(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068831
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】作業機械を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20240514BHJP
B62D 11/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179433
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 慎一
(72)【発明者】
【氏名】幸村 貴臣
(72)【発明者】
【氏名】長坂 亮一
(72)【発明者】
【氏名】矢津田 修
【テーマコード(参考)】
3D052
3D232
【Fターム(参考)】
3D052AA02
3D052BB08
3D052DD01
3D052EE01
3D052FF01
3D052GG04
3D052HH03
3D052JJ21
3D232CC12
3D232DA03
3D232DA24
3D232DA33
3D232DA82
3D232DA87
3D232DB11
3D232DC33
3D232DC34
3D232EA10
3D232EC03
3D232GG04
(57)【要約】
【課題】作業機械をスリップ状態から迅速に脱出させる。
【解決手段】作業機械は、車体と、左駆動輪と、右駆動輪と、駆動源と、駆動装置と、ヨー角センサと、コントローラとを備える。駆動装置は、駆動源からの駆動力により左駆動輪と右駆動輪とを回転させる。ヨー角センサは、車体の実ヨー角速度を検出する。コントローラは、駆動装置を制御して、左駆動輪と右駆動輪との回転速度差によって車体を旋回させる。コントローラは、駆動装置の制御に応じた車体の理論ヨー角速度を算出する。コントローラは、実ヨー角速度を取得する。コントローラは、理論ヨー角速度と実ヨー角速度とに基づいて、旋回中の車体の実スリップ値を算出する。コントローラは、実スリップ値が、0より大きい所定の目標スリップ値となるように、左駆動輪と右駆動輪との少なくとも一方の回転速度を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に回転可能に支持される左駆動輪と、前記車体に回転可能に支持される右駆動輪と、前記車体に搭載される駆動源と、前記駆動源からの駆動力により前記左駆動輪と前記右駆動輪とを回転させる駆動装置と、を備える作業機械を制御するためのシステムであって、
前記車体の実ヨー角速度を検出するヨー角センサと、
前記駆動装置を制御して、前記左駆動輪と前記右駆動輪との回転速度差によって前記車体を旋回させるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記駆動装置の制御に応じた前記車体の理論ヨー角速度を算出し、
前記実ヨー角速度を取得し、
前記理論ヨー角速度と前記実ヨー角速度とに基づいて、旋回中の前記車体のスリップの大きさを示す実スリップ値を算出し、
前記実スリップ値が、0より大きい所定の目標スリップ値となるように、前記左駆動輪と前記右駆動輪との少なくとも一方の回転速度を制御する、
システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記実スリップ値が前記目標スリップ値よりも大きい場合には、前記左駆動輪と前記右駆動輪とのうち、旋回時における外側に位置する方の駆動輪の回転速度を低減する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記実スリップ値の減少に応じて、前記左駆動輪と前記右駆動輪とのうち、旋回時における外側に位置する方の駆動輪の回転速度を増大する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記左駆動輪の回転速度を検出する第1速度センサと、
前記右駆動輪の回転速度を検出する第2速度センサと、
をさらに備え、
前記コントローラは、前記左駆動輪の回転速度と前記右駆動輪の回転速度とに基づいて、前記理論ヨー角速度を算出する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記左駆動輪に巻回される左履帯と、
前記右駆動輪に巻回される右履帯と、
をさらに備え、
前記コントローラは、
前記左駆動輪の回転速度に基づいて、前記左履帯の動作速度を算出し、
前記右駆動輪の回転速度に基づいて、前記右履帯の動作速度を算出し、
前記左履帯の動作速度と前記右履帯の動作速度とに基づいて、前記理論ヨー角速度を算出する、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記所定の目標スリップ値は、固定値である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
