(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068787
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】フィルム切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 1/04 20060101AFI20240514BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20240514BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20240514BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B26D1/04 Z
B65H35/04
B26D7/06 Z
B26D3/00 601B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179377
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】江口 久昭
【テーマコード(参考)】
3C027
【Fターム(参考)】
3C027GG04
3C027GG09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】所定長不足、破れ、皺等に起因するフィルムの廃棄を抑制することができ、幅等の異なる複数の原反ロールからフィルムを引き出す場合には、1回の操作で複数の原反ロールからフィルムをそれぞれ引き出すことができ、複数のフィルムの引き出しに要する時間を短縮することができる、フィルム切断装置を提供する。
【解決手段】フィルム切断装置において、ハンドル部18が操作されて引き出し部14が回転することに伴い、引き出し部14が原反ロール34からフィルム36を引き出す。切断部16は、引き出し部14の軸方向に移動することにより、フィルム36の末端56から所定長の位置でフィルム36を切断する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心に回転可能であり、回転に伴って原反ロールからシート状のフィルムを引き出す引き出し部と、
前記中心軸線に沿った軸方向に移動することで、前記原反ロールから引き出された前記フィルムを切断する切断部と、
ユーザの操作により、前記中心軸線を中心に前記引き出し部を回転させるためのハンドル部と、
を備え、
前記引き出し部は、前記中心軸線を中心とする円周上に等角度間隔で配置されると共に、前記中心軸線に沿って延びる複数のフィルム支持部を有し、
前記ハンドル部が操作されることによって前記引き出し部が回転することに伴い、前記引き出し部が前記原反ロールから前記フィルムを引き出し、前記切断部が前記軸方向に移動することにより、前記フィルムの末端から所定長の位置で前記フィルムを切断する、フィルム切断装置。
【請求項2】
請求項1記載のフィルム切断装置において、
前記引き出し部が回転するときに、複数の前記フィルム支持部のうち、1つのフィルム支持部が、前記フィルムの末端を支持する末端支持部として機能し、複数の前記フィルム支持部のうち、前記末端支持部に対して前記引き出し部の回転方向と逆方向に隣り合う他の1つのフィルム支持部が、前記フィルムのうち、前記原反ロールと前記末端との間の部分を支持する中間支持部として機能し、
前記切断部は、前記引き出し部の回転に伴って前記中間支持部が前記切断部の移動経路上に到達したときに前記軸方向に移動して、前記フィルムを切断する、フィルム切断装置。
【請求項3】
請求項2記載のフィルム切断装置において、
複数の前記フィルム支持部の各々は、互いに平行に前記軸方向に延在する第1棒状部材及び第2棒状部材を有し、
前記第2棒状部材は、前記第1棒状部材に対して前記回転方向と逆方向に間隔を置いて配置され、
前記切断部は、前記中間支持部における前記第1棒状部材と前記第2棒状部材との間を前記軸方向に移動して、前記フィルムを切断する、フィルム切断装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム切断装置において、
前記ハンドル部は、
前記中心軸線と同軸に配され、前記中心軸線を中心に前記引き出し部と一体に回転可能な中央部と、
前記中央部から前記中心軸線を中心とする径方向外側に突出し、前記ユーザが操作可能な操作部と、
