IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空気調和装置 図1
  • 特開-空気調和装置 図2
  • 特開-空気調和装置 図3
  • 特開-空気調和装置 図4
  • 特開-空気調和装置 図5
  • 特開-空気調和装置 図6
  • 特開-空気調和装置 図7
  • 特開-空気調和装置 図8
  • 特開-空気調和装置 図9
  • 特開-空気調和装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068764
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/88 20180101AFI20240514BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20240514BHJP
【FI】
F24F11/88
F24F11/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179338
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 啓右
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260AB14
3L260BA43
3L260CB62
3L260FB02
3L260FB63
(57)【要約】
【課題】暖房加湿運転における空気調和装置の全体の消費電力を低減できる空気調和装置を提供する。
【解決手段】制御器(C)は、暖房運転から暖房加湿運転に切り換わると、空調ユニット(5)の暖房能力を低下させながら加湿ユニット(20)および空調ユニット(5)を運転させる第1動作を実行させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を吸着する吸着部材(22)と、該吸着部材(22)から水分を脱離させる再生部(22,25,26)とを有し、該吸着部材(22)から脱離した水分によって対象空間(I)の空気を加湿する加湿ユニット(20)と、前記対象空間(I)の空気を加熱する空調ユニット(5)とを備え、前記加湿ユニット(20)と前記空調ユニット(5)とがブレーカ(B)を介して電源(E)に接続される空気調和装置であって、
前記加湿ユニット(20)を停止し、前記空調ユニット(5)によって対象空間(I)の空気を加熱する暖房運転と、前記加湿ユニット(20)によって対象空間(I)の空気を加湿し、且つ前記空調ユニット(5)によって対象空間(I)の空気を加熱する暖房加湿運転とを行うように前記加湿ユニット(20)および前記空調ユニット(5)を制御する制御器(C)とを備え、
前記制御器(C)は、前記暖房運転から前記暖房加湿運転に切り換わると、前記空調ユニット(5)の暖房能力を低下させながら前記加湿ユニット(20)および前記空調ユニット(5)を運転させる第1動作を実行させる
空気調和装置。
【請求項2】
前記制御器(C)は、前記暖房加湿運転の前に、前記吸着部材(22)に水分を吸着させる吸着動作を実行させる
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記制御器(C)は、前記第1動作において、前記空調ユニット(5)の消費電力と、前記加湿ユニット(20)の消費電力の合計が所定値以下になるように、前記空調ユニット(5)の暖房能力を低下させる
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記空調ユニット(5)は、圧縮機(12)と、空気を加熱する利用熱交換器(34)とを有するとともに冷凍サイクルを行う冷媒回路(R)を備え、
前記制御器(C)は、前記第1動作において、前記圧縮機(12)の回転数を小さくすることで、前記空調ユニット(5)の暖房能力を低下させる
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御器(C)は、前記暖房加湿運転時において、前記第1動作の後、前記空調ユニット(5)の暖房能力を増大させ且つ前記加湿ユニット(20)の再生部(25,26)の出力を低下させながら前記加湿ユニット(20)および前記空調ユニット(5)を運転させる第2動作を行う
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記制御器(C)は、前記第1動作中に、前記吸着部材(22)を通過した空気の湿度が所定値よりも低くなると、前記第2動作を行う
請求項5に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記吸着部材(22)は、吸着材としての高分子収着剤を有する
請求項1または第2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気の湿度を調節可能な空気調和装置が開示されている。空気調和装置は、加湿ロータと、ヒータとを有する加湿ユニットと、圧縮機、室外熱交換器、室内熱交換器などを有する空調ユニットとを備える。空気調和装置は、加湿ユニットで対象空間(室内空間)を加湿する加湿運転と、加湿ユニットで室内空間を加湿しながら、空調ユニットで室内空間を暖房する暖房加湿運転とを実行可能に構成される。
【0003】
加湿運転では、ヒータの熱により、加湿ロータの吸着剤から脱離した水分が空気中に放出される。水分を含んだ空気は、空調ユニットの室内機へ送られ、室内機から対象空間へ供給される。加湿運転では、空調ユニットの圧縮機などは停止し、空調ユニットによる空調は行われない。
【0004】
暖房加湿運転では、加湿運転と同様、加湿ユニットで加湿された空気が、室内機を介して対象空間へ送られる。同時に、空調ユニットでは、圧縮機が運転され、室内熱交換器が放熱器として機能し、室外熱交換器が蒸発器として機能する冷凍サイクル(暖房サイクル)が行われる。室内機の室内熱交換器で加熱された空気が対象空間へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-38869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示のような空気調和装置では、暖房加湿運転において加湿ユニットと空調ユニットとの双方が運転されるので、空気調和装置全体の消費電力[kW]が増大する。その結果、空気調和装置に電力を供給する電源回路のブレーカが作動し、空気調和装置の運転が継続でない可能性があった。
【0007】
本開示は、暖房加湿運転における空気調和装置の全体の消費電力を低減できる空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、水分を吸着する吸着部材(22)と、該吸着部材(22)から水分を脱離させる再生部(22,25,26)とを有し、該吸着部材(22)から脱離した水分によって対象空間(I)の空気を加湿する加湿ユニットと、前記対象空間(I)の空気を加熱する空調ユニット(5)とを備え、前記加湿ユニット(20)と前記空調ユニット(5)とがブレーカ(B)を介して電源(E)に接続される空気調和装置を対象とする。前記制御器(C)は、前記暖房運転から前記暖房加湿運転に切り換わると、前記空調ユニット(5)の暖房能力を低下させながら前記加湿ユニット(20)および前記空調ユニット(5)を運転させる第1動作を実行させる。
【0009】
第1の態様では、暖房運転から暖房加湿運転に切り換わると、制御器(C)が第1動作を実行され、空調ユニット(5)の暖房能力が低下する。これにより、暖房加湿運転では、空気調和装置(1)の全体の消費電力が小さくなるので、空気調和装置に適用される電源回路のブレーカ(B)が作動することを抑制できる。
【0010】
暖房運転から暖房加湿運転に切り換わるときには、それまで暖房運転が行われており、対象空間の暖房負荷が軽減されている。このため、暖房加湿運転の開始時において暖房能力が低下しても、ユーザの快適性が大きく損なわれることはない。加湿ユニットが運転されることで、加湿の要求にも応えることができる。
【0011】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御器(C)は、前記暖房加湿運転の前に、前記吸着部材(22)に水分を吸着させる吸着動作を実行させる。
【0012】
第2の態様では、吸着部材(22)に予め水分が吸着された状態において、暖房加湿運転が実行される。このため、暖房加湿運転の開始時には、吸着部材(22)から空気へ脱離する水分量が多くなるので、加湿の要求に速やかに応えることができる。一方、暖房加湿運転の開始時には、再生部(22,25,26)の出力も大きくなり、加湿ユニット(20)の消費電力が大きくなる。しかしながら、暖房加湿運転の開始時には、第1動作により、空調ユニット(5)の暖房能力が低くなるので、このように再生部(22,25,26)の出力を大きくしても、ブレーカ(B)が作動することを抑制できる。