オペレータによって操作可能な入力装置をさらに備え、
前記所定の目標スリップ値は、前記入力装置によって設定される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記作業機械が配置される地面の硬さを取得し、
前記地面の硬さに基づいて、前記所定の目標スリップ値を決定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記作業機械が配置される作業現場内の位置と地面の硬さとの関係を示す作業現場情報を取得し、
前記作業現場内の任意の位置の選択を受け付け、
前記作業現場情報を参照して、選択された前記作業現場内の位置に対応する前記地面の硬さを取得し、
前記地面の硬さに基づいて、前記所定の目標スリップ値を決定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
車体と、前記車体に回転可能に支持される左駆動輪と、前記車体に回転可能に支持される右駆動輪と、前記車体に搭載される駆動源と、前記駆動源からの駆動力により前記左駆動輪と前記右駆動輪とを回転させる駆動装置と、を備える作業機械を制御するための方法であって、
前記駆動装置を制御して、前記左駆動輪と前記右駆動輪との回転速度差によって前記車体を旋回させることと、
前記駆動装置の制御に応じた前記車体の理論ヨー角速度を算出することと、
前記車体の実ヨー角速度を取得することと、
前記理論ヨー角速度と前記実ヨー角速度とに基づいて、旋回中の前記車体のスリップの大きさを示す実スリップ値を算出することと、
前記実スリップ値が、0より大きい所定の目標スリップ値となるように、前記左駆動輪と前記右駆動輪との少なくとも一方の回転速度を制御すること、
を備える方法。
【請求項11】
前記実スリップ値が前記目標スリップ値よりも大きい場合には、前記左駆動輪と前記右駆動輪とのうち、旋回時における外側に位置する方の駆動輪の回転速度を低減すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記実スリップ値の減少に応じて、前記左駆動輪と前記右駆動輪とのうち、旋回時における外側に位置する方の駆動輪の回転速度を増大すること、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記左駆動輪の回転速度を取得することと、
前記右駆動輪の回転速度を取得することと、
前記左駆動輪の回転速度と前記右駆動輪の回転速度とに基づいて、前記理論ヨー角速度を算出すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記作業機械は、
前記左駆動輪に巻回される左履帯と、
前記右駆動輪に巻回される右履帯と、
をさらに備え、
前記左駆動輪の回転速度に基づいて、前記左履帯の動作速度を算出することと、
前記右駆動輪の回転速度に基づいて、前記右履帯の動作速度を算出することと、
前記左履帯の動作速度と前記右履帯の動作速度とに基づいて、前記理論ヨー角速度を算出すること、
をさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の目標スリップ値は、固定値である、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記所定の目標スリップ値は、オペレータによって操作可能な入力装置によって設定される、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記作業機械が配置される地面の硬さを取得することと、
前記地面の硬さに基づいて、前記所定の目標スリップ値を決定すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記作業機械が配置される作業現場内の位置と地面の硬さとの関係を示す作業現場情報を取得することと、
前記作業現場内の任意の位置の選択を受け付けることと、
前記作業現場情報を参照して、選択された前記作業現場内の位置に対応する前記地面の硬さを取得することと、
前記地面の硬さに基づいて、前記所定の目標スリップ値を決定すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項19】
車体と、前記車体に回転可能に支持される左駆動輪と、前記車体に回転可能に支持される右駆動輪と、前記車体に搭載される駆動源と、前記駆動源からの駆動力により前記左駆動輪と前記右駆動輪とを回転させる駆動装置と、を備える作業機械を制御するための方法であって、
前記駆動装置を制御して、前記左駆動輪と前記右駆動輪との回転速度差によって前記車体を旋回させることと、
前記左駆動輪の回転速度を取得することと、
前記右駆動輪の回転速度を取得することと、
前記左駆動輪の回転速度と前記右駆動輪の回転速度とに基づいて、前記車体の理論ヨー角速度を算出することと、
前記車体の実ヨー角速度を取得することと、
前記理論ヨー角速度と前記実ヨー角速度とに基づいて、旋回中の前記車体の実スリップ値を算出することと、