を有する、フィルム切断装置。
【請求項5】
請求項2又は3記載のフィルム切断装置において、
前記切断部を前記軸方向に移動させるための切断部移動機構をさらに備え、
前記切断部移動機構は、前記ユーザによる前記ハンドル部の操作に伴う前記引き出し部の回転中に、前記フィルムのうち、前記末端支持部と前記中間支持部との間に掛け渡された部分よりも径方向外側で、前記切断部を前記軸方向に沿った第1方向に移動させ、
前記切断部は、前記第1方向への移動によって、前記フィルムを切断することなく切断待機位置まで移動し、
前記切断部移動機構は、前記中間支持部が前記切断部の移動経路上に到達したときに、前記切断部を前記切断待機位置から前記第1方向と逆方向の第2方向に移動させ、
前記切断部は、前記第2方向への移動によって、前記フィルムを切断する、フィルム切断装置。
【請求項6】
請求項5記載のフィルム切断装置において、
前記切断部移動機構は、
前記軸方向と直交する方向に延びる第1レールと、
前記第1レールに沿って摺動可能な第1スライダと、
前記軸方向に延びる第2レールと、
前記第2レールに沿って摺動可能であり、前記切断部が設けられた第2スライダと、
前記第1スライダと前記第2スライダ又は前記切断部とを連結する紐状又はワイヤ状の第1連結部と、
紐状又はワイヤ状の第2連結部と、
前記第2連結部を介して前記第2スライダ又は前記切断部に連結されたウェイトと、
を有し、
前記ユーザによる前記ハンドル部の操作によって、前記原反ロールから前記フィルムが引き出されるときには、前記第1スライダが前記ハンドル部の押圧力によって前記第1レールに沿って摺動し、前記切断部及び前記第2スライダが前記第1スライダからの前記第1連結部を介した第1引張力により前記ウェイトの荷重に抗して前記第2レールに沿って前記切断待機位置にまで移動し、
前記原反ロールから前記フィルムが前記所定長以上引き出された後、前記第1スライダが前記押圧力から解放されたときに、前記切断部及び前記第2スライダが前記ウェイトからの前記第2連結部を介した第2引張力により前記第2レールに沿って前記第2方向に移動し、前記フィルムが切断される、フィルム切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルム切断装置が開示されている。フィルム切断装置では、原反ロールから引き出されたシート状のフィルムに対して、フィルムの幅方向に切断部を移動させることでフィルムを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザは、原反ロールからフィルムを引っ張り出す必要があるので、原反からのフィルムの引き出しに時間がかかる。また、ユーザは、フィルムの幅方向に切断部を移動させることでフィルムを切断するので、所定長のフィルムを切り出すことが困難である。特に、幅等の異なる複数の原反ロールからフィルムを同時に引っ張り出す場合には、フィルムの引き出しに時間がかかると共に、フィルムの切断が一層難しくなる。切断に失敗したフィルムは、廃棄される。なお、切断の失敗例としては、フィルムの所定長不足、皺の発生、破れ等がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、フィルム切断装置であって、前記フィルム切断装置は、中心軸線を中心に回転可能であり、回転に伴って原反ロールからシート状のフィルムを引き出す引き出し部と、前記中心軸線に沿った軸方向に移動することで、前記原反ロールから引き出された前記フィルムを切断する切断部と、ユーザの操作により、前記中心軸線を中心に前記引き出し部を回転させるためのハンドル部と、を備え、前記引き出し部は、前記中心軸線を中心とする円周上に等角度間隔で配置されると共に、前記中心軸線に沿って延びる複数のフィルム支持部を有し、前記ハンドル部が操作されることによって前記引き出し部が回転することに伴い、前記引き出し部が前記原反ロールから前記フィルムを引き出し、前記切断部が前記軸方向に移動することにより、前記フィルムの末端から所定長の位置で前記フィルムを切断する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザがハンドル部を操作するだけで、原反ロールからフィルムを引き出し、原反ロールから引き出したフィルムを所定長に切断することができる。これにより、所定長に切り出されたフィルムを簡単に得ることが可能となり、所定長不足、破れ、皺等に起因するフィルムの廃棄を抑制することができる。また、幅等の異なる複数の原反ロールからフィルムを引き出す場合には、1回の操作で複数の原反ロールからフィルムをそれぞれ引き出すことができるので、複数のフィルムの引き出しに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、フィルム切断装置の右側面図である。