【0013】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記制御器(C)は、前記第1動作において、前記空調ユニット(5)の消費電力と、前記加湿ユニット(20)の消費電力の合計が所定値以下になるように、前記空調ユニット(5)の暖房能力を低下させる。
【0014】
第3の態様では、暖房運転から暖房加湿運転に切り換わるときに、空調ユニット(5)の消費電力と、加湿ユニット(20)の消費電力の合計を所定値以下に抑えることできる。
【0015】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様において、空調ユニット(5)は、圧縮機(12)と、空気を加熱する利用熱交換器(34)とを有するとともに冷凍サイクルを行う冷媒回路(R)を備え、前記制御器(C)は、前記第1動作において、前記圧縮機(12)の回転数を小さくすることで、空調ユニット(5)の暖房能力を低下させる。
【0016】
第4の態様では、圧縮機(12)の回転数が小さくなることで、空調ユニット(5)の暖房能力が低下し、空気調和装置(1)全体の消費電力が低減される。
【0017】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様において、前記制御器(C)は、前記暖房加湿運転時において、前記第1動作の後、前記空調ユニット(5)の暖房能力を増大させ且つ前記加湿ユニット(20)の再生部(22,25,26)の出力を低下させながら前記加湿ユニット(20)および前記空調ユニット(5)を運転させる第2動作を行う。
【0018】
第5の態様では、暖房加湿運転において、第1動作の後に、第2動作が行われる。第2動作では、制御器(C)が、加湿ユニット(20)の再生部(22,25,26)の出力を低下させる。暖房加湿運転が継続して行われると、吸着部材(22)の水分量が減少することで、再生部(22,25,26)の出力が過剰になる傾向にある。このため、再生部(22,25,26)の出力を低下させることで、無駄に電力を消費することを抑制できる。
【0019】
第2動作により、空調ユニット(5)の暖房能力が増大することで、暖房の要求に応えることができる。第2動作では、再生部(22,25,26)の出力を低下させることで、空気調和装置(1)の全体の消費電力を抑えることができる。その結果、第2動作においても、ブレーカ(B)が作動することを引き続き抑制できる。
【0020】
第6の態様は、第5の態様において、前記制御器(C)は、前記第1制御中に、前記吸着部材(22)を通過した空気の湿度が所定値よりも低くなると、前記第2動作を行う。
【0021】
吸着部材(22)に吸着される水分量が減少すると、再生部(22,25,26)の再生により十分な水分を空気中へ脱離することができないので、吸着部材(22)を通過する空気の湿度が低下する。このことを考慮し、第6の態様の制御器(C)は、吸着部材(22)を通過する空気の湿度が所定値よりも低くなると、第2動作を行う。これにより、吸着部材(22)に吸着される水分量が少ないことに起因して、再生部(22,25,26)で無駄に電力を消費してしまうことを抑制できる。
【0022】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記吸着部材(22)は、吸着材としての高分子収着剤を有する。
【0023】
第7の態様では、吸着部材(22)の吸着剤として、高分子収着剤が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の全体構成図である。
図2図2は、空気調和装置の冷媒配管および空気流れを示す構成図である。
図3図3は、空調室内機の縦断面図である。
図4図4は、空気調和装置の主な要素を含むブロック図である。
図5図5は、給気運転時のダンパケーシングの内部における第2切換ダンパの状態および空気の流れを示す図である。
図6図6は、排気運転時のダンパケーシングの内部における第2切換ダンパの状態および空気の流れを示す図である。
図7図7は、空気調和装置の電気配線の接続関係を示す図である。
図8図8は、暖房運転から暖房加湿運転に切り替わったときの制御動作を示すフローチャートである。
図9図9は、暖房運転から暖房加湿運転までの間の、空調ユニットおよび調湿ユニットの消費電力を示す模式図である。
図10図10は、変形例3に係る空気調和装置の室外側の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0026】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(1)空気調和装置の構成の概要
空気調和装置(1)は、室内(I)の空気の温度および湿度を調節する。図1に示すように、空気調和装置(1)は、空調室外機(10)と空調室内機(30)とを有する。空調室外機(10)は室外に設置され、空調室内機(30)は室内に設置される。空気調和装置(1)は、1つの空調室内機(30)と1つの空調室外機(10)とを有するペア式である。空気調和装置(1)は、空気を加湿および除湿する機能を有する。空気調和装置(1)は、室内(I)を換気する機能をさらに有する。
【0028】
空気調和装置(1)は、調湿ユニット(20)と、空調ユニット(5)とを有する。調湿ユニット(20)は、対象空間である室内(I)の湿度を調節する。厳密には、調湿ユニット(20)は、室内空気を加湿するための加湿ユニットを構成する。加えて、調湿ユニット(20)は、室内空気を除湿するための除湿ユニットを兼用する。空調ユニット(5)は、対象空間である室内(I)の空気の温度を調節する。厳密には、空調ユニット(5)は室内空気を暖房したり冷房したりする。
【0029】
図1および図2に示すように、空気調和装置(1)は、ホース(2)と、液連絡管(3)と、ガス連絡管(4)とを有する。空調室内機(30)と調湿ユニット(20)とは、ホース(2)を介して互いに接続される。空調室内機(30)と空調室外機(10)とは、液連絡管(3)およびガス連絡管(4)を介して互いに接続される冷媒回路(R)には、冷媒が充填される。冷媒は、ジフルオロメタンである。ただし、冷媒はジフルオロメタンに限定されない。冷媒回路(R)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0030】
冷媒回路(R)は、主として、圧縮機(12)と、室外熱交換器(14)と、膨張弁(15)と、四方切換弁(16)と、室内熱交換器(34)とを有する。
【0031】
冷媒回路(R)は、四方切換弁(16)の切り換えに応じて第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとを行う。第1冷凍サイクルは、室内熱交換器(34)を蒸発器として機能させ、室外熱交換器(14)を放熱器として機能させる冷凍サイクルである。第2冷凍サイクルは、室内熱交換器(34)を放熱器として機能させ、室外熱交換器(14)を蒸発器として機能させる冷凍サイクルである。
【0032】
(2)詳細構成
(2-1)空調室外機
図2および図4に示すように、空調室外機(10)は、室外ケーシング(11)と、圧縮機(12)と、室外ファン(13)と、室外熱交換器(14)と、膨張弁(15)と、四方切換弁(16)とを有する。
【0033】
室外ケーシング(11)の内部には、仕切板(18)が設けられる。仕切板(18)は、室外ケーシング(11)の内部を、第1空間(S1)と第2空間(S2)とに区画する。第1空間(S1)には、圧縮機(12)および室外熱交換器(14)が設けられる。厳密には、第1空間(S1)には、圧縮機(12)、室外ファン(13)、室外熱交換器(14)、膨張弁(15)、および四方切換弁(16)が設けられる。室外ケーシング(11)には、室外吸込口(11a)と、室外吹出口(11b)と、吸湿側吸込口(61a)と、吸湿側排気口(61b)とが形成される。室外吸込口(11a)は、室外ケーシング(11)の後側に形成される。室外吸込口(11a)は、室外空気(室外の空気)を吸い込むための開口である。室外吹出口(11b)は、室外ケーシング(11)の前側に形成される。室外吹出口(11b)は、室外熱交換器(14)を通過した空気を吹き出すための開口である。室外ケーシング(11)の内部には、室外吸込口(11a)から室外吹出口(11b)に亘って室外空気通路(11c)が形成される。
【0034】
圧縮機(12)は、低圧のガス冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機(12)は、第1モータ(M1)によって駆動される。圧縮機(12)は、インバータ回路から第1モータ(M1)へ電力が供給される可変容量式の圧縮機である。圧縮機(12)は、第1モータ(M1)の運転周波数(回転数)を調整することで、運転容量が変更可能に構成される。圧縮機(12)は、その内部が高圧冷媒で満たされる、いわゆる高圧ドーム式である。圧縮機(12)の運転時には、圧縮機(12)から発する熱がその周囲へ放出される。
【0035】
