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特開2024-6881コンタクトレンズ用の色止め組成物、コンタクトレンズ及びその製造方法
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  • 特開-コンタクトレンズ用の色止め組成物、コンタクトレンズ及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006881
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ用の色止め組成物、コンタクトレンズ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20240110BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240110BHJP
   C08L 101/14 20060101ALI20240110BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20240110BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20240110BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20240110BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20240110BHJP
   C08L 35/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G02C7/04
C08L101/00
C08L101/14
C08K5/00
C08K9/02
C08K3/01
C08L33/02
C08L35/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181064
(22)【出願日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】111124245
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512020327
【氏名又は名称】ペガヴィジョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PEGAVISION CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2F-1,No.5,SHING YEH ST.,GUISHAN DIST.,TAOYUAN CITY 333,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】フアン,イン-ジェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ポ-ツン
【テーマコード(参考)】
2H006
4J002
【Fターム(参考)】
2H006BB03
2H006BB05
2H006BB08
2H006BC07
4J002AB01X
4J002BC02W
4J002BE02X
4J002BG01W
4J002BJ00X
4J002CH02X
4J002DE096
4J002DE116
4J002DE136
4J002DE146
4J002DH007
4J002DJ016
4J002DJ056
4J002DK006
4J002EF108
4J002EG008
4J002EH078
4J002EW038
4J002EW048
4J002EX018
4J002FD207
4J002FD208
4J002FD20X
4J002GP01
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】パール調の色合いのあるコンタクトレンズ用の色止め組成物を提供する。
【解決手段】パール調の色合いのあるコンタクトレンズ用の色止め組成物は、パールトナーと、補助剤と、を含む。補助剤は、アルコール類、アミン類、ケトン類、アルケン類、エステル類、樹脂類、ポリアミド、セルロース類、多塩基酸類、アンモニウム塩類、リン酸類、オレフィン酸類、又はシラン類のうちの少なくとも2つを含有して、パールトナーをレンズに安定的に付着させ、パターン層を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パールトナーと、
アルコール類、アミン類、ケトン類、アルケン類、エステル類、樹脂類、ポリアミド、セルロース類、多塩基酸類、アンモニウム塩類、リン酸類、オレフィン酸類、又はシラン類のうちの少なくとも2つを含有する補助剤と、
を含むコンタクトレンズ用の色止め組成物。
【請求項2】
前記補助剤が、
アルコール類、アミン類、ケトン類、アルケン類、エステル類、又はそれらの組合せを含む溶剤と、
ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリスチレン類樹脂及びその誘導体、ポリアミド、又はそれらの組合せを含む増粘剤と、
ポリビニルアルコール、セルロース及びその誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びその共重合体、ヒドロキシアパタイト、又はそれらの組合せを含む親水性高分子と、
多塩基酸類、アンモニウム塩類、リン酸類、オレフィン酸類、シラン類又はそれらの組合せを含む分散剤と、
を更に備える請求項1に記載の色止め組成物。
【請求項3】
前記多塩基酸類が、多価カルボン酸を含み、
前記アンモニウム塩類が、アルキルトリメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、又はアルキルアンモニウム塩を含み、
前記リン酸類が、リン酸エステル、リン酸三ナトリウム、又はピロリン酸ナトリウムを含み、
前記オレフィン酸類が、アクリレート又はエチレングリコールジメタクリレートを含み、
前記シラン類が、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、又はビニルトリイソプロポキシシランを含む請求項2に記載の色止め組成物。
