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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068783
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240514BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240514BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
H04N5/74 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179370
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】安田 政紀
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA62
2K203GA23
2K203GA25
2K203GA40
2K203HA34
2K203HA63
2K203HA74
2K203HB22
2K203KA76
2K203MA04
2K203MA14
2K203MA31
5C058EA02
5C058EA12
5C058EA14
5C058EA26
(57)【要約】
【課題】効率良く光が画像表示パネルに入射できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、第1偏光成分および第2偏光成分を含む白色光を射出する光源と、光源から射出された白色光を平行化するレンズ面と、レンズ面とは反対の平面とを有する平行化レンズと、光入射面および光射出面を有し、白色光のうち第1偏光成分の光を透過し第2偏光成分の光を遮断する第1偏光素子と、第1偏光素子を透過した第1偏光成分の光が入射し、画像信号に基づいて光を変調して画像光を生成する1つの光変調装置と、画像光を投射する投射レンズと、を備え、平行化レンズの平面と第1偏光素子の光入射面または光射出面のうち一方の面とは光学的に接している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光成分および第2偏光成分を含む白色光を射出する光源と、
前記光源から射出された前記白色光を平行化するレンズ面と、前記レンズ面とは反対の平面とを有する平行化レンズと、
光入射面および光射出面を有し、前記白色光のうち前記第1偏光成分の光を透過し前記第2偏光成分の光を遮断する第1偏光素子と、
前記第1偏光素子を透過した前記第1偏光成分の光が入射し、画像信号に基づいて前記光を変調して画像光を生成する1つの光変調装置と、
前記画像光を投射する投射レンズと、を備え、
前記平行化レンズの前記平面と前記第1偏光素子の前記光入射面または前記光射出面のうち一方の面とは光学的に接している、
プロジェクター。
【請求項2】
前記平行化レンズの前記平面と前記第1偏光素子の前記光入射面または前記光射出面のうち前記一方の面とは当接している、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記平行化レンズの前記平面と前記第1偏光素子の前記光入射面または前記光射出面のうち前記一方の面とは光学接着材を介して接着されている、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記白色光のうち前記第1偏光成分の光を透過し前記第2偏光成分の光を遮断する第2偏光素子をさらに備える、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記平行化レンズの前記平面は、前記第1偏光素子の前記光入射面に光学的に接しており、
前記第1偏光素子は、反射型偏光板であり、前記平行化レンズの光射出側に配置され、
前記第2偏光素子は、吸収型偏光板であり、前記第1偏光素子の光射出側に配置されている、
請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記平行化レンズの前記平面は、前記第1偏光素子の前記光射出面に光学的に接しており、
前記第1偏光素子は、吸収型偏光板であり、前記平行化レンズの光入射側に配置され、
前記第2偏光素子は、反射型偏光板であり、前記第1偏光素子の光入射側に配置されている、
請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記第2偏光素子は、前記第1偏光素子に当接している、
請求項4から請求項6のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記平行化レンズは、樹脂製のフレネルレンズであり、
