(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068748
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム、端末装置、及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/163 20240101AFI20240514BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179314
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 祥司
(72)【発明者】
【氏名】繁友 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】橋田 敏季
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC29
5L050CC29
(57)【要約】
【課題】トイレ機器に対する作業を適切に管理する技術を提供する。
【解決手段】管理装置50は、トイレ空間に設置されるトイレ機器及びセンサの少なくとも1つから情報を取得する情報取得部61と、取得した情報に基づいて備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要するトイレ機器を判定する作業要否判定部62と、取得した情報に基づいて作業を要すると判定されたトイレ機器についての作業の優先度を算出する優先度算出部63と、算出された優先度を出力する出力部65と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ空間に設置されるトイレ機器及びセンサの少なくとも1つから情報を取得する情報取得部と、
取得した前記情報に基づいて、備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要する前記トイレ機器を判定する作業要否判定部と、
取得した前記情報に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記作業の優先度を算出する優先度算出部と、
算出された前記優先度を出力する出力部と、
を備える、管理装置。
【請求項2】
算出された前記優先度に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器とその優先度との組を表示させるための表示情報を生成する生成部を備え、
前記出力部は、前記表示情報を前記トイレ機器についての前記作業を担当する担当者に使用される外部の端末装置に出力することにより、前記優先度を出力する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記表示情報は、前記組をその優先度が高い順から並べて表示させるように構成される、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記備品の補充と前記異常の除去との少なくとも一方の前記作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記優先度は、前記清掃の作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記優先度よりも高い、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記異常の除去の作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記優先度は、前記備品の補充の作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記優先度よりも高い、
請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記出力部から出力された前記優先度に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器の作業順序を判定する作業順序判定部と、
前記作業順序に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器とその作業順序との組を表示させるための表示情報を生成する生成部と、
を備え、
前記出力部は、前記表示情報を前記トイレ機器についての前記作業を担当する担当者に使用される外部の端末装置に出力する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
前記作業順序判定部は、前記担当者の現在位置から前記作業を要すると判定された前記トイレ機器へ移動する際の移動距離、移動時間、階移動の有無、階移動の数、及び階移動の手段、前記トイレ機器が作業を要すると判定されてからの経過時間、並びに前記作業を要すると判定された前記トイレ機器の汚れ度合い、使用回数及び使用状況のうち少なくとも1つと、前記優先度とに基づいて、前記作業順序を判定する、請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記トイレ機器は、大便器と、小便器と、洗面器と、を含み、
前記優先度算出部は、取得した前記情報に基づいて算出された前記トイレ機器の使用度合いと所定の閾値との比較に基づいて、前記優先度を算出し、
前記閾値は、前記大便器と、前記小便器と、前記洗面器とでそれぞれ異なる、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
前記優先度算出部は、前記トイレ空間が設けられた施設において前記トイレ空間外に配置された設備に対する作業の要否に基づいて、前記優先度を算出する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項10】
前記優先度算出部は、前記トイレ機器についての前記作業を担当する担当者の現在位置から前記作業を要すると判定された前記トイレ機器へ移動する際の移動距離、移動時間、階移動の有無、階移動の数、及び階移動の手段、前記トイレ機器が作業を要すると判定されてからの経過時間、並びに前記作業を要すると判定された前記トイレ機器の汚れ度合い、使用回数及び使用状況のうち少なくとも1つに基づいて、前記優先度を算出する、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8及び9のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項11】