【請求項4】
前記パールトナーが、マイカ、ホウケイ酸アルミニウムカルシウム、アルミナ、又は二酸化ケイ素をマトリックスとして含み、マトリックスの表面を二酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、又はそれらの組合せにより被覆する請求項1に記載の色止め組成物。
【請求項5】
前記色止め組成物の総重量を100%とすると、
前記パールトナーの重量パーセントは、5%~40%であり、
前記補助剤の重量比は、60%~95%である請求項1に記載の色止め組成物。
【請求項6】
無機トナー、有機トナー、又はそれらの組合せを更に含む請求項1に記載の色止め組成物。
【請求項7】
前記無機トナーが、二酸化チタン類トナー、チタンフェノール類トナー、酸化鉄類トナー、又はそれらの組合せを含む請求項6に記載の色止め組成物。
【請求項8】
前記色止め組成物の総重量を100%とすると、
前記パールトナーの重量パーセントは15%~40%未満であり、
前記無機トナーの重量パーセントは1%~20%であり、
前記補助剤の重量パーセントは40%~85%である請求項6に記載の色止め組成物。
【請求項9】
前記有機トナーがビスアゾ類トナー、モノアゾ類トナー、フタロシアニン類トナー、トリフェノジオキサジン類トナー、又はそれらの組合せを含む請求項6に記載の色止め組成物。
【請求項10】
前記色止め組成物の総重量を100%とすると、
前記パールトナーの重量パーセントは15%~40%であり、
前記有機トナーの重量パーセントは1%~4%であり、
前記補助剤の重量パーセントは40%~85%である請求項6に記載の色止め組成物。
【請求項11】
前記色止め組成物の総重量を100%とすると、
前記パールトナーの重量パーセントは10%~30%であり、
前記無機トナーの重量パーセントは1%~30%であり、
前記有機トナーの重量パーセントは1%~4%であり、
前記補助剤の重量パーセントは40%~85%である請求項6に記載の色止め組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の色止め組成物を提供する工程と、
色止め組成物をテンプレートに充填し、コロイド層を形成する工程と、
前記コロイド層を第1の金型内に転写し、硬化後にパターン層を形成する工程と、
組成物を前記第1の金型内に注入し、前記パターン層を被覆する工程と、
前記パターン層と前記組成物を硬化させ、パール調の色合いのあるレンズを形成する工程と、
を含むパール調の色合いのあるレンズの製造方法。
【請求項13】
前記組成物が、ハイドロゲル又はシリコーンハイドロゲルを含む請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記組成物を前記第1の金型内に注入し、前記パターン層を被覆する前記工程の後に、第2の金型と第1の金型とを型締めする工程を更に含む請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記パターン層が目の虹彩、強膜、又はそれらの組合せに対応する請求項12に記載の製造方法。
【請求項16】
前記パターン層がランダムな模様である請求項12に記載の製造方法。
【請求項17】
前記パターン層が非ランダムな模様である請求項12に記載の製造方法。
【請求項18】
前記パターン層と前記組成物を硬化させる前記工程が、前記パターン層と前記組成物を紫外線又は熱により硬化させる工程を含む請求項12に記載の製造方法。
【請求項19】
レンズ本体と、
前記レンズ本体上に被覆され、請求項1に記載の色止め組成物を硬化させて形成されるパターン層と、
を含むパール調の色合いのある色止め組成物のコンタクトレンズ。
【請求項20】
前記パターン層が目の虹彩、強膜、又はそれらの組合せに対応する請求項19に記載のコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は色止め組成物、コンタクトレンズ及びその製造方法に関し、且つ特にパール調の色合いのあるコンタクトレンズ用の色止め組成物、コンタクトレンズ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズが日増しに普及することに伴い、コンタクトレンズの装着の快適性は、装着者にますます重視されている。ハイドロゲル(hydrogel)で製造されたコンタクトレンズは、保湿機能に優れているため、長時間装着しても角膜に水分を十分に含ませることができ、角膜の乾燥による目の不快症状を起こしにくい。そのため、ハイドロゲルは、コンタクトレンズの好ましい成分の1つになる。また、シリコーンハイドロゲル(silicone hydrogel)コンタクトレンズは、シロキサン化合物を含むため、高い酸素透過性を有する。十分な酸素は、レンズを通して角膜に直接接触し、角膜に十分な酸素を含ませることができる。これにより、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは長時間装着しても、角膜の酸素不足による目の不快感が生じにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンタクトレンズは、装着快適性に加えて、装着後にきらめいて変色する効果を目に展示させることもますます装着者に重視されている。このようなコンタクトレンズは、虹彩と強膜に対して、特別な模様やきらめき感を設計することができる。しかしながら、きらめいて変色する外観効果をもたらす顔料の製造方法には、コンタクトレンズ本体での顔料の安定性及び安全性の問題がある。従って、従来の技術は改善される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態は、パールトナーと、アルコール類、アミン類、ケトン類、アルケン類、エステル類、樹脂類、ポリアミド、セルロース類、多塩基酸類、アンモニウム塩類、リン酸類、オレフィン酸類、又はシラン類のうちの少なくとも2つを含有する補助剤と、を含むコンタクトレンズ用の色止め組成物を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態において、補助剤は、アルコール類、アミン類、ケトン類、アルケン類、エステル類、又はそれらの組合せを含む溶剤と、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリスチレン類樹脂及びその誘導体、ポリアミド、又はそれらの組合せを含む増粘剤と、ポリビニルアルコール、セルロース及びその誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びその共重合体、ヒドロキシアパタイト、又はそれらの組合せを含む親水性高分子と、多塩基酸類、アンモニウム塩類、リン酸類、オレフィン酸類、シラン類又はそれらの組合せを含む分散剤と、を更に備える。
