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特開2024-68766蓄電素子の製造装置および蓄電素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068766
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】蓄電素子の製造装置および蓄電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20240514BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240514BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20240514BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20240514BHJP
   H01G 11/66 20130101ALI20240514BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/13
H01G11/06
H01G13/00 381
H01G11/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179341
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】隅田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】西村 涼平
(72)【発明者】
【氏名】粟津 剛
【テーマコード(参考)】
5E078
5E082
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB02
5E078AB06
5E078FA24
5E082AB09
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA15
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB08
5H050GA29
5H050HA03
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】タブを有する長尺状の電極シートを搬送ローラで搬送するときに、タブの折れ曲がりを抑制する。
【解決手段】幅方向の外側に突出したタブ2を有する長尺状の電極シート1を搬送する蓄電素子の製造装置100は、電極シート1を支持する搬送ローラ10と、電極シート1のタブ2を搬送ローラ10側に倒すためのタブ押さえローラ20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の外側に突出したタブを有する長尺状の電極シートを搬送する蓄電素子の製造装置であって、
前記電極シートを支持する搬送ローラと、
前記電極シートの前記タブを前記搬送ローラ側に倒すためのタブ押さえローラと、
を備えることを特徴とする蓄電素子の製造装置。
【請求項2】
前記タブ押さえローラは、前記電極シートの搬送方向において、前記電極シートが前記搬送ローラと接触し始める接触開始位置よりも上流側の位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子の製造装置。
【請求項3】
前記接触開始位置における前記電極シートと直交する方向に見たときに、前記搬送ローラの中心軸と、前記タブ押さえローラの中心軸との間の距離は、前記電極シートの搬送方向における前記タブの寸法より短いことを特徴とする請求項2に記載の蓄電素子の製造装置。
【請求項4】
前記タブ押さえローラは、前記電極シートのうち、前記タブと前記タブ以外の本体部とに接触する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子の製造装置。
【請求項5】
前記タブ押さえローラは、前記タブとは接触せずに、前記タブ以外の本体部のうち、前記タブの近傍領域にのみ接触する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子の製造装置。
【請求項6】
前記タブ押さえローラの直径は、前記搬送ローラの直径より小さいことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電素子の製造装置。
【請求項7】
搬送ローラに沿って、幅方向の外側に突出したタブを有する長尺状の電極シートを搬送する工程を有し、