前記生成部は、前記端末装置から前記作業を要すると判定された前記トイレ機器のうち特定の前記トイレ機器に対する前記作業を保留する旨の入力を受け付けた場合、前記特定のトイレ機器に関する前記組が削除された前記表示情報を生成する、
請求項2及び6のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項12】
前記生成部は、所定の再表示条件が満たされた場合に、前記削除した組を再表示させるように前記表示情報を生成する、
請求項11に記載の管理装置。
【請求項13】
前記生成部は、所定の作業完了条件が満たされた場合に、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器について前記作業が完了した旨が自動的に前記管理装置に送信されるように前記表示情報を生成する、
請求項2及び6のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項14】
コンピュータを、
トイレ空間に設置されるトイレ機器及びセンサの少なくとも1つから情報を取得する情報取得部と、
取得した前記情報に基づいて、備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要する前記トイレ機器を判定する作業要否判定部と、
取得した前記情報に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記作業の優先度を算出する優先度算出部と、
算出された前記優先度を出力する出力部と、
として機能させるための管理プログラム。
【請求項15】
トイレ空間に設置されるトイレ機器に対する作業を担当する担当者に使用される端末装置と、
前記トイレ機器に対する前記作業を管理する管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、
前記トイレ機器及びトイレ空間に設置されるセンサの少なくとも1つから情報を取得する情報取得部と、
取得した前記情報に基づいて、備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要する前記トイレ機器を判定する作業要否判定部と、
取得した前記情報に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記作業の優先度を算出する優先度算出部と、
算出された前記優先度に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器とその優先度との組を表示させるための表示情報を生成する生成部と、
生成された前記表示情報を前記端末装置に出力する出力部と、
を備え、
前記端末装置は、前記管理装置から出力された前記表示情報を前記担当者に提示する提示部を備える、
管理システム。
【請求項16】
トイレ空間に設置されるトイレ機器及びセンサの少なくとも1つから取得された情報に基づいて備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要する前記トイレ機器に対する前記作業の優先度を算出する管理装置から出力された前記優先度を前記作業を担当する作業担当者に提示する提示部を備える、
端末装置。
【請求項17】
コンピュータを、
トイレ空間に設置されるトイレ機器及びセンサの少なくとも1つから取得された情報に基づいて備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要する前記トイレ機器に対する前記作業の優先度を算出する管理装置から出力された前記優先度を前記作業を担当する作業担当者に提示する提示部
として機能させるための管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレ機器に対する作業を管理するための管理装置、管理システム、端末装置、及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレは、人が居住する住宅においても、人が利用する施設においても、必要不可欠な設備である。汚れや臭いが発生しがちな設備であるからこそ、トイレを清潔に維持管理することが、住宅や施設を快適な空間にするための重要な鍵となる。特に、多数の人が利用する商業施設、娯楽施設、複合施設、旅客駅施設などに設置されたトイレは、公衆衛生的な観点からも、適切に維持管理される必要がある。
【0003】
施設の管理者からトイレの清掃を委託された清掃会社は、決められたマニュアルにしたがって、全てのトイレを1日に数回ずつ巡回清掃している。大規模な施設の場合、トイレの台数は数百台にものぼるが、何十人もの担当者が手間と時間をかけて全てのトイレの清掃を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、現状では、施設に設置されたトイレを維持管理するための作業は、多数の作業担当者による人海戦術に頼っており、多大な労力と費用を要している。トイレ機器に対する作業の効率化が求められる。
【0006】
このような課題に鑑み、本開示の目的は、トイレ機器に対する作業を適切に管理する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の管理装置は、トイレ空間に設置されるトイレ機器及びセンサの少なくとも1つから情報を取得する情報取得部と、取得した前記情報に基づいて、備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要する前記トイレ機器を判定する作業要否判定部と、取得した前記情報に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記作業の優先度を算出する優先度算出部と、算出された前記優先度を出力する出力部と、を備える。