前記第1偏光素子は、有機偏光板である、
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、光を射出する光源と、光源から入射する光を集光させる集光レンズと、光源から入射する光における所定の直線偏光成分を通過させる偏光素子と、偏光素子を通過した光が入射する画像表示パネルと、画像表示パネルから射出された画像光を被投射面上に投射する投射レンズと、を備えた単板式のプロジェクターが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-101495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プロジェクターでは、集光レンズと偏光素子とが離間するため、集光レンズおよび偏光素子の間に空気層が介在している。このため、集光レンズと空気との界面および偏光素子と空気との界面それぞれで光の反射が生じ、画像表示パネルに入射する光に損失が生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の1つの態様によれば、第1偏光成分および第2偏光成分を含む白色光を射出する光源と、前記光源から射出された前記白色光を平行化するレンズ面と、前記レンズ面とは反対の平面とを有する平行化レンズと、光入射面および光射出面を有し、前記白色光のうち前記第1偏光成分の光を透過し前記第2偏光成分の光を遮断する第1偏光素子と、前記第1偏光素子を透過した前記第1偏光成分の光が入射し、画像信号に基づいて前記光を変調して画像光を生成する1つの光変調装置と、前記画像光を投射する投射レンズと、を備え、前記平行化レンズの前記平面と前記第1偏光素子の前記光入射面または前記光射出面のうち一方の面とは光学的に接している、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
図2】入射側偏光部材の要部構成を示す図である。
図3】第2実施形態のプロジェクターの要部構成を示す図である。
図4】第3実施形態のプロジェクターの要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、被投射面であるスクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。
プロジェクター1は、画像生成部2と、投射レンズ3と、を備えている。
【0009】
以下、図面中に示すXYZ座標系を用いて各部材の配置関係を説明する場合がある。各図面において、Y軸はプロジェクター1における光学部品が並ぶ基準軸である光軸AXに沿う軸である。X軸はY軸に直交し、スクリーンSCRに投射される画像光LTの横幅方向に沿う軸である。Z軸はX軸およびY軸に直交する軸であり、プロジェクター1の上下に沿う軸である。
【0010】
本実施形態では、例えば、Z軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター1における「上下方向Z」、+Z方向に向かう方向を「上側」、-Z方向に向かう方向を「下側」と称す。また、X軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター1における「左右方向X」、+X方向に向かう方向を「右側」、-X方向に向かう方向を「左側」と称す。また、Y軸に沿う両方向をまとめてプロジェクター1における「前後方向Y」、+Y方向に向かう方向を「前側」、-Y方向に向かう方向を「後側」と称する。
なお、上下方向Z、左右方向Xおよび前後方向Yとは、単にプロジェクター1の各構成部材の配置関係を説明するための名称であって、プロジェクター1における実際の設置姿勢や向きを規定するものではない。
【0011】
画像生成部2は、光源20と、第1集光光学系21と、平行化レンズ22と、入射側偏光部材23と、1つの液晶パネル24と、射出側偏光部材25と、第2集光光学系26と、を有する。本実施形態の光源20は、例えば、発光ダイオード(LED)から構成される。発光ダイオードからなる光源20は非偏光、すなわち複数の直線偏光成分が重なり合って全体として偏光状態が観測されない状態の白色光Lを射出する。
非偏光である白色光Lは複数の直線偏光、例えば、入射側偏光部材23を透過する直線偏光成分である第1偏光成分と、入射側偏光部材23により遮断される直線偏光成分である第2偏光成分とを含む光である。
【0012】
第1集光光学系21は光源20から放射状に射出された白色光Lを集光する。第1集光光学系21は、例えば、2個の凸レンズ21a,21bで構成される。なお、第1集光光学系21を構成するレンズの個数については特に限定されず、1個あるいは3個以上であってもよい。上記の構成に限らず、光源20から射出された光を囲むようにそれぞれX方向及びZ方向で対をなし、且つ、それぞれのミラーによって形成される光射出口が矩形となるように配置した反射ミラーを用いた構成であってもよい。