【0006】
いくつかの実施形態において、多塩基酸類は、多価カルボン酸(polycarboxylic acid)を含み、アンモニウム塩類は、アルキルトリメチルベンジルアンモニウム塩(alkyl trimethyl benzyl ammonium salt)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(dialkyl dimethyl ammonium salt)、又はアルキルアンモニウム塩(alkylammonium salt)を含み、リン酸類は、リン酸エステル(phosphoric acid ester)、リン酸三ナトリウム(trisodium phosphate)、又はピロリン酸ナトリウム(sodium pyrophosphate)を含み、オレフィン酸類は、アクリレート(acrylic ester)又はエチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)を含み、シラン類は、ビニルトリメトキシシラン(vinyltrimethoxysilane)、トリエトキシビニルシラン(triethoxyvinylsilane)、又はビニルトリイソプロポキシシラン(triisopropoxyvinylsilane)を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、パールトナーは、マイカ(mica)、ホウケイ酸アルミニウムカルシウム(calcium aluminum borosilicate)、アルミナ(aluminum oxide)、又は二酸化ケイ素(silicon dioxide)をマトリックスとして含み、二酸化チタン(titanium dioxide)、酸化鉄(iron oxide)、酸化スズ(tin oxide)、又はそれらの組合せによりマトリックスの表面を被覆したものを含む。例えば、パール光沢効果を生じるために、二酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、又はそれらの組合せをカバーリングによりマトリックスの表面に被覆する。
【0008】
いくつかの実施形態において、色止め組成物の総重量を100%とすると、パールトナーの重量パーセントは5%~40%であり、補助剤の重量パーセントは60%~95%である。
【0009】
いくつかの実施形態において、色止め組成物は無機トナー、有機トナー、又はそれらの組合せを更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、無機トナーは、二酸化チタン類トナー、チタンフェノール類トナー、酸化鉄類トナー、又はそれらの組合せを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、色止め組成物の総重量を100%とすると、パールトナーの重量パーセントは15%~40%未満であり、無機トナーの重量パーセントは1%~20%であり、補助剤の重量パーセントは40%~85%である。
【0012】
いくつかの実施形態において、有機トナーは、ビスアゾ類トナー、モノアゾ類トナー、フタロシアニン(phthalocyanine)類トナー、トリフェノジオキサジン(triphenodioxazine)類トナー、又はそれらの組合せを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、色止め組成物の総重量を100%とすると、パールトナーの重量パーセントは15%~40%であり、有機トナーの重量パーセントは1%~4%であり、補助剤の重量パーセントは40%~85%である。
【0014】
いくつかの実施形態において、色止め組成物の総重量を100%とすると、パールトナーの重量パーセントは10%~30%であり、無機トナーの重量パーセントは1%~30%であり、有機トナーの重量パーセントは1%~4%であり、補助剤の重量パーセントは40%~85%である。
【0015】
本開示の別の実施形態は、前述したような色止め組成物を提供する工程と、色止め組成物をテンプレートに充填し、コロイド層を形成する工程と、コロイド層を第1の金型内に転写し、硬化した後にパターン層を形成する工程と、組成物を第1の金型内に注入して、パターン層を被覆する工程と、パターン層と組成物を硬化させ、パール調の色合いのあるレンズを形成する工程と、を含むパール調の色合いのあるレンズの製造方法を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態において、組成物は、ハイドロゲル又はシリコーンハイドロゲルを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、組成物を第1の金型内に注入して、パターン層を被覆する工程の後に、第2の金型と第1の金型とを型締めする工程を更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、パターン層は、目の虹彩、強膜、又はそれらの組合せに対応する。
【0019】
いくつかの実施形態において、パターン層は、ランダムな模様である。
【0020】
いくつかの実施形態において、パターン層は、非ランダムな模様である。
【0021】
いくつかの実施形態において、パターン層と組成物を硬化させる工程は、紫外線又は熱によるパターン層と組成物に対する硬化を含む。
【0022】
レンズ本体と、レンズ本体上に被覆され、前述したような色止め組成物を硬化させて形成されるパターン層と、を含むパール調の色合いのある色止め組成物のコンタクトレンズである。
