(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006885
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体記憶装置および半導体記憶装置の読み出し方法
(51)【国際特許分類】
G11C 11/22 20060101AFI20240110BHJP
G11C 7/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G11C11/22 232
G11C7/06 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183933
(22)【出願日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2022104472
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520233375
【氏名又は名称】富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】森田 敬三
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の回路規模の増大を抑えつつ、データの読み出しマージンを向上する。
【解決手段】半導体記憶装置は、メモリセルと、前記メモリセルに保持されたデータの論理値に対応する電荷が前記メモリセルから読み出されるビット線と、前記ビット線の電位に基づいて前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定するセンスアンプと、を有し、前記センスアンプは、前記ビット線の電位の変化に対応して変化する第1電位を第1ノードに生成する第1生成部と、前記ビット線の電位の変化と逆向きに変化する第2電位を第2ノードに生成する第2生成部と、前記第1電位と前記第2電位とを差動増幅することで、前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定する判定部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルと、
前記メモリセルに保持されたデータの論理値に対応する電荷が前記メモリセルから読み出されるビット線と、
前記ビット線の電位に基づいて前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定するセンスアンプと、を有し、
前記センスアンプは、
前記ビット線の電位の変化に対応して変化する第1電位を第1ノードに生成する第1生成部と、
前記ビット線の電位の変化と逆向きに変化する第2電位を第2ノードに生成する第2生成部と、
前記第1電位と前記第2電位とを差動増幅することで、前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定する判定部と、を有する
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1生成部は、
第1期間に前記ビット線の電位の前記第1ノードへの伝達を遮断し、前記第1期間に続く第2期間に前記ビット線の電位を前記第1ノードへ伝達する第1伝達部と、
前記第1期間に前記第1ノードをプルダウンするプルダウン回路とを、有し、
前記第2期間に前記第1電位を生成し、
前記第2生成部は、
前記第1期間に前記ビット線の電位を第2ノードへ伝達し、前記第2期間に前記ビット線の電位の前記第2ノードへの伝達を遮断する第2伝達部と、
前記第1期間に前記第2ノードをプルアップするプルアップ回路とを、有し、
前記第2期間に前記第2電位を生成する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1伝達部は、前記ビット線と前記第1ノードとの間に直列に接続された第1スイッチおよび第1キャパシタと、前記第1スイッチおよび前記第1キャパシタを互いに接続する接続ノードと接地線との間に接続された第2スイッチと、を有し、
前記第2伝達部は、前記ビット線と前記第2ノードとの間に直列に接続された第3スイッチおよび第2キャパシタと、前記第3スイッチおよび前記第2キャパシタを互いに接続する接続ノードと接地線との間に接続された第4スイッチと、を有し、
前記第1スイッチおよび前記第4スイッチは、前記第1期間にオフし、前記第2期間にオンし、
前記第2スイッチおよび前記第3スイッチは、前記第1期間にオンし、前記第2期間にオフする
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記プルダウン回路は、一端が前記第1ノードに接続され、他端がプルダウン信号線に接続された第3キャパシタを有し、
前記プルアップ回路は、一端が前記第2ノードに接続され、他端がプルアップ信号線に接続された第4キャパシタを有し、
ハイレベルに設定された前記プルダウン信号線は、前記第1期間にロウレベルに設定され、
ロウレベルに設定された前記プルアップ信号線は、前記第1期間にハイレベルに設定される
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの容量値は互いに等しく、前記第3キャパシタおよび前記第4キャパシタの容量値は互いに等しい
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
複数の前記センスアンプと、
複数の前記センスアンプの各々の前記判定部で判定された論理値に基づいて、前記メモリセルに保持された多値データの論理値を判定する論理値判定部と、を有し、
複数の前記センスアンプの各々において、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの容量値は互いに等しく、前記第3キャパシタおよび前記第4キャパシタの容量値は互いに等しく、
前記第1キャパシタおよび前記第3キャパシタの容量値の比は、複数の前記センスアンプでそれぞれ相違する
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記センスアンプは、
入力が前記第1ノードに接続される第1インバータと、
入力が前記第2ノードに接続される第2インバータと、
前記第2期間に前記第1インバータの出力を前記第2インバータの入力に接続する第5スイッチと、
前記第2期間に前記第2インバータの出力を前記第1インバータの入力に接続する第6スイッチと、を有する
請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記センスアンプは、
前記第1インバータの出力を前記第1インバータの入力に接続する第7スイッチと、
前記第2インバータの出力を前記第2インバータの入力に接続する第8スイッチと、を有し、
前記第7スイッチおよび前記第8スイッチは、前記第1期間の前にオン状態からオフ状態に設定される
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
相補のビット線と、
前記相補のビット線の各々に接続されたメモリセルと、
前記相補のビット線の各々に接続され、論理値0が記憶されたリファレンスメモリセルと、
前記相補のビット線の一方である第1ビット線に接続されたメモリセルから前記第1ビット線に読み出される電荷に対応する電位と、前記相補のビット線の他方である第2ビット線に接続されたリファレンスメモリセルから前記第2ビット線に読み出される電荷に対応する電位とに基づいて前記第1ビット線に接続されたメモリセルに保持されたデータの論理値を判定するセンスアンプと、を有し、
前記センスアンプは、
前記第1ビット線の電位の変化に対応して変化する第1電位を第1ノードに生成する第1生成部と、
前記第2ビット線の電位の変化に対応して変化する第2電位を第2ノードに生成する第2生成部と、
前記第1ノードに生成された第1電位を増幅することで、前記第1ビット線に接続されたメモリセルに保持されたデータの論理値を判定し、判定した論理値を出力する判定部と、
前記第2ノードに生成された第2電位に応じて前記判定部の出力から電荷を引き抜く引き抜き部と、を有する
半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1ビット線を前記第1生成部の入力に接続し、前記第2ビット線を前記第2生成部の入力に接続する接続切り替え部を有する
請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
メモリセルと、前記メモリセルに保持されたデータの論理値に対応する電荷が前記メモリセルから読み出されるビット線と、前記ビット線の電位に基づいて前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定するセンスアンプと、を有する半導体記憶装置の読み出し方法であって、
前記センスアンプが有する第1生成部が、前記ビット線の電位の変化に対応して変化する第1電位を第1ノードに生成し、
前記センスアンプが有する第2生成部が、前記ビット線の電位の変化と逆向きに変化する第2電位を第2ノードに生成し、
前記センスアンプが有する判定部が、前記第1電位と前記第2電位とを差動増幅することで、前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定する
半導体記憶装置の読み出し方法。
【請求項12】
相補のビット線と、前記相補のビット線の各々に接続されたメモリセルと、前記相補のビット線の各々に接続され、論理値0が記憶されたリファレンスメモリセルと、前記相補のビット線の一方である第1ビット線に接続された前記メモリセルから前記第1ビット線に読み出される電荷に対応する電位と、前記相補のビット線の他方である第2ビット線に接続された前記リファレンスメモリセルから前記第2ビット線に読み出される電荷に対応する電位とに基づいて前記第1ビット線に接続されたメモリセルに保持されたデータの論理値を判定するセンスアンプと、を有する半導体記憶装置の読み出し方法であって、