【0013】
第1集光光学系21により集光された白色光Lは平行化レンズ22に入射する。
平行化レンズ22は、第1集光光学系21から入射する白色光Lを平行化する。平行化レンズ22は、光源20から射出された白色光Lを平行化するレンズ面22aと、レンズ面22aと反対の平面22bとを有する。
本実施形態の平行化レンズ22は樹脂製のフレネルレンズで構成され、正のパワーを有する凸レンズとして機能する。フレネルレンズからなる平行化レンズ22のレンズ面22aは断面形状が略鋸刃状となる凹凸面で構成されている。なお、第1集光光学系21の構成材料としては、例えば屈折率が1.5程度の樹脂を用いた。
本実施形態のプロジェクター1は、フレネルレンズからなる平行化レンズ22を用いることでプロジェクター1の光軸AXに沿う前後方向Yの寸法を抑えている。
【0014】
入射側偏光部材23は、液晶パネル24の光入射側に設けられている。入射側偏光部材23は、後述のように平行化レンズ22と一体に設けられている。
【0015】
図2は入射側偏光部材23の要部構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の入射側偏光部材23は、第1偏光素子231と第2偏光素子232とを含む。
第1偏光素子231は平行化レンズ22の光射出側に配置される。本実施形態において、平行化レンズ22はレンズ面22aを光入射側に向けるように配置されている。つまり、第1偏光素子231は平行化レンズ22のレンズ面22aと反対の平面22b側に配置されている。第1偏光素子231は光入射面231aおよび光射出面231bを有する。
【0016】
平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子231の光入射面231aとは光学的に接している。
ここで、平面22bと光入射面231aとが光学的に接するとは、平面22bと光入射面231aとの間が光学的に安定した状態、具体的には、空気層を介在しないことで空気層との界面で生じる反射によるロスを低減した状態、で接することをいう。例えば、平面22bと光入射面231aとは空気層を介さず直接的に接しても良い。あるいは、平面22bと光入射面231aとは光学接着材を介して間接的に接しても良い。
【0017】
本実施形態の場合、平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子231の光入射面231aとは光学接着材234を介して接着されている。つまり、本実施形態の入射側偏光部材23は光学接着材234を介して平行化レンズ22に接着されている。これにより、入射側偏光部材23は平行化レンズ22に良好に保持される。
光学接着材234としては、例えば、平行化レンズ22および第1偏光素子231と屈折率が近い透明な材料を用いることで、平行化レンズ22の平面22bと光学接着材234との界面による光のロスを低減できる。
【0018】
本実施形態のプロジェクター1では、平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子231の光入射面231aとが光学的に接しているため、平行化レンズ22と入射側偏光部材23との間に空気層が介在しない。このため、平行化レンズ22の平面22bから射出された白色光Lは空気層に入射することなく入射側偏光部材23、すなわち、第1偏光素子231の光入射面231aに直接入射する。よって、第1偏光素子231の光入射面231aおよび空気層の界面による光の反射が抑制されるので、白色光Lが第1偏光素子231の光入射面231aに効率良く入射することができる。
【0019】
本実施形態の場合、第1偏光素子231は有機材料からなる有機偏光板であり、所定の偏光を反射する反射型偏光板である。
第1偏光素子231は、白色光Lのうち第1偏光成分Lpの光を透過し、第2偏光成分Lsの光を反射することで遮断する。なお、第1偏光成分Lpおよび第2偏光成分Lsとは、液晶パネル24の入射面に対する偏光方向を意味する。
【0020】
本実施形態において、第1偏光素子231が第2偏光成分Lsの光を遮断するとは、第2偏光成分Lsの光を反射することで光射出面231bから射出させないことを意味する。
一般的に偏光板は所定の偏光成分の光を概ね反射可能であるが、100%反射することは難しい。このため、本明細書において、第1偏光素子231が第2偏光成分Lsの光を遮断するとは、白色光Lに含まれる第2偏光成分Lsの光の全てを反射する状態ではなく第2偏光成分Lsの一部を透過させる状態も意味する。
【0021】