室外ファン(13)は、室外空気通路(11c)に配置される。室外ファン(13)は、第2モータ(M2)の駆動により回転する。室外ファン(13)により搬送される空気は、室外吸込口(11a)から室外ケーシング(11)内に吸い込まれる。この空気は、室外空気通路(11c)を流れて、室外吹出口(11b)から室外ケーシング(11)の外部に吹き出される。室外ファン(13)は、室外熱交換器(14)を通過させるように室外空気を搬送する。
【0036】
室外熱交換器(14)は、室外空気通路(11c)において室外ファン(13)の上流側に配置される。本例の室外熱交換器(14)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。室外熱交換器(14)は、その内部を流れる冷媒と、室外ファン(13)によって搬送される室外空気とを熱交換させる。
【0037】
膨張弁(15)は、冷媒を減圧する。膨張弁(15)は、開度が調節可能な電動式の膨張弁である。減圧機構は、感温式の膨張弁、膨張機、キャピラリーチューブなどであってもよい。膨張弁(15)は、冷媒回路(R)の液ラインに接続されていればよく、空調室内機(30)に設けられてもよい。
【0038】
四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と、第2ポート(P2)と、第3ポート(P3)と、第4ポート(P4)を有する。第1ポート(P1)は、圧縮機(12)の吐出部に繋がる。第2ポート(P2)は、圧縮機(12)の吸入部に繋がる。第3ポート(P3)は、室外熱交換器(14)のガス端部に繋がる。第4ポート(P4)は、ガス連絡管(4)に繋がる。
【0039】
四方切換弁(16)は、第1状態(図2の実線で示す状態)と、第2状態(図2の破線で示す状態)とに切り換えられる。第1状態の四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させ、且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通させる。第2状態の四方切換弁(16)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通させ、且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通させる。
【0040】
(2-2)調湿ユニット
調湿ユニット(20)は、室外に設置される。本例の調湿ユニット(20)は、空調室外機(10)と一体化される。調湿ユニット(20)は、湿度を調節した空気を空調室内機(30)に送る。調湿ユニット(20)は、室外ケーシング(11)と、調湿ロータ(22)と、第1ファン(26)と、第2ファン(23)と、ヒータ(25)と、第1切換ダンパ(24)と、第2切換ダンパ(29)(図5参照)とを有する。室外ケーシング(11)は、空調室外機(10)と調湿ユニット(20)とに共用される。
【0041】
室外ケーシング(11)の内部には、上述した第2空間(S2)が区画される。第2空間(S2)には、調湿ロータ(22)およびヒータ(25)が設けられる。厳密には、第2空間(S2)には、調湿ロータ(22)、第1ファン(26)、第2ファン(23)、ヒータ(25)、第1切換ダンパ(24)、および第2切換ダンパ(29)が設けられる。室外ケーシング(11)には、吸排気口(21a)と、接続口(21b)と、室外排気口(21c)とが形成される。吸排気口(21a)は、室外空気および室内空気が流通する開口である。室外ケーシング(11)の内部には、吸排気口(21a)から接続口(21b)まで続く第1通路(27)が形成される。室外ケーシング(11)の内部には、吸湿側吸込口(61a)から吸湿側排気口(61b)まで続く第3通路(62)が形成される。接続口(21b)には、ホース(2)が接続される。
【0042】
第1通路(27)には、第2通路(28)が接続される。第2通路(28)は、第1通路(27)の中途部から室外排気口(21c)まで続く。第2通路(28)の流入端は、第1通路(27)における調湿ロータ(22)の下流側(厳密には、第1ファン(26)の下流側)に接続する。第1通路(27)、および第2通路(28)において、下流は給気運転時に空気が流れる方向(図2の実線の矢印の指す方向)の下流であり、上流は給気運転時に空気が流れる方向の上流である。
【0043】
調湿ロータ(22)は、第1通路(27)を流れる空気が通過する。調湿ロータ(22)は空気中の水分を吸着する吸着部材である。調湿ロータ(22)は、例えば、ハニカム構造を有する円盤状の調湿用ロータである。調湿ロータ(22)は、吸湿性を有する高分子材料からなる吸着剤を保持する。この吸湿性を有する高分子材料は、いわゆる収着剤の一種である。吸湿性を有する高分子材料からなる吸着剤では、空気中の水蒸気が吸着剤の表面に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤の内部に吸収される現象との両方が生じる。なお、調湿ロータ(22)が保持する吸着剤は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ等の無機材料であってもよい。吸着剤は、空気中の水分を吸着する性質を有する。吸湿剤は、加熱されることにより、吸着した水分を脱離する性質を有する。
【0044】
調湿ロータ(22)は、第3モータ(M3)の駆動によって回転する。調湿ロータ(22)は、第1通路(27)に位置する調湿領域(22A)を有する。調湿領域(22A)では、吸着剤に吸着した水分を空気中に脱離させる再生動作、および空気中の水分を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われる。
【0045】
第1ファン(26)は、第1通路(27)における調湿領域(22A)の下流側に配置される。第1ファン(26)は、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を通過させるように室外空気を搬送する。第1ファン(26)は、第4モータ(M4)の駆動によって回転する。第1ファン(26)は、第4モータ(M4)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。
【0046】
ヒータ(25)は、第1通路(27)における調湿領域(22A)の上流側に配置される。ヒータ(25)は、第1通路(27)を流れる空気を加熱する。ヒータ(25)は、出力を可変に構成される。ヒータ(25)を通過する空気の温度は、ヒータ(25)の出力に応じて変化する。ヒータ(25)は、調湿ロータ(22)から水分を脱離させるための再生部を構成する。
【0047】
第2ファン(23)は、第3通路(62)に配置される。第2ファン(23)は、第6モータ(M6)の駆動によって回転する。第2ファン(23)は、第3通路(62)を通過させるようにして室外空気を搬送する。第2ファン(23)により搬送される室外空気は、吸湿側吸込口(61a)を通じて第3通路(62)内へ送られ、吸湿側排気口(61b)を通じて室外へ排出される。第3通路(62)には、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、調湿ロータ(22)の吸着領域(22C)および第2ファン(23)が配置される。
【0048】
第1切換ダンパ(24)は、第1通路(27)における第2通路(28)の接続部分に設けられる。流路切換機構は、流路切換弁やシャッターなどで構成されてもよい。第1切換ダンパ(24)は、第3状態(図2の実線で示す状態)と、第4状態(図2の破線で示す状態)とに切り換わる。第3状態の第1切換ダンパ(24)は、第1通路(27)とホース(2)の内部とを連通させ、第1通路(27)と第2通路(28)とを遮断する。第4状態の第1切換ダンパ(24)は、第1通路(27)とホース(2)の内部とを遮断し、第1通路(27)と第2通路(28)とを連通させる。第1切換ダンパ(24)の状態は、モータのような動力源の駆動により切り換えられる。
【0049】
第2切換ダンパ(29)は、第1通路(27)に配置される。図5および図6に示すように、第2切換ダンパ(29)は、ダンパケーシング(29A)内に設けられる。ダンパケーシング(29A)内には、第2切換ダンパ(29)の内部の空間(S31)と、第2切換ダンパ(29)が配置される空間(S32)と、空間(S33)とが設けられる。第2切換ダンパ(29)は、空間(S32)内をスライド自在に支持される。ダンパケーシング(29A)には、空間(S32)とダンパケーシング(29A)の外部とを連通する第1出入口(29a)と第2出入口(29b)とが設けられる。第1出入口(29a)は、第1通路(27)を通じて吸排気口(21a)と連通する。第2出入口(29b)は、第1通路(27)を通じて室外ケーシング(11)におけるホース(2)との接続口(21b)と連通する。第2出入口(29b)は、第1通路(27)および第2通路(28)を通じて室外排気口(21c)と連通する。ダンパケーシング(29A)には、空間(S32)と空間(S33)とを連通する第1連通口(29c)と第2連通口(29d)とが設けられる。第2切換ダンパ(29)は、空間(S32)内でスライドすることで、第5状態と第6状態とに切り換えられる。図5に示すように、第5状態の第2切換ダンパ(29)は、空気を吸い込む入口を第1出入口(29a)とし、空気を排出する出口を第2出入口(29b)とする。図6に示すように、第6状態の第2切換ダンパ(29)は、空気を吸い込む入口を第2出入口(29b)とし、空気を排出する出口を第1出入口(29a)とする。第2切換ダンパ(29)の状態は、モータのような動力源の駆動により切り換えられる。
