(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068745
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A47J27/00 103R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179308
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 茂
(72)【発明者】
【氏名】大竹 奈穂子
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055AA09
4B055BA42
4B055CA22
4B055CA36
4B055CC05
4B055CD02
4B055CD43
4B055GB09
4B055GB43
4B055GC37
4B055GD06
(57)【要約】
【課題】鍋内の温度情報の変化を容易に認識可能な炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器は、被炊飯物を収容した鍋4と、鍋4の温度を検知する鍋センサ15と、鍋センサ15が検知した鍋4の温度、または当該鍋4の温度から推測された被炊飯物の温度を、炊飯画面G2の背景の色彩を用いて表示可能な表示手段18のLCD16と、を備え、当該色彩は、鍋4の温度または被炊飯物の温度に応じて異なる構成としている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被炊飯物を収容した鍋と、
前記鍋の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段が検知した前記鍋の温度または前記鍋の温度から推測された前記被炊飯物の温度を、色彩を用いて表示可能な表示手段と、を備え、
前記色彩は、前記鍋の温度または前記被炊飯物の温度に応じて異なることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記色彩は、前記鍋の温度または前記被炊飯物の温度の変化に応じて連続的に変化することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記表示手段がカラータッチモジュールであることを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記色彩で表示する温度が前記鍋の温度であるか前記被炊飯物の温度であるかを選択可能な温度選択手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記表示手段に前記色彩を表示させるか否かを選択可能な表示選択手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記色彩の表示は、前記炊飯器への外部からの通電中に行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記鍋の温度または前記被炊飯物の温度の変化量と、前記色彩の変化量とが一律で対応していないことを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記表示手段は、前記色彩以外の表示体を表示可能であり、
前記表示手段が前記色彩と前記表示体を同時に表示するときに、前記表示手段は、前記表示体の色を前記色彩に対応して変更させて表示可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯に関わる様々な報知を実施する報知手段を備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炊飯器として、例えば報知手段が音や表示で炊飯の開始や完了を報知する炊飯器が数多く存在している。その他にも、例えば特許文献1では、炊飯が可能な加熱調理器として、「炊飯モード」の自動調理モードで、「ひたし」「炊き上げ」「蒸らし」と工程が変化する毎にトッププレートに載置された調理容器の温度を温度検出センサで検出して、表示手段に表示する表示パターンを変化させて、炊飯の工程や調理容器の温度を報知するものを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器では、「ひたし」「炊き上げ」「蒸らし」の各工程で炊飯の工程や調理容器の温度を報知しているために工程ごとの報知になってしまい、また表示パターンを変更させて調理容器の温度を報知する「炊き上げ」工程でも調理容器の温度を報知する表示パターンが3つしかないため、表示パターンの変化が表示パターン3つとも消灯から3つとも点灯までの4種類しかなく、断続的、離散的な報知になっていた。
【0005】
そこで本発明は、鍋内の温度情報の変化を容易に認識可能な炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の炊飯器は、被炊飯物を収容した鍋と、前記鍋の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段が検知した前記鍋の温度または前記鍋の温度から推測された前記被炊飯物の温度を、色彩を用いて表示可能な表示手段と、を備え、前記色彩は、前記鍋の温度または前記被炊飯物の温度に応じて異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器によれば、表示手段により表示される色彩が、鍋の温度または被炊飯物の温度に応じて異なるため、現在の鍋の温度または被炊飯物の温度の変化を容易に視認することができ、当該鍋の温度または被炊飯物の温度を直感的かつ連続的に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態における炊飯器の斜視図である。
【
図4】同上、トップ画面を表示しているLCDの上面図である。
【
図5】同上、炊飯画面を表示しているLCDの上面図である。
【
図6】同上、炊飯画面の背景の色彩と、鍋の温度または被調理物の温度との関係を示している説明図である。
【
図7】同上、炊飯画面の背景の色彩の表示有無を選択する項目の設定および炊飯器への通電の有無と、炊飯画面の背景の色彩を表示させるか否かとの関係を示している表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における炊飯器の各実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0010】
図1~
図7は、本発明における炊飯器の一実施形態を示している。先ず炊飯器全体の構成を
図1および