また、非偏光からなる白色光Lは第1偏光成分Lpおよび第2偏光成分Ls以外の直線偏光も含んでいる。このため、第1偏光素子231を透過した白色光L1は、第1偏光成分Lpのみならず第2偏光成分Ls以外の直線偏光も含んでいる。
このように第1偏光素子231だけでは白色光Lのうち第1偏光成分Lpのみを選択的に分離することが難しい。
【0022】
これに対して本実施形態の入射側偏光部材23は、第1偏光素子231の光射出側にさらに第2偏光素子232を配置している。そのため第2偏光素子232により、第1偏光素子231を透過してしまう第2偏光成分Lsの光を遮断することができ、コントラスとの低下を抑制することができる。第2偏光素子232は有機材料からなる有機偏光板であり、所定の偏光方向以外の偏光成分を吸収する吸収型偏光板である。第1偏光素子231と第2偏光素子232とは積層されている。つまり、第2偏光素子232は第1偏光素子231に当接している。これにより、第1偏光素子231と第2偏光素子232との間に空気層が介在しないため、第1偏光素子231および第2偏光素子232の界面での光の反射によるロスを低減できる。
【0023】
第2偏光素子232は、第1偏光素子231を透過した白色光L1のうち第1偏光成分である第1偏光成分Lpの光を透過し、第2偏光成分である第2偏光成分Lsの光を吸収することで遮断する。
【0024】
本実施形態の入射側偏光部材23は、反射型偏光板からなる第1偏光素子231と吸収型偏光板からなる第2偏光素子232とを積層することで白色光Lのうち第1偏光成分Lpを透過させつつ第1偏光成分Lp以外の偏光成分である第2偏光成分Lsを遮断することができる。よって、入射側偏光部材23は、第1偏光成分Lpを主成分とする白色光L2を液晶パネル24に入射させることができる。
【0025】
また、本実施形態の入射側偏光部材23では、白色光Lの入射側から反射型偏光板である第1偏光素子231と吸収型偏光板である第2偏光素子232との順番となるように配置している。このため、白色光Lに含まれる成分のうち液晶パネル24に入射させない不要な偏光成分を光入射側の段階で反射させておくことで後段に配置される吸収型偏光板の光吸収量が低減される。よって、本実施形態の入射側偏光部材23は、白色光Lの入射側に吸収型偏光板および反射型偏光板の順番に配置する構成に比べ、偏光部材全体の発熱を抑制することができる。
【0026】
液晶パネル24には、入射側偏光部材23から射出された白色光L2が入射する。液晶パネル24はカラーフィルター24aを備えている。カラーフィルター24aを備えた液晶パネル24は、入射側偏光部材23から射出された白色光L3を画像情報に応じて変調してカラーの画像光LTを生成する。
本実施形態のプロジェクター1は、光変調装置としての1枚の液晶パネル24を用いた単板方式を採用することで装置構成の簡易化や小型化を図っている。本実施形態の液晶パネル24は「光変調装置」に相当する。
【0027】
射出側偏光部材25は、液晶パネル24の光射出側に設けられている。本実施形態の場合、射出側偏光部材25は、液晶パネル24に貼り付けられている。入射側偏光部材23と射出側偏光部材25とは、互いの偏光軸が直交するように配置されている。
【0028】
本実施形態のプロジェクター1では、偏光方向が第1偏光成分に揃った白色光L3を液晶パネル24で変調するため、射出側偏光部材25から所望の明るさの画像光LTを射出することで画像のコントラスト比を高めることができる。
【0029】
第2集光光学系26は、液晶パネル24の光射出側に配置される。具体的に第2集光光学系26は、射出側偏光部材25の光射出側に配置される。第2集光光学系26は、液晶パネル24で変調された光を集光させる。本実施形態において、第2集光光学系26はフレネルレンズで構成され、正のパワーを有する凸レンズとして機能する。このため、第2集光光学系26は光軸方向の厚さを抑えることでプロジェクター1の光軸AXに沿う前後方向Yの寸法が抑えられている。
【0030】
本実施形態のプロジェクター1では、第2集光光学系26により液晶パネル24で変調された画像光LTを集光させることで画像生成部2の後段に配置される投射レンズ3のレンズ径を小型化することができる。
【0031】
投射レンズ3は複数のレンズ群からなり、画像生成部2から射出された画像光LTをスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー画像が表示される。
【0032】
なお、投射レンズ3の光軸3aに直交するXZ面に沿う面内で投射レンズ3の位置を所定方向にシフトさせるレンズシフト機構を設けてもよい。レンズシフト機構を設けることで、投射レンズ3の光軸3aを、例えば上下方向Z、左右方向Xあるいは上下方向Zおよび左右方向Xに交差する斜め方向に移動させることでスクリーンSCR上に表示される画像位置を調整することができる。
【0033】
