(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068785
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】生体情報測定装置、及び生体情報測定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20240514BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/02 310B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179372
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽
(72)【発明者】
【氏名】松尾 篤
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA12
4C017AB02
4C017AC26
4C017BB13
4C017BC07
4C017BC11
4C017BC16
4C017FF05
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM01
4C038KM03
4C038KX02
4C038KY01
(57)【要約】
【課題】検出信号の検出結果が変動すると、検出信号に基づいて特定される酸素飽和濃度の測定精度が変動するが、測定精度を判別することが難しい。
【解決手段】生体情報測定装置は、赤色光を発光する第1発光素子、及び赤外光を発光する第2発光素子を有する発光ユニットと、前記第1発光素子から発光された前記赤色光、及び前記第2発光素子から発光された前記赤外光を受光し、前記赤色光に基づく第1受光信号、及び前記赤外光に基づく第2受光信号を生成する受光ユニットと、酸素飽和濃度を算出するコントローラーと、を備え、前記コントローラーは、前記第1受光信号、及び前記第2受光信号を用いて前記酸素飽和濃度を算出し、前記第1受光信号と前記第2受光信号とを用いて相関データを算出し、前記相関データに基づいて、前記酸素飽和濃度を判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色光を発光する第1発光素子、及び赤外光を発光する第2発光素子を有する発光ユニットと、
前記第1発光素子から発光された前記赤色光、及び前記第2発光素子から発光された前記赤外光を受光し、前記赤色光に基づく第1受光信号、及び前記赤外光に基づく第2受光信号を生成する受光ユニットと、
酸素飽和濃度を算出するコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、
前記第1受光信号、及び前記第2受光信号を用いて前記酸素飽和濃度を算出し、
前記第1受光信号と前記第2受光信号とを用いて相関データを算出し、
前記相関データに基づいて、前記酸素飽和濃度を判定する、
生体情報測定装置。
【請求項2】
前記相関データを評価する閾値を記憶する記憶部を有し、
前記コントローラーは、前記相関データと前記閾値とを比較することによって、前記酸素飽和濃度を判定する、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記コントローラーは、
前記相関データが前記閾値よりも大きいとき、前記酸素飽和濃度を出力し、
前記相関データが前記閾値よりも小さいとき、前記酸素飽和濃度を削除する、
請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記酸素飽和濃度を表示する表示ユニットを有し、
前記コントローラーは、
前記相関データに基づいて、前記酸素飽和濃度の信頼度を算出し、
前記信頼度を前記表示ユニットに表示させる、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記発光ユニットは、緑色光を発光する第3発光素子を有し、
前記受光ユニットは、前記緑色光を受光し、前記緑色光に基づく第3受光信号を生成し、
前記コントローラーは、
前記第1受光信号、前記第2受光信号、及び前記第3受光信号を用いて前記相関データを算出する、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記受光ユニットは、変動成分を抽出するフィルターを有し、
前記フィルターは、受光した前記赤色光から第1変動成分を抽出し、前記赤外光から第2変動成分を抽出し、
前記コントローラーは、
前記第1変動成分、及び前記第2変動成分を用いて、前記酸素飽和濃度を算出する、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、所定の時間間隔で前記相関データ及び前記酸素飽和濃度を算出する、
請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記コントローラーは、
前記第1受光信号、もしくは前記第2受光信号から脈波の周波数を算出し、
前記周波数を用いて、1以上の前記脈波を含む前記所定の時間間隔を決定する、
請求項7に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
赤色光、及び赤外光を被験者へ発光し、
前記被験者を経由した前記赤色光、及び前記赤外光を受光し、
受光した前記赤色光に基づく第1受光信号、及び受光した前記赤外光に基づく第2受光信号を生成し、
前記第1受光信号、及び前記第2受光信号を用いて酸素飽和濃度を算出し、
前記第1受光信号、及び前記第2受光信号に基づいて相関データを算出し、
前記相関データに基づいて、前記酸素飽和濃度を判定する、
生体情報測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報測定装置、及び生体情報測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の生体情報を非侵襲で測定する測定装置が知られている。特許文献1に記載される測定装置は、脈波、及び酸素飽和濃度を測定する。測定装置は、第1発光部と、第2発光部と、第3発光部と、を有している。第1発光部は、緑色波長帯を有する緑色光を測定部位に射出する。第2発光部は、赤色波長帯を有する赤色光を測定部位に射出する。第3発光部は、近赤外波長帯を有する近赤外光を測定部位に射出する。測定装置は、赤色光の受光強度を表す検出信号と近赤外光の受光強度を表す検出信号とを解析することで、酸素飽和濃度を特定する。測定装置は、動脈の脈動成分を用いて酸素飽和濃度を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
赤色光の受光強度を表す検出信号、及び赤外光の受光強度を表す検出信号は、被験者の体動等によって変動する。検出信号が変動すると、検出信号に基づいて特定される酸素飽和濃度の測定精度が変動するが、測定精度を判別することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の生体情報測定装置は、赤色光を発光する第1発光素子、及び赤外光を発光する第2発光素子を有する発光ユニットと、前記第1発光素子から発光された前記赤色光、及び前記第2発光素子から発光された前記赤外光を受光し、前記赤色光に基づく第1受光信号、及び前記赤外光に基づく第2受光信号を生成する受光ユニットと、酸素飽和濃度を算出するコントローラーと、を備え、前記コントローラーは、前記第1受光信号、及び前記第2受光信号を用いて前記酸素飽和濃度を算出し、前記第1受光信号と前記第2受光信号とを用いて相関データを算出し、前記相関データに基づいて、前記酸素飽和濃度を判定する。
【0006】
