アラーム出力」、「アラーム動作」、および「セントラルモニタからの操作」の設定を行う場合について例示した。しかし、本発明はこのような場合に限定されず、他の項目についても、ワークフローに沿った質問を準備することにより、質問の回答に応じて、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40の動作設定を行うように構成できる。他の項目については、
図11を参照して後述する。
【0071】
次に、
図9に戻り、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40のアラームを連携して制御する(ステップS104)。動作制御部116は、動作設定部115によって行われた動作設定に応じて、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40のアラームを連携して制御する。また、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40において、ベッドサイドモニタ10によって測定された生体情報の測定結果を連携して出力する。ユーザがアラームと併せて測定結果を確認できるので、患者の状態を把握しやすい。
【0072】
例えば、ユーザが、「コンフォートモードを使用しますか?」に対して「はい」、「Q1.お看取り時、セントラルモニタでアラーム監視しますか?」に対して「はい」、「Q2.お看取り時、ベッドサイドモニタで心停止アラームは必要ですか?」に対して「いいえ」、と回答した場合を想定する。この回答に応じて、「コンフォートモードの使用」は「する」、「アラーム出力」は「抑制しない」、「アラーム動作」は「選択不可」、に設定される。これにより、コンフォートモード時、患者側の医療機器(ベッドサイドモニタ10)のアラームの鳴動を抑制する一方で、ステーションの医療機器(セントラルモニタ40)のアラームを鳴動させることができる。
【0073】
このように、
図9に示すフローチャートの処理では、動作モードを受け付け、選択された動作モードに対応するワークフローに応じて、患者の管理方法に関する説明または質問を出力し、応答または回答を受け付ける。続いて、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40の動作設定を行い、動作設定に応じて、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40のアラームを連携して制御する。
【0074】
本実施形態では、ユーザが、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40に対して複雑な動作設定を行う代わりに、ユーザが容易に理解、および回答できるいくつかの質問に回答するだけで、アラーム通知を必要としている医療機器に確実にアラーム通知できる。上述した看取られる患者を管理するためのワークフローの例では、ユーザが5つの質問に答えるだけで、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40における関連、または連動したアラームの動作設定が行える。
【0075】
すなわち、本実施形態では、患者の状態、および患者が置かれている状況(シーン)に応じて、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40の連携した動作をまとめて設定できるので、ユーザにとって負担が少なく便利である。また、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40の両方においてアラーム通知を抑制する設定が行われることでいずれの機器においてもアラーム通知がなされない、というリスクを回避できる。
【0076】
以下、
図11および
図12を参照して、コンフォートモードの設定、およびコンフォートモードに特有のアラーム制御について詳細に説明する。上述のように、本実施形態では、患者の管理方法に関する質問に回答することにより、複数の医療機器に対するアラームの動作設定を自動的に行えるが、必要に応じて、コンフォートモードの設定の一部または全部を後から操作者が手動で行えるよう設定することもできる。
【0077】
図11に示すように、「コンフォートモードの使用」の設定は、コンフォートモードを使用するか否かに関する設定である。上述のように、「コンフォートモードの使用」が、「する」に設定された場合、ユーザによるコンフォートモードの開始操作/終了操作を許可するように設定される。一方、「コンフォートモードの使用」が、「しない」に設定された場合、ユーザによるコンフォートモードの開始操作/終了操作を許可しないように設定される。
【0078】
「コンフォートモードの使用」の設定は、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40において連動しない。すなわち、「コンフォートモードの使用」は、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40について個別に設定される。