図2に基づいて説明すると、1は本体であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口されている。2は本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体であり、本体1と同様に、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が略平坦に構成されている。本体1は上面を開口した鍋収容部3を有し、蓋体2を開けたときに、被炊飯物である水や米を収容する容器としての有底状の鍋4が、その鍋収容部3に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部3は、椀状で樹脂製の内枠5などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
【0011】
鍋4は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材7とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体8が、主材7の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。また、鍋4の側面下部から底面に対向する内枠5の外面には、鍋4の発熱体8を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル11を備えている。そして加熱コイル11に高周波電流を供給すると、加熱コイル11から発生する交番磁界によって鍋4の発熱体8が発熱し、炊飯時と保温時に鍋4内の被炊飯物を加熱する構成となっている。また内枠5の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ12が、鍋4の外面底部と弾発的に接触するように配設される。
【0012】
蓋体2の後部には本体1との連結部となるヒンジ13が設けられる。また蓋体2の前方上面には、蓋体操作体14が露出状態で配設されており、この蓋体操作体14を押すと、本体1と蓋体2との係合が解除され、本体1の上部後方に設けたヒンジバネ(図示せず)により、ヒンジ13のヒンジ軸を回転中心として蓋体2が開く構成となっている。
【0013】
蓋体2の後方上面には、鍋4内の被炊飯物から発生する蒸気を炊飯器の外部に排出する蒸気口15が配設される。また蓋体2の上面には、この蒸気口15や蓋体操作体14の他に、炊飯に関わる様々な情報を表示するための、画面表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)16や状態表示部としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)表示部17などで構成される表示手段18と、タッチセンサで構成されてLCD16の上方に配設され、炊飯を開始させたり、時間や炊飯コ-スなどを選択させたりするための操作手段19と、がそれぞれ配設される。また、表示手段18や操作手段19の下面には、操作や表示に関わる制御を行なうための表示・操作制御手段46(
図3参照)を備えた制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板21が配置される。
【0014】
LED表示部17は、実際の炊飯器の状態を表示するもので、本実施形態では、予約設定がされていているときに「予約」のLED表示部が点灯し、保温状態になると「保温」の工程LED表示部が点灯し、後述する減圧手段38により鍋4の内部が大気圧より低い減圧状態になると、「真空」の工程LED表示部が点灯し、炊飯中に鍋4の内部に圧力がかかり始めてから、被炊飯物が炊き上がるまでの鍋4の内部が加圧されているときに、「圧力」の工程LED表示部が点灯するように構成される。そのため、LCD16のバックライトを減光させた減光状態のときでも、ユーザがLED表示部17を確認することで炊飯器の現在の状態を一目で理解することができる。ここでLED表示部17のそれぞれのLED表示部が点灯したときの光の色をそれぞれ異ならせてもよく、炊飯器が現在どのような状態であるかを一目で理解できる。なお本実施形態ではLED表示部17の位置について、LCD16のすぐ前に配置されているが、LCD16から離れた位置に配置されてもよい。またLED表示部17を除く構成にして、このLED表示部17の表示内容をLCD16で表示するように構成してもよい。LCD16については、後程詳しく説明する。
【0015】
このようにユーザの操作性および安全性を考慮して、蓋体操作体14は炊飯器におけるユーザに近い側である上面前方に配置され、蒸気口15は炊飯器におけるユーザから離れた側である上面後方に配置されることで蓋体2の上面において蓋体操作体14と蒸気口15との間に表示手段18を設けるスペースを大きく確保することができ、表示手段18や、その上方に配設される操作手段19を大きく設けることができるため、表示手段18の視認性および操作手段19の操作性を向上させることができる。
【0016】
タッチセンサで構成された操作手段19は、例えば、導電性ポリマーによる透明電極部と制御PC板21に接続する接点部との間をパターン配線で繋いだ構成要素が、タッチキーとして複数配設されるものであり、LCD16に表示される複数のボタン表示部の何れかにタッチ操作を行なうことで、そのボタン表示部の上に配設され、当該ボタン表示部に対応したタッチキーがタッチ操作されて、このボタン表示部が選択される構成となっている。なお本実施形態では操作手段19がタッチセンサのみで構成されているが、これは一例であり、例えばLCD16の側方に、例えば炊飯を開始、中止、炊飯コースの選択などを行なう物理キー・ボタンなどのスイッチを設けるように構成されてもよい。この場合、操作手段19がタッチセンサと物理キー・ボタンとを併用して構成されてもよく、物理キー・ボタンのみで構成されてもよい。
【0017】
蓋体2の下側には、蓋体2の下部部材としての内蓋組立体23が配設される。内蓋組立体23は、鍋4の上方開口部と略同径の円盤状を有する金属材料からなり、鍋4の上方開口部を覆う内蓋24と、この内蓋24と鍋4との間をシールするために、内蓋24の外側全周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン25と、鍋4の内圧力を調整する調圧部26とを備えている。環状に形成された蓋パッキン25は、
図2に示されるように蓋体2を閉じた蓋閉時に、鍋4の開口部である上面に当接して、この鍋4と内蓋24との間の隙間を塞ぎ、鍋4から発生する蒸気を密閉するものである。
【0018】
蓋体2の内部には、蓋体2の開閉を検知するために、ヒンジ13近傍に蓋開閉検知手段27が設けられる。ここで蓋開閉検知手段27は、光学式、機械式、磁石式など、どのような検知方式のものでもよく、蓋体2の開閉に応じた検知信号を出力できればよい。また蓋体2の内部には、内蓋24を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ31と、この蓋ヒータ31による内蓋24の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ32がそれぞれ設けられる。そして蓋体2の内部には、鍋4内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口15と調圧部26とを連通する蒸気排出経路33が形成される。