本開示の生体情報測定方法は、赤色光、及び赤外光を被験者へ発光し、前記被験者を経由した前記赤色光、及び前記赤外光を受光し、受光した前記赤色光に基づく第1受光信号、及び受光した前記赤外光に基づく第2受光信号を生成し、前記第1受光信号、及び前記第2受光信号を用いて酸素飽和濃度を算出し、前記第1受光信号、及び前記第2受光信号に基づいて相関データを算出し、前記相関データに基づいて、前記酸素飽和濃度を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】所定時間での各検出信号の周波数と信号強度の関係を示す図。
【
図6】赤色光検出信号データ、及び赤外光検出信号データを示す図。
【
図7】赤色光検出信号データ、及び赤外光検出信号データを示す図。
【
図8】酸素飽和濃度を判定するフローチャートを示す図。
【
図12】所定時間での各検出信号の周波数と信号強度の関係を示す図。
【
図13】酸素飽和濃度を判定するフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、測定装置100の概略構成を示している。
図1は、測定装置100の側面図である。測定装置100は、人間等の使用者Mの生体情報を非侵襲的に測定する。測定装置100は、使用者Mの測定部位に装着される腕時計型の携帯機器である。
図1に示す測定装置100は、一例として使用者Mの手首に装着される。
【0009】
測定装置100は、使用者Mの生体情報を測定する。測定装置100は、生体情報として、脈拍間隔等を含む脈波、及び酸素飽和濃度を測定する。脈波間隔は、PPI(Post Pacing Interval)と表される。酸素飽和濃度は、SpO2と表される。脈波は、心臓の拍動に連動した血管内の体積の時間変化を示す。酸素飽和濃度は、使用者Mの動脈血液中のヘモグロビンのうち酸素と結合したヘモグロビンの割合を示す。酸素飽和濃度は、使用者Mの呼吸機能を評価する指標である。測定装置100は、脈拍、及び酸素飽和濃度以外の生体情報を測定してもよい。測定装置100は、一例として、動脈血中グルコース濃度、動脈血中アルコール濃度等を測定する。測定装置100は、生体情報測定装置の一例に対応する。使用者Mは、被験者の一例に対応する。測定装置100は、筐体1と、ベルト2と、を備える。筐体1は、検出ユニット3、及び表示パネル4を収容する。
【0010】
筐体1は、測定装置100に備えられるユニット等を収容する外装である。筐体1は、測定面1aと表示面1bとを有する。測定面1aは、使用者Mの測定部位と対向する面である。測定面1aは、使用者Mの測定部位と接触する。表示面1bは、使用者Mによって視認可能な面である。筐体1は、検出ユニット3、及び表示パネル4に加え、後述する制御ユニット30、及びメモリー40等を収容する。
【0011】
ベルト2は、使用者Mの測定部位に筐体1を装着するときに用いられる部材である。ベルト2は、筐体1の側面等に取り付けられる。ベルト2は、測定部位に巻回されることで筐体1を使用者Mの測定部位に装着する。
【0012】
検出ユニット3は、筐体1の測定面1aに配置される。検出ユニット3は、使用者Mの測定部位と対向する位置に配置される。検出ユニット3は、生体情報を測定する際に用いられる各種情報を取得する。
【0013】
表示パネル4は、筐体1の表示面1bに配置される。表示パネル4は、使用者Mによって視認可能に構成される。表示パネル4は、測定された各種生体情報を表示する。表示パネル4は、生体情報の信頼度指標、時刻等生体情報以外の情報等を表示してもよい。表示パネル4は、表示ユニットの一例に対応する。
【0014】
図2は、測定面1aの概略構成を示している。
図2は、測定面1aを外部から見たときの概略構成を示している。
図2に示す測定面1aは、円形状で構成されているが、これに限定されない。測定面1aは、四角形状、楕円形状等各種形状に構成されてもよい。測定面1aには、検出ユニット3が配置される。検出ユニット3は、発光素子ユニット10と、受光素子ユニット20と、を有する。
【0015】
発光素子ユニット10は、使用者Mの測定部位に向けて光を発光する。発光素子ユニット10は、複数の発光素子11を有する。複数の発光素子11は、それぞれ異なる波長域の光を発光する。複数の発光素子11の配列は、適宜設定される。
図2に示す発光素子ユニット10は、3個の発光素子11を有する。発光素子11の数は、3個に限定されない。2個以上の発光素子11が、発光素子ユニット10に設けられる。発光素子ユニット10は、発光ユニットの一例に対応する。
【0016】
発光素子11は、ベアチップ型、もしくは砲弾型のLED(Light Emitting Diode)で構成される。発光素子11は、レーザーダイオードで構成されてもよい。発光素子11の構成は、発光する光の波長域に対応して適宜設定される。
【0017】
受光素子ユニット20は、発光素子ユニット10で発光された各種光を受光する。受光素子ユニット20は、各種光を受光する受光素子21を有する。受光素子21は、発光素子ユニット10で発光された光の透過光、もしくは反射光を受光する。透過光は、使用者Mを透過した光である。反射光は、使用者Mの内部で反射され、使用者Mの内部を透過した光である。受光素子21は、1または複数のフォトダイオードで構成される。受光素子ユニット20は、受光ユニットの一例に対応する。
【0018】
第1実施形態
第1実施形態は、2個の発光素子11を有する第1測定装置100aを示す。第1測定装置100aは、測定装置100の一例である。第1実施形態は、第1測定装置100aを用いた酸素飽和濃度測定方法を示す。酸素飽和濃度測定方法は、生体情報測定方法の一例に対応する。
【0019】
図3は、第1測定装置100aのブロック構成を示している。
図3は、ベルト2を除く第1測定装置100aを示している。第1測定装置100aは、筐体1内に各種ユニット等を収容する。第1測定装置100aは、第1検出ユニット3aと、制御ユニット30と、メモリー40と、表示パネル4と、を備える。第1検出ユニット3aは、検出ユニット3の一例である。
【0020】
第1検出ユニット3aは、各種波長域の光を用いて測定される生体情報に係るデータを検出信号として検出する光学センサーモジュールである。第1検出ユニット3aは、第1発光素子ユニット10aと、第1受光素子ユニット20aと、を備える。第1発光素子ユニット10aは、発光素子ユニット10の一例である。第1受光素子ユニット20aは、受光素子ユニット20の一例である。
【0021】
第1発光素子ユニット10aは、複数の発光素子11と、駆動回路13と、を備える。
図3に示す複数の発光素子11は、赤色光発光素子11a、及び赤外光発光素子11bである。
【0022】
赤色光発光素子11aは、使用者Mの測定部位に向けて赤色光RLを発光する。赤色光発光素子11aは、600nm~800nmの波長域の赤色光RLを測定部位に向けて発光する。赤色光RLは、一例として、ピーク波長が660nmの光である。赤色光発光素子11aは、第1発光素子の一例に対応する。
【0023】
赤外光発光素子11bは、使用者Mの測定部位に向けて赤外光NLを発光する。赤外光発光素子11bは、800nm~1300nmの波長域の赤外光NLを測定部位に向けて発光する。赤外光NLは、一例として、ピーク波長が905nmの近赤外光である。赤外光発光素子11bは、第2発光素子の一例に対応する。
【0024】
駆動回路13は、複数の発光素子11を駆動させる。駆動回路13は、制御ユニット30の制御によって、複数の発光素子11を発光させる。駆動回路13は、赤色光発光素子11a、及び赤外光発光素子11bを発光させる。
【0025】
受光素子ユニット20は、受光素子21と、出力回路23と、を備える。受光素子21は、発光素子11で発光され、使用者Mの測定部位で反射された反射光を受光する。受光素子21は、使用者Mの測定部位で反射された赤色光RL、及び赤外光NLを受光する。受光素子21は、赤色光RL、及び赤外光NLを時分割で交互に受光する。受光素子21は、2つの領域に分割されてもよい。2つの領域のそれぞれが、赤色光RL、赤外光NLをいずれかを受光する。受光素子21は、図示しない光学フィルターを用いて複数の領域に区画されてもよい。受光素子21は、光学フィルターを介して、赤色光RL、赤外光NLの内の少なくとも一方を受光する。
【0026】
