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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068763
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240514BHJP
   H01R 13/447 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H01R13/52 B
H01R13/447
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179337
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】中村 光一
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087LL02
5E087LL17
5E087LL21
5E087RR12
5E087RR13
5E087RR17
(57)【要約】
【課題】ハウジングにカバー部材を取り付けるために必要なスペースを低減できる電気コネクタを提供する。
【解決手段】カバー部材40は、被案内部を有しており、ハウジング10はカバー部材40がハウジング10の後部に取り付けられるように被案内部を案内するための案内部17Aを有しており、案内部17Aは、上下方向に延び、被案内部が所定位置に達するまで、前記被案内部を下方へ向けて案内する第一案内部17Bと、前後方向に延び、被案内部を上記所定位置から前方へ向けて案内する第二案内部17Cとを有しており、被案内部および案内部17Aのうちの一方が突部によって形成されており、他方が突部に当接可能な段部によって形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる帯状の平型導体の上面に実装され、相手コネクタに対して前方へ向けて接続される電気コネクタであって、
ハウジングと、
前記平型導体の幅方向を端子配列方向として配列された状態で前記ハウジングに保持される複数の端子とを有し、
前記端子は、前記ハウジングの後部から延出する接続部で前記平型導体の回路部に接続される電気コネクタにおいて、
前記接続部を覆うように前記ハウジングの後部に取り付けられるカバー部材を有し、
前記カバー部材は、端子配列方向で前記電気コネクタの両端側に位置し端子配列方向に対して交差する面に被案内部を有しており、
前記ハウジングまたは前記ハウジングに取り付けられた部材は、端子配列方向での前記電気コネクタの両端側に位置し端子配列方向に対して交差する面に、前記カバー部材が前記ハウジングの後部に取り付けられるように前記被案内部を案内するための案内部を有しており、
前記案内部は、上下方向に延び、前記被案内部が所定位置に達するまで前記被案内部を下方へ向けて案内する第一案内部と、前後方向に延び、前記被案内部を前記所定位置から前方へ向けて案内する第二案内部とを有しており、
前記被案内部および前記案内部のうちの一方が突部によって形成されており、他方が前記突部に当接可能な段部によって形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記被案内部は、前記電気コネクタの両端側に位置する側板部の板面に設けられた突部として形成され、
前記案内部は、前記電気コネクタの両端側に位置する側壁部の壁面に設けられた2つの前記段部の間で溝部として形成され、
前記案内部は、前記第一案内部が、上下方向に延び上端が開放されている溝部として形成され、前記第二案内部が、前記第一案内部の下部から前方へ延びる溝部として形成されていることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記被案内部は、端子配列方向での前記側板部の内側の板面に設けられており、
前記案内部は、端子配列方向での前記側壁部の外側の壁面に設けられていることとする請求項2に記載の電気コネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平型導体の上面に実装され、カバー部材が設けられた電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタにおいては、該電気コネクタの端子と該端子に接続される部材との接続部分を覆うカバー部材が設けられることがある。特許文献1には、前後方向に延びる平型導体(FFC)の前端部が後方から挿入されてコネクタ内部で端子に接続される電気コネクタが開示されている。この電気コネクタのハウジングの後部には、平型導体と端子との接続部分を覆うカバー部材が取り付けられている。このカバー部材は、電気コネクタの後方側から、該電気コネクタへ向けて前方へスライドするようにして取り付けられる。
【0003】