前記センスアンプが有する第1生成部が、前記第1ビット線の電位の変化に対応して変化する第1電位を第1ノードに生成し、
前記センスアンプが有する第2生成部が、前記第2ビット線の電位の変化に対応して変化する第2電位を第2ノードに生成し、
前記センスアンプが有する判定部が、前記第1ノードに生成された第1電位を増幅することで、前記第1ビット線に接続されたメモリセルに保持されたデータの論理値を判定し、判定した論理値を出力し、
前記センスアンプが有する引き抜き部が、前記第2ノードに生成された第2電位に応じて前記判定部の出力から電荷を引き抜く
半導体記憶装置の読み出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置および半導体記憶装置の読み出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変容量素子として機能する強誘電体キャパシタを含むメモリセルを有し、強誘電体キャパシタの残留分極に応じてデータを保持可能な半導体記憶装置が知られている。
図17は、この種の半導体記憶装置とその読み出し動作の一例を示す。
図17に示す半導体記憶装置200は、ビット線BL、/BLにそれぞれ接続される1T1CタイプのメモリセルMC(MC0、MC1)と、ビット線/BL、BLにそれぞれ接続される1T1CタイプのリファレンスメモリセルRMC(RMC0、RMC1)とを有する。
【0003】
メモリセルMC0は、ワード線WL0とプレート線PLとビット線BLとに接続される。メモリセルMC1は、ワード線WL1とプレート線PLとビット線/BLとに接続される。リファレンスメモリセルRMC0は、リファレンスワード線RWL0とリファレンスプレート線RPLとビット線/BLとに接続される。リファレンスメモリセルRMC1は、リファレンスワード線RWL1とリファレンスプレート線RPLとビット線BLとに接続される。ビット線BL、/BLは、センスアンプに接続される。
【0004】
ビット線BL、/BLの各々は、プリチャージ信号PREで制御されるプリチャージトランジスタを介して接地線VSSに接続される。また、ビット線BL、/BLの各々は、リファレンスプリチャージ信号RBPで制御されるリファレンスプリチャージトランジスタを介して接地線VSSに接続される。
【0005】
リファレンスメモリセルRMC0、RMC1の各々の強誘電体キャパシタCREFの容量値は、メモリセルMC0、MC1の各々の強誘電体キャパシタCFEの容量値の1.5倍に設定される。これにより、読み出し動作において、リファレンスメモリセルRMC0から読み出される電荷によるビット線/BLの電位は、"1"に記憶されたメモリセルMC0から読み出される電荷によるビット線BLの電位と、"0"に記憶されたメモリセルMC0から読み出される電荷によるビット線BLの電位との中間値になる。
【0006】
同様に、読み出し動作において、リファレンスメモリセルRMC1から読み出される電荷によるビット線BLの電位は、"1"に記憶されたメモリセルMC1から読み出される電荷によるビット線/BLの電位と、"0"に記憶されたメモリセルMC1から読み出される電荷によるビット線/BLの電位との中間値になる。
【0007】
例えば、メモリセルMC0からデータを読み出す場合、プリチャージ信号PREおよびリファレンスプリチャージ信号RPBは、ロウレベルに設定される。この後、ワード線WL0およびプレート線PLがハイレベルに設定され、メモリセルMC0からビット線BLにデータが読み出される。また、リファレンスワード線RWL0およびリファレンスプレート線RPLがハイレベルに設定され、リファレンスメモリセルRMC0からビット線/BLにデータが読み出される。
【0008】
メモリセルMC0が"1"を記憶している場合、ビット線BLの電位V1は、ビット線/BLの電位VREFより高くなる。ワード線WL0のハイレベルへの変化から所定時間後に活性化されるセンスアンプは、ビット線BL、/BLの電位差を増幅し、メモリセルMC0に"1"が記憶されていると判定する。すなわち、メモリセルMC0から"1"データが読み出される。
【0009】
メモリセルMC0が"0"を記憶している場合、ビット線BLの電位V0は、ビット線/BLの電位VREFより低くなる。センスアンプは、ビット線BL、/BLの電位差を増幅し、メモリセルMC0に"0"が記憶されていると判定する。すなわち、メモリセルMC0から"0"データが読み出される。なお、メモリセルMC1からデータを読み出す場合、ワード線WL1およびリファレンスワード線RWL1がハイレベルに設定されることを除き、上述と同様の動作が実行される(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】PROCEEDINGS OF THE IEEE, VOL. 88, NO. 5, MAY 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
メモリセルMCおよびリファレンスメモリセルRMCからビット線BL、/BLにそれぞれ読み出された電位をセンスアンプにより差動増幅する方式では、リファレンスメモリセルRMCが搭載される分、半導体記憶装置の回路サイズが増大するという問題がある。リファレンスメモリセルRMCからの電荷の読み出しによりビット線に生成されるリファレンス電位VREFは、"1"データのビット線への読み出し電位V1と"0"データのビット線への読み出し電位V0との間の値に設定される。このため、"1"データの読み出しマージンおよび"0"データの読み出しマージンは、"1"データのビット線への読み出し電位と"0"データのビット線への読み出し電位との差の半分になってしまう。
【0012】
また、リファレンスメモリセルRMCによりリファレンス電位VREFを生成する場合、メモリセルMCとリファレンスメモリセルRMCとで特性のばらつきがそれぞれ発生する。このため、特性のばらつきによりデータの読み出しマージンがさらに低下するおそれがある。例えば、メモリセルMCとリファレンスメモリセルRMCの特性のばらつきは、製造プロセスの変動による強誘電体キャパシタの特性のばらつきにより発生する。
【0013】
1つの側面では、本発明は、半導体記憶装置の回路規模の増大を抑えつつ、データの読み出しマージンを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一つの観点によれば、半導体記憶装置は、メモリセルと、前記メモリセルに保持されたデータの論理値に対応する電荷が前記メモリセルから読み出されるビット線と、前記ビット線の電位に基づいて前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定するセンスアンプと、を有し、前記センスアンプは、前記ビット線の電位の変化に対応して変化する第1電位を第1ノードに生成する第1生成部と、前記ビット線の電位の変化と逆向きに変化する第2電位を第2ノードに生成する第2生成部と、前記第1電位と前記第2電位とを差動増幅することで、前記メモリセルに保持されたデータの論理値を判定する判定部と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
半導体記憶装置の回路規模の増大を抑えつつ、データの読み出しマージンを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態における半導体記憶装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の半導体記憶装置のアクセス動作の一例を示すタイミング図である。
【
図3】
図1のセンスアンプの一例を示す回路図である。
【
図4】
図3のセンスアンプにおける読み出し期間の動作の一例を示すタイミング図である。
【
図5】
図3のセンスアンプにおける読み出し期間の動作の一例を示すタイミング図である。
【
図6】
図3のキャパシタC1、C2の容量値に応じたインバータの出力波形の一例を示す説明図である。
【
図7】別の実施形態の半導体記憶装置におけるセンスアンプの一例を示すブロック図である。
【
図8】
図7の第1センスアンプの一例を示す回路図である。
【
図9】
図7の第2センスアンプの一例を示す回路図である。
【
図10】
図7の論理値判定部による論理値の判定方法の一例を示す説明図である。
【
図11】別の実施形態における半導体記憶装置の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図11の半導体記憶装置のアクセス動作の一例を示すタイミング図である。
【
図14】
図11のセンスアンプにおける読み出し期間の動作の一例を示すタイミング図である。
【
図15】
図11のセンスアンプにおける読み出し期間の動作の一例を示すタイミング図である。
【
図16】
図3のセンスアンプにトランジスタN3を設けない場合のセンスアンプの動作の例を示す説明図である。
【
図17】半導体記憶装置とその読み出し動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施形態が説明される。以下では、信号が伝達される信号線には、信号名と同じ符号が使用される。
【0018】
図1は、一実施形態における半導体記憶装置の一例を示す。
図1に示す半導体記憶装置100は、例えば、強誘電体メモリであり、単一のメモリデバイスとして各種電子機器に搭載され、あるいは、無線タグ(RFID)チップ等に搭載される。半導体記憶装置100は、制御回路10、メモリセルアレイ20、ロウデコーダ30、コラムデコーダ40およびセンスアンプ50を有する。
【0019】
