(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068765
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】処理装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240514BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B65H31/00 B
B41J29/38 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179339
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】拇速 真
(72)【発明者】
【氏名】伊東 瞬
(72)【発明者】
【氏名】竹内 敦彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋介
【テーマコード(参考)】
2C061
3F054
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AS06
2C061HJ03
2C061HJ04
3F054AA01
3F054AC05
3F054BA01
3F054BC02
3F054BC09
3F054BD03
3F054BD04
3F054BD10
3F054BE09
3F054BE12
3F054BJ04
3F054DA12
(57)【要約】
【課題】媒体を受容するシート状の受容部材を好適に繰り出す。
【解決手段】処理部30と媒体受容部60とを備え、媒体受容部60は、柔軟性を有するシート状の受容部材67と、受容部材67の一端67bが接続される回動軸65と、受容部材67の他端67cが接続され回動軸65から離間可能に設けられる操作部61と、操作部61の両端を支持する一対の支持部63と、を有し、受容部材67は、操作部61が回動軸65に接近することで回動軸65に巻き取られて筐体の内部に収納され、操作部61が回動軸65から離間することで回動軸65から繰り出されて下方に垂れ下がり媒体22を受容可能になり、進退方向において一端67bと他端67cとの中間位置よりも他端寄りに錘100を保持する処理装置10。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に収容され、媒体を処理する処理部と、
前記筐体から排出される前記媒体を受容する媒体受容部と、を備え、
前記媒体受容部は、
柔軟性を有するシート状の受容部材と、
前記筐体の内部に設けられ、前記受容部材の一端が接続される回動軸と、
前記受容部材の他端が接続され、前記回動軸から離間可能に設けられる操作部と、
前記操作部の前記回動軸に対する離間方向に沿う進退方向において前記筐体から進退可能に突出し、前記操作部の両端を支持する一対の支持部と、
を有し、
前記受容部材は、前記操作部が前記回動軸に接近することで前記回動軸に巻き取られて前記筐体の内部に収納され、前記操作部が前記回動軸から離間することで前記回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり前記媒体を受容可能になり、前記進退方向において前記一端と前記他端との中間位置よりも前記他端寄りに錘を保持することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された処理装置において、
前記受容部材は、袋部を有し、
前記錘は、前記袋部に収納されることを特徴とする処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載された処理装置において、
前記錘は、前記袋部の中を移動可能であることを特徴とする処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載された処理装置において、
前記錘を複数有し、
複数の前記錘は、複数の前記袋部に分けて収納されることを特徴とする処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載された処理装置において、
前記錘は、金属を有することを特徴とする処理装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載された処理装置において、
前記錘は、棒状であることを特徴とする処理装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載された処理装置において、
前記錘は、球状であることを特徴とする処理装置。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載された処理装置において、
前記錘は、少なくとも表面の一部が樹脂であることを特徴とする処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載された処理装置において、
前記錘は、前記受容部材に重ねて縫ったシート部材であることを特徴とする処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載された処理装置において、
前記シート部材の縫い目は、前記回動軸の軸方向に沿って形成されることを特徴とする処理装置。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載された処理装置において、
前記一対の支持部の少なくとも一方に設けられるラックと、
前記回動軸に設けられ、前記ラックの移動に連動して回動する回動軸ギアと、を有することを特徴とする処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載された処理装置において、
前記ラックと前記回動軸ギアとの間に、前記回動軸ギアの回動を増速させ前記受容部材の繰り出し量を、前記一対の支持部の移動量よりも多くする増速機構を有することを特徴とする処理装置。
【請求項13】
請求項1から3のいずれか1項に記載された処理装置において、
前記回動軸は、前記受容部材の繰り出し量を最大にすることが可能な位置からさらに半回転以上回動可能に構成されていることを特徴とする処理装置。
【請求項14】
筐体に収容され、媒体に記録を行う記録部と、
前記筐体から排出される前記媒体を受容する媒体受容部と、を備え、
前記媒体受容部は、
柔軟性を有するシート状の受容部材と、
前記筐体の内部に設けられ、前記受容部材の一端が接続される回動軸と、