以上のように本実施形態のプロジェクター1は、第1偏光成分Lpおよび第2偏光成分Lsを含む白色光Lを射出する光源20と、光源20から射出された白色光Lを平行化するレンズ面22aと、レンズ面22aとは反対の平面22bとを有する平行化レンズ22と、光入射面231aおよび光射出面231bを有し、白色光Lのうち第1偏光成分Lpの光を透過し第2偏光成分Lsの光を遮断する第1偏光素子231と、第1偏光素子231および第2偏光素子232を透過した第1偏光成分Lpの光が入射し、画像信号に基づいて光を変調して画像光LTを生成する1つの液晶パネル24と、画像光LTを投射する投射レンズ3と、を備える。平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子231の光入射面231aのうち一方の面とは光学的に接している。
【0034】
本実施形態のプロジェクター1によれば、入射側偏光部材23における第1偏光素子231の光入射面231aが平行化レンズ22の平面22bと光学的に接するため、平行化レンズ22と入射側偏光部材23との間に空気層が介在することがない。このため、平行化レンズ22から射出された白色光Lは空気層を経由することなく第1偏光素子231の光入射面231aに入射する。よって、平行化レンズ22および第1偏光素子231の間に介在する空気層の界面による光の反射が抑制されることで、入射側偏光部材23は白色光Lを効率良く取り込むことができる。
このように本実施形態のプロジェクター1は、光源20からの白色光Lを液晶パネル24に効率良く取り込むことで光利用効率が向上するため、消費電力を低減しつつ明るい画像を表示することができる。
【0035】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態のプロジェクターの構成について説明する。
第2実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、画像生成部のレイアウトが第1実施形態と異なる。そのため、以下ではプロジェクターの全体の説明は省略し、画像生成部のレイアウトを主に説明する。なお、第1実施形態と共通の部材および構成については同じ符号を付して説明する。
【0036】
図3は本実施形態のプロジェクターの要部構成を示す図である。図3は入射側偏光部材の周辺の構成を示す要部拡大図である。
図3に示すように、本実施形態のプロジェクター1Aの画像生成部2Aにおいて、入射側偏光部材33は平行化レンズ22の光入射側に配置されている。
本実施形態の入射側偏光部材33は、第1偏光素子331と第2偏光素子332とを含む。第1偏光素子331は平行化レンズ22の光入射側に配置される。本実施形態において、平行化レンズ22は平面22bを光入射側に向けるように配置されている。つまり、第1偏光素子331は平行化レンズ22のレンズ面22aと反対の平面22b側に配置されている。第1偏光素子331は光入射面331aおよび光射出面331bを有する。
【0037】
平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子331の光射出面331bとは光学的に接している。本実施形態の場合、平面22bと光射出面331bとは光学接着材334を介して接着されている。光学接着材334としては、例えば、平行化レンズ22および第1偏光素子331と屈折率が近い透明な材料を用いることで、平行化レンズ22の平面22bと光学接着材334との界面による光の反射によるロスを低減できる。
【0038】
本実施形態の場合、第1偏光素子331は有機材料からなる有機偏光板であり、所定の偏光を吸収する吸収型偏光板である。第2偏光素子332は有機材料からなる有機偏光板であり、所定の偏光を反射する反射型偏光板である。第2偏光素子332と第1偏光素子331とは積層されている。つまり、第2偏光素子332は第1偏光素子331に当接している。これにより、第1偏光素子331と第2偏光素子332との間に空気層が介在しないため、第1偏光素子331および第2偏光素子332の界面での光の反射によるロスを低減できる。
【0039】
第2偏光素子332は、白色光Lのうち第1偏光成分である第1偏光成分Lpの光を透過し、第2偏光成分である第2偏光成分Lsの光を反射することで遮断する。第1偏光素子331は、第2偏光素子332を透過した白色光L3のうち第1偏光成分である第1偏光成分Lpの光を透過し、第2偏光成分である第2偏光成分Lsの光を吸収することで遮断する。本実施形態の第1偏光素子331は、白色光L3に含まれる第2偏光成分Lsを吸収する。
【0040】