制御回路10は、半導体記憶装置100の全体の動作を制御する。制御回路10は、半導体記憶装置100の外部から読み出しコマンドおよびアドレスを受けた場合、読み出し動作の制御を実施し、メモリセルアレイ20から読み出されるデータを半導体記憶装置100の外部に出力する。制御回路10は、半導体記憶装置100の外部から書き込みコマンド、アドレスおよびデータを受けた場合、書き込み動作の制御を実施し、メモリセルアレイ20にデータを書き込む。制御回路10は、シリアルインタフェースを使用して半導体記憶装置100の外部に対して信号を入出力してもよく、パラレルインタフェースを使用して半導体記憶装置100の外部に対して信号を入出力してもよい。
【0020】
メモリセルアレイ20は、マトリックス状に配置された複数のメモリセルMCを有する。
図1のX方向に沿って配置された複数のメモリセルMCは、n+1本のワード線WL(WL0、WL1、...、WLn)のいずれかと、n+1本のプレート線PL(PL0、PL1、...、PLn)のいずれかとに接続される。
図1のY方向に沿って配置される複数のメモリセルMCは、m+1本のビット線BL(BL0、BL1、BL2、...、BLm)のいずれかに接続される。
【0021】
メモリセルMCは、転送トランジスタTTおよび強誘電体キャパシタFCを有する1T1Cタイプの強誘電体メモリセルである。例えば、転送トランジスタTTは、nMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。転送トランジスタTTのゲートは、ワード線WLに接続される。転送トランジスタTTのソース・ドレインの一方は、ビット線BLに接続される。転送トランジスタTTのソース・ドレインの他方は、強誘電体キャパシタFCの一端に接続される。強誘電体キャパシタFCの他端は、プレート線PLに接続される。
【0022】
この実施形態のメモリセルMCは、強誘電体キャパシタFCの分極状態(残留分極値)に応じて論理値"0"または論理値"1"のデータを記憶する。強誘電体キャパシタFCの分極状態は、書き込みデータの論理に応じて変化する。強誘電体キャパシタFCは、電気的に書き換え可能な分極状態に応じて容量値が変化する可変容量キャパシタとして動作する。
【0023】
メモリセルMCの読み出し動作では、強誘電体キャパシタFCから分極状態に応じた電荷がデータとして読み出された後、読み出されたデータを強誘電体キャパシタFCに再書き込みすることで、メモリセルMCは、元のデータを保持し続ける。メモリセルMCの書き込み動作では、強誘電体キャパシタFCから分極状態に応じた電荷がデータとして読み出された後、書き込みデータを強誘電体キャパシタFCに書き込むことで、メモリセルMCに新たなデータが書き込まれる。
【0024】
ロウデコーダ30は、読み出し動作時および書き込み動作時に、制御回路10から出力されるロウアドレス信号RADをデコードし、ロウアドレス信号RADにより示されるワード線WLおよびプレート線PLを所定のタイミングで駆動する。例えば、ロウアドレス信号RADは、アドレス信号のうち上位の複数ビットで示される。
【0025】
コラムデコーダ40は、読み出し動作時および書き込み動作時に、制御回路10から出力されるコラムアドレス信号CADをデコードし、コラムアドレス信号CADにより示されるビット線BLをセンスアンプ50に接続する。例えば、コラムアドレス信号CADは、アドレス信号のうち下位の複数ビットで示される。
【0026】
コラムデコーダ40は、コラムアドレス信号CADに応じてz+1本のビット線BLを選択し、選択したビット線BLをz+1本のメモリ入出力線mio(mio0、mio1、...、mioz)を介してセンスアンプ50に接続する。メモリ入出力線mioは、メモリセルMCに保持されたデータの論理値に対応する電荷がメモリセルMCから読み出されるビット線の一例である。特に限定されないが、ビット線BLの本数は、メモリ入出力線mioの本数の4倍、8倍、...、128倍等である。
【0027】
センスアンプ50は、読み出し動作時にメモリセルMCからビット線BLに読み出される電荷に対応する電位をメモリ入出力線mioを介して受け、受けた電位を増幅することで、メモリセルMCに保持されたデータの論理値を判定する。センスアンプ50は、判定した論理値を読み出しデータとしてデータ線I/Oを介して制御回路10に出力する。
【0028】
センスアンプ50は、読み出し動作時に、メモリセルMCから読み出したデータをメモリセルMCに再書き込みするため、生成した論理値に対応する電位を、コラムデコーダ40を介してビット線BLに出力する。センスアンプ50は、書き込み動作時にデータ線I/Oを介して制御回路10から受ける書き込みデータの論理値に対応する電位を、コラムデコーダ40を介してビット線BLに出力する。例えば、データ線I/Oの数は、メモリ入出力線mioの数と同じでもよく、メモリ入出力線mioの数の半分でもよい。データ線I/Oの数がメモリ入出力線mioの和の半分の場合、センスアンプ50は、メモリセルアレイ20から読み出したデータを2回に分けてデータ線I/Oに出力する。センスアンプ50の例は、
図3に示される。
【0029】
図2は、
図1の半導体記憶装置100のアクセス動作の一例を示す。アクセス動作は、データの読み出し動作またはデータの書き込み動作である。以下では、読み出し動作の例が説明される。読み出し動作および書き込み動作は、読み出し期間と再書き込み期間とを含む。なお、書き込み動作は、再書き込み期間にデータ端子I/Oで受けるデータの論理値に対応する電位がビット線BLに印加されることを除き、読み出し動作と同様である。
【0030】
アクセス動作前、ワード線WL、プレート線PLおよびビット線BLは、ロウレベルに設定される。半導体記憶装置100は、読み出しコマンド信号およびアドレス信号の受信に基づいてアクセス動作を開始する。
【0031】
読み出し期間において、半導体記憶装置100は、ワード線WLをハイレベルに設定することで、読み出し対象のメモリセルMCの転送トランジスタTTをオンさせ、強誘電体キャパシタFCの一端をビット線BLに接続する(
図2(a))。この後、半導体記憶装置100は、プレート線PLをハイレベルに設定する(
図2(b))。
【0032】
プレート線PLのハイレベルへの変化により、残留分極値に応じた電荷が強誘電体キャパシタFCからビット線BLに読み出される。そして、ビット線BLの電位は、メモリセルMCに記憶されたデータの論理値に応じて上昇する(
図2(c))。
図2に示す例では、強誘電体キャパシタFCが論理値"1"を保持する場合のビット線BLの電位は、強誘電体キャパシタFCが論理値"0"を保持する場合のビット線BLの電位より高い。以下では、論理値"1"は単に"1"とも称され、論理値"0"は単に"0"とも称される。また、例えば、メモリセルMCが"1"を保持する場合の強誘電体キャパシタFCの残留分極値は、"P"と称され、メモリセルMCが"0"を保持する場合の強誘電体キャパシタFCの残留分極値は、"U"と称される。
【0033】
センスアンプ50は、ビット線BLの電位に応じてメモリセルMCに記憶されたデータの論理値を判定し、判定した論理値をデータ端子I/Oに出力する。この後、半導体記憶装置100は、プレート線PLをハイレベルからロウレベルに変化させる(
図2(d))。なお、強誘電体キャパシタFCに保持されていた"1"に対応する残留分極値は、データの読み出しにより"0"に対応する残留分極値に変化する。このため、半導体記憶装置100は、強誘電体キャパシタFCの残留分極値を元の"1"に戻す再書き込み動作を実施する。
【0034】
再書き込み期間において、半導体記憶装置100は、プレート線PLをロウレベルに維持した状態で、ワード線WLをハイレベルより高い昇圧レベルに設定する(
図2(e))。再書き込み動作では、半導体記憶装置100は、センスアンプ50で判定された論理値に対応する電位をビット線BLに印加する。これにより、メモリセルMCが"1"を保持していた場合、強誘電体キャパシタFCの両端にビット線BLの電位が印加され、"1"がメモリセルMCに再書き込みされる(
図2(f))。
【0035】
メモリセルMCが"0"を保持していた場合、ビット線BLがロウレベルに設定されるため、強誘電体キャパシタFCの両端に電位が印加されず、"0"の保持状態が維持される(
図2(g))。一方、書き込み動作では、半導体記憶装置100は、再書き込み期間に書き込みデータに対応する電位をビット線BLに印加する。この後、ワード線WLがロウレベルに設定され、アクセス動作が完了する(
図2(h))。
【0036】
図3は、
図1のセンスアンプ50の一例を示す。
図3は、センスアンプ50のうち、
図2の読み出し期間に動作するデータの読み出し回路を示す。センスアンプ50は、nMOSトランジスタT1、T2、T3、T4、キャパシタCAP1、CAP2、C1、C2、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6およびインバータIV1、IV2を有する。特に限定されないが、例えば、スイッチSW1-SW6は、CMOSトランスミッションゲートである。以下では、nMOSトランジスタは、単にトランジスタとも称される。
【0037】
キャパシタCAP1は、第1キャパシタの一例である。キャパシタC1は、プルダウン回路および第3キャパシタの一例である。トランジスタT1は、第1スイッチの一例であり、トランジスタT2は、第2スイッチの一例である。スイッチSW2は、第7スイッチの一例であり、スイッチSW3は、第5スイッチの一例である。トランジスタT1、T2、キャパシタCAP1、C1およびスイッチSW1は、ノードinvinに第1電位を生成する第1生成部の一例である。トランジスタT1、T2およびキャパシタCAP1は、第1伝達部の一例である。インバータIV1は、第1インバータの一例である。
【0038】
キャパシタCAP2は、第2キャパシタの一例である。キャパシタC2は、プルアップ回路および第4キャパシタの一例である。トランジスタT3は、第3スイッチの一例であり、トランジスタT4は、第4スイッチの一例である。スイッチSW5は、第8スイッチの一例であり、スイッチSW6は、第6スイッチの一例である。トランジスタT3、T4、キャパシタCAP2、C2およびスイッチSW4は、ノードinvinxに第2電位を生成する第2生成部の一例である。トランジスタT3、T4およびキャパシタCAP2は、第2伝達部の一例である。インバータIV2は、第2インバータの一例である。インバータIV1、IV2およびスイッチSW3、SW6は、メモリセルMCに保持されたデータの論理値を判定する判定部の一例である。