【
図4】
図4は、切断部移動機構の一部構成を示す右側面図である。
【
図5】
図5は、切断部移動機構の一部構成を示す背面図である。
【
図6】
図6は、フィルム切断装置の一部動作を示す右側面図である。
【
図7】
図7は、フィルム切断装置の一部動作を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係るフィルム切断装置10の正面図である。
図2は、フィルム切断装置10の右側面図である。以下の説明では、
図1において、フィルム切断装置10を見た方向を後方として、前後、左右及び上下の方向を説明する。
【0010】
フィルム切断装置10は、基台12と、引き出し部14と、切断部16と、ハンドル部18と、切断部移動機構20とを備える。
【0011】
基台12の形状は、矩形状である。基台12の四隅には、第1支柱22が立設している。右側の2本の第1支柱22の上端には、第1連結棒24が連結されている。左側の2本の第1支柱22の上端には、第2連結棒26が連結されている。第1連結棒24及び第2連結棒26は、前後方向に延びている。
【0012】
後方の2本の第1支柱22の各々には、第2支柱28が連結されている。2本の第2支柱28の各々は、後方の第1支柱22の上端から上方に延びている。2本の第2支柱28には、第1支持棒30及び第2支持棒32が連結されている。第1支持棒30及び第2支持棒32は、上下方向に間隔を隔てて、互いに平行に左右方向に延びている。
【0013】
第1支持棒30は、2本の第2支柱28の下端に連結されている。第2支持棒32は、2本の第2支柱28の上部に連結されている。
【0014】
第1支持棒30及び第2支持棒32の各々には、2本の原反ロール34が挿通されている。2本の原反ロール34には、フィルム幅が互いに異なるシート状のフィルム36がそれぞれ巻回されている。フィルム36は、例えば、一定の粘着度を有する樹脂製のフィルムである。引き出し部14は、第1支持棒30に支持されている2本の原反ロール34からフィルム36を前方に引き出す。第2支持棒32に支持されている2本の原反ロール34は、第1支持棒30に支持されている2本の原反ロール34に対する交換用の原反ロールである。
【0015】
なお、以下の説明では、第1支持棒30に支持されている2本の原反ロール34のうち、いずれか一方の原反ロール34について説明する。
【0016】
第1連結棒24及び第2連結棒26の各々には、第3支持棒38が連結されている。2本の第3支持棒38は、第1連結棒24及び第2連結棒26から上方に伸びている。2本の第3支持棒38の上端は、引き出し部14を軸支している。
【0017】
引き出し部14は、中心軸部40を有する。中心軸部40は、棒状部材である。中心軸部40は、左右方向を軸方向とする中心軸線42上に配置されている。中心軸部40の両端は、2本の第3支持棒38の上端に軸支されている。
図3に示すように、引き出し部14は、中心軸線42を中心に矢印A方向に回転可能である。
【0018】
引き出し部14は、複数のフィルム支持部44をさらに有する。複数のフィルム支持部44は、中心軸線42を中心とする円周46上に等角度間隔(角度θ)で配置されている。複数のフィルム支持部44は、中心軸線42に沿って延びている。複数のフィルム支持部44は、中心軸部40から径方向外側に延びる複数の連結部材48に連結されている。
【0019】
本実施形態では、4つのフィルム支持部44が90°間隔(θ=90°)で配置されている。また、中心軸部40の右端には、4本の連結部材48が90°間隔で設けられている。さらに、中心軸部40の左端には、4本の連結部材48が90°間隔で設けられている。従って、複数のフィルム支持部44の両端は、2本の連結部材48を介して、中心軸部40の両端に連結されている。
【0020】
複数のフィルム支持部44の各々は、第1棒状部材50と第2棒状部材52とを有する。
図1に示すように、第1棒状部材50と第2棒状部材52とは、互いに平行に軸方向に延在している。