【0023】
いくつかの実施形態において、パターン層は、目の虹彩、強膜、又はそれらの組合せに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の様々な態様は、図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと最も理解しやすい。注意すべきこととして、業界の標準的な操作規定に基づいて、さまざまな特徴構造は比例して描かれていない可能性がある。実際には、論述の明瞭性のために、様々な特徴構造のサイズを任意に増減することができる。本開示の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより明瞭にわかりやすくするために、図面を以下のように説明する。
図1】本開示の一実施形態に係るパール調の色合いのあるレンズの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の説明をより詳細且つ完璧にするために、本開示の実施形態及び具体的な実施例について以下に説明的な記述が提示されるが、これは本開示の具体的な実施例を実施又は運用するための唯一の形態ではない。以下に開示される各実施例は、有益な場合で互いに組み合わせ又は取り替わってもよいし、さらなる記載又は説明なしに、他の実施例を一実施例に追加してもよい。以下の説明では、下記の実施例を読者に十分に理解させるために、多くの特定の細部を詳述する。しかしながら、本開示の実施例は、そのような特定の細部なしに実施されてもよい。
【0026】
また、「下」、「上」などの空間的相対用語は、ある素子又は特徴と他の素子又は特徴との図面における相対的関係を容易に説明するためのものである。これらの空間的相対用語は、図中に示されている方位に加えて、使用時又は動作時の装置の異なる方位を含むことを目指す。装置は、別途に配置されてもよく(例えば、90度回転するか又は他の方向)、本明細書で使用される空間的な相対的記述もそれに対応して解釈されてもよい。
【0027】
本明細書において、「一」と「該」は、文中において冠詞について特に限定されない限り、単一又は複数を指すことができる。更に理解されるように、本明細書で使用される「含む」、「備える」、「有する」及び類似する言葉は、それらで記載された特徴、領域、整数、工程、動作、素子及び/又は部材を示すが、それらで記載された又は追加されたそれらの1つ又は複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、動作、素子、部材、及び/又はそれらの群を除外しない。
【0028】
以下にいくつかの実施例及び実験例を挙げて、本開示のパール調の色合いのあるコンタクトレンズ用の色止め組成物及びコンタクトレンズの製造方法をより詳細に説明するが、それは例示的な説明のためのものに過ぎず、本開示を限定するためのものではなく、本開示の保護範囲は、後文に添付される特許請求の範囲によって画定されるものを基準とする。
【0029】
本明細書において、「パール調の色合い」は、真珠光沢に加えて、様々な金属色合い又は宝石のきらめく光沢を含んでもよい。例えば、パールトナー中の宝石金は、金色の宝石のような真珠光沢を呈し、パールトナー中のカーボンブラックは、黒色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の黒は、黒灰色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の銀白は、銀白色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の金は、金色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の浅金は、浅金色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の赤/銅/金は、桃の紫色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の茶色は、銅褐色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の紫は、薄紫色の真珠光沢を呈し、パールトナー中の濃紫は、濃紫色の真珠光沢を呈し、又は、パールトナー中の青は、青色の真珠光沢を呈する。
【0030】
本開示は、色止め系によってパールトナーをレンズの着色層に安定的に付着させ、装着の安全性を高めるとともに、色止め組成物によって特定のパターンと色を呈する。
【0031】
いくつかの実施形態において、色止め組成物は、パールトナーと補助剤とを含む。
【0032】
パールトナー
【0033】
いくつかの実施形態において、パールトナーは、マイカ、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化鉄、アルミナ、ホウケイ酸アルミニウムカルシウム、酸化スズ、その類似のもの、又はそれらの組合せを含む。詳細的には、パールトナーは、パール顔料とも呼ばれ、主に基材が酸化物により被覆されて形成される。酸化物による被覆の厚さと比例は呈色に影響を与え、且つ異なる基材と異なる酸化物との組み合わせは異なる光沢及び効果を現す。
【0034】
いくつかの実施形態において、基材は、以下のように分類され得る。
【0035】
1.天然基材-マイカ:天然マイカは、パールトナーの基材として用いられる天然鉱物である。その化学的と機械的性質のため、光沢効果トナーの基材として好適である。
【0036】
2.合成基材:合成基材が提供する効果は、主に製造過程における化学純度と粒子形状への精密な制御に基づく。合成基材の特性は、滑らかで規則的な表面、及び純白の粉末色である。一実施例において、合成マイカ(合成フッ素金雲母)は、基材及びトナーを精密に制御するため、純白の粉末色を有することに加えて、高輝度の特性を示す。
【0037】
3.二酸化ケイ素:合成した二酸化ケイ素シートは、厚さの分布が非常に均一であり、各々の厚さが同じである。このような基材からなるトナーの特性は、角度によっては異なる色(即ち干渉色)を屈折させることができることである。
【0038】