このように本実施形態の入射側偏光部材33は、反射型偏光板からなる第2偏光素子332と吸収型偏光板からなる第1偏光素子331とを積層することで白色光Lのうち第1偏光成分Lpを透過させつつ第1偏光成分Lp以外の偏光成分である第2偏光成分Lsを遮断することができる。よって、入射側偏光部材33は、第1偏光成分Lpを主成分とする白色光L4を液晶パネル24に入射させることができる。
【0041】
本実施形態の入射側偏光部材33は、白色光Lの入射側から反射型偏光板および吸収型偏光板を順番に配置することで、第1実施形態の入射側偏光部材23と同様、偏光部材全体の発熱を抑制することができる。
【0042】
本実施形態のプロジェクター1Aでは、平行化レンズ22の光入射側に入射側偏光部材33を配置するため、入射側偏光部材33を透過した第1偏光成分Lpを主成分とする白色光L4が平行化レンズ22に入射する。このため、不要な偏光成分を予め取り除いた第1偏光成分を主成分とする白色光L4が平行化レンズ22に入射するので、平行化レンズ22を透過する光量を半分程度に低減できる。よって、本実施形態のプロジェクター1Aでは、樹脂製のフレネルレンズからなる平行化レンズ22の光による劣化を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態のプロジェクター1Aにおいても、第1偏光素子331の光射出面331bと平行化レンズ22の平面22bとが光学的に接しているため、平行化レンズ22と入射側偏光部材33との間に空気層が介在していない。このため、入射側偏光部材33から射出された白色光L4は空気層を経由することなく平行化レンズ22の平面22bに入射する。よって、入射側偏光部材33および平行化レンズ22の間に介在する空気層の界面による光の反射が抑制されることで、平行化レンズ22は白色光L4を効率良く取り込むことができる。
このように本実施形態のプロジェクター1Aは、光源20からの白色光Lを液晶パネル24に効率良く取り込むことで光利用効率が向上するため、消費電力を低減しつつ明るい画像を表示することができる。
また、本実施形態のプロジェクター1Aは、偏光方向が第1偏光成分に揃った白色光L4を液晶パネル24で変調するため、所望の明るさの画像光LTを射出することでコントラスト比の高い画像を表示することができる。
【0044】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態のプロジェクターの構成について説明する。
第3実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、画像生成部のレイアウトが第1実施形態と異なる。そのため、以下ではプロジェクターの全体の説明は省略し、画像生成部のレイアウトを主に説明する。なお、第1実施形態と共通の部材および構成については同じ符号を付して説明する。
【0045】
図4は本実施形態のプロジェクターの要部構成を示す図である。図4は入射側偏光部材の周辺の構成を示す要部拡大図である。
図4に示すように、本実施形態のプロジェクター1Bの画像生成部2Bにおいて、入射側偏光部材43は第1偏光素子431と第2偏光素子432とを含む。本実施形態の場合、第1偏光素子431と第2偏光素子432とは別体で構成されている。すなわち、第1偏光素子431と第2偏光素子432とは、光軸AXに沿う方向において互いに分離されて配置されている。
【0046】
第1偏光素子431は平行化レンズ22の光入射側に配置されている。第1偏光素子431は光入射面431aおよび光射出面431bを有する。
本実施形態において、平行化レンズ22は平面22bを光入射側に向けるように配置されている。第1偏光素子431は平行化レンズ22のレンズ面22aと反対の平面22b側に配置されている。
【0047】
平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子431の光射出面431bとは光学的に接している。本実施形態の場合、第1偏光素子431は平行化レンズ22の平面22bに形成されている。平行化レンズ22は第1偏光素子431の支持基材としての機能も有する。
【0048】
第1偏光素子431の光射出面431bは平行化レンズ22の平面22bに当接している。これにより、第1偏光素子431と平行化レンズ22との間に空気層が介在しないため、第1偏光素子431および平行化レンズ22の界面での光の反射によるロスを低減できる。
【0049】
本実施形態の場合、第1偏光素子431は有機材料からなる有機偏光板であり、所定の偏光を反射する反射型偏光板である。第2偏光素子432は有機材料からなる有機偏光板であり、所定の偏光を吸収する吸収型偏光板である。第2偏光素子432は、平行化レンズ22の光射出側に配置されている。第2偏光素子432は透光性基板435に支持されている。
【0050】