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、トイレ空間に設置されるトイレ機器に対する作業を担当する担当者に使用される端末装置と、前記トイレ機器に対する前記作業を管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記トイレ機器及びトイレ空間に設置されるセンサの少なくとも1つから情報を取得する情報取得部と、取得した前記情報に基づいて、備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要する前記トイレ機器を判定する作業要否判定部と、取得した前記情報に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器についての前記作業の優先度を算出する優先度算出部と、算出された前記優先度に基づいて、前記作業を要すると判定された前記トイレ機器とその優先度との組を表示させるための表示情報を生成する生成部と、生成された前記表示情報を前記端末装置に出力する出力部と、を備え、前記端末装置は、前記管理装置から出力された前記表示情報を前記担当者に提示する提示部を備える、管理システムである。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、トイレ空間に設置されるトイレ機器及びセンサの少なくとも1つから取得された情報に基づいて備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含む作業を要すると判定された前記トイレ機器に対する前記作業の優先度を算出する管理装置から出力された前記優先度を前記作業を担当する作業担当者に提示する提示部を備える、端末装置である。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る管理システムの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る担当者端末の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る管理システムの処理を示すシーケンス図である。
【
図5】担当者端末により表示される表示画面の例を示す図である。
【
図6】担当者端末により表示される表示画面の例を示す図である。
【
図7】担当者端末により表示される表示画面の例を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る管理システムの処理を示すシーケンス図である。
【
図10】担当者端末により表示される表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施の形態として、トイレ機器に対する作業を管理する技術について説明する。本実施の形態の管理システムにおいて、トイレ機器に対する作業を担当する作業担当者は、トイレ機器の全てを定期的に巡回するのではなく、清掃等の作業を要すると管理装置により判定されたトイレ機器のみに対して作業する。これにより、使用されていないトイレ機器に対して毎日何度も作業するという無駄を省き、使用頻度などに応じて適切にトイレ機器に対して作業することができるので、トイレ機器に対する作業効率を大幅に向上させることができる。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る管理システムの構成を示す。管理システム10は、施設20のトイレ室21に設置されるトイレ機器40の作業を管理する管理装置50と、トイレ室21に設置されるトイレ機器40及びセンサ33の少なくとも1つからの情報を管理装置50に送信する通信装置22と、トイレ機器40に対する作業を担当する作業担当者の有する担当者端末90と、これらの装置の間で通信するための通信手段の一例であるインターネット12とを備える。本実施形態のトイレ室21は、トイレ空間の一例である。本実施形態の担当者端末90は、外部の端末装置の一例である。
【0014】
施設20は、複数の階層に階層化されて管理される。施設20は、1つ以上のフロア36を有し、フロア36は、1つ以上のエリア35を有する。それぞれのエリア35には、1つ以上のトイレ室21が設けられる。トイレ室21には、センサ33と、トイレ室21のドア23と、1以上の個室24と、それぞれの個室24のドア25と、その吐水部から吐出された水を受ける水受け部(不図示)を有するトイレ機器40と、が設けられる。本実施形態のトイレ機器40は、洗面器26と、それぞれの個室24に設置された大便器30と、男性用のトイレ室21に設置された小便器32と、を含む。洗面器26は、水栓及び水栓から吐出された水を受ける水受け部を含み、必要に応じて水石鹸を供給する水石鹸供給装置、消毒剤を供給する消毒剤供給装置等を含む(いずれも不図示)。大便器30が設けられた個室24には、トイレットペーパーが設けられ、必要に応じて便座クリーナ供給装置、ゴミ箱等が設けられる。大便器30は、和式の大便器であっても洋式の大便器であってもよい。トイレ機器40は、トイレ機器40の使用者がトイレ機器40に操作指示を入力するためのコントローラ31、34、37を備える。各コントローラ31、34、37は、使用者から入力された操作指示に応じて、そのトイレ機器40が動作したことを示す動作情報を通信装置22を介して管理装置50に送信可能に構成される。センサ33は、通信装置22を介してその検知情報を管理装置50に送信可能に構成される。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る管理装置50の構成を示す機能ブロック図である。管理装置50は、通信装置51、表示装置52、入力装置53、記憶装置80、及び制御装置60を備える。管理装置50は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピュータなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0016】
通信装置51は、他の装置との間の通信を制御する。通信装置51は、有線又は無線の任意の通信方式により通信してもよい。通信装置51は、インターネット12を介して通信装置22との間で通信し、トイレ機器40及びセンサ33の少なくとも1つからの情報を受信する。また、通信装置51は、インターネット12を介して、担当者端末90との間で通信する。
【0017】