4.シート状アルミナ:アルミナシートは、特別な光輝き効果を提供することができる。アルミナ基材は、パールの粒径分布が狭く(5マイクロメートル~40マイクロメートル)、且つ表面の光反射率が高いため、クリスタルのような高いきらめく効果を呈する。アルミナ基材は、明らかな純白の色合いを有し、銀白色の干渉色効果を配合するのに有利である。
【0039】
5.ホウ素アルミニウムケイ酸カルシウム:ホウ素アルミニウムケイ酸カルシウムは、純粋できらびやかな色彩効果を実現する基材である。このような基材を基礎としたパール光沢は、高い透明度を有する明るい色を提供する。
【0040】
6.オキシ塩化ビスマス:オキシ塩化ビスマスは、アスペクト比と結晶体サイズによって異なるパール光沢効果を有する。オキシ塩化ビスマスは、銀白色のパール光沢効果を呈する。
【0041】
いくつかの実施形態において、パールトナーは、マイカ、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化鉄、アルミナ、ホウケイ酸アルミニウムカルシウム、酸化スズ、その類似のもの、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施例において、パールトナーは、ホウケイ酸アルミニウムカルシウム47-73%(Cas No:65997-17-3)、二酸化ケイ素8-18%(Cas No:7631-86-9)、二酸化チタン16-26%(Cas No:13463-67-7)、酸化鉄3-7%、及び酸化スズ<2%(Cas No:18282-10-5);酸化鉄46-54%(Cas No:1317-61-9)、マイカ36-50%(Cas No:12001-26-2)、及び二酸化チタン4-10%(Cas No:13463-67-7);酸化鉄55-70%(酸化鉄黒54-70%(Cas No:1317-61-9)及び酸化鉄レッド<1%(Cas No:1309-37-1)、アルミナ27-45%(Cas No:1344-28-1)、及び二酸化ケイ素<3%(Cas No:7631-86-9);合成マイカ(フッ素金雲母)75-88%(Cas No:12003-38-2)、二酸化チタン11-21%(Cas No:13463-67-7)、及び酸化スズ1-4%(Cas No:18282-10-5);マイカ72-84%(Cas No:12001-26-2)、二酸化チタン12-19%(Cas No:13463-67-7)、酸化鉄4-8%(Cas No:1309-37-1)、及び酸化スズ<1%(Cas No:18282-10-5);ホウケイ酸アルミニウムカルシウム66-81%(Cas No:65997-17-3)、二酸化ケイ素2-6%(Cas No:7631-86-9)、二酸化チタン17-27%(Cas No:13463-67-7)、及び酸化スズ<1%(Cas No:18282-10-5);二酸化チタン33-44%(Cas No:13463-67-7)、二酸化ケイ素30-40%(Cas No:7631-86-9)、マイカ15-37%(Cas No:12001-26-2)、及び酸化スズ<1%(Cas No:18282-10-5);マイカ60-68%(Cas No:12001-26-2)及び酸化鉄32-40%(Cas No:1309-37-1);二酸化チタン49-59%(Cas No:13463-67-7)、二酸化ケイ素12-16%(Cas No:7631-86-9)、及びマイカ25-39%(Cas No:12001-26-2);二酸化ケイ素81-90%(Cas No:7631-86-9)、二酸化チタン8-14%(Cas No:13463-67-7)、及び酸化スズ2-5%(Cas No:18282-10-5);二酸化チタン29-39%(Cas No:13463-67-7)、二酸化ケイ素29-37%(Cas No:7631-86-9)、マイカ23-42%(Cas No:12001-26-2)、及び酸化スズ<1%(Cas No:18282-10-5)を含む。
【0042】
補助剤
【0043】
いくつかの実施形態において、補助剤は、溶剤、増粘剤、親水性高分子及び分散剤を含む。
【0044】
いくつかの実施例において、溶剤は、アルコール類、アミン類、ケトン類、アルケン類、エステル類のうちの1つ又は2つ以上の組合せを含むが、これらに限定されない。一例として、溶剤は、エタノール、グリセリン、ジエチレングリコール、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドなどを含む。補助剤の総重量を100%とすると、溶剤の含有量は、30~90wt%の間であり、例えば30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%、80wt%、85wt%、90wt%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値である。
【0045】
いくつかの実施例において、増粘剤は樹脂類を含むが、これらに限定されない。一例として、増粘剤は、ポリアクリル酸樹脂(polyacrylate)、ポリメタクリル酸樹脂(polymethacrylate)、ポリスチレン類樹脂及びその誘導体(polystyrene and its derivatives)、ポリアミド(polyamide)のうちの1つ又は2つ以上の組合せを含む。増粘剤の含有量は、1~60%の間であり、例えば、15~50%の間であり、例えば、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値である。増粘剤の含有量が1%未満であると、色止め組成物は、粘度特性が悪影響を受け、レンズ本体における特定の位置に固着することができず、増粘剤の含有量が60%を超えると、色止め組成物は、粘度が高すぎるため、コンタクトレンズの製造過程に悪影響を及ぼすことがある。
【0046】