【0039】
スイッチ信号bussw、busswx、プルダウン信号pldwn、プルアップ信号plupおよびスイッチ信号swb、swbx、swaは、例えば、
図1の制御回路10またはコラムデコーダ40により生成される。
【0040】
例えば、キャパシタCAP1、CAP2は、nMOSトランジスタのゲート絶縁膜を利用したMOSキャパシタである。キャパシタCAP1、CAP2の容量値は、互いに等しく、キャパシタC1、C2の容量値は、互いに等しい。これにより、"0"または"1"のいずれがメモリセルMCから読み出される場合にも、読み出しマージンを互いに同じにすることができる。
【0041】
トランジスタT1は、ゲートがスイッチ信号線busswに接続され、ソース・ドレインの一方がメモリ入出力線mioに接続され、ソース・ドレインの他方が内部ビット線intb1に接続される。なお、メモリ入出力線mioと接地線VSSとの間に配置されるキャパシタCは、メモリ入出力線mioの負荷容量を示す。
【0042】
トランジスタT2は、ゲートがスイッチ信号線busswxに接続され、ドレインが内部ビット線intblに接続され、ソースが接地線VSSに接続される。キャパシタCAP1は、一端が内部ビット線intblに接続され、他端がノードnd1に接続される。すなわち、トランジスタT1およびキャパシタCAP1は、メモリ入出力線mioとノードnd1との間に直列に接続される。キャパシタC1は、一端がノードnd1に接続され、他端がプルダウン信号線pldwnに接続される。
【0043】
スイッチSW1は、スイッチ信号swbxがハイレベルのときにオンし、ノードnd1、invinを互いに接続する。ノードinvinは、第1ノードの一例である。スイッチSW1は、スイッチ信号swbxがロウレベルのときにオフし、ノードnd1、invinの接続を遮断する。スイッチSW2は、スイッチ信号swaがハイレベルのときにオンし、ノードinvin、invoutを互いに接続する。スイッチSW2は、スイッチ信号swaがロウレベルのときにオフし、ノードinvin、invoutの接続を遮断する。
【0044】
インバータIV1は、電源電位VDDを受けて動作するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータである。インバータIV1は、入力がノードinvinに接続され、出力がノードinvoutに接続される。スイッチSW3は、スイッチ信号swbがハイレベルのときにオンし、インバータIV1の出力であるノードinvoutをインバータIV2の入力であるノードinvinxに接続する。ノードinvinxは、第2ノードの一例である。スイッチSW3は、スイッチ信号swbがロウレベルのときにオフし、ノードinvout、invinxの接続を遮断する。
【0045】
トランジスタT3は、ゲートがスイッチ信号線busswxに接続され、ソース・ドレインの一方がメモリ入出力線mioに接続され、ソース・ドレインの他方が内部ビット線intblxに接続される。トランジスタT4は、ゲートがスイッチ信号線busswに接続され、ドレインが内部ビット線intblxに接続され、ソースが接地線VSSに接続される。キャパシタCAP2は、一端が内部ビット線intblxに接続され、他端がノードnd2に接続される。すなわち、トランジスタT3およびキャパシタCAP2は、メモリ入出力線mioとノードnd2との間に直列に接続される。キャパシタC2は、一端がノードnd2に接続され、他端がプルアップ信号線plupに接続される。
【0046】
スイッチSW4は、スイッチ信号swbxがハイレベルのときにオンし、ノードnd2、invinxを互いに接続する。スイッチSW4は、スイッチ信号swbxがロウレベルのときにオフし、ノードnd2、invinxの接続を遮断する。スイッチSW5は、スイッチ信号swaがハイレベルのときにオンし、ノードinvoutx、invinxを互いに接続する。スイッチSW5は、スイッチ信号swaがロウレベルのときにオフし、ノードinvoutx、invinxの接続を遮断する。
【0047】
インバータIV2は、電源電位VDDを受けて動作するCMOSインバータである。インバータIV2は、入力がノードinvinxに接続され、出力がノードinvoutxに接続される。スイッチSW6は、スイッチ信号swbがハイレベルのときにオンし、ノードinvoutx、invinを互いに接続する。スイッチSW6は、スイッチ信号swbがロウレベルのときにオフし、ノードinvoutx、invinの接続を遮断する。スイッチ信号bussw、busswx、swa、swb、swbx、プルダウン信号pldwnおよびプルアップ信号plupは、
図1の制御回路10により生成される。
【0048】
図4および
図5は、
図3のセンスアンプ50における読み出し期間の動作の一例を示す。ワード線WL、プレート線PLおよびメモリ入出力線mio(ビット線BL)の波形は、
図2に示した読み出し期間の波形と同じである。時刻t1、t2、t3、t4、t5は、
図4および
図5の波形のタイミングを対応付けるために付されている。時刻t2から時刻t3までは、第1期間TP1の一例である。時刻t3から時刻5までは、第2期間TP2の一例である。
【0049】
図4および
図5の初期状態において、スイッチ信号busswおよびスイッチ信号busswxがロウレベルおよびハイレベルにそれぞれ設定されることで、トランジスタT1、T4はオフし、トランジスタT2、T3はオンする(
図4(a))。トランジスタT1のオフにより、メモリ入出力線mioと内部ビット線intblとの接続は遮断され、トランジスタT2のオンにより、内部ビット線intblは接地される。トランジスタT3のオンにより、メモリ入出力線mioと内部ビット線intblxとは互いに接続され、トランジスタT4のオフにより、内部ビット線intblxと接地線VSSとの接続が遮断される。
【0050】
スイッチ信号swaがハイレベルに設定されることで、スイッチSW2、SW5はオンする(
図5(b))。スイッチSW2のオンにより、ノードinvin、invoutは互いに接続され、ノードinvin、invoutの電位は、電源電位VDDから電源電位VDDの1/2(=1/2VDD)付近になる(
図5(c))。スイッチSW5のオンにより、ノードinvinx、invoutxは互いに接続され、ノードinvinx、invoutxの電位は、接地電位VSSから1/2VDD付近になる(
図5(d))。
【0051】
スイッチ信号swbxおよびスイッチ信号swbは、ハイレベルおよびロウレベルにそれぞれ設定され、スイッチSW1、SW4はオンし、スイッチSW3、SW6はオフする(
図5(e))。スイッチSW1、SW4のオンにより、ノードnd1、invinは互いに接続され、ノードnd2、invinxは互いに接続される。これにより、ノードnd1、nd2は、ノードinvin、invinxと同じ電位1/2VDD付近になる。
【0052】
スイッチSW3のオフにより、ノードinvout、invinx間の接続は解除される。スイッチSW6のオフにより、ノードinvoutx、invin間の接続は解除される。これにより、インバータIV1、IV2によるラッチ機能はマスクされる。プルダウン信号podwnおよびプルアップ信号plupは、ハイレベルおよびロウレベルにそれぞれ設定される(
図5(f))。
【0053】
プレート線PLがハイレベルに変化する前に、スイッチ信号swaがロウレベルに変化し、スイッチSW2、SW5はオフする(
図5(g))。すなわち、スイッチSW2、SW5は、期間TP1の前にオン状態からオフ状態に設定され、ノードinvin、invoutの接続と、ノードinvinx、invoutxの接続とがそれぞれ遮断される。このため、各ノードinvin、invinxは、電位1/2VDD付近でフローティング状態になる。
【0054】
データの読み出し前にノードinvin、invinxの電位を1/2VDD付近に設定することで、"0"または"1"のいずれがメモリセルMCから読み出される場合にも、インバータIV1、IV2を対称的に動作させることができる。この結果、"0"および"1"の読み出しマージンを互いに同じにすることができる。通常、メモリセルMCの読み出しマージンは、"0"の読み出しマージンおよび"1"の読み出しマージンのうちの小さい方になる。このため、"0"の読み出しマージンおよび"1"の読み出しマージンを互いに同じにすることで、メモリセルMCの読み出しマージンを最大にすることができる。
【0055】
プルダウン信号pldwnおよびプルアップ信号plupは、プレート線PLが駆動され、強誘電体キャパシタFCから読み出された電荷によりビット線BLの電位が上昇している間にロウレベルおよびハイレベルにそれぞれ変化される(
図5(h))。ノードnd1、invinの電位は、キャパシタC1を介したプルダウン信号pldwnの電位の変化に応じて低下する(
図5(i))。ノードnd2、invinxの電位は、キャパシタC2を介したプルアップ信号plupの電位の変化に応じて上昇する(
図5(j))。
【0056】
インバータIV1は、ノードinvinの電位の低下に応じて、ノードinvoutの電位を1/2VDDから上昇させる(k)。インバータIV2は、ノードinvinxの電位の上昇に応じて、ノードinvoutxの電位を1/2VDDから下降させる(l)。
【0057】
プレート線PLのハイレベルへの駆動により、メモリ入出力線mioの電位は、メモリセルMCに保持されたデータの論理値に応じて上昇する(
図4(m))。
図4では、メモリセルMCに"1"が保持される場合のデータの波形を実線で示し、メモリセルMCに"0"が保持される場合のデータの波形を破線で示す。
【0058】