前記実スリップ値が、所定の目標スリップ値より大きい場合には、前記実スリップ値を低減するように、前記左駆動輪と前記右駆動輪との少なくとも一方の回転速度を制御すること、
を備える方法。
【請求項20】
前記作業機械は、
前記左駆動輪に巻回される左履帯と、
前記右駆動輪に巻回される右履帯と、
をさらに備え、
前記左駆動輪の回転速度に基づいて、前記左履帯の動作速度を算出することと、
前記右駆動輪の回転速度に基づいて、前記右履帯の動作速度を算出することと、
前記左履帯の動作速度と前記右履帯の動作速度とに基づいて、前記理論ヨー角速度を算出すること、
をさらに備える請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械には、左右の駆動輪の速度差によって、車体を旋回させるものがある。例えば、特許文献1の装軌車両では、左右の駆動輪のそれぞれにクラッチとブレーキとが接続されている。装軌車両は、左右の履帯を備えており、左右の駆動輪が回転することで、履帯が駆動される。車両を旋回させる場合、オペレータは、操向レバーを操作する。車両のコントローラは、オペレータによる操向レバーの操作に応じて、旋回指令を設定する。そして、コントローラは、旋回指令に応じて、クラッチとブレーキとを制御することで、左右の駆動輪に速度差を生じさせる。それにより、車体が旋回する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、作業機械が、方向転換のために小旋回する場合、或いは、作業中に小旋回する場合には、オペレータは、旋回指令を大きく入力する。このとき、車体への負荷が大きい場合には、車体が旋回できず、外側の履帯が激しくスリップする場合がある。このようなスリップ状態が続くと、車体が損耗すると共に、駆動力の損失が生じてしまう。本開示の目的は、作業機械をスリップ状態から迅速に脱出させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係るシステムは、作業機械を制御するためのシステムである。作業機械は、車体と、左駆動輪と、右駆動輪と、駆動源と、駆動装置と、ヨー角センサと、コントローラとを備える。左駆動輪は、車体に回転可能に支持される。右駆動輪は、車体に回転可能に支持される。駆動源は、車体に搭載される。駆動装置は、駆動源からの駆動力により左駆動輪と右駆動輪とを回転させる。ヨー角センサは、車体の実ヨー角速度を検出する。
【0006】
コントローラは、駆動装置を制御して、左駆動輪と右駆動輪との回転速度差によって車体を旋回させる。コントローラは、駆動装置の制御に応じた車体の理論ヨー角速度を算出する。コントローラは、実ヨー角速度を取得する。コントローラは、理論ヨー角速度と実ヨー角速度とに基づいて、旋回中の車体のスリップの大きさを示す実スリップ値を算出する。コントローラは、実スリップ値が、0より大きい所定の目標スリップ値となるように、左駆動輪と右駆動輪との少なくとも一方の回転速度を制御する。
【0007】
本態様に係るシステムでは、実スリップ値が所定の目標スリップ値より大きい場合には、実スリップ値が所定の目標スリップ値となるように、左駆動輪と右駆動輪との少なくとも一方の回転速度が制御される。それにより、作業機械をスリップ状態から迅速に脱出させることができる。
【0008】
また、作業機械が用いられる環境では、作業機械は通常状態においても、多少のスリップを発生させている。従って、作業機械が通常状態であっても、スリップ率は0ではない。本態様に係るシステムでは、実スリップ値が、0より大きい所定の目標スリップ値となるように、左駆動輪と右駆動輪との少なくとも一方の回転速度が制御される。それにより、実スリップ値の過剰な低減が抑制される。
【0009】
本開示の第2の態様に係る方法は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、車体と、左駆動輪と、右駆動輪と、駆動源と、駆動装置とを備える。左駆動輪は、車体に回転可能に支持される。右駆動輪は、車体に回転可能に支持される。駆動源は、車体に搭載される。駆動装置は、駆動源からの駆動力により左駆動輪と右駆動輪とを回転させる。
【0010】
当該方法は、駆動装置を制御して、左駆動輪と右駆動輪との回転速度差によって車体を旋回させることと、駆動装置の制御に応じた車体の理論ヨー角速度を算出することと、車体の実ヨー角速度を取得することと、理論ヨー角速度と実ヨー角速度とに基づいて、旋回中の車体の実スリップ値を算出することと、実スリップ値が、0より大きい所定の目標スリップ値となるように、左駆動輪と右駆動輪との少なくとも一方の回転速度を制御すること、を備える。
【0011】
本態様に係る方法では、作業機械をスリップ状態から迅速に脱出させることができる。また、実スリップ値の過剰な低減が抑制される。
【0012】