図3に示す受光素子ユニット20は、赤色光RLの反射光、及び赤外光NLの反射光を受光するが、これに限定されない。受光素子ユニット20は、使用者Mを透過した赤色光RL、及び使用者Mを透過した赤外光NLを受光してもよい。受光素子ユニット20は、赤色光RLの透過光、及び赤外光NLの透過光を受光する。
【0027】
出力回路23は、受光素子21で受光した光に基づく検出信号を制御ユニット30に出力する。出力回路23は、受光素子21で受光した光の受光強度データに対してアナログ-デジタル変換等の処理を行うことによって検出信号を生成する。出力回路23は、受光素子21で受光した赤色光RLに基づいて赤色光検出信号を生成する。出力回路23は、受光素子21で受光した赤外光NLに基づいて赤外光検出信号を生成する。赤色光検出信号は、第1受光信号の一例に対応する。赤外光検出信号は、第2受光信号の一例に対応する。
【0028】
制御ユニット30は、各種ユニットの動作を制御する制御コントローラーである。制御ユニット30は、一例として、CPU(Central Processing Unit)を有するプロセッサーである。制御ユニット30は、1又は複数のプロセッサーで構成されてもよい。制御ユニット30は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリーを有してもよい。半導体メモリーは、制御ユニット30のワークエリアとして機能する。制御ユニット30は、メモリー40に記憶される制御プログラムCPを実行することによって、検出制御部31、データ処理部33、及び表示制御部35として機能する。制御ユニット30は、コントローラーの一例に対応する。
【0029】
検出制御部31は、制御ユニット30で動作する機能部である。検出制御部31は、発光素子ユニット10、及び受光素子ユニット20を制御する。検出制御部31は、駆動回路13を介して、発光素子11の発光タイミング、消灯タイミング、光量調整等を行う。検出制御部31は、受光素子ユニット20に対して、各種光の受光タイミング、受光時間、デジタルーアナログ変換等を制御する。
【0030】
データ処理部33は、制御ユニット30で動作する機能部である。データ処理部33は、受光素子ユニット20から出力された検出信号の処理を行う。データ処理部33は、受光素子ユニット20から、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を取得する。
【0031】
データ処理部33は、検出信号から直流成分と交流成分を算出する。
図4は、検出信号を模式的に示している。
図4の横軸は、時間を示している。
図4の縦軸は、検出信号の強度を示している。
図4は、出力回路23から出力される検出信号の一例を模式的に示している。
【0032】
検出信号は、所定の間隔で検出される信号強度のデータである。信号強度は、1秒間にn回検出される。nは1以上の整数である。nは、一例として16である。信号強度は、直流成分である直流成分データ51と、交流成分である交流成分データ53とを含んでいる。データ処理部33は、信号強度から直流成分データ51と交流成分データ53とを分離する。データ処理部33は、時間周波数解析を行うことによって交流成分データ53を算出する。
【0033】
データ処理部33は、検出信号に対して短時間フーリエ変換等の時間周波数解析を行う。データ処理部33は、検出信号に対して短時間フーリエ変換を行うことによって、周波数情報を解析する。データ処理部33は、検出信号に対して短時間フーリエ変換を行うことによって、所定の周波数範囲のスペクトログラムを求める。所定の周波数範囲は、脈波の周波数が含まれる範囲である。所定の周波数範囲は、一例として、0.5Hzから2Hzの範囲である。所定の周波数範囲は、短時間フーリエ変換を行う光の波長域によって、適宜調整される。データ処理部33は、赤色光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行い、赤色光スペクトログラムを求める。データ処理部33は、赤外光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行い、赤外光スペクトログラムを求める。データ処理部33は、コントローラーの一例に対応する。
【0034】
データ処理部33で実行される時間周波数解析は、短時間フーリエ変換に限定されない。検出信号に対する周波数情報が、解析可能な手法であれば、その手法は限定されない。データ処理部33は、一例として、ウェーブレット変換等を行ってもよい。
【0035】
図5は、所定時間での各検出信号の周波数と信号強度の関係を示している。
図5は、短時間フーリエ変換の変換結果の一部を示している。
図5は、所定時間の赤色光データRW、及び赤外光データNWを示している。
図5に示す赤色光データRWは、所定時間のときの赤色光RLの周波数と信号強度との関係を示している。
図5に示す赤外光データNWは、所定時間のときの赤外光NLの周波数と信号強度との関係を示している。
【0036】
赤色光データRWは、第1周波数F1で第1ピーク値P1を示している。第1周波数F1は、脈波の周波数に対応する。データ処理部33は、第1周波数F1のときの各時間の信号強度を赤色光検出信号強度として取得する。
【0037】
赤外光データNWは、第2周波数F2で第2ピーク値P2を示している。第2周波数F2は、第1周波数F1と同じ、もしくは近似した周波数である。第2周波数F2は、脈波の周波数に対応する。データ処理部33は、第2周波数F2のときの各時間の信号強度を赤外光検出信号強度として取得する。
【0038】
データ処理部33は、各時間の赤色光検出信号強度、及び赤外光検出信号強度を取得する。データ処理部33は、赤色光検出信号強度、及び赤外光検出信号強度を用いて変動成分振幅比を算出する。変動成分振幅比は、赤色光透過光量と赤外光透過光量の比率である。赤色光透過光量は、赤色光発光素子11aから発光され、使用者Mの測定部位内を透過して受光素子21に到達する赤色光RLの光量である。赤外光透過光量は、赤外光発光素子11bから発光され、使用者Mの測定部位内を透過して受光素子21に到達する赤外光NLの光量である。変動成分振幅比は、下記の式(1)で算出される。
R=(ACRed/DCRed)/(ACIR/DCIR)(1)
ここで、Rは、変動成分振幅比を示す。ACRedは、赤色光検出信号の交流成分の強度を示す。DCRedは、赤色光検出信号の直流成分の強度を示す。ACIRは、赤外光検出信号の交流成分の強度を示す。DCIRは、赤外光検出信号の直流成分の強度を示す。
【0039】
赤色光検出信号の交流成分の強度は、赤色光検出信号強度である。赤色光検出信号の直流成分の強度は、赤色光検出信号から分離された所定時間の直流成分である。赤外光検出信号の交流成分の強度は、赤外光検出信号強度である。赤外光検出信号の直流成分の強度は、赤外光検出信号から分離された所定時間の直流成分である。
【0040】
データ処理部33は、算出された変動成分振幅比に基づいて、酸素飽和濃度を算出する。データ処理部33は、メモリー40に記憶される校正テーブルPTを参照して、変動成分振幅比に対応する酸素飽和濃度の値を求める。データ処理部33は、変動成分振幅比に対応する酸素飽和濃度の値を酸素飽和濃度とする。データ処理部33は、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を用いて酸素飽和濃度を算出する。
【0041】
データ処理部33は、赤色光検出信号と赤外光検出信号とを用いて相関係数を算出する。データ処理部33は、赤色光検出信号データRDと赤外光検出信号データNDとの間の相関係数を算出する。
【0042】
図6、及び
図7は、赤色光検出信号データRD、及び赤外光検出信号データNDを示している。赤色光検出信号データRDは、赤色光検出信号の経時変化を示している。赤外光検出信号データNDは、赤外光検出信号の経時変化を示している。
図6と
図7は、異なる時間範囲の赤色光検出信号データRD、及び赤外光検出信号データNDを示している。
図6と
図7の横軸は、測定時間を示している。