メモリ入出力線mioの電位は、トランジスタT3を介して内部ビット線intblxに伝達され、内部ビット線intblxの電位は上昇する(
図4(n))。ここで、メモリセルMCに"1"が保持されている場合の内部ビット線intblxの電位の上昇量は、メモリセルMCに"0"が保持されている場合の内部ビット線intblxの電位の上昇量より大きい。一方、トランジスタT1はオフしているため、メモリ入出力線mioの電位の変化は、内部ビット線intblに伝達されず、内部ビット線intblは、オンしているトランジスタT2により接地電位VSSに維持される(
図4(o))。
【0059】
この後、スイッチ信号busswはハイレベルに設定され、スイッチ信号busswxはロウレベルに設定される(
図4(p))。ハイレベルのスイッチ信号busswによりトランジスタT1、T4がオンし、ロウレベルのスイッチ信号busswxによりトランジスタT2、T3がオフする。
【0060】
トランジスタT2のオフにより、内部ビット線intblと接地線VSSとの接続が遮断される。そして、トランジスタT1のオンにより、メモリ入出力線mioの電位が内部ビット線intblに伝達され、内部ビット線intblが上昇する(
図4(q))。
【0061】
トランジスタT3のオフにより、メモリ入出力線mioと内部ビット線intblxとの接続が遮断され、トランジスタT4のオンにより、内部ビット線intblxが接地線VSSに接続される。これにより、内部ビット線intblxの電位は接地電位VSSに向けて下降する(
図4(r))。
【0062】
ここで、メモリセルMCに"1"が保持されている場合の内部ビット線intblxの電位は、メモリセルMCに"0"が保持されている場合の内部ビット線intblxの電位より上昇しており、接地電位VSSとの電位差が大きい。このため、"1"に対応する内部ビット線intblxの電位の下降量は、"0"に対応する内部ビット線intblxの電位の下降量より大きくなる。
【0063】
ノードinvinの電位は、キャパシタCAP1のカップリング作用により、内部ビット線intblの電位の変化に追従して上昇する(
図5(s))。すなわち、ノードinvinの電位は、メモリセルMCからメモリ入出力線mioに読み出される電荷に応じたメモリ入出力線mioの電位の変化の向きと同じ向きに変化する。このため、"1"に対応するノードinvinの電位は、メモリ入出力線mioの電位と同様に、"0"に対応するノードinvinの電位より高くなる。インバータIV1は、ノードinvinの電位の上昇に応じてノードinvoutの電位を下降させる(
図5(t))。
【0064】
ノードinvinxの電位は、キャパシタCAP2のカップリング作用により、内部ビット線intblxの電位の変化に追従して下降する(
図5(u))。すなわち、ノードinvinxの電位は、メモリセルMCからメモリ入出力線mioに読み出される電荷に応じたメモリ入出力線mioの電位の変化の向きと逆向きに変化する。このため、"1"に対応するノードinvinxの電位は、"0"に対応するノードinvinxの電位より低くなる。これにより、メモリセルMCから読み出されるデータの各論理値に対応するノードinvinxの電位の大小関係を、メモリセルMCから読み出されるデータの各論理値に対応するノードinvinの電位の大小関係と逆にすることができる。
【0065】
したがって、メモリ入出力線mio(すなわち、ビット線BL)に読み出される電位のみを使用して、ノードinvin、invinxに差動の電位を生成することができる。換言すれば、1T1CタイプのメモリセルMCから読み出される電位を、リファレンス電位を使用することなく、インバータIV1、IV2により差動増幅することができる。
【0066】
インバータIV2は、ノードinvinxの電位の下降に応じてノードinvoutxの電位を上昇させる(
図5(v))。ノードinvoutxにおいても、メモリセルMCから読み出されるデータの各論理値に対応する電位の大小関係を、メモリセルMCから読み出されるデータの各論理値に対応するノードinvoutの電位の大小関係と逆にすることができる。
【0067】
メモリセルMCに保持された論理値に応じた電位がノードinvin、invinxに現れた後、スイッチ信号swbxはロウレベルに設定され、スイッチ信号swbはハイレベルに設定される(
図5(w))。ロウレベルのスイッチ信号swbxにより、スイッチSW1、SW4はオフし、ノードnd1、invinの接続と、ノードnd2、invinxの接続とがそれぞれ遮断される。ハイレベルのスイッチ信号swbによりスイッチSW3、SW6がオンし、ノードinvoutがノードinvinxに接続され、ノードinvoutxがノードinvinに接続される。
【0068】
すなわち、インバータIV1の出力がインバータIV2の入力に接続され、インバータIV2の出力がインバータIV1の入力に接続される。これにより、インバータIV1、IV2をラッチとして動作させることができ、ノードinvin、invinxの電位を差動増幅することができる(
図5(x)、(y))。そして、センスアンプ50は、メモリセルMCに保持された論理値をノードinvoutxに生成することができ、生成した論理値をデータ線I/Oに出力することができる。
【0069】
図4および
図5に示すように、センスアンプ50は、1T1CタイプのメモリセルMCの読み出しマージンを、2T2Cタイプのメモリセルの読み出しマージンと同等にすることができる。また、センスアンプ50は、1T1CタイプのメモリセルMCの読み出しマージンを、リファレンスメモリセルを使用する場合の読み出しマージンのほぼ2倍にすることができる。ここで、2T2Cタイプのメモリセルは、2個の転送トランジスタTTと2個の強誘電体キャパシタFCとを含む。さらに、リファレンスメモリセルを使用しないため、リファレンスメモリセルを使用する場合に比べて半導体記憶装置100のサイズを削減することができる。
【0070】
図6は、
図3のキャパシタC1、C2の容量値に応じたインバータIV1、IV2の出力波形の一例を示す。
図6では、センスアンプ50を動作させるための主要な制御信号の波形と、メモリセルMCからデータが正常に読み出される場合のノードinvout、invoutxの波形が示される。
図6に示す合成波形は、メモリセルMCから読み出される"1"の読み出し波形と"0"の読み出し波形とを重ねた波形を示す。
【0071】
センスアンプ50は、ノードinvout、invoutxの波形が交差するときにメモリセルMCが"1"を保持していると判定し、ノードinvout、invoutxの波形が交差しないときにメモリセルMCが"0"を保持していると判定する。換言すれば、センスアンプ50は、ノードinvout、invoutxの波形が、"1"の読み出し時に交差し、"0"の読み出し時に交差しないときに、メモリセルMCに保持されたデータを正常に読み出すことができる。
【0072】
例えば、キャパシタC1、C2の容量値が大きい場合、プルダウン信号pldwnおよびプルアップ信号plupの電位の変化によるノードinvin、invinxの電位の変化量は、相対的に大きくなる。この場合、インバータIV1、IV2の出力であるノードinvout、invoutxの電位差は大きくなる。
【0073】
一方、キャパシタC1、C2の容量値が小さい場合、プルダウン信号pldwnおよびプルアップ信号plupの電位の変化によるノードinvin、invinxの電位の変化量は、相対的に小さくなる。この場合、インバータIV1、IV2の出力であるノードinvout、invoutxの電位差は小さくなる。
【0074】
例えば、強誘電体キャパシタFCの容量値が大きい場合、ノードinvout、invoutxの波形を交差させるために、キャパシタC1、C2の容量値は、相対的に大きく設定されることが好ましい。強誘電体キャパシタFCの容量値が小さい場合、ノードinvout、invoutxの波形を交差させるために、キャパシタC1、C2の容量値は、小さく設定されることが好ましい。これにより、メモリセルMCに保持されたデータのセンスアンプ50による読み出しマージンを確保することができる。
【0075】
これに対して、キャパシタC1、C2の容量値が、強誘電体キャパシタFCの容量値に対する適正値より大きい場合、メモリセルMCからの"1"の読み出し時にノードinvout、invoutxの波形が交差せず、"0"が判定されるおそれがある。同様に、キャパシタC1、C2の容量値が、強誘電体キャパシタFCの容量値に対する適正値より小さい場合、メモリセルMCからの"0"の読み出し時にノードinvout、invoutxの波形が交差し、"1"が判定されるおそれがある。
【0076】
さらに、強誘電体キャパシタFCから読み出された電荷に応じてノードinvin、invinxに現れる電位の上昇量は、キャパシタCAP1、CAP2の容量値が大きいほど小さく、キャパシタCAP1、CAP2の容量値が小さいほど大きい。このため、センスアンプ50の読み出しマージンを大きくするためには、強誘電体キャパシタFCとキャパシタCAP1、CAP2の容量比と、キャパシタCAP1、C1の容量比と、キャパシタCAP2、C2の容量比とが、適切に設定されることが好ましい。
【0077】
以上に基づいて、キャパシタCAP1、CAP2、C1、C2の容量値は、ノードinvout、invoutxの波形が、"1"の読み出し時に交差し、"0"の読み出し時に交差しない適切な値に設定される。換言すれば、キャパシタCAP1、CAP2の容量値およびキャパシタC1、C2の容量値は、強誘電体キャパシタFCの容量値に応じて適切に設定され、さらに、キャパシタCAP1、C1の容量比と、キャパシタCAP2、C2の容量比とが適切に設定される。なお、容量値が互いに異なる複数組のキャパシタC1、C2をセンスアンプ50に搭載し、強誘電体キャパシタFCの特性値に応じて、キャパシタC1、C2の組を選択するトリミングが実施されてもよい。
【0078】