前記電極シートの搬送中に、前記タブを前記搬送ローラ側に倒すことを特徴とする蓄電素子の製造方法。
【請求項8】
前記電極シートが前記搬送ローラと接触し始める接触開始位置よりも上流側の位置で前記タブを前記搬送ローラ側に倒すことを特徴とする請求項7に記載の蓄電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子の製造装置および蓄電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池などの蓄電素子を製造するために、長尺状の電極シートを搬送ローラに沿って搬送しながら、様々な処理を行う装置が知られている。
【0003】
そのような装置の1つとして、特許文献1には、表面に活物質層が形成された第1の領域と、活物質層が形成されていない第2の領域とを有する長尺状の電極シートを圧縮するプレスユニットと、圧縮後の電極シートの第2の領域に張力を与えるストレッチユニットとを備える電極のプレス装置が開示されている。この電極のプレス装置によれば、ストレッチユニットによって第2の領域に張力を与えることによって、圧縮成形で電極シートに生じた歪みや反りを矯正することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-73690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、蓄電素子の電極として、外側に突出したタブを備えた電極が知られている。タブには、活物質層は形成されていない。このタブを有する長尺状の電極シートを搬送ローラで搬送しようとすると、搬送ローラが設けられている位置をタブが通過したときに、タブに円弧状の折れ目がついて折れ曲がることが分かった。また、このタブの折れ曲がりは、タブが搬送ローラを通過するときに、電極シートと平行な状態を基準として、タブの位置が搬送ローラとは反対側にあるときに生じることも分かった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、タブを有する長尺状の電極シートを搬送ローラで搬送するときに、タブの折れ曲がりを抑制することができる蓄電素子の製造装置および蓄電素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蓄電素子の製造装置は、幅方向の外側に突出したタブを有する長尺状の電極シートを搬送する蓄電素子の製造装置であって、
前記電極シートを支持する搬送ローラと、
前記電極シートの前記タブを前記搬送ローラ側に倒すためのタブ押さえローラと、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の蓄電素子の製造方法は、搬送ローラに沿って、幅方向の外側に突出したタブを有する長尺状の電極シートを搬送する工程を有し、
前記電極シートの搬送中に、前記タブを前記搬送ローラ側に倒すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の蓄電素子の製造装置によれば、タブ押さえローラによって、電極シートのタブを搬送ローラ側に倒すことにより、搬送ローラが設けられている位置をタブが通過するときの折れ曲がりを抑制することができる。
【0010】
本発明の蓄電素子の製造方法によれば、電極シートの搬送中に電極シートのタブを搬送ローラ側に倒すことにより、搬送ローラが設けられている位置をタブが通過するときの折れ曲がりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態における蓄電素子の製造装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示す蓄電素子の製造装置を矢印K1の方向から見たときの構成を模式的に示す側面図である。
図3図1に示す蓄電素子の製造装置を矢印K2の方向から見たときの構成を模式的に示す平面図である。
図4図1に示す蓄電素子の製造装置を矢印K3の方向から見たときの構成を模式的に示す平面図である。
図5】長尺状の電極シートを模式的に示す平面図である。
図6】タブ押さえローラがタブとは接触せずに、電極シートの本体部のうち、タブの近傍領域にのみ接触するように構成されている蓄電素子の製造装置を模式的に示す平面図である。
図7】一実施形態における蓄電素子の製造装置の適用例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態における蓄電素子の製造装置100の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す蓄電素子の製造装置100を矢印K1の方向から見たときの構成を模式的に示す側面図である。図3は、図1に示す蓄電素子の製造装置100を矢印K2の方向から見たときの構成を模式的に示す平面図である。図4は、図1に示す蓄電素子の製造装置100を矢印K3の方向から見たときの構成を模式的に示す平面図である。
