(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068832
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】移動体収納装置及び移動体管理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240514BHJP
B62H 3/00 20060101ALI20240514BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20240514BHJP
【FI】
B65G1/137 B
B62H3/00
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179434
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA04
3F522BB01
3F522BB22
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD33
3F522EE13
3F522FF02
3F522FF23
3F522GG44
3F522HH02
3F522HH37
3F522KK02
3F522LL57
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】低コストで移動体置き場における移動体の在庫の有無を管理可能な移動体管理システム及びそれに用いられる移動体収納装置を提供する。
【解決手段】RFIDタグ20は、金属非対応のパッシブタグである。板バネ10は、ショッピングカート2が進入路に進入すると、カート2の重みによって可動部12が変形するように構成される。可動部12の少なくとも一部は、非金属製の部材で構成される。カート収納庫1のフレーム5は、金属製の部材で構成される。RFIDタグ20は、板バネ10の非金属製の部材に取り付けられ、カート2が進入路に進入することにより板バネ10が変形した場合にRFIDタグ20がフレーム5に接触するように設置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を収納する収納庫と、
前記収納庫における前記移動体の進入路の底面に設置され、前記移動体が前記進入路に進入すると、前記移動体の重みによって可動部が変形するように構成された板バネと、
前記収納庫の識別情報を記憶するRFIDタグとを備え、
前記RFIDタグは、金属非対応のパッシブタグであり、
前記板バネの可動部の少なくとも一部は、非金属製の部材で構成され、
前記収納庫の少なくとも一部は、金属製の部材で構成され、
前記RFIDタグは、前記板バネの前記非金属製の部材に取り付けられ、前記移動体が前記進入路に進入することにより前記板バネが変形した場合に前記RFIDタグが前記収納庫の前記金属製の部材に接触するように設置されている、移動体収納装置。
【請求項2】
前記板バネの前記非金属製の部材は、前記板バネの先端に取り付けられたプラスチック製の留め具によって構成される、請求項1に記載の移動体収納装置。
【請求項3】
前記収納庫の前記金属製の部材は、前記収納庫を構成する金属製のフレームである、請求項1に記載の移動体収納装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移動体収納装置と、
前記RFIDタグと無線通信可能な位置に設置されるRFIDリーダと、
前記RFIDリーダと通信接続されるサーバとを備え、
前記RFIDリーダは、前記RFIDタグから前記識別情報を取得すると、前記識別情報を含む信号を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記RFIDリーダから前記信号を受信すると、前記収納庫の位置及び前記収納庫における前記移動体の在庫の有無を地図上で表示可能な表示装置へ、前記移動体の在庫が無いことを通知する、移動体管理システム。
【請求項5】