第1偏光素子431は、白色光Lのうち第1偏光成分である第1偏光成分Lpの光を透過し、第2偏光成分である第2偏光成分Lsの光を反射することで遮断する。第1偏光素子431を透過した白色光L5は平行化レンズ22で平行化されて第2偏光素子432に入射する。第2偏光素子432は、第1偏光素子431を透過し平行化レンズ22を経由した白色光L5のうち、第1偏光成分である第1偏光成分Lpの光を透過し第2偏光成分である第2偏光成分Lsの光を吸収することで遮断する。本実施形態の第2偏光素子432は、白色光L5に含まれる第1偏光成分Lp以外の直線偏光を吸収する。
このようにして入射側偏光部材43は、第1偏光成分Lpを主成分とする白色光L6を液晶パネル24に入射させることができる。
【0051】
本実施形態のプロジェクター1Bにおいても、第1偏光素子431の光射出面431bと平行化レンズ22の平面22bとが光学的に接しているため、平行化レンズ22と第1偏光素子431との間に空気層が介在していない。このため、第1偏光素子431を透過した光は空気層を経由することなく平行化レンズ22の平面22bに入射する。よって、第1偏光素子431および平行化レンズ22の間に介在する空気層の界面による光の反射が抑制されることで、平行化レンズ22は第1偏光素子431を透過した光を効率良く取り込むことができる。
このように本実施形態のプロジェクター1Bは、光源20からの白色光Lを平行化レンズ22に効率良く取り込むことで光利用効率が向上するため、消費電力を低減しつつ明るい画像を表示することができる。
また、本実施形態のプロジェクター1Bは、偏光方向が第1偏光に揃った白色光L6を液晶パネル24で変調するため、所望の明るさの画像光LTを射出することでコントラスト比の高い画像を表示することができる。
【0052】
本実施形態の平行化レンズ22を構成する樹脂製のフレネルレンズは光照射に伴う発熱によって偏光乱れを生じさせるおそれがある。これに対して、本実施形態のプロジェクター1Bは、平行化レンズ22の後段に第1偏光素子431とは別体の第2偏光素子432を配置している。この構成によれば、第1偏光素子431を透過した白色光Lの偏光状態が平行化レンズ22を透過することで乱れた場合でも、第2偏光素子432によって平行化レンズ22から射出された光のうち第1偏光成分Lpを透過させ、第1偏光成分以外の偏光成分の光を吸収することができる。
よって、本実施形態の入射側偏光部材43は、平行化レンズ22による偏光乱れが生じた場合でも、平行化レンズ22の後段に配置した第2偏光素子432により白色光Lのうちの第1偏光成分Lpの光を液晶パネル24に効率良く入射させることができる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0054】
例えば、第1実施形態の入射側偏光部材23では、平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子231の光入射面231aとが光学接着材334で接着されていたが、平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子231の光入射面231aとは当接していてよい。この構成によれば、平行化レンズ22の平面22bから射出された光が第1偏光素子231の光入射面231aに直接入射するため、第1偏光素子231はより効率良く光を取り込むことができる。
【0055】
平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子331の光射出面331bとを当接させる構成は、例えば、板バネ等の付勢部材を介して入射側偏光部材23を平行化レンズ22に押し付けた状態で保持することで実現できる。
同様に第2実施形態のプロジェクター1Aにおいて、平行化レンズ22の平面22bと第1偏光素子331の光射出面331bとを当接させるようにしてもよい。
【0056】
その他、プロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
本発明は、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターにも適用可能である。
【0057】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
第1偏光成分および第2偏光成分を含む白色光を射出する光源と、
前記光源から射出された前記白色光を平行化するレンズ面と、前記レンズ面とは反対の平面とを有する平行化レンズと、
光入射面および光射出面を有し、前記白色光のうち前記第1偏光成分の光を透過し前記第2偏光成分の光を遮断する第1偏光素子と、
前記第1偏光素子を透過した前記第1偏光成分の光が入射し、画像信号に基づいて前記光を変調して画像光を生成する1つの光変調装置と、
前記画像光を投射する投射レンズと、を備え、
