(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068827
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体装置包装体
(51)【国際特許分類】
B65B 15/04 20060101AFI20240514BHJP
B65D 85/86 20060101ALI20240514BHJP
B65D 73/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B65B15/04 K
B65D85/86 300
B65D73/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179424
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 敏
【テーマコード(参考)】
3E067
3E096
【Fターム(参考)】
3E067AB47
3E067AC04
3E067AC11
3E067AC18
3E067BA26A
3E067BB14A
3E067FC01
3E096AA06
3E096BA09
3E096BB05
3E096CA15
3E096CB03
3E096DC01
3E096EA02X
3E096FA30
3E096FA31
(57)【要約】
【課題】半導体装置包装体の性能を向上させる。
【解決手段】キャリアテープCT1は、複数のポケットPKと長辺CTL1との間に位置する領域R1と、複数のポケットPKと長辺CTL2との間に位置する領域R2と、複数のポケットPKのうち、互いに隣り合う2つのポケットPKの間に位置する領域R3と、を有している。領域R3は、互いに隣り合う2つの封止体収容部の間にある領域R4と、互いに隣り合う2つの第1リード収容部の間にある領域R5と、互いに隣り合う2つの第2リード収容部の間にある領域R6と、を有している。キャリアテープCT1にカバーテープCVTを貼り付ける工程では、領域R1、領域R2、領域R5、および領域R6においてキャリアテープCT1とカバーテープCVTとが互いに熱圧着され、かつ、領域R4では互いに熱圧着されない。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)個片化された複数の半導体装置を取得する工程、
(b)第1方向に沿って配列された複数のポケットを備えたキャリアテープ、およびカバーテープを準備する工程、
(c)前記キャリアテープの前記複数のポケットに前記複数の半導体装置を、それぞれ収容する工程、
(d)前記(c)工程の後、前記複数のポケットにそれぞれ収容された前記複数の半導体装置を覆うように前記キャリアテープに前記カバーテープを貼り付ける工程、
を含み、
前記半導体装置は、
半導体チップと、
平面視において前記半導体チップの周囲に配置された複数のリードと、
前記複数のリードのそれぞれのインナリード部、および前記半導体チップを封止する封止体と、
を有し、
前記複数のリードは、
前記封止体の第1辺に沿って配列された第1リード群と、
前記第1辺の反対側に位置する第2辺に沿って配列された第2リード群と、
を含み、
前記(b)工程で準備する前記キャリアテープは、
前記第1方向に沿って延びる第1長辺と、
前記第1方向に沿って延び、かつ、前記第1長辺の反対側に位置する第2長辺と、
前記複数のポケットと前記第1長辺との間に位置する第1領域と、
前記複数のポケットと前記第2長辺との間に位置する第2領域と、
前記複数のポケットのうち、互いに隣り合う2つのポケットの間に位置する第3領域と、
を有し、
前記複数のポケットのそれぞれは、
前記半導体装置の前記封止体を収容する封止体収容部と、
前記第1長辺に沿って延び、かつ、前記第1リード群を収容する第1リード収容部と、
前記第2長辺に沿って延び、かつ、前記第2リード群を収容する第2リード収容部と、
を有し、
前記第3領域は、
互いに隣り合う2つの封止体収容部の間にある第4領域と、
互いに隣り合う2つの第1リード収容部の間にある第5領域と、
互いに隣り合う2つの第2リード収容部の間にある第6領域と、
を有し、
前記(d)工程では、前記第1領域、前記第2領域、前記第5領域、および前記第6領域において前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着され、かつ、前記第4領域では前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着されない、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記(d)工程で前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着される複数の部分は、
前記第1領域に配置された第1シール部と、
前記第2領域に配置された第2シール部と、
前記第5領域に配置された第5シール部と、
前記第6領域に配置された第6シール部と、
を含み、
前記第1シール部、前記第2シール部、前記第5シール部、および前記第6シール部のそれぞれは、前記第1方向に沿って延びる平面形状を成している、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第5シール部の幅は、前記第1シール部の幅および前記第2シール部のそれぞれの幅よりも狭く、
前記第6シール部の幅は、前記第1シール部の幅および前記第2シール部のそれぞれの幅よりも狭い、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記キャリアテープは、
前記第1方向に沿って配列され、前記第1領域の隣に位置し、かつ、前記第1方向に交差する第2方向において前記第5領域の隣に位置する第7領域と、
前記第1方向に沿って配列され、前記第2領域の隣に位置し、かつ、前記第2方向において前記第6領域の隣に位置する第8領域と、
を有し、
前記(d)工程で前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着される前記複数の部分は、
前記第7領域に配置され、複数の前記第1シール部を連結するように前記第1方向に沿って延びる第7シール部と、
前記第8領域に配置され、複数の前記第2シール部を連結するように前記第1方向に沿って延びる第8シール部と、
をさらに含んでいる、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第7シール部の幅は、前記第1シール部の幅および前記第2シール部のそれぞれの幅よりも狭く、
前記第8シール部の幅は、前記第1シール部の幅および前記第2シール部のそれぞれの幅よりも狭い、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項2において、