平型導体の上面に配置されるタイプの電気コネクタにおいても、ハウジングの後部から露出する端子の接続部と平型導体の回路部との接続部分を覆うためのカバー部材が、ハウジングの後部へ向けて前方へスライド移動して、該ハウジングに取り付けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-042448号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、電気機器の小型化等の要求に応じるために、電気機器の内部において電子部品同士の間隔をなるべく狭くした配置の設計がなされることが多い。しかし、上述したようにカバー部材を前方へスライド移動させてハウジングに取り付ける場合には、そのスライド移動のためのスペースをハウジングの後方に確保する必要がある。そのような場合には、電子部品の配置に関する設計の自由度が低下してしまう。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、ハウジングにカバー部材を取り付けるために必要なスペースを低減できる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る電気コネクタは、前後方向に延びる帯状の平型導体の上面に実装され、相手コネクタに対して前方へ向けて接続される電気コネクタであって、ハウジングと、前記平型導体の幅方向を端子配列方向として配列された状態で前記ハウジングに保持される複数の端子とを有し、前記端子は、前記ハウジングの後部から延出する接続部で前記平型導体の回路部に接続される。
【0008】
かかる電気コネクタにおいて、本発明では、前記接続部を覆うように前記ハウジングの後部に取り付けられるカバー部材を有し、前記カバー部材は、端子配列方向で前記電気コネクタの両端側に位置し端子配列方向に対して交差する面に被案内部を有しており、前記ハウジングまたは前記ハウジングに取り付けられた部材は、端子配列方向での前記電気コネクタの両端側に位置し端子配列方向に対して交差する面に、前記カバー部材が前記ハウジングの後部に取り付けられるように前記被案内部を案内するための案内部を有しており、前記案内部は、上下方向に延び、前記被案内部が所定位置に達するまで前記被案内部を下方へ向けて案内する第一案内部と、前後方向に延び、前記被案内部を前記所定位置から前方へ向けて案内する第二案内部とを有しており、前記被案内部および前記案内部のうちの一方が突部によって形成されており、他方が前記突部に当接可能な段部によって形成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の電気コネクタでは、ハウジングにカバー部材を取り付ける際、まず、カバー部材を、被案内部が所定位置に達するまで、第一案内部による案内を被案内部で受けながら、下方へ移動させる。次に、カバー部材を、ハウジングの後部へ後方から取り付けられる位置に達するまで、第二案内部による案内を被案内部で受けながら前方へ向けて移動させる。このように、本発明では、カバー部材は、被案内部が上記所定位置に達するまで下方へ移動してから、前方へ移動して、ハウジングの後部に取り付けられる。したがって、カバー部材を、下方への移動によってハウジングの後部に近接した位置にもたらすことにより、その後における、前方への移動距離を短くすることができる。その結果、ハウジングの後方において、カバー部材を前方へ移動させるために必要なスペースが小さくて済む。その結果、電気コネクタを含む電子部品の配置に関する設計の自由度が高くなる。
【0010】
(2) (1)の発明において、前記被案内部は、前記電気コネクタの両端側に位置する側板部の板面に設けられた突部として形成され、前記案内部は、前記電気コネクタの両端側に位置する側壁部の壁面に設けられた2つの前記段部の間で溝部として形成され、前記案内部は、前記第一案内部が、上下方向に延び上端が開放されている溝部として形成され、前記第二案内部が、前記第一案内部の下部から前方へ延びる溝部として形成されていてもよい。
【0011】
(3) (2)の発明において、前記被案内部は、端子配列方向での前記側板部の内側の板面に設けられており、前記案内部は、端子配列方向での前記側壁部の外側の壁面に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ハウジングにカバー部材を取り付けるために必要なスペースを低減できる電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の電気コネクタの斜視図であり、(A)は前方側から見た状態、(B)は後方側から見た状態を示している。
図2図1(B)の電気コネクタを、カバー部材を取り付ける前の状態で示す斜視図である。
図3図2の電気コネクタの側壁部を拡大して示す拡大斜視図である。
図4】カバー部材の斜視図であり、(A)は上方側から見た状態、(B)は下方側から見た状態を示している。
図5】カバー部材を取り付ける直前における電気コネクタを示す図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