【0014】
本実施形態における蓄電素子の製造装置100によって製造される蓄電素子は、タブを有する電極を備えており、例えば、電池である。電池は、一次電池でも二次電池でもよく、その種類に特に制約はない。また、蓄電素子が電池に限定されることはなく、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどであってもよい。
【0015】
一実施形態における蓄電素子の製造装置100は、幅方向の外側に突出したタブ2を有する長尺状の電極シート1を搬送する装置であって、搬送ローラ10とタブ押さえローラ20とを備える。電極シート1は、蓄電素子の電極を作製するためのシートである。
【0016】
図5は、長尺状の電極シート1を模式的に示す平面図である。図5に示すように、電極シート1は、幅方向の外側に突出した複数のタブ2を有する。幅方向は、長尺状の電極シート1の長手方向、すなわち、電極シート1の搬送方向と直交する方向である。複数のタブ2は、図5に示すように、電極シート1の幅方向の片側にのみ設けられていてもよいし、両側に設けられていてもよい。電極シート1の幅方向の両側にタブ2が設けられている場合、後の工程で電極シート1を幅方向の中央の位置で切断して使用することが可能である。
【0017】
ここでは、電極シート1のうち、タブ2以外の部分を本体部1aと呼ぶ。電極シート1の本体部1aの幅方向の寸法は、例えば、50mm以上500mm以下であり、長手方向の寸法は任意である。タブ2の形状は任意であるが、例えば、平面視で矩形である。幅方向におけるタブ2の寸法は、例えば、5μm以上50mm以下であり、電極シート1の長手方向におけるタブ2の寸法は、例えば、50μm以上50mm以下である。また、タブ2の厚みは、例えば、50μm以上10mm以下である。
【0018】
電極シート1の本体部1aは、電極箔と、電極箔の表面に形成された活物質層とを含む。ただし、電極箔の一部に活物質層が形成されていない領域が含まれていてもよい。
【0019】
電極が正極である場合、例えば、電極箔としてアルミニウム箔を用い、活物質層に含まれる活物質として、ニッケルコバルトアルミニウムを用いることが可能である。正極の電極箔の厚みは、例えば、1μm以上50μm以下であり、正極の活物質層の厚みは、例えば、10μm以上200μm以下である。正極の活物質層は、電極箔の両面に形成されていてもよいし、片面にだけ形成されていてもよい。
【0020】
電極が負極である場合、例えば、電極箔として銅箔を用い、活物質層に含まれる活物質として、グラファイトを用いることが可能である。負極の電極箔の厚みは、例えば、1μm以上50μm以下であり、負極の活物質層の厚みは、例えば、10μm以上200μm以下である。負極の活物質層は、電極箔の両面に形成されていてもよいし、片面にだけ形成されていてもよい。
【0021】
電極シート1のタブ2には、上述した活物質層は形成されていないが、本体部1aの近傍の領域に活物質層が形成されていてもよい。タブ2は、本体部1aを構成する電極箔と同じ材料からなるが、異なる材料で構成されていてもよい。
【0022】
なお、電極シート1の本体部1aおよびタブ2の形状、材料、サイズなどが上述したものに限定されることはない。
【0023】
搬送ローラ10は、長尺状の電極シート1を支持するためのローラであって、例えば、アルミニウムからなる。搬送ローラ10の表面は、硬質アルマイト処理や表面研磨処理などの処理が施されていてもよい。搬送ローラ10の直径は、例えば、10mm以上500mm以下である。ただし、搬送ローラ10の直径は、電極シート1の形状により適宜調整されてもよく、500mm以上であってもよい。径方向と直交する方向、すなわち、搬送ローラ10によって支持される電極シート1の幅方向と平行な方向における搬送ローラ10の寸法は、任意であるが、少なくとも電極シート1の幅方向の寸法より大きい。
【0024】
図1図4では、電極シート1の搬送方向を90°変える位置に搬送ローラ10が設けられた例を示しているが、搬送方向を90°以外の角度に変える位置に設けられていてもよいし、搬送方向が変わらない位置に設けられていてもよい。電極シート1が搬送されるときの搬送速度は、例えば、10m/s以上20m/s以下である。
【0025】