図6と
図7の左縦軸は、赤外光検出信号の信号値を示している。
図6と
図7の右縦軸は、赤色光検出信号の信号値を示している。
【0043】
図6は、測定時間が20秒から30秒の間の赤色光検出信号データRD、及び赤外光検出信号データNDを示している。赤外光検出信号データNDは、脈波の周波数を示す交流成分を検出することができる。一方、赤色光検出信号データRDは、交流成分を検出し難い。赤色光検出信号データRDは、使用者Mの体動や環境温度等の影響によって交流成分を検出し難いデータとなっている。赤色光検出信号データRDと赤外光検出信号データNDは、近似性の低い曲線で表される。赤色光検出信号データRDと赤外光検出信号データNDの内の少なくとも一方の交流成分が検出し難くなると、算出される酸素飽和濃度の測定精度は、低下する。
【0044】
図7は、測定時間が90秒から110秒の間の赤色光検出信号データRD、及び赤外光検出信号データNDを示している。赤外光検出信号データNDは、脈波の周波数を示す交流成分を検出することができる。一方、赤色光検出信号データRDは、
図6に示す赤色光検出信号データRDとは異なり、交流成分を検出することができる。赤色光検出信号データRD及び赤外光検出信号データNDは、交流成分を検出し易い。赤色光検出信号データRDと赤外光検出信号データNDは、近似性の高い曲線で表される。赤色光検出信号データRDと赤外光検出信号データNDの近似性が高いと、算出される酸素飽和濃度の測定精度は、向上する。赤色光検出信号データRDと赤外光検出信号データNDの近似性は、酸素飽和濃度の測定精度と対応する。データ処理部33は、赤色光検出信号データRDと赤外光検出信号データNDの近似性を示す相関係数を算出することによって、算出される酸素飽和濃度の信頼性を評価することができる。相関係数は、相関データの一例に対応する。データ処理部33は、下記の式(2)で示される相関係数算出式を用いて相関係数を算出する。
【0045】
【0046】
ここで、rは、相関係数を示す。Nは、相関係数の算出に用いる赤色光検出信号の数を示す。xnは、各測定時間の赤色光検出信号を示す。nは、1以上の整数である。xaveは、所定時間内の赤色光検出信号の平均値を示す。ynは、各測定時間の赤外光検出信号を示す。yaveは、所定時間内の赤外光検出信号の平均値を示す。所定時間は、一例として、8秒である。1秒間にk回赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を測定する場合、Nは、8×k個となる。kは、1以上の整数である。
【0047】
図3に示すデータ処理部33は、相関係数を所定の時間間隔の単位で算出する。データ処理部33は、一例として、測定時間1秒から8秒の間の検出信号を用いて、測定時間8秒時の相関係数を算出する。データ処理部33は、測定時間2秒から9秒の間の検出信号を用いて、測定時間9秒時の相関係数を算出する。データ処理部33は、各測定時間の相関係数を算出する。所定の時間間隔は、8秒に限定されない。所定の時間間隔は、予め適宜設定される。データ処理部33は、酸素飽和濃度を算出するタイミングで、相関係数を算出する。データ処理部33は、所定の時間間隔で、相関係数及び酸素飽和濃度を算出する。
【0048】
データ処理部33は、赤色光検出信号データRD、もしくは赤外光検出信号データNDの少なくとも一方を参照して、所定の時間間隔を設定してもよい。データ処理部33は、少なくとも1の脈波を含む時間範囲を所定の時間間隔として設定する。脈波の周波数は、使用者Mによって異なる。データ処理部33は、赤色光検出信号データRD、もしくは赤外光検出信号データNDの少なくとも一方を参照することによって、相関係数を算出するデータに脈波を含ませることができる。
【0049】
データ処理部33は、算出した相関係数に基づいて、酸素飽和濃度を判定する。相関係数が1に近いほど、酸素飽和濃度の測定精度は、高くなる。酸素飽和濃度の測定精度が高いほど、算出された酸素飽和濃度の信頼性が高い。データ処理部33は、相関係数を用いて算出された酸素飽和濃度の信頼性を評価することができる。
【0050】
データ処理部33は、算出した相関係数を相関係数閾値と比較することによって、酸素飽和濃度を判定してもよい。相関係数閾値は、予めメモリー40に記憶される。相関係数閾値は、算出された相関係数を評価するときに用いられる。データ処理部33は、メモリー40から相関係数閾値を読み出し、相関係数閾値と相関係数とを比較する。データ処理部33は、一例として、相関係数が相関係数閾値よりも大きいとき、酸素飽和濃度の信頼性が高いと判断する。相関係数閾値は、閾値の一例に対応する。
【0051】
複数の相関係数閾値が、予めメモリー40に記憶されてもよい。データ処理部33は、算出した相関係数を複数の相関係数閾値と比較することによって、酸素飽和濃度を判定してもよい。
【0052】
データ処理部33は、酸素飽和濃度を表示制御部35に出力する。データ処理部33は、酸素飽和濃度を図示しない通信インターフェイスを介して外部装置に出力してもよい。データ処理部33は、相関係数と相関係数閾値とを比較した結果に基づいて、酸素飽和濃度を表示制御部35に出力するか否かを判定してもよい。データ処理部33は、算出された相関係数が相関係数閾値よりも大きいとき、酸素飽和濃度を表示制御部35に出力する。データ処理部33は、算出された相関係数が相関係数閾値よりも小さいとき、酸素飽和濃度を削除し、表示制御部35に出力しない。データ処理部33は、信頼性の低い酸素飽和濃度を出力しない。信頼性の低い酸素飽和濃度は、一例として、表示パネル4に表示されない。
【0053】
データ処理部33は、算出された相関係数に基づいて、酸素飽和濃度の信頼度データを算出してもよい。データ処理部33は、一例として、相関係数を信頼度データに変換する変換式を用いて信頼度データを算出する。変換式は、予め測定装置100の製造者によって適宜設定される。データ処理部33は、図示しない変換テーブルを参照して、信頼度データを算出してもよい。変換テーブルは、相関係数と信頼度データとを関連付けるテーブルである。変換テーブルは、予めメモリー40に記憶される。データ処理部33は、算出された信頼度データを表示制御部35に出力する。信頼度データは、酸素飽和濃度の測定精度に対応する。信頼度データは、信頼度の一例に対応する。
【0054】
表示制御部35は、制御ユニット30で動作する機能部である。表示制御部35は、表示パネル4の表示を制御する。表示制御部35は、表示パネル4に表示データを送信することによって、表示パネル4に各種画像を表示させる。
【0055】
表示制御部35は、所定のタイミングでデータ処理部33から酸素飽和濃度を取得する。表示制御部35は、酸素飽和濃度を含む表示データを生成する。表示制御部35は、酸素飽和濃度を含む表示データを表示パネル4に出力する。表示制御部35は、表示データに基づいて、酸素飽和濃度を表示パネル4に表示させる。表示制御部35は、酸素飽和濃度の移動平均を含む表示データに基づいて、酸素飽和濃度の移動平均を表示パネル4に表示させてもよい。表示制御部35は、コントローラーの一例に対応する。
【0056】
表示制御部35は、所定のタイミングでデータ処理部33から酸素飽和濃度が出力されないとき、酸素飽和濃度を表示しない。表示制御部35は、酸素飽和濃度が出力されないタイミング以前に出力された酸素飽和濃度を継続して表示させる。表示制御部35は、所定の測定精度の酸素飽和濃度が測定されていないことを示す画像を表示パネル4に表示させてもよい。
【0057】
表示制御部35は、所定のタイミングでデータ処理部33から信頼度データを取得する。表示制御部35は、信頼度データを含む表示データを生成する。表示制御部35は、酸素飽和濃度と信頼度データとを含む表示データを生成してもよい。表示制御部35は、信頼度データを含む表示データを表示パネル4に出力する。表示制御部35は、表示データに基づいて、信頼度データを表示パネル4に表示させる。表示制御部35は、表示パネル4に酸素飽和濃度と信頼度データを同時に表示させてもよい。表示制御部35は、表示パネル4に酸素飽和濃度を表示させた後に、信頼度データを表示パネル4に表示させてもよい。表示制御部35は、使用者Mによって測定装置100に対して所定の操作が行われたとき、信頼度データを表示させてもよい。
