(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068779
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】格子スクリーン。
(51)【国際特許分類】
E04B 1/00 20060101AFI20240514BHJP
E04F 10/08 20060101ALI20240514BHJP
E06B 9/01 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
E04B1/00 502C
E04F10/08
E06B9/01 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179363
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】北垣 秀典
【テーマコード(参考)】
2E020
2E105
【Fターム(参考)】
2E020AA02
2E020AB08
2E020BA01
2E020BB01
2E020BC01
2E020EA01
2E105BB06
2E105FF13
2E105GG04
(57)【要約】
【課題】鉛直方向の長さが長い場合であっても、ラッピング加工を施すことが可能であり、取付作業を容易に行える格子スクリーンを提供すること。
【解決手段】上階UFのキャンティ部2から下階LFのキャンティ部2まで覆う格子スクリーン20であって、格子スクリーン20は格子板状の第一格子ユニット21と、格子板状の第二格子ユニット22と、を備え、第一格子ユニット21の上部が上階UFのキャンティ部2に固定され、下部が下階LFのキャンティ部2に固定され、第二格子ユニット22は、第一格子ユニット21の下方に列なり、上部及び下部が下階LFのキャンティ部2に固定されることを特徴とする格子スクリーン。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上階と下階との上下同位置に片持ち構造で形成され屋外に張り出したキャンティ部を夫々有する建築物において、上階の前記キャンティ部の屋外側の壁から下階の前記キャンティ部の屋外側の壁の下端まで覆う格子スクリーンであって、
前記格子スクリーンは格子板状の第一格子ユニットと、格子板状の第二格子ユニットと、を備え、
前記第一格子ユニットはその上部が上階の前記キャンティ部に固定され、下部が下階の前記キャンティ部に固定され、
前記第二格子ユニットは、前記第一格子ユニットの下方に列なり下階の前記キャンティ部の前記屋外側の壁の下端まで覆うように、その上部及び下部が下階の前記キャンティ部に固定されることを特徴とする格子スクリーン。
【請求項2】
前記キャンティ部はその内部に当該キャンティ部の前記屋外側の壁に沿って水平方向に長尺な躯体を備え、
前記第一格子ユニットの上部及び下部と、前記第二格子ユニットの上部と、は、前記キャンティ部の前記躯体に固定され当該キャンティ部の前記屋外側の壁から屋外に突出する第一固定金具を介して、前記躯体に夫々固定され、
前記第二格子ユニットの下部は、前記キャンティ部の前記屋外側の壁に固定され当該屋外側の壁から屋外方向に突出する第二固定金具を介して、前記屋外側の壁に固定されることを特徴とする請求項1に記載の格子スクリーン。
【請求項3】
前記第二固定金具は前記屋外側の壁に当接し固定されるベース部と、前記ベース部に固定され前記第二格子ユニットを固定する第二格子ユニット固定部と、の2つの部材を有し、
前記ベース部に固定される前記第二格子ユニット固定部の位置は屋外方向に沿って調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の格子スクリーン。
【請求項4】
前記ベース部は当該ベース部と前記屋外側の壁とに屋外側から固定具を打ち込むことで当該屋外側の壁に固定され、
前記ベース部はその前記屋外側の壁に当接される箇所に不陸調整用シートを備え、
前記不陸調整用シートはその厚み方向に柔軟性を有することを特徴とする請求項3に記載の格子スクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上階と下階との上下同位置に片持ち構造で形成され屋外に突出するキャンティ部を夫々有する建築物において、上階のキャンティ部の屋外側の壁から下階のキャンティ部の屋外側の壁の下端まで覆う格子スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマンションのベランダのように上階と下階との天井部の上下動位置に片持ち構造で形成され屋外に突出するキャンティ部を夫々有する建築物において、外観意匠性の向上、日差しの軽減、目隠し等の様々な効果を目的として上階のキャンティ部の屋外側の壁から下階のキャンティ部の屋外側の壁を覆うように格子板状の格子スクリーンを取付けることがある。