図12に示すように、デフォルトでは、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40の双方とも「しない」に設定されている。これは、ユーザがコンフォートモードの機能を正しく理解しない状態で使用することを防止するためである。
【0079】
「コンフォートモードの色」の設定は、コンフォートモード時において、生体情報の表示に使用する色に関する設定である。本実施形態では、動作モードがコンフォートモードに移行すると、画面表示を専用の画面表示に切り替える。例えば、コンフォートモード時では、生体情報は、白色等で表示される一方で、通常モード時では、生体情報は、緑色等で表示されうる。コンフォートモード時において、通常モード時とは異なる色で生体情報を表示することにより、ユーザが、動作モードがコンフォートモードであることを認識しやすい。
【0080】
「コンフォートモードの色」の設定は、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40において連動しない。すなわち、「コンフォートモードの色」は、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40について個別に設定される。
【0081】
「アラーム出力」の設定は、ベッドサイドモニタ10がアラーム情報をネットワークに出力するか否かに関する設定である。「アラーム出力」が「抑制する」に設定されている場合、動作制御部116は、アラームフラグが付加されたアラームをネットワークに出力しない(すなわち、抑制する)ように制御する。これにより、セントラルモニタ40は、ベッドサイドモニタ10からのアラームを受信しないので、ベッドサイドモニタ10からのアラームは発生しない。
【0082】
一方、ベッドサイドモニタ10においては、後述するように「アラーム動作」が「患者アラームOFF」に設定されている場合、動作制御部116は、出力部15によるアラームの発生を抑制するように制御する。したがって、この場合、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40のどちらにおいてもアラームは発生しない。したがって、ベッドサイドモニタ10のアラームと、セントラルモニタ40のアラームとを一致させることができる。本実施形態では、DNARに同意していると判定され、動作モードをコンフォートモードに設定した場合、動作制御部116は、「アラーム動作」が「患者アラームOFF」に設定された場合にアラームを発生させないように制御する。
【0083】
一方、「アラーム出力」が「抑制しない」に設定されている場合、動作制御部116は、アラームフラグが付加されたアラームをネットワークに出力する(すなわち、抑制しない)ように制御する。これにより、ベッドサイドモニタ10においては、アラームの発生が抑制される一方で、動作制御部116は、アラームフラグが付加されたアラームをネットワークに出力するので、セントラルモニタ40においては、アラームを受信し、アラームが発生する(後述のアラーム通知方法が「通知する」に設定されている場合)。このように、「アラーム出力」の設定に応じて、ベッドサイドモニタ10とセントラルモニタ40とにおけるアラームの発生が異なるように制御できる。したがって、セントラルモニタ40のアラームを、ベッドサイドモニタ10のアラームとは別に管理できる。
【0084】
「アラーム出力」は、ベッドサイドモニタ10についてのみ設定できる。デフォルトは、「抑制しない」に設定されている。
【0085】
「アラーム動作」の設定は、コンフォートモード時のアラーム動作(アラームを抑制するレベル)の選択に関する設定である。「アラーム動作」が「選択可」に設定されている場合、ユーザがアラーム動作を選択できる。より具体的には、ユーザは、アラーム動作として、(1)Asysアラームのみ発生、すなわちAsystoleを除くバイタルアラームを抑制、(2)患者アラームをOFF、すなわちバイタルアラームをすべて抑制、の2段階動作のうちから1つを選択できる。
【0086】
例えば、ユーザが「(1)Asysアラームのみ発生」を選択した場合、Asystoleを除くバイタルアラームが抑制されるので、医療従事者および患者家族はAsystole(心停止)の状態となったことが分かる。また、ユーザが「(2)患者アラームをOFF」を選択した場合、バイタルアラームをすべて抑制できるので、病室において患者Aを医療従事者および家族が見守っている場合等において、不要なアラームに煩わされることを防止できる。
【0087】
一方、「選択不可」に設定されている場合、ユーザがアラーム動作を選択できない。コンフォートモードでは、ベッドサイドモニタ10においてバイタルアラームが自動的に抑制される。なお、システムアラームについては、アラーム動作の設定にかかわらず発生しうる。
【0088】
なお、「アラーム動作」の設定は、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40において連動する。すなわち、「アラーム動作」は、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40のいずれか一方で設定された内容が他方にも適用される。
【0089】