本開示の第3の態様に係る方法は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、車体と、左駆動輪と、右駆動輪と、駆動源と、駆動装置とを備える。左駆動輪は、車体に回転可能に支持される。右駆動輪は、車体に回転可能に支持される。駆動源は、車体に搭載される。駆動装置は、駆動源からの駆動力により左駆動輪と右駆動輪とを回転させる。
【0013】
当該方法は、駆動装置を制御して、左駆動輪と右駆動輪との回転速度差によって車体を旋回させることと、左駆動輪の回転速度を取得することと、右駆動輪の回転速度を取得することと、左駆動輪の回転速度と右駆動輪の回転速度とに基づいて、車体の理論ヨー角速度を算出することと、車体の実ヨー角速度を取得することと、理論ヨー角速度と実ヨー角速度とに基づいて、旋回中の車体の実スリップ値を算出することと、実スリップ値が、所定の目標スリップ値より大きい場合には、実スリップ値を低減するように、左駆動輪と右駆動輪との少なくとも一方の回転速度を制御すること、を備える。
【0014】
本態様に係る方法では、実スリップ値が所定の目標スリップ値より大きい場合には、実スリップ値を低減するように、左駆動輪と右駆動輪との少なくとも一方の回転速度が制御される。それにより、作業機械をスリップ状態から迅速に脱出させることができる。また、車体の理論ヨー角速度は、左駆動輪の回転速度と右駆動輪の回転速度とに基づいて算出される。そのため、例えば、駆動輪の操作レバーの操作量に基づいて理論ヨー角速度が算出される場合十比べて、理論ヨー角速度が精度よく算出される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、作業機械をスリップ状態から迅速に脱出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】スリップ制御の処理を示すブロック図である。
【
図5】第1変形例に係る作業機械の構成を示す模式図である。
【
図6】第2変形例に係る作業機械の構成を示す模式図である。
【
図7】第3変形例に係る作業機械の構成を示す模式図である。
【
図8】第4変形例に係る作業機械の構成を示す模式図である。
【
図9】第5変形例に係る作業機械の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態に係る作業機械の制御システムおよび制御方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す側面図である。
図2は、作業機械1の上面図である。本実施形態に係る作業機械1は、ブルドーザである。作業機械1は、車体11と、走行装置12と、作業機13と、を備えている。車体11は、運転室14と動力室15とを有する。運転室14には、図示しない運転席が配置されている。動力室15は、運転室14の前方に配置されている。
【0018】
走行装置12は、車体11の下部に取り付けられている。走行装置12は、左駆動輪16と、右駆動輪17と、左履帯18と、右履帯19とを含む。左駆動輪16と右駆動輪17とは、車体11に回転可能に支持されている。左履帯18は、左駆動輪16に巻回されている。右履帯19は、右駆動輪17に巻回されている。左右の駆動輪16,17が回転して、左右の履帯18,19が駆動されることによって、作業機械1が走行する。
【0019】
作業機13は、車体11に取り付けられている。作業機13は、リフトフレーム21,22と、ブレード23と、リフトシリンダ24,25と、チルトシリンダ26,27とを含む。リフトフレーム21,22は、上下に動作可能に車体11に取り付けられている。リフトフレーム21,22は、ブレード23を支持している。
【0020】
ブレード23は、車体11の前方に配置されている。ブレード23は、リフトフレーム21,22の上下動に伴って上下に動作する。リフトシリンダ24,25は、車体11とブレード23とに連結されている。或いは、リフトシリンダ24,25は、車体11とリフトフレーム21,22とに連結されてもよい。リフトシリンダ24,25が伸縮することによって、リフトフレーム21,22は、上下に動作する。チルトシリンダ26,27は、リフトフレーム21,22とブレード23とに連結されている。チルトシリンダ26,27が伸縮することで、ブレード23の左右の端部が上下にチルト動作する。
【0021】
図3は、作業機械1の駆動系2と制御システム3との構成を示すブロック図である。
図3に示すように、駆動系2は、駆動源31と駆動装置32とを備えている。駆動源31と駆動装置32とは、車体11に搭載される。駆動源31は、例えば内燃エンジンを含む。駆動装置32は、駆動源31からの駆動力により左駆動輪16と右駆動輪17とを回転させる。なお、駆動系2は、作業機13用の油圧ポンプ(図示せず)を備えている。作業機13用の油圧ポンプは、駆動源31によって駆動され、上述したシリンダ24-27を駆動するための作動油を吐出する。
【0022】