前記受容部材の他端が接続され、前記回動軸から離間可能に設けられる操作部と、
前記操作部の前記回動軸に対する離間方向に沿う進退方向において前記筐体から進退可能に突出し、前記操作部の両端を支持する一対の支持部と、
を有し、
前記受容部材は、前記操作部が前記回動軸に接近することで前記回動軸に巻き取られて前記筐体の内部に収納され、前記操作部が前記回動軸から離間することで前記回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり前記媒体を受容可能になり、前記進退方向において前記一端と前記他端との中間位置よりも前記他端寄りに錘を保持することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体に処理を行う処理装置として、記録装置などの様々な処理装置が使用されている。このうち、処理がなされた媒体を受容する媒体受容部を備える処理装置がある。例えば、特許文献1には、媒体を受容しないときには筐体の内部に収納され媒体を受容する際には媒体を受容可能な位置に繰り出すことが可能なシート状の受容部材を有する媒体受容部を備える処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の処理装置の媒体受容部は、筐体の内部に収納可能なシート状の受容部材と回動軸とを有し、回動軸から受容部材が繰り出されることで、筐体から排出される媒体を受容可能な構成である。このような構成の媒体受容部においては、受容部材の素材や柔軟性などによっては、受容部材が正常に繰り出されない虞がある。これは、一例としては、受容部材の繰り出し初期に勢いよく受容部材が上方に飛び出して受容部材が操作部などに引っ掛かるなどして、その後、操作部の移動により回動軸に巻かれた受容部材が繰り出される際、回動軸に巻かれた外側の受容部材が回動軸の回転や内側の受容部材の回転に追従しないことによる。また、別の一例としては、受容部材が処理装置の構成部材と接触した際の摩擦抵抗が受容部材の質量に対して大きすぎて受容部材が落下しづらくなり、受容部材の繰り出し量が不十分になることによる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の処理装置は、筐体に収容され、媒体を処理する処理部と、前記筐体から排出される前記媒体を受容する媒体受容部と、を備え、前記媒体受容部は、柔軟性を有するシート状の受容部材と、前記筐体の内部に設けられ、前記受容部材の一端が接続される回動軸と、前記受容部材の他端が接続され、前記回動軸から離間可能に設けられる操作部と、前記操作部の前記回動軸に対する離間方向に沿う進退方向において前記筐体から進退可能に突出し、前記操作部の両端を支持する一対の支持部と、前記一対の支持部の少なくとも一方に設けられるラックと、前記回動軸に設けられ、前記ラックの移動に連動して回動する回動軸ギアと、を有し、前記受容部材は、前記操作部が前記回動軸に接近することで前記回動軸に巻き取られて前記筐体の内部に収納され、前記操作部が前記回動軸から離間することで前記回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり前記媒体を受容可能になり、前記進退方向において前記一端と前記他端との中間位置よりも前記他端寄りに錘を保持することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の記録装置は、筐体に収容され、媒体に記録を行う記録部と、前記筐体から排出される前記媒体を受容する媒体受容部と、を備え、前記媒体受容部は、柔軟性を有するシート状の受容部材と、前記筐体の内部に設けられ、前記受容部材の一端が接続される回動軸と、前記受容部材の他端が接続され、前記回動軸から離間可能に設けられる操作部と、前記操作部の前記回動軸に対する離間方向に沿う進退方向において前記筐体から進退可能に突出し、前記操作部の両端を支持する一対の支持部と、前記一対の支持部の少なくとも一方に設けられるラックと、前記回動軸に設けられ、前記ラックの移動に連動して回動する回動軸ギアと、を有し、前記受容部材は、前記操作部が前記回動軸に接近することで前記回動軸に巻き取られて前記筐体の内部に収納され、前記操作部が前記回動軸から離間することで前記回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり前記媒体を受容可能になり、前記進退方向において前記一端と前記他端との中間位置よりも前記他端寄りに錘を保持することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る処理装置としての実施例1の記録装置の構成を示す斜視図であって、操作部が筐体の前壁に対して最も進入した際の状態(装着状態)を表す図。
【
図2】操作部が筐体の前壁に対して最も退出した際の状態(離間状態)の実施例1の記録装置を示す斜視図。
【
図3】実施例1の記録装置の内部構成を示す断面図であって、離間状態を表す図。
【
図4】
図3における領域Aに対応する部分を拡大して示す拡大図であって、装着状態を表す図。
【
図5】
図3における領域Aに対応する部分を拡大して示す拡大図であって、
図4の状態から操作部が筐体の前壁に対して退出し始めた際(離間開始状態)の状態を表す図。
【
図6】
図3における領域Aに対応する部分を拡大して示す拡大図であって、離間状態を表す図。
【
図7】実施例1の記録装置の支持部と回動軸との間の動力伝達構成を側面から見た平面図。
【
図8】実施例1の記録装置の支持部と回動軸との間の動力伝達構成を前面から見た平面図。
【
図10】実施形態に係る処理装置としての実施例2の記録装置の構成を示す斜視図。
【
図11】実施例2の記録装置の内部構成を示す断面図。
【