前記表示装置は、前記移動体の利用を希望するユーザの端末装置である、請求項4に記載の移動体管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体収納装置及び移動体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-102930号公報(特許文献1)には、ショッピングカート等を収納するカート収納システムが開示されている。このカート収納システムでは、傾斜部によってカートの車輪の進行が案内される。傾斜部に設けられた停止部によってカートが所定位置に停止すると、フレームに備えられた送電器からカートの充電器へ非接触で給電することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大型商業施設のように多数のショッピングカート(移動体)を所有している施設においては、カート置き場のカート数までは把握しなくとも、カート置き場におけるカートの在庫の有無を管理しておきたいニーズがある。ビーコンやWi-Fi(登録商標)を用いて各カートの位置を管理することによりカート置き場のカート在庫の有無を管理することも可能ではあるけれども、より低コストでカート置き場のカート在庫の有無を管理可能なシステムが望まれている。
【0005】
本開示は、かかる課題を達成するためになされたものであり、本開示の目的は、低コストで移動体置き場における移動体の在庫の有無を管理可能な移動体管理システム及びそれに用いられる移動体収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の移動体収納装置は、移動体を収納する収納庫と、収納庫における移動体の進入路の底面に設置される板バネと、収納庫の識別情報を記憶するRFID(Radio Frequency Identification)タグとを備える。RFIDタグは、金属非対応のパッシブタグである。板バネは、移動体が進入路に進入すると、移動体の重みによって可動部が変形するように構成される。板バネの可動部の少なくとも一部は、非金属製の部材で構成される。収納庫の少なくとも一部は、金属製の部材で構成される。RFIDタグは、板バネの非金属製の部材に取り付けられ、移動体が進入路に進入することにより板バネが変形した場合にRFIDタグが収納庫の金属製の部材に接触するように設置されている。
【0007】
また、本開示の移動体管理システムは、上記の移動体収納装置と、RFIDタグと無線通信可能な位置に設置されるRFIDリーダと、RFIDリーダと通信接続されるサーバとを備える。RFIDリーダは、RFIDタグから識別情報を取得すると、識別情報を含む信号をサーバへ送信する。サーバは、RFIDリーダから上記信号を受信すると、収納庫の位置及び収納庫における移動体の在庫の有無を地図上で表示可能な表示装置へ、移動体の在庫が無いことを通知する。
【0008】
金属非対応のパッシブタグであるRFIDタグは、安価である一方、金属製の部材に接触するとRFIDリーダからの信号に応答不可となる。上記の移動体収納装置及び移動体管理システムにおいては、上記のような構成の板バネと、上記のように設置されたRFIDタグの上記特性とを用いることで、RFIDリーダとRFIDタグとの間の通信可否により収納庫における移動体の在庫の有無を検知することができる。このように、上記の移動体収納装置及び移動体管理システムによれば、安価なRFIDタグと、簡易な構造の上記板バネとを用いて、収納庫における移動体の在庫の有無を検知することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の移動体収納装置及び移動体管理システムによれば、移動体置き場における移動体の在庫有無の管理を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に従う移動体管理システムの全体構成図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った断面の概略図である。
【
図3】
図1のII-II線に沿った断面の概略図である。
【
図4】無線通信機及びサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】商業施設内におけるRFIDタグ及び無線通信機の設置例を示す図である。
【
図6】サーバに記憶されるカート置き場データベースを説明するための図である。
【
図8】サーバにおける画面データの生成方法を説明する図である。
【
図10】移動体管理システムで実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
本開示の移動体管理システムは、施設内で使用される移動体を収納する収納庫における移動体の在庫情報を当該施設の利用者に提供するためのシステムである。以下では、移動体管理システムが適用される施設の一例として、商業施設を挙げて説明する。
【0013】
商業施設内では、ユーザである買い物客が購入した商品を運搬するための移動体としてショッピングカートが使用される。ショッピングカートは、いわゆる手押し車であり、商品を積載するための収納カゴ、車輪、ハンドル等で構成されている。