【0003】
特許文献1には、建物の冷却を主目的として、ベランダの屋外に面する開口を覆うように躯体に固定される格子板状の蒸散ルーバーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、格子スクリーンは外観意匠性を向上させるために、当該格子スクリーンを形成する複数の長尺な縦格子材に例えば木目調のラッピング加工を施し、格子スクリーンによって木質感を演出することがある。
【0006】
また、建築物はその下階から上階までの階高を高くすることで屋内空間の開放感を向上させることがある。この場合、格子スクリーンは、上階下階間の階高を高くすることに伴って格子スクリーンの鉛直方向の長さをより長く形成する必要がある。
【0007】
しかし、格子スクリーンに施すラッピング加工は、その技法の制限によりラッピング加工できる長さに限界があり、上階下階間の階高を高くすることに伴って鉛直方向の長さをより長く形成される格子スクリーンにおいて、縦格子材にラッピング加工を施すことが不可能となる場合がある。
【0008】
また、上階下階間の階高を高くすることに伴って鉛直方向の長さがより長く形成される格子スクリーンは、その鉛直方向の長さが長ければ長いほど重量が重くなり、キャンティ部への取付け作業が困難となる場合がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、格子スクリーンの鉛直方向の長さが長い場合であっても、外観意匠性を向上させるラッピング加工を施すことが可能であり、キャンティ部への格子スクリーンの取付作業を容易に行える格子スクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に掛かる格子スクリーンは、上階と下階との上下同位置に片持ち構造で形成され屋外に張り出したキャンティ部を夫々有する建築物において、上階の前記キャンティ部の屋外側の壁から下階の前記キャンティ部の屋外側の壁の下端まで覆う格子スクリーンであって、前記格子スクリーンは格子板状の第一格子ユニットと、格子板状の第二格子ユニットと、を備え、前記第一格子ユニットはその上部が上階の前記キャンティ部に固定され、下部が下階の前記キャンティ部に固定され、前記第二格子ユニットは、前記第一格子ユニットの下方に列なり下階の前記キャンティ部の前記屋外側の壁の下端まで覆うように、その上部及び下部が下階の前記キャンティ部に固定されることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記キャンティ部はその内部に当該キャンティ部の前記屋外側の壁に沿って水平方向に長尺な躯体を備え、前記第一格子ユニットの上部及び下部と、前記第二格子ユニットの上部と、は、前記キャンティ部の前記躯体に固定され当該キャンティ部の前記屋外側の壁から屋外方向に突出する第一固定金具を介して、前記躯体に夫々固定され、前記第二格子ユニットの下部は、前記キャンティ部の前記屋外側の壁に固定され当該屋外側の壁から屋外に突出する第二固定金具を介して、前記屋外側の壁に固定されることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記第二固定金具は前記屋外側の壁に当接し固定されるベース部と、前記ベース部に固定され前記第二格子ユニットを固定する第二格子ユニット固定部と、の2つの部材を有し、前記ベース部に固定される前記第二格子ユニット固定部の位置は屋外方向に沿って調整可能であることを特徴とする。
【0013】
さらに、前記ベース部は当該ベース部と前記屋外側の壁とに屋外側から固定具を打ち込むことで当該屋外側の壁に固定され、前記ベース部はその前記屋外側の壁に当接される箇所に不陸調整用シートを備え、前記不陸調整用シートはその厚み方向に柔軟性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る格子スクリーンによると、第一格子ユニットと、第二格子ユニットと、によって鉛直方向に分割されるため、格子スクリーンの鉛直方向の長さがラッピング加工できる長さの限界より長い場合であっても、第一格子ユニットと、第二格子ユニットと、の夫々にラッピング加工を施すことで格子スクリーン全体がラッピングされる。また、第一格子ユニットと、第二格子ユニットと、に分割されるため、第一格子ユニットを取付ける作業と、第二格子ユニットを取付ける作業と、を別々に行うことになり格子スクリーンの取付け作業が容易になる。さらに、第一格子ユニットと、第二格子ユニットと、の境目が下階の前記キャンティ部の屋外側の壁に重なる位置であるため、境目が目立つことなく外観意匠性の低下を防止することができる。
【0015】