以上、この実施形態では、1T1CタイプのメモリセルMCに保持されたデータの読み出しマージンを、リファレンスメモリセルを有する1T1Cタイプの半導体記憶装置の読み出しマージンより向上することができる。また、1T1CタイプのメモリセルMCに保持されたデータの読み出しマージンを、2T2CタイプのメモリセルMCの読み出しマージンと同等にすることができる。換言すれば、2T2Cタイプの半導体記憶装置と同様の読み出しマージンを1T1Cタイプの半導体記憶装置100で実現できる。これにより、半導体記憶装置100の歩留まりを向上することができる。また、半導体記憶装置100は、リファレンスメモリセルを持たない。これにより、半導体記憶装置100の回路規模を小さくすることができ、半導体記憶装置100の製造コストを削減することができる。
【0079】
半導体記憶装置100は、リファレンスメモリセルを使用することなくデータを読み出すことができるため、リファレンスメモリセルを持つ半導体記憶装置に比べて回路規模をさらに小さくすることができる。リファレンスメモリセルを使用しないため、メモリセルとリファレンスセルの特性のばらつきを考慮しなくてよい。したがって、メモリセルとリファレンスセルの特性のばらつきによる読み出しマージンの劣化は発生しない。この結果、半導体記憶装置100の回路規模の増大を抑えつつ、データの読み出しマージンを向上することができる。
【0080】
センスアンプ50は、トランジスタT1、T2を期間TP1にそれぞれオフ、オンし、期間TP2にそれぞれオン、オフする。また、センスアンプ50は、トランジスタT3、T4を期間TP1にそれぞれオン、オフし、期間TP2にそれぞれオフ、オンする。これにより、ビット線BLの電位を内部ビット線intblx、intblにそれぞれ伝達するタイミングを、期間TP1と期間TP2とにずらすことができる。
【0081】
期間TP2に、ノードnd1をプルダウンし、ノードnd2をプルアップすることで、メモリセルMCに保持された"1"、"0"に応じてノードinvin、invinxに現れる"1"、"0"の電位レベルを互いに逆にすることができる。これにより、1T1CタイプのメモリセルMCから読み出される電位を、リファレンス電位を使用することなく、インバータIV1、IV2により差動増幅することができる。
【0082】
キャパシタCAP1、CAP2の容量値を互いに等しくし、キャパシタC1、C2の容量値を互いに等しくすることで、"0"または"1"のいずれがメモリセルMCから読み出される場合にも、読み出しマージンを互いに同じにすることができる。
【0083】
期間TP2において、メモリセルMCに保持された論理値に応じた電位がノードinvin、invinxに現れた後、スイッチSW3、SW6がオンされる。スイッチSW3、SW6のオンにより、インバータIV1、IV2をラッチとして動作させることができ、ノードinvin、invinxの電位を差動増幅することができる。そして、センスアンプ50は、メモリセルMCに保持された論理値をノードinvoutxに生成することができ、生成した論理値をデータ線I/Oに出力することができる。
【0084】
データの読み出し前にスイッチSW2、SW5をオンすることで、ノードinvin、invinxの電位を1/2VDDに設定することができる。これにより、"0"または"1"のいずれがメモリセルMCから読み出される場合にも、インバータIV1、IV2を対称的に動作させることができ、"0"および"1"の読み出しマージンを互いに同じにすることができる。
【0085】
なお、この実施形態では、センスアンプ50は、メモリセルMCに含まれる強誘電体キャパシタFCから読み出される電荷量に応じて、メモリセルMCに保持されたデータの論理値を判定する例が説明された。しかしながら、センスアンプ50は、メモリセルに含まれる他の種類のキャパシタ、抵抗素子または磁気素子等から読み出される電荷量に応じて、メモリセルMCに保持されたデータの論理値を判定してもよい。
【0086】
図7は、別の実施形態における半導体記憶装置の一例を示す。
図1と同一または同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示す半導体記憶装置100Aは、
図3のセンスアンプ50の代わりにセンスアンプ50Aを有すること、および、メモリセルMCが3値のデータを保持することを除き、
図1に示す半導体記憶装置100と同様の構成を有する。
【0087】
この実施形態では、メモリセルMCは、3値のデータ"10"、"01"、"00"のいずれかを保持する。すなわち、半導体記憶装置100Aは、各メモリセルMCに多値データを記憶する多値メモリである。以下では、データ"10"、01"、"00"は、それぞれデータ"P2"、"P1"、"U"とも称される。強誘電体キャパシタFCの容量値は、データ"P2"、"P1"、"U"の順で大きい。すなわち、強誘電体キャパシタFCから読み出される電荷量は、データ"P2"、"P1"、"U"の順で大きい。
【0088】
センスアンプ50Aは、第1センスアンプ51、第2センスアンプ52および論理値判定部53を有する。論理値判定部53は、第1センスアンプ51から出力されるデータI/O1と第2センスアンプ52から出力されるデータI/O2とを受ける。論理値判定部53は、データI/O1、I/O2に基づいて、メモリセルMC(
図1)に保持されている論理("P2"、"P1"または"U")を判定し、判定した論理を示す2ビットのデータI/Oを出力する。第1センスアンプ51の例は、
図8に示され、第2センスアンプ52の例は、
図9に示される。論理値判定部53による論理値の判定方法の例は、
図10に示される。
【0089】
図8は、
図7の第1センスアンプ51の一例を示す。
図3と同一または同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。第1センスアンプ51は、キャパシタCAP1、CAP2の代わりにキャパシタCAP1a、CAP2aをそれぞれ有し、キャパシタC1、C2の代わりにキャパシタC1a、C2aをそれぞれ有することを除き、
図3のセンスアンプ50と同様の構成を有する。
【0090】
キャパシタCAP1a、CAP2aの容量値は、互いに等しく、キャパシタC1a、C2aの容量値は互いに等しい。これにより、"0"および"1"がメモリセルMCからそれぞれ読み出される場合の読み出しマージンを互いに等しくすることができる。
【0091】
第1センスアンプ51で生成されるノードinvouta、invoutaxの波形は、メモリセルMCにデータ"P2"が保持されている場合に交差し、メモリセルMCにデータ"P1"またはデータ"U"が保持されている場合に交差しない。
【0092】
図9は、
図7の第2センスアンプ52の一例を示す。
図3と同一または同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。第2センスアンプ52は、キャパシタCAP1、CAP2の代わりにキャパシタCAP1b、CAP2bをそれぞれ有し、キャパシタC1、C2の代わりにキャパシタC1b、C2bをそれぞれ有することを除き、
図3のセンスアンプ50と同様の構成を有する。
【0093】
キャパシタCAP1b、CAP2bの容量値は、互いに等しく、キャパシタC1b、C2bの容量値は互いに等しい。これにより、"0"および"1"がメモリセルMCからそれぞれ読み出される場合の読み出しマージンを互いに等しくすることができる。また、キャパシタCAP1b、C1bの容量比およびキャパシタCAP2b、C2bの容量比は、
図8のキャパシタCAP1a、C1aの容量比およびキャパシタCAP2a、C2aの容量比と相違する。これにより、センスアンプ50Aは、多値データに対応してメモリ入出力線mioに設定される複数通りの電位に基づいて、多値データの論理値を判定することができる。
【0094】
第2センスアンプ52で生成されるノードinvoutb、invoutbxの波形は、メモリセルMCにデータ"P2"または"P1"が保持されている場合に交差し、メモリセルMCにデータ"U"が保持されている場合に交差しない。
【0095】
図10は、
図7の論理値判定部53による論理値の判定方法の一例を示す。メモリセルMCがデータ"P2"(="10")を保持している場合、第1センスアンプ51は、ノードinvouta、invoutaxにハイレベルHおよびロウレベルLをそれぞれ出力する。第2センスアンプ52は、ノードinvoutb、invoutbxにハイレベルHおよびロウレベルLをそれぞれ出力する。論理値判定部53は、ノードinvoutax、invoutbxの論理値をデータI/O1、I/O2として受け、メモリセルMCが保持するデータを"P2"(="10")と判定し、データI/Oとして出力する。
【0096】
メモリセルMCがデータ"P1"(="01")を保持している場合、第1センスアンプ51は、ノードinvouta、invoutaxにロウレベルLおよびハイレベルHをそれぞれ出力する。第2センスアンプ52は、ノードinvoutb、invoutbxにハイレベルHおよびロウレベルLをそれぞれ出力する。論理値判定部53は、ノードinvoutax、invoutbxの論理値をデータI/O1、I/O2として受け、メモリセルMCが保持するデータを"P1"(="01")と判定し、データI/Oとして出力する。
【0097】
メモリセルMCがデータ"U"(="00")を保持している場合、第1センスアンプ51は、ノードinvouta、invoutaxにロウレベルLおよびハイレベルHをそれぞれ出力する。第2センスアンプ52は、ノードinvoutb、invoutbxにロウレベルLおよびハイレベルHをそれぞれ出力する。論理値判定部53は、ノードinvoutax、invoutbxの論理値をデータI/O1、I/O2として受け、メモリセルMCが保持するデータを"U"(="00")と判定し、データI/Oとして出力する。
【0098】
なお、例えば、センスアンプ50Aに3個のセンスアンプを搭載することで、4値の半導体記憶装置を実現することができる。3個のセンスアンプにより実現される4値の半導体記憶装置においても、読み出しマージンを、3個のリファレンスメモリセルを有する半導体記憶装置の読み出しマージンに比べて向上することできる。