【0014】
未使用のショッピングカートは、通常、ショッピング施設内に設置された複数のカート置き場に集められる。買い物客は、カート置き場に赴いてショッピングカートを利用することができる。しかしながら、カート置き場にショッピングカートが無い場合には、買い物客は幾つかのカート置き場を巡ってショッピングカートを探さなければならず、時間と手間がかかる。或いは、買い物客からクレームを受けた施設担当者が未使用のショッピングカートを探すことになり、施設担当者の業務負担が増加する可能性もある。
【0015】
施設側としては、カート置き場のカート数までは把握しなくとも、カート置き場におけるカートの在庫の有無を管理しておきたいニーズがある。ビーコンやWi-Fiを用いて各カートの位置を管理することによりカート置き場のカート在庫の有無を管理することも可能ではあるけれども、より低コストでカート置き場のカート在庫の有無を管理可能なシステムが望まれている。
【0016】
そこで、本実施の形態では、各カート置き場におけるショッピングカートの在庫有無の管理を低コストで実現するための移動体収納装置、及びそれを用いた移動体管理システムの一例が示される。
【0017】
図1は、本実施の形態に従う移動体管理システムの全体構成図である。
図1を参照して、移動体管理システム100は、カート収納庫1と、板バネ10と、RFIDタグ20と、無線通信機30と、サーバ40とを備える。
【0018】
カート収納庫1は、商業施設内に設けられたカート置き場に設置されており、複数のショッピングカート2を収納可能に構成されている。カート収納庫1は、複数のショッピングカート2をカートの進入方向A1に沿って縦列に重ねて収納することができる。カート収納庫1は、金属製のフレーム5によって構成される。
【0019】
板バネ10は、カート収納庫1におけるショッピングカート2の進入路の底面に設置される。板バネ10は、進入路の手前側が床に固定されており、進入路の奥側は、板バネ10上にショッピングカート2が無い状態では床から離れ、ショッピングカート2が進入路に進入するとカートの重みによって下方に変形する可動部12となっている。
【0020】
板バネ10の可動部12の先端(進入路の奥側)には、非金属製のL字型の留め具(後述)が設けられており、ショッピングカート2の重みによって可動部12が下方に沈むと、留め具の裏面がカート収納庫1のフレーム5に接触するように構成されている。板バネ10の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0021】
RFIDタグ20は、ICチップとアンテナとを含むシート状の無線通信タグであり、板バネ10の先端に設けられたL字型留め具の裏面に取り付けられる。そして、RFIDタグ20は、カート収納庫1の進入路に進入したショッピングカート2の重みによって板バネ10の可動部12が下方に変形すると、カート収納庫1のフレーム5に接触するように設けられている。なお、RFIDタグ20の配置は、これに限定されず、板バネ10の可動部に設けられる非金属製の部材に取り付けられるとともに、ショッピングカート2の重みによって板バネ10が変形した場合にカート収納庫1の金属製部材に接触する位置であればよい。
【0022】
このRFIDタグ20は、金属非対応のパッシブタグである。パッシブタグは、電源を搭載せず、RFIDリーダからの電波をエネルギ源として動作する。このような金属非対応のパッシブタグは、金属対応のパッシブタグや電源が内蔵されるアクティブタブよりも安価である。RFIDタグ20は、無線通信機30のRFIDリーダ(後述)と通信可能である場合に、RFIDリーダからの電波をエネルギ源として動作する。RFIDタグ20のICチップには、各カート置き場に個別に付与された識別情報(以下では「カート置き場ID」とも称する。)が記憶されている。
【0023】
無線通信機30は、RFIDタグ20から数メートル程度のRFID通信範囲内に位置するように設置される。
図1の例では、無線通信機30は、カート収納庫1の上部に設置されている。無線通信機30は、図示しない電源から電力の供給を受けて動作し、RFIDタグ20と無線通信するように構成される。
【0024】
サーバ40は、商業施設内に存在するショッピングカート2を管理するための機能を有する。サーバ40は、一例として、商業施設を運営する運営会社に設置され、運営会社から商業施設の管理を委託された管理担当者によって利用され得る。サーバ40は、無線通信機30と通信可能に構成される。無線通信機30とサーバ40との間の通信は、無線であってもよいし有線であってもよい。