いくつかの実施例において、親水性高分子は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、セルロース及びその誘導体(cellulose and its derivatives)、ポリエチレングリコール(polyethylene alcohol)、ポリビニルピロリドン及びその共重合体(polyvinylpyrrolidone and its copolymer)、ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite)、又は前記のうちの1つ又は2つ以上の組合せを含むが、これらに限定されない。例示的には、ポリビニルアルコールは、重合度が500~10000の間の重合体であってもよい。セルロースは、5000~50万の間の分子量を有してもよい。ポリエチレングリコールは、500~50万の間の分子量を有してもよい。ポリビニルピロリドンは、5000~150万の間の分子量を有してもよい。親水性高分子の含有量は、1~45%の間であり、例えば、5~40%の間である。色止め組成物は、親水性高分子の含有量が1%未満であると、粘度特性が悪影響を受け、レンズ本体における特定の位置に固着することができず、親水性高分子の含有量が45%を超えると、粘度が高すぎるため、コンタクトレンズの製造過程に悪影響を及ぼすことがある。また、親水性高分子の含有量もコンタクトレンズの装着快適性に影響を与える。
【0047】
いくつかの実施例において、分散剤は、多塩基酸類、アンモニウム塩類、リン酸類、オレフィン酸類、シラン類又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。例示的には、分散剤は、少なくとも選択的に添加可能な多塩基酸類、アンモニウム塩類、リン酸類、オレフィン酸類、シラン類又はそれらの組合せを含み、多塩基酸類は、多価カルボン酸であり、アンモニウム塩類は、アルキルトリメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、又はアルキルアンモニウム塩であり、リン酸類は、リン酸エステル、リン酸三ナトリウム、又はピロリン酸ナトリウムであり、オレフィン酸類は、アクリレート又はエチレングリコールジメタクリレートであり、シラン類は、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、又はビニルトリイソプロポキシシラン、又は上記のうちの1つ又は2つ以上の組合せである。
【0048】
色止め組成物の製造
【0049】
いくつかの実施形態において、パールトナーと補助剤とを混合する。例えば、パールトナー及び補助剤を十分に撹拌して混合し、色止め組成物を得る。いくつかの実施例において、パールトナーの重量パーセントは、5%~40%であり、補助剤の重量比は60%~95%であり、色止め組成物が凝固せずに流動状態を維持するようにする。例えば、パールトナーの重量パーセントは、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値である。補助剤の重量比は、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値である。
【0050】
いくつかの実施形態において、パールトナー、無機トナー及び補助剤を混合する。無機トナーは、二酸化チタン類トナー、チタンフェノール類トナー、又は酸化鉄類トナーを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、パールトナーの重量パーセントは、15%~40%未満であり、無機トナーの重量パーセントは、1%~20%であり、そして補助剤の重量パーセントは、40%~84%である。例えば、パールトナーの重量パーセントは、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値であり、無機トナーの重量パーセントは、1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%、20%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値であり、補助剤の重量パーセントは、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、84%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値である。このような重量配合比で、この色止め組成物は、凝固せずに流動状態を維持する。
【0051】
いくつかの実施形態において、パールトナー、有機トナー及び補助剤を混合する。有機トナーは、ビスアゾ類トナー、モノアゾ類トナー、又はフタロシアニン類トナーを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、パールトナーの重量パーセントは、15%~40%であり、有機トナーの重量パーセントは、1%~4%であり、そして補助剤の重量パーセントは、56%~84%である。例えば、パールトナーの重量パーセントは、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値であり、有機トナーの重量パーセントは、1%、2%、3%、4%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値であり、補助剤の重量パーセントは、56%、60%、65%、70%、75%、80%、84%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値である。このような重量配合比で、この色止め組成物は、凝固せずに流動状態を維持する。
【0052】
いくつかの実施形態において、パールトナー、無機トナー、有機トナー及び補助剤を混合する。無機トナーは、二酸化チタン類トナー、チタンフェノール類トナー、又は酸化鉄類トナーを含むが、これらに限定されない。有機トナーは、ビスアゾ類トナー、モノアゾ類トナー、又はフタロシアニン類トナーを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、パールトナーの重量パーセントは、10%~30%であり、無機トナーの重量パーセントは、1%~30%であり、有機トナーの重量パーセントは、1%~4%であり、そして補助剤の重量パーセントは、40%~85%である。例えば、パールトナーの重量パーセントは、10%、15%、20%、25%、30%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値であり、無機トナーの重量パーセントは、1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値であり、有機トナーの重量パーセントは、1%、2%、3%、4%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値であり、補助剤の重量パーセントは、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又はこれらの値のうちいずれか両者の間のいずれかの値である。このような重量配合比で、この色止め組成物は、凝固せずに流動状態を維持する。