【0099】
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、リファレンスメモリセルを使用することなく、1T1CタイプのメモリセルMCに保持された多値のデータの読み出しマージンを、複数のリファレンスメモリセルを有する他の多値の半導体記憶装置の読み出しマージンに比べて向上することができる。したがって、半導体記憶装置100Aの歩留まりを向上することができ、半導体記憶装置100Aの回路規模を小さくすることができる。この結果、半導体記憶装置100Aの製造コストを削減することができる。すなわち、半導体記憶装置100Aの回路規模の増大を抑えつつ、データの読み出しマージンを向上することができる。
【0100】
図11は、別の実施形態における半導体記憶装置の一例を示す。
図1と同一または同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図11に示す半導体記憶装置100Bは、例えば、強誘電体メモリであり、単一のメモリデバイスとして各種電子機器に搭載され、あるいは、無線タグ(RFID)チップ等に搭載される。半導体記憶装置100Bは、制御回路10、メモリセルアレイ20B、ロウデコーダ30B、コラムデコーダ40Bおよびセンスアンプ50Bを有する。
【0101】
メモリセルアレイ20Bは、マトリックス状に配置された複数のメモリセルMCと複数のリファレンスメモリセルRMCとを有する。メモリセルMCは、ビット線対BLo(BLo0、BLo1、BLo2、...、BLom)、BLe(BLe0、BLe1、BLe2、...、BLem)のいずれか一方に接続される。
【0102】
ビット線BLoに接続されるメモリセルMCの各々は、ワード線WLo(WLo0、WLo1、WLo2、...、WLon)とプレート線PL(PL0、PL1、PL2、...、PLn)とに接続される。ビット線BLeに接続されるメモリセルMCの各々は、ワード線WLe(WLe0、WLe1、WLe2、...、WLen)とプレート線PL(PL0、PL1、PL2、...、PLn)とに接続される。
【0103】
リファレンスメモリセルRMCは、メモリセルMCと同じ構成および同じ構造を有する。リファレンスメモリセルRMCは、ビット線対BLo、BLeのいずれか一方に接続される。ビット線BLoに接続されるリファレンスメモリセルRMCは、リファレンスワード線WLroとリファレンスプレート線PLrとに接続される。ビット線BLeに接続されるリファレンスメモリセルRMCは、リファレンスワード線WLreとプレート線PLrとに接続される。後述するように、リファレンスメモリセルRMCは、常に"0"を記憶する。
【0104】
1本のビット線BLo(またはBLe)には、n+1個のメモリセルと1個のリファレンスメモリセルRMCとが接続される。ビット線BLoに接続されるメモリセルMCがアクセスされるとき、ビット線BLeに接続されるリファレンスメモリセルRMCが選択される。ビット線BLeに接続されるメモリセルMCがアクセスされるとき、ビット線BLoに接続されるリファレンスメモリセルRMCが選択される。
【0105】
ロウデコーダ30Bは、
図1のロウデコーダ30と同様に、制御回路10から出力されるロウアドレス信号RADをデコードする。ロウデコーダ30Bは、ビット線BLoに接続されたメモリセルMCにアクセスするとき、ワード線WLo、プレート線PL、リファレンスワード線WLreおよびリファレンスプレート線PLrを駆動する。ロウデコーダ30Bは、ビット線BLeに接続されたメモリセルMCにアクセスするときに、ワード線WLe、プレート線PL、リファレンスワード線WLroおよびリファレンスプレート線PLrを駆動する。
【0106】
アクセス動作時(読み出し動作または書き込み動作)のワード線WLo、WLeおよびプレート線PLの駆動タイミングは、
図1のロウデコーダ30によるワード線WLおよびプレート線PLの駆動タイミングと同様である。アクセス動作時のリファレンスワード線WLro、WLreおよびリファレンスプレート線PLrの駆動タイミングの例は、
図12に示される。
【0107】
コラムデコーダ40Bは、アクセス動作時に、制御回路10から出力されるコラムアドレス信号CADをデコードする。コラムデコーダ40Bは、コラムアドレス信号CADに応じて、z+1本のビット線BLoとz+1本のビット線BLeとを選択する。コラムデコーダ40Bは、選択したz+1本のビット線BLoをz+1本のメモリ入出力線mioo(mioo0、mioo1、...、miooz)にそれぞれ接続する。コラムデコーダ40Bは、選択したz+1本のビット線BLeをz+1本のメモリ入出力線mioe(mioe0、mioe1、...、mioez)にそれぞれ接続する。メモリ入出力線mioo、mioeは、センスアンプ50Bに接続される。
【0108】
センスアンプ50Bは、読み出し動作時にメモリセルMCまたはリファレンスメモリセルRMCの一方からビット線BLoに読み出される電荷に対応する電位をメモリ入出力線miooを介して受ける。また、センスアンプ50Bは、読み出し動作時にメモリセルMCまたはリファレンスメモリセルRMCの他方からビット線BLeに読み出される電荷に対応する電位をメモリ入出力線mioeを介して受ける。そして、センスアンプ50Bは、メモリ入出力線mioo、mioeで受けた電位に基づいて、メモリセルMCに保持されたデータの論理値を判定し、判定した論理値を読み出しデータとしてデータ線I/Oを介して制御回路10に出力する。
【0109】
センスアンプ50BによるメモリセルMCから読み出したデータのメモリセルMCへの再書き込み動作は、
図1のセンスアンプ50による再書き込み動作と同様である。また、センスアンプ50によるメモリセルMCへの書き込み動作は、
図1のセンスアンプ50による書き込み動作と同様である。センスアンプ50Bの例は、
図13に示される。
【0110】
図12は、
図11の半導体記憶装置のアクセス動作の一例を示す。
図2と同一または同様の動作については詳細な説明は省略する。ワード線WLo、WLeの波形は、
図2のワード線WLの波形と同じである。プレート線PLおよびリファレンスプレート線PLrの波形は、
図2のプレート線PLの波形と同じである。ビット線BLo、BLeの波形は、
図2のビット線BLの波形と同じである。
【0111】
リファレンスワード線WLro、WLreは、読み出し期間において、ワード線WLo、WLeと同様に駆動され、再書き込み期間にロウレベル(例えば、接地電位VSS)に設定される。このため、再書き込み期間にリファレンスメモリセルRMCにデータは書き込まれず、リファレンスメモリセルRMCは、常に"0"を保持する。
【0112】
なお、強誘電体キャパシタFCを有するメモリセルMCおよびリファレンスメモリセルRMCでは、読み出し期間に破壊読み出しが実施され、プレート線PLおよびリファレンスプレート線PLrの立ち下がり時にメモリセルMCおよびリファレンスメモリセルRMCは"0"に設定される。
【0113】
再書き込み期間において、読み出し期間にセンスアンプ50Bにより読み出した論理値に対応する電位(電源電位VDDまたは接地電位VSS)がビット線BLo(またはBLe)を介してメモリセルMCに与えられる。これにより、メモリセルMCが"1"を保持していた場合、"1"が再書き込みされる。一方、再書き込み期間において、リファレンスワード線WLro(または、WLre)はロウレベルに設定されるため、リファレンスメモリセルRMCの強誘電体キャパシタFCには電位が印加されない。このため、リファレンスメモリセルRMCは、読み出し期間に設定された"0"を維持し続ける。
【0114】
図13は、
図11のセンスアンプ50Bの一例を示す。
図3と同一または同様の要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図13は、センスアンプ50Bのうち、
図12の読み出し期間に動作するデータの読み出し回路を示す。センスアンプ50Bは、
図3のセンスアンプ50にnMOSトランジスタT1e、T3e、インバータIV3、nMOSトランジスタN2、N3およびバッファBUFを追加している。
【0115】
また、センスアンプ50Bは、
図3のセンスアンプ50からスイッチSW1、SW3、SW4、SW6を削除している。なお、
図13では、
図3のトランジスタT1、T3は、それぞれトランジスタT1o、T3oとして示される。センスアンプ50Bのその他の構成は、
図3のセンスアンプ50の構成と同様である。
【0116】
スイッチ信号busswo、busswe、busswxo、busswxe、プルダウン信号pldwn、プルアップ信号plup、スイッチ信号swaおよびリセット信号resは、例えば、
図11の制御回路10またはコラムデコーダ40Bにより生成される。
【0117】
トランジスタT1oは、ゲートがスイッチ信号線busswoに接続され、ソース・ドレインの一方がメモリ入出力線miooに接続され、ソース・ドレインの他方が内部ビット線intb1に接続される。トランジスタT1eは、ゲートがスイッチ信号線bussweに接続され、ソース・ドレインの一方がメモリ入出力線mioeに接続され、ソース・ドレインの他方が内部ビット線intb1に接続される。
【0118】
トランジスタT3oは、ゲートがスイッチ信号線busswxoに接続され、ソース・ドレインの一方がメモリ入出力線mioeに接続され、ソース・ドレインの他方が内部ビット線intblxに接続される。トランジスタT3eは、ゲートがスイッチ信号線busswxeに接続され、ソース・ドレインの一方がメモリ入出力線miooに接続され、ソース・ドレインの他方が内部ビット線intblxに接続される。なお、センスアンプ50Bは、
図3のスイッチSW1、SW4を持たないため、ノードnd1およびノードinvinは、同一ノードであり、ノードnd2およびノードinvinxは、同一ノードである。