【0050】
(2-3)空調室内機
図1図3に示すように、空調室内機(30)は、室内に設置される。空調室内機(30)は、室内(I)を形成する部屋の壁(WL)に設置される、壁掛け式である。空調室内機(30)は、室内ケーシング(31)と、室内ファン(32)と、エアフィルタ(33)と、利用熱交換器である室内熱交換器(34)と、ドレンパン(35)と、風向調節部(36)とを有する。
【0051】
室内ケーシング(31)は、室内ファン(32)、エアフィルタ(33)、室内熱交換器(34)およびドレンパン(35)を収容する。室内ケーシング(31)には、室内吸込口(31a)と、室内吹出口(31b)とが形成される。室内吸込口(31a)は、室内ケーシング(31)の上側に配置される。室内吸込口(31a)は、室内の空気を吸い込むための開口である。室内吹出口(31b)は、室内ケーシング(31)の下側に配置される。室内吹出口(31b)は、熱交換後の空気または調湿用の空気を吹き出すための開口である。室内ケーシング(31)の内部には、室内吸込口(31a)から室内吹出口(31b)に続く室内空気通路(31c)が設けられている。
【0052】
室内ファン(32)は、室内空気通路(31c)の略中央部分に配置される。室内ファン(32)は、例えばクロスフローファンである。室内ファン(32)は、第5モータ(M5)の駆動により回転する。室内ファン(32)は、室内の空気を室内空気通路(31c)に取り込んで搬送する。室内ファン(32)により搬送される空気は、室内吸込口(31a)から室内ケーシング(31)内に吸い込まれる。この空気は、室内空気通路(31c)を流れて、室内吹出口(31b)から室内ケーシング(31)の外部に吹き出される。
【0053】
室内ファン(32)は、室内熱交換器(34)を通過させるように室内の空気を搬送する。室内吹出口(31b)から吹き出された空気は、室内(I)に供給される。室内ファン(32)は、第5モータ(M5)の回転数を調整することで、風量を複数段階に切り換え可能に構成される。
【0054】
エアフィルタ(33)は、室内空気通路(31c)において室内熱交換器(34)の上流側に配置される。エアフィルタ(33)は、室内熱交換器(34)に供給される空気が実質的に全て通過するように室内ケーシング(31)に取り付けられる。エアフィルタ(33)は、室内吸込口(31a)から吸い込まれる空気中の塵埃を捕集する。
【0055】
室内熱交換器(34)は、室内空気通路(31c)において室内ファン(32)の上流側に配置される。本例の室内熱交換器(34)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。室内熱交換器(34)は、その内部の冷媒と、室内ファン(32)によって搬送される室内の空気とを熱交させる。
【0056】
ドレンパン(35)は、室内熱交換器(34)の前方下側および後方下側に配置される。ドレンパン(35)は、空調室内機(30)の室内ケーシング(31)の内部で発生した結露水を受ける。室内熱交換器(34)のフィンの表面に発生した結露水は、その表面を伝って自重により流下し、ドレンパン(35)で受けられる。
【0057】
風向調節部(36)は、室内吹出口(31b)から吹き出される空気の風向きを調節する。風向調節部(36)は、フラップ(37)を有する。フラップ(37)は、室内吹出口(31b)の長手方向に沿って延びる長板状に形成される。フラップ(37)は、モータの駆動により回動する。フラップ(37)は、その回動に伴い室内吹出口(31b)を開閉する。
【0058】
フラップ(37)は、傾斜角度を段階的に変えられるように構成される。本例のフラップ(37)が調節される位置は、6つの位置を含む。これら6つの位置は、閉位置と、5つの開位置とを含む。5つの開位置には、図3に示す略水平吹出位置を含む。閉位置のフラップ(37)は、室内吹出口(31b)を実質的に閉じる。閉位置のフラップ(37)と室内吹出口(31b)との間には、隙間が形成されてもよい。
【0059】
上述したように、空調室内機(30)は、ホース(2)を介して調湿ユニット(20)と接続される。空調室内機(30)に接続するホース(2)の端部は、室内空気通路(31c)における室内熱交換器(34)の上流に連通する。調湿ユニット(20)から空調室内機(30)へ送られる空気は、ホース(2)を通って室内空気通路(31c)における室内熱交換器(34)の上流に供給される。空調室内機(30)から調湿ユニット(20)へ送られる空気は、室内空気通路(31c)における室内熱交換器(34)の上流からホース(2)へ流入する。
【0060】
(2-4)リモートコントローラ
図2および図4に示すように、空気調和装置(1)は、リモートコントローラ(40)を備える。リモートコントローラ(40)は、室内においてユーザが操作可能な位置に配置される。リモートコントローラ(40)は、表示部(41)と入力部(42)とを有する。表示部(41)は、所定の情報を表示する。表示部(41)は、例えば液晶モニタによって構成される。所定の情報は、空気調和装置(1)の運転状態や設定温度などを示す情報である。入力部(42)は、ユーザからの各種設定を行う入力操作を受け付ける。入力部(42)は、例えば物理的な複数のスイッチで構成される。ユーザは、リモートコントローラ(40)の入力部(42)を操作することで、空気調和装置(1)の運転モード、目標温度、目標湿度などを設定できる。
【0061】
(2-5)センサ
図2および図4に示すように、空気調和装置(1)は、複数のセンサを有する。複数のセンサは、冷媒用のセンサと、空気用のセンサとを含む。冷媒用のセンサは、高圧冷媒の温度や圧力を検出するセンサ、低圧冷媒の温度や圧力を検出するセンサを含む(図示省略)。
【0062】
空気用のセンサは、外気温度センサ(51)、外気湿度センサ(52)、内気温度センサ(53)、内気湿度センサ(54)、および湿度センサ(55)を含む。外気温度センサ(51)は、空調室外機(10)に設けられる。外気温度センサ(51)は、室外空気の温度を検出する。本例の外気湿度センサ(52)は、第3通路(62)に設けられ、調湿ロータ(22)の上流(例えば、吸湿側吸込口(61a)の周辺)に位置する。外気湿度センサ(52)は、外気温度センサ(51)と同様に、室外ケーシング(11)の室外吸込口(11a)の周辺に設けられてもよい。外気湿度センサ(52)は、室外空気の湿度を検出する。本例の外気湿度センサ(52)は、室外空気の相対湿度を検出するが、絶対湿度を検出してもよい。内気温度センサ(53)および内気湿度センサ(54)は、空調室内機(30)に設けられる。内気温度センサ(53)は、室内空気の温度を検出する。内気湿度センサ(54)は、室内空気の湿度を検出する。内気湿度センサ(54)は、室内空気の相対湿度を検出するが、絶対湿度を検出してもよい。本例の湿度センサ(55)は、第1通路(27)に設けられる。この湿度センサ(55)は、第2切換ダンパ(29)の第2出入口(29b)と、室外ケーシング(11)の接続口(21b)との間に位置する。湿度センサ(55)は、第1通路(27)における調湿ロータ(22)の下流側を流れる空気の湿度を検出する。本例の湿度センサ(55)は、空気の相対湿度を検出するが、絶対湿度を検出してもよい。湿度センサ(55)は、調湿ロータ(22)の吸着剤に吸着された水分量を検出するための検出部を構成する。
(2-6)制御器
図2および図4に示すように、空気調和装置(1)は、制御器(C)を有する。制御器(C)は、冷媒回路(R)の動作を制御する。制御器(C)は、空調室外機(10)、調湿ユニット(20)、および空調室内機(30)の動作を制御する。制御器(C)は、室外制御部(OC)と、室内制御部(IC)と、リモートコントローラ(40)とを含む。室外制御部(OC)は空調室外機(10)に設けられる。室内制御部(IC)は空調室内機(30)に設けられる。室内制御部(IC)および室外制御部(OC)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0063】
室外制御部(OC)には、外気温度センサ(51)の検出値、外気湿度センサ(52)、および湿度センサ(55)の検出値が入力される。
【0064】