【0019】
調圧部26には、鍋4の内部と蒸気口15との間の蒸気排出経路33を開閉する調圧弁34が設けられる。調圧弁34はボール状で、蓋体2の内部に設けたソレノイド35と連動し、鍋4内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気排出経路33を開放し、鍋4内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気排出経路33を閉塞するように、ソレノイド35が調圧弁34を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル11への高周波通電により鍋4内の被炊飯物が加熱され、被炊飯物が沸騰して蒸気が発生し、この蒸気が鍋4内に充満することにより鍋4の内圧が所定値に達すると、調圧弁34の自重に抗して蒸気排出経路33を開放することで、鍋4内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。また蓋体2の内部には、圧力センサ36(
図3参照)が調圧部26に臨んで設けられ、鍋4内部の圧力を検知している。
【0020】
38は、蓋体2を本体1に閉じた状態で、鍋4の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段38は、鍋4を鍋収容体3に収容し、蓋体2を閉じた後にソレノイド35を通電させて調圧弁34が蒸気排出経路33を塞いだ状態で、密閉した鍋4の内部圧力を低下させる。また、鍋4内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段38の動作源となる減圧ポンプ39の動作を停止し、鍋4内部を減圧状態に保っている。さらに、鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ39の動作を停止し、減圧ポンプ39と鍋4の内部との間を連通する図示しない経路を開放する。つまり減圧手段38は、鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
【0021】
その他、本体1の内部には、加熱制御手段41を含むユニット化された加熱基板組立42が配設される。加熱制御手段41は、表示・操作制御手段46と組み合わせて炊飯器の各部を電気的に制御するために、制御用IC43や記憶手段48(
図3参照)などを備えたマイクロコンピュータ(マイコン)などを含んで構成され、ここでは鍋センサ12や蓋温度センサ32からの各温度検知信号と、操作手段19からの操作信号を受けた表示・操作制御手段46からの信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋4を加熱する加熱コイル11と、内蓋24を加熱する蓋ヒータ31とを各々制御すると共に、ソレノイド35と、減圧ポンプ39の動作を各々制御する。特に加熱制御手段41は、鍋センサ12の検知温度に基づいて主に加熱コイル11を制御して鍋4の底部を温度管理し、蓋温度センサ32の検知温度に基づいて主に蓋ヒータ31を制御して、被炊飯物に対向する内蓋24を温度管理するように構成される。
【0022】
次に、上記炊飯器における主な制御系統について、
図3を参照しながら説明する。同図において、本体2に装備される加熱制御手段41は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC43や、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリなどの記憶手段44や、図示しない計時手段などを備え、鍋センサ12や蓋温度センサ32からの各温度検知信号と、圧力センサ36からの圧力検知信号と、蓋開閉検知手段27からの検知信号と、後述する表示・操作制御手段46からの制御信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋4を加熱する加熱コイル11と、内蓋24を加熱する蓋ヒータ31を各々制御すると共に、前述した調圧弁34を動かすソレノイド35や、減圧手段38の減圧ポンプ39の動作を各々制御するものである。
【0023】
加熱制御手段41は、記憶手段44から読み出したプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯制御手段51および保温制御手段52を制御用IC43に備えている。炊飯制御手段51は、操作手段19からの炊飯開始の指示を受けて、鍋4に投入した米の吸水を促進させるひたし炊き工程と、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰加熱工程と、被炊飯物の沸騰状態を継続させる沸騰継続工程と、ご飯を焦がさない程度の高温に維持するむらし工程の各工程を順に実行して、鍋4内部の被炊飯物に対して所望の圧力で炊飯加熱する炊飯制御を行なうものである。また保温制御手段52は、鍋4内部のご飯を所定の保温温度に保つように制御するものである。
【0024】
一方、表示・操作制御手段46は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC47や記憶手段48、図示しない計時手段などを備え、操作手段19からの操作信号や加熱制御手段41からの制御信号を受けて表示手段18の表示動作を制御し、また加熱制御手段41に制御信号を送信するものである。この表示・操作制御手段46は、記憶手段57に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、表示制御手段49および条件設定手段50を制御用IC47に備えている。表示制御手段49は、操作手段19からの操作信号に基づき各種の制御信号を生成し、また表示手段18の表示動作を制御するものである。また条件設定手段50は、表示制御手段49と連携して、操作手段19で選択できる条件の選択および設定、例えば複数のお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定がある炊飯コースの中から所望の炊飯コースの選択および設定、を可能にするものである。
【0025】
本実施形態の炊飯器では、それぞれのお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定に応じた炊飯コースが記憶手段48に記憶されており、その記憶された炊飯コースのお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定が表示手段18に選択可能に表示され、これらの設定を行なうことで、当該炊飯コースの選択および設定を行なっている。そして表示・操作制御手段46から加熱制御手段41にこの炊飯コースの設定が送信されると、加熱制御手段41の炊飯制御手段51は、この炊飯コースの設定ごとに加熱コイル11および蓋ヒータ31の加熱制御やソレノイド35および減圧ポンプ39の制御、すなわち炊飯制御を行なっている。そのため、設定されたお米、炊き方、かたさ、および水硬度に合った適切な炊飯を行なうことができ、炊飯されたご飯の美味しさをより際立たせることができる。