図12】実施形態に係る処理装置としての実施例3の記録装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の処理装置は、筐体に収容され、媒体を処理する処理部と、前記筐体から排出される前記媒体を受容する媒体受容部と、を備え、前記媒体受容部は、柔軟性を有するシート状の受容部材と、前記筐体の内部に設けられ、前記受容部材の一端が接続される回動軸と、前記受容部材の他端が接続され、前記回動軸から離間可能に設けられる操作部と、前記操作部の前記回動軸に対する離間方向に沿う進退方向において前記筐体から進退可能に突出し、前記操作部の両端を支持する一対の支持部と、を有し、前記受容部材は、前記操作部が前記回動軸に接近することで前記回動軸に巻き取られて前記筐体の内部に収納され、前記操作部が前記回動軸から離間することで前記回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり前記媒体を受容可能になり、前記進退方向において前記一端と前記他端との中間位置よりも前記他端寄りに錘を保持することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、媒体を受容するシート状の受容部材は、操作部が回動軸に接近することで回動軸に巻き取られて筐体の内部に収納され、操作部が回動軸から離間することで回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり媒体を受容可能な構成であるところ、進退方向において一端と他端との中間位置よりも他端寄り、すなわち、進退方向において操作部に近いところに錘を保持する。受容部材を繰り出す初期においては特に受容部材の繰り出し不良が生じやすいが、進退方向において操作部に近いところに錘を保持することで、受容部材を繰り出す初期において、錘の重力を利用して受容部材を効果的に回動軸から繰り出しつつ下方に垂れ下げることができる。したがって、受容部材を好適に繰り出すことができる。
【0010】
本発明の第2の態様の処理装置は、前記第1の態様において、前記受容部材は、袋部を有し、前記錘は、前記袋部に収納されることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、錘は受容部材の袋部に収納される。このため、錘が受容部材から外れてしまうことを抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様の処理装置は、前記第2の態様において、前記錘は、前記袋部の中を移動可能であることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、錘は袋部の中を移動可能である。このような構成とすることで、例えば受容部材を繰り出す際に錘を容易に袋部における鉛直方向下側に位置させ続けることが可能になり、受容部材を特に好適に繰り出すことができる。
【0014】
本発明の第4の態様の処理装置は、前記第2または第3の態様において、前記錘を複数有し、複数の前記錘は、複数の前記袋部に分けて収納されることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、錘を複数有し、錘は複数の袋部に分けて収納される。このような構成とすることで、例えば受容部材を繰り出す際に進退方向と交差する幅方向(回動軸の軸方向)において受容部材をバランスよく繰り出すことができる。
【0016】
本発明の第5の態様の処理装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記錘は、金属を有することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、錘は金属を有する。このため、頑丈で小型の錘とすることができる。
【0018】
本発明の第6の態様の処理装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記錘は、棒状であることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、錘は棒状である。このような構成とすることで、例えば受容部材を繰り出す際に進退方向と交差する幅方向(回動軸の軸方向)において受容部材をバランスよく繰り出すことができる。
【0020】
本発明の第7の態様の処理装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記錘は、球状であることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、錘は球状である。このような構成とすることで、例えば受容部材を繰り出す際に錘を容易に袋部における鉛直方向下側に位置させ続けることが可能になり、受容部材を特に好適に繰り出すことができる。
【0022】
本発明の第8の態様の処理装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記錘は、少なくとも表面の一部が樹脂であることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、錘は少なくとも表面の一部が樹脂である。このため、例えば、繰り出された受容部材が処理装置の設置面に衝突した際に、錘も受容部材を介して設置面に衝突し、その際の衝突音が大きくなることなどを抑制することができる。
【0024】
本発明の第9の態様の処理装置は、前記第1の態様において、前記錘は、前記受容部材に重ねて縫ったシート部材であることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、錘は受容部材に重ねて縫ったシート部材である。このため、錘全体を可撓性にすることができる。また、例えば受容部材を重ねて縫うことなどでシート部材を形成することで、新たな別の素材の構成材料を用意することなく錘を形成することができる。
【0026】
本発明の第10の態様の処理装置は、前記第9の態様において、前記シート部材の縫い目は、前記回動軸の軸方向に沿って形成されることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、シート部材の縫い目は回動軸の軸方向に沿って形成される。シート部材を重ねて縫った箇所は他の領域よりもコシが強くなるため柔軟性が弱くなって受容部材が歪みやすくなるが、縫い目は回動軸の軸方向に沿って形成されることで柔軟性が弱くなることによる重力方向から見た受容部材の歪みを抑制することができる。重力方向から見た受容部材の歪みを抑制することで、幅方向(回動軸の軸方向)において受容部材をバランスよく繰り出すことができる。
【0028】
本発明の第11の態様の処理装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記一対の支持部の少なくとも一方に設けられるラックと、前記回動軸に設けられ、前記ラックの移動に連動して回動する回動軸ギアと、を有することを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、一対の支持部の少なくとも一方に設けられるラックと、回動軸に設けられラックの移動に連動して回動する回動軸ギアと、を有する。このような構成とすることで、操作部の操作に連動して回動軸が回動する構成を簡単に形成することができる。
【0030】