室外制御部(OC)は、圧縮機(12)、室外ファン(13)、膨張弁(15)および四方切換弁(16)に接続される。室外制御部(OC)は、空調室外機(10)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、圧縮機(12)、室外ファン(13)、膨張弁(15)、および四方切換弁(16)に出力する。室外制御部(OC)は、圧縮機(12)の第1モータ(M1)の運転周波数、室外ファン(13)の第2モータ(M2)の回転数、四方切換弁(16)の状態および膨張弁(15)の開度を制御する。
【0065】
室外制御部(OC)はさらに、調湿ロータ(22)、第1ファン(26)、第2ファン(23)、ヒータ(25)、および第1切換ダンパ(24)に接続される。室外制御部(OC)は、調湿ユニット(20)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、調湿ロータ(22)、第1ファン(26)、第2ファン(23)、ヒータ(25)、および第1切換ダンパ(24)に出力する。室外制御部(OC)は、調湿ロータ(22)の第3モータ(M3)、第1ファン(26)の第4モータ(M4)、第2ファン(23)の第6モータ(M6)の回転数と、調湿ロータ(22)および第1切換ダンパ(24)の動作と、ヒータ(25)の出力とを制御する。
【0066】
室内制御部(IC)には、内気温度センサ(53)の検出値、および内気湿度センサ(54)の検出値が入力される。
【0067】
室内制御部(IC)は、リモートコントローラ(40)と通信可能に接続される。室内制御部(IC)は、室内ファン(32)に接続される。室内制御部(IC)は、空調室内機(30)の運転の実行および停止を行うための制御信号を、室内ファン(32)に出力する。室内制御部(IC)は、室内ファン(32)の第5モータ(M5)の回転数を制御する。室内制御部(IC)は、室外制御部(OC)と通信可能に接続される。
【0068】
リモートコントローラ(40)は、室内制御部(IC)と通信可能に接続される。リモートコントローラ(40)は、入力部(42)でのユーザの操作に応じて、空気調和装置(1)の運転を指示する指示信号を室内制御部(IC)に送信する。室内制御部(IC)は、リモートコントローラ(40)からの指示信号を受信すると、その指示信号を室外制御部(OC)に送信する。室内制御部(IC)は、その指示信号に従い、空調室内機(30)の上述した各機器の動作を制御する。室外制御部(OC)が、室内制御部(IC)からの指示信号を受信すると、空調室外機(10)および調湿ユニット(20)の上述した各機器の動作を制御する。
【0069】
(3)運転動作
空気調和装置(1)が実行する運転モードは、冷房運転、暖房運転、給気運転、排気運転、除湿運転、加湿運転、除湿冷房運転、および暖房加湿運転を含む。制御器(C)は、リモートコントローラ(40)からの指示信号に基づいて、これらの運転を実行させる。
【0070】
(3-1)冷房運転
冷房運転は、蒸発器として機能する室内熱交換器(34)により室内の空気を冷却する運転である。調湿ユニット(20)は停止する。冷房運転では、制御器(C)が、圧縮機(12)、室外ファン(13)、および室内ファン(32)を運転させる。制御器(C)は、四方切換弁(16)を第1状態に設定する。制御器(C)は、膨張弁(15)の開度を適宜調節する。冷房運転では、圧縮した冷媒が室外熱交換器(14)で放熱し、室内熱交換器(34)で蒸発する第1冷凍サイクルが行われる。
【0071】
冷房運転では、内気温度センサ(53)で検出する室内温度が設定温度に収束するように、圧縮機(12)の回転数を制御する。冷房運転では、室内ファン(32)により搬送された空気が室内熱交換器(34)を通過する際に冷却される。室内熱交換器(34)によって冷却された空気は、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内(I)へ供給される。
【0072】
(3-2)暖房運転
暖房運転は、放熱器として機能する室内熱交換器(34)により室内の空気を加熱する運転である。調湿ユニット(20)は停止する。暖房運転では、制御器(C)が、圧縮機(12)、室外ファン(13)、および室内ファン(32)を運転させる。制御器(C)は、四方切換弁(16)を第2状態に設定する。制御器(C)は、膨張弁(15)の開度を適宜調節する。暖房運転では、圧縮機(12)で圧縮した冷媒が室内熱交換器(34)で放熱し、室外熱交換器(14)で蒸発する第2冷凍サイクルが行われる。
【0073】
暖房運転では、内気温度センサ(53)によって検出される室内温度が設定温度に収束するように、圧縮機(12)の回転数を制御する。暖房運転では、室内ファン(32)により搬送された空気が室内熱交換器(34)を通過する際に加熱される。室内熱交換器(34)で加熱された空気は、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内(I)へ供給される。
【0074】
(3-3)給気運転
給気運転は、室外空気を室内に供給する運転である。給気運転では、図2の実線の矢印で示すように、室外空気がホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られる。給気運転では、制御器(C)がヒータ(25)、調湿ロータ(22)、および第2ファン(23)を停止させ、第1ファン(26)を運転させる。制御器(C)は、第1切換ダンパ(24)を第3状態(図2の実線で示す状態)に設定し、第2切換ダンパ(29)を第5状態に設定する(図5参照)。給気運転において、第1ファン(26)によって搬送される室外空気は、ホース(2)を通じて空調室内機(30)に送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内(I)へ供給される。なお、冷房運転または暖房運転と同時に給気運転を行ってもよい。
【0075】
(3-4)排気運転
排気運転は、室内空気を室外に排出する運転である。排気運転では、図2の破線の矢印で示すように、室内空気がホース(2)を通じて調湿ユニット(20)へ送られる。排気運転では、制御器(C)がヒータ(25)、調湿ロータ(22)、および第2ファン(23)を停止させ、第1ファン(26)を運転させる。制御器(C)は、第1切換ダンパ(24)を第3状態(図2の実線で示す状態)に設定し、第2切換ダンパ(29)を第6状態に設定する(図6参照)。排気運転において、第1ファン(26)によって搬送される室内空気は、ホース(2)を通じて調湿ユニット(20)に送られ、調湿ユニット(20)の吸排気口(21a)から室外へ排出される。なお、冷房運転または暖房運転と同時に排気運転を行ってもよい。
【0076】
(3-5)除湿運転
除湿運転では、調湿ユニット(20)により除湿した空気を室内に供給する運転である。除湿運転では、調湿ユニット(20)により除湿された空気が間欠的に室内に供給される。調湿ユニット(20)は、第1除湿動作と第2除湿動作とを交互に行う。第1除湿動作は、空気中の水分を調湿ロータ(22)に吸着させるとともに、調湿ロータ(22)で除湿した空気を室内へ供給する動作である。第2除湿動作とは、調湿ロータ(22)を再生するとともに、再生に利用された空気を室外へ排出する動作である。
【0077】
具体的には、第1除湿動作では、制御器(C)が、第1ファン(26)を運転させ、第2ファン(23)を停止させ、ヒータ(25)を停止させ、第1切換ダンパ(24)を第3状態(図2の実線で示す状態)とし、第2切換ダンパ(29)を第5状態(図5参照)とする。第1ファン(26)によって搬送される空気は、第1通路(27)を流れ、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を通過する。調湿領域(22A)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される。調湿領域(22A)で除湿された空気はホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内(I)へ供給される。
【0078】
第2除湿動作(調湿ロータ(22)の再生処理)は、制御器(C)が、第1ファン(26)およびヒータ(25)を運転させ、第2ファン(23)を停止させ、第1切換ダンパ(24)を第4状態(図2の破線で示す状態)とし、第2切換ダンパ(29)を第5状態(図5参照)とする。第1ファン(26)によって搬送される空気は、第1通路(27)を流れ、ヒータ(25)によって加熱された後、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を流れる。調湿領域(22A)では、吸着剤が再生される。具体的には、吸着剤に吸着された水分が脱離し、空気中に放出される。調湿ロータ(22)の再生に利用された空気は、図2の黒塗りの矢印で示すように、第1通路(27)から第2通路(28)を流れ、室外に排出される。
【0079】
(3-6)加湿運転