【0026】
図4および
図5はLCD16の上面図を示しており、それぞれの図面の上側を「前」、下側を「後」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。また、それぞれの図面の手前側を「上」、奥側を「下」として説明する。
図4はトップ画面G1を示している。ユーザが予め本体1に設けた電源プラグを家庭用のコンセントに差し込むと、炊飯器の各部に必要な電力が投入される。このとき表示制御手段49は、所定時間経過後または所定の起動時表示画面の表示に、LCD16に表示される普段使いの初期画面として、
図4に示すようなトップ画面G1の配置をLCD16に表示させる。
【0027】
図4を参照してトップ画面G1の説明をすると、その前部には、4つのボタン表示部B1~B7を左右に並べて表示したメニューキー表示領域A1が形成されている。ここで「お米」のボタン表示部B1は、「お米」なるテキスト表示体D1、および「▼」というテキスト表示体D2を含む。また「炊き方」のボタン表示部B3は、「炊き方」なるテキスト表示体D3、および「▼」というテキスト表示体D4を含む。そして「かたさ調節」のボタン表示部B5は、「かたさ調節」なるテキスト表示体D5、および「▼」というテキスト表示体D6を含む。また「水硬度」のボタン表示部B7は、「水硬度」なるテキスト表示体D7、および「▼」というテキスト表示体D8を含む。
【0028】
また、メニューキー表示領域A1の後ろには、4つの設定表示体D11~D14を左右に並べて表示した炊飯情報表示領域A2が形成される。ここで「お米」の設定表示体D11は設定されたお米の情報が表示されており、「お米」のボタン表示部B1の後ろに配置され、
図4では「白米 銘柄おまかせ」が表示されている。また「炊き方」の設定表示体D12は設定された炊き方の情報が表示されており、「炊き方」のボタン表示部B3の後ろに配置され、
図4では「かまど名人」が表示されている。そして「かたさ調節」の設定表示体D13は設定されたかたさ調整の情報が表示されており、「かたさ調節」のボタン表示部B5の後ろに配置され、
図4では「おすすめ」が表示されている。また「水硬度」の設定表示体D14は設定された水の硬度の情報が表示されており、「水硬度」のボタン表示部B7の後ろに配置され、
図4では「40~60」が表示されている。
【0029】
そして、炊飯情報表示領域A2の後ろには、時計用表示体D16に表示される数字が炊飯時間であることを連想させる「炊飯時間」なるテキスト表示体D15と、炊飯所要時間や、実際の炊飯完了までの時間である残時間や、予想される炊飯完了の時刻である炊上り時刻などを表示し、
図4では炊飯情報表示領域A2の設定から算出された炊飯所要時間である「約38分」が表示された時計用表示体D16と、「炊飯スタート」なるテキスト表示体D17を含むボタン表示部B17と、が左右に並べて表示される。
【0030】
またトップ画面G1の後部には、歯車の図を連想させるテキスト表示体D18を含む設定用ボタン表示部B18と、「保温」なるテキスト表示体D19を含むボタン表示部B19と、「予約」なるテキスト表示体D20を含むボタン表示部B20と、現在時刻を表示する時刻用表示体D21と、「切」なるテキスト表示体D22を含むボタン表示部B22と、が左右に並べて表示される。
【0031】
「切」のボタン表示部B22は、炊飯や保温をやめる際に操作されるもので、「切」のボタン表示部B22をタッチ操作すると、「切」のボタン表示部B22の上に配設された操作手段19からの操作信号を表示制御手段49が受け付けて加熱制御手段41に送信し、炊飯制御手段51が鍋4内の被炊飯物に対する加熱や予約炊飯を中止して切状態にする制御を行ない、表示制御手段49が、炊飯情報表示領域A2の表示を、最も直前に炊飯されたときの設定、すなわち記憶手段48に記憶されていた設定にしてトップ画面G1を表示するように表示手段18を制御する。なお、トップ画面G1で「切」のボタン表示部B22をタッチ操作すると、表示制御手段49が、炊飯前に設定され、現在、炊飯情報表示領域A2に表示されたお米の設定、炊き方の設定、かたさ調節の設定、および水の硬度の設定を破棄して、炊飯情報表示領域A2の表示を最も直前に炊飯されたときの設定、すなわち記憶手段48に記憶されていた設定にして表示するように表示手段18を制御する。
【0032】
「炊飯スタート」のボタン表示部B17は炊飯を開始する際に操作されるもので、「炊飯スタート」のボタン表示部B17をタッチ操作すると、条件設定手段50が、現在、炊飯情報表示領域A2に表示されたお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段48に記憶し、炊飯制御手段51が、記憶手段48に記憶した今回の炊飯コースの設定で、本体1内の被炊飯物に対する炊飯開始の制御をする構成となっている。
【0033】
「保温」のボタン表示部B19は、保温を行なう際に操作されるもので、「保温」のボタン表示部B19をタッチ操作すると、保温制御手段52が、本体1内の被炊飯物に対する保温再加熱を開始するように、加熱コイル11や蓋ヒータ31に適切な制御信号を送信する構成となっている。
【0034】
「お米」のボタン表示部B1は、被炊飯物としてのお米の種類を選択するのに操作されるもので、「お米」のボタン表示部B1をタッチ操作すると、表示制御手段49が、お米選択画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、このお米選択画面でお米の種類が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択されたお米の種類、例えば
図4の場合は「白米 銘柄おまかせ」をテキスト表示体D11に表示するように表示手段18を制御する。
【0035】
「炊き方」のボタン表示部B3は、被炊飯物の炊き方の種類を選択するのに操作されるもので、「炊き方」のボタン表示部B3をタッチ操作すると、表示制御手段49が炊き方選択画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この炊き方選択画面で被炊飯物の炊き方が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択された被炊飯物の炊き方、例えば
図4の場合は「かまど名人」をテキスト表示体D12に表示するように表示手段18を制御する。
【0036】
「かたさ調節」のボタン表示部B5は、被炊飯物としてのご飯の食感の種類を選択するのに操作されるもので、「かたさ調節」のボタン表示部B5をタッチ操作すると、表示制御手段49が、かたさ選択画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この炊き方選択画面でご飯の食感が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択されたご飯の食感、例えば
図4の場合は「おすすめ」をテキスト表示体D13に表示するように表示手段18を制御する。