【0058】
表示制御部35は、一例として信頼度データをパーセント表示で表示パネル4に表示させる。表示制御部35は、信頼度データを、データ信頼度80%、90%、95%等で表示させる。信頼度データは、変換データを用いて相関係数を変換することによって求められる。表示パネル4は、データ信頼度の形式で信頼度データを表示する。
【0059】
メモリー40は、各種データを記憶する。メモリー40は、各種ユニットを動作させる制御データ、制御ユニット30で算出された各種データ等を記憶する。メモリー40は、データ処理部33で算出された酸素飽和濃度等を記憶してもよい。メモリー40は、制御ユニット30で動作する制御プログラムCPを記憶する。メモリー40は、相関係数算出式を記憶する。メモリー40は、データ処理部33で参照される校正テーブルPTを記憶する。メモリー40は、変換式、もしくは変換テーブルを記憶してもよい。メモリー40は、ROMやRAM等で構成される。メモリー40は、記憶部の一例に対応する。
【0060】
制御プログラムCPは、制御ユニット30で実行されることによって、各種機能部を動作させる。制御プログラムCPは、制御ユニット30を検出制御部31、データ処理部33、及び表示制御部35として動作させる。制御プログラムCPは、制御ユニット30を検出制御部31、データ処理部33、及び表示制御部35以外の機能部として動作させてもよい。
【0061】
校正テーブルPTは、変動成分振幅比と酸素飽和濃度とを関連付けて記憶するテーブルである。校正テーブルPTは、変動成分振幅比と酸素飽和濃度との関係を示している。校正テーブルPTは、予め測定装置100の製造者によって作成される。データ処理部33は、校正テーブルPTを参照することによって、算出された変動成分振幅比に対応する酸素飽和濃度を決定する。校正テーブルPTは、校正曲線テーブルの一例に対応する。
【0062】
メモリー40は、校正テーブルPTに代えて、校正式を記憶してもよい。校正式は、変動成分振幅比と酸素飽和濃度との間の関係式である。データ処理部33は、校正式を用いて、算出された変動成分振幅比に対応する酸素飽和濃度を算出する。
【0063】
表示パネル4は、各種画像を表示する。表示パネル4は、表示制御部35の制御によって、酸素飽和濃度を表示する。表示パネル4は、表示制御部35の制御によって、信頼度データを表示してもよい。表示パネル4は、表示制御部35から出力された表示データに基づいて、酸素飽和濃度を表示する。表示パネル4は、表示制御部35から出力された表示データに基づいて、信頼度データを表示する。表示パネル4は、脈拍数等を表示してもよい。表示パネル4は、液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等で構成される。
【0064】
図8は、酸素飽和濃度を判定するフローチャートを示している。
図8に示すフローチャートは、酸素飽和濃度測定方法を示している。酸素飽和濃度測定方法は、生体情報測定方法の一例に対応する。
図8は、第1測定装置100aで実行される酸素飽和濃度測定方法を示している。
【0065】
第1測定装置100aは、ステップS101で、赤色光RL、及び赤外光NLを発光する。制御ユニット30で動作する検出制御部31は、駆動回路13を介して発光素子11を発光させる。検出制御部31は、発光素子ユニット10を制御することによって、使用者Mへ光を発光させる。検出制御部31は、使用者Mへ赤色光RLを発光させる。赤色光発光素子11aは、使用者Mへ赤色光RLを発光する。検出制御部31は、使用者Mへ赤外光NLを発光させる。赤外光発光素子11bは、使用者Mへ赤外光NLを発光する。
【0066】
第1測定装置100aは、赤色光RL、及び赤外光NLを発光したのち、ステップS103で、赤色光RL、及び赤外光NLを受光する。検出制御部31は、受光素子ユニット20に使用者Mを経由した赤色光RL、及び赤外光NLを受光させる。受光素子ユニット20の受光素子21は、使用者Mで反射した赤色光RL、及び赤外光NLを受光する。受光素子21は、異なるタイミングで、赤色光RL、及び赤外光NLを受光する。受光素子21は、異なる領域で赤色光RL、及び赤外光NLを受光してもよい。
【0067】
第1測定装置100aは、赤色光RL、及び赤外光NLを受光したのち、ステップS105で、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を生成する。受光素子ユニット20の出力回路23は、受光した赤色光RLに基づく赤色光検出信号を生成する。出力回路23は、受光素子21で検出した赤色光RLの受光強度データに対してアナログ-デジタル変換等の処理を行うことによって、赤色光検出信号を生成する。出力回路23は、受光した赤外光NLに基づく赤外光検出信号を生成する。出力回路23は、受光素子21で検出した赤外光NLの受光強度データに対してアナログ-デジタル変換等の処理を行うことによって、赤外光検出信号を生成する。
【0068】
第1測定装置100aは、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を生成したのち、ステップS107で、酸素飽和濃度、及び相関係数を算出する。データ処理部33は、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を用いて酸素飽和濃度を算出する。データ処理部33は、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号に基づいて、相関係数を算出する。
【0069】
データ処理部33は、一例として、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行う。データ処理部33は、赤色光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行うことによって、脈波の周波数に対応する第1周波数F1を検出する。データ処理部33は、第1周波数F1の信号強度である第1ピーク値P1を赤色光検出信号強度として取得する。データ処理部33は、赤外光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行うことによって、脈波の周波数に対応する第2周波数F2を検出する。データ処理部33は、第2周波数F2の信号強度である第2ピーク値P2を赤外光検出信号強度として取得する。
【0070】
データ処理部33は、所定の時間間隔で赤色光検出信号強度、及び赤外光検出信号強度を取得する。データ処理部33は、赤色光検出信号強度、及び赤外光検出信号強度を用いて変動成分振幅比を算出する。データ処理部33は、式(1)を用いて、変動成分振幅比を算出する。
【0071】
データ処理部33は、算出された変動成分振幅比に基づいて、酸素飽和濃度を算出する。データ処理部33は、メモリー40に記憶される校正テーブルPTを参照して、変動成分振幅比に対応する酸素飽和濃度を求める。
【0072】
図9は、酸素飽和濃度の測定結果を示す。
図9は、酸素飽和濃度の経時変化を示している。
図9は、表示パネル4に表示される酸素飽和濃度の変化をプロットした図である。酸素飽和濃度は、測定時間によって変動する。酸素飽和濃度は、使用者Mの体動等によって変動する。
図9に示す酸素飽和濃度は、測定精度の低いデータを含んでいる。
【0073】
データ処理部33は、赤色光検出信号と赤外光検出信号とに基づいて、相関係数を算出する。データ処理部33は、所定の時間間隔の単位で相関係数を算出する。データ処理部33は、各時間の赤色光検出信号強度、及び赤外光検出信号強度を用いて相関係数を算出する。データ処理部33は、式(2)で示される相関係数算出式を用いて相関係数を算出する。
【0074】