表示装置52は、制御装置60により生成される画面を表示する。表示装置52は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置53は、管理装置50の使用者による指示入力を制御装置60に伝達する。入力装置53は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置52及び入力装置53は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0018】
記憶装置80は、制御装置60により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置80は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。記憶装置80には、情報保持部81、使用回数保持部82、作業実績情報保持部83、及びトイレデータベース84が格納される。
【0019】
情報保持部81は、トイレ機器40及びセンサ33の少なくとも1つから取得した情報を保持する。使用回数保持部82は、作業対象のトイレ機器40の使用回数を保持する。作業実績情報保持部83は、作業対象のトイレ機器40の作業実績を示す情報を保持する。トイレデータベース84は、作業対象のトイレ機器40に関する情報を保持する。トイレデータベース84は、例えば、トイレ室21の数、位置、階及び平面図、トイレ室21に設置された個室の数及び位置、トイレ機器40の設置場所、設置階、設置数、種類、設置からの経過時間、使用頻度、作業頻度、製造日、製造番号などの情報を保持する。
【0020】
制御装置60は、情報取得部61、作業要否判定部62、優先度算出部63、生成部64、出力部65、作業実績情報取得部66、及び作業実績情報提示部67を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
情報取得部61は、トイレ機器40及びセンサ33の少なくとも1つから通信装置22を介して情報を取得し、情報保持部81に格納する。
【0022】
作業要否判定部62は、情報取得部61によって取得された情報に基づいてトイレ機器40の使用回数を算出して使用回数保持部82に格納された使用回数を更新する。本実施形態の作業要否判定部62は、使用回数保持部82に格納された使用回数に基づいて、作業を要するトイレ機器40を判定する。
【0023】
優先度算出部63は、情報取得部61によって取得された情報に基づいて作業を要すると判定されたトイレ機器40についての作業の優先度を算出する。優先度の算出方法については後述する。
【0024】
生成部64は、算出された優先度に基づいて、作業を要すると判定されたトイレ機器40とその優先度との組を表示させるための優先度情報を生成する。本実施形態の優先度情報は、表示情報の一例である。
【0025】
出力部65は、算出された優先度を出力する。本実施形態の出力部65は、優先度情報を担当者端末90に出力することにより、優先度を出力する。本実施形態の出力部65は、優先度情報を含む作業指示を担当者端末90に出力する。
【0026】
作業実績情報取得部66は、担当者端末90から作業実績情報を取得して、作業実績情報保持部83に格納する。
【0027】
作業実績情報提示部67は、作業実績情報保持部83に保持されている作業実績情報を読み出して、施設20の管理者、作業の管理者、他の作業担当者などに提示する。
【0028】
図3は、第1実施形態に係る担当者端末90の構成を示す機能ブロック図である。担当者端末90は、通信装置91、表示装置92、入力装置93、記憶装置94、及び制御装置95を備える。担当者端末90は、パーソナルコンピュータなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0029】
通信装置91は、他の装置との間の通信を制御する。通信装置91は、有線又は無線の任意の通信方式により通信してもよい。通信装置91は、インターネット12を介して、管理装置50との間で通信する。
【0030】
表示装置92は、制御装置95により生成される画面を表示する。表示装置92は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置93は、作業担当者による指示入力を制御装置95に伝達する。入力装置93は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置92及び入力装置93は、タッチパネルとして実装されてもよい。記憶装置94は、制御装置95により使用されるプログラム、データなどを記憶する。
【0031】
制御装置95は、作業指示取得部96、作業指示表示部97、送信部98、及び作業実績情報表示部99を備える。これらの構成も、ハードウエアのみ、又はハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できる。
【0032】
作業指示取得部96は、管理装置50から作業指示を取得する。作業指示表示部97は、作業指示取得部96により取得された作業指示を表示装置92に表示する。本実施形態の作業指示表示部97は、作業指示に含まれる作業の優先度を表示装置92に表示する。
【0033】
送信部98は、作業担当者が作業を完了したときに、作業が完了した旨及び作業の内容などを含む作業実績情報を管理装置50へ送信する。
【0034】
作業実績情報表示部99は、他の作業担当者による作業実績情報を管理装置50から取得して表示装置92に表示する。
【0035】
図4は、第1実施形態に係る管理システム10の処理を示すシーケンス図である。
【0036】
ステップS10で、情報取得部61は、センサ33から検知情報を通信装置22を介して取得する。センサ33は、例えば、個室24のドア25の開閉センサ、ドア25に設置された鍵の施解錠を検知するセンサ、焦電センサ、人感センサ、温度センサ、大便器30の着座センサ、排水センサ、詰まりセンサ、匂いセンサ、汚れセンサ、音センサなどであってもよい。
図4の例では、管理装置40は、センサ33から検知情報を取得するが、トイレ機器40から動作情報を取得してもよい。後述の
図9でも同様である。
【0037】
ステップS12で、作業要否判定部62は、取得した情報に基づいて、各トイレ機器40の使用回数を算出する。作業要否判定部62は、例えば、個室24のドア25の開閉センサにより検知された開閉数や、ドア25に設置された鍵の施解錠を検知するセンサにより検知された施解錠回数や、焦電センサ、人感センサ、温度センサなどにより使用者が検知された回数や、大便器30の着座センサにより検知された着座回数や、トイレ機器40の排水センサにより検知された排水回数、洗面器26の水石鹸供給装置によって水石鹸が吐出された時間、洗面器26の水栓から水が吐出された回数や時間、各トイレ機器の動作情報などからトイレ機器40の使用回数を算出してもよい。