【0119】
トランジスタT1o(または、T1e)およびキャパシタCAP1、C1は、第1生成部の一例である。トランジスタT3o(または、T3e)およびキャパシタCAP2、C2は、第2生成部の一例である。トランジスタT1o、T1e、T3o、T3eは、接続切り替え部の一例である。インバータIV1、IV3は、メモリセルに保持されたデータの論理値を判定し、判定した論理値を出力する判定部の一例である。インバータIV2およびトランジスタN3は、ノードinvinxに生成された電位に応じて出力ノードoutから電荷を引き抜く引き抜き部の一例である。
【0120】
ビット線BLoに接続されたメモリセルMCのアクセス動作が実行されるとき、スイッチ信号線busswo、busswxoはハイレベルに設定され、スイッチ信号線busswe、busswxeはロウレベルに設定される。これにより、アクセス対象のメモリセルMCに接続されたビット線BLoは、メモリ入出力線miooおよびトランジスタT1oを介して内部ビット線intblに接続される。リファレンスメモリセルRMCに接続されたビット線BLeは、メモリ入出力線mioeおよびトランジスタT3oを介して内部ビット線intblxに接続される。
【0121】
ビット線BLeに接続されたメモリセルMCのアクセス動作が実行されるとき、スイッチ信号線busswe、busswxeはハイレベルに設定され、スイッチ信号線busswo、busswxoはロウレベルに設定される。これにより、アクセス対象のメモリセルMCに接続されたビット線BLeは、メモリ入出力線mioeおよびトランジスタT1eを介して内部ビット線intblに接続される。リファレンスメモリセルRMCに接続されたビット線BLoは、メモリ入出力線miooおよびトランジスタT3eを介して内部ビット線intblxに接続される。
【0122】
トランジスタT1o、T1e、T3e、T3oの接続を切り替えることで、センスアンプ50Bは、メモリセルMCから読み出される電荷を常に内部ビット線intblに供給することができる。また、センスアンプ50Bは、リファレンスメモリセルRMCから読み出される電荷を常に内部ビット線intblxに供給することができる。これにより、センスアンプ50Bは、インバータIV1、IV2の出力を、インバータIV3の入力またはトランジスタN3のゲートにそれぞれ接続する切り替え部を設けることなく、メモリセルMCから読み出したデータをデータ線I/Oに出力することができる。
【0123】
インバータIV3は、電源線VDDと接地線VSSとの間に直列に接続されたpMOSトランジスタP1、P2およびnMOSトランジスタN1を有する。トランジスタP1のゲートは、リセット信号線resに接続され、トランジスタP2、N1のゲートは、ノードinvoutに接続される。トランジスタP2、N1のドレインは、出力ノードoutとしてバッファBUFの入力に接続される。
【0124】
トランジスタN2は、ゲートがリセット信号線resに接続され、ドレインが出力ノードoutに接続され、ソースが接地線VSSに接続される。トランジスタN3は、ゲートがノードinvoutxに接続され、ドレインが出力ノードoutに接続され、ソースが接地線VSSに接続される。
【0125】
インバータIV3は、リセット信号resがハイレベルに設定されるリセット期間にロウレベルの出力信号outを出力し、リセット信号resがロウレベルに設定される動作期間にノードinvoutの電位レベルを反転した出力信号outを出力する。バッファBUFは、直列に接続された偶数個(例えば、2個)のCMOSインバータを有し、インバータIV3から出力される出力信号outの電位に応じた論理値を有するデータをデータ線I/Oに出力する。
【0126】
図14および
図15は、
図11のセンスアンプ50Bにおける読み出し期間の動作の一例を示す。
図4および
図5と同様の動作については詳細な説明は省略する。
図14および
図15では、ワード線WLoに接続されたメモリセルMCからデータを読み出す動作が示される。
【0127】
図14において、ワード線WLo、リファレンスワード線WLre、プレート線PLおよびリファレンスプレート線PLrの波形は、
図12に示した読み出し期間のワード線WLおよびプレート線PLの波形とそれぞれ同じである(
図14(a)、(b))。時刻t1、t2、t3、t4、t5は、
図4および
図5と同様に、
図14および
図15の波形のタイミングを対応付けるために付されている。なお、時刻t4は、リセット信号res(15)がハイレベルからロウレベルに変化する時刻を示す。
【0128】
時刻t3までの動作は、生成されるスイッチ信号busswo、busswxo、bussw、busswe、busswxe、busswxが異なることを除き、
図4および
図5に示す動作と同様である。ワード線WLoに接続されたメモリセルMCからデータを読み出す場合、スイッチ信号busswo、busswは、時刻t3にロウレベルからハイレベルに変化し、時刻t5にハイレベルからロウレベルに変化する(
図14(c)、(d))。スイッチ信号busswxo、busswxは、時刻t3にハイレベルからロウレベルに変化し、時刻t5にロウレベルからハイレベルに変化する(
図14(e)、(f))。スイッチ信号busswe、busswxeは、読み出し動作の間、ロウレベルに維持される(
図14(g))。
【0129】
なお、ワード線WLeに接続されたメモリセルMCからデータを読み出す場合、スイッチ信号busswe、busswは、時刻t3にロウレベルからハイレベルに変化し、時刻t5にハイレベルからロウレベルに変化する。スイッチ信号busswxe、busswxは、時刻t3にハイレベルからロウレベルに変化し、時刻t5にロウレベルからハイレベルに変化する。スイッチ信号busswo、busswxoは、読み出し動作の間、ロウレベルに維持される。
【0130】
メモリセルMCに保持されているデータが読み出されるビットBLoおよびメモリ入出力線miooの波形は、
図4のビット線BLおよびメモリ入出力線mioの波形と同じである(
図14(h))。リファレンスメモリセルRMCに保持されている"0"が読み出されるビットBLeおよびメモリ入出力線mioeの波形は、
図4のビット線BLおよびメモリ入出力線mioの"0"の波形と同じである(
図14(i))。なお、ワード線WLeに接続されたメモリセルMCからデータを読み出す場合、ビットBLoおよびメモリ入出力線miooの波形と、ビットBLeおよびメモリ入出力線mioeの波形とが入れ替わる。
【0131】
内部ビット線intblの波形は、データを読み出すメモリセルMCが接続されるビット線BLo、BLeにかかわりなく、
図4の内部ビット線intblの波形と同じである(
図14(j))。内部ビット線intblxの波形は、データを読み出すメモリセルMCに接続されるビット線BLo、BLeにかかわりなく、
図4の内部ビット線intblxの"0"の波形と同じである(
図14(k))。
【0132】
図15において、スイッチ信号swa、プルダウン信号pldwn、プルアップ信号plupの波形は、
図5と同じである(
図15(a)、(b)、(c))。メモリセルMCから読み出される論理値に対応するノードinvinの波形は、
図5と同じである(
図15(d))。リファレンスメモリセルRMCから読み出される"0"に対応するノードinvinxの波形は、
図5のノードinvinxの"0"の波形と同じである(
図15(e))。
【0133】
メモリセルMCから読み出される論理値に対応するノードinvoutの波形は、時刻t4の後に電位が差動増幅されないことを除き、
図5のノードinvoutの波形と同じである(
図15(f))。リファレンスメモリセルRMCから読み出される"0"に対応するノードinvoutxの波形は、時刻t4の後に電位が差動増幅されないことを除き、
図5のノードinvoutxの"0"の波形と同じである(
図15(g))。
【0134】
リセット信号resは、時刻t4までハイレベル(リセット状態)に維持され、時刻t4にロウレベル(動作状態)に変化する(
図15(h))。リセット信号resがハイレベルの期間、インバータIV3は動作せず、出力ノードoutは、ノードinvoutの電位レベルにかかわらずロウレベル(=VSS)に固定される(
図15(i))。リセット信号resのロウレベルへの変化に基づいて、インバータIV3が動作を開始し、ノードinvoutの電位レベルを反転した出力信号outを出力する(
図15(j))。
【0135】
但し、第2期間TP2において、ノードinvoutxの電位が上昇すると、トランジスタN3のソース・ドレイン間抵抗が下がり、トランジスタN3は高抵抗として機能する(
図15(k))。出力ノードoutの電荷は、トランジスタN3を介して接地線VSSに引き抜かれる。これにより、"0"に対応する出力ノードoutの電位は、ほぼ接地電位VSSまで低下する(
図15(l))。バッファBUFは、ロウレベルの出力電位outを受け、"0"をデータ線I/Oに出力する(
図15(m))。
【0136】
"1"に対応する出力ノードoutの電位も、トランジスタN3の高抵抗により低下するが、バッファBUFの初段のCMOSインバータの論理閾値電位Vthより高い値(ハイレベル)に維持される(
図15(n))。このため、バッファBUFは、ハイレベルの出力電位outを受け、"1"をデータ線I/Oに出力する(
図15(o))。
【0137】
図16は、
図3のセンスアンプ50BにトランジスタN3を設けない場合のセンスアンプ50Bの動作の例を示す。メモリセルMCの強誘電体キャパシタFCの特性が正常な場合の"1"読み出しでは、リセット信号resがロウレベルに変化する時刻t4においてノードinvoutの電位が十分に下がっている。ノードinvoutの電位を受けるインバータIV3において、トランジスタP2のソース・ドレイン抵抗は低くなり、トランジスタN1のソース・ドレイン間抵抗は高くなる。このため、インバータIV3の出力ノードoutの電位は、バッファBUFの初段のCMOSインバータの