【0037】
「水硬度」のボタン表示部B7は、被炊飯物としての水の硬度を選択するのに操作されるもので、「水硬度」のボタン表示部B7をタッチ操作すると、表示制御手段49が、水硬度選択画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この炊き方選択画面でご飯の食感が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択された水の硬度、例えば
図4の場合は「40~60」mg/Lをテキスト表示体D13に表示するように表示手段18を制御する。
【0038】
設定用ボタン表示部B18は、炊飯器を設定するのに操作されるもので、設定用ボタン表示部B18をタッチ操作すると、表示制御手段49が、設定画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御する。
【0039】
「予約」のボタン表示部B20は、予約炊飯を行なう際に操作されるもので、「予約」のボタン表示部B20をタッチ操作すると、表示制御手段49が予約設定画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この予約設定画面で予約の設定がされ、予約炊飯を開始させると、当該設定した予約時刻に本体1内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段51により炊飯を開始し、また保温制御手段52による保温を開始するように制御する構成となっている。
【0040】
図5は、トップ画面G1で「炊飯スタート」のボタン表示部B17をタッチ操作したときに移行する炊飯画面G2を示している。同図を参照して炊飯画面G2を説明すると、その前部には炊飯情報表示領域A2が形成され、炊飯情報表示領域A2の後ろには、現在炊飯中であることを想起させる「炊飯中」なるテキスト表示体D31が表示される。またテキスト表示体D31の後ろには、時計用表示体D16に表示される数字が炊飯完了までの残時間であることを想起させる「残り」なるテキスト表示体D32と、
図5では予想される炊飯完了までの残時間である「約38分」が表示された時計用表示体D16と、が左右に並べて表示される。また炊飯画面G15の下部には、時刻用表示体D21と、「切(長押し)」なるテキスト表示体D33を含むボタン表示部B33と、が左右に並べて表示される。ここで、「切(長押し)」のボタン表示部B33の位置は、トップ画面G1における「切」のボタン表示部B22の位置と略同一の位置になるように構成しており、ユーザが炊飯を中止するときに「切(長押し)」のボタン表示部B33を探すことなく見つけることができる。
【0041】
「切(長押し)」のボタン表示部B33は、炊飯や保温をやめる際に操作されるもので、「切」のボタン表示部B22と同様の機能を有している。その一方で、「切(長押し)」のボタン表示部B33をタッチ操作しても表示制御手段49は操作信号を加熱制御手段41に送信せず、「切(長押し)」のボタン表示部B33を、例えば2秒以上など、所定の期間だけ長押し操作することにより、表示制御手段49が「切(長押し)」のボタン表示部B149のボタン表示部B22の上に配設された操作手段19からの操作信号を加熱制御手段41に送信し、加熱制御手段41の炊飯制御手段51が本体1内の被炊飯物に対する加熱を中止して切状態にする制御を行なうように構成されている。
【0042】
本実施形態では、表示制御手段49は、炊飯中や保温中に鍋4の温度または被炊飯物の温度を炊飯画面G2の背景の色彩で報知するようにLCD16を制御する構成としている。
図6を参照して説明すると、表示制御手段49は、例えば鍋4の温度や被炊飯物の温度が20℃であるときは、(a)で示されるように表示制御手段49は炊飯画面G2の背景の色彩を青色に変更させるようにLCD16を制御する。同様に、例えば鍋4の温度や被炊飯物の温度が60℃であるときは、(b)で示されるように表示制御手段49は炊飯画面G2の背景の色彩を緑色に変更させ、鍋4の温度や被炊飯物の温度が80℃であるときは、(c)で示されるように表示制御手段49は炊飯画面G2の背景の色彩を橙色に変更させ、鍋4の温度や被炊飯物の温度が100℃であるときは、(d)で示されるように表示制御手段49は炊飯画面G2の背景の色彩を赤色に変更させるようにLCD16を制御する。このように構成することにより、鍋4の温度または被炊飯物の温度をリアルタイムで視覚的に報知することができ、ユーザが経時的な変化を視認することができる。そのためユーザに対してより直感的な報知をリアルタイムで実施することで、ユーザが当該鍋の温度または被炊飯物の温度を直感的かつ連続的に認識することができ、ユーザの利便性や注意喚起効果を向上させることができる。
【0043】
また
図6に示されるように、本実施形態では、炊飯画面G2の背景の色彩が鍋4の温度または被炊飯物の温度の変化に伴って、例えば黒→藍→青→緑→橙→赤→薄赤のように連続的に変化する構成としているが、鍋4の温度または被炊飯物の温度の変化量と、炊飯画面G2の背景の色彩の変化量とを一律で対応させていない構成を採用している。例えば、温度上昇時の通過帯の温度であり使用頻度の少ない温度帯の50℃~80℃では、炊飯画面G2の背景の色彩を、例えば5℃ごとに変化させるように粗めに構成し、使用頻度の多い温度帯である10℃~50℃の初期水温の温度帯および80℃以上の沸騰近傍の温度帯では炊飯画面G2の背景の色彩を、例えば1℃ごとに変化させるように細かめに構成している。そのため、使用頻度の少ない温度帯では表示制御手段49の負担を軽減させることができ、使用頻度の多い温度帯ではより詳細に炊飯画面G2の背景の色彩を表示することができる。
【0044】
なお、この構成は一例であり本発明はこれらに限定されない。例えば本実施形態では、炊飯画面G2の背景全体の色彩を変更するように構成しているが、炊飯画面G2の背景全体ではなく、例えば時計用表示体D16の背景のみなど、炊飯画面G2の背景の一部の色彩を変更するように構成してもよい。また例えば本実施形態では、上述したように鍋4の温度や被炊飯物の温度が何℃変化するごとに色彩を変化させるか、という色彩の変化に対応させる鍋4の温度や被炊飯物の温度を温度帯ごとに変更する構成としているが、例えば80℃=黄色、120℃=薄赤のように温度と色彩の関係は固定しておらず、炊飯画面G2の背景の色彩が細かめに構成された、例えば10℃~50℃の温度帯や80℃以上の沸騰近傍の温度帯では分解能を上げて大きく色彩を変化させることでユーザの視認性を向上させている。しかしながら本発明はこれに限定されず、前述の温度と色彩の関係が固定されてもよい。この場合に、色彩の変化に対応させる鍋4の温度や被炊飯物の温度を、例えば1℃ごとなど一律にして、鍋4の温度や被炊飯物の温度で、例えば50℃~80℃に対応する色彩である深緑→橙の色彩の変化量を少なめにする一方で、例えば10℃~50℃に対応する色彩である藍→深緑の色彩の変化量や80℃~120℃に対応する色彩である橙→薄赤の色彩の変化量を多めにする、など色彩の変化量を一律にせずに変更させて、ユーザに、50℃~80℃に対応する色彩の変化や80℃~120℃に対応する色彩の変化を視覚的に認識しやすくしてもよい。