本発明の第12の態様の処理装置は、前記第11の態様において、前記ラックと前記回動軸ギアとの間に、前記回動軸ギアの回動を増速させ前記受容部材の繰り出し量を、前記一対の支持部の移動量よりも多くする増速機構を有することを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、ラックと回動軸ギアとの間に増速機構を有する。このような構成とすることで、受容部材を巻き取るための回動軸を大きくする必要性をなくすことができ、装置を小型化することができる。
【0032】
本発明の第13の態様の処理装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記回動軸は、前記受容部材の繰り出し量を最大にすることが可能な位置からさらに半回転以上回動可能に構成されていることを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、回動軸は受容部材の繰り出し量を最大にすることが可能な位置からさらに半回転以上回動可能に構成されている。受容部材を繰り出す際の最後は受容部材が処理装置の構成部材と接触した際の摩擦抵抗が大きくなる傾向となり受容部材を繰り出しにくくなるが、このような構成とすることで、受容部材を繰り出す際の最後においても受容部材を好適に繰り出すことができる。
【0034】
本発明の第14の態様の記録装置は、筐体に収容され、媒体に記録を行う記録部と、前記筐体から排出される前記媒体を受容する媒体受容部と、を備え、前記媒体受容部は、柔軟性を有するシート状の受容部材と、前記筐体の内部に設けられ、前記受容部材の一端が接続される回動軸と、前記受容部材の他端が接続され、前記回動軸から離間可能に設けられる操作部と、前記操作部の前記回動軸に対する離間方向に沿う進退方向において前記筐体から進退可能に突出し、前記操作部の両端を支持する一対の支持部と、を有し、前記受容部材は、前記操作部が前記回動軸に接近することで前記回動軸に巻き取られて前記筐体の内部に収納され、前記操作部が前記回動軸から離間することで前記回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり前記媒体を受容可能になり、前記進退方向において前記一端と前記他端との中間位置よりも前記他端寄りに錘を保持することを特徴とする。
【0035】
本態様によれば、媒体を受容するシート状の受容部材は、操作部が回動軸に接近することで回動軸に巻き取られて筐体の内部に収納され、操作部が回動軸から離間することで回動軸から繰り出されて下方に垂れ下がり媒体を受容可能な構成であるところ、進退方向において一端と他端との中間位置よりも他端寄り、すなわち、進退方向において操作部に近いところに錘を保持する。受容部材を繰り出す初期においては特に受容部材の繰り出し不良が生じやすいが、進退方向において操作部に近いところに錘を保持することで、受容部材を繰り出す初期において、錘の重力を利用して受容部材を効果的に回動軸から繰り出しつつ下方に垂れ下げることができる。したがって、受容部材を好適に繰り出すことができる。
【0036】
[実施例1]
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。最初に、本発明の実施形態に係わる処理装置である記録装置10としての実施例1の記録装置10Aの概略構成について
図1から
図9を参照して説明する。図面に付記する座標は、記録装置10Aが水平な設置面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は、記録装置10Aの左右方向と平行な仮想軸である。Y軸は、記録装置10Aの前後方向と平行な仮想軸である。Z軸は、記録装置10Aの高さ方向と平行な仮想軸である。X軸、Y軸及びZ軸を表す矢印の先端側を「+側」、基端側を「-側」とする。記録装置10Aは、処理部として媒体に記録を行う記録部30を備える。本実施例の記録装置10Aは、ロール状に巻かれた長尺の媒体22を繰り出してインクジェット方式で記録を行う大判のプリンターである。大判プリンターとは、A3サイズの短辺幅に相当する297mm以上の幅を有する長尺の媒体に記録を行うことが可能なプリンターである。
【0037】
図1、
図2及び
図3に示すように、記録装置10Aは、筐体12に収容され、媒体22に記録を行う記録部30と、筐体12から排出される媒体22を受容する媒体受容部60とを備える。
【0038】
記録装置10Aは、左右方向に長い略直方体形状の筐体12を有している。筐体12は、前壁13、後壁14、第1側壁15、第2側壁16、及び上壁17を有している。筐体12は、脚部11によって支持されるベースフレーム19に連結される。記録装置10Aは、脚部11を介して設置面Sに設置される。記録装置10Aにおいて、ベースフレーム19と上壁17とが対向するZ方向は、記録装置10Aの高さ方向である。第1側壁15と第2側壁16とが対向するX方向は、記録装置10Aの左右方向である。前壁13と後壁14とが対向するY方向は、記録装置10Aの前後方向である。記録装置10Aが水平面上に配置される場合、Z方向は鉛直線と平行な方向である。なお、X方向は、幅方向に対応するとともに、後述する回動軸65の軸方向に対応する。
【0039】
筐体12の内部には、媒体22に記録を行う記録部30の他、媒体22が円筒状に巻かれたロール体25を収容する収容部20、媒体22を搬送する搬送部40、媒体22を切断する切断部50が設けられている。
【0040】
筐体12の前壁13には、複数の開口が形成されている。ロール体25を収容するためのロール体収容口27が前壁13下方のベースフレーム19側に形成さている。また、記録済みの媒体22を排紙するための排紙口と、排紙された媒体22を受容する、後述する受容部材67を繰り出すための操出口と、の機能を有する開口53が、ロール体収容口27の上側に形成されている。媒体22は開口53の上部側から排紙され、受容部材67は開口53の下部側から繰り出される。本実施形態では、排紙口と繰出口とが1つの開口53で形成された構成を例示したが、排紙口と操出口とがそれぞれ独立して設けられた構成であってもよい。
【0041】
収容部20には、長尺の媒体22を芯部材23に巻き回して形成された円筒状のロール体25がロール体収容口27から着脱可能に収容される。本実施形態において、収容部20は、X方向に長い2つのロール体25を、Z方向に並べた状態で収容可能に構成されている。ロール体25の両端には、収容部20に対して回転可能に保持する一対の保持部材28が取り付けられている。ロール体25が回転駆動されることにより、ロール体25に巻き回された媒体22が筐体12内の後壁14側へと送出される。