さらに、第一格子ユニットはその上部及び下部が躯体に固定されることで安定してキャンティ部に取付けられ、第一格子ユニットに比べて鉛直方向の長さが短く軽量な第二格子ユニットはその上部が躯体に固定され、下部が下階のキャンティ部の屋外側の壁に固定されることで安定してキャンティ部に取付けられる。また、第二格子ユニットの下部は下階のキャンティ部の屋外側の壁に固定されるため、第二格子ユニットの取付けを行う際に下階のキャンティ部の内部の構造を考慮する必要がない。
【0016】
さらに、第二固定金具は、ベース部に固定される固定部の位置を屋外方向に向かって調整することが可能で、第二格子ユニットの傾きを調整することができる。従って、第一格子ユニットと、第一格子ユニットの下端に列なる第二格子ユニットと、が平行でない場合、第二格子ユニットを第一格子ユニットに平行になるように調整することが可能であり、第一格子ユニットと、第二格子ユニットと、が非平行になり外観意匠性が低下することがない。
【0017】
さらに、厚み方向に柔軟性を有する不陸調整用シートをベース部のキャンティ部の屋外側の壁に当接する面に備えることで、例えばキャンティ部の屋外側の壁に凹凸模様を有する外壁材が備えられている場合のように、ベース部が固定されるキャンティ部の屋外側の壁が平坦でなくても、不陸調整用シートがキャンティ部の屋外側の壁に圧着されキャンティ部の屋外側の壁の凹凸に沿って変形することで、ベース部を安定してキャンティ部の屋外側の壁に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る格子スクリーンを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る建築物を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る格子スクリーンを示す側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る第一固定金具を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る第一固定金具を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る第一固定金具を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る第二固定金具を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る格子スクリーンが上階のキャンティ部に固定される様子を示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る格子スクリーンが下階のキャンティ部に固定される様子を示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る第二固定金具固定による格子スクリーンの固定の様子を示す正面図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係る第一固定金具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る格子スクリーン20について、以下、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下はあくまで本発明の実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0020】
まず、本発明に係る格子スクリーン20が用いられる建築物1について説明する。建築物1は、
図2に示すように、1階と2階との階高が3400mmの2階建てであり、2階である上階UFの天井部と1階である下階LFの天井部との上下同位置に片持ち構造で形成され屋外に張り出したキャンティ部2を夫々有し、上階UFのキャンティ部2Uを屋根とし、下階LFのキャンティ部2Lを床とするベランダが形成されている。
【0021】
そして、各キャンティ部2の内部には、
図8及び
図9に示すように、キャンティ部2を形成する躯体として当該キャンティ部2の屋外側の壁3に沿って水平方向に長尺なH形鋼である梁10を備えている。
【0022】
上階UFのキャンティ部2Uは、
図2及び
図8に示すように、その上端が上方に立ち上がり形成され笠木16を備えるパラペット部15となっている。また、下階LFのキャンティ部2Lは、
図9に示すように、その屋外側の壁3Lが上部4と下部5との2つに分割されて形成されており、下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lの下部5は当該キャンティ部2Lの梁10Lに対して垂れ下がるように固定される垂れ壁構造となっている。
【0023】
次に、本発明に係る格子スクリーン20について説明する。格子スクリーン20は、