【0053】
コンタクトレンズのレンズ
【0054】
いくつかの実施形態において、コンタクトレンズのレンズの構成は、主としてシリコーンハイドロゲル(silicone hydrogel)及び/又はハイドロゲル(hydrogel)からなる組成物から製造されるレンズ主体を含み、且つダイカスト法によって一次成形することができるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施例において、ハイドロゲルは、レンズ本体の湿潤性及び表面潤滑性を向上させることで、装着の快適感を高めることができる。適切なハイドロゲルは、FDAによってグループ1に分類された低含水率(含水率が50重量パーセント未満)の非イオン性重合体(nonionic polymer)であってもよく、Helfilcon A&B、Hioxifilcon B、Mafilcon、Polymacon、TefilconやTetrafilcon Aなどを含む。適切なハイドロゲルは、FDAによってグループ2に分類された高含水率(含水率が50重量パーセントを超える)の非イオン性重合体であってもよく、Acofilcon A、Alfafilcon A、Hilafilcon B、Hioxifilcon A、Hioxifilcon B、Hioxifilcon D、Nelfilcon A、Nesofilcon A、Omafilcon AやSamfilcon Aなどを含む。適切なハイドロゲルは、FDAによってグループ3に分類された低含水率(含水率が50重量パーセント未満)のイオン性重合体(ionic polymer)であってもよく、Deltafilcon Aなどを含む。適切なハイドロゲルは、FDAによってグループ4に分類された高含水率(含水率が50重量パーセントを超える)のイオン性重合体であってもよく、Etafilcon A、Focofilcon A、Methafilcon A、Methafilcon B、Ocufilcon A、Ocufilcon B、Ocufilcon C、Ocufilcon D、Ocufilcon E、Phemfilcon AやVifilcon Aなどを含む。
【0055】
いくつかの実施例において、シリコーンハイドロゲルは、レンズ本体の酸素透過率を高めることで、角膜の酸素不足の発生を回避することができる。適切なシリコーンハイドロゲルは、米国食品医薬品局(FDA)によってグループ5に分類された材料であってもよく、Balafilcon A、Comfilcon A、Efrofilcon A、Enfilcon A、Galyfilcon A、Lotrafilcon A、Lotrafilcon B、Narafilcon A、Narafilcon B、Senofilcon A、Delefilcon AやSomofilcon Aなどを含む。レンズ本体には、必要に応じて、青色光やUV吸収剤などの他の有益な成分が添加されてもよい。
【0056】
パール調の色合いのあるレンズを製造する方法
【0057】
本開示の一実施形態に係るパール調の色合いのあるレンズの製造方法を示すフローチャートである図1を参照されたい。パール調の色合いのあるレンズを製造する方法100は、色止め組成物をテンプレートの模様化溝内に充填し、コロイド層を形成する工程102を含む。いくつかの実施例において、色止め組成物をテンプレートの模様化溝内に充填し、一定の期間待つと、この色止め組成物が模様化溝内にコロイド層を形成する。いくつかの実施例において、テンプレートは鋼板であってもよく、且つその模様化溝はレーザー彫刻により形成されてもよいが、本開示はこれに限定されない。工程104では、コロイド層を第1の金型内(例えば、母型又は凹型)に転写し、硬化した後にパターン層を形成する。いくつかの実施例において、このコロイド層を適切な圧力で母型内に転写する。いくつかの実施例において、パターン層が1つを超える色を使用する場合、即ちパターン層が複数の色層を含む場合、1つを超えるテンプレートで複数回の転写工程を行う必要がある可能性がある。いくつかの実施例において、硬化は、紫外線(UV)による硬化や熱硬化(thermal curing)を含む。工程106では、組成物を第1の金型内に注入して、パターン層を被覆する。例えば、定量の組成物(シリコーンハイドロゲル又はハイドロゲルを含む)を凹型に注入する。工程108では、第2の金型(例えば、雄型又は凸型)と第1の金型とを型締めする。例えば、雄型を母型の上方に配置する。工程110では、パターン層と組成物を硬化させて、パール調の色合いのあるレンズを形成する。いくつかの実施例において、型締めされた第1の金型と第2の金型内のパターン層及び組成物を、紫外線(UV)で約10~15分間硬化させ、組成物は、ベンゾインメチルエーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocur-R1173又はIrgacureR-819を含有するがこれらに限定されない光開始剤を更に含む。いくつかの実施例において、型締めされた第1の金型と第2の金型内のパターン層及び組成物を熱で硬化させ、例えば、オーブンで加熱して熱硬化を行う。組成物は、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)又は1,1-アゾビス(シアノシクロヘキサン)を含有するが、これらに限定されない熱開始剤を更に含む。工程112では、パール調の色合いのあるレンズを離型する。工程114では、パール調の色合いのあるレンズを水に浸漬して、パール調の色合いのあるレンズを水和する。工程116では、パール調の色合いのあるレンズを、包装溶液を含むパッケージ内に密封してから、密封されたパッケージを滅菌する。
【0058】