【0042】
搬送部40は、ロール体25から送出された媒体22を搬送する。搬送部40は、搬送経路形成部41、中間ローラー42、及び搬送ローラー43を有している。搬送経路形成部41は、2つのロール体25の各々に対応して設けられている。搬送経路形成部41は、収容部20に収容された2つのロール体25の各々に対して後壁14側に位置している。搬送経路形成部41は、ロール体25の回転駆動によってロール体25から送出された媒体22を筐体12の後壁14側へと案内する搬送経路44を形成する。
【0043】
中間ローラー42及び搬送ローラー43は、搬送経路44を通過した媒体22を記録部30へ搬送する。中間ローラー42及び搬送ローラー43は、X方向に沿う軸を回動軸として回転可能に支持された一対のローラーである駆動ローラーと従動ローラーとで構成されている。中間ローラー42及び搬送ローラー43は、駆動ローラーと従動ローラーとで媒体22を表裏両面から挟んで挟持する。中間ローラー42及び搬送ローラー43の駆動ローラーが回転駆動されることにより、媒体22が搬送経路44を通じて支持台31へ搬送されると共に、支持台31上を後壁14側から前壁13側へと搬送される。なお、
図3では、2つのロール体25の双方から媒体22が送出されている状態を示しているが、実際の記録時は2つのロール体25のいずれか一方から媒体22が送出される。
【0044】
記録部30は、支持台31、ガイド軸32、キャリッジ33、及び記録ヘッド34を含んで構成されている。支持台31は、収容部20よりも上壁17側に位置している。支持台31は、筐体12内でX方向に延びる板状の部材であり、搬送部40によって搬送された媒体22を支持する。ガイド軸32は、支持台31よりも上壁17側に位置する。ガイド軸32は、X方向に延びる棒状の部材である。ガイド軸32は、キャリッジ33を摺動可能に支持している。
【0045】
記録ヘッド34は、キャリッジ33に搭載されている。記録ヘッド34は、キャリッジ33に対して支持台31側に位置している。記録ヘッド34は、キャリッジ33と共に、ガイド軸32に沿って往復移動可能に構成されている。記録ヘッド34は、インクを収容したカートリッジ35と図示しない可撓性を有するチューブにより接続されている。カートリッジ35は収容部20よりも第2側壁16側の位置であって、収容部20よりも上壁17側の位置に収納されている。記録ヘッド34は、X方向に移動しながら支持台31に支持されている媒体22に対してインクを吐出することにより媒体22に対して記録を行う。
【0046】
切断部50は、記録部30よりも前壁13側に位置している。切断部50は、固定刃と固定刃に対して可動する可動刃とを有し、固定刃と可動刃との間に位置する媒体22を切断する。切断された媒体22は、前壁13に形成された開口53の上部側へと媒体22を案内する排紙口部材51に支持されて、筐体12の外部に排出される。
【0047】
また、記録装置10Aは、入力部59を有している。入力部59は、筐体12の上壁17の上面に設けられている。入力部59は、上壁17に対して前壁13が接続される部分と上壁17に対して第2側壁16が接続される部分とがなす角部に位置している。入力部59は、例えばタッチパネルを備えた液晶表示装置などによって構成され、各種情報の入力をユーザーが行う際に使用される。
【0048】
図3などに示すように、媒体受容部60は、操作部61、支持部63、回動軸65、受容部材67などで構成されている。回動軸65は、筐体12の内部であって、収容部20と排紙口部材51との間に設けられている。回動軸65は、X方向に長い円筒形をなし、その長さは媒体22の幅よりも長い。回動軸65は、筐体12に対して回動可能に支持されている。
【0049】
操作部61は、X方向に長い棒状の部材である。操作部61の両端は、筐体12の前壁13側から+Y方向に進退可能に突出する一対の支持部63に支持されている。一対の支持部63は、回動軸65と収容部20との間から筐体12の外部に突出する。すなわち、操作部61は、筐体12から離間可能であり、一対の支持部63の進退に伴って、筐体12に装着された装着状態と、筐体12から離間された離間状態とに変位可能である。
【0050】
受容部材67は、柔軟性を有する長尺のシート状の部材である。
図3から
図6で表されるように、受容部材67の一端67bは、回動軸65に接続され、受容部材67の他端67cは、操作部61の接続部61aに接続されている。回動軸65は、支持部63の進退に連動して正回転又は逆回転するように構成されている。ここで、
図2から
図5に示すように、受容部材67には、袋部101が取り付けられており、袋部101には錘100として棒状の錘100Aが収納されている。
【0051】
図7及び
図8に示すように、一対の支持部63の少なくとも一方には、ラック64が設けられている。ラック64は、平板状の棒に複数の歯が等ピッチで切られたものである。本実施形態の記録装置10では、ラック64は、両方の支持部63の-Z側の面に設けられている。一方、回動軸65には、ラック64の移動に連動して回動する回動軸ギア66が設けられている。さらに、ラック64と回動軸ギア66との間には、回動軸ギア66の回動を増速させる増速機構70が設けられる。
【0052】
増速機構70は、歯数の異なるギアが積層された複合ギアとしての第1複合ギア71と、第2複合ギア74とを有している。第1複合ギア71は、ラック64と噛み合う第1ギア72と、第1ギア72よりも直径が大きく、歯数が多い第2ギア73とが同一の軸に形成されている。ラック64と第1ギア72とが噛み合うことにより、支持部63の進退に伴う直線の動きが第1複合ギア71の回転力に変換される。第2複合ギア74は、第2ギア73と噛み合い、第2ギア73よりも直径が小さく、歯数が少ない第3ギア75と、第3ギア75よりも直径が大きく、歯数が多い第4ギア76とが同一の軸に形成されている。
【0053】
例えば、第2ギア73の歯数が第1ギア72の歯数の2倍であった場合、第2ギア73と係合する第3ギア75は、第1ギア72と第3ギア75とが直接噛み合った場合に比べて2倍の速さで回転する。すなわち、第1複合ギア71は、第2複合ギア74の回転を増速させる。同様に、第2複合ギア74は、回動軸ギア66の回転を増速させる。なお、本実施形態では、2つの第1複合ギア71及び第2複合ギア74で構成された増速機構70を例示したが、1つの複合ギア、又は3つ以上の複合ギアで構成された増速機構であってもよい。また、直径及び歯数が異なる大小の複数の平ギアを組み合わせることで構成された増速機構であってもよい。