駆動装置32は、PTO(Power Take Off)33と、トランスミッション34と、トランスファー35と、ステアリング機構36とを含む。PTO33は、駆動源31からの駆動力を、トランスミッション34とステアリング機構36とに分配する。トランスミッション34は、PTO33を介して駆動源31に接続されている。トランスミッション34は、例えばクラッチと複数の変速ギアとを含む。トランスミッション34は、トランスファー35を介して、左駆動輪16と右駆動輪17とに接続されている。
【0023】
駆動装置32は、左クラッチ37と、左ブレーキ38と、左リンク機構39とを含む。左クラッチ37と、左ブレーキ38と、左リンク機構39とは、左駆動輪16に接続されている。左クラッチ37は、トランスミッション34から左駆動輪16への駆動力の伝達と遮断とを切り替える。左ブレーキ38は、左駆動輪16を制動する。左リンク機構39は、左駆動輪16とステアリング機構36とを接続する。左リンク機構39は、例えば遊星歯車機構を含む。
【0024】
駆動装置32は、右クラッチ41と、右ブレーキ42と、右リンク機構43とを含む。右クラッチ41と、右ブレーキ42と、右リンク機構43とは、右駆動輪17に接続されている。右クラッチ41は、トランスミッション34から右駆動輪17への駆動力の伝達と遮断とを切り替える。右ブレーキ42は、右駆動輪17を制動する。右リンク機構43は、右駆動輪17とステアリング機構36とを接続する。右リンク機構43は、例えば遊星歯車機構を含む。
【0025】
ステアリング機構36は、左駆動輪16と右駆動輪17とに回転速度差を発生させることで、車体11を旋回させる。例えば、ステアリング機構36は、左駆動輪16を右駆動輪17よりも増速することで、車体11を右方へ旋回させる。ステアリング機構36は、右駆動輪17を左駆動輪16よりも増速することで、車体11を左方へ旋回させる。ステアリング機構36は、油圧ポンプ44と油圧モータ45とを含む。
【0026】
油圧ポンプ44は、PTO33を介して駆動源31に接続されている。油圧ポンプ44は、駆動源31によって駆動されることで、作動油を吐出する。油圧モータ45は、油圧回路46を介して油圧ポンプ44と接続されている。油圧モータ45は、油圧ポンプ44から吐出された作動油によって駆動される。油圧モータ45は、左リンク機構39を介して左駆動輪16に接続されている。油圧モータ45は、右リンク機構43を介して右駆動輪17に接続されている。油圧モータ45は、油圧ポンプ44からの作動油によって駆動されることで、左駆動輪16と右駆動輪17とを増速する。
【0027】
制御システム3は、コントローラ51を含む。コントローラ51は、作業機械1を制御するようにプログラムされている。コントローラ51は、RAM及びROMなどのメモリと、CPUなどのプロセッサとを含む。コントローラ51は、SSD、或いはHDDなどの補助記憶装置を含んでもよい。コントローラ51は、作業機械1を制御するためのプログラムおよびデータを記録している。コントローラ51は、プログラムおよびデータに基づいて、作業機械1を制御するための処理を実行する。
【0028】
制御システム3は、変速操作部材52と、作業機操作部材53と、ステアリング操作部材54と、入力装置55とを含む。変速操作部材52は、トランスミッション34の減速比を切り替えるために、オペレータによって操作可能である。変速操作部材52は、例えばレバーであるが、スイッチなどの他の部材であってもよい。コントローラ51は、変速操作部材52の操作に応じて、トランスミッション34を制御する。作業機操作部材53は、作業機13を動作させるために、オペレータによって操作可能である。作業機操作部材53は、例えばレバーであるが、スイッチなどの他の部材であってもよい。コントローラ51は、作業機操作部材53の操作に応じて、作業機13を制御する。
【0029】
ステアリング操作部材54は、車体11を左右に旋回させるために、オペレータによって操作可能である。ステアリング操作部材54は、例えばレバーであるが、スイッチなどの他の部材であってもよい。コントローラ51は、ステアリング操作部材54の操作に応じて、ステアリング機構36を制御する。入力装置55は、作業機械1の設定を行うために、オペレータによって操作可能である。入力装置55は、例えばタッチスクリーンであるが、スイッチなどの他の部材であってもよい。
【0030】
制御システム3は、ヨー角センサ56と、第1速度センサ57と、第2速度センサ58とを含む。ヨー角センサ56は、車体11の実ヨー角速度を検出する。車体11の実ヨー角速度は、車体11のヨー角の単位時間当たりの変化量を示す。ヨー角センサ56は、例えば、IMU(Inertial Measurement Unit)である。或いは、ヨー角センサ56は、GPS(Global Positioning System)などの位置センサであってもよい。或いは、ヨー角センサ56は、方位角センサ、或いはヨーレートセンサなどの他のセンサであってもよい。ヨー角センサ56は、車体11の実ヨー角速度を示す信号を、コントローラ51へ出力する。或いは、ヨー角センサ56は、車体11の実ヨー角を示す信号をコントローラ51へ出力し、コントローラ51は、実ヨー角の変化から実ヨー角速度を算出してもよい。