図6】カバー部材が所定位置に達した状態における電気コネクタを示す図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1(A),(B)は、本実施形態の電気コネクタ1(以下、「コネクタ1」という)の斜視図であり、図1(A)は前方側から見た状態、図1(B)は後方側から見た状態を示している。図2は、図1(B)のコネクタ1を、カバー部材40を取り付ける前の状態で示す斜視図である。コネクタ1は、例えばFPC等の平型導体Cの上面に実装される電気コネクタである。本実施形態では、コネクタ1は、前後方向(X軸方向)に延びる帯状の平型導体Cの前端側部分(X1側の部分)に実装され、相手コネクタ(図示せず)に対して前方へ向けて嵌合接続される。この平型導体Cの前端側部分の下面には、補強板(図示せず)が貼付されている。相手コネクタは、例えば、回路基板上に実装される回路基板用電気コネクタである。本実施形態では、X軸方向(前後方向)にて、X1方向を前方、X2方向を後方とする。また、平型導体Cの幅方向と同じ方向であるY軸方向をコネクタ幅方向とし、平型導体Cの面に対して直角なZ軸方向を上下方向(Z1方向が上方、Z2方向が下方)とする。
【0016】
コネクタ1は、ハウジング10と、コネクタ幅方向(Y軸方向)を端子配列方向として配列された状態でハウジング10に保持される複数の端子20と、コネクタ幅方向でのハウジング10の両端部で保持される固定金具30と、ハウジング10の後部に取り付けられるカバー部材40とを有している。
【0017】
ハウジング10は、樹脂等の電気絶縁材製であり、コネクタ幅方向を長手方向とする略直方体外形をなしている。ハウジング10は、相手コネクタに設けられた受入空間内に前方へ向けて嵌合される嵌合部11を前部に有し、カバー部材40が取り付けられるカバー取付部13を後部に有している。
【0018】
ハウジング10には、図1(A)に示されるように、端子20の一部を収容保持するための端子収容部18が、端子配列方向に配列形成されている。また、端子収容部18は、図1(A)に示されるように、上下方向(Z軸方向)で2段をなしている。端子収容部18は、前後方向に延びてハウジング10を貫通しており、図2に示されるように、端子20の一部、具体的には接触部が形成された前端側部分(図示せず)を後方から受け入れて収容保持するようになっている。
【0019】
嵌合部11の上面には、コネクタ幅方向での中央位置に、上下方向に弾性変位可能なロック腕部12が設けられている。ロック腕部12は、ハウジング10の前端の上面から後方へ向けて延びる片持ち梁状をなしている。ロック腕部12の前後方向での中間位置には、相手コネクタとのロックのためのロック部12Aが、ロック腕部12の上面から突出して設けられている。
【0020】
カバー取付部13は、その前端部に、嵌合部11よりもコネクタ幅方向および上下方向で張り出したフランジ部14を有している。フランジ部14は、コネクタ1が相手コネクタに嵌合接続された状態で、相手コネクタの後端面に後方から対面して近接するようになっている。フランジ部14は、嵌合部11の上面に沿ってコネクタ幅方向に延びる上縁部のうち、ロック腕部12の範囲に対応する部分が、ロック腕部12の上方への過剰な規制するストッパ部14Aをなしている。ストッパ部14Aは、ロック腕部12の後端部の上方でロック腕部12を跨ぐようにして設けられており、ロック腕部12に上方から当接可能となっていることで、ロック腕部12の上方への所定量以上の変位を規制するようになっている。
【0021】
カバー取付部13の後部(フランジ部14よりも後方の部分)には、図2に示されるように、端子20の配列範囲でコネクタ幅方向に延びる部分の上面に、カバー部材40の取付けのための被係止部15および規制部16がそれぞれ2つずつ設けられている。被係止部15は、コネクタ幅方向でのロック腕部12の両側でカバー取付部13の上面から突出するとともにコネクタ幅方向に延びて形成されている。被係止部15は、カバー部材40の後述の係止部42Aと係止可能となっている。規制部16は、コネクタ幅方向でロック腕部12と被係止部15との間に設けられている。規制部16は、後方に開口した凹部でカバー部材40の後述の被規制部42Bを後方から受入可能となっており、上記凹部を囲む周壁によってコネクタ幅方向および上下方向での被規制部42Bの移動を規制するようになっている。
【0022】
カバー取付部13は、図2に示されるように、コネクタ幅方向での両端側で、フランジ部14から後方へ向けて延びる側壁部17を有している。側壁部17は、コネクタ幅方向に対して直角に広がる壁面をもつ板状をなしている。図2に示されるように、側壁部17の上部には、コネクタ幅方向での外側の壁面(外壁面)に案内部17Aが形成されている。案内部17Aは上記外壁面から没した溝部をなしており、ハウジング10へのカバー部材40の取付時において該カバー部材40の後述の被案内部45Aを案内するようになっている。