【0054】
受容部材67は、操作部61が
図3及び
図6で表される離間状態から
図5の状態を経て
図4で表される装着状態に変位する際に、回動軸65に巻き取られて筐体12の内部に収容される。また、受容部材67は、操作部61が
図4で表される装着状態から
図5の状態を経て
図3及び
図6で表される離間状態に変位する際に、回動軸65から開口53の下部側を介して筐体12の外部に繰り出され、開口53の上部側から排紙された媒体22を受容可能な状態になる。本実施例の記録装置10は、増速機構70により、一対の支持部63の+Y方向への移動量よりも、回動軸65から繰り出される受容部材67の繰り出し量の方が大きくなるように構成されている。これにより、受容部材67は、操作部61と回動軸65との間に弛みを形成する。
【0055】
操作部61は、
図4で表される装着状態において、筐体12の前壁13の一部をなす前板62を有している。前板62は、操作部61から+Z方向に立ち上がるX方向に長い板状の部材である。開口53の少なくとも一部は、操作部61が装着状態において、前板62によって塞がれる。前板62は、
図4で表されるように、装着状態において、前壁13と同一の面を形成する。本実施形態では、受容部材67が繰り出される開口53の下部が前板62によって塞がれる。
【0056】
なお、本実施例では、増速機構70を用いて支持部63の移動量よりも受容部材67の繰り出し量の方が多くなる構成を例示したが、これに限定するものではない。例えば、回動軸を1回転させるために必要な支持部63の移動量よりも長い外周を有する回動軸を用いることで、支持部63の移動量よりも受容部材67の繰り出し量の方が多くなる構成を実現することができる。
【0057】
図4から
図6に示すように、媒体受容部60は、当接部80、補助ローラー85を有している。当接部80は、回動軸65に巻き取られたロール状の受容部材67の外周面67aに当接して受容部材67を回動軸65へ押圧する。当接部80は、回動軸65の軸線方向、すなわちX方向の両端部に設けられている。
【0058】
当接部80は、当接ローラー81、アーム83を有している。当接ローラー81は、回動軸65に巻き取られる、または繰り出される際に回動軸65と共に回動する受容部材67の外周面67aに当接して従動する従動ローラーである。アーム83は、回動軸65の上方に位置する。アーム83の一端は、回動軸65の軸線と交差する鉛直線CL1よりも-Y方向に位置し、X方向に伸びるアーム軸84に回動可能に支持されている。アーム83の他端は、鉛直線CL1よりも+Y方向に位置し、当接ローラー81を、当接ローラー軸82を介して回動可能に支持している。すなわち、当接ローラー81は、鉛直線CL1のうち回動軸65の軸線から+Z方向に向かう直線と、回動軸65の軸線と交差する水平線CL2のうち回動軸65の軸線から+Y方向に向かう直線との間でロール状の受容部材67に当接する。
【0059】
当接ローラー81は、アーム83を下方に押圧する図示しない押圧部材によって回動軸65に巻き取られたロール状の受容部材67を回動軸65に押圧する。これにより、回動軸65の回動に応じて変化するロール状の受容部材67の半径に追随して、当接ローラー81を受容部材67の外周面67aに当接させることができる。なお、本実施形態では、当接部80が回動軸65の両端部に設けられた構成を例示したが、両端部に加えてさらに複数の当接部が設けられた構成であってもよい。
【0060】
補助ローラー85は、回動軸65に巻き取られたロール状の受容部材67の外周面67aに当接して受容部材67を回動軸65へ押圧する。補助ローラー85は、回動軸65に巻き取られる、または繰り出される際に回動する受容部材67の外周面67aに当接して従動する従動ローラーである。補助ローラー85は、回動軸65の軸線と交差する水平線CL2よりも下方に位置し、補助ローラー軸86を介して回動可能に支持されている。さらに、補助ローラー85は、回動軸65の軸線と交差する鉛直線CL1と重なる位置に設けられることが好ましい。
【0061】
補助ローラー85は、補助ローラー軸86を上方に押圧する押圧部材によって回動軸65に巻き取られたロール状の受容部材67を回動軸65に押圧する。これにより、回動軸65の回動に応じて変化するロール状の受容部材67の半径に追随して補助ローラー85を受容部材67の外周面67aに当接させることができる。補助ローラー85は、回動軸65のX方向に沿って1つ以上設けられる。
【0062】
当接ローラー81および補助ローラー85が、受容部材67を回動軸65に押圧することにより、回動軸65の回転が、回動軸65に近い受容部材67だけでなく、外周面67a側にも伝わり易くなる。ただし、本実施例では、錘100により受容部材67が常に下方へ引っ張られている状態となり、外周面67aの受容部材67は回動軸65側に引き付けられるようにテンションが掛かっている。そのため、当接ローラー81および補助ローラー85は、設けなくても正常に受容部材67を繰り出すことができる。当接ローラー81および補助ローラー85を設けない場合、当接ローラー81および補助ローラー85に付帯する部品も不要となり、コスト削減ができる。また、当接ローラー81および補助ローラー85が、受容部材67の繰り出しや巻き取りに従動して回転する際の音が発生しなくなるため、騒音も低減される。
【0063】
なお、本実施例では、処理部としてインクジェット方式で記録を行う記録部30を備えた処理装置としての記録装置10Aを例示したが、これに限定するものではない。処理装置は、インクジェット方式以外の記録装置や、コピー装置、ファックス装置、これらの複数の機能を備えた複合機などであってもよい。
【0064】
上記のように、記録装置10Aは、筐体12に収容され、媒体22を処理する処理部としての記録部30と、筐体12から排出される媒体22を受容する媒体受容部60と、を備える。そして、媒体受容部60は、柔軟性を有するシート状の受容部材67と、筐体12の内部に設けられ受容部材67の一端67bが接続される回動軸65と、受容部材67の他端67cが接続され回動軸65から離間可能に設けられる操作部61と、操作部61の回動軸65に対する離間方向(+Y方向)に沿う
図3から
図6で表される進退方向Dにおいて筐体12から進退可能に突出し操作部61の両端を支持する一対の支持部63と、を有する。さらに、媒体受容部60は、
図7及び
図8で表されるように、一対の支持部63の少なくとも一方に設けられるラック64と、回動軸65に設けられラック64の移動に連動して回動する回動軸ギア66と、を有する。なお、
図4から
図6における進退方向Dのうちの方向D1は操作部61の筐体12に対する進入方向に対応し、