【0031】
第1速度センサ57と第2速度センサ58とは、回転センサである。第1速度センサ57は、左駆動輪16の実際の回転速度を検出する。第1速度センサ57は、左駆動輪16の回転速度を示す信号を、コントローラ51へ出力する。第2速度センサ58は、右駆動輪17の実際の回転速度を検出する。第2速度センサ58は、右駆動輪17の回転速度を示す信号を、コントローラ51へ出力する。
【0032】
上述したように、コントローラ51は、ステアリング操作部材54の操作に応じて、ステアリング機構36を制御する。それにより、車体11が、ステアリング操作部材54の操作に応じて、旋回する。詳細には、コントローラ51は、ステアリング操作部材54の操作量(以下、ステアリング操作量と呼ぶ)と操作方向とを取得する。コントローラ51は、ステアリング操作量に応じて、油圧ポンプ44の容量を制御する。それにより、左駆動輪16又は右駆動輪17の増速の大きさが制御される。
【0033】
コントローラ51は、ステアリング操作部材54の操作方向に応じて、左リンク機構39と右リンク機構43とを制御することで、左駆動輪16と右駆動輪17との一方を増速する。例えば、ステアリング操作部材54の操作方向が左旋回である場合には、油圧モータ45は、右リンク機構43を介して、右駆動輪17を増速する。それにより、右駆動輪17の回転速度が左駆動輪16の回転速度よりも大きくなり、その回転速度差によって、車体11が左方に旋回する。ステアリング操作部材54の操作方向が右旋回である場合には、油圧モータ45は、左リンク機構39を介して、左駆動輪16を増速する。それにより、左駆動輪16の回転速度が右駆動輪17の回転速度よりも大きくなり、その回転速度差によって、車体11が右方に旋回する。
【0034】
上述のように、オペレータが、ステアリング操作部材54を操作することで、車体11を旋回させる場合、車体11が旋回できず、外側の履帯が激しくスリップする場合がある。本実施形態に係る作業機械1の制御システム3では、車体11が旋回時にスリップ状態に陥った場合に、スリップ状態から迅速に脱出させるために、コントローラ51がスリップ制御を実行する。以下、スリップ制御の処理について説明する。
【0035】
図4は、スリップ制御の処理を示すブロック図である。
図4に示すように、ステップS101では、コントローラ51は、オペレータの操作による第1旋回指令C1を決定する。コントローラ51は、上述したステアリング操作量に応じて、第1旋回指令C1を決定する。第1旋回指令C1は、ステアリング操作量に応じた左履帯18又は右履帯19の増速の大きさを示す。
【0036】
詳細には、第1旋回指令C1は、油圧ポンプ44への指令値で示される。例えば、コントローラ51は、ステアリング操作量と第1旋回指令C1との関係を規定する旋回指令データを記憶している。コントローラ51は、旋回指令データを参照して、ステアリング操作量から第1旋回指令C1を決定する。
【0037】
ステップS102では、コントローラ51は、理論ヨー角速度ωtを取得する。理論ヨー角速度ωtは、駆動装置32の制御に応じて算出される旋回時の車体11のヨー角速度である。詳細には、理論ヨー角速度ωtは、左履帯18の動作速度と右履帯19の動作速度とから算出される車体11のヨー角速度である。理論ヨー角速度ωtは、以下の式(1)により表される。
V1は、左履帯18と右履帯19とのうち、旋回の内側に位置する方の履帯(以下、内側履帯と呼ぶ)の動作速度(以下、内側速度と呼ぶ)である。V2は、左履帯18と右履帯19とのうち、旋回の外側に位置する方の履帯(以下、外側履帯と呼ぶ)の動作速度(以下、外側速度と呼ぶ)である。車体11が左方へ旋回する場合には、
図2に示すように、内側速度V1は左履帯18の動作速度であり、外側速度V2は右履帯19の動作速度である。逆に、車体11が右方へ旋回する場合には、内側速度V1は右履帯19の動作速度であり、外側速度V2は左履帯18の動作速度である。
【0038】
コントローラ51は、左駆動輪16の回転速度と、駆動装置32の減速比とに基づいて、左履帯18の動作速度を算出する。コントローラ51は、右駆動輪17の回転速度と、駆動装置32の減速比とに基づいて、右履帯19の動作速度を算出する。式(1)において、Rは、旋回半径である。旋回半径Rは、以下の式(2)により表される。
Bは、ゲージ幅である。
図2に示すように、ゲージ幅Bは、左履帯18と右履帯19との中心間距離である。ゲージ幅は、作業機械1の機種に固有の値であり、コントローラ51に記憶されている。式(1)と式(2)とから、理論ヨー角速度ωtは、以下の式(3)で表される。コントローラ51は、式(3)により、内側速度V1と外側速度V2とに基づいて、理論ヨー角速度ωtを算出する。
ステップS103では、コントローラ51は、実ヨー角速度ωrを取得する。実ヨー角速度ωrは、車体11の実際のヨー角速度である。コントローラ51は、ヨー角センサ56からの信号により、現在の実ヨー角速度ωrを取得する。