図1に示すように、後述する格子板状の第一格子ユニット21と、第一格子ユニット21の下方に連なる後述する格子板状の第二格子ユニット22と、を備え、建築物1の上階UFのキャンティ部2Uの屋外側の壁3Uの上端から下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lの下端まで覆うように、上階UFのキャンティ部2Uと、下階LFのキャンティ部2Lと、に固定される。
【0024】
第一格子ユニット21は、
図2及び
図3(a)に示すように、互いに隙間を空けて等間隔に並べられる鉛直方向に長尺な部材であり木目調のラッピング加工が施された複数の縦格子材23aと、複数の縦格子材23aを固定するための水平方向に長尺な複数の横格子材24aと、によって格子板状に形成されている。尚、本実施形態に係る第一格子ユニット21の鉛直方向の長さは、3706mmである。
【0025】
第一格子ユニット21の複数の横格子材24aのうち複数の縦格子材23aの長尺方向の上部同士を固定し、後述する第一固定金具30aに固定される横格子材25aは、
図3(a)及び
図8に示すように、縦格子材23aに当接する板状の縦格子材固定部26aと、縦格子材固定部26aの上端からキャンティ部2Uの屋外側の壁3Uに向かって折れ曲がる板状の第一屈曲部28aと、第一屈曲部28aのキャンティ部2Uの屋外側の壁3U側の端から上方に向かって折れ曲がる板状の第二屈曲部29aと、によって形成されており、縦格子材固定部26aに固定具であるビス84によって各縦格子材23aを固定することで複数の縦格子材23a同士を固定している。尚、横格子材25aは、
図8に示すように、後述する第一固定金具30aに固定されるための被固定孔27aが設けられており、被固定孔27aは、横格子材25aに縦格子材23aが固定された状態で、互いに隣り合う2本の縦格子材23aの隙間に位置するように設けられている。
【0026】
また、第一格子ユニット21の複数の横格子材24aうち複数の縦格子材23aの長尺方向の下部同士を固定し、後述する第一固定金具30bに固定される横格子材25bは、
図3(a)に示すように、縦格子材23aに当接する板状の縦格子材固定部26bと、縦格子材固定部26bの上端からキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lに向かって折れ曲がる板状の第一屈曲部28bと、によって形成されており、縦格子材固定部26bに固定具であるビス84によって各縦格子材23aを固定することで複数の縦格子材23a同士を固定している。尚、横格子材25bは、
図9に示すように、後述する第一固定金具30bに固定されるための被固定孔27bが設けられており、被固定孔27bは、横格子材25bに縦格子材23aが固定された状態で、互いに隣り合う2本の縦格子材23aの隙間に位置するように設けられている。
【0027】
第二格子ユニット22は、
図2及び
図3(b)に示すように、互いに隙間を空けて等間隔に並べられる鉛直方向に長尺な部材であり木目調のラッピング加工が施された複数の縦格子材23bと、複数の縦格子材23bを固定するための水平方向に長尺な複数の横格子材24bと、によって格子板状に形成されている。尚、本実施形態に係る第二格子ユニット22の鉛直方向の長さは、630.5mmである。
【0028】
第二格子ユニット22の複数の横格子材24bのうち複数の縦格子材23bの長尺方向の上部同士を固定し、後述する第一固定金具30cに固定される横格子材25cは、
図3(b)に示すように、縦格子材23bに当接する板状の縦格子材固定部26cと、縦格子材固定部26cの上端からキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lに向かって折れ曲がる板状の第一屈曲部28cと、によって形成されており、縦格子材固定部26cに固定具であるビス84によって各縦格子材23bを固定することで複数の縦格子材23b同士を固定している。尚、横格子材25cは、
図9に示すように、後述する第一固定金具30cに固定されるための被固定孔27cが設けられており、被固定孔27cは、横格子材25cに縦格子材23bが固定された状態で、互いに隣り合う2本の縦格子材23bの隙間に位置するように設けられている。
【0029】
また、第二格子ユニット22の複数の横格子材24bうち複数の縦格子材23bの長尺方向の下部同士を固定し、後述する第二固定金具50の第二格子ユニット固定部57が取り付けられる横格子材25dは、
図2及び
図3(b)に示すように、各縦格子材23bを水平方向に貫通し固定する長尺な棒状で雄ネジが切られた部材である。
【0030】