【0023】
図3は、図2の電気コネクタの側壁部17を拡大して示した拡大斜視図である。案内部17Aは、上下方向に延びる溝部である第一案内部17Bと、第一案内部17Bの下部から前方へ延びる溝部である第二案内部17Cとを有しており、これらが互いに連通することにより、コネクタ幅方向に見てL字状をなしている。
【0024】
図3に示されるように、側壁部17の外壁面から没入している案内部17Aの周囲には、案内部17Aの溝底面(コネクタ幅方向に対して直角な面)よりもコネクタ幅方向外方(図3ではY2方向)へ突出する突出部分が設けられており、該突出部分によって段部が形成されている。つまり、案内部17Aは、段部によって形成されていると言える。具体的には、図3に示されるように、第一案内部17Bは、該第一案内部17Bの前後方向(X軸方向)での両側で上下方向(Z軸方向)に延びる前方段部17Dおよび後方段部17Eと、第一案内部17Bの下端に位置する下方段部17Fとによって形成されている。第一案内部17Bは、上端が開放されており、下端が下方段部17Fによって閉塞されている。また、第二案内部17Cは、該第二案内部17Cの上下方向(Z軸方向)での両側で前後方向(X軸方向)に延びる下方段部17Fおよび上方段部17Gによって形成されている。第二案内部17Cは、前端および後端が開放されており、後端が第一案内部17Bの下部に連通している。
【0025】
側壁部17の下部には、固定金具30を圧入保持するための金具保持部17Hが、コネクタ幅方向に対して直角に広がって形成されている。金具保持部17Hは、コネクタ幅方向で上記案内部17Aよりも外側(図3ではY2側)に位置している。また、側壁部17の後端部17Jは、コネクタ幅方向で金具保持部17Hより内側(図3ではY1側)の位置で、後方へ向けて突出している。この後端部17Jには、カバー部材40の後述の嵌着部46が後方から嵌着される。
【0026】
端子20は、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、相手コネクタに設けられた相手端子(図示せず)との接触のための接触部(図示せず)を前端側に有し、図2および図3に示されるように、平型導体Cの回路部C1との接続のための接続部21を後端側に有している。接続部21は、ハウジング10の後端面から延出する逆L字状の脚部22の下端で屈曲されて後方へ向けて延びている。接続部21は、その下面で平型導体Cの回路部C1に接触しており、該回路部C1に半田接続されるようになっている。
【0027】
固定金具30は、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、図2および図3に示されるように、ハウジング10の両端部に形成された金具保持部17Hに上方から圧入されて、上下方向に延びる両側縁部で保持されている。固定金具30は、コネクタ幅方向外方へ向けて延びる固定部31を下部に有しており、該固定部31で平型導体Cの対応部C2に半田接続されて固定されるようになっている。
【0028】
図4(A),(B)は、カバー部材40の斜視図であり、図4(A)は上方側から見た状態、図4(B)は下方側から見た状態を示している。カバー部材40は、樹脂等の電気絶縁材製であり、ハウジング10の後部からの端子20の露出部分の保護、例えば、防塵や防滴、あるいは作業者の指の接触の防止等を目的として、該露出部分を覆うようにして設けられる。カバー部材40は、コネクタ幅方向で端子配列範囲にわたって延びる本体部41と、コネクタ幅方向での本体部41の両側に設けられた側部44とを有している。図1(A),(B)に示されるように、カバー部材40がハウジング10に取り付けられた状態において、本体部41は、ハウジング10の後部からの端子20の露出部分、すなわち接続部21および脚部22(図2参照)を覆い、側部44は、ハウジング10の側壁部17を覆うようになっている。
【0029】
図1(B)に示されるように、本体部41は、上下方向に対して直角な板面をもつ上板部42と、該上板部42の後端から下方へ向けて延び前後方向に対して直角な板面をもつ後板部43とを有している。上板部42は、端子20の露出部分を上方から覆い、後板部43は、端子20の露出部分を後方から覆うようになっている。上板部42は、コネクタ幅方向での中央域の部分が他部よりも下方に位置しており、これによって、ロック腕部12との干渉を回避している(図1(B)参照)。
【0030】
図4(A),(B)に示されるように、上板部42の前端には、コネクタ幅方向での中間域に係止部42Aおよび被規制部42Bが形成されている。係止部42Aは、前後方向に延び上下方向に弾性変形可能な弾性片として形成されており、前端に設けられた爪部でハウジング10の被係止部15に対して前方から係止可能となっている。被規制部42Bは、コネクタ幅方向で係止部42Aよりも内側で該係止部42Aに隣接し、かつ、係止部42Aよりも若干下方に設けられている。被規制部42Bに前後方向に延びる板状をなし、ハウジング10の規制部16内に後方から進入し、コネクタ幅方向および上下方向での移動の規制を受ける。