加湿運転では、調湿ユニット(20)により加湿した空気を室内に供給する運転である。加湿運転では、調湿ユニット(20)により加湿された空気が連続的に室内へ供給される。制御器(C)が第1ファン(26)および第2ファン(23)を運転させ、調湿ロータ(22)を回転駆動させ、ヒータ(25)をON状態とする。制御器(C)は、第1切換ダンパ(24)を第3状態とし、第2切換ダンパ(29)を第5状態とする。調湿ユニット(20)では、調湿ロータ(22)において吸着動作と再生動作とが同時に行われる。
【0080】
第3通路(62)を流れる室外空気は、調湿ロータ(22)の吸着領域(22C)を流れる。吸着領域(22C)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われる。調湿ロータ(22)に水分を付与した空気は、第3通路(62)から室外に排出される。
【0081】
同時に、第1通路(27)を流れる室外空気は、ヒータ(25)によって加熱された後、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を流れる。調湿領域(22A)では、吸着剤から脱離した水分が空気へ放出される再生動作が行われる。調湿ロータ(22)で加湿された空気は、ホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内(I)へ供給される。
【0082】
(3-7)除湿冷房運転
除湿冷房運転は、上述した冷房運転と除湿運転とが同時に行われる。具体的には、調湿ユニット(20)によって空気が除湿されるとともに、蒸発器として機能する室内熱交換器(34)によって空気が冷却される。
【0083】
(3-8)暖房加湿運転
暖房加湿運転は、上述した暖房運転と加湿運転とが同時に行われる。具体的には、調湿ユニット(20)によって空気が加湿されるとともに、放熱器として機能する室内熱交換器(34)によって空気が加熱される。暖房加湿運転の詳細は後述する。
【0084】
(4)空気調和装置の電気配線
空気調和装置(1)は、商用電源(E)に接続される。図7に示すように、調湿ユニット(20)は、上述した、調湿ロータ(22)、第1ファン(26)、第2ファン(23)、ヒータ(25)、第1切換ダンパ(24)、および第2切換ダンパ(29)を有する。空調ユニット(5)は、上述した、圧縮機(12)、室外ファン(13)、膨張弁(15)、四方切換弁(16)、外気温度センサ(51)、外気湿度センサ(52)、湿度センサ(55)、室内ファン(32)、風向調節部(36)、内気温度センサ(53)、および内気湿度センサ(54)を有する。
【0085】
空調室外機(10)には、空調室外機(10)側の各機器と電気的に接続する第1中継端子(71)が設けられる。空調室内機(30)には、空調室内機(30)側の各機器と電気的に接続する第2中継端子(72)が設けられる。第1中継端子(71)と第2中継端子(72)とは、中継電気配線(73)を介して互いに接続される。空調室内機(30)の電気配線は、例えば電源プラグ(74)が、室内(I)のコンセント(75)に差し込まれることで、商用電源(E)と接続する。これにより、調湿ユニット(20)と、空調ユニット(5)とは、ブレーカ(B)を介して商用電源(E)に接続される。
【0086】
ブレーカ(B)は、配線用遮断機である。ブレーカ(B)は、例えばMCCB(Molded Case Circuit Breaker)で構成される。ブレーカ(B)は、商用電源(E)から空気調和装置(1)を含む電気機器への電流値が所定値を越えた場合に、商用電源(E)と電気機器とを電気的に遮断する。したがって、空気調和装置(1)の消費電力[kW]が増大することで、ブレーカ(B)が作動する可能性が高くなる。
【0087】
(5)制御器の制御の詳細
制御器(C)は、調湿ユニット(20)を停止し、空調ユニット(5)によって室内(I)の空気を加熱する暖房運転と、調湿ユニット(20)によって対象空間である室内(I)の空気を加湿し、且つ空調ユニット(5)によって室内(I)の空気を加熱する暖房加湿運転とを行うように調湿ユニット(20)および空調ユニット(5)を制御する。
【0088】
暖房加湿運転では、調湿ユニット(20)および空調ユニット(5)の双方が運転されるので、暖房運転と比べると空気調和装置(1)全体の消費電力が増大する。暖房運転から暖房加湿運転への切り換え時において、空気調和装置(1)の全体の消費電力が増大すると、ブレーカ(B)が作動し、空気調和装置(1)の運転を継続できないリスクがある。加えて、例えば家屋に適用される空気調和装置(1)の全体の消費電力が増大すると、家屋全体の消費電力が、電力会社の契約電力を上回ってしまう可能性もある。
【0089】
このような電力供給側の問題を解決するために、制御器(C)は、暖房運転から暖房加湿運転に切り換わるときに、空調ユニット(5)の暖房能力を低下させながら調湿ユニット(20)および空調ユニット(5)を運転させる第1動作を、空気調和装置(1)に実行させる。加えて、制御器(C)は、暖房加湿運転時において、第1動作の後、空調ユニット(5)の暖房能力を増大させ且つ調湿ユニット(20)の再生部(22,25,26)の出力を低下させながら調湿ユニット(20)および空調ユニット(5)を運転させる第2動作を、空気調和装置(1)に実行させる。さらに、制御器(C)は、暖房加湿運転が開始される前に、調湿ロータ(22)の吸着剤に水分を予め吸着させる吸着動作(以下、予備吸着動作ともいう)を空気調和装置(1)に実行させる。
【0090】
以下では、予備吸着動作、暖房運転、および暖房加湿運転の詳細について説明する。
【0091】
(5-1)予備吸着動作
予備吸着動作は、暖房加湿運転の開始時において、調湿ユニット(20)の加湿能力を向上させるために行われる。制御器(C)は、例えば暖房運転、加湿運転、あるいは暖房加湿運転が終了し、次の運転が行われないときに予備吸着動作を実行する。制御器(C)は、他の運転の終了直後に、予備吸着動作を実行してもよい。制御器(C)は、これらの運転と、暖房加湿運転の間の所定のタイミングで予備吸着動作を実行してもよい。制御器(C)は、暖房加湿運転の開始指令が入力された後、予備吸着動作を実行してもよい。つまり、制御器(C)は、暖房加湿運転の開始直前に予備吸着動作を実行してもよい。
【0092】
予備吸着動作では、制御器(C)は、空調ユニット(5)を停止させ、調湿ユニット(20)を運転させる。調湿ユニット(20)では、室外空気中の水分が調湿ロータ(22)の吸着剤に吸着される。具体的には、制御器(C)は、第1ファン(26)を運転させ、第2ファン(23)およびヒータ(25)を停止させる。制御器(C)は、第1切換ダンパ(24)を第4状態(図2の破線で示す状態)とし、第2切換ダンパ(29)を第5状態(図5参照)とする。第1ファン(26)によって搬送される空気は、第1通路(27)を流れ、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を通過する。調湿領域(22A)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される。調湿領域(22A)に水分を付与した空気は、第3通路(62)から室外に排出される。以上により、予防吸着動作では、調湿ロータ(22)の吸着剤に十分な水分が蓄えられる。
【0093】
(5-2)暖房運転の制御
暖房運転では、制御器(C)は、暖房負荷に応じて空調ユニット(5)の暖房能力を調節する。暖房負荷は、例えば室内の目標温度(設定温度(Ts))と、現在の室内温度(Ti)との差ΔTに基づいて決定される。制御器(C)は、ΔTに基づいて圧縮機(12)の回転数(運転周波数)を調節する。制御器(C)は、ΔTが大きくなるほど圧縮機(12)の回転数を大きくする。制御器(C)は、ΔTが小さくなるほど圧縮機(12)の回転数を小さくする。以上のように、暖房運転では、制御器(C)は、暖房負荷に応じて空調ユニット(5)の暖房能力、具体的には、圧縮機(12)の回転数を制御する。
【0094】
暖房運転では、制御器(C)は、調湿ユニット(20)を停止させる。具体的には、制御器(C)は、調湿ロータ(22)、第1ファン(26)、第2ファン(23)、およびヒータ(25)を停止する。
【0095】
(5-3)暖房加湿運転の制御
図8に示すように、ステップS11の暖房運転中において、暖房加湿運転の開始指令が制御器(C)に入力されると、処理はステップS13に移行する。ステップS13では、制御器(C)は、暖房加湿運転において、第1動作を実行するか、通常動作を実行するかの判定を行う。
【0096】
ステップS13では、制御器(C)は、空気調和装置(1)の全体の消費電力(全体消費電力(WT)[kW])を推定する。制御器(C)は、空調ユニット(5)の消費電力(空調消費電力(W1)[kW])と、調湿ユニット(20)の消費電力(加湿消費電力(W2)[kW])とを推定し、両者の合計を全体消費電力(WT)とする。
【0097】
空調消費電力(W1)は、空調ユニット(5)の必要暖房能力[kW]に相当する。制御器(C)は、室内(I)の暖房負荷によって必要暖房能力を決定する。具体的には、例えば制御器(C)は、設定温度(Ts)と室内温度(Ti)との差によって必要暖房能力を決定する。