「セントラルモニタからの操作」の設定は、セントラルモニタ40からコンフォートモードの設定(コンフォートモードの開始操作/終了操作(/レベル設定))を許可するか否かに関する設定である。「許可」に設定されている場合、セントラルモニタ40からの設定(変更)を許可する。これにより、ユーザは、ベッドサイドモニタ10、およびセントラルモニタ40(他の医療機器)の双方から、コンフォートモードの設定(変更)ができる。
【0090】
一方、「禁止」に設定されている場合、セントラルモニタ40からのコンフォートモードの設定(変更)を許可しない。これにより、ベッドサイドモニタ10のみから、コンフォートモードの設定(変更)ができる。
【0091】
「セントラルモニタからの操作」は、ベッドサイドモニタ10のみから設定でき、デフォルトでは「禁止」に設定されている。これは、ユーザがコンフォートモードについて十分に理解していない状態で、セントラルモニタ40から、コンフォートモードの設定を行う操作が行われることを防止するためである。
【0092】
「アラーム通知変更許可」の設定は、セントラルモニタ40におけるアラーム通知の変更に関する設定である。「許可」に設定されている場合、セントラルモニタ40(他の医療機器)からアラーム通知の変更を許可する。この場合、セントラルモニタ40のモニタ画面には、アラーム通知を変更するためのソフトキーが表示される(
図16を参照)。また、アラーム通知は、「通知あり」、または「通知なし」を選択でき、デフォルトでは「通知あり」に設定されている。したがって、セントラルモニタ40において、アラーム通知の有無をユーザが任意に設定できる。
【0093】
一方、「禁止」に設定されている場合、アラーム通知の変更を禁止する。この場合、セントラルモニタ40のモニタ画面には、アラーム通知を変更するためのソフトキーは表示されない。
【0094】
「アラーム通知変更許可」は、セントラルモニタ40のみから設定でき、デフォルトでは「禁止」に設定されている。なお、「アラーム通知変更許可」の設定は、ベッドサイドモニタ10における「アラーム出力」のデフォルト設定を変更しない。
【0095】
このように、本実施形態では、動作設定の変更を行える医療機器が限定可能に構成されている。
【0096】
<コンフォートモードの動作例>
<動作例1>
図13は、コンフォートモードの開始時において、「Asystoleのみ」に設定し途中でアラーム動作を「患者アラームOFF」に変更した場合の動作を例示する模式図である。同図において、モニタ画面201~205は、ベッドサイドモニタ10のモニタ画面、モニタ画面206~210は、セントラルモニタ40のモニタ画面である。また、
図14はアラーム動作を設定するための画面を例示する模式図である。
【0097】
図13に示すように、モニタ画面201は、例えば、通常モードで動作しているベッドサイドモニタ10のモニタ画面である。患者Aの心拍数(HR)50(/min)、およびBradyアラームが表示されている。一方、モニタ画面206は、モニタ画面201と同じ時刻におけるセントラルモニタ40のモニタ画面である。セントラルモニタ40も通常モードで動作している。また、ベッドサイドモニタ10は、セントラルモニタ40へ、患者Aの心拍数50(/min)を含む生体情報と、アラームフラグおよびBradyアラームを含むアラーム情報とを送信する。セントラルモニタ40は生体情報およびアラーム情報を受信し、モニタ画面206に心拍数50、およびBradyのアラームを表示する。
【0098】
図14に示すように、ユーザは、例えば、コンフォートモードの設定を行うための設定画面に続いて表示される設定画面301において、「Asystoleのみ」を選択する(「Asystoleのみ」、「はい」をタッチする)。これにより、アラーム動作が「Asystoleのみ」に設定される。
【0099】
図13に戻り、モニタ画面202は、コンフォートモードで動作しているベッドサイドモニタ10のモニタ画面である。患者Aの心拍数50(/min)は表示されるが、アラーム動作が「Asystoleのみ」に設定されているため、Bradyアラームの表示は抑制される。一方、モニタ画面207は、モニタ画面202と同じ時刻におけるセントラルモニタ40のモニタ画面である。セントラルモニタ40もコンフォートモードで動作している。ベッドサイドモニタ10は、セントラルモニタ40へ、患者Aの心拍数50(/min)を含む生体情報と、「アラーム出力」を「抑制しない」に設定しているためアラームフラグおよびBradyアラームを含むアラーム情報とを送信する。セントラルモニタ40は生体情報およびアラーム情報を受信し、モニタ画面207に心拍数50、およびBradyアラームを表示する。これにより、例えば、スタッフが、ベッドサイドモニタ10に表示されている心拍数を確認しながら患者Aを直接ケアしている場合、スタッフは患者AがBradycardia(徐脈)であることは把握しているので、Bradyアラームは必要ないが、ステーションにいるリーダは、患者の容体を把握できるようBradyアラームも通知して欲しいといった要望を満足できる。
【0100】