【0045】
また表示制御手段49は、炊飯工程では上述したように炊飯画面G2の背景の色彩を変化させるようにLCD16を制御し、保温工程では、使用頻度の多い温度帯である60℃~90℃の保温温度近傍の温度帯では炊飯画面G2の背景の色彩が、例えば1℃ごとに変化させるように細かめに構成されて、分解能を上げて大きく色彩を変化させ、使用頻度の少ない温度帯であるその他の温度帯では炊飯画面G2の背景の色彩が、例えば5℃ごとに変化させるように荒めに構成させてユーザの視認性を向上させるなど、工程ごとに異なる制御を実施してもよい。この場合にも、前述のように前述の温度と色彩の関係が固定されていなくてもよく、固定されていてもよい。
【0046】
また表示制御手段49は、炊飯画面G2の背景の色彩に対応して、例えば炊飯画面G2上の文字である白抜き文字の色など、表示体の色を変更させるようにLCD16を制御する。例えば表示制御手段49は、炊飯画面G2の背景の色彩を橙色などの明度の高い色に変更させたときには、(c)で示されるように白抜き文字である設定表示体D11~D14や、時計用表示体D16や、時刻用表示体D21や、テキスト表示体D31~D33の色を、例えば黒色などの明度の低い色に変更するようにLCD16を制御する。そのため、炊飯画面G2の背景の色彩の変化により炊飯画面G2の情報が分かり難くなることを抑制することができる。なお、これは一例であり、例えば炊飯画面G2の背景の色彩と、前述の白抜き文字の色や「切(長押し)」のボタン表示部B33の色とで似たような色、例えば類似色相になったときに、当該白抜き文字の色や「切(長押し)」のボタン表示部B33の色を炊飯画面G2の背景の色彩の補色などに変更するようにしてもよい。
【0047】
本実施形態では、炊飯中や保温中に鍋4の温度または被炊飯物の温度を炊飯画面G2の背景の色彩で報知するか否か、すなわちLCD16に炊飯画面G2の背景の色彩を表示させるか否かを切替えられるように構成しており、また炊飯画面G2の背景の色彩で表示される温度が鍋4の温度か被炊飯物の温度かを切替えられるように構成している。トップ画面G1で設定用ボタン表示部B18をタッチ操作したときに移行する設定画面には、炊飯画面G2の背景の色彩を鍋4の温度や被炊飯物の温度の変化に伴って連続的に変化させるか否か、すなわちLCD16に炊飯画面G2の背景の色彩を表示させるか否かを選択可能な、表示選択手段としての色彩の表示有無を選択する項目、および炊飯画面G2の背景の色彩で表示される温度が鍋4の検知温度と被炊飯物の温度とで選択可能な、温度選択手段としての色彩が表示する温度を選択する項目があり、ユーザが当該設定画面でこれらの項目を選択することにより、LCD16に炊飯画面G2の背景の色彩を表示させるか否かが設定され、また炊飯画面G2の背景の色彩で表示される温度が鍋4の温度か被炊飯物の温度が設定される。そして条件設定手段50は、これらの設定を記憶手段48に記憶させ、表示制御手段49は、炊飯時や保温時にこれらの設定に従って表示するようにLCD16を制御する。
【0048】
鍋4の温度と鍋4内の被炊飯物の温度とは、ある程度の相関関係があり、加熱制御手段41は鍋センサ12が検知した温度に従って炊飯制御を行なっており、また表示制御手段49は、当該鍋センサ12の検知温度から被炊飯物の温度を推測している。前述の設定画面で炊飯画面G2の背景の色彩で報知する情報が被炊飯物の温度と設定されているとき、表示制御手段49は、炊飯時や保温時に、鍋センサ12の検知温度から被炊飯物の温度を推測し、この推測した温度に応じて炊飯画面G2の背景の色彩を変更させるようにLCD16を制御する。
【0049】
図7は、炊飯画面G2の背景の色彩の表示有無の設定および炊飯器への外部からの通電としてのコンセント通電の有無の状態と、炊飯画面G2の背景の色彩の表示の有無と、の関係を示す表である。本実施形態では、コンセント通電がないときでも、例えば時計用表示体D16をLCD16に表示することを可能にする電源、例えば3Vの電池を備えており、必要最低限の機能を動作できるように構成している。ここで
図7を参照して炊飯画面G2の背景の色彩の表示の有無を説明すると、炊飯画面G2の背景の色彩の表示をしない設定の場合は、表示制御手段49は、炊飯器への通電の有無に関わらず炊飯画面G2の背景の色彩の表示をしないようにLCD16を制御する。その一方で、炊飯画面G2の背景の色彩の表示をする設定の場合は、表示制御手段49は、炊飯器への通電があるときに炊飯画面G2の背景の色彩の表示をする一方で、炊飯器への通電がないときには炊飯画面G2の背景の色彩の表示をしないようにLCD16を制御する。このように構成することにより、炊飯器で不要な電力消費を抑制している。
【0050】
次に上記構成の炊飯器について、炊飯画面G2の背景の色彩の表示をする設定の場合における炊飯工程および保温工程での作用を説明する。先ず炊飯時における動作を説明すると、鍋4内に被炊飯物として米および水を入れ、この鍋4を鍋収容部3にセットした後に、蓋体2を閉じる。それと前後して、炊飯器を通電すると、本体1や蓋体2は炊飯や保温が行われていない初期の切(待機)状態となる。
【0051】
そして操作手段19で、炊飯コースの設定後にトップ画面G1の「炊飯スタート」のボタン表示部B17をタッチ操作して炊飯開始の指示を操作すると、条件設定手段50が、現在、炊飯情報表示領域A2に表示されたお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段48に記憶し、炊飯制御手段51が、今回の炊飯コースの設定の加熱パターンに沿って、鍋4内の被炊飯物に対するひたし炊き工程、沸騰加熱工程、沸騰継続工程、むらし工程の各炊飯動作を行なう炊飯工程を実施する。
【0052】
ひたし炊き工程中では鍋4内の圧力が大気圧よりも低い減圧状態となるように、炊飯制御手段51が調圧部26や減圧手段38の動作を各々制御する。具体的には、ひたし炊き工程が開始されると、炊飯制御手段51は、蒸気排出経路33を調圧弁34で閉塞するようにソレノイド35を制御する。そしてこの状態で、炊飯制御手段51は、圧力センサ36による圧力検知に基づき、減圧手段38の経路を開放すると共に、真空ポンプ39を連続動作させ、密閉した鍋4の内部の空気を真空ポンプ39で抜き取る真空引きを行なう。また表示制御手段53は、「真空」の工程LED表示部を点灯させるようにLED表示部17を制御する。その後、炊飯制御手段51は、鍋4内部の圧力が大気圧よりも低い減圧状態で一定値以下に維持されるように減圧手段38を制御する。こうして、ひたし炊き工程の全期間に亘って、鍋4内部を減圧状態に保っている。
【0053】
またひたし炊き工程が開始されると、炊飯工程を開始すると、炊飯制御手段51は、鍋センサ12による鍋4の底部の検知温度に基づき、加熱制御信号を出力して加熱コイル11を通断電制御し、鍋4の底部を加熱して鍋4内の水温を所定の温度、例えば35~60℃にまで昇温させて米の吸水を促進させる。なお炊飯制御手段51は、鍋センサ12による検知温度により被炊飯物の初期温度が低いと判定した場合は、当該初期温度に応じて、記憶手段44に記憶されたひたし炊き工程の設定時間よりも長くひたし炊き工程を実施するように構成されている。