図4から
図6における進退方向Dのうちの方向D2は操作部61の筐体12に対する退出方向に対応する。
【0065】
なお、操作部61の移動に伴って回動軸65が回動する構成であれば、ラック64と回動軸ギア66とを組み合わせた機構以外も採用可能である。例えば、支持部として棒状のガイド部材の一端側で操作部61を支持し、棒状のガイド部材の他端側が筐体12に支持される構成でもよい。この場合、操作部61が筐体12に対して接近または離間する際、筐体12に支持されている棒状のガイド部材の他端側が支点として回動するように動作し、棒状のガイド部材の回動動作に回動軸65の回動を連動させてもよい。
【0066】
ここで、受容部材67を主として媒体受容部60についてさらに詳細に説明する。本実施例の受容部材67は、操作部61が回動軸65に接近することで回動軸65に巻き取られて筐体12の内部に収納され、操作部61が回動軸65から離間することで回動軸65から繰り出されて下方に垂れ下がり媒体22を受容可能な構成である。これにより、媒体受容部60を狭いスペースに収容することができ、装置サイズを小型化した処理装置を提供することができる。
【0067】
そして、進退方向Dにおいて一端67bと他端67cとの中間位置よりも他端67c寄り、すなわち、進退方向Dにおいて操作部61に近いところに錘100Aを保持する。なお、「進退方向Dにおいて一端67bと他端67cとの中間位置よりも他端67c寄り」とは、
図3で表されるように、「一端67bから他端67cまでの受容部材67の全長において一端67bと他端67cとの中間位置よりも他端67c寄り」という意味である。受容部材67を繰り出す初期においては特に受容部材67の繰り出し不良が生じやすいが、
図4及び
図5を参照するとわかるように、進退方向Dにおいて操作部61に近いところに錘100Aを保持することで、操作部61が回動軸65から離間し受容部材67を繰り出す初期において、錘100Aの重力Gを利用して受容部材67を効果的に回動軸65から繰り出しつつ下方に垂れ下げることができる。したがって、記録装置10Aは、受容部材67の繰り出し初期に勢いよく受容部材67が操作部61を超えて+Y方向側の上方に飛び出して受容部材67が操作部61に引っ掛かることなどを抑制でき、
図3で表されるように受容部材67を好適に繰り出すことができる。
【0068】
また、
図3から
図5で表されるように、記録装置10Aにおいて、受容部材67は袋部101を有し、錘100Aは袋部101に収納されている。このため、記録装置10Aは、錘100Aが受容部材67から外れてしまうことを抑制することができる構成となっている。なお、「袋部」とは、少なくとも対向する方向において閉じている領域を有していればよく、開口する領域の数や配置に特に限定はなく、本実施例の記録装置10Aにおける袋部101のように開口する領域がなくてもよい。
【0069】
ここで、本実施例の記録装置10Aにおける錘100Aは、
図9で表されるように棒状であり、長手方向がX方向になるように袋部101に収納されている。錘100を棒状とすることで、例えば受容部材67を繰り出す際に進退方向Dと交差する幅方向(回動軸の軸方向に対応するX方向)において受容部材67をバランスよく繰り出すことができる。なお、
図4、
図5、
図6で表される順に受容部材67を繰り出す際の回動軸65の回転方向は、
図4から
図6においては反時計回りとなる。逆に、
図6、
図5、
図4で表される順に受容部材67を回動軸65に巻き取る際の回動軸65の回転方向は、
図4から
図6においては時計回りとなる。
【0070】
また、本実施例の記録装置10Aにおける袋部101は、
図2で表されるように、受容部材67に縫い目102(袋部101において破線で表される部分)において縫われた矩形のシート部材である。そして、錘100Aは、袋部101の中を移動可能となっている。このような構成とすることで、例えば受容部材67を繰り出す際に錘100を容易に袋部101における鉛直方向下側に位置させ続けることが可能になり、受容部材67を特に好適に繰り出すことができる。
【0071】
図9で表されるように、錘100Aは、棒状部100aと、棒状部100aの両端に取り付けられたキャップ部100bとで構成されている。ここで、棒状部100aは金属製である。このように、錘100Aは金属を有する。このため、錘100Aは頑丈で小型の錘100とすることができている。
【0072】
一方、キャップ部100bは樹脂製である。すなわち、錘100Aは、少なくとも表面の一部が樹脂である。このような構成としていることで、例えば、繰り出された受容部材67が設置面Sに衝突した際に、錘100Aも受容部材67を介して設置面Sに衝突するが、その際の衝突音が大きくなることなどを抑制することができている。
【0073】
また、上記のように、本実施例の記録装置10Aは、一対の支持部63の少なくとも一方に設けられるラック64と、回動軸65に設けられラック64の移動に連動して回動する回動軸ギア66と、を有する。また、ラック64と回動軸ギア66との間に、回動軸ギア66の回動を増速させ受容部材67の繰り出し量を、一対の支持部63の移動量よりも多くする増速機構70を有している。このような構成とすることで、操作部61の操作に連動して回動軸65が回動する構成を簡単に形成することができるとともに、受容部材67を巻き取るための回動軸65を大きくする必要性をなくすことができ、装置を小型化することができる。
【0074】
ここで、本実施例の記録装置10Aにおいては、
図6で表されるように、回動軸65は、操作部61が筐体12の前壁13に対して最も退出した際、受容部材67の繰り出し量を最大にすることが可能な位置P1からさらに半回転ぶん回動する構成となっている。このように、回動軸65は受容部材67の繰り出し量を最大にすることが可能な位置P1からさらに半回転以上回動可能に構成されていることが好ましい。受容部材67を繰り出す際の最後は受容部材67が記録装置10の構成部材と接触した際の摩擦抵抗が大きくなる傾向となり受容部材67を繰り出しにくくなるが、このような構成とすることで、受容部材67を繰り出す際の最後においても受容部材67を好適に繰り出すことができるためである。
【0075】
[実施例2]
以下に、実施例2の記録装置10Bについて
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は実施例1の記録装置10Aにおける
図2に対応する図であり、
図11は実施例1の記録装置10Aにおける