第1測定装置100aは、酸素飽和濃度、及び相関係数を算出したのち、ステップS109で、酸素飽和濃度を判定する。データ処理部33は、相関係数に基づいて、酸素飽和濃度を判定する。データ処理部33は、相関係数が1に近いほど、酸素飽和濃度の測定精度が高いと判定する。第1測定装置100aは、酸素飽和濃度を判定することによって、酸素飽和濃度の測定精度を判定することができる。
【0075】
データ処理部33は、算出された相関係数を相関係数閾値と比較することによって酸素飽和濃度を判定してもよい。データ処理部33は、一例として、算出された相関係数が相関係数閾値よりも低いとき、酸素飽和濃度を表示制御部35に出力しない。表示制御部35は、相関係数閾値よりも低い相関係数となる酸素飽和濃度を表示パネル4に表示させない。
【0076】
図10は、酸素飽和濃度の測定結果を示している。
図10は、相関係数によって判定され、出力された酸素飽和濃度を示している。
図10は、測定時間30秒から50秒の間、及び115秒から120秒の間の酸素飽和濃度を示していない。データ処理部33は、算出された相関係数と相関係数閾値とを比較し、相関係数閾値よりも低い相関係数となる範囲の酸素飽和濃度を表示制御部35に出力しない。表示制御部35は、データ処理部33が酸素飽和濃度を出力しないとき、酸素飽和濃度を表示パネル4に表示させない。
【0077】
図10は、一例として相関係数閾値を0.925としたときの測定結果を示している。測定時間50秒から110秒の間の相関係数は、0.925以上の値を示す。一方、測定時間30秒から50秒の間の相関係数、及び115秒から120秒の間の相関係数は、0.925未満の値を示す。測定時間50秒の相関係数は、測定時間42秒から50秒までの間の時間間隔の赤色光検出信号強度と赤外光検出信号強度との間の相関係数である。各測定時間の相関係数は、8秒間単位の時間間隔の相関係数である。
【0078】
第1測定装置100aは、赤色光RLを発光する赤色光発光素子11a、及び赤外光NLを発光する赤外光発光素子11bを有する第1発光素子ユニット10aと、赤色光発光素子11aから発光された赤色光RL、及び赤外光発光素子11bから発光された赤外光NLを受光し、赤色光RLに基づく赤色光検出信号、及び赤外光NLに基づく赤外光検出信号を生成する第1受光素子ユニット20aと、酸素飽和濃度を算出する制御ユニット30と、を備える。制御ユニット30は、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を用いて酸素飽和濃度を算出し、赤色光検出信号と赤外光検出信号とを用いて相関係数を算出し、相関係数に基づいて、酸素飽和濃度を判定する。
使用者Mの体動等により、相関係数は変動する。相関係数が低くなると、算出される酸素飽和濃度の測定精度は低下する。第1測定装置100aは、算出される相関係数によって、算出される酸素飽和濃度の測定精度を判定することができる。
【0079】
第1測定装置100aは、相関係数を評価する相関係数閾値を記憶するメモリー40を有する。制御ユニット30は、算出された相関係数と相関係数閾値とを比較することによって酸素飽和濃度を判定する。
第1測定装置100aは、相関係数閾値と算出された相関係数とを比較することによって、酸素飽和濃度の測定精度を判定し易くなる。
【0080】
制御ユニット30は、相関係数が相関係数閾値よりも大きいとき、酸素飽和濃度を出力し、相関係数が相関係数閾値よりも小さいとき、酸素飽和濃度を削除する。
所定の測定精度の酸素飽和濃度は出力される。測定精度の低い酸素飽和濃度は、削除されるので、使用者Mに対して表示されない。
【0081】
第1測定装置100aは、酸素飽和濃度を表示する表示パネル4を有する。制御ユニット30は、相関係数に基づいて、酸素飽和濃度の信頼度データを算出し、信頼度データを表示パネル4に表示させる。
酸素飽和濃度の信頼度データが表示される。使用者Mは、信頼度データを確認することで、酸素飽和濃度の測定精度を把握することができる。
【0082】
制御ユニット30は、所定の時間間隔で相関係数及び酸素飽和濃度を算出する。
第1測定装置100aは、所定の時間間隔で算出される酸素飽和濃度の測定精度を推定することができる。使用者Mは、酸素飽和濃度の経時変化を確認できる。
【0083】
制御ユニット30は、赤色光検出信号、もしくは赤外光検出信号から脈波の周波数を算出し、周波数を用いて、1以上の脈波を含む所定の時間間隔を決定する。
脈波の周波数は、使用者Mによって変動する。使用者Mが異なっているときに、脈波成分を含む時間間隔に調整することが可能となる。
【0084】
酸素飽和濃度測定方法は、赤色光RL、及び赤外光NLを使用者Mへ発光し、使用者Mを経由した赤色光RL、及び赤外光NLを受光し、受光した赤色光RLに基づく赤色光検出信号、及び受光した赤外光NLに基づく赤外光検出信号を生成し、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号を用いて酸素飽和濃度を算出し、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号に基づいて相関係数を算出し、相関係数に基づいて、酸素飽和濃度を判定する。
算出される酸素飽和濃度の測定精度が判定される。第1測定装置100aは、算出される酸素飽和濃度の測定精度を確認することができる。
【0085】
第2実施形態
第2実施形態は、3個の発光素子11を有する第2測定装置100bを示す。第2測定装置100bは、測定装置100の一例である。第2実施形態は、第2測定装置100bを用いた酸素飽和濃度測定方法を示す。
【0086】
図11は、測定装置100のブロック構成を示している。
図11は、ベルト2を除く第2測定装置100bを示している。第2測定装置100bは、筐体1内に各種ユニット等を収容する。第2測定装置100bは、第2検出ユニット3bと、制御ユニット30と、メモリー40と、表示パネル4と、を備える。第2検出ユニット3bは、第2発光素子ユニット10bと、第2受光素子ユニット20bと、を備える。第2検出ユニット3bは、検出ユニット3の一例である。第2測定装置100bの構成は、検出ユニット3を除き、第1測定装置100aの構成と同じである。以下、第1測定装置100aと異なる第2検出ユニット3bの構成、及び機能が示される。
【0087】
第2検出ユニット3bに含まれる第2発光素子ユニット10bは、3個の発光素子11と、駆動回路13と、を備える。第2発光素子ユニット10bは、発光素子ユニット10の一例である。3個の発光素子11は、赤色光発光素子11a、赤外光発光素子11b、及び緑色光発光素子11cである。赤色光発光素子11aは、使用者Mの測定部位に向けて赤色光RLを発光する。赤外光発光素子11bは、使用者Mの測定部位に向けて赤外光NLを発光する。緑色光発光素子11cは、使用者Mの測定部位に向けて緑色光GLを発光する。緑色光発光素子11cは、第3発光素子の一例に対応する。
【0088】
駆動回路13は、3個の発光素子11を駆動させる。駆動回路13は、制御ユニット30の制御によって、3個の発光素子11を発光させる。駆動回路13は、赤色光発光素子11a、赤外光発光素子11b、及び緑色光発光素子11cを発光させる。
【0089】
第2検出ユニット3bに含まれる第2受光素子ユニット20bは、受光素子21と、出力回路23と、を備える。第2受光素子ユニット20bは、受光素子ユニット20の一例である。受光素子21は、発光素子11で発光され、使用者Mの測定部位で反射された光を受光する。受光素子21は、使用者Mの測定部位で反射された赤色光RL、赤外光NL、及び緑色光GLを受光する。受光素子21は、複数の領域に分割される。受光素子21は、図示しない光学フィルターを用いて複数の領域に区画されてもよい。
図11に示す受光素子21は、第1受光エリア21aと、第2受光エリア21bとに分割される。
【0090】