【0025】
端末装置50は、商業施設を利用する利用者(買い物客)によって利用される装置であり、ネットワーク60(代表的にはインターネット)を介して、サーバ40と通信可能に接続される。端末装置50は、通信機能及び表示機能を有する情報処理装置であり、代表的にはスマートフォン又はタブレットである。なお、端末装置50は、スマートフォンやタブレット等の携帯端末に限定されず、商業施設内に設置されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0026】
端末装置50は、典型的には、WEBブラウザを有している。端末装置50は、サーバ40にアクセスし、画面データ(WEB画面)を自装置に表示することができる。端末装置50は、画面データを表示するには、サーバ40に対してログインする必要がある。
【0027】
なお、
図1では、1つのカート置き場しか示されていないが、商業施設内に設置されるカート置き場の数はこれに限定されない。商業施設内にカート置き場が複数設けられている場合には、各カート置き場にカート収納庫1が設置される。そして、各カート収納庫1において、板バネ10及びRFIDタグ20が設けられるとともに、そのRFIDタグ20に対応するRFIDリーダを含む無線通信機30が設けられる。
【0028】
図2及び
図3は、
図1のII-II線に沿った断面の概略図である。
図2は、カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が無い場合の板バネ10先端近傍の断面を示し、
図3は、カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が有る場合の板バネ10先端近傍の断面を示す。
【0029】
図2及び
図3を参照して、板バネ10は、可動部12と、留め具14とを含む。板バネ10は、例えば金属板によって構成され、ショッピングカート2の進入方向(図の左方向)に沿って先端側の可動部12が地面Gから浮くように構成されている(
図1及び
図2参照)。そして、可動部12にショッピングカート2の前輪が乗り上げると、地面Gから浮いていた可動部12がショッピングカート2の重みによって下方に沈み、可動部12が地面Gと接する(
図3参照)。
【0030】
留め具14は、断面L字型の非金属製(例えばプラスチック製)の板によって構成され、図示のように、板バネ10の可動部12の先端が折り曲げられた部分に取り付けられている。そして、留め具14の、カート収納庫1のフレーム5と対向する面に、シート状のRFIDタグ20が貼付されている。
【0031】
カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が無いときは(
図2)、板バネ10の可動部12が地面Gから浮くことによって、可動部12の先端に取り付けられた留め具14がフレーム5と離間し、これによりRFIDタグ20もフレーム5から離間する。
【0032】
カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が有るときは(
図3)、ショッピングカート2の重みにより可動部12及び留め具14が下方へ沈み、留め具14の裏面に貼付されているRFIDタグ20がフレーム5と接触する。すなわち、ショッピングカート2の重みにより可動部12が下方に沈んだ場合に、留め具14の裏面に貼付されているRFIDタグ20がフレーム5と接触するように留め具14が形成されている。
【0033】
留め具14は、非金属製であるので、RFIDタグ20の受信性能に影響を与えない。したがって、
図2の状態では、RFIDタグ20は、無線通信機30(
図1)内のRFIDリーダと通信可能であり、RFIDリーダからの電波をエネルギ源として動作することができる。したがって、カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が無いときは(
図2)、無線通信機30(RFIDリーダ)は、RFIDタグ20からのレスポンス信号を受信する。
【0034】
他方、ショッピングカート2の重みによって可動部12及び留め具14が下方に沈むことによりRFIDタグ20が金属製のフレーム5に接触した状態(
図3)では、金属非対応のパッシブタグであるRFIDタグ20は、RFIDリーダからの信号に応答することができない。したがって、カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が有るときは(