図3に示すように、第2棒状部材52は、第1棒状部材50に対して、矢印A方向とは逆方向の矢印B方向に間隔を置いて配置されている。すなわち、第1棒状部材50は、第2棒状部材52よりも矢印A方向に位置する。引き出し部14の周方向において、1つのフィルム支持部44を構成する第1棒状部材50と第2棒状部材52との間隔は、隣り合うフィルム支持部44同士の間隔よりも小さい。第1棒状部材50の両端は、2つのL字状の連結部54を介して、2本の連結部材48に連結されている。第2棒状部材52の両端は、2本の連結部材48の先端に連結されている。
【0021】
引き出し部14は、中心軸線42を中心にA方向に回転したときに、原反ロール34からシート状のフィルム36を引き出す。具体的には、引き出し部14が矢印A方向に回転するときに、複数のフィルム支持部44のうち、1つのフィルム支持部44がフィルム36の末端56を支持する末端支持部58として機能する。従って、フィルム36の末端56が末端支持部58に支持された状態で、引き出し部14を矢印A方向に回転させると、原反ロール34からフィルム36を引き出すことができる。なお、フィルム36が一定の粘着度を有する樹脂製のフィルムである場合、フィルム36の末端56は、該フィルム36の静電気と、該フィルム36の粘着性とによって、末端支持部58に固定される。
【0022】
複数のフィルム支持部44のうち、末端支持部58に対して矢印B方向に隣り合う他の1つのフィルム支持部44は、フィルム36のうち、原反ロール34と末端56との間の部分を支持する中間支持部60として機能する。従って、中間支持部60にフィルム36を掛け渡すことで、フィルム36にテンションを付与することができる。また、中間支持部60が第1棒状部材50と第2棒状部材52とを有するので、中間支持部60にフィルム36が掛け渡されたときに、第1棒状部材50と第2棒状部材52とによって、フィルム36にテンションを容易に付与することができる。
【0023】
図1に示すように、ハンドル部18は、中心軸部40の右端に連結されている。ハンドル部18は、ユーザの操作によって、中心軸線42を中心に引き出し部14を回転させる。
図2に示すように、ハンドル部18は、中央部62と、複数の操作部64とを有する。
【0024】
図1に示すように、中央部62は、中心軸部40に対して同軸に連結されている。換言すれば、中央部62は、中心軸線42と同軸に配されている。中央部62は、中心軸線42を中心に引き出し部14と一体に回転可能である。
【0025】
図2に示すように、複数の操作部64は、中央部62から中心軸線42を中心とする径方向外側に突出している。複数の操作部64は、ユーザが操作可能なレバーである。詳しくは、複数の操作部64は、中心軸線42を中心として、中央部62に対して等角度間隔で設けられている。従って、複数のフィルム支持部44と複数の操作部64とは、同一の角度間隔(θ=90°)で設けられている(
図3参照)。複数の操作部64の各々は、中央部62から径方向外側に突出する突出部66と、突出部66の先端に連結された取手部68とを有する。
【0026】
ユーザが取手部68を把持した状態で中心軸線42を中心にハンドル部18を矢印A方向に回転させると、引き出し部14が矢印A方向に回転する。これにより、引き出し部14は、原反ロール34からフィルム36を引き出すことができる。
【0027】
図1に示すように、切断部16は、カッターナイフ等の刃物である。切断部16は、中心軸線42に沿った左右方向(軸方向)に移動することで、原反ロール34から引き出されたフィルム36を切断する。具体的には、引き出し部14が原反ロール34からフィルム36を引き出したときに、切断部16は、左右方向に移動することで、フィルム36の末端56(
図3参照)から矢印B方向に所定長の位置でフィルム36を切断する。従って、切断部16の移動経路は、左右方向に沿った経路である。
【0028】
詳しくは、切断部16は、引き出し部14の回転に伴い、中間支持部60が切断部16の移動経路上に到達したときに、左右方向に移動して、フィルム36を切断する(
図8B参照)。中間支持部60が第1棒状部材50と第2棒状部材52とを有するので、切断部16は、中間支持部60が切断部16の移動経路上に到達したときに、第1棒状部材50と第2棒状部材52との間を左右方向に移動して、フィルム36を切断する。
【0029】