次に、格子スクリーン20を建築物1のキャンティ部2に固定するための第一固定金具30及び第二固定金具50の構造について説明する。第一固定金具30は第一格子ユニット21の上部、第一格子ユニット21の下部及び第二格子ユニット22の上部を夫々キャンティ部2に固定するための金具であり、第一格子ユニット21の上部を上階UFのキャンティ部2Uに固定するための第一固定金具30aと、第一格子ユニット21の下部を下階LFのキャンティ部2Lに固定するための第一固定金具30bと、第二格子ユニット22の上部を下階LFのキャンティ部2Lに固定するための第一固定金具30cと、は、各キャンティ部2の内部の構造や第一格子ユニット21又は第二格子ユニット22を固定する位置の違いにより夫々異なる形状で形成されている。
【0031】
第一格子ユニット21の上部を上階UFのキャンティ部2Uに固定するための第一固定金具30aは、
図4に示すように、水平方向に広がる姿勢の板状で被固定孔32aを有する被固定部31aと、立設する長尺な角パイプ状で側面に水抜き孔37を有し被固定部31aの上面に溶接によって固定される立ち上がり部36と、鉛直方向に広がる姿勢の板状で一辺が立ち上がり部36の下部の側面に溶接によって固定される突出部33aと、雌ネジが切られた固定孔35aを有する鉛直方向に広がる姿勢の板状で一方の面が突出部33aの先端に溶接によって固定される固定部34aと、雌ネジが切られた固定孔39を有する水平方向に広がる姿勢の板状で下面が立ち上がり部36の上端に溶接によって固定される第一補強部38と、直角に折れ曲がり一方の平坦な板部分と他方の平坦な板部分とでL字型を形成する板状で一方の平坦な板部分に溝部41を有し一方の平坦な板部分が固定部34aに平行になるように他方の平坦な板部分が立ち上がり部36の鉛直方向の中間の対向する2つの側面に夫々溶接によって固定される2つの第二補強部40と、によって形成されている。
【0032】
第一格子ユニット21の下部を下階LFのキャンティ部2Lに固定するための第一固定金具30bは、
図5に示すように、水平方向に広がる姿勢の板状で被固定孔32bを有する被固定部31bと、鉛直方向に広がる姿勢の板状で下端の一部が被固定部31bの上面に溶接によって固定される突出部33bと、雌ネジが切られた固定孔35bを有する鉛直方向に広がる姿勢の板状で一方の面が突出部33bの先端に溶接によって固定される固定部34bと、によって形成されている。
【0033】
第二格子ユニット22の上部を下階LFのキャンティ部2Lに固定するための第一固定金具30cは、
図6に示すように、鉛直方向に広がる姿勢の板状で被固定孔32cを有する被固定部31cと、鉛直方向に広がる姿勢の板状で一方の面が被固定部31cに溶接によって固定される連結部42と、鉛直方向に広がる姿勢の板状であり被固定部31cとで連結部42を挟むように連結部42の他方の面に溶接によって固定される突出部33cと、雌ネジが切られた固定孔34cを有する鉛直方向に広がる姿勢の板状で一方の面が突出部33cの先端に溶接によって固定される固定部34cと、雌ネジが切られた第二固定孔44を有する水平方向に広がる姿勢の板状で下面が連結部42及び突出部33cの上端に溶接によって固定される第二固定部43と、によって形成されている。
【0034】
第二固定金具50は第二格子ユニット22の下部を垂れ壁構造である下階LFのキャンティ部2Lの下部5に固定するための金具であり、
図7に示すように、ベース部51と、第二格子ユニット固定部57と、の2つの部材によって構成されている。
【0035】
ベース部51は、
図7に示すように、L字型に折れ曲がる板状であって、一方の平坦な板部分52に被固定孔53を備え、他方の平坦な板部分55に固定孔56を備える。そして、一方の平坦な板部分52の下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lに当接される面にはEPT(エチレンプロピレンゴム)製の不陸調整用シート54が貼り付けられている。
【0036】
第二格子ユニット固定部57は、
図7に示すように、ベース部51に固定される板状であり長孔である位置調整孔59を有する位置調整部58と、位置調整部58の屋外方向98先端から下方に折れ曲がり第二格子ユニット22の縦格子材23bに固定される板状で固定孔61を有する固定部60と、固定部60から屋外方向98にさらに折れ曲がり第二格子ユニット22の横格子材25dに取り付けられる板状で取付孔63を有する取付部62と、を備える。
【0037】
次に、第一固定金具30がキャンティ部2に固定される様子と、第一固定金具30に固定される格子スクリーン20と、について説明する。第一格子ユニット21の上部を上階UFのキャンティ部2Uに固定するための第一固定金具30aは、
図8に示すように、被固定部31aを上階UFのキャンティ部2Uの内部の梁10Uの上フランジ11の上面に載せ、被固定部31aの被固定孔32aと、梁10Uの上フランジ11に設けられた固定孔12と、に固定具であるボルト82を挿入しボルト82の先端から固定具であるナット83を締め付けることで梁10Uに固定されている。
【0038】