第1受光エリア21aは、赤色光RL、及び赤外光NLを受光する。第1受光エリア21aは、赤色光発光素子11aで発光され、使用者Mの測定部位で反射された赤色光RLを受光する。第1受光エリア21aは、赤外光発光素子11bで発光され、使用者Mの測定部位で反射された赤外光NLを受光する。第1受光エリア21aは、光学フィルターを介して、赤色光RL、赤外光NLの内の少なくとも一方を受光してもよい。第1受光エリア21aは、赤色光RL、及び赤外光NLを時分割で交互に受光してもよい。
【0091】
第2受光エリア21bは、緑色光GLを受光する。第2受光エリア21bは、緑色光発光素子11cで発光され、使用者Mの測定部位で反射された緑色光GLを受光する。第2受光エリア21bは、光学フィルターを介して緑色光GLを受光してもよい。
【0092】
図11は、第1受光エリア21aで、赤色光RL、及び赤外光NLを受光したが、これに限定されない。第1受光エリア21a、及び第2受光エリア21bと異なる第3受光エリアが設けられてもよい。第3受光エリアで赤色光RL、もしくは赤外光NLが受光されてもよい。このとき、第3受光エリアで赤外光NLが受光される場合、第1受光エリア21aは、赤色光RLを受光する。受光素子21は、複数の領域に分割されなくてもよい。受光素子21は、時分割で赤色光RL、赤外光NL、及び緑色光GLを受光してもよい。
【0093】
図11に示す受光素子ユニット20は、赤色光RLの反射光、及び赤外光NLの反射光を受光したが、これに限定されない。受光素子ユニット20は、使用者Mを透過した赤色光RL、及び使用者Mを透過した赤外光NLを受光してもよい。受光素子ユニット20は、赤色光RLの透過光、及び赤外光NLの透過光を受光する。
【0094】
出力回路23は、受光素子21で受光した光に基づく検出信号を制御ユニット30に出力する。出力回路23は、受光素子21で受光した光の受光強度データに対してアナログ-デジタル変換等の処理を行うことによって検出信号を生成する。出力回路23は、第1受光エリア21aで受光した赤色光RLに基づいて赤色光検出信号を生成する。出力回路23は、第1受光エリア21aで受光した赤外光NLに基づいて赤外光検出信号を生成する。出力回路23は、第2受光エリア21bで受光した緑色光GLに基づいて緑色光検出信号を生成する。赤色光検出信号は、第1受光信号の一例に対応する。赤外光検出信号は、第2受光信号の一例に対応する。緑色光検出信号は、第3受光信号の一例に対応する。
【0095】
出力回路23は、バンドパスフィルター25を有する。バンドパスフィルター25は、受光強度データから交流成分を抽出する。バンドパスフィルター25は、受光強度データから交流成分を抽出することによって、交流成分と直流成分に分離する。交流成分は、
図4に示す交流成分データ53に対応する。直流成分は、
図4に示す直流成分データ51に対応する。バンドパスフィルター25は、分離した交流成分と直流成分とを検出信号として制御ユニット30に出力する。バンドパスフィルター25は、フィルターの一例に対応する。交流成分は、変動成分の一例に対応する。
【0096】
バンドパスフィルター25は、第1受光エリア21aで受光した赤色光RLから赤色光交流成分を抽出する。バンドパスフィルター25は、赤色光交流成分を抽出することによって、赤色光交流成分と赤色光直流成分とを分離する。赤色光交流成分は、第1変動成分の一例に対応する。バンドパスフィルター25は、第1受光エリア21aで受光した赤外光NLから赤外光交流成分を抽出する。バンドパスフィルター25は、赤外光交流成分を抽出することによって、赤外光交流成分と赤外光直流成分とを分離する。赤外光交流成分は、第2変動成分の一例に対応する。出力回路23は、赤色光交流成分、及び赤色光直流成分を赤色光検出信号として、制御ユニット30に出力する。出力回路23は、赤外光交流成分、及び赤外光直流成分を赤外光検出信号として、制御ユニット30に出力する。
【0097】
バンドパスフィルター25は、第2受光エリア21bで受光した緑色光GLから緑色光交流成分を抽出してもよい。バンドパスフィルター25は、緑色光交流成分を抽出することによって、緑色光交流成分と緑色光直流成分とを分離する。出力回路23は、緑色光交流成分、及び緑色光直流成分を緑色光検出信号として、制御ユニット30に出力する。
【0098】
データ処理部33は、制御ユニット30で動作する機能部である。データ処理部33は、受光素子ユニット20から出力された検出信号の処理を行う。データ処理部33は、受光素子ユニット20から、赤色光検出信号、赤外光検出信号、及び緑色光検出信号を取得する。
【0099】
データ処理部33は、検出信号に対して短時間フーリエ変換を行う。データ処理部33は、検出信号に対して短時間フーリエ変換を行うことによって、周波数情報を解析する。データ処理部33は、検出信号に対して短時間フーリエ変換を行うことによって、所定の周波数範囲のスペクトログラムを求める。所定の周波数範囲は、脈波の周波数が含まれる範囲である。所定の周波数範囲は、一例として、0.5Hzから2Hzの範囲である。所定の周波数範囲は、短時間フーリエ変換を行う光の波長域によって、適宜調整される。データ処理部33は、赤色光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行い、赤色光スペクトログラムを求める。データ処理部33は、赤外光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行い、赤外光スペクトログラムを求める。データ処理部33は、緑色光検出信号に対して短時間フーリエ変換を行い、緑色光スペクトログラムを求める。
【0100】
図12は、所定時間での各検出信号の周波数と信号強度の関係を示している。データ処理部33は、緑色光スペクトログラムを用いて
図12に示す脈波領域PBを判別する。脈波領域PBは、脈波の周波数を含む領域である。脈波領域PBは、時間ごとの脈波の周波数を含む周波数領域である。脈波領域PBは、一例として、緑色光検出信号内の第3ピーク値P3を示す第3周波数F3を含む領域である。脈波領域PBは、脈動帯域の一例に対応する。緑色光検出信号は、赤色光検出信号、及び赤外光検出信号に比べ、体動等の外乱による影響を受け難い。データ処理部33は、緑色光スペクトログラムを用いて脈波領域PBを判別することによって、測定精度の高い脈波の周波数を特定することができる。
【0101】
データ処理部33は、脈波領域PBの赤色光検出信号強度、及び脈波領域PBの赤外光検出信号強度を検出する。赤色光検出信号強度は、脈波領域PB内の赤色光検出信号の信号強度を表す。赤色光検出信号強度は、一例として、脈波領域PBでの赤色光検出信号の第1ピーク値P1である。赤外光検出信号強度は、脈波領域PB内の赤外光検出信号の信号強度を表す。赤外光検出信号強度は、一例として、脈波領域PBでの赤外光検出信号の第2ピーク値P2である。
【0102】
データ処理部33は、脈波領域PBに含まれる赤色光検出信号強度、及び赤外光検出信号強度を用いて変動成分振幅比を算出する。データ処理部33は、式(1)を用いて変動成分振幅比を算出する。
【0103】
データ処理部33は、算出された変動成分振幅比に基づいて、酸素飽和濃度を決定する。データ処理部33は、メモリー40に記憶される校正テーブルPTを参照して、算出された変動成分振幅比に対応する酸素飽和濃度を求める。データ処理部33は、酸素飽和濃度を表示制御部35に出力する。データ処理部33は、酸素飽和濃度を図示しない通信インターフェイスを介して外部装置に出力してもよい。
【0104】
データ処理部33は、赤色光交流成分、及び赤外光交流成分を用いて、酸素飽和濃度を算出してもよい。データ処理部33は、赤色光交流成分、及び赤外光交流成分を用いて、変動成分振幅比を算出する。データ処理部33は、校正テーブルPTを参照して、算出された変動成分振幅比に対応する酸素飽和濃度を求める。
【0105】
データ処理部33は、赤色光検出信号、赤外光検出信号、及び緑色光検出信号を用いて相関係数を算出する。データ処理部33は、赤色光検出信号、赤外光検出信号、及び緑色光検出信号を用いて相関係数を算出することによって、酸素飽和濃度を判定する。
【0106】