後述する図7に示すように、電極シート1は、巻出しロール31から巻出されて、巻取りロール32に巻取られる。電極シート1の搬送時には、たるまないように、電極シート1に張力が印加される。印加する張力の大きさは、電極シート1が正極か負極かによって変更するようにしてもよい。例えば、電極シート1が正極の場合、巻出し時の張力を25N、巻取り時の張力を15Nとし、電極シート1が負極の場合、巻出し時の張力を30N、巻取り時の張力を25Nとしてもよい。
【0026】
タブ押さえローラ20は、搬送される電極シート1に対して搬送ローラ10とは反対側の位置に設けられており、電極シート1のタブ2を搬送ローラ10側に倒すためのローラである。電極シート1のタブ2は、非常に薄いため、電極シート1の搬送時に、電極シート1と平行な状態が維持されない場合がある。電極シート1と平行な状態を基準として、タブ2が搬送ローラ10側とは反対側に傾いた状態で、電極シート1が搬送ローラ10に沿って搬送されると、タブ2に円弧状の折れ目がついて折れ曲がる。この折れ曲がりの発生を抑制するためには、タブ2が電極シート1と平行であるか、または、搬送ローラ10側に傾いている必要がある。このため、タブ押さえローラ20は、搬送ローラ10側とは反対側に傾いているタブ2と接触して、搬送ローラ10側に倒すために設けられている。図2に示すように、タブ押さえローラ20は、搬送される電極シート1に対して、搬送ローラ10とは反対側に設けられている。
【0027】
タブ押さえローラ20は、例えば、ポリアセタールなどの樹脂からなる。タブ押さえローラ20の直径は、搬送ローラ10の直径より小さいことが好ましい。タブ押さえローラ20の直径が搬送ローラ10の直径より小さいことにより、蓄電素子の製造装置100を小型化することができる。タブ押さえローラ20の直径は、例えば、1mm以上100mm以下である。径方向と直交する方向、すなわち、電極シート1の幅方向と平行な方向におけるタブ押さえローラ20の寸法は、例えば、10mm以上100mm以下である。
【0028】
タブ押さえローラ20は、電極シート1の搬送方向において、電極シート1が搬送ローラ10と接触し始める接触開始位置よりも上流側の位置に設けられていることが好ましい。タブ押さえローラ20が接触開始位置よりも上流側の位置に設けられていることにより、搬送ローラ10と接触する前に、タブ2を搬送ローラ10側に倒すことができ、タブ2の折れ曲がりをより確実に抑制することができる。
【0029】
図3に示すように、接触開始位置における電極シート1と直交する方向に見たときに、搬送ローラ10の中心軸R1と、タブ押さえローラ20の中心軸R2との間の距離L1は、電極シート1の搬送方向におけるタブ2の寸法L2より短いことが好ましい。搬送ローラ10の中心軸R1とタブ押さえローラ20の中心軸R2との間の距離L1が搬送方向におけるタブ2の寸法L2より長い場合には、タブ押さえローラ20によって搬送ローラ10側に倒されたタブ2がタブ押さえローラ20から離れて搬送ローラ10と接触するまでの間に、搬送ローラ10側とは反対側へと倒れる可能性がある。その場合、上述したように、タブ2に円弧状の折れ目がついて折れ曲がる。
【0030】
これに対して、搬送ローラ10の中心軸R1とタブ押さえローラ20の中心軸R2との間の距離L1が搬送方向におけるタブ2の寸法L2より短い構成とすることにより、タブ2は、タブ押さえローラ20によって搬送ローラ10側に倒された状態で搬送ローラ10と接触するため、タブ2の折れ曲がりをより効果的に抑制することができる。
【0031】
上述したように、タブ2には、活物質層は形成されていないか、または、本体部1aの近傍の領域に形成されているだけである。このため、タブ押さえローラ20がタブ2のみと接触する構成では、タブ2は、弾性によって、搬送ローラ10と接触する前に、搬送ローラ10とは反対側に倒れる可能性がある。
【0032】
このため、本実施形態における蓄電素子の製造装置100では、図3に示すように、タブ押さえローラ20は、電極シート1のうち、タブ2とタブ2以外の本体部1aとに接触する位置に設けられている。タブ押さえローラ20がタブ2だけでなく、活物質層が形成されている本体部1aのタブ2の近傍を押圧することにより、タブ2が搬送ローラ10と接触するまでの間に、タブ2を搬送ローラ10側に倒した状態をより確実に維持することができ、タブ2の折れ曲がりをより効果的に抑制することができる。また、タブ押さえローラ20が本体部1aにも接触することにより、タブ2に加わる力を分散させることができるので、タブ2へのダメージを低減することができる。
【0033】