図1に示すように、切断部移動機構20は、切断部16を左右方向に移動させる。切断部移動機構20は、ユーザによるハンドル部18の操作に伴う引き出し部14の回転中、切断部16を右方向(第1方向)に移動させる。この場合、切断部移動機構20は、フィルム36のうち、末端支持部58と中間支持部60との間に掛け渡された部分よりも径方向外側で、切断部16を第1方向に移動させる(
図7及び
図8A参照)。従って、切断部16は、右方向への移動中、フィルム36を切断することなく、切断待機位置70まで移動することができる。切断待機位置70は、切断部16の移動経路における右端の位置である。
【0030】
また、切断部移動機構20は、中間支持部60が切断部16の移動経路上に到達したときに、切断部16を切断待機位置70から左方向(第2方向)に移動させる(
図1参照)。これにより、切断部16は、左方向への移動によって、フィルム36を切断することができる(
図8B参照)。
【0031】
具体的には、切断部移動機構20は、第1レール72(
図2参照)と、第1スライダ74と、第2レール76(
図1参照)と、第2スライダ78と、第1連結部80と、第3レール82と、ウェイト84と、第2連結部86とを有する。
【0032】
図2に示すように、基台12及び第1連結棒24には、第1支持部材88が連結されている。第1支持部材88は、基台12及び第1連結棒24から上方に延びている。第1支持部材88の上端は、第2支柱28の上端よりも上方に位置する。第1レール72の一端は、第1支持部材88の上端に連結されている。第1レール72の他端は、右側の第2支柱28の上端に連結されている。従って、第1レール72は、前方に行くほど、斜め上方に延びている。
【0033】
第1スライダ74は、第1レール72に沿って摺動可能である。第1レール72の他端には、移動規制部材90が装着されている。移動規制部材90は、クッション部材である。移動規制部材90は、第1スライダ74の後方への移動を規制すると共に、第1スライダ74が第1レール72の他端に移動したときの衝撃を緩和する。
【0034】
図1及び
図2に示すように、第1連結棒24及び第2連結棒26の各々には、第2支持部材92が連結されている。2つの第2支持部材92は、第1連結棒24及び第2連結棒26から上方に延びている。左右の第2支持部材92の上端は、引き出し部14よりも上方に位置する。第2レール76の右端は、右側の第2支持部材92の上端に連結されている。第2レール76の左端は、左側の第2支持部材92の上端に連結されている。第2レール76は、引き出し部14の上方で、左右方向に延びている。
【0035】
第2スライダ78は、引き出し部14の上方で、第2レール76に沿って摺動可能である。切断部16は、第2スライダ78に設けられている。切断部16は、第2レール76の前方で、第2スライダ78の下部に取り付けられている。第2スライダ78が第2レール76に沿って右方向に移動する場合、第2レール76の右端が切断待機位置70になる(
図7参照)。また、第2スライダ78が第2レール76に沿って切断待機位置70から左方向に移動する場合、第2レール76の左端が切断完了後の第2スライダ78及び切断部16の位置になる(
図1参照)。
【0036】
図4及び
図5に示すように、第1連結部80は、第1スライダ74と切断部16又は第2スライダ78とを連結する。第1連結部80は、紐状又はワイヤ状の部材である。具体的には、第1連結部80の一端は、第1スライダ74に連結されている(
図4参照)。第1連結部80の他端は、第2スライダ78に連結されている(
図5参照)。なお、第2スライダ78に切断部16が設けられているので、第1連結部80の他端が切断部16に連結されてもよい。
【0037】
図2に示すように、右側の第2支持部材92と第1支持部材88とは、第3連結棒94を介して連結されている。第3連結棒94は、前後方向に延びている。第3連結棒94の前端は、第1支持部材88に連結されている。第3連結棒94は、該第2支持部材92を貫通して後方に延在している。第3連結棒94の後端には、第3支持部材96が連結されている。第3支持部材96は、上下方向に延びている。
図2及び
図6に示すように、右側の第2支柱28の上端と、第3連結棒94と第3支持部材96との連結箇所と、第3支持部材96における該連結箇所の上方とには、それぞれ、第1プーリ98が回転可能に取り付けられている。3つの第1プーリ98には、第1連結部80が掛け渡されている。
【0038】
図1及び