【0098】
加湿消費電力(W2)は、調湿ユニット(20)の必要加湿能力[kW]に相当する。制御器(C)は、室内(I)の加湿負荷によって必要加湿能力を決定する。具体的には、例えば制御器(C)は、目標湿度(設定湿度(Rs))と室内湿度(Ri)との差によって必要加湿能力を決定する。
【0099】
ステップS13において、推定した全体消費電力(WT)が所定値(第1値(X1))以上である場合、処理はステップS14、ステップS15の順に移行する。したがって、この場合には、暖房加湿運転が開始されるときに、制御器(C)が第1動作を実行する。
【0100】
第1値(X1)は、空気調和装置(1)の消費電力の上限値と同じ、あるいはこの上限値よりもいくらか小さい所定値である。上限値は、ブレーカ(B)が作動してしまう可能性がある、空気調和装置(1)の全体の消費電力である。
【0101】
ステップS15において、第1動作が実行されると、図9に示すように、制御器(C)は、推定した全体消費電力(WT)が所定値以下になるように、空調ユニット(5)の暖房能力を低下させる。具体的には、制御器(C)は、推定した全体消費電力(WT)から加湿消費電力(W2)を減算することで、第1動作中の空調ユニット(5)の暖房能力を決定する。制御器(C)は、空調ユニット(5)の暖房能力が決定した暖房能力となるように、空調ユニット(5)の暖房能力を低下させる。具体的には、制御器(C)は、空調ユニット(5)が、決定した暖房能力となるように、圧縮機(12)の回転数を低下させる。その結果、空気調和装置(1)の全体の消費電力を低減できる。このような制御により、暖房加湿運転の開始時には、暖房能力が低くなる。しかし、暖房加湿運転の前には、既に室内(I)の暖房がなされているので、ユーザの快適性が大きく損なわれることはない。
【0102】
第1動作では、制御器(C)は、必要加湿能力を満たすように調湿ユニット(20)を制御する。つまり、制御器(C)は、調湿ユニット(20)の加湿能力を必要加湿能力に対して制限しない。このため、第1動作では、室内(I)の加湿の要求に速やかに応えることができる。
【0103】
暖房加湿運転の第1動作では、制御器(C)は、調湿ユニット(20)において、吸着動作は行わず、再生動作のみを行うように調湿ユニット(20)を制御する。具体的には、暖房加湿運転の第1動作では、制御器(C)は、第1ファン(26)を停止し、第2ファン(23)を運転させ、調湿ロータ(22)を回転駆動させ、ヒータ(25)をON状態とする。制御器(C)は、第1切換ダンパ(24)を第3状態とし、第2切換ダンパ(29)を第5状態とする。
【0104】
第1通路(27)を流れる室外空気は、ヒータ(25)によって加熱された後、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を流れる。調湿領域(22A)では、吸着剤から脱離した水分が空気へ放出される再生動作が行われる。調湿ロータ(22)で加湿された空気は、ホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内(I)へ供給される。
【0105】
ここで、第1動作の前には、上述した予備吸着動作により、調湿ロータ(22)に水分が十分に蓄えられている。このため、暖房加湿運転の再生動作では、予め調湿ロータ(22)に蓄えた水分を加湿に利用できるので、暖房加湿運転の開始時における室内(I)の加湿量が大きくなる。その結果、第1動作において、室内(I)の加湿の要求に速やかに応えることができる。
【0106】
調湿ロータ(22)には、吸着剤として高分子収着剤が設けられる。高分子収着剤は、例えばシリカゲル、ゼオライト、あるいは活性炭と比べて、水分の再生温度が低い。このため、暖房加湿運転を開始すると、調湿ロータ(22)の昇温に伴って速やかに水分を脱離させることができる。その結果、第1動作において、室内(I)の加湿の要求に速やかに応えることができる。
【0107】
ステップS16では、第1動作において、調湿ロータを通過した空気の湿度(第1湿度(R1))
が所定値以下に低下したか否かの判定が行われる。第1湿度(R1)は、上述した湿度センサ(55)によって検出される。第1動作において再生動作が行われると、調湿ロータ(22)に吸着された水分量が徐々に減少し、第1湿度(R1)が低下していく。
【0108】
第1動作において、調湿ロータ(22)の水分を脱離するためのヒータ(25)の出力が過剰になると、無駄に電力を消費してしまう。そこで、ステップS16において、第1湿度(R1)が所定値(第2値)以下になると、処理はステップS17に移行する。ステップS17では、制御器(C)が第2動作を実行させる。
【0109】
第2動作では、制御器(C)は、空調ユニット(5)の暖房能力を増大させ且つ調湿ユニット(20)のヒータ(25)の出力[kW]を低下させながら空調ユニット(5)および調湿ユニット(20)を運転させる。第2動作では、制御器(C)は、全体消費電力(WT)が第1値(X1)以下となるように、空調ユニット(5)および調湿ユニット(20)を制御する。具体的には、制御器(C)は、図9に示すように、第1動作のヒータ(25)の出力と、第2動作のヒータ(25)の出力との電力差(ΔW)を、空調ユニット(5)の暖房能力に加える。これにより、空調ユニット(5)の暖房能力が電力差(ΔW)だけ増大する。
【0110】
以上のように、第2動作では、調湿ロータ(22)に吸着された水分量が少ないことを、第1湿度(R1)により容易に検出できる。第2動作では、調湿ロータ(22)の水分量が少ない条件が成立すると、制御器(C)が、ヒータ(25)の出力を低下させる。これにより、ヒータ(25)の出力が過剰となることにより消費電力を無駄に消費してしまうことを抑制できる。さらに、第2動作では、空調ユニット(5)の暖房能力が増大するので、室内(I)の暖房の要求に応えることができる。第2動作では、空気調和装置(1)の全体の消費電力は、第1値(X1)以下に抑えられるので、第1動作から継続してブレーカ(B)が作動することを抑制できる。
【0111】
第2の動作の後、暖房加湿運転の終了の指令が制御器(C)に入力されると、ステップS19において暖房加湿運転が終了する。暖房加湿運転が終了すると、ステップS20において、制御器(C)は、上述した予備吸着動作を実行させる。
【0112】
ステップS13において、推定した全体消費電力(WT)が第1値(X1)より小さい場合、処理はステップS21、ステップS22の順に移行する。したがって、この場合には、暖房加湿運転が開始されるときに、制御器(C)が通常動作を実行する。
【0113】
通常動作では、制御器(C)が、空調ユニット(5)を暖房運転と同様に制御する。つまり、制御器(C)は、必要暖房能力を満たすように空調ユニット(5)を制御する。また、制御器(C)は、必要暖房能力を満たすように調湿ユニット(20)を制御する。暖房加湿運転の通常動作では、第1動作と同様、調湿ユニット(20)で再生動作のみが行われる。なお、通常動作において、調湿ユニット(20)は、加湿運転と同様、吸着動作と再生動作との双方を行ってもよい。
【0114】
(6)実施形態の変形例
上述した実施形態においては以下のような変形例としてもよい。なお、以下の各変形例の構成を互いに組み合わせてもよい。
【0115】
(6-1)変形例1:第1動作に関する変形例
第1動作において、制御器(C)が空調ユニット(5)の暖房能力を低下させる場合、以下のような制御を行ってもよい。
【0116】
a)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を低下させ、且つ調湿ユニット(20)の加湿能力を最大の加湿能力とする。
【0117】
b)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を最大の暖房能力よりも小さくする。
【0118】
c)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を必要暖房能力よりも小さくする。
【0119】
d)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を定格の暖房能力よりも小さくする。
【0120】
e)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を、設定された所定の暖房能力よりも小さくする。
【0121】
f)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を、暖房運転の終了時の暖房能力より所定値だけ小さくする。
【0122】
g)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力(消費電力)を、調湿ユニット(20)の加湿能力(消費電力)よりも小さくする。
【0123】
h)制御器は、第1動作において、圧縮機(12)の回転数を、圧縮機(12)の最大回転数よりも小さくする。
【0124】