【0031】
後板部43には、図4(B)に示されるように、コネクタ幅方向での端子20の間に対応する位置で、前方へ向けて突出する隔壁部43Aが、コネクタ幅方向で配列形成されている。隔壁部43Aの上端は上板部42の下面に連結されている。ハウジング10にカバー部材40が取り付けられた状態において、各隔壁部43Aは、隣接する端子20の脚部22(図2および図3参照)の間に後方から進入し、脚部22同士を隔てるように位置する。
【0032】
側部44は、コネクタ幅方向での外端位置に、コネクタ幅方向に対して直角な板面をもつ側板部45を有している。側板部45は、図1(A),(B)に示されるように、ハウジング10の側壁部17の上部に対応する範囲に形成され、該側壁部17の上部をコネクタ幅方向で外側から覆うようになっている。また、側壁部17の下部は、図1(A),(B)に示されるように、側板部45に覆われておらず、外部に露出した状態となっている。
【0033】
側板部45は、ハウジング10へのカバー部材40の取付時にハウジング10の案内部17Aによる案内を受ける被案内部45Aを有している。被案内部45Aは、図4(A),(B)に示されるように、側板部45の前端位置かつ下端位置で該側板部45の内側の板面からコネクタ幅方向内方へ突出して設けられている。被案内部45Aは、前後方向に延びる板状をなし、前後方向ではハウジング10の第一案内部17Bの幅寸法(前後方向での寸法)より若干小さくなっており、上下方向ではハウジング10の第二案内部17Cの幅寸法(上下方向での寸法)より若干小さくなっている。
【0034】
側部44の後端部は、図4(A),(B)に示されるように、前方へ開口した箱状をなす嵌着部46として形成されている。嵌着部46は、側壁部17の後端部17Jを覆うようにして.該後端部17Jに後方から嵌着される。
【0035】
カバー部材40は、ハウジング10の後部に次の要領で取り付けられる。まず、図5(A),(B)に示されるように、ハウジング10の第一案内部17Bの直上にカバー部材40の被案内部45A(図5(B)では破線で図示)が位置するように、カバー部材40をハウジング10の後部の上方に配置する。次に、カバー部材40を下方へ移動させ、被案内部45Aを第一案内部17B内へ上方から進入させる。カバー部材40の下方への移動は、該カバー部材40がハウジング10の側壁部17の上端に当接するまで行われる。また、カバー部材40は、下方への移動中、第一案内部17Bによる案内を被案内部45Aで受ける。図6(A),(B)に示されるように、カバー部材40の下方への移動が完了した時点において、被案内部45A(図6(B)では破線で図示)は、第一案内部17Bの下端、すなわち下方段部17Fに近接した所定位置に達している。被案内部45Aは、この所定位置において、上下方向で第二案内部17Cの範囲内に位置している。本実施形態では、被案内部45Aは、上記所定位置にて下方段部17Fに当接していないが、これに替えて、上記所定位置にて下方段部17Fに当接していてもよい。
【0036】
次に、カバー部材40を、ハウジング10の後部へ後方から取り付けられる位置(以下、「取付位置」という)に達するまで前方へ向けて、第二案内部17Cによる案内を受けながら移動させる。このとき、被案内部45Aは、下方段部17Fによって下方への移動を規制され、また、上方段部17Gによって上方への移動を規制される。カバー部材40が、取付位置に達したとき、係止部42Aがハウジング10の被係止部15に係止し、これによって、ハウジング10からのカバー部材40の後方への抜けが防止される。また、被規制部42Bが規制部16内へ後方から進入するとともに、嵌着部46が側壁部17の後端部17Jに後方から嵌着される。この結果、図1(A),(B)に示されるように、カバー部材40がハウジング10の後部に対して、ほとんどガタを生じない状態で取り付けられ、コネクタ1が完成する。
【0037】
本実施形態では、カバー部材40は、被案内部45Aが上記所定位置に達するまで下方へ移動してから、前方へ移動して、ハウジング10の後部に取り付けられる。したがって、カバー部材40を、下方への移動によってハウジング10の後部に近接した位置にもたらすことにより、その後における、前方への移動距離を短くすることができる。その結果、ハウジング10の後方において、カバー部材40を前方へ移動させるために必要なスペースが小さくて済む。その結果、コネクタ1を含む電子部品の配置に関する設計の自由度が高くなる。
【0038】
また、カバー部材40をハウジング10から取り外す際には、カバー部材40を後方へ引いて上記所定位置まで移動させてから上方へ移動させれば簡単に取り外すことができる。このとき、カバー部材40の被案内部45Aは、第二案内部17C内を後方移動した後、第一案内部17Bの下部内に達する。仮に、カバー部材40を後方へ引く操作力が強かったとしても、被案内部45Aは、後方段部に17Eに当接して、それ以上の後方への移動を規制される。したがって、カバー部材40を後方へ引いたときの勢いをもって、コネクタ1の後方に設けられている他の電子部品等に衝突することを回避できる。また、ハウジング10から後方へ抜けることがないので、カバー部材40が平型導体C上に落下して、平型導体Cを損傷することも回避できる。