図3)、無線通信機30(RFIDリーダ)は、RFIDタグ20からのレスポンス信号を受信しない。
【0035】
このように、本実施の形態に従う移動体管理システム100では、金属製のフレーム5と、非金属製の留め具14を有する板バネ10と、金属非対応のパッシブタグであるRFIDタグ20とを用いた簡易かつ安価な構成によって、無線通信機30(RFIDリーダ)とRFIDタグ20との通信有無に基づいて、カート収納庫1におけるショッピングカート2の在庫の有無を判断することができる。
【0036】
図4は、
図1に示した無線通信機30及びサーバ40のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4を参照して、無線通信機30は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ31と、データを不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)32と、プロセッサ31によるプログラムの実行により生成されたデータ、又は図示しない入力装置を介して入力されたデータを揮発的に記憶するRAM(Random Access Memory)33と、データを不揮発的に記憶するHDD(Hard Disk Drive)34と、通信IF(Interface)35と、RFIDリーダ36とを含む。各構成要素は、データバス37によって相互に接続されている。
【0037】
通信IF35は、サーバ40との間で通信を行うためのインターフェースである。HDD34は、RFIDタグ20からのレスポンス信号の受信履歴を示す「受信ログ情報」を記憶する。無線通信機30は、HDD34の代わりに、又はHDD34とともに、他の不揮発性メモリを備えていてもよい。
【0038】
RFIDリーダ36は、RFIDタグ20に記憶されたカート置き場IDをRFIDタグ20から取得する。RFIDリーダ36は、アンテナ及び処理回路を含んで構成される。RFIDリーダ36は、アンテナを通じて周囲に対して一定時間毎にリクエスト信号を送信する。RFIDタグ20は、RFIDリーダ36から発せられるリクエスト信号を受信して作動する。RFIDタグ20は、ICチップに記憶されているカート置き場IDを含むレスポンス信号を生成し、変調してRFIDリーダ36へ送信する。無線通信機30は、リクエスト信号に応答してRFIDタグ20から送信されるレスポンス信号をRFIDリーダ36が受信すると、レスポンス信号に含まれるカート置き場IDを復調してサーバ40へ送信する。
【0039】
なお、このRFIDリーダ36とRFIDタグ20との間の信号のやり取りは、上述のように、カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が無い場合(カート収納庫1のフレーム5からRFIDタグ20が離間した状態)に実現され、カート収納庫1にショッピングカート2の在庫が有る場合(RFIDタグ20がフレーム5に接触した状態)には実現されない。
【0040】
サーバ40は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ41と、データを不揮発的に記憶するROM42と、プロセッサ41によるプログラムの実行により生成されたデータ、又は図示しない入力装置を介して入力されたデータを揮発的に記憶するRAM43と、データを不揮発的に記憶するHDD44と、通信IF45とを含む。各構成要素は、データバス46によって相互に接続されている。通信IF45は、無線通信機30及び端末装置50と通信を行うためのインターフェースである。サーバ40は、HDD45の代わりに、又はHDD45とともに、他の不揮発性メモリを備えていてもよい。
【0041】
サーバ40は、無線通信機30から受信ログ情報を受信すると、HDD45に格納されている、未使用のショッピングカート2を管理するためのデータベース(以下、「空きカート情報DB」とも称する)に受信ログ情報を登録する。商業施設内に複数の無線通信機30が設置されている場合には、空きカート情報DBには、各無線通信機30の受信ログ情報が登録される。
【0042】
図5は、商業施設内におけるRFIDタグ20及び無線通信機30の設置例を示す図である。
図5には、商業施設内を天井から見た平面図が模式的に示される。
図5を参照して、商業施設には、買い物客が施設内に出入りするために、複数の出入口(正面出入口ENTa、東出入口ENTb、駐車場出入口ENTc、西出入口ENTd)が設けられている。各出入口付近には、未使用のショッピングカート2を寄せ集めるために、カート置き場が設定されている。各カート置き場には、カート収納庫1が設置されている。