モニタ画面203は、コンフォートモードで動作しているベッドサイドモニタ10のモニタ画面である。患者Aの心拍数50(/min)と、バッテリの消耗を警告するテクニカルアラーム(以下、「バッテリ消耗アラーム」ともいう)とが表示されている。一方、モニタ画面208は、モニタ画面203と同じ時刻におけるセントラルモニタ40のモニタ画面である。セントラルモニタ40もコンフォートモードで動作している。ベッドサイドモニタ10は、セントラルモニタ40へ、患者Aの心拍数50(/min)を含む生体情報と、アラームフラグおよびバッテリ消耗アラームを含むアラーム情報とを送信する。セントラルモニタ40は生体情報およびアラーム情報を受信し、モニタ画面206に心拍数50、およびバッテリ消耗アラームを表示する。スタッフは、バッテリ消耗アラームの通知を受けて、ベッドサイドモニタ10のモニタリング機能を継続できるように対処するこれにより、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40におけるバッテリ消耗アラームは、解除される。
【0101】
モニタ画面204は、コンフォートモードで動作しているベッドサイドモニタ10のモニタ画面である。患者Aの心拍数0(/min)、およびAsysアラームが表示されている。一方、モニタ画面209は、モニタ画面204と同じ時刻におけるセントラルモニタ40のモニタ画面である。セントラルモニタ40もコンフォートモードで動作している。ベッドサイドモニタ10は、セントラルモニタ40へ、患者Aの心拍数0(/min)を含む生体情報と、アラームフラグおよびAsysアラームを含むアラーム情報とを送信する。セントラルモニタ40は生体情報およびアラーム情報を受信し、モニタ画面209に心拍数0、およびAsysアラームを表示する。
【0102】
図13に戻り、モニタ画面205は、コンフォートモードで動作しているベッドサイドモニタ10のモニタ画面である。患者Aの心拍数0(/min)が表示されているが、アラーム動作が「患者アラームOFF」に変更されたため、Asysアラームは発生しない。これにより、患者Aの家族は、アラーム音が抑制された静かな環境で患者Aを看取ることができる。一方、モニタ画面210は、モニタ画面205と同じ時刻におけるセントラルモニタ40のモニタ画面である。セントラルモニタ40もコンフォートモードで動作している。ベッドサイドモニタ10は、セントラルモニタ40へ、患者Aの心拍数0(/min)を含む生体情報と、アラームフラグおよびAsysアラームを含むアラーム情報とを送信する。セントラルモニタ40は生体情報およびアラーム情報を受信し、モニタ画面206に心拍数0、およびAsysアラームを表示する。
【0103】
このように、コンフォートモードの開始時に動作モードを「Asystoleのみ」に設定することにより、ベッドサイドモニタ10が発生するアラームをAsysアラームおよび重要なシステムアラームのみに限定し、ベッドサイドモニタ10とセントラルモニタ40とにおいてAsysアラームおよびシステムアラームの発生を一致させることができる。また、アラームが頻回に発生することを抑制しつつ、Asysアラームは必ず確認したい、というユーザの要望を満足できる。
【0104】
また、スタッフが病室において患者Aの容態を常時確認しているため、ベッドサイドモニタ10のアラームを発生させる必要の無い場合において、アラーム動作を「患者アラームOFF」に設定することにより、アラームが頻回に発生することを抑制できる。動作例1のようにコンフォートモードを設定することにより、病室のベッドサイドモニタ10において発生しているアラームを、ステーションのリーダや他のスタッフと共有できる。
【0105】
<動作例2>
図15はコンフォートモードの開始時において「Asystoleのみ」に設定した後、セントラルモニタでアラーム通知方法を「通知しない」に設定した場合の動作を例示する模式図である。同図において、モニタ画面219,220は、ベッドサイドモニタ10のモニタ画面、モニタ画面221,222は、セントラルモニタ40のモニタ画面である。また、
図16は、アラーム通知を変更するための画面を例示する模式図である。
【0106】
動作例2においては、「アラーム通知変更許可」以外のコンフォートモードの設定は、動作例1と同じである。
【0107】
図15に示すように、モニタ画面219において、ベッドサイドモニタ10は、コンフォートモードで動作している。患者Aの心拍数0(/min)が表示されているが、動作モードが「患者アラームOFF」に設定されているため、Asysアラームは表示されない。一方、モニタ画面221は、モニタ画面219と同じ時刻におけるセントラルモニタ40のモニタ画面である。セントラルモニタ40もコンフォートモードで動作している。ベッドサイドモニタ10は、セントラルモニタ40へ、患者Aの心拍数0(/min)を含む生体情報と、アラームフラグおよびAsysアラームを含むアラーム情報とを送信する。セントラルモニタ40は生体情報およびアラーム情報を受信し、モニタ画面221に心拍数0、およびAsysアラームを表示する。
【0108】
図16に示すように、ユーザは、アラーム通知方法を変更するための設定画面320において、「通知なし」を選択する(「通知なし」、「はい」をタッチする)。これにより、アラーム通知の設定が「通知あり」から「通知なし」に変更される。
【0109】