【0054】
そして表示制御手段49は、ひたし炊き工程が開始されてから最初の10秒間などの所定時間は背景表示をせずに鍋センサ12による鍋4の底部の検知温度信号を受け取り、所定時間経過後に当該検知信号および炊飯画面G2の背景の色彩で表示される温度が鍋4の温度か被炊飯物の温度かの設定に応じて炊飯画面G2の背景の色彩の表示を連続的に変化させるようにLCD16を制御する。例えば炊飯画面G2の背景の色彩で表示される温度が鍋4の温度の設定の場合は、表示制御手段49は、所定時間経過後に、例えば当該検知信号の平均の値に応じた色彩で背景表示を行ない、例えば
図8(a)に示されるように、炊飯画面G2の背景の色彩を、20℃のときの背景表示である青色に変化させるようにLCD16を制御する。なお炊飯画面G2の背景の色彩で表示される温度が被炊飯物の温度の設定の場合は、表示制御手段49は当該検知信号から被炊飯物の温度を推測し、例えば当該温度の平均の値に応じた背景表示を行なうようにLCD16を制御している。
【0055】
また表示制御手段49は、今回の炊飯コースの設定に従って炊飯工程の時間を算出して時計用表示体D16に表示させるようにLCD16を制御するが、本実施形態では、このとき時計用表示体D16に表示させる時間を算出した炊飯工程の時間よりも多めになるように構成している。そのためユーザは、炊飯工程が完了するまでの最長の予定時間を知ることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0056】
その後、鍋4の底部の温度が上昇するに従い鍋センサ12による検知温度も上昇するが、表示制御手段49は、当該検知温度の変化に伴って炊飯画面G2の背景の色彩をリアルタイムで連続的に変化させるようにLCD16を制御し、例えば鍋4の底部の温度が60℃に達した鍋センサ12から検知温度信号を受け取った場合は、表示制御手段49は、例えば
図8(b)に示されるように炊飯画面G2の背景の色彩を、60℃のときの背景表示である緑色に変化させるようにLCD16を制御する。
【0057】
その後、所定の時間のひたし炊き工程が終了して次の沸騰加熱工程に移行すると、被炊飯物の沸騰検知を行なうまでの加熱で、炊飯制御手段51が加熱制御信号を出力して、加熱コイル11を連続通電する制御を行なうと共に、蓋ヒータ31を連続通電する制御を行ない、ひたし炊き工程よりも鍋4内の被炊飯物を強く加熱する。また炊飯制御手段51は、真空ポンプ39の動作を停止させると共に減圧手段38の経路を閉塞させ、その後、調圧弁34を転動させて蒸気排出経路33を開放するようにソレノイド35を制御して鍋4内を本体1の機外と連通させた状態にし、被炊飯物からの蒸気を蒸気排出経路33経由で蒸気口15から本体1の機外に放出する。そのため沸騰加熱工程に移行すると鍋センサ12による検知温度が次第に上昇するが、表示制御手段49は、当該検知温度の変化に伴って炊飯画面G2の背景の色彩をリアルタイムで連続的に変化させるようにLCD16を制御する。例えば鍋4の底部の温度が80℃に達した鍋センサ12から検知温度信号を受け取った場合は、表示制御手段49は、例えば
図8(c)に示されるように炊飯画面G2の背景の色彩を、80℃のときの背景表示である橙色に変化させるようにLCD16を制御する。
【0058】
その後、炊飯制御手段51は、鍋センサ12からの温度検知信号により鍋4の底部の温度が所定温度以上、例えば90℃以上に達したことを受信し、および/または蓋温度センサ32からの温度検知信号により内蓋24の温度が所定温度以上、例えば90℃以上に達したことを受信すると、被炊飯物の沸騰を検知する沸騰検知を開始する。炊飯制御手段51が、引き続き、加熱コイル11を連続通電する制御を行なって鍋4内部で被炊飯物を強く加熱する一方、鍋センサ12の検知温度や蓋温度センサ32の検知温度が所定の時間にどの程度上昇するのかという検知温度の傾きを算出する。
【0059】
具体的には、炊飯制御手段51が、鍋センサ12の検知温度から鍋4の底部の温度の上昇が、例えば120秒で3℃以下など所定の温度上昇率以下になったと算出したら、鍋4底部の温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判断する。また炊飯制御手段51が、蓋温度センサ32の検知温度から内蓋24の温度の上昇が、例えば60秒で1℃以下など所定の温度上昇率以下になったと算出したら、内蓋24の温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判断する。なお、これらの沸騰を検知するための鍋4底部や内蓋24の所定の温度上昇率は、例えばひたし炊き工程の最初の加熱時に測定される被炊飯物の炊飯量に応じてそれぞれ調節され、設定されてもよい。
【0060】
また鍋4の底部の温度が上昇するに従い、表示制御手段49は当該検知温度の変化に伴って炊飯画面G2の背景の色彩をリアルタイムで連続的に変化させるようにLCD16を制御している。例えば鍋4の底部の温度が100℃に達した鍋センサ12から検知温度信号を受け取った場合は、表示制御手段49は、例えば
図8(d)に示されるように炊飯画面G2の背景の色彩を、100℃のときの背景表示である赤色に変化させるようにLCD16を制御する。
【0061】
炊飯制御手段51が、鍋4底部の温度上昇率の変化による沸騰を検知し、かつ、内蓋24の温度上昇率の変化による沸騰を検知した時点で、次の沸騰継続工程に移行する。
【0062】
沸騰継続工程に移行すると、炊飯制御手段53は、鍋センサ14の検知温度から鍋4の底部が、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように加熱コイル11の通断電制御を行なうと共に、蓋温度センサ32からの検知温度から内蓋24が、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように蓋ヒータ31を連続通電する制御を行ない、被炊飯物の沸騰状態を継続させる。また沸騰継続工程に移行したら、炊飯制御手段53は鍋5内を常圧と大気圧よりも高い圧力との間に繰り返し変化させるために、ソレノイド35を周期的に通断電制御して、調圧弁34で蒸気排出経路33を周期的に開閉している。ここで鍋5内が大気圧よりも高い圧力になると、被調理物の水が沸騰する温度も、大気圧下における沸騰温度の100℃より高温になるため、表示制御手段49は当該検知温度の変化に伴って炊飯画面G2の背景の色彩をリアルタイムで連続的に変化させるようにLCD16を制御し、例えば炊飯画面G2の背景の色彩を、100℃のときの背景表示である赤色から120℃のときの背景表示である薄赤色の間の色に、当該検知温度に応じて連続的に変化させるようにLCD16を制御する。また表示制御手段49は、圧力センサ36の検知温度から鍋4内が大気圧よりも高い圧力になったことを受信すると「圧力」の工程LED表示部を点灯させ、鍋4内が大気圧に戻ったことを受信すると「圧力」の工程LED表示部を消灯させるようにLED表示部17を制御している。