【0043】
各カート収納庫1には、RFIDタグ20が設置されている。この例では、4つの出入口ENTa~ENTdにそれぞれ対応するように4台のカート収納庫1a~1dが設置されている。カート収納庫1a~1dには、RFIDタグ20a~20dがそれぞれ設置されている。
【0044】
各RFIDタグ20には、カート置き場毎に固有の識別情報(カート置き場ID)が付与されている。例えば、正面出入口ENTaに設置されるRFIDタグ20aにはカート置き場IDとして「a」が付与され、東出入口ENTbに設置されるRFIDタグ20bにはカート置き場IDとして「b」が付与され、駐車場出入口ENTcに設置されるRFIDタグ20cにはカート置き場IDとして「c」が付与され、西出入口ENTdに設置されるRFIDタグ20dにはカート置き場IDとして「d」が付与されている。
【0045】
各RFIDタグ20に付与されたカート置き場IDは、カート置き場の設置場所と関連付けられてサーバ40に記憶されている。
図6は、サーバ40に記憶されるカート置き場データベース(以下「カート置き場DB」と称する)を説明するための図である。
図6を参照して、カート置き場DBには、RFIDタグ20毎に、カート置き場IDと設置場所とが関連付けられて登録されている。
【0046】
再び
図5を参照して、無線通信機30は、その通信範囲内に存在するRFIDタグ20と無線通信するように構成される。図中の領域RGNは、無線通信機30のRFIDリーダ36の通信範囲を模式的に表している。通信範囲は、RFIDリーダ36の信号送信範囲に対応しており、半径数メートルの円形形状を有している。この例では、4台のRFIDタグ20a~20dにそれぞれ対応するように4台の無線通信機30a~30d(RFIDリーダ36a~36d)が設置されている。
【0047】
各無線通信機30のRFIDリーダ36は、一定時間毎にリクエスト信号を送信し、送信したリクエスト信号に対応するレスポンス信号の受信有無と、受信したレスポンス信号に含まれるカート置き場IDとを紐付けてHDD34に記憶する。各無線通信機30のHDD34には、レスポンス信号の受信履歴を示す受信ログ情報が生成される。
【0048】
図7は、受信ログ情報を説明するための図である。
図7には、一例として、無線通信機30aの受信ログ情報が示されている。受信ログ情報には、無線通信機30aのRFIDリーダ36aから送信したリクエスト信号の送信時刻と、当該リクエスト信号に対応するレスポンス信号の受信有無と、レスポンス信号を受信した場合に当該レスポンス信号に含まれるカート置き場IDとが紐付けられて記録されている。
【0049】
無線通信機30aのRFIDリーダ36aは、予め定められた周期(例えば1分)でリクエスト信号を送信し、送信したリクエスト信号に対応するレスポンス信号の受信有無を検知する。RFIDタグ20aからレスポンス信号を受信した場合には、RFIDタグ20aのカート置き場ID「a」が記録される。
【0050】
受信ログ情報において、レスポンス信号の受信「無」は、RFIDタグ20a及び無線通信機30aが設置されているカート置き場(カート収納庫1)にショッピングカート2の在庫が有ることを示す。他方、レスポンス信号の受信「有」は、カート置き場IDで示されるカート置き場(カート収納庫1)にショッピングカート2の在庫が無いことを示す。サーバ40は、各無線通信機30a~30dの受信ログ情報に基づいて、各カート置き場におけるショッピングカート2の在庫の有無を検知する。
【0051】
各無線通信機30は、予め定められた所定周期(例えば3分)で、自機の識別情報である通信機IDとともに、HDD34に記憶されている受信ログ情報をサーバ40に送信する。この際に、既にHDD34に蓄積されている受信ログ情報の一部を削除することで、受信履歴の記憶に使用するHDD34のメモリ容量を抑制することができる。
【0052】
なお、各無線通信機30は、上記所定周期に従って受信ログ情報を定期的にサーバ40に送信する構成に限定されず、サーバ40からの送信要求に応じて、直近の所定時間(例えば3分間)における受信ログ情報を送信する構成としてもよい。
【0053】
サーバ40は、各無線通信機30a~30dから受信ログ情報を受信すると、受信した受信ログ情報をHDD45の空きカート情報DBに登録する。そして、サーバ40は、空きカート情報DBに登録された情報に基づいて、現在の時刻において各カート置き場におけるショッピングカート2の在庫の有無を示す情報を生成する。例えば、サーバ40は、各カート置き場におけるショッピングカート2の在庫の有無を示す画面データ(典型的には、WEB画面)を生成する。