図5に示すように、左側の第2支持部材92には、前後方向に延びる連結部材(不図示)を介して、第4支持部材100が連結されている。第4支持部材100は、該第2支持部材92及び第2レール76の後方で上下方向に延びている。第4支持部材100の上端には、第2プーリ102が回転可能に取り付けられている。第4支持部材100の左方には、第3レール82が配されている。第3レール82は、上下方向に延びている。第3レール82の下端は、基台12に固定されている。第3レール82の上部は、第4支持部材100に固定されている。
【0039】
ウェイト84は、第3レール82に沿って摺動可能である。
【0040】
第2連結部86は、切断部16又は第2スライダ78とウェイト84とを連結する。第2連結部86は、紐状又はワイヤ状の部材である。具体的には、第2連結部86の一端は、第2スライダ78に連結されている。第2連結部86の他端は、ウェイト84に連結されている。なお、第2スライダ78に切断部16が設けられているので、第2連結部86の一端が切断部16に連結されてもよい。第2連結部86は、第2プーリ102に掛け渡されている。
【0041】
第1連結部80及び第2連結部86が紐状の部材である場合、該紐状の部材には、紐、ワイヤ等が含まれる。
【0042】
次に、本実施形態に係るフィルム切断装置10の動作について説明する。
【0043】
先ず、ユーザは、複数のフィルム支持部44のうち、1つのフィルム支持部44の第2棒状部材52にフィルム36の末端56(
図3参照)を支持させる。このときに、フィルム36の末端56を支持しているフィルム支持部44が、末端支持部58として機能する。
【0044】
次に、ユーザは、ハンドル部18の取手部68を把持し、ハンドル部18を矢印A方向に回転させる(
図2参照)。ユーザによるハンドル部18の操作により、引き出し部14は、ハンドル部18の回転に連動して、矢印A方向に回転する(
図3参照)。これにより、フィルム36は、原反ロール34から引き出される。
【0045】
このときに、末端支持部58に対して矢印B方向に隣り合う他の1つのフィルム支持部44は、フィルム36のうち、末端56と原反ロール34との間の部分を支持する中間支持部60として機能する。これにより、フィルム36の該部分は、中間支持部60の第1棒状部材50及び第2棒状部材52に支持される共に、テンションが付与される。
【0046】
また、ハンドル部18が矢印A方向に回転することで、1つの操作部64が第1スライダ74に当接し、該第1スライダ74を押圧する(
図6参照)。この操作部64は、ユーザが操作する操作部64に対して、矢印B方向に隣接する他の操作部64である。
【0047】
第1スライダ74は、ハンドル部18の回転に伴う他の操作部64からの押圧力によって、第1レール72に沿って斜め上方に摺動する。これにより、第1連結部80が第1スライダ74に引っ張られ、切断部16及び第2スライダ78には、第1連結部80を介して、第1スライダ74に向かう第1引張力が作用する(
図4及び
図5参照)。第1引張力は、切断部16及び第2スライダ78を右方向に引っ張る力である。ユーザは、第1スライダ74から他の操作部64に作用する荷重を感じながら、ハンドル部18を操作する。
【0048】
切断部16及び第2スライダ78は、第2連結部86を介して、ウェイト84に連結されている。ウェイト84は、切断部16及び第2スライダ78よりも下方に位置する(
図1参照)。そのため、切断部16及び第2スライダ78には、ウェイト84に向かう第2引張力が作用する。第2引張力は、切断部16及び第2スライダ78を左方向に引っ張る力である。
【0049】
ユーザによるハンドル部18の操作に起因して、第1引張力が第2引張力よりも大きくなれば、切断部16及び第2スライダ78は、
図7に示すように、ウェイト84の荷重に抗して、第2レール76に沿って、右方向に移動する。このときに、切断部16及び第2スライダ78は、フィルム36のうち、末端支持部58と中間支持部60との間に掛け渡された部分よりも径方向外側で、右方向に移動する(
図7及び
図8A参照)。従って、切断部16及び第2スライダ78は、右方向への移動によって、フィルム36を切断することなく、切断待機位置70まで移動することができる。
【0050】