実施例
【0059】
実施例1 パールトナーと補助剤とを有する色止め組成物
【0060】
1.1 色止め組成物の流動性の検出
【0061】
11種類のパールトナーを提供し、いずれも重量パーセント(wt%)で示し、それぞれ以下のとおりである。
【表1-1】

【表1-2】
【0062】
以上のパールトナー1~11をそれぞれ補助剤と1時間均一に撹拌して混合し、レシピ1.1~レシピ1.11を形成した。パールトナーが22wt%を占め、補助剤が88wt%を占め、補助剤を100%とすると、溶剤(グリセリン5wt%、ジエチレングリコール5wt%、水30wt%)は、合計40wt%であり、増粘剤(アクリル樹脂25wt%、ポリメタクリル酸樹脂20wt%を含む)は、合計45wt%であり、親水性高分子は、ポリエチレンピロリドン10wt%を含み、分散剤(多価カルボン酸3wt%、アルキルアンモニウム塩2wt%を含む)は、合計5wt%である。混合開始後の4時間内で、レシピ1.1~レシピ1.11(色止め組成物)に凝固、半凝固などの流動性不良の有無を目視で観察した。
【0063】
その結果(図示せず)からわかるように、上記の11種類の色止め組成物(インク)の配置後の状態は、いずれも流動性を有し、流動性不良の問題がない。
【0064】
1.2 物理的サイズと溶出の検出
【0065】
前記レシピ1.1~1.11をレンズ本体に転写(前記の製造方法を参照し、材質がハイドロゲルであり、ここでは詳細な説明を省略する)した後、レンズを純水で洗浄して無機塩及び溶剤を除去した。レンズを105℃で17時間乾燥させ、試料片の重量(m1)を記録した。乾燥したレンズを円筒濾紙内に配置し、ソックスレー抽出管内に入れ、且つ丸底フラスコに抽出溶剤(例えば、水又はn-ヘキサン)を加えて加熱・沸騰・抽出を4時間行った。抽出後、レンズを105℃で17時間乾燥させ、試料片の重量(m2)を記録した。溶出数値の計算:[(m1-m2)/m1]×100%。判定基準:水又はn-ヘキサンの溶出がいずれも<1%でなければいかない。
【表2】
【0066】
上記の表2から分かるように、物理的サイズが規格を満たすことは、パール調の色合いのあるコンタクトレンズの製造が完了した後、レンズの変形を引き起こしないことを表した。なお、上記の複数種の色止め組成物で転写されたレンズは、水又はn-ヘキサンの溶出がいずれも<1%であるため、レンズから色止め組成物(インク)が溶出せず、安全性を有する。
【0067】
1.3 色落ち試験
【0068】
前記のレシピ1.1~1.11をレンズ本体(前記の製造方法を参照し、材質がハイドロゲルであり、ここでは詳細な説明を省略する)に転写した後、レシピ1.1~1.11のレンズ本体に対して綿棒で保存液をいっぱいになるようにつけた。続いて綿棒の腹部をレンズ本体の光心部から外側に向かって10回繰り返して拭き取り、且つ綿棒の染色の有無を目視で確認するとともに、レンズパターンの状況を確認した。判定基準は、綿棒を目視で観察し、綿棒に着色があれば、色落ちと判定した。
【0069】
その結果(図示せず)からわかるように、レシピ1.1~1.11でのレンズ本体を拭き取った綿棒は、いずれも着色せず、色落ちがないことを表し、いずれも色落ち試験に合格した。従って、色止め組成物は、レンズ本体に転写される製造過程において、安全性を有し、且つ優れた色止め能力を有する。
【0070】
1.4 細胞毒性の検出
【0071】
細胞毒性は、医療器材又は生体材料が間接的又は直接的に人体と接触することによる人体への反応を評価する生物学的適合性評価方法の一つである。実験方法と操作手法は何れもISO10993-5規範を参照する必要があり、細胞生存率分析(MTT assay)により試験物質を添加した後の24時間目の細胞活性を分析すると、細胞生存率が70%よりも大きく、毒性がないことを表した。
【表3】
【0072】
上記の表3から分かるように、上記の複数種の色止め組成物で転写されたレンズは、いずれも細胞生存率>70%である。従って、上記の複数の色止め組成物で転写されたレンズは、毒性がなく、安全性を有する。
【0073】
実施例2 パールトナー、無機トナー及び/又は有機トナー及び補助剤を有する色止め組成物
【0074】
パールトナーと、無機トナー及び/又は有機トナーと、補助剤とからなる20種の色止め組成物を提供し、製造方法は実施例1と類似し、パールトナー、無機トナー及び/又は有機トナー及び補助剤(実施例1と同じ)を下記の表4の重量パーセント(wt%)で1時間均一に撹拌して混合し、レシピ2.1~レシピ2.20を形成して示した。混合が開始した後の4時間内で、レシピ2.1~レシピ2.20(色止め組成物)に凝固、半凝固などの流動性不良の有無を目視で観察した。無機トナー(赤色)は酸化鉄レッド、無機トナー(黒色)は酸化鉄黒、無機トナー(白色)は二酸化チタン、有機トナー(青色)はフタロシアニン類トナー、有機トナー(紫色)はトリフェノジオキサジン類トナー、無機トナー(黄色)は酸化鉄黄である。
【表4】
【0075】
その結果(図示せず)からわかるように、上記の20種の色止め組成物(インク)が配置された後に、割合がパールトナー40%、有機トナー4%である場合、インクは凝固せず、割合がパールトナー20%、無機トナー4%である場合、インクは凝固せず、割合がパールトナー22%、有機及び無機トナー12%である場合、インクは凝固せず、割合がパールトナー32%、無機トナー14%である場合、インクは凝固しないことを発見した。しかしながら、割合がパールトナー40%、無機トナー1~4%である場合、色止め組成物は凝固し、撹拌し冷却して凝固する時間が約4時間内であり、インク凝固はレンズに転写することができない。
【0076】
本開示は、色止め組成物によってパールトナーをレンズに安定的に付着させ、パターン層を形成して、装着の安全性を高めるとともに、色止め組成物によって特定のパターンと色を呈する。
【0077】
本開示は、実施形態で上記のように開示されたが、その実施形態は本開示を限定するものではなく、当業者は、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、したがって本開示の保護範囲は、後文に添付される特許請求の範囲によって定義されるものに準ずるものとする。
【符号の説明】
【0078】
100:方法
S102~S116:工程
図1