【0039】
また、相手コネクタとの嵌合状態にあるコネクタ1を抜出する際、ハウジング10を摘んで後方へ移動させるが、このとき、仮に、誤ってカバー部材40を摘んだことにより、カバー部材40がハウジング10から後方に移動してしまったとしても、上述したのと同様に、被案内部45Aが後方段部に17Eに当接することで、カバー部材40の移動が規制される。
【0040】
本実施形態では、ハウジング10の案内部17Aが側壁部17の外側面に設けられ、カバー部材40の被案内部45Aが側板部45の内側面に設けられることとしたが、これに替わる変形例として、例えば、案内部が側壁部の内側面に設けられ、被案内部が側板部の外側面に設けられてもよい。この変形例では、側板部はコネクタ幅方向で側壁部の内側に位置するように設けられる。
【0041】
本実施形態では、ハウジング10の案内部17Aが前方段部17D、後方段部17E、下方段部17Fおよび上方段部17Gによって形成され、カバー部材40の被案内部45Aが突部によって形成されることとしたが、これに替わる変形例として、例えば、ハウジングの案内部が突部によって形成され、カバー部材の被案内部が段部によって形成されることとしてもよい。このとき、カバー部材の被案内部は互いに対向する2つの段部により溝部として形成されてもよい。
【0042】
本実施形態では、ハウジング10の案内部17Aが互いに対向する前方段部17Dと後方段部17Eで第一案内部17Bが溝部として形成され、下方段部17Fおよび上方段部17Gによって第二案内部17Cが溝部として形成されることとしたが、これに替わる変形例として、例えば、第一案内部および第二案内部のうち少なくとも一方を1つの段部で形成することとしてもよい。この場合、例えば、第一案内部を後方段部のみによって形成したり、第二案内部を下方段部によって形成したりすることができる。また、第一案内部および第二案内部のうち少なくとも一方を1つの段部で形成してもよいことは、カバー部材に案内部を段部で形成する場合においても同様である。
【0043】
本実施形態では、ハウジング10の第一案内部17Bと第二案内部17Cが側壁部17における同じ壁面で段部によって形成されることとしたが、これに替わる変形例として、例えば、第一案内部を側壁部の一方の壁面で段部によって形成し、第二案内部を側壁部の他方の壁面で段部によって形成してもよい。この変形例では、例えば、カバー部材には、コネクタ幅方向でのそれぞれの端部において、ハウジングの側壁部を挟むようにして配置される2つの側板部が設けられる。そして、それぞれの側板部に、コネクタ幅方向で互いに向かい合うように突出する突部によって被案内部が設けられる。
【0044】
この変形例では、カバー部材の取付けの際には、まず、カバー部材の下方への移動時に、第一案内部が形成された一方の壁面に対向する一方の被案内部が、第一案内部に案内されながら下方へ移動する。このとき、第二案内部が形成された他方の板面に対向する他方の被案内部は、案内部による案内を受けることなく、上記一方の被案内部の移動に伴って下方へ移動する。一方の被案内部が上記所定位置に達したとき、他方の被案内部も、上記所定位置に対応する位置で止まる。次に、カバー部材の前方への移動時において、他方の被案内部が、上記他方の壁面の第二案内部による案内を受けながら前方へ移動する。このとき、上記一方の被案内部は、案内部による案内を受けることなく、上記他方の被案内部の移動に伴って前方へ移動する。
【0045】
このような第一案内部と第二案内部を互いに異なる面に設ける形態は、上述したような、ハウジングの案内部が突部によって形成され、カバー部材の被案内部が段部によって形成される変形例にも適用可能である。その場合には、例えば、ハウジングには、コネクタ幅方向でのそれぞれの端部において、カバー部材の側板部を挟むようにして配置される2つの側壁部が設けられ、それぞれの側壁部に、コネクタ幅方向で互いに向かい合うように突出する突部によって案内部が形成される。
【0046】
本実施形態では、案内部17Aがハウジング10に設けられることとしたが、これに替わる変形例として、案内部を、ハウジングに取り付けられた部材に設けてもよい。例えば、案内部は、ハウジングに取り付けらける金具等に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 コネクタ
10 ハウジング
17 側壁部
17A 案内部
17B 第一案内部
17C 第二案内部
17D 前方段部
17E 後方段部
17F 下方段部
17G 上方段部
20 端子
21 接続部
40 カバー部材
45 側板部
45A 被案内部
C 平型導体

図1
図2
図3
図4
図5
図6