切断部16及び第2スライダ78が切断待機位置70にまで移動し、且つ、中間支持部60が切断部16の移動経路上に到達し、その後、ユーザが操作部64を矢印A方向にさらに回転させると、他の操作部64が第1スライダ74よりも下方に変位する。これにより、第1スライダ74は、他の操作部64による押圧状態から解放される。この結果、第1スライダ74は、第1レール72に沿って、
図2に示す位置に戻る。
【0051】
第1スライダ74が戻ることで、切断部16及び第2スライダ78(
図7参照)に作用する第1引張力が消滅する。これにより、切断部16及び第2スライダ78には、ウェイト84から第2連結部86を介した第2引張力のみが作用する。第1引張力の消滅に伴い、ウェイト84は、重力によって下方に移動する。この結果、切断部16及び第2スライダ78は、第2引張力によって、第2レール76に沿って、左方向に移動する(
図1参照)。
【0052】
上記のように、中間支持部60が切断部16の移動経路上に到達しているので(
図8B参照)、切断部16は、ウェイト84に作用する重力によって、中間支持部60における第1棒状部材50と第2棒状部材52との間を左方向に移動する。これにより、フィルム36は、末端56から矢印B方向に所定長の位置で一気に切断される。この結果、所定長のフィルム36が容易に得られる。すなわち、ユーザは、ハンドル部18を操作して、カット位置である切断部16の移動経路上に中間支持部60の位置を合わせることにより、簡単な操作で所定長のフィルム36を容易に得ることができる。なお、フィルム36が切断部16によって切断されることに伴って、フィルム36において新たな末端56が形成される。このため、中間支持部60として機能していたフィルム支持部44が、次の末端支持部58となる。このように、フィルム36が切断される毎に、複数のフィルム支持部44において、末端支持部58として機能するフィルム支持部44が順次入れ替わる。
【0053】
切り出されたフィルム36は、例えば、車両のドア、ステップ等を覆うラップテープとして使用される。また、フィルム36の切断後も、中間支持部60の第2棒状部材52には、フィルム36が支持されている。これにより、支持されたフィルム36の部分を該フィルム36の末端56として、次のフィルム36の切断作業を行うことが可能となる。
【0054】
上記の実施形態から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0055】
本発明の態様は、フィルム切断装置(10)であって、前記フィルム切断装置は、中心軸線(42)を中心に回転可能であり、回転に伴って原反ロール(34)からシート状のフィルム(36)を引き出す引き出し部(14)と、前記中心軸線に沿った軸方向に移動することで、前記原反ロールから引き出された前記フィルムを切断する切断部(16)と、ユーザの操作により、前記中心軸線を中心に前記引き出し部を回転させるためのハンドル部(18)と、を備え、前記引き出し部は、前記中心軸線を中心とする円周(46)上に等角度間隔で配置されると共に、前記中心軸線に沿って延びる複数のフィルム支持部(44)を有し、前記ハンドル部が操作されることによって前記引き出し部が回転することに伴い、前記引き出し部が前記原反ロールから前記フィルムを引き出し、前記切断部が前記軸方向に移動することにより、前記フィルムの末端(56)から所定長の位置で前記フィルムを切断する。
【0056】
本発明によれば、ユーザがハンドル部を操作するだけで、原反ロールからフィルムを引き出し、原反ロールから引き出したフィルムを所定長に切断することができる。これにより、所定長に切り出されたフィルムを簡単に得ることが可能となり、所定長不足、破れ、皺等に起因するフィルムの廃棄を抑制することができる。また、幅等の異なる複数の原反ロールからフィルムを引き出す場合には、1回の操作で複数の原反ロールからフィルムをそれぞれ引き出すことができるので、複数のフィルムの引き出しに要する時間を短縮することができる。
【0057】
本発明の態様において、前記引き出し部が回転するときに、複数の前記フィルム支持部のうち、1つのフィルム支持部が、前記フィルムの末端を支持する末端支持部(58)として機能し、複数の前記フィルム支持部のうち、前記末端支持部に対して前記引き出し部の回転方向と逆方向に隣り合う他の1つのフィルム支持部が、前記フィルムのうち、前記原反ロールと前記末端との間の部分を支持する中間支持部(60)として機能し、前記切断部は、前記引き出し部の回転に伴って前記中間支持部が前記切断部の移動経路上に到達したときに前記軸方向に移動して、前記フィルムを切断する。
【0058】