前記平行化レンズの前記平面と前記第1偏光素子の前記光入射面または前記光射出面のうち一方の面とは光学的に接している、
プロジェクター。
【0058】
この構成のプロジェクターによれば、第1偏光素子の光入射面または光射出面が平行化レンズの平面と光学的に接するため、平行化レンズと第1偏光素子との間に空気層が介在することがない。よって、平行化レンズおよび第1偏光素子の間に介在する空気層の界面による光の反射が抑制されることで、白色光の光利用効率を高めることができる。
よって、この構成のプロジェクターは、光源からの白色光を光変調装置に効率良く取り込むことで光利用効率が向上するため、消費電力を低減しつつ明るい画像を表示することができる。
【0059】
(付記2)
前記平行化レンズの前記平面と前記第1偏光素子の前記光入射面または前記光射出面のうち前記一方の面とは当接している、
付記1に記載のプロジェクター。
【0060】
この構成によれば、平行化レンズと第1偏光素子との間に空気層が介在しないため、平行化レンズおよび第1偏光素子の界面での光の反射によるロスを低減できる。
【0061】
(付記3)
前記平行化レンズの前記平面と前記第1偏光素子の前記光入射面または前記光射出面のうち前記一方の面とは光学接着材を介して接着されている、
付記1に記載のプロジェクター。
【0062】
この構成によれば、第1偏光素子が平行化レンズに良好に保持された構成を実現できる。
【0063】
(付記4)
前記白色光のうち前記第1偏光成分の光を透過し前記第2偏光成分の光を遮断する第2偏光素子をさらに備える、
付記1に記載のプロジェクター。
【0064】
この構成によれば、第1偏光素子と第2偏光素子とを組み合わせることで白色光から第1偏光成分の光を良好に分離させることができる。
【0065】
(付記5)
前記平行化レンズの前記平面は、前記第1偏光素子の前記光入射面に光学的に接しており、
前記第1偏光素子は、反射型偏光板であり、前記平行化レンズの光射出側に配置され、
前記第2偏光素子は、吸収型偏光板であり、前記第1偏光素子の光射出側に配置されている、
付記4に記載のプロジェクター。
【0066】
この構成によれば、白色光の入射側から反射型偏光板である第1偏光素子と吸収型偏光板である第2偏光素子との順番に配置されるため、白色光に含まれる成分のうち光変調装置に入射させない不要な偏光成分を光入射側の段階で反射させておくことで後段に配置される吸収型偏光板の光吸収量が低減される。よって、白色光の入射側に吸収型偏光板および反射型偏光板の順番に配置する構成に比べ、吸収型偏光板である第2偏光素子の発熱を抑制することができる。
【0067】
(付記6)
前記平行化レンズの前記平面は、前記第1偏光素子の前記光射出面に光学的に接しており、
前記第1偏光素子は、吸収型偏光板であり、前記平行化レンズの光入射側に配置され、
前記第2偏光素子は、反射型偏光板であり、前記第1偏光素子の光入射側に配置されている、
付記4に記載のプロジェクター。
【0068】
この構成によれば、白色光の入射側から反射型偏光板である第1偏光素子と吸収型偏光板である第2偏光素子との順番に配置されるため、吸収型偏光板である第2偏光素子の発熱を抑制することができる。また、平行化レンズの前段に第2偏光素子および第1偏光素子が配置されるため、白色光に含まれる成分のうち不要な成分を予め取り除いた光が平行化レンズに入射する。これにより、平行化レンズを透過する光量が半分程度に低減されるため、平行化レンズの光による劣化を抑制できる。
【0069】
(付記7)
前記第2偏光素子は、前記第1偏光素子に当接している、
付記4から付記6のうちのいずれか一つに記載のプロジェクター。
【0070】
この構成によれば、第1偏光素子と第2偏光素子との間に空気層が介在しないため、第1偏光素子および第2偏光素子の界面での光の反射によるロスを低減できる。
【0071】
(付記8)
前記平行化レンズは、樹脂製のフレネルレンズであり、
前記第1偏光素子は、有機偏光板である、
付記1から付記7のうちのいずれか一つに記載のプロジェクター。
【0072】
この構成によれば、樹脂製のフレネルレンズからなる平行化レンズおよび有機偏光板からなる第1偏光素子を用いることでプロジェクターの小型化および軽量化を実現できる。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1B…プロジェクター、3…投射レンズ、20…光源、22…平行化レンズ、22a…レンズ面、22b…平面、24…液晶パネル(光変調装置)、231,331,431…第1偏光素子、231a,331a,431a…光入射面、231b,331b,431b…光射出面、232,332,432…第2偏光素子、234,334…光学接着材、L,L1,L2,L3,L4,L5,L6…白色光、Lp…第1偏光成分、Ls…第2偏光成分、LT…画像光。
図1
図2
図3
図4