【0038】
ステップS14で、作業要否判定部62は、作業を要するトイレ機器40を判定する。ここでの作業は、清掃作業と、備品の補充作業と、異常の除去作業とを含む。ここでの備品の補充は、例えば、トイレットペーパーの補充、消毒剤の補充、洗面器26に設けられたオートソープなどの水石鹸供給装置(不図示)への水石鹸の補充等を含む。ここでの異常は、例えば、トイレ機器40の水受け部の詰まり、大便器30に設けられたシャワートイレ装置(例えば、おしり洗浄ノズル、ビデ洗浄ノズル、乾燥装置、脱臭装置、暖房便座)の故障又は異常、大便器30及び小便器32の水洗装置(不図示)への故障又は異常、洗面器26の水栓や水石鹸供給装置の故障又は異常等を含む。例えば、作業要否判定部62は、使用回数が閾値を超えたトイレ機器40に対して清掃作業を要すると判定する。管理装置50は、トイレ機器40の匂い、汚れなどに基づいて、清掃作業を要するトイレ機器40を判定してもよい。作業要否判定部62は、例えば、トイレ機器40の水受け部から汚水があふれたことが検知された場合に、異常の除去作業を要すると判定してもよい。作業要否判定部62は、例えば、使用回数が閾値を超えた場合や、トイレットペーパーや洗面器26に設けられた水石鹸供給装置(不図示)の水石鹸が切れたことが検知された場合に、補充作業を要すると判定してもよい。作業を要すると判定されたトイレ機器40が無い場合は(ステップS14のN)、ステップS10に戻る。作業を要すると判定されたトイレ機器40が有る場合(ステップS14のY)、ステップS16に進む。
【0039】
ステップS16で、優先度算出部63は、取得した情報に基づいて、作業を要すると判定されたトイレ機器40に対する作業の優先度を算出する。例えば、優先度算出部63は、取得した情報に基づく作業の判定結果を用いて、清掃作業を要すると判定されたトイレ機器40について作業の優先度を1とし、補充作業を要すると判定されたトイレ機器40について作業の優先度を3とし、異常の除去作業を要すると判定されたトイレ機器40について作業の優先度を5とする。清掃作業、補充作業及び異常の除去作業のうち複数の作業を要すると判定された場合、要すると判定された作業に割り当てられた優先度を加算する。例えば、優先度1の清掃作業と優先度3の補充作業とを要すると判定された場合、そのトイレ機器40に対する作業の優先度は、1+3=4とする。
【0040】
備品の補充と異常の除去との少なくとも一方の作業を要すると判定されたトイレ機器40についての優先度は、清掃作業を要すると判定されたトイレ機器40についての優先度よりも高くすることが好ましい。また、異常の除去作業を要すると判定されたトイレ機器40についての優先度は、備品の補充作業を要すると判定されたトイレ機器40についての優先度よりも高くすることが好ましい。
【0041】
ステップS18で、生成部64は、算出された優先度に基づいて、優先度情報を生成する。
【0042】
ステップS20で、出力部65は、作業を要すると判定されたトイレ機器40の作業指示を担当者端末90に出力する。本実施形態の作業指示は、作業を要すると判定されたトイレ機器40についての優先度情報を含む。出力部65は、例えば、トイレ機器40やトイレ室21を単位として作業担当者への作業指示を出力してもよいし、作業の内容を単位として作業指示を出力してもよい。
【0043】
ステップS22で、担当者端末90の作業指示表示部97は、管理装置50から出力された作業指示中の優先度情報を作業担当者に提示する。本実施形態の優先度情報の表示画面の例については後述する。
【0044】
作業担当者がトイレ機器40の作業を完了し、担当者端末90に作業が完了した旨を入力すると、ステップS24で、担当者端末90の送信部98は、作業が完了した旨及び作業の内容などを含む作業実績情報を管理装置50に送信する。
【0045】
ステップS26で、作業実績情報取得部66は、担当者端末90から作業実績情報を取得して、トイレ機器40の作業履歴として作業実績情報保持部83に格納する。
【0046】
その後、ステップS16に戻り、優先度算出部63は、作業を要すると判定されたトイレ機器40の優先度を新たに算出する。ステップS18で、生成部64は、新たに算出した優先度に基づいて優先度情報を生成する。ステップS20で、出力部65は、最新の優先度情報を含む作業指示を担当者端末90に出力する。ステップS22で、担当者端末90の作業指示表示部97は、管理装置50から出力された最新の優先度を含む作業指示を作業担当者に提示する。作業担当者は、次に作業すべきトイレ機器40の設置場所へ移動し、トイレ機器40に対して作業する。
【0047】
施設20に設置された複数のトイレ機器40が、複数の作業担当者により作業される場合、それぞれの作業担当者が担当するトイレ機器40が重複しないように予め定められてもよい。
【0048】
図5は、第1実施形態に係る担当者端末90により表示される優先度情報の表示画面の例を示す。
図5の例では、作業を要すると判定された3つのトイレ機器40についての作業指示が各作業指示領域110において示されている。各作業指示領域110は、作業を要すると判定されたトイレ機器40を識別するためのトイレ機器識別領域101と、優先度を表示する優先度表示領域102と、必要とする作業を表示する作業表示領域103と、必要とする作業を示すインジケータ104と、作業を要すると判定された日時を表示する判定日時表示領域105と、作業が完了した旨を入力するための作業完了ボタン106と、を含む。
図5のインジケータ104a~104eは、大便器30にあふれが発生していることにより異常の除去作業が必要であること、大便器30の清掃作業が必要であること、水石鹸の補充作業が必要であること、洗面器26の清掃作業が必要であること、小便器32の清掃作業が必要であることをそれぞれ示す。
【0049】
上述したように、トイレ機器40の作業が完了するたびに最新の優先度が算出されて担当者端末90に通知されるので、担当者端末90は、次に作業すべきトイレ機器40のみを表示装置92に表示してもよいが、次以降に作業すべきトイレ機器40も表示装置92に表示することにより、今後の作業の見通しを作業担当者に示すことができる。