【0054】
図8は、サーバ40における画面データの生成方法を説明する図である。
図8を参照して、サーバ40は、最初に、HDD45に記憶されている空きカート情報DB及びカート置き場DBを用いて、画面データ(WEB画面)の生成に用いる表示用データを生成する。
【0055】
この例では、直近の所定時間内において、無線通信機30cから受信した受信ログ情報にレスポンス信号の受信「有」の情報が含まれており、その他の無線通信機30a,30b,30dから受信した受信ログ情報では、全てレスポンス信号の受信「無」となっている。これにより、正面出入口ENTa、東出入口ENTb、及び西出入口ENTdの各々については、カート収納庫1にショッピングカート2が収納されている、すなわち、カート置き場にショッピングカート2が有ると判断され、他方、駐車場出入り口ENTcについては、カート収納庫1にショッピングカート2が1台も収納されていない、すなわち、カート置き場にショッピングカートが無いと判断される。
【0056】
次いで、サーバ40は、生成されたWEB画面表示用データを用いて、WEB画面を生成する。具体的には、サーバ40は、ショッピングモール内の平面図を示す画像を生成し、当該平面図上に、ショッピングカート2の有無を示すオブジェクト70を配置する。
図8の例では、4つのカート置き場の各々に対して、ショッピングカート2の有無を示すオブジェクト70が配置されている。正面出入口ENTa、東出入口ENTb、及び西出入口ENTdには、ショッピングカート2が有ることを示すオブジェクト70が配置され、駐車場出入口ENTcには、ショッピングカート2が無いことを示すオブジェクト70が配置される。サーバ40は、端末装置50から送信される要求信号に基づいて、生成された画面データを送信元の端末装置50に送信する。
【0057】
図9は、端末装置50の表示画面例を示す図である。
図9を参照して、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスすることにより、端末装置50は、WEB画面をディスプレイに表示する。WEB画面は、カート置き場毎に、現在の時刻でのショッピングカート2の有無を表した画像を含む。これにより、端末装置50は、買い物客に対して、どのカート置き場にショッピングカート2が有るのかを知らせることができる。
【0058】
図10は、この移動体管理システムで実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
図10を参照して、カート置き場に設置された無線通信機30において、RFIDリーダ36は、処理P1により、周囲に対して一定時間毎にリクエスト信号を送信する。
【0059】
ショッピングカート2が収納されていないカート収納庫1では、RFIDタグ20は、無線通信機30のRFIDリーダ36からのリクエスト信号に応答することができる。他方、ショッピングカート2が収納されているカート収納庫1では、RFIDタグ20は、RFIDリーダ36からのリクエスト信号に応答することができない。
【0060】
処理P2により、RFIDタグ20は、無線通信機30のRFIDリーダ36からリクエスト信号を受信した場合には、処理P3により、このリクエスト信号の電波によって作動する。そして、RFIDタグ20は、処理P4により、RFIDタグ20に記憶されているカート置き場IDを含むレスポンス信号を生成し、処理P5により、生成したレスポンス信号を変調して無線通信機30のRFIDリーダ36へ送信する。なお、RFIDタグ20がRFIDリーダ36からのリクエスト信号を受信できない場合には、処理P2~P5は実行されない。
【0061】
無線通信機30は、RFIDタグ20からのレスポンス信号をRFIDリーダ36が受信すると、処理P6により、レスポンス信号の受信「有」と受信したレスポンス信号に含まれるカート置き場IDとを含む受信ログ情報を生成する。他方、無線通信機30は、リクエスト信号に応じたレスポンス信号をRFIDリーダ36が受信しないときは、レスポンス信号の受信「無」を含む受信ログ情報を生成する。そして、無線通信機30は、処理P7により、生成された受信ログ情報をサーバ40へ送信する。
【0062】
サーバ40は、無線通信機30との通信に先立って、処理P8において、カート置き場DB(