【0039】
ステップS104では、コントローラ51は、実スリップ率Srを算出する。実スリップ率Srは、車体11のスリップの大きさを示す。コントローラ51は、理論ヨー角速度ωtと実ヨー角速度ωrとに基づいて、旋回中の車体11の実スリップ率Srを算出する。コントローラ51は、以下の式(4)により、車体11の実スリップ率Srを算出する。
ステップS105では、コントローラ51は、目標スリップ率Stを取得する。目標スリップ率Stは、0より大きい所定の値である。目標スリップ率Stは、コントローラ51に記憶された固定値であってもよい。目標スリップ率Stは、例えば、車体11が旋回の困難なスリップ状態ではなく通常状態であると、オペレータが感じる程度の値に設定される。ただし、目標スリップ率Stは、可変であってもよい。
【0040】
ステップS106では、コントローラ51は、スリップ制御による第2旋回指令C2を決定する。コントローラ51は、実スリップ率Srが目標スリップ率Stとなるように、スリップ制御による第2旋回指令C2を決定する。コントローラ51は、例えば、以下の式(5)により、P(比例)制御により、スリップ制御による第2旋回指令C2を決定する。以下の式(5)において、Kpは、Pゲインである。
ステップS107では、コントローラ51は、最終旋回指令C3を決定する。コントローラ51は、オペレータの操作による第1旋回指令C1に、スリップ制御による第2旋回指令C2を加えることで、最終旋回指令C3を決定する。コントローラ51は。最終旋回指令C3により、油圧ポンプ44を制御する。
【0041】
例えば、実スリップ率Srが目標スリップ率Stよりも大きい場合には、スリップ制御による第2旋回指令C2は負の値となる。そのため、コントローラ51は、最終旋回指令C3を、オペレータの操作による第1旋回指令C1よりも低減する。それにより、旋回時における外側履帯の動作速度が減速される。その結果、実スリップ率Srが低減して、車体11がスリップ状態から脱出することができる。
【0042】
車体11がスリップ状態から脱出すると、実スリップ率Srが低減して目標スリップ率Stに近づく。実スリップ率Srが低減し、実スリップ率Srと目標スリップ率Stとの差が小さくなると、コントローラ51は、旋回指令C2の値を小さくする。そして、コントローラ51は、最終旋回指令C3を、オペレータの操作による第1旋回指令C1に近づくように、増大させる。それにより、旋回時における外側履帯の動作速度が増速する。その結果、作業の効率が向上する。
【0043】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1の制御システム3は、実スリップ率Srが、目標スリップ率Stとなるように、左駆動輪16と右駆動輪17との少なくとも一方の回転速度を制御する。それにより、作業機械1をスリップ状態から迅速に脱出させることができる。
【0044】
目標スリップ率Stは、0より大きい所定の値である。そのため、実スリップ率Srの過剰な低減が抑制される。それにより、作業効率が向上する。
【0045】
また、車体11の理論ヨー角速度ωtは、左駆動輪16の実際の回転速度と右駆動輪17の実際の回転速度とに基づいて算出される。そのため、車体11の理論ヨー角速度ωtが精度よく算出される。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
作業機械1は、ブルドーザに限らず、ショベル、ホイールローダ、トラクタ等の他の機械であってもよい。走行装置12は、履帯に限らず、タイヤを含んでもよい。作業機械1は、遠隔操縦可能な車両であってもよい。その場合、操作部材52-54と入力装置55とは、作業機械1の外部に配置されてもよい。作業機械1から運転室14が省略されてもよい。
【0048】
駆動装置32の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、上記の実施形態の作業機械1からクラッチ37,41が省略されてもよい。或いは、
図5は、第1変形例に係る作業機械1の構成を示す模式図である。
図5に示すように、駆動装置32から、ステアリング機構36とリンク機構39,43とが省略されてもよい。コントローラ51は、クラッチ37,41とブレーキ38,42とを制御して、左駆動輪16と右駆動輪17とに回転速度差を生じさせることで、車体11を旋回させてもよい。
【0049】
図6は、第2変形例に係る作業機械1の構成を示す模式図である。
図6に示すように、駆動装置32は、第1走行ポンプ61と、第2走行ポンプ62と、第1走行モータ63と、第2走行モータ64とを含んでもよい。第1走行ポンプ61と第2走行ポンプ62とは、油圧ポンプである。第1走行ポンプ61と第2走行ポンプ62とは、駆動源31によって駆動される。第1走行モータ63と第2走行モータ64とは、油圧モータである。第1走行モータ63は、第1走行ポンプ61からの作動油によって駆動される。第1走行モータ63は、左駆動輪16に接続されており、左駆動輪16を回転させる。第2走行モータ64は、第2走行ポンプ62からの作動油によって駆動される。第2走行モータ64は、右駆動輪17に接続されており、右駆動輪17を回転させる。コントローラ51は、第1走行ポンプ61の容量と第2走行ポンプ62の容量とを制御して、左駆動輪16と右駆動輪17とに回転速度差を生じさせることで、車体11を旋回させてもよい。