【0050】
図6は、担当者端末90により表示される作業完了時の表示画面の例を示す。作業担当者がトイレ機器40の作業を完了すると、
図5の作業完了ボタン106を押すことにより、表示画面が
図6の作業完了時の表示画面120に移行する。
図6の作業完了時の表示画面120は、トイレ機器識別領域101と、作業表示領域103と、インジケータ104(104e)と、作業担当者入力領域121と、メモ領域122と、下書き保存ボタン123と、完了ボタン124と、を含む。メモ領域122には、例えば、作業の内容、トイレ機器40やトイレ室21の状況、不具合の有無や内容、作業担当者に関する情報などが入力される。作業完了時の表示画面において必要事項を入力した後、完了ボタン124を押すことにより、作業が完了した旨の入力が完了し、各入力事項が作業実績情報として管理装置50に送信される。
【0051】
作業履歴や作業担当者により入力された情報は、施設20の管理者、作業の管理者、他の作業担当者などが確認したり修正したりすることができるようにしてもよい。
図7は、担当者端末90により表示される作業履歴の表示画面の例を示す。
図7の例では、作業が完了されたトイレ機器40についての作業履歴が各作業履歴表示領域130において示されている。各作業履歴表示領域130は、トイレ機器識別領域101と、作業表示領域103と、作業が完了済みであることを示すインジケータ131と、作業完了日時表示領域132と、作業担当者表示領域133と、メモ閲覧ボタン134と、を含む。各作業履歴表示領域130は、その作業の完了順に上から並んで配置されている。
図7のインジケータ131a~131cは、大便器30に対する作業が完了済みであること、小便器32に対する作業が完了済みであること、洗面器26に対する作業が完了済みであることをそれぞれ示す。メモ閲覧ボタン134を押すことにより、作業完了時に
図6のメモ領域122に入力した内容を閲覧することができる。
【0052】
本実施形態では、管理装置50は、トイレ機器40用の備品の補充とトイレ機器40の異常の除去とのうちの少なくとも1つとトイレ機器40の清掃とを含む作業を要するトイレ機器40を判定するとともに、作業を要すると判定されたトイレ機器40に対する作業の優先度を算出して出力する。本構成によると、優先度を参照することにより適切な順序で作業することが可能となるため、トイレ機器40に対する作業効率を更に向上させることができる。
【0053】
本実施形態では、管理装置50は、算出された優先度に基づいて、作業を要すると判定されたトイレ機器40とその優先度との組を表示させるための優先度情報を生成して、担当者端末90に出力することにより、優先度を出力する。本構成によると、作業担当者は、担当者端末90に提示された優先度に基づいてトイレ機器40に対して作業することで、効率良くトイレ機器40に対する作業を進めることができる。
【0054】
本実施形態では、備品の補充と異常の除去との少なくとも一方の作業を要すると判定されたトイレ機器についての優先度は、清掃の作業を要すると判定されたトイレ機器についての優先度よりも高い。本構成によると、作業の緊急性に応じて、作業担当者が適切に作業することが可能となる。
【0055】
本実施形態では、異常の除去の作業を要すると判定されたトイレ機器40についての優先度は、備品の補充の作業を要すると判定されたトイレ機器40についての優先度よりも高い。本構成によると、作業の緊急性に応じて、作業担当者が適切に作業することが可能となる。
【0056】
図5の例において、作業を要する各トイレ機器40とその作業の優先度との組が、判定日時の早い順で上から並べて表示されているが、これに限定されない。表示情報は、上記組をその優先度が高い順から並べて表示させるように構成されてもよい。表示情報自体が上記組を優先度が高い順に並べた画像を有していてもよいし、表示情報が担当者端末90に優先度情報に基づいて上記組を優先度が高い順に並べた画像を作成させるものであってもよい。本構成によると、作業の優先度の高いトイレ機器40を容易に認識することができるため、効率良くトイレ機器40に対する作業を進めることができる。
【0057】
実施形態では、施設20のトイレ室21に設置されたトイレ機器40を管理する例について説明したが、本開示の技術は、一般的な住宅のトイレや、公園や路上などに設置された公衆トイレなどを管理する場合にも適用可能である。
【0058】
実施形態では、トイレ機器40として、洗面器26、大便器30及び小便器32を挙げたが、これに限定されず、例えば、オストメイトの方が排泄物などの汚物を処理するためのボウル部を有する汚物流しユニットなどでもよい。トイレ機器40は、トイレ室21に設置され、吐水部から吐出された水を受ける水受け部を有し、水受け部が詰まった際に水を溢れてさせてしまう可能性がある任意の機器でよい。
【0059】
実施形態では、作業は、清掃と、備品の補充と、異常の除去とを含んだが、備品の補充と異常の除去とのうちの少なくとも1つと清掃とを含めばよい。
【0060】
実施形態では、取得した情報に基づく作業の判定結果を用いて、清掃、備品の補充、及び異常の除去のうちいずれの作業であるかに応じて優先度が算出されたが、これに限定されず、優先度算出部は、例えばトイレ機器40の水受け部から汚水があふれたことが検知された場合に優先度を5と算出するなど、取得した情報から直接的に優先度を算出してもよい。
【0061】
実施形態では、取得した情報から算出されたトイレ機器40の使用回数と閾値との比較に基づいて優先度を算出したが、この閾値は、洗面器26と、大便器30と、小便器32と、でそれぞれ異なるものであってもよい。本構成によると、洗面器2、大便器30、小便器32毎に適切なタイミングで清掃作業及び補充作業を行うことが可能となる。閾値は、トイレ室21の種類(例えば、男性用トイレ、女性用トイレ、多目的トイレ、子供用トイレ)、トイレ機器40の機種等に応じて、異なるものであってもよい。さらに、施設20、フロア36、エリア35、トイレ室21の人の増減や混雑状況、時間帯、施設20の周辺の天候、トイレ室21に対するクレームの受付数、トイレットペーパーや水石鹸、消毒剤の利用量や残量、トイレ室21の匂い等によって、閾値が自動的に変更されてもよい。また、トイレ機器40の使用回数と閾値との比較に限られず、例えば、トイレ機器40の使用時間と閾値との比較に基づいて優先度が算出されてもよい。まとめると、トイレ機器40が使用された度合いを示す使用度合いと閾値との比較に基づいて優先度が算出されてもよい。