図6)を生成する。カート置き場DBには、商業施設内に設置されるカート置き場(カート収納庫1)の設置場所とカート置き場IDとが関連付けられて登録されている。サーバ40は、処理P7で各無線通信機30から送信される受信ログ情報を受信すると、処理P9により、各無線通信機30から受信した受信ログ情報に基づいて空きカート情報DBを生成する。そして、サーバ40は、処理P10により、処理P8で生成されたカート置き場DB及び処理P10で生成された空きカート情報DBに基づいて、端末装置50において表示可能な画面データ(WEB画面)を生成する。
【0063】
端末装置50は、処理P11により、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスし、画面データの送信要求を送信する。サーバ40は、端末装置50から画面データの送信要求を受け付けると、処理P12により、処理P10にて生成された画面データ(WEB画面)を、送信要求の送信元の端末装置50へ送信する。端末装置50は、処理P13により、画面データを受信し、当該画面データに基づいた画面(WEB画面)をディスプレイに表示する。
【0064】
以上のように、この実施の形態においては、板バネ10と、金属非対応のRFIDタグ20が金属製の部材に接触するとRFIDリーダ36からの信号に応答不可となる特性とを用いることで、RFIDリーダ36とRFIDタグ20との間の通信可否によりカート収納庫1におけるショッピングカート2の在庫の有無を検知することができる。このように、本実施の形態によれば、安価なRFIDタグ20と、簡易な構造の板バネ10とを用いて、カート収納庫1におけるショッピングカート2の在庫の有無を検知することができる。
【0065】
また、この実施の形態においては、カート収納庫1におけるショッピングカート2の在庫無が検知されている場合に、ユーザ(買い物客)の端末装置50に、ショッピングカート2の在庫が無いことが通知される(
図9,
図10)。したがって、この実施の形態によれば、買い物客が幾つかのカート置き場を巡ってショッピングカート2を探す必要がなくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0066】
[付記]
上述した実施の形態は、以下の付記の具体例である。
【0067】
(付記1)
移動体収納装置は、
前記移動体を収納する収納庫と、
前記収納庫における前記移動体の進入路の底面に設置され、前記移動体が前記進入路に進入すると、前記移動体の重みによって可動部が変形するように構成された板バネと、
前記収納庫の識別情報を記憶するRFIDタグとを備え、
前記RFIDタグは、金属非対応のパッシブタグであり、
前記板バネの可動部の少なくとも一部は、非金属製の部材で構成され、
前記収納庫の少なくとも一部は、金属製の部材で構成され、
前記RFIDタグは、前記板バネの前記非金属製の部材に取り付けられ、前記移動体が前記進入路に進入することにより前記板バネが変形した場合に前記RFIDタグが前記収納庫の前記金属製の部材に接触するように設置されている。
【0068】
(付記2)
付記1に記載の移動体収納装置において、
前記板バネの前記非金属製の部材は、前記板バネの先端に取り付けられたプラスチック製の留め具によって構成される。
【0069】
(付記3)
付記1又は付記2に記載の移動体収納装置において、
前記収納庫の前記金属製の部材は、前記収納庫を構成する金属製のフレームである。
【0070】
(付記4)
移動体管理システムは、
付記1から付記3のいずれかに記載の移動体収納装置と、
前記RFIDタグと無線通信可能な位置に設置されるRFIDリーダと、
前記RFIDリーダと通信接続されるサーバとを備え、
前記RFIDリーダは、前記RFIDタグから前記識別情報を取得すると、前記識別情報を含む信号を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記RFIDリーダから前記信号を受信すると、前記収納庫の位置及び前記収納庫における前記移動体の在庫の有無を地図上で表示可能な表示装置へ、前記移動体の在庫が無いことを通知する。
【0071】
(付記5)
付記4に記載の移動体管理システムにおいて、
前記表示装置は、前記移動体の利用を希望するユーザの端末装置である。
【0072】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 カート収納庫、2 ショッピングカート、5 フレーム、10 板バネ、12 バネ部、14 留め具、20 RFIDタグ、30 無線通信機、31,41 プロセッサ、32,42 ROM、33,43 RAM、34,44 HDD、35,45 通信I/F、36 RFIDリーダ、37,46 データバス、40 サーバ、50 端末装置、60 ネットワーク、G 地面。