モニタ画面220は、コンフォートモードで動作しているベッドサイドモニタ10のモニタ画面である。患者Aの心拍数0(/min)が表示されているが、動作モードが「患者アラームOFF」に設定されているため、Asysアラームは表示されない。一方、モニタ画面222は、モニタ画面220と同じ時刻におけるセントラルモニタ40のモニタ画面である。セントラルモニタ40もコンフォートモードで動作している。ベッドサイドモニタ10は、セントラルモニタ40へ、患者Aの心拍数0(/min)を含む生体情報と、アラームフラグおよびAsysアラームを含むアラーム情報とを送信する。セントラルモニタ40は生体情報を受信し、モニタ画面222に心拍数0を表示するが、アラーム通知方法が「通知なし」に設定されているので、Asysアラームを表示しない。
【0110】
このように、セントラルモニタ40からアラーム通知方法を「通知しない」に設定することにより、ステーションにいるリーダが対応する必要のない、セントラルモニタ40におけるアラームの発生を抑制できる。
【0111】
以上で説明した本実施形態の制御方法、制御プログラム、およびアラーム配信システムは、下記の効果を奏する。
【0112】
ベッドサイドモニタ10(セントラルモニタ40)は、患者の管理方法に関して医療従事者が容易に理解できる説明または質問を出力し、当該説明または質問に対する応答または回答を受け付け、上記応答または回答に応じて、ベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40に対して互いに関連、または連動する動作設定を行う。そして、上記動作設定に従って、同じ患者、または患者群に対して同時に使用されるベッドサイドモニタ10およびセントラルモニタ40のアラームを連携して制御する。これにより、医療従事者が患者の管理方法に関して医療従事者が容易に理解できる説明または質問に応答または回答するだけで、ベッドサイドモニタ10(セントラルモニタ40)は、医療従事者が対応する必要のないアラームの発生を抑制できる。したがって、医療従事者がベッドサイドモニタ10(セントラルモニタ40)の動作設定を行う手間や、医療従事者が対応する必要のないアラーム対応を行う負担が軽減される。また、アラーム音の発生が抑制されるので、病室にいる患者やその家族は、静かな環境で過ごすことができる。
【0113】
また、上述の動作例において説明したように、病室のベッドサイドモニタ10と、ステーションのセントラルモニタ40とにおいて、アラームの発生を一致させることをユーザが望む場合もある一方で、アラームの発生を個別に抑制することをユーザが望む場合もありうる。本実施形態の制御方法、制御プログラム、およびアラーム配信システムは、このような医療現場の多様な運用に対しても対応することができる。ベッドサイドモニタ10で設定可能な機能をセントラルモニタ40に持たすことが可能である。
【0114】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0115】
例えば、上述した実施形態では、コンフォートモード時における生体情報の表示色を他のモードに対して異ならせる場合について例示したが、これに限定されず、コンフォートモード時において、コンフォートモードで動作している旨を示すメッセージやアイコン等をモニタ画面に表示するように構成してもよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、ベッドサイドモニタ10とセントラルモニタ40とにおいてコンフォートモードを実行する場合について主に説明したが、このような限定されない。ベッドサイドモニタ10と、コンフォートモードを動作させることのできる他の機器(例えば、スレーブモニタ50、院内クライアント端末70等)とにおいてコンフォートモードを実行することもできる。
【0117】
また、動作制御部116が複数の医療機器のアラームを連携して制御する他の例としては、アラームが通知先に適切に届かなった場合の通知手段等をアラーム配信システム100全体に対して指定させることが挙げられる。さらに、他の例として、夜間に通知を行う、または抑制する範囲を指定させることが挙げられる。実際の患者の状態や、患者が置かれている状況(シーン)に応じて、患者の管理方法に関して医療従事者が容易に理解できる説明または質問が提示されるので、使用される医療機器の設定方法についてユーザがイメージしやすくなる。ユーザは、実際の運用ワークフローに沿って医療機器の動作設定を行える。
【0118】
また、上述した実施形態においてプログラムにより実現される機能の一部または全部を回路等のハードウェアにより実現してもよい。
【0119】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
10 ベッドサイドモニタ、
11,21,31,41 制御部、
111 測定部、
112 取得部、
113 モード受付部、
114 管理方法受付部、
115 動作設定部、
116 動作制御部、
12,22,32,42 記憶部、
13,23,33,43 通信部、
14,24 センサ、
15,44 出力部、
16,45 入力部、
17,46 LEDランプ、
20 送信機、
30 集中受信機、
40 セントラルモニタ、
50 スレーブモニタ、
60 院内アクセスポイント、
70 院外クライアント端末、
80 ゲートウェイサーバ、
81 Wifiアクセスポイント、
82 院外クライアント端末、
83 PC、
100 アラーム配信システム。