i)制御器(C)は、第1動作において、圧縮機(12)の回転数を、暖房負荷に応じた目標回転数よりも小さくする。
【0125】
j)制御器(C)は、第1動作において、圧縮機(12)の回転数を、暖房運転の終了時の回転数よりも所定値だけ小さくする。
【0126】
これらの制御によっても、空調ユニット(5)の暖房能力が低くなり、空気調和装置(1)の全体の消費電力を低減できる。
【0127】
第1動作中の調湿ユニット(20)は、上述した加湿運転と同様、調湿ロータ(22)において吸着動作と再生動作とを同時に行ってもよい。
【0128】
(6-2)変形例2:第2動作に関する変形例
制御器(C)は、第2動作において、再生部としての第1ファン(26)の回転数を小さくしてもよい。この場合、制御器(C)は、第1ファン(26)の第4モータ(M4)の回転数を小さくすることで再生部の出力を下げる。
【0129】
制御器(C)は、再生部としての調湿ロータ(22)の回転数を小さくしてもよい。この場合、制御器(C)は、調湿ロータ(22)の第3モータ(M3)の回転数を下げることで、再生部の出力を下げる。つまり、この例では、調湿ロータ(22)が再生部を兼用する。
【0130】
制御器(C)は、第1動作の後、所定の時間が経過すると、第2動作を実行してもよい。
【0131】
(6-3)変形例3:空気調和装置の変形例
図10を参照して、変形例3に係る空気調和装置(1)について説明する。以下では、上述した実施形態と異なる点について説明する。なお、図10では、便宜上、空調室内機(30)および空調室外機(10)の図示を省略している。
【0132】
変形例3の空気調和装置(1)では、第2ファン(23)および第3通路(62)が設けられていない点が、実施形態の空気調和装置(1)と異なる。
【0133】
空気調和装置(1)の加湿運転では、調湿ユニット(20)により加湿された空気が間欠的に室内に供給される。加湿運転時において、調湿ユニット(20)が、第3動作と第4動作とを交互に行う。第3動作は、空気中の水分を調湿ロータ(22)に吸着させるとともに、調湿ロータ(22)を通過した空気を室外へ排出する動作である。第4動作は、調湿ロータ(22)を再生するとともに、調湿ロータ(22)から水分が付与された空気を室内へ供給する動作である。
【0134】
具体的には、第3動作では、制御器(C)が、第1ファン(26)を運転させ、ヒータ(25)を停止させ、第1切換ダンパ(24)を第4状態とし、第2切換ダンパ(29)を第5状態とする。第1ファン(26)によって搬送される空気は、第1通路(27)を流れ、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を通過する。調湿領域(22A)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される。調湿領域(22A)の吸着剤に水分を付与した空気は、図7の黒塗りの矢印で示すように、第1通路(27)から第2通路(28)を流れ、室外に排出される。
【0135】
第4動作は、制御器(C)が、第1ファン(26)およびヒータ(25)を運転させ、第1切換ダンパ(24)を第3状態とし、第2切換ダンパ(29)を第5状態とする。第1ファン(26)によって搬送される空気は、第1通路(27)を流れ、ヒータ(25)によって加熱された後、調湿ロータ(22)の調湿領域(22A)を流れる。調湿領域(22A)では、吸着剤が再生される。具体的には、吸着剤に吸着された水分が脱離し、空気中に放出される。調湿ロータ(22)から脱離した水分を含む空気はホース(2)を通じて空調室内機(30)へ送られ、空調室内機(30)の室内吹出口(31b)から室内(I)へ供給される。
【0136】
変形例3の空気調和装置(1)においても、上述した実施形態、および変形例1~3に記載の制御を採用できる。
【0137】
(6-4)変形例4:他のタイミングの暖房加湿運転の制御
上述した実施形態では、制御器(C)は、暖房運転から暖房加湿運転に切り換わるときに、第1動作および第2動作を行っている。しかし、制御器(C)は、空気調和装置(1)の停止時から暖房加湿運転を行うときに、あるいは暖房運転以外の他の運転から暖房加湿運転に切り換わるときに、上述した第1動作および第2動作を実行してもよい。
【0138】
具体的には、制御器(C)は、空調ユニット(5)の暖房能力を制限しながら空調ユニット(5)および調湿ユニット(20)を運転させる第1動作を行う。制御器(C)は、暖房加湿運転の前に、前記吸着部材(22)に水分を吸着させる吸着動作を実行させる。制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の消費電力と、前記加湿ユニット(20)の消費電力の合計が所定値以下になるように、空調ユニット(5)の暖房能力を制限する。空調ユニット(5)は、圧縮機(12)と、空気を加熱する利用熱交換器(34)とを有するとともに冷凍サイクルを行う冷媒回路(R)を備える。制御器(C)は、第1動作において、圧縮機(12)の回転数を小さくすることで、空調ユニット(5)の暖房能力を制限する。制御器(C)は、暖房加湿運転時において、第1動作の後、空調ユニット(5)の暖房能力の制限を解除し、且つ加湿ユニット(20)の再生部(25,26)の出力を低下させながら加湿ユニット(20)および空調ユニット(5)を運転させる第2動作を行う。制御器(C)は、第1動作中に、吸着部材(22)を通過した空気の湿度が所定値よりも低くなると、第2動作を行う。
【0139】
変形例4の暖房加湿運転の第1動作では、変形例1と同様、以下の制御例を採用できる。
【0140】
a’)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を制限し、且つ調湿ユニット(20)の加湿能力を最大の加湿能力とする。
【0141】
b)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を最大の暖房能力よりも小さくする。
【0142】
c)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を必要暖房能力よりも小さくする。
【0143】
d)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を定格の暖房能力よりも小さくする。
【0144】
e)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を、設定された所定の暖房能力よりも小さくする。
【0145】
f)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力を、暖房運転の終了時の暖房能力より所定値だけ小さくする。
【0146】
g)制御器(C)は、第1動作において、空調ユニット(5)の暖房能力(消費電力)を、調湿ユニット(20)の加湿能力(消費電力)よりも小さくする。
【0147】
h)制御器は、第1動作において、圧縮機(12)の回転数を、圧縮機(12)の最大回転数よりも小さくする。
【0148】
i)制御器(C)は、第1動作において、圧縮機(12)の回転数を、暖房負荷に応じた目標回転数よりも小さくする。
【0149】
j)制御器(C)は、第1動作において、圧縮機(12)の回転数を、暖房運転の終了時の回転数よりも所定値だけ小さくする。
【0150】
変形例4の暖房加湿運転の第2動作では、変形例2で述べた他の制御例を採用できる。変形例4の暖房加湿運転の制御を、変形例3の空気調和装置(1)に適用してもよい。
【0151】
(7)その他の実施形態
吸着部材は、調湿ロータ(22)でなくてもよく、例えば空気が通過可能な基材の表面に吸着剤が担持された吸着ブロックであってもよい。吸着部材は、冷媒回路に接続される熱交換器の表面に吸着剤が担持された吸着熱交換器であってもよい。
【0152】
空調ユニット(5)は、ヒートポンプ式の冷媒回路を有するが、空気を加熱可能なものであればよい。例えば空調ユニット(5)は、ヒータや輻射パネルにより空気を加熱したりしてもよい。
【0153】
吸着部材の吸着剤は、シリカゲル、活性炭、ゼオライトなどであってもよい。
【0154】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0155】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0156】
以上に説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
【符号の説明】
【0157】
1 空気調和装置
5 空調ユニット
12 圧縮機
20 調湿ユニット(加湿ユニット)
22 調湿ロータ(吸着部材,再生部)
25 ヒータ(再生部)
26 第1ファン(再生部)
34 室内熱交換器(利用熱交換器)
B ブレーカ
C 制御器
E 電源
I 室内(対象空間)
R 冷媒回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10