また、図6に示すように、タブ押さえローラ20は、タブ2とは接触せずに、電極シート1の本体部1aのうち、タブ2の近傍領域にのみ接触する位置に設けられていてもよい。タブ押さえローラ20は、タブ2を直接押圧しないが、タブ2の根本部分であるタブ2の近傍領域を押圧することによって、タブ2を搬送ローラ10側に倒すことができる。この場合、タブ押さえローラ20は、タブ2と直接接触しないので、タブ2と接触することによるダメージを防止することができる。
【0034】
図7は、一実施形態における蓄電素子の製造装置100の適用例を模式的に示す側面図である。長尺状の電極シート1は、巻出しロール31から巻出されて、巻取りロール32に巻取られる。図7に示す例では、4つの搬送ローラ10が設けられており、4つの搬送ローラ10のそれぞれに対応して、4つのタブ押さえローラ20が設けられている。ただし、搬送ローラ10の数およびタブ押さえローラ20の数がそれぞれ4つに限定されることはなく、任意の数とすることができる。
【0035】
巻出しロール31から巻出されてから、巻取りロール32に巻取られるまでの間に、電極シート1に対して、様々な処理を行うことが可能である。例えば、巻出しロール31と、最も上流側に位置する搬送ローラ10との間の位置で、電極シート1の一部を切断することによって、タブ2を形成することが可能である。また、搬送方向において、2つ目の搬送ローラ10と3つ目の搬送ローラ10との間の位置で、電極シート1の本体部1aやタブ2の外観検査、寸法検査などの検査を行うことも可能である。
【0036】
本発明の一実施形態における蓄電素子の製造方法は、搬送ローラ10に沿って、幅方向の外側に突出したタブ2を有する長尺状の電極シート1を搬送する工程を有しており、電極シート1の搬送中に、タブ2を搬送ローラ10側に倒す。タブ2を搬送ローラ10側に倒す方法は、任意の方法を採用することができる。電極シート1の搬送中にタブ2を搬送ローラ10側に倒すことにより、搬送ローラ10が設けられている位置をタブ2が通過するときの折れ曲がりを抑制することができる。上述したように、電極シート1が搬送ローラ10と接触し始める接触開始位置よりも上流側の位置でタブ2を搬送ローラ10側に倒すことが好ましい。搬送ローラ10と接触する前にタブ2を搬送ローラ10側に倒すことにより、タブ2の折れ曲がりをより確実に抑制することができる。
【0037】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0038】
本出願における蓄電素子の製造装置および蓄電素子の製造方法は、以下の通りである。
<1>.幅方向の外側に突出したタブを有する長尺状の電極シートを搬送する蓄電素子の製造装置であって、
前記電極シートを支持する搬送ローラと、
前記電極シートの前記タブを前記搬送ローラ側に倒すためのタブ押さえローラと、
を備えることを特徴とする蓄電素子の製造装置。
<2>.前記タブ押さえローラは、前記電極シートの搬送方向において、前記電極シートが前記搬送ローラと接触し始める接触開始位置よりも上流側の位置に設けられていることを特徴とする<1>に記載の蓄電素子の製造装置。
<3>.前記接触開始位置における前記電極シートと直交する方向に見たときに、前記搬送ローラの中心軸と、前記タブ押さえローラの中心軸との間の距離は、前記電極シートの搬送方向における前記タブの寸法より短いことを特徴とする<2>に記載の蓄電素子の製造装置。
<4>.前記タブ押さえローラは、前記電極シートのうち、前記タブと前記タブ以外の本体部とに接触する位置に設けられていることを特徴とする<1>~<3>のいずれか一つに記載の蓄電素子の製造装置。
<5>.前記タブ押さえローラは、前記タブとは接触せずに、前記タブ以外の本体部のうち、前記タブの近傍領域にのみ接触する位置に設けられていることを特徴とする<1>~<3>のいずれか一つに記載の蓄電素子の製造装置。
<6>.前記タブ押さえローラの直径は、前記搬送ローラの直径より小さいことを特徴とする<1>~<5>のいずれか一つに記載の蓄電素子の製造装置。
<7>.搬送ローラに沿って、幅方向の外側に突出したタブを有する長尺状の電極シートを搬送する工程を有し、
前記電極シートの搬送中に、前記タブを前記搬送ローラ側に倒すことを特徴とする蓄電素子の製造方法。
<8>.前記電極シートが前記搬送ローラと接触し始める接触開始位置よりも上流側の位置で前記タブを前記搬送ローラ側に倒すことを特徴とする<7>に記載の蓄電素子の製造方法。
【符号の説明】
【0039】
1 電極シート
1a 電極シートの本体部
2 タブ
10 搬送ローラ
20 タブ押さえローラ
31 巻出しロール
32 巻取りロール
100 蓄電素子の製造装置
R1 搬送ローラの中心軸
R2 タブ押さえローラの中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7