データ処理部33は、一例として、赤色光検出信号と赤外光検出信号との間の相関係数、赤色光検出信号と緑色光検出信号との間の相関係数、及び赤外光検出信号と緑色光検出信号との間の相関係数を算出する。赤色光検出信号と赤外光検出信号との間の相関係数は、第1相関係数と表す。赤色光検出信号と緑色光検出信号との間の相関係数は、第2相関係数と表す。赤外光検出信号と緑色光検出信号との間の相関係数は、第3相関係数と表す。
【0107】
データ処理部33は、第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数を用いて、酸素飽和濃度を判定する評価値を算出する。評価値は、相関データの一例に対応する。データ処理部33は、第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数の積を評価値としてもよい。データ処理部33は、式(3)に示す線形和を評価値としてもよい。
re=a×r1
l+b×r2
m+c×r3
n+d (3)
ここで、reは、評価値を示す。r1、r2、r3は、それぞれ第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数を示す。a、b、c、l、m、nは、任意の定数である。a、b、c、l、m、nは、適宜設定される。
【0108】
データ処理部33は、赤色光交流成分、赤外光交流成分、及び緑色光交流成分を用いて、第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数を算出してもよい。データ処理部33は、第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数を用いて、酸素飽和濃度を判定する評価値を算出する。
【0109】
データ処理部33は、算出した評価値を信頼度データとして表示制御部35に出力してもよい。データ処理部33は、評価値を信頼度データと関連付ける変換テーブルを参照して、評価値に対応する信頼度データを求めてもよい。データ処理部33は、第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数を用いて、公知のアルゴリズムの機械学習で信頼度データを算出してもよい。機械学習には、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクタマシン、ニューラルネットワーク等が用いられる。
【0110】
図13は、酸素飽和濃度を判定するフローチャートを示している。
図13に示すフローチャートは、酸素飽和濃度測定方法を示している。酸素飽和濃度測定方法は、生体情報測定方法の一例に対応する。
図13は、第2測定装置100bで実行される酸素飽和濃度測定方法を示している。
【0111】
第2測定装置100bは、ステップS201で赤色光RL、赤外光NL、及び緑色光GLを発光する。制御ユニット30で動作する検出制御部31は、駆動回路13を介して発光素子11に発光させる。検出制御部31は、発光素子ユニット10を制御することによって、使用者Mへ光を発光させる。検出制御部31は、使用者Mへ赤色光RLを発光させる。赤色光発光素子11aは、使用者Mへ赤色光RLを発光する。検出制御部31は、使用者Mへ赤外光NLを発光させる。赤外光発光素子11bは、使用者Mへ赤外光NLを発光する。検出制御部31は、使用者Mへ緑色光GLを発光させる。緑色光発光素子11cは、使用者Mへ緑色光GLを発光する。
【0112】
第2測定装置100bは、赤色光RL、赤外光NL、及び緑色光GLを発光したのち、ステップS203で、赤色光RL、赤外光NL、緑色光GLを受光する。検出制御部31は、受光素子ユニット20に使用者Mを経由した赤色光RL、赤外光NL、及び緑色光GLを受光させる。受光素子21の第1受光エリア21aは、使用者Mで反射した赤色光RL、及び赤外光NLを受光する。受光素子21の第2受光エリア21bは、使用者Mで反射した緑色光GLを受光する。
【0113】
第2測定装置100bは、赤色光RL、赤外光NL、及び緑色光GLを受光したのち、ステップS205で、赤色光検出信号、赤外光検出信号、及び緑色光検出信号を生成する。受光素子ユニット20の出力回路23は、受光した赤色光RLに基づく赤色光検出信号を生成する。出力回路23は、受光素子21で検出した赤色光RLの受光強度データに対してアナログ-デジタル変換等の処理を行うことによって、赤色光検出信号を生成する。出力回路23は、受光した赤外光NLに基づく赤外光検出信号を生成する。出力回路23は、受光素子21で検出した赤外光NLの受光強度データに対してアナログ-デジタル変換等の処理を行うことによって、赤外光検出信号を生成する。出力回路23は、受光した緑色光GLに基づく緑色光検出信号を生成する。出力回路23は、受光素子21で検出した緑色光GLの受光強度データに対してアナログ-デジタル変換等の処理を行うことによって、緑色光検出信号を生成する。
【0114】
第2測定装置100bは、赤色光検出信号、赤外光検出信号、及び緑色光検出信号を生成したのち、ステップS207で、酸素飽和濃度、及び相関係数を算出する。データ処理部33は、緑色光検出信号を用いて脈波領域PBを決定する。データ処理部33は、脈波領域PBの赤色光検出信号、及び脈波領域PBの赤外光検出信号を用いて酸素飽和濃度を算出する。データ処理部33は、赤色光検出信号、赤外光検出信号、緑色光検出信号に基づいて、第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数を算出する。
【0115】
第2測定装置100bは、酸素飽和濃度、及び相関係数を算出したのち、ステップS209で、酸素飽和濃度を判定する。データ処理部33は、第1相関係数、第2相関係数、及び第3相関係数を用いて評価値を算出する。データ処理部33は、評価値に基づいて、酸素飽和濃度を判定する。第2測定装置100bは、酸素飽和濃度を判定することによって、酸素飽和濃度の測定精度を判定することができる。
【0116】
第2発光素子ユニット10bは、緑色光GLを発光する緑色光発光素子11cを有する。第2受光素子ユニット20bは、緑色光GLを受光し、緑色光GLに基づく緑色光検出信号を生成する。制御ユニット30は、赤色光検出信号、赤外光検出信号、及び緑色光検出信号を用いて評価値を算出する。
緑色光検出信号が評価値を算出するときに用いられることによって、評価値の精度が向上する。
【0117】
第2受光素子ユニット20bは、交流成分を抽出するバンドパスフィルター25を有する。バンドパスフィルター25は、受光した赤色光RLから赤色光交流成分を抽出し、赤外光NLから赤外光交流成分を抽出する。制御ユニット30は、赤色光交流成分、及び赤外光交流成分を用いて、酸素飽和濃度を算出する。
交流成分の信号強度は、直流成分の信号強度よりも低い。バンドパスフィルター25で分離された交流成分を用いることによって、酸素飽和濃度の測定精度は、向上する。
【符号の説明】
【0118】
1…筐体、1a…測定面、1b…表示面、2…ベルト、3…検出ユニット、3a…第1検出ユニット、3b…第2検出ユニット、4…表示パネル、10…発光素子ユニット、10a…第1発光素子ユニット、10b…第2発光素子ユニット、11…発光素子、11a…赤色光発光素子、11b…赤外光発光素子、11c…緑色光発光素子、13…駆動回路、20…受光素子ユニット、20a…第1受光素子ユニット、20b…第2受光素子ユニット、21…受光素子、21a…第1受光エリア、21b…第2受光エリア、23…出力回路、25…バンドパスフィルター、30…制御ユニット、31…検出制御部、33…データ処理部、35…表示制御部、40…メモリー、51…直流成分データ、53…交流成分データ、100…測定装置、100a…第1測定装置、100b…第2測定装置、CP…制御プログラム、F1…第1周波数、F2…第2周波数、F3…第3周波数、M…使用者、GL…緑色光、NL…赤外光、RL…赤色光、ND…赤外光検出信号データ、NW…赤外光データ、RD…赤色光検出信号データ、RW…赤色光データ、PB…脈波領域、PT…校正テーブル、P1…第1ピーク値、P2…第2ピーク値、P3…第3ピーク値。