前記キャリアテープは、
前記第1方向に沿って配列され、前記第1領域の隣に位置し、かつ、前記第1方向に交差する第2方向において前記第5領域の隣に位置する第7領域と、
前記第1方向に沿って配列され、前記第2領域の隣に位置し、かつ、前記第2方向において前記第6領域の隣に位置する第8領域と、
を有し、
前記第1方向に沿って配列された複数の前記第1シール部は、前記第7領域を介して互いに離間し、
前記第1方向に沿って配列された複数の前記第2シール部は、前記第8領域を介して互いに離間している、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1シール部の幅、前記第2シール部の幅、前記第5シール部の幅、および前記第6シール部の幅は、互いに同じである、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1において、
前記(d)工程で前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着される複数の部分は、
前記第1領域に配置された第1シール部と、
前記第2領域に配置された第2シール部と、
前記第5領域に配置された第5シール部と、
前記第6領域に配置された第6シール部と、
を含み、
前記第1シール部および前記第2シール部のそれぞれは、前記第1方向に沿って延びる平面形状を成し、
前記第5シール部および前記第6シール部のそれぞれは、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる平面形状を成す、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1において、
前記複数のリードは、
前記第1辺および前記第2辺と交差する方向に延びる第3辺に沿って配列された第3リード群と、
前記第3辺の反対側に位置する第4辺に沿って配列された第4リード群と、
を更に含み、
前記複数のポケットのそれぞれは、
前記第3リード群を収容する第3リード収容部と、
前記第4リード群を収容する第4リード収容部と、
を更に有している、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
第1方向に沿って配列された複数のポケットを備えたキャリアテープと、
前記複数のポケットにそれぞれ収容された複数の半導体装置と、
前記複数のポケットにそれぞれ収容された前記複数の半導体装置を覆うように前記キャリアテープに貼り付けられたカバーテープと、
を有し、
前記半導体装置は、
半導体チップと、
平面視において前記半導体チップの周囲に配置された複数のリードと、
前記複数のリードのそれぞれのインナリード部、および前記半導体チップを封止する封止体と、
を有し、
前記複数のリードは、
前記封止体の第1辺に沿って配列された第1リード群と、
前記第1辺の反対側に位置する第2辺に沿って配列された第2リード群と、
を含み、
前記キャリアテープは、
前記第1方向に沿って延びる第1長辺と、
前記第1方向に沿って延び、かつ、前記第1長辺の反対側に位置する第2長辺と、
前記複数のポケットと前記第1辺との間に位置する第1領域と、
前記複数のポケットと前記第2辺との間に位置する第2領域と、
前記複数のポケットのうち、互いに隣り合う2つのポケットの間に位置する第3領域と、
を有し、
前記複数のポケットのそれぞれは、
前記半導体装置の前記封止体を収容する封止体収容部と、
前記第1長辺に沿って延び、かつ、前記第1リード群を収容する第1リード収容部と、
前記第2長辺に沿って延び、かつ、前記第2リード群を収容する第2リード収容部と、
を有し、
前記第3領域は、
互いに隣り合う2つの前記封止体収容部の間にある第4領域と、
互いに隣り合う2つの前記第1リード収容部の間にある第5領域と、
互いに隣り合う2つの前記第2リード収容部の間にある第6領域と、
を有し、
前記第1領域、前記第2領域、前記第5領域、および前記第6領域のそれぞれは、前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着されたシール部を有し、かつ、前記第4領域では前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着されていない、半導体装置包装体。
【請求項11】
請求項10において、
前記キャリアテープと前記カバーテープとが互いに熱圧着された前記シール部は、
前記第1領域に配置された第1シール部と、
前記第2領域に配置された第2シール部と、
前記第5領域に配置された第5シール部と、
前記第6領域に配置された第6シール部と、
を含み、
前記第1シール部、前記第2シール部、前記第5シール部、および前記第6シール部のそれぞれは、前記第1方向に沿って延びる平面形状を成している、半導体装置包装体。
【請求項12】
請求項11において、
前記第5シール部の幅は、前記第1シール部の幅および前記第2シール部のそれぞれの幅よりも狭く、
前記第6シール部の幅は、前記第1シール部の幅および前記第2シール部のそれぞれの幅よりも狭い、半導体装置包装体。
【請求項13】
請求項10において、
前記複数のリードは、
前記第1辺および前記第2辺と交差する方向に延びる第3辺に沿って配列された第3リード群と、
前記第3辺の反対側に位置する第4辺に沿って配列された第4リード群と、
を更に含み、
前記複数のポケットのそれぞれは、
前記第3リード群を収容する第3リード収容部と、
前記第4リード群を収容する第4リード収容部と、
を更に有している、半導体装置包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置包装体として、複数個の半導体装置が収容可能なテープ状のパッケージ(キャリアテープ)がある。例えば、特開2018-2211号公報(特許文献1)や、特開平11-238995号公報(特許文献2)には、キャリアテープにエンボス加工を施す事により形成された複数のポケットのそれぞれに半導体装置を収容した後、複数の半導体装置を覆うようにキャリアテープ上にカバーテープを貼り付ける方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-2211号公報
【特許文献2】特開平11-238995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャリアテープのような半導体装置包装体は、多数の半導体装置を搬送可能な包装体である。また、半導体装置をキャリアテープから取り出して実装基板に実装する際に、キャリアテープから半導体装置を機械的に取り出すことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0005】
ところが、キャリアテープにカバーテープを貼り付ける際の貼り付け位置や貼り付け強度によっては、以下のような課題があることが判った。例えば、半導体装置をポケットから取り出すべきタイミングの前に半導体装置がポケットから離脱してしまう場合がある。あるいは、カバーテープとキャリアテープとの接着強度が強すぎる場合、カバーテープとキャリアテープとを引きはがすことに失敗する可能性がある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、キャリアテープの複数のポケットのそれぞれに、上記複数の半導体装置を、それぞれ収容する工程と、上記複数のポケットにそれぞれ収容された上記複数の半導体装置を覆うように上記キャリアテープ上に上記カバーテープを貼り付ける工程と、を含んでいる。上記キャリアテープは、第1方向に沿って延びる第1長辺と、上記第1方向に沿って延び、かつ、上記第1長辺の反対側に位置する第2長辺と、上記複数のポケットと上記第1長辺との間に位置する第1領域と、上記複数のポケットと上記第2長辺との間に位置する第2領域と、上記複数のポケットのうち、互いに隣り合う2つのポケットの間に位置する第3領域と、を有している。上記第3領域は、互いに隣り合う2つの封止体収容部の間にある第4領域と、互いに隣り合う2つの第1リード収容部の間にある第5領域と、互いに隣り合う2つの第2リード収容部の間にある第6領域と、を有している。上記キャリアテープ上に上記カバーテープを貼り付ける工程では、上記第1領域、上記第2領域、上記第5領域、および上記第6領域において上記キャリアテープと上記カバーテープとが互いに熱圧着され、かつ、上記第4領域では互いに熱圧着されない。
【0008】
他の実施の形態に係る半導体装置包装体は、第1方向に沿って配列された複数のポケットを備えたキャリアテープと、上記複数のポケットにそれぞれ収容された複数の半導体装置と、上記複数のポケットにそれぞれ収容された上記複数の半導体装置を覆うように上記キャリアテープ上に貼り付けられた上記カバーテープと、を有している。上記キャリアテープは、上記第1方向に沿って延びる第1長辺と、上記第1方向に沿って延び、かつ、上記第1長辺の反対側に位置する第2長辺と、上記複数のポケットと上記第1長辺との間に位置する第1領域と、上記複数のポケットと上記第2長辺との間に位置する第2領域と、上記複数のポケットのうち、互いに隣り合う2つのポケットの間に位置する第3領域と、を有している。上記第3領域は、互いに隣り合う2つの封止体収容部の間にある第4領域と、互いに隣り合う2つの第1リード収容部の間にある第5領域と、互いに隣り合う2つの第2リード収容部の間にある第6領域と、を有している。上記第1領域、上記第2領域、上記第5領域、および上記第6領域のそれぞれは、上記キャリアテープと上記カバーテープとが互いに熱圧着されたシール部を有し、かつ、上記第4領域では上記キャリアテープと上記カバーテープとが互いに熱圧着されていない。
【発明の効果】
【0009】
上記一実施の形態によれば、半導体装置包装体の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態である半導体装置の製造方法における工程フローの一例を示す説明図である。
【
図2】一実施の形態である半導体装置の上面図である。
【
図4】一実施の形態であるキャリアテープの拡大平面図である。
【
図6】
図4に示すキャリアテープの複数のポケットのそれぞれに1個の半導体装置を収容した状態を示す拡大平面図である。
【
図8】
図4に示すキャリアテープの複数のポケットのそれぞれに1個の半導体装置を収容した状態を示す拡大平面図である。
【
図10】
図8に対する第1の検討例を示す拡大平面図である。
【
図11】
図10のE-E線に沿った拡大断面において、半導体装置がポケットから離脱した状態を示す断面図である。
【
図12】
図8に対する第2の検討例を示す拡大平面図である。
【
図13】
図8に示すキャリアテープパッケージのうち、隣り合う2つのポケットの間の領域の周辺を拡大して示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0012】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0013】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0014】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0015】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0016】
以下で説明する実施の形態において、キャリアテープとカバーテープとを接着する方法として、キャリアテープの一部とカバーテープの一部とが接触した状態で上部から加熱押圧治具を押し付けることにより熱圧着させる方法を採用している。以下では、熱圧着することをシールと呼び、熱圧着された部分をシール部と呼ぶ場合がある。また、加熱押圧治具のことをコテと呼ぶ場合がある。さらに熱圧着後の接着状態の特性の事をシール特性と呼び、熱圧着された部分を剥離させる際の特性をピール特性と呼ぶ場合がある。
【0017】
<半導体装置の製造方法>
まず、本実施の形態の半導体装置をキャリアテープに収容し、包装するまでの部分(半導体装置の包装方法)について、簡単に説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置の製造方法における工程フローの一例を示す説明図である。
【0018】
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、半導体装置取得工程と、包材準備工程と、半導体装置収容工程と、カバーテープ貼り付け工程と、リール巻き取り工程と、を有している。なお、リール巻き取り工程は省略される場合があるので、括弧内に記載している。
【0019】
半導体装置取得工程では、後述する
図2および
図3に示す半導体装置PKG1を取得する。
【0020】
包材準備工程では、後述する
図5に示すキャリアテープCTP1と、後述する
図9に示すカバーテープCVTと、を準備する。
【0021】
半導体装置収容工程では、包材準備工程で準備したキャリアテープの複数のポケットに、複数の半導体装置PKG1をそれぞれ収容する。カバーテープ貼り付け工程では、複数のポケットにそれぞれ収容された複数の半導体装置を覆うようにキャリアテープ上にカバーテープを貼り付ける。
【0022】
リール巻き取り工程では、複数の半導体装置PKG1が収容され、かつ、カバーテープが貼り付けられた状態のキャリアテープを図示しないリールに巻き取る。本明細書では、複数の半導体装置PKG1が収容され、かつ、カバーテープが貼り付けられた状態のキャリアテープのことを、半導体装置包装体またはキャリアテープパッケージとして説明する。
【0023】
<半導体装置取得工程>
次に、
図1に示す半導体装置取得工程で取得される半導体装置の構造例について説明する。
図2は、本実施の形態の半導体装置の上面図である。
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
【0024】
半導体装置PKG1は、半導体チップCP(
図3参照)と、半導体チップCPの周囲に配置された複数のリードLDと、封止体MRと、を有している。
図3に示すように、封止体MRは、複数のリードLDのそれぞれのインナリード部ILD、および半導体チップCPを封止している。
【0025】
図3に示すように、半導体チップCPは、ダイパッド(チップ搭載部)DP(
図3、
図3参照)に搭載されている。ダイパッドDPは、半導体チップCPと対向する上面(チップ搭載面)DPtおよび上面DPtの反対側の下面(裏面)DPbを備えている。また、半導体装置PKG1は、半導体チップCPのパッドPDと複数のリードLDのインナリード部ILDとに接続された複数のワイヤBWを更に有している。複数のワイヤBWおよびダイパッドDPは、封止体MRにより封止されている。なお、
図3に示す例では、ダイパッドDPの全体が封止体MRに封止されている。ただし、変形例としてダイパッドDPの下面DPbが封止体から露出している場合もある。
【0026】
封止体MRは、樹脂材料を主成分とする樹脂体であって、例えばシリカなどのフィラ粒子や、黒色顔料などを含んでいる。
図2に示すように、半導体装置PKG1が備える封止体MRの平面形状は四角形から成る。封止体MRは上面MRtと、この上面MRtとは反対側の下面(裏面、被実装面)MRb(
図3参照)と、を有している。また、
図2に示すように、平面視において、封止体MRは、X方向に延びる辺MRs1、辺MRs1の反対側に位置する辺MRs2、辺MRs1および辺MRs2と交差するY方向に延びる辺MRs3、および辺MRs3の反対側に位置する辺MRs4を有している。
図2に示す例では、封止体MRの各側面MRsが交わる角部が面取り加工されている。
【0027】
図3に示す半導体チップCPは、表面CPtには、複数のパッド(ボンディングパッド)PDが設けられている。また、半導体チップCP(詳しくは、半導体基板)は、例えばシリコン(Si)から成る。図示は省略するが、半導体チップCPの主面(詳しくは、半導体チップCPの半導体基板の上面に設けられた半導体素子形成領域)には、複数の半導体素子(回路素子)が形成されている。そして、複数のパッドPDは、半導体チップCPの内部(詳しくは、表面CPtと図示しない半導体素子形成領域の間)に配置される配線層に形成された配線(図示は省略)を介して、この半導体素子と電気的に接続されている。複数のパッドPDは、半導体チップCPに形成された回路と、電気的に接続されている。
【0028】
また、半導体チップCPの表面CPtには、半導体チップCPの基板および配線を覆う絶縁膜が形成されており、複数のパッドPDのそれぞれの表面は、この絶縁膜に形成された開口部において、絶縁膜から露出している。また、このパッドPDは金属からなり、本実施の形態では、例えばアルミニウム(Al)からなる。
【0029】
また、半導体チップCPはダイパッドDPの中央に搭載されている。
図3に示すように半導体チップCPは、裏面CPbをダイパッドDPの上面DPtと対向させた状態で、接合材(ダイボンド材)DBを介してダイパッドDP上に搭載されている。接合材DBは、樹脂体および樹脂体に含まれた複数の金属粒子を含む、導電性樹脂、または、半田材から成る。導電性樹脂として、エポキシ系の熱硬化性樹脂(樹脂体)に、銀などから成る金属粒子が含まれた、所謂、銀ペーストと呼ばれる接着部材が例示できる。
【0030】
半導体チップCPの周囲(言い換えれば、ダイパッドDPの周囲)には、複数のリードLDが配置されている(
図2および
図3参照)。複数のリードLDのそれぞれは、半導体装置PKG1を図示しない外部機器と電気的に接続する機能を備える外部端子である。
【0031】
半導体装置PKG1の場合、平面形状が四角形からなる封止体MRの各辺(各主辺)に沿って、それぞれ複数のリードLDが配置されている。言い換えれば、複数のリードLDは、封止体MRの辺MRs1に沿って配列されたリード群LD1と、辺MRs2に沿って配列されたリード群LD2と、辺MRs3に沿って配列されたリード群LD3と、辺MRs4に沿って配列された第4リード群と、を含んでいる。半導体装置PKG1のように、平面視において四角形を成す封止体MRの4つの辺のそれぞれに沿ってリードLDが配列された半導体パッケージの事を、QFP(Quad Flat Package)と呼ぶ。
【0032】
複数のリードLDのそれぞれのインナリード部ILD(
図3参照)は封止体MRに封止され、かつ複数のリードLDのそれぞれのアウタリード部OLDは、封止体MRから露出している。複数のリードLDのアウタリード部OLDは、封止体MRの側面MRsにおいて、封止体MRの外側に向かって突出している。半導体チップCPの表面CPtにおいて露出する複数のパッド(ボンディングパッド)PDは、封止体MRの内部に位置する複数のリードLDのインナリード部ILDと、複数のワイヤ(導電性部材)BWを介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0033】
ダイパッドDPおよび複数のリードLDは、同じ金属材料から成る。ダイパッドDPおよび複数のリードLDを構成する金属材料としては、例えば、銅、銅を含む合金、または鉄を含む合金(42アロイ)を例示することができる。
【0034】
複数のワイヤBWのそれぞれは、半導体チップCPの表面CPt(
図3参照)に設けられた複数のパッド(ボンディングパッド)PD(
図3参照)と複数のリードと、を電気的に接続する金属細線である。ワイヤBWの一方の端部は、パッドPDに接合され、他方の端部は、リードLDの上面LDt(
図3参照)に形成された金属膜を介してリードLDに接合されている。複数のワイヤBWのそれぞれは、封止体MRにより封止されている。これによりワイヤBWの変形等を防止することができる。
【0035】
ワイヤBWは、例えば、金(Au)や銅(Cu)から成り、ワイヤBWの一部(例えば一方の端部)がパッドPDに接合され、他部(例えば他方の端部)がインナリード部ILDの先端部に接合されている。なお、
図3に示す例では、ワイヤBWは、インナリード部ILDの先端部に形成された金属膜を介してインナリード部ILDと接続されている。
【0036】
図3に示すように、複数のリードLDのアウタリード部OLDの露出面には、例えば、基材の表面に、金属膜(外装めっき膜)MCが形成されている。また、ダイパッドDPの下面DPbは、封止体MRから露出している。
【0037】
金属膜MCは、例えば、半田など、基材である銅よりも半田に対する濡れ性が良好な金属材料から成り、基材である銅部材の表面を被覆する金属皮膜である。
【0038】
<包材準備工程>
次に、
図1に示す包材準備工程で準備するキャリアテープの構造例について説明する。
図4は、本実施の形態のキャリアテープの拡大平面図である。
図5は、
図4のB-B線に沿った拡大断面図である。
【0039】
キャリアテープCT1は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレン系樹脂)等の樹脂材料から成る樹脂テープである。キャリアテープの膜厚は、例えば0.3mm程度である。
図4に示すように、キャリアテープCT1は、エンボス加工により形成された複数のポケットPKを有している。キャリアテープCT1は、長尺テープであり、多数のポケットPKを有している。
図4では、キャリアテープCT1が有する多数のポケットPKのうち、3個分を拡大して示している。
【0040】
図4に示すように、キャリアテープCT1は、X方向に沿って延びる長辺CTL1と、X方向に沿って延び、かつ、長辺CTL1の反対側に位置する長辺CTL2と、を有している。また、キャリアテープCT1は、複数のポケットPKと長辺CTL1との間に位置する領域R1と、複数のポケットPKと長辺CTL2との間に位置する領域R2と、複数のポケットPKのうち、互いに隣り合う2つのポケットPKの間に位置する領域R3と、を有している。また、キャリアテープCT1は、X方向に沿って配列された複数の領域R1の間に位置する領域R7と、X方向に沿って配列された複数の領域R2の間に位置する領域R8と、を有している。
【0041】
領域R7および領域R8は、以下のように表現することができる。すなわち、領域R7は、X方向に沿って配列され、領域R1の隣に位置し、かつ、X方向に交差するY方向において領域R5の隣に位置する。領域R8は、X方向に沿って配列され、領域R2の隣に位置し、かつ、X方向に交差するY方向において領域R6の隣に位置する。
【0042】
長辺CTL1と領域R1との間には、複数の貫通孔CTHがX方向に沿って配列された孔配置領域CTHRが配置されている。複数の貫通孔CHTは等間隔で配列されている。複数の貫通孔CTHは、キャリアテープCT1を装置内で移動させる場合に、図示しないスプロケットの歯を挿入するためのスプロケットホールである。
図4に示す例では、長辺CTL1と領域R1との間、および長辺CTL2と領域R2との間にそれぞれ複数の貫通孔CTHが配列された孔配置領域CTHRが設けられている。ただし、
図4に示す例に対する変形例として、孔配置領域CTHRが長辺CTL1と領域R1との間、および長辺CTL2と領域R2との間のいずれか一方のみに配置されている場合がある。
【0043】
複数のポケットPKのそれぞれは、封止体収容部PKMと、リード収容部PKL1と、リード収容部PKL2と、リード収容部PKL3と、リード収容部PKL4と、を有している。封止体収容部PKMは、
図2に示す半導体装置の封止体MRを収容するための部分であり、平面視においてポケットPKの中央部(中心を含む領域)に配置されている。
【0044】
リード収容部PKL1は、長辺CTL1に沿って延びている。リード収容部PKL1は、
図2に示すリード群LD1を収容するための部分であり、長辺CTL1と封止体収容部PKMとの間に配置されている。
【0045】
リード収容部PKL2は、長辺CTL2に沿って延びている。リード収容部PKL2は、
図2に示すリード群LD2を収容するための部分であり、長辺CTL2と封止体収容部PKMとの間に配置されている。
【0046】
リード収容部PKL3は、領域R3の延在方向(Y方向)に沿って延びている。リード収容部PKL3は、
図2に示すリード群LD3を収容するための部分であり、領域R3と封止体収容部PKMとの間に配置されている。
【0047】
リード収容部PKL4は、領域R3の延在方向(Y方向)に沿って延びている。リード収容部PKL4は、
図2に示すリード群LD4を収容するための部分であり、領域R3と封止体収容部PKMとの間に配置されている。
【0048】
図5に示すように、封止体収容部PKMとリード収容部PKL1との間、および封止体収容部PKMとリード収容部PKL2との間にはリブRBが設けられ、各収容部はリブを介して分離されている。同様に、
図4に示す封止体収容部PKMとリード収容部PKL3との間、および封止体収容部PKMとリード収容部PKL4との間にもリブRBが設けられている。リブRBは、平面視において枠形状を成すように成形された部分である。封止体収容部PKMの周囲にリブRBが設けられていることにより、ポケットPK内に
図3に示す半導体装置PKG1を収容すると、封止体MRの位置を高精度で制御することができる。リブRBは、例えば、キャリアテープCT1にエンボス加工を施す際にポケットPKと共に一括して形成される。
【0049】
また、
図4に示す例では、領域R3は、互いに隣り合う2つの封止体収容部PKMの間にある領域R4と、互いに隣り合う2つのリード収容部PKL1の間にある領域R5と、互いに隣り合う2つのリード収容部PKL2の間にある領域R6と、を含んでいる。
【0050】
また、
図1に示すカバーテープ貼り付け工程で使用するカバーテープCVT(後述する
図8参照)は、カバーテープ貼り付け工程までに準備されていれば良いが、
図1に示す半導体装置収容工程およびカバーテープ貼り付け工程を、連続処理装置を用いて連続的に実施する場合、包材準備工程の時点(すなわち、半導体装置収容工程の前)に、カバーテープCVTが準備されていることが好ましい。カバーテープCVTは、帯状に形成された長尺テープである。カバーテープCVTは樹脂から成る樹脂テープである。ポケットPK(
図4参照)内の視認性を向上させる観点からは、カバーテープCVTは、可視光透過性の樹脂であることが好ましい。また、カバーテープCVTの材料は、
図1に示すカバーテープ貼り付け工程において、キャリアテープCT1(
図4参照)への接着強度(搬送時の剥離し難さ(シール特性)や、剥離させる際のピール特性)を考慮して適切な材料が選択される。
【0051】
<半導体装置収容工程>
次に、
図1に示す半導体装置収容工程について説明する。
図6は、
図4に示すキャリアテープの複数のポケットのそれぞれに1個の半導体装置を収容した状態を示す拡大平面図である。
図7は、
図6のC-C線に沿った拡大断面図である。
【0052】
図6に示すように、半導体装置収容工程では、キャリアテープCT1の複数のポケットPKのそれぞれに半導体装置PKG1を1個ずつ収容する。なお、「1個ずつ収容する」とは、「一つのポケットPKに一つの半導体装置PKG1が収容される」という意味であって、「半導体装置PKG1を1個ずつ順次収容する」という意味ではない。もちろん、本工程には、半導体装置PKG1を1個ずつ順次ポケットPKに収容する実施態様も含まれるが、例えば、2個の半導体装置PKG1を同時に、別々のポケットPKに収容する実施態様も含まれる。
【0053】
ポケットPKの位置は、複数の貫通孔CTHを利用して位置決めされるので、図示しないピックアップ装置を用いて自動的に半導体装置PKG1をポケットPK内に収容することが可能である。リブRB(
図5参照)は、ポケットPK内における半導体装置PKG1の位置(詳しくは封止体MRの位置)を制御するためのガイドとして機能する。このため、半導体装置PKG1の封止体MR(
図7参照)は、ポケットPKの封止体収容部PKM(
図4および
図5参照)内に収容される。
【0054】
また、
図3に示すリード群LD1は
図6に示すリード収容部PKL1に収容され、
図3に示すリード群LD2は
図6に示すリード収容部PKL2に収容され、
図3に示すリード群LD3は
図6に示すリード収容部PKL3に収容され、
図3に示すリード群LD4は
図6に示すリード収容部PKL4に収容される。
図7に示す例では、本工程の完了後には、封止体MRの下面MRbは、キャリアテープCT1の封止体収容部PKM(
図5参照)の底面PKMbと接触している。
【0055】
<カバーテープ貼り付け工程>
次に、
図1に示す半導体装置収容工程について説明する。
図8は、
図4に示すキャリアテープの複数のポケットのそれぞれに1個の半導体装置を収容した状態を示す拡大平面図である。
図9は、
図8のD-D線に沿った拡大断面図である。
図10は、
図8に対する第1の検討例を示す拡大平面図である。
図11は、
図10のE-E線に沿った拡大断面において、半導体装置がポケットから離脱した状態を示す断面図である。
図12は、
図8に対する第2の検討例を示す拡大平面図である。
【0056】
カバーテープ貼り付け工程では、カバーテープCVTの一部分と、キャリアテープCT1の一部分とが熱圧着される。本実施の形態の場合、キャリアテープCT1とカバーテープCVTとを接着する方法として、キャリアテープCT1の一部とカバーテープCVTの一部とが接触した状態で上部から加熱押圧治具(以下、コテと呼ぶ)を押し付けることにより熱圧着させる方法を採用している。以下では、カバーテープ貼り付け工程において熱圧着される部分の事を、シール部として説明する。また、例えば、
図8に示すシール部SL1、シール部SL2、シール部SL5、シール部SL6、シール部SL7、およびシール部SL8や、
図9に示すシール部SL1およびシール部SL2のように、熱圧着される部分には、平面図か断面図かを問わず、ハッチングを付して図示している。
【0057】
図6および
図7を用いて説明した半導体装置収容工程により半導体装置PKG1はポケットPK内に収容されるが、
図7に示す状態ではキャリアテープCT1の姿勢によっては、内部の半導体装置PKG1がポケットPKの外部に飛び出してしまう。そこで、次のテープ貼り付け工程において、
図9に示すように半導体装置PKG1を覆うようにカバーテープCVT(
図9参照)をキャリアテープCT1に貼り付けることにより、半導体装置PKG1がポケットPKから飛び出すことを防止する。
【0058】
まず、本願発明者は、
図10に示すように、複数の半導体装置PKG1の両隣の部分をX方向に沿って熱圧着する方法について検討した。
図10に示す検討例の場合、領域R1、領域R2、領域R7、および領域R8においてキャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着されている。一方、領域R3では、キャリアテープCT1とカバーテープCVTとは熱圧着されていない。
図10に示す構造の場合、熱圧着をするためのコテの構造を単純化することができる。また、シール部SL1、シール部SL7、シール部SL2、およびシール部SL8のそれぞれは、同じ幅でX方向に延びている。このため、熱圧着する部分の位置ずれ等の懸念が少ない。
【0059】
ところが、本願発明者の検討によれば、隣り合う2つの半導体装置PKG1の間の領域R3が接着されない
図10の構造の場合、
図11に示すように、収容された半導体装置PKG1がポケットPKから離脱してしまう場合があることが判った。
図11は、半導体装置PKG1が収容されたキャリアテープパッケージCTP2を図示しないリール(図示は省略)から繰り出す際に、垂直上方の方向VTDに向かってキャリアテープパッケージCTP2が引っ張り上げられている状態を示している。
【0060】
図11に示すように、半導体装置PKG1の一部分がポケットPKの外部に飛び出てしまった場合、自動的にポケットPK内に戻ることは難しい。このため、連続処理装置を一度停止して、飛び出た半導体装置PKG1を手作業でポケットPK内に戻す作業が必要になる。半導体装置PKG1がポケットPKから飛び出す現象が発生する頻度が高ければ、頻繁に装置を停止させる結果となり、作業効率が低下する原因となる。
【0061】
そこで、
図11に示すような現象の発生を防止するため、
図12に別の検討例として示すキャリアテープパッケージCTP3のように、領域R4の一部分にキャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着されたシール部SL4を備えた構造について検討した。キャリアテープパッケージCTP3の場合、領域R4の一部分が熱圧着されているので、
図11に示すキャリアテープパッケージCTP2のように半導体装置PKG1がポケットPKから離脱する現象の発生を防止できる。
【0062】
しかし、キャリアテープパッケージCTP3の場合、シール部SL4の位置合わせが難しい。
図1に示す半導体装置収容工程とカバーテープ貼り付け工程とは、自動化装置を用いて連続的に実施される。このため、キャリアテープCT1の幅方向(
図12に示すY方向)の位置合わせと比較して、キャリアテープCT1の延在方向(
図12に示すX方向)の位置合わせは難しい。シール部SL4の位置がX方向にずれた場合、半導体装置PKG1のリード群LD3(
図2参照)、またはリード群LD4(
図2参照)、若しくは封止体MRに熱圧着用のコテがカバーテープCVTを介して接触してしまう場合がある。リードLD(
図2参照)または封止体MRはコテの接触により損傷してしまう場合がある。
【0063】
半導体装置PKG1の損傷を抑制するため、領域R4における位置ずれのマージンを大きくするため、領域R4の幅(X方向の長さ)を長くする方法も考えられる。しかし、この場合、キャリアテープCT1の単位面積(言い換えればX方向における単位長さ)当たりに収容可能な半導体装置PKG1の個数が減少してしまう。
【0064】
ここで、
図8および
図9に示す本実施の形態の半導体装置の製造方法の場合、カバーテープ貼り付け工程では、
図8に示すように、領域R1、領域R2、領域R5、領域R6においてキャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着され、かつ、領域R4ではキャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着されない。言い換えれば、本実施の形態において得られるキャリアテープパッケージ(半導体装置包装体)CTP1の場合、領域R1にはシール部SL1が、領域R2にはシール部SL2が、領域R5にはシール部SL5が、領域R6にはシール部SL6が、それぞれ配置され、領域R4にはシール部が配置されていない。
【0065】
本実施の形態のキャリアテープパッケージCTP1の場合、隣り合う2つのポケットPKの間に配置されている領域R3に含まれる領域R5および領域R6においてキャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着されている。このため、
図10に示すキャリアテープパッケージCTP2と比較して、半導体装置PKG1がポケットPKから離脱する現象の発生を抑制できる。また、
図8に示すキャリアテープパッケージCTP1の場合、領域R5および領域R6にシール部が設けられている。領域R5を介して互いに隣り合う2つのリード群LD1(
図2参照)の離間距離GLD1と、領域R6を介して互いに隣り合う2つのリード群LD2(
図2参照)の離間距離GLD2とは、設計上は等しい。また、離間距離GLD1および離間距離GLD2のそれぞれは、領域R4を介して隣り合うリード群LD3(
図2参照)とリード群LD4(
図2参照)との離間距離GLD3よりも大きい。このため、
図8に示すキャリアテープパッケージCTP1の場合、シール部SL5およびシール部SL6の位置がX方向においてずれた場合でも、熱圧着用のコテは、半導体装置PKG1には接触し難い。
【0066】
また、本実施の形態のキャリアテープパッケージCTP1の場合、シール部SL5およびシール部SL6の位置ずれに備えて領域R3のX方向の幅を長くすることなく、半導体装置PKG1の損傷を防止できる。このため、キャリアテープCT1の端子面積(言い換えればX方向における単位長さ)当たりに収容可能な半導体装置PKG1の個数が減少することもない。
【0067】
ところで、
図8に示す例の場合、シール部SL1、シール部SL2、シール部SL5、およびシール部SL6のそれぞれは、Z方向に沿って延びる平面形状を成している。
図8に対する変形例として、
図12に示すシール部SL4のように、例えば円形の平面形状とする場合がある。
図8に示すように、シール部SL1、シール部SL2、シール部SL5、およびシール部SL6のそれぞれは、X方向に沿って延びる平面形状を成していることは、後述する
図17に示すキャリアテープパッケージCTP7の構造と比較して以下の点で好ましい。すなわち、上記したように、キャリアテープCT1の幅方向(
図12に示すY方向)の位置合わせよりも、キャリアテープCT1の延在方向(
図12に示すX方向)の位置合わせが難しい。したがって、例えば、
図8に示すシール部SL5、およびシール部SL6が、
図12に示すシール部SL4のように比較的小さい範囲にスポット的に設けられている場合、シール部SL5、およびシール部SL6の位置ずれの程度によっては、領域R5および領域R6を熱圧着するためのコテが領域R5および領域R6に接触しない懸念がある。この場合、
図10に示すキャリアテープパッケージCTP2と同様な構造になってしまう可能性がある。
【0068】
図8に示すように、シール部SL5、およびシール部SL6のそれぞれが、X方向に沿って延びる平面形状を成している場合、仮に、熱圧着用のコテの一部がポケットPKに跨った場合でも、シール部SL5の少なくとも一部分は領域R5に形成され、シール部SL6の少なくとも一部分は領域R6に形成される可能性が高い。同様に、シール部SL1、およびシール部SL2のそれぞれが、X方向に沿って延びる平面形状を成している場合、シール部SL1の少なくとも一部分、およびシール部SL2の少なくとも一部分は、ポケットPKの隣に配置される可能性が高い。したがって、仮に位置ずれが生じた場合でも
図10に示すキャリアテープパッケージCTP2と比較して半導体装置PKG1がポケットPKから離脱する現象の発生を抑制できる。
【0069】
なお、
図8に示す例の場合、領域R7に配置されたシール部SL7と、領域R8に備えたシール部SL8と、を更に備えている。複数のシール部SL1は、シール部SL7を介して連結されている。また、複数のシール部SL2は、シール部SL8を介して連結されている。シール部SL1とシール部SL7との連結体を一つのシール部と見なせば、当該シール部は、複数の領域R1および複数の領域R7に跨って延びていると表現することができる。同様に、シール部SL2とシール部SL8との連結体を一つのシール部と見なせば、当該シール部は、複数の領域R2および複数の領域R8に跨って延びていると表現することができる。シール部SL1、シール部SL2、シール部SL7、およびシール部SL8の幅(Y方向の長さ)はそれぞれ同じなので、これらのシール部は、仮にX方向に位置ずれが発生した場合でも、構造が変化しない。
【0070】
<変形例>
次に、
図8および
図9に示すシール部の形状やレイアウトに関する変形例について説明する。なお、以下の説明において、各シール部の幅の大小関係の比較に言及する場合があるが、同じ圧力、同じ温度で圧着した場合、シール部の接着強度はシール部の面積に比例する。以下で説明するシール部の幅の大小関係は、各シール部の接着強度の大小関係と読み替えて適用することができる。
【0071】
図13は、
図8に示すキャリアテープパッケージのうち、隣り合う2つのポケットの間の領域の周辺を拡大して示す拡大平面図である。
図14は、
図13に対する変形例を示す拡大平面図である。
図15は、
図14に対する変形例を示す拡大平面図である。
図16は、
図13に対する他の変形例を示す拡大平面図である。
図13に示すキャリアテープパッケージCTP1の場合、シール部SL1の幅WSL1と、シール部SL2の幅WSL2と、シール部SL5の幅WSL5と、シール部SL6の幅WSL6と、シール部SL7の幅WSL7と、シール部SL8の幅WSL8と、はそれぞれ同じ値である。
【0072】
ここで、キャリアテープCT1とカバーテープCVTとのピール特性(圧着部分の剥しやすさ)を考慮すると、X方向において、キャリアテープCT1とカバーテープCVTとの接着強度がX方向において一定であることが好ましい。なお、「接着強度が一定」とは、機械的にキャリアテープCT1とカバーテープCVTとを剥す際に、キャリアテープパッケージCTP1の損傷に伴うトラブルが発生しない範囲で同程度になっていればよい。したがって、X方向における全ての場所において接着強度が完全に一致していることのみに限定されるものではない。
【0073】
X方向において、シール部SL5およびシール部SL6が配置されている領域では、シール部SL5、シール部SL6、シール部SL7、およびシール部SL8の接着強度が合算されるので、シール部SL1およびシール部SL2のみが配置された領域と比較して接着強度が高くなる。
【0074】
そこで、
図14に示すキャリアテープパッケージ(半導体装置包装体)CTP4の場合、シール部SL5の幅WSL5は、シール部SL1の幅WSL1およびシール部SL2の幅WSL2のそれぞれよりも狭い。また、シール部SL6の幅WSL6は、シール部SL1の幅WSL1およびシール部SL2の幅WSL2のそれぞれよりも狭い。熱圧着する工程において、同じ圧力、同じ温度で圧着した場合には、Y方向におけるシール部の接着強度は、シール部の幅に比例する。したがって、
図14に示すキャリアテープパッケージCTP4の場合、
図13に示すキャリアテープパッケージCTP1と比較して、シール部SL5およびシール部SL6が配置されている領域の接着強度と、シール部SL1およびシール部SL2が配置されている領域の接着強度との差を小さくすることができる。この結果、キャリアテープパッケージCTP4は、キャリアテープパッケージCTP1と比較してキャリアテープCT1とカバーテープCVTとのピール特性が高い。
【0075】
また、
図15に示すキャリアテープパッケージ(半導体装置包装体)CTP5の場合、
図14に示す構造に加え、シール部SL7の幅WSL7は、シール部SL1の幅WSL1およびシール部SL2の幅WSL2のそれぞれよりも狭い。また、シール部SL8の幅WSL8は、シール部SL1の幅WSL1およびシール部SL2の幅WSL2のそれぞれよりも狭い。
図15に示す例では、シール部SL7の幅WSL7とシール部SL5の幅WSL5の合計値は、シール部SL1の幅WSL1の値と等しい。同様に、シール部SL8の幅WSL8とシール部SL6の幅WSL6の合計値は、シール部SL2の幅WSL2の値と等しい。
【0076】
カバーテープCVTとキャリアテープCT1とを引き剥がす際の抵抗力が、各シール部のY方向の幅に比例する点に着目すれば、
図15に示すキャリアテープパッケージCTP5の場合、
図14に示すキャリアテープパッケージCTP4と比較して、シール部SL5およびシール部SL6が配置されている領域の接着強度と、シール部SL1およびシール部SL2が配置されている領域の接着強度との差を更に小さくすることができる。キャリアテープパッケージCTP5の場合、シール部SL5およびシール部SL6が配置されている領域の接着強度と、シール部SL1およびシール部SL2が配置されている領域の接着強度との差は、実質的にはゼロと見なすことができる。
【0077】
また、
図16に示すキャリアテープパッケージ(半導体装置包装体)CTP6の場合、
図13~
図15に示すシール部SL7およびシール部SL8が形成されていない点で、
図13に示すキャリアテープパッケージCTP1、
図14に示すキャリアテープパッケージCTP4、および
図15に示すキャリアテープパッケージCTP5と相違する。詳しくは、
図16に示す例では、X方向に沿って配列されたシール部SL1は、領域R7を介して互いに離間している。また、X方向に沿って配列された複数のシール部SL2は、領域R8を介して互いに離間している。言い換えれば、複数のシール部SL1は領域R7により分断され、かつ、複数のシール部SL2は領域R8により分断されている。
【0078】
領域R7は、Y方向において領域R5の隣に配置された領域である。また、領域R8は、Y方向において領域R6の隣に配置された領域である。したがって、領域R7および領域R8にシール部が配置されていない(言い換えれば領域R7および領域R8においては、キャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着されない)ことで、シール部SL5およびシール部SL6が配置された領域の接着強度の増大を抑制できる。
【0079】
図16に示すキャリアテープパッケージCTP6の場合、シール部SL1の幅WSL1、シール部SL2の幅WSL2、シール部SL5の幅WSL5、およびシール部SL6の幅WSL6は、互いに同じである。この場合、シール部SL5およびシール部SL6が配置されている領域の接着強度と、シール部SL1およびシール部SL2が配置されている領域の接着強度との差は、実質的にはゼロと見なすことができる。
【0080】
また、
図13に対する他の変形例として、
図17に示すキャリアテープパッケージ(半導体装置包装体)CTP7のように、Y方向に延びるシール部SL5およびシール部SL6が形成されている場合がある。
図17は、
図13に対する他の変形例を示す拡大平面図である。
図17に示すキャリアテープパッケージCTP7の場合、シール部SL5およびシール部SL6がY方向に延びる平面形状を成す点で
図13に示すキャリアテープパッケージCTPと相違する。詳しくは、シール部SL1およびシール部SL2のそれぞれは、X方向に沿って延びる平面形状を成す。一方、シール部SL5およびシール部SL6のそれぞれは、X方向に交差する(
図17では直交する)Y方向に沿って延びる平面形状を成す。
【0081】
キャリアテープパッケージCTP7の場合、領域R5および領域R6のそれぞれにおいて、キャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着されるので、
図11を用いて説明した、半導体装置PKG1がポケットPKから飛び出す現象の発生を抑制できる。また、領域R4では、キャリアテープCT1とカバーテープCVTとが熱圧着されていないので、仮に、X方向において、シール位置のずれが生じたとしても、位置ずれに起因して半導体装置PKG1が損傷することを抑制できる。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0083】
BW ワイヤ
CP 半導体チップ
CPb 裏面
CPt 表面
CT1 キャリアテープ
CTH 貫通孔
CTHR 孔配置領域
CTL1,CTL2 長辺
CTP1,CTP2,CTP3,CTP4,CTP5,CTP6,CTP7 キャリアテープパッケージ(半導体装置包装体)
CVT カバーテープ
DB 接合材(ダイボンド材)
DP ダイパッド
DPb,MRb 下面
DPt,LDt,MRt 上面
GLD1,GLD2,GLD3 離間距離
ILD インナリード部
LD リード
LD1,LD2,LD3,LD4 リード群
MC 金属膜
MR 封止体
MRs1,MRs2,MRs3,MRs4 辺
OLD アウタリード部
PD パッド
PK ポケット
PKG1 半導体装置
PKL1,PKL2,PKL3,PKL4 リード収容部
PKM 封止体収容部
PKMb 底面
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8 領域
RB リブ
SL1,SL2,SL4,SL5,SL6,SL7,SL8 シール部
VTD,X,Y 方向
WSL1,WSL2,WSL5,WSL6,WSL7,WSL8 幅