【0062】
実施形態では、清掃作業、補充作業、異常の除去作業などの作業毎に異なる優先度が算出されたが、これに限定されず、上記閾値と同様に、トイレ機器40の種類(例えば、洗面器26、大便器30及び小便器32)、トイレ室21の種類(例えば、男性用トイレ、女性用トイレ、多目的トイレ、子供用トイレ)、トイレ機器40の機種、施設20、フロア36、エリア35、トイレ室21の人の増減や混雑状況、時間帯、施設20の周辺の天候、トイレ室21に対するクレームの受付数、トイレットペーパーや水石鹸、消毒剤の利用量や残量、トイレ室21の匂い等に応じて異なる優先度が算出されてもよい。
【0063】
また、優先度は、作業担当者の現在位置から作業を要すると判定されたトイレ機器40へ移動する際の移動距離、移動時間、階移動の有無、階移動の数、及び階移動の手段、トイレ機器40が作業を要すると判定されてからの経過時間、並びに作業を要すると判定されたトイレ機器40の汚れ度合い、使用回数及び使用状況のうち少なくとも1つに基づいて算出されてもよい。例えば、優先度算出部63は、担当者端末90からGPSやビーコンなどを用いて現在位置を示す情報を取得したり、作業担当者により直近に作業が行われたトイレ機器40の場所を作業実績情報保持部83から読み出すことにより、作業担当者の現在位置を取得することができる。例えば、優先度算出部63は、作業担当者の現在位置を始点とし、作業を要すると判定された複数のトイレ機器40のそれぞれを頂点とする有向グラフにおいて、頂点間の移動距離、移動時間、階移動の有無、階移動の数、又は階移動の手段、トイレ機器40が作業を要すると判定されてからの経過時間、トイレ機器40の汚れ度合い、トイレ機器40の使用回数、及びトイレ機器40の使用状況のうち少なくとも1つから算出される値を頂点間のコストとして、コストの合計が最小となるような最適経路を解くことにより、この最適経路に基づいて複数のトイレ機器40の優先度を算出してもよい。優先度算出部63は、それぞれの項目を所要時間に換算して頂点間のコストとしてもよい。例えば、頂点間を移動する際に階を移動する場合、優先度算出部63は、階移動の数や階移動の手段に応じた移動時間を、移動距離から算出される移動時間に加えてもよい。また、作業対象の大便器30が使用中である場合、優先度算出部63は、その大便器30が清掃可能となるまでの待ち時間をコストに加えてもよい。また、トイレ機器40の汚れ度合いが大きいほど、清掃に時間を要するので、優先度算出部63は、コストを大きくしてもよい。また、トイレ機器40が作業を要すると判定されてからの経過時間が長いほど、トイレ機器40が汚れた状態が長く続くことになるので、優先度算出部63は、清掃順位を高くするために、コストを小さくしてもよい。また、トイレ機器40の汚れ度合いや使用回数が大きいほど、作業順位を高くするために、コストを小さくしてもよい。頂点間の移動時間として、頂点が属する領域間の移動時間の概算値が使用されてもよい。例えば、施設20、エリア35、フロア36、トイレ室21のように階層化された領域における頂点間の階層関係に応じて移動時間の概算値が割り当てられてもよい。階層関係は、親族関係の親疎を表す尺度として使用される親等になぞらえて算出されてもよい。優先度算出部63は、それぞれの項目に重みを付けてコストを算出してもよい。優先度算出部63は、Bellman-Ford法など、任意のアルゴリズムにより最適経路問題を解いてもよい。これらの構成によると、作業担当者の移動の効率なども加味して優先度を算出できるため、作業担当者の作業効率を向上させることが可能となる。
【0064】
生成部64は、担当者端末90から作業を要すると判定されたトイレ機器のうち特定のトイレ機器40に対する作業を保留する旨の入力を受け付けた場合、その特定のトイレ機器40に関する組が削除された表示情報(優先度情報又は作業順序情報)を生成してもよい。例えば、生成部64は、
図5の作業指示領域110をスワイプしたり、作業指示領域110に作業保留ボタンを設けてこの作業保留ボタンを押すことにより、その作業指示領域110に対応するトイレ機器40に対応する作業を保留する旨を管理装置50に送信できるように表示情報を構成する。生成部64は、この作業を保留する旨を受け付けた場合、そのトイレ機器40とその優先度又は作業順序との組を削除した表示情報を再生成する。本構成によると、トイレ機器40が利用中で作業担当者が作業できない場合、作業担当者は、その作業を一時的に保留として、後から作業することが可能となる。また、本構成において、生成部は、所定の再表示条件が満たされた場合に、その削除した組を再表示させるように表示情報を生成してもよい。ここでの所定の再表示条件は、例えば、作業を保留する旨を受け付けてから所定時間経過した場合、担当者端末90から作業の保留を解除する特定の入力を受け付けた場合等である。本構成によると、作業を保留したトイレ機器に対して作業をし忘れてしまうことを抑制することが可能となる。
【0065】
優先度算出部63は、施設20においてトイレ室21の外に配置された設備に対する作業の要否に基づいて、優先度を算出してもよい。ここでの設備に対する作業は、例えば、ゴミ箱や床の清掃、消毒剤の補充等である。例えば、優先度算出部は、作業を要すると判定されたトイレ機器40の周辺(同じエリア35や同じフロア36など)にあるトイレ室21外の設備に対して作業を要する場合には、そのトイレ機器40の優先度を高くしてもよい。トイレ室21外の設備に対する作業の要否は、例えば、定期的にその設備に対する作業が行われる場合には時間帯に基づいて判断されてもよいし、ゴミ箱が満杯になったことや消毒剤が切れたことが検知されたことに基づいて判断されてもよい。
【0066】
実施形態では、
図5の作業完了ボタン106及び