尚、第一固定金具30aは梁10Uに固定された状態で、突出部33aが上階UFのキャンティ部2Uの内部から屋外方向98に向かって屋外99に突出し、第一補強部38の上面がパラペット部15の上端に笠木16を固定するための笠木固定金具17に当接し、第二補強部40の一方の板部分が上階UFのキャンティ部2Uの構造用合板6に当接するように形成されており、第一補強部38の固定孔39と、笠木固定金具17に設けられている被固定孔18と、に固定具であるボルト82を回し入れることで笠木16が第一固定金具30aによって補強されている。さらに、第二補強部40とで構造用合板6を挟むように配置される板材8に設けられる雌ネジが切られた固定孔9と、第二補強部40の溝部41と、構造用合板6に設けられている被固定孔7と、に第二補強部40側から固定具であるボルト82を回し入れることで構造用合板6が第一固定金具30aによって補強されている。
【0039】
そして、第一格子ユニット21の上部は、
図8に示すように、第一格子ユニット21の上部に備える横格子材25aと、第一固定金具30aの屋外99に突出した固定部34aと、を重ね、横格子材25aの被固定孔27aと、固定部34aの固定孔35aと、に固定具であるボルト82を隣り合う2本の縦格子材23aの隙間からキャンティ部2Uに向かって回し入れ第一固定金具30aの固定部34aに第一格子ユニット21の上部の横格子材25aを固定することで、第一固定金具30aを介して上階UFのキャンティ部2Uの梁10Uに固定されている。
【0040】
第二格子ユニット22の上部を下階LFのキャンティ部2Lに固定するための第一固定金具30cは、
図9に示すように、被固定部31cを下階LFのキャンティ部2Lの梁10Lが備えるスチフナー13に重ね、被固定部31cの被固定孔32cと、梁10Lのスチフナー13に設けられた固定孔14と、に固定具であるボルト82を挿入しボルト82の先端から固定具であるナット83を締め付けることで梁10Lに固定されている。
【0041】
また、第一格子ユニット21の下部を下階LFのキャンティ部2Lに固定するための第一固定金具30bは、
図9に示すように、被固定部31bを第一固定金具30cの第二固定部43の上面に載せ、第一固定金具30bの被固定部31bの被固定孔32bと、第一固定金具30cの第二固定部43の固定孔44と、に固定具であるボルト82を上方から挿入し回し入れることで第一固定金具30cを介して梁10Lに固定されている。
【0042】
尚、第一固定金具30cは梁10Lに固定された状態で、突出部33cが下階LFのキャンティ部2Lの内部から屋外方向98に向かって屋外99に突出するように形成されており、第一固定金具30bは第一固定金具30cを介して梁10Lに固定された状態で、突出部33bが下階LFのキャンティ部2Lの内部から屋外方向98に向かって屋外98に突出するように形成されている。
【0043】
そして、第一格子ユニット21の下部は、
図9に示すように、第一格子ユニット21の下部に備える横格子材25bと、第一固定金具30bの屋外99に突出した固定部34bと、を重ね、横格子材25bに設けられた被固定孔27bと、固定部34bの固定孔35bと、に固定具であるボルト82を隣り合う2本の縦格子材23aの隙間からキャンティ部2Lに向かって回し入れ、第一固定金具30bの固定部34bに第一格子ユニット21の下部の横格子材25bを固定することで、第一固定具30bを介して下階LFのキャンティ部2Lの梁10Lに固定されている。
【0044】
さらに、第二格子ユニット22の上部は、
図9に示すように、第二格子ユニット22の上部に備える横格子材25cと、第一固定金具30cの屋外99に突出した固定部34cと、を重ね、横格子材25cに設けられた被固定孔27cと、固定部34cの固定孔35cと、に固定具であるボルト82を隣り合う2本の縦格子材23bの隙間からキャンティ部2Lに向かって回し入れ、第一固定金具30cの固定部34cに第二格子ユニット22の上部の横格子材25cを固定することで、第一固定金具30cを介して下階LFのキャンティ部2Lの梁10Lに固定されている。
【0045】
また、
図8及び
図9に示すように、各第一固定金具30の突出部(33a、33b、33c)が屋外99に突出するキャンティ部2の屋外側の壁3の位置にはコーキング材80によって防水処理が行われており、さらに、
図8及び
図9に示すように、各第一固定金具30の固定部(34a、34b、34c)と、当該固定部(34a、34b、34c)に固定される各横格子材(25a、25b、25c)と、の間には、キャンティ部2に向かって折れ曲がりさらに鉛直方向に向かって折れ曲がる板状の水切り材70が挟まれるように固定されており、各水切り材70と、キャンティ部2の屋外側の壁3と、の間に隙間テープ81と、コーキング材80と、によって防水処理が行われている。
【0046】