図3に対応する図である。本実施例の記録装置10Bは、以下で説明する構成以外については、実施例1の記録装置10Aと同様である。このため、本実施例の記録装置10Aは、下記の説明箇所以外については実施例1の記録装置10Aと同様の特徴を有している。そこで、
図10及び
図11では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0076】
上記のように、実施例1の記録装置10Aにおいては、錘100は棒状の錘100Aだった。一方、
図10及び
図11で表されるように、本実施例の記録装置10Bにおいては、錘100は、受容部材67に重ねて縫ったシート部材100Bである。このため、錘100全体を可撓性にすることができている。また、例えば受容部材67を重ねて縫うことなどでシート部材を形成することで、新たな別の素材の構成材料を用意することなく錘100を形成することができる。
【0077】
ここで、本実施例の記録装置10Bにおいては、受容部材67に重ねて縫ったシート部材100Bの縫い目102は、回動軸65の軸方向、すなわち、X方向に対応する幅方向に沿って上下2カ所に形成されている。シート部材100Bを重ねて縫った箇所は他の領域よりもコシが強くなるため柔軟性が弱くなって受容部材67が歪みやすくなるが、縫い目102は回動軸65の軸方向に沿って形成されることで柔軟性が弱くなることによる重力方向から見た受容部材67の歪みを抑制することができる。重力方向から見た受容部材67の歪みを抑制することで、幅方向(回動軸の軸方向)において受容部材67をバランスよく繰り出すことができる。また、縫い目102を幅方向の端部には設けていないことで、袋部101の中に幅方向の端部からユーザーはアクセスすることができる。このため、ユーザーは、袋部101の中に文房具や工具など様々なものを一時的に収納することができる。
【0078】
なお、本実施例では、シート部材100Bは、受容部材67と同じ素材を折って2重にした状態で受容部材67に重ねて縫い合わせている。ただし、このような構成に限定されず、受容部材67とは別の素材のものを使用してもよいし、折り返さないシート部材や3重以上に折り返したシート部材を使用してもよい。また、一端67bと他端67cとの間で切れ目なく連続した受容部材67自体の一部を、折り目が回動軸65の軸方向に沿うように複数回折り返して他の領域よりも重い領域を形成することで、折り返して他の領域よりも重くした領域を錘100としてもよい。受容部材67の折り返した領域は、縫い目102を回動軸65の軸方向に沿って縫い付けることで、錘100とする。本実施例においては、可撓性の素材を縫い合わせて錘100を形成しているため、錘100は受容部材67上で位置が変わることがない。錘100であるシート部材100Bを形成する位置としては、受容部材67の他端67c寄りで操作部61に近いところが好ましい。操作部61が回動軸65から離間し受容部材67を繰り出す初期において、シート部材100Bの重力Gを利用して受容部材67を効果的に回動軸65から繰り出しつつ下方に垂れ下げることができる。
【0079】
[実施例3]
以下に、実施例3の記録装置10Cについて
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は実施例1の記録装置10Aにおける
図2に対応する図であり、
図13は実施例1の記録装置10Aにおける
図9に対応する図である。本実施例の記録装置10Cは、以下で説明する構成以外については、実施例1の記録装置10Aと同様である。このため、本実施例の記録装置10Aは、下記の説明箇所以外については実施例1の記録装置10Aと同様の特徴を有している。そこで、
図12及び
図13では上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0080】
上記のように、実施例1の記録装置10Aにおいては、錘100は棒状の錘100Aだった。一方、
図12及び
図13で表されるように、本実施例の記録装置10Cにおいては、錘100は球状の錘100Cである。このような構成とすることで、例えば受容部材67を繰り出す際に錘100を容易に袋部101における鉛直方向下側に位置させ続けることが可能になり、受容部材67を特に好適に繰り出すことができる。
【0081】
また、
図12で表されるように、本実施例の記録装置10Cは錘100Cを複数有し、複数の錘100Cは複数の袋部101に分けて収納されている。このような構成とすることで、例えば受容部材67を繰り出す際に進退方向Dと交差する幅方向(回動軸65の軸方向)において受容部材67をバランスよく繰り出すことができる。
【0082】
なお、本実施例の錘100Cは、内部は金属製の球100cで構成されており、表面が樹脂製のコート層100dで覆われている。このため、頑丈で比重の大きい小型の錘100とすることができているとともに、繰り出された受容部材67を介して錘100Cが設置面Sに衝突した際の衝突音が大きくなることを抑制することもできている。ただし、このような構成に限定されず、例えば、球状の錘100の全体を金属だけで構成してもよいし樹脂だけで構成してもよい。
【0083】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。また、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10…記録装置(処理装置)、10A…記録装置、10B…記録装置、10C…記録装置、11…脚部、12…筐体、13…前壁、14…後壁、15…第1側壁、16…第2側壁、17…上壁、19…ベースフレーム、20…収容部、22…媒体、23…芯部材、25…ロール体、30…記録部(処理部)、31…支持台、32…ガイド軸、33…キャリッジ、34…記録ヘッド、40…搬送部、41…搬送経路形成部、42…中間ローラー、43…搬送ローラー、44…搬送経路、50…切断部、51…排紙口部材、53…開口、59…入力部、60…媒体受容部、61…操作部、61a…接続部、62…前板、63…支持部、64…ラック、65…回動軸、66…回動軸ギア、67…受容部材、67a…外周面、67b…一端、67c…他端、70…増速機構、71…第1複合ギア、72…第1ギア、73…第2ギア、74…第2複合ギア、75…第3ギア、76…第4ギア、80…当接部、81…当接ローラー、82…当接ローラー軸、83…アーム、84…アーム軸、85…補助ローラー、86…補助ローラー軸、100…錘、100A…錘、100B…シート部材、100C…錘、100a…棒状部、100b…キャップ部、100c…球、100d…コート層、101…袋部、102…縫い目、CL1…鉛直線、CL2…水平線、S…設置面