図6の完了ボタン124を押すことにより、作業が完了した旨が管理装置50に入力されたが、これに限定されない。生成部64は、所定の作業完了条件が満たされた場合に、作業を要すると判定されたトイレ機器40について作業が完了した旨が自動的に管理装置50に送信されるように表示情報を生成してもよい。例えば、作業完了条件は、曜日、時刻、休日などの予め決められた日時条件に該当する場合を含んでもよい。例えば、作業員の勤務体制が開店の30分前などの特定の時間までに全てのトイレ機器40の作業を完了させるように設定されている場合には、開店の30分前を日時条件として開店の30分前に全てのトイレ機器40について作業が完了した旨が管理装置50に送信される。これにより、担当者端末90の画面を操作して作業が完了した旨を入力する手間を低減することができる。作業完了条件は、例えば、予め決められた作業(例えば、トイレットペーパーの補充、トイレ機器40の特殊操作)が行われた場合、汚れが所定の基準以下になったことが検知された場合、担当者端末90が所定の位置にいる場合、担当者端末90により作業が完了したトイレ機器40の画像データを管理装置50に送信した場合、トイレ機器40を特殊操作してから作業員の特定の行動パターンが検出された場合などを含んでもよい。本構成によっても、担当者端末90の画面を操作して作業が完了した旨を入力する手間を低減することができる。表示情報自体が担当者端末90に作業が完了した旨を自動的に送信させる処理を実行させるための命令を有していてもよいし、作業が完了した旨を自動的に送信するためのアプリケーションを担当者端末90に予めインストールさせておき、表示情報の受信に応答して作業完了条件を満たすかどうかを担当者端末90が判断してもよい。
【0067】
洗面器26、大便器30及び小便器32の近傍にLEDランプなどを含む通知装置を設け、この通知装置に作業指示を送信して通知装置のLEDランプを点滅させることによりそのトイレ機器40の作業を要する旨を通知させてもよい。この場合、通知装置は、この通知装置によるLEDランプの点滅をオフにすることにより、作業を完了した旨を管理装置50に送信できるようにしてもよい。
【0068】
(第2実施形態)
以下、本開示の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0069】
図8は、第2実施形態に係る管理装置50の構成を示す機能ブロック図である。第2実施形態の管理装置は、作業順序判定部68をさらに備える。作業順序判定部68は、作業の優先度に基づいて、作業要否判定部62により作業を要すると判定されたトイレ機器40の作業順序を判定する。本実施形態の生成部64は、判定された作業順序に基づいて、作業を要すると判定されたトイレ機器40とその作業順序との組を表示させるための作業順序情報を生成する。本実施形態の作業順序情報は、表示情報の一例である。本実施形態の出力部65は、作業順序情報を含む作業指示を担当者端末90に出力する。
【0070】
図9は、第2実施形態に係る管理システム10の処理を示すシーケンス図である。
図9のステップS30~S36、S46、S48は、特に言及する点を除いて、基本的に
図4のステップS10~S16、S24、S26と同様であるため、その説明を省略する。
【0071】
ステップS36で作業の優先度が算出されると、出力部65は、優先度算出部63により算出された優先度を作業順序判定部68に出力する。ステップS38で、作業順序判定部68は、出力部65から出力された優先度に基づいて、作業要否判定部62により作業を要すると判定されたトイレ機器40の作業順序を判定する。例えば、作業順序判定部68は、優先度が高い順に、作業を要すると判定されたトイレ機器40を順序付ける。
【0072】
ステップS40で、生成部は、判定された作業順序に基づいて、作業順序情報を生成する。ステップS42で、出力部は、作業順序情報を含む作業指示を担当者端末90に出力する。この作業指示は、作業順序情報に加えて、算出された優先度を含んでもよい。ステップS44で、担当者端末90の作業指示表示部97は、管理装置50から出力された作業指示を作業担当者に提示する。
【0073】
図10は、第2実施形態に係る担当者端末90により表示される作業順序の表示画面の例を示す。
図10の例では、その優先度が高い順に上から並べることで、作業を要する各トイレ機器40とその作業の優先度との組が示される。並び順で上記組を示すことに限定されず、作業の優先順位(1番目、2番目等)を表示することにより上記組を示してもよい。また、作業を要するトイレ機器40の作業順序がトイレ室21のマップ形式で表示されてもよい。
【0074】
第2実施形態では、作業の優先度に基づいて作業を要すると判定されたトイレ機器40の作業順序が判定される。本構成によると、作業順序を参照することにより適切な順序で作業することが可能となるため、トイレ機器40に対する作業効率を更に向上させることができる。
【0075】
第2実施形態では、作業順序判定部68は、優先度が高い順に、作業を要すると判定されたトイレ機器40の作業順序を判定したが、これに限定されない。例えば、作業順序判定部68は、作業担当者の現在位置から作業を要すると判定されたトイレ機器40へ移動する際の移動距離、移動時間、階移動の有無、階移動の数、及び階移動の手段、トイレ機器40が作業を要すると判定されてからの経過時間、並びに作業を要すると判定されたトイレ機器40の汚れ度合い、使用回数及び使用状況のうち少なくとも1つと、優先度とに基づいて、作業順序を判定してもよい。本構成によると、作業担当者の移動の効率や作業の必要度合いなども加味して作業順序を判定できるため、作業担当者の作業効率を向上させることが可能となる。
【0076】
第2実施形態では、作業順序判定部68は、出力部65から出力された優先度に基づいて、作業要否判定部62により作業を要すると判定されたトイレ機器40の作業順序を判定したが、これに限定されない。作業順序判定部68は、情報取得部61により取得された情報に基づいて、トイレ機器40の作業順序を判定してもよい。
【0077】
以上、実施形態に基づき本開示を説明したが、実施形態は、本開示の原理、応用を示すにすぎない。また、実施形態には、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 管理システム、12 インターネット、20 施設、21 トイレ室、22 通信装置、23 ドア、24 個室、25 ドア、26 洗面台、30 大便器、31 コントローラ、32 小便器、33 センサ、35 エリア、36 フロア、50 管理装置、61 情報取得部、62 作業要否判定部、63 優先度算出部、64 生成部、65 出力部、66 作業実績情報取得部、67 作業実績情報提示部、68 作業順序判定部、80 記憶装置、81 情報保持部、82 使用回数保持部、83 作業実績情報保持部、84 トイレデータベース、90 担当者端末、96 作業指示取得部、97 作業指示表示部、98 送信部、99 作業実績情報表示部。