【0063】
炊飯制御手段53は、沸騰継続工程で鍋5内部の水が無くなりはじめ、鍋温度センサ15の検知温度から、鍋4の底部の温度が所定のドライアップ温度、例えば120℃に達したことを受信し、または鍋7の底部の温度上昇が10秒で0.5℃以上など所定の温度上昇率以上になったと算出すると、被炊飯物の炊き上がりを検知したと判定して、次のむらし工程に移行する。
【0064】
むらし工程では、炊飯制御手段51は、蓋温度センサ32からの検知温度から内蓋24が所定の温度を維持するように蓋ヒータ31を連続通電する制御を行ない、内蓋24への露付きを防止すると共に、鍋センサ15の検知温度から鍋4内部のご飯が焦げない程度に高温を保持されるように、加熱コイル11の通断電制御を所定の時間だけ継続して行ない、鍋4の底部の温度を管理する。このとき表示制御手段49は当該検知温度の変化に伴って炊飯画面G2の背景の色彩をリアルタイムで連続的に変化させるようにLCD16を制御し、例えば炊飯画面G2の背景の色彩を、80℃のときの背景表示である橙色から100℃のときの背景表示である赤色の間の色に、当該検知温度に応じて連続的に変化させるようにLCD16を制御する。
【0065】
その後、所定の時間が経過すると、むらし工程が終了して炊飯工程が完了し、保温制御手段52による保温工程に移行する。
【0066】
保温工程では、保温制御手段52は、鍋センサ15の検知温度から、鍋4内部のご飯の温度が、例えば90℃以上の所定の温度以上を所定時間保持されるように加熱コイル11の通断電制御を制御し、所定時間経過後は、ご飯におけるメイラード反応を抑制可能な温度である保温温度帯の、例えば70℃~76℃の保温温度までご飯の温度を徐々に降下させて保持されるように加熱コイル11の通断電制御を制御する。このとき表示制御手段49は当該検知温度の変化に伴って炊飯画面G2の背景の色彩をリアルタイムで連続的に変化させるようにLCD16を制御し、例えば炊飯画面G2の背景の色彩を、100℃のときの背景表示である赤色から60℃のときの背景表示である緑色の間の色に、当該検知温度に応じて連続的に変化させるようにLCD16を制御する。
【0067】
以上のように、本実施形態の炊飯器では、被炊飯物を収容した鍋4と、鍋4の温度を検知する温度検知手段としての鍋センサ15と、鍋センサ15が検知した鍋4の温度、または当該鍋4の温度から推測された被炊飯物の温度を炊飯画面G2の背景の色彩を用いて表示可能な表示手段18のLCD16と、を備え、当該色彩は、鍋4の温度または被炊飯物の温度に応じて異なる構成としている。
【0068】
このような構成により、LCD16により表示される炊飯画面G2の背景の色彩が、鍋4の検知温度または被炊飯物の温度に応じて異なるため、現在の鍋4内の温度や被炊飯物の温度の変化を容易に視認することができ、鍋4内の温度や被炊飯物の温度を直感的かつ連続的に認識することができる。
【0069】
また本実施形態の炊飯器では、炊飯画面G2の背景の色彩が、鍋4の検知温度または被炊飯物の温度の変化に応じて連続的に変化する構成としており、そのためLCD16により表示される炊飯画面G2の背景の色彩が、鍋4の検知温度または被炊飯物の温度の変化に基づいて連続的に変化するため、現在の鍋4内の温度や被炊飯物の温度の経時的な変化を視認することができ、鍋4内の温度や被炊飯物の温度を直感的かつ連続的に認識することができる。
【0070】
また本実施形態の表示手段18は、LCD16を有して当該LCD16の上にタッチセンサで構成された操作手段19を備えたカラータッチモジュールである構成としており、ユーザに対して炊飯画面G2の背景の色彩をより鮮明に表示することができるため、ユーザに対してより直感的な報知をすることができる。
【0071】
また本実施形態の炊飯器では、炊飯画面G2の背景の色彩で表示する温度が鍋4の温度であるか被炊飯物の温度であるかを選択可能な温度選択手段としての色彩が表示する温度を選択する項目を設定画面に備える構成としており、ユーザの嗜好に合わせて炊飯画面G2の背景の色彩で表示する温度を選択できるため、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0072】
また本実施形態の炊飯器では、LCD16に炊飯画面G2の背景の色彩を表示させるか否かを選択可能な表示選択手段としての色彩の表示有無を選択する項目を選択する項目を設定画面に備える構成としており、ユーザの嗜好に合わせて背景色変更表示の実施の有無を選択できるため、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0073】
また本実施形態の炊飯器では、LCD16における炊飯画面G2の背景の色彩の表示は、炊飯器への外部からの通電中にのみ行なわれる構成としており、炊飯器で不要な電力消費を抑制することができる。
【0074】
また本実施形態の炊飯器では、鍋4の温度または被炊飯物の温度の変化量と、炊飯画面G2の背景の色彩の変化量とが一律で対応していない構成としており、そのため、使用頻度の少ない温度帯では表示制御手段49の負担を軽減させることができ、使用頻度の多い温度帯ではより詳細に炊飯画面G2の背景の色彩を表示することができる。
【0075】
また本実施形態の炊飯器では、LCD16は、炊飯画面G2において設定表示体D11~D14や、時計用表示体D16や、時刻用表示体D21や、テキスト表示体D31~D33などの表示体を表示可能であり、LCD16が炊飯画面G2の背景の色彩とこれらの表示体を同時に表示するときに、LCD16は、これらの表示体の色を炊飯画面G2の背景の色彩に対応して変更させて表示可能な構成としている。そのため、炊飯画面G2の背景の色彩の変化により炊飯画面G2の情報が分かり難くなることを抑制することができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば本実施形態では、すべての炊飯工程および保温工程に亘ってLCD16の炊飯画面G2の背景の色彩を連続的に変化させて表示する構成であるが、例えば炊飯工程のみ、沸騰加熱工程のみなど所定の工程のみで炊飯画面G2の背景の色彩を連続的に変化させて表示する構成にしてもよく、この場合は、当該炊飯画面G2の背景の色彩を連続的に変更させて表示する工程を選択できるように構成してもよい。また本実施形態では、ユーザが確認しやすいように炊飯画面G2の背景の色彩を単色にしており、この炊飯画面G2の背景の色彩を連続的に変化させる構成としているが、炊飯画面G2の背景の色彩を、例えばグラデーション表示にして、表示制御手段49は、当該グラデーションの、例えば中央部の色が鍋4の底部の温度や当該温度から推測された被調理物の温度に対応するようにLCD16制御する構成にしてもよい。そして実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【符号の説明】
【0077】
4 鍋
15 鍋センサ(温度検知手段)
18 表示手段
D11,D12,D13,D14 設定表示体(表示体)
D16 時計用表示体(表示体)
D21 時刻用表示体(表示体)
D31,D32,D33 テキスト表示体(表示体)