末端支持部と中間支持部とによってフィルムを支持するため、引き出し部を回転させるだけで、原反ロールからフィルムを容易に引き出すことができる。また、中間支持部にフィルムを掛け渡すことで、フィルムにテンションを付与することができる。これにより、原反ロールから引き出されたフィルムを所定長に容易且つ確実に切断することができる。
【0059】
本発明の態様において、複数の前記フィルム支持部の各々は、互いに平行に前記軸方向に延在する第1棒状部材(50)及び第2棒状部材(52)を有し、前記第2棒状部材は、前記第1棒状部材に対して前記回転方向と逆方向に間隔を置いて配置され、前記切断部は、前記中間支持部における前記第1棒状部材と前記第2棒状部材との間を前記軸方向に移動して、前記フィルムを切断する。
【0060】
中間支持部における第1棒状部材と第2棒状部材との間の位置でフィルムを切断するので、フィルムを切断した後、次のフィルムの末端を第2棒状部材により支持することができる。これにより、次のフィルムを確実に引き出すことができる。
【0061】
本発明の態様において、前記ハンドル部は、前記中心軸線と同軸に配され、前記中心軸線を中心に前記引き出し部と一体に回転可能な中央部(62)と、前記中央部から前記中心軸線を中心とする径方向外側に突出し、前記ユーザが操作可能な操作部(64)と、を有する。
【0062】
ハンドル部が引き出し部と同軸に一体に回転可能であるため、ユーザによる操作部の操作方向及び操作量が、引き出し部の回転方向及び回転量とそれぞれ一致する。これにより、直感的な操作が可能であるため、原反ロールからフィルムを一層容易に引き出すことができる。
【0063】
本発明の態様において、前記フィルム切断装置は、前記切断部を前記軸方向に移動させるための切断部移動機構(20)をさらに備え、前記切断部移動機構は、前記ユーザによる前記ハンドル部の操作に伴う前記引き出し部の回転中に、前記フィルムのうち、前記末端支持部と前記中間支持部との間に掛け渡された部分よりも径方向外側で、前記切断部を前記軸方向に沿った第1方向に移動させ、前記切断部は、前記第1方向への移動によって、前記フィルムを切断することなく切断待機位置(70)まで移動し、前記切断部移動機構は、前記中間支持部が前記切断部の移動経路上に到達したときに、前記切断部を前記切断待機位置から前記第1方向と逆方向の第2方向に移動させ、前記切断部は、前記第2方向への移動によって、前記フィルムを切断する。
【0064】
原反ロールからフィルムを引き出しているときに、フィルムを切断することなく切断部を切断待機位置まで移動させることができるため、原反ロールから引き出されたフィルムを所定長に確実に切断することができる。
【0065】
本発明の態様において、前記切断部移動機構は、前記軸方向と直交する方向に延びる第1レール(72)と、前記第1レールに沿って摺動可能な第1スライダ(74)と、前記軸方向に延びる第2レール(76)と、前記第2レールに沿って摺動可能であり、前記切断部が設けられた第2スライダ(78)と、前記第1スライダと前記第2スライダ又は前記切断部とを連結する紐状又はワイヤ状の第1連結部(80)と、紐状又はワイヤ状の第2連結部(86)と、前記第2連結部を介して前記第2スライダ又は前記切断部に連結されたウェイト(84)と、を有し、前記ユーザによる前記ハンドル部の操作によって、前記原反ロールから前記フィルムが引き出されるときには、前記第1スライダが前記ハンドル部の押圧力によって前記第1レールに沿って摺動し、前記切断部及び前記第2スライダが前記第1スライダからの前記第1連結部を介した第1引張力により前記ウェイトの荷重に抗して前記第2レールに沿って前記切断待機位置にまで移動し、前記原反ロールから前記フィルムが前記所定長以上引き出された後、前記第1スライダが前記押圧力から解放されたときに、前記切断部及び前記第2スライダが前記ウェイトからの前記第2連結部を介した第2引張力により前記第2レールに沿って前記第2方向に移動し、前記フィルムが切断される。
【0066】
ユーザがハンドル部を操作するだけで、原反ロールからのフィルムの引き出しと、フィルムの切断とを行うことができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0068】
10…フィルム切断装置 14…引き出し部
16…切断部 18…ハンドル部
34…原反ロール 36…フィルム
42…中心軸線 44…フィルム支持部
46…円周 56…末端