次に、第二格子ユニット22の下部が第二固定金具50によってキャンティ部2Lに固定される様子について説明する。第二固定金具50の第二格子ユニット固定部57は、
図10に示すように、その取付部62が第二格子ユニット22の2本の縦格子材23bの互いに向かい合う側面に当接し、且つ縦格子材23bの長尺方向の下部同士を固定する横格子材25dが取付孔63を通るように第二格子ユニット22の下部に取り付けられ、
図9に示すように、縦格子材23bと、固定部60の固定孔61と、に固定具であるビス84打ち込むことで第二格子ユニット22の下部に固定されている。
【0047】
そして、第二固定金具50のベース部51は、
図9に示すように、一方の平坦な板部分52を下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lの下部5に当接させた状態で、被固定孔53と、下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lと、に固定具であるビス84を打ち込むことで、下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lの下部5に固定されている。ベース部51はその他方の平坦な板部分55が第二格子ユニット22に固定された第二格子ユニット固定部57の位置調整部58に重なるようにキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lに固定されており、ベース部51の他方の平坦な板部分55の固定孔56と、第二格子ユニット固定部57の位置調整部58の位置調整孔59と、に固定具であるボルト82を挿入しボルト82の先端から固定具であるナット83を締め付けベース部51に第二格子ユニット固定部57を固定することで第二格子ユニット22の下部は第二固定金具50を介して下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lの下部5に固定されている。
【0048】
尚、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第二固定金具50は第二格子ユニット固定部57がベース部51に固定される位置を位置調整部58の長孔である位置調整孔59に沿って移動させることが可能であり、位置調整孔59は、第二固定金具50によって第二格子ユニット22を下階LFのキャンティ部2に固定した状態で、屋外方向98に向かって長尺な長孔となるように形成されている。従って、第一格子ユニット21及び第二格子ユニット22が上階UF及び下階LFのキャンティ部2に固定された状態で、第一格子ユニット21と、第二格子ユニット22と、が平行であるかを確認し、第一格子ユニット21と、第二格子ユニット22と、が平行でなかった場合は、第二固定金具50の第二格子ユニット固定部57がベース部51に固定される位置を位置調整部58の長孔である位置調整孔59に沿って移動させることで第二格子ユニット22の傾きを調整し、第一格子ユニット21と、第二格子ユニット22と、を平行にすることができる。
【0049】
また、
図8に示すように、第一格子ユニット21の上端の高さは上階UFのキャンティ部2Uのパラペット部15の上端と同じ高さであり、
図9に示すように、第一格子ユニット21の下端と、第二格子ユニット22の上端と、の境目は、下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lと同じ高さであり、第二格子ユニット22の下端の高さは下階LFのキャンティ部2Lの下端より少し下方に位置し、格子スクリーン20全体で建築物1の上階UFのキャンティ部2Uの屋外側の壁3Uの上端から下階LFのキャンティ部2Lの屋外側の壁3Lの下端まで覆うようになされている。
【0050】
また、本実施形態の第一固定金具30の形状は、
図4乃至
図6に示すような形状をしているが、本発明はこれに限定される物ではない。第一固定金具30の形状はキャンティ部2の内部の構造により制限されるため、
図11に示す第一固定金具30のような形状であっても良く、梁10に直接又は間接的に固定される被固定部31と、キャンティ部2の内部から屋外99に突出する突出部33と、屋外99で格子スクリーンを固定する固定部34と、を備えていれば良い。
【符号の説明】
【0051】
1 建築物
UF 上階
LF 下階
2 キャンティ部
2U キャンティ部(上階)
2L キャンティ部(下階)
3 屋外側の壁
3U 屋外側の壁(上階)
3L 屋外側の壁(下階)
2 躯体
2U 躯体(上階)
2L 躯体(下階)
20 格子スクリーン
21 第一格子スクリーン
23a 縦格子材
24a 横格子材
22 第二格子スクリーン
23b 縦格子材
24b 横格子材
30 第一固定金具
50 第二固定金具
51 ベース部
57 第二格子ユニット固定部
54 不陸調整用シート
99 屋外