【0050】
スリップ制御は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、実スリップ率Srは、実スリップ値の一例である。実スリップ率Srの代わりに、実スリップ量が実スリップ値として用いられてもよい。実スリップ量は、理論ヨー角速度ωtと実ヨー角速度ωrとの差で示されてもよい。同様に、目標スリップ率Stは、目標スリップ値の一例である。目標スリップ率Stの代わりに、目標スリップ量が目標スリップ値として用いられてもよい。
【0051】
目標スリップ率Stを決定するための方法は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、目標スリップ率Stは、入力装置55によって設定可能であってもよい。オペレータは、入力装置55によって目標スリップ率Stの値を入力可能であってもよい。或いは、目標スリップ率Stは、「強」「中」「弱」のようにスリップ制御の強さを示す段階の選択に応じて設定されてもよい。
【0052】
或いは、
図7は、第3変形例に係る作業機械1の構成を示す模式図である。
図7に示すように、作業機械1は、土質センサ65を備えてもよい。土質センサ65は、作業機械1が配置される地面の硬さを検出する。コントローラ51は、作業機械1が配置される地面の硬さを取得し、地面の硬さに基づいて、所定の目標スリップ率Stを決定してもよい。例えば、コントローラ51は、地面の硬さが柔らかいほど、所定の目標スリップ率Stを増大させてもよい。
【0053】
或いは、コントローラ51は、作業現場情報に基づいて、地面の硬さを取得してもよい。作業現場情報は、作業機械1が配置される作業現場内の位置と地面の硬さとの関係を示す。コントローラ51は、入力装置55によって作業現場内の任意の位置の選択を受け付けてもよい。例えば、入力装置55はモニタを含み、作業現場の地図がモニタに表示されてもよい。オペレータは、モニタに表示された地図から、任意の位置を選択してもよい。コントローラ51は、作業現場情報を参照して、選択された作業現場の位置に対応する地面の硬さを取得してもよい。
【0054】
所定の目標スリップ率Stの決定は、作業機械1のコントローラ51に限らず、作業機械1の外部のコンピュータによって実行されてもよい。コントローラ51は、外部のコンピュータから目標スリップ率Stを取得してもよい。例えば、
図8は、第4変形例に係る作業機械1の構成を示す模式図である。
【0055】
図8に示すように、作業機械1は、通信装置66を備えてもよい。通信装置66は、例えば無線通信用のモジュールであり、作業機械1の外部のコンピュータと通信を行う。通信装置66は、モバイル通信ネットワークを利用するものであってもよい。或いは、通信装置66は、LAN(Local Area Network)、或いはインターネットなどの他のネットワークを利用するものであってもよい。作業機械1は、取得した地面の硬さを、通信装置66を介して、外部のサーバ67に送信してもよい。サーバ67は、地面の硬さに応じた目標スリップ率Stを算出して、通信装置66を介して、作業機械1のコントローラ51に送信してもよい。
【0056】
上述した実施形態、或いは、変形例において、駆動源31は、内燃エンジンに限らず、電動モータを含んでもよい。電動モータは、内燃エンジンの駆動力によって発電された電力によって駆動されてもよい。例えば、
図9に示す第5変形例のように、作業機械1は、トランスミッション34に代えて、発電機71とモータ73とを備えてもよい。発電機71は、駆動源31からの駆動力によって発電してもよい。モータ73は、インバータ72を介して発電機71に接続されてもよい。モータ73は、発電機71によって発電された電力によって駆動され、それにより、駆動輪16,17を駆動してもよい。上述した他の変形例についても同様に、作業機械1は、トランスミッション34に代えて、発電機とモータとを備えてもよい。或いは、作業機械1は、走行ポンプ61,62、走行モータ63,64に代えて、発電機とモータとを備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示によれば、作業機械をスリップ状態から迅速に脱出させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:作業機械
11:車体
16:左駆動輪
17:右駆動輪
18:左履帯
19:右履帯
31:駆動源
32:駆動装置
51:コントローラ
55:入力装置
56:ヨー角センサ
57:第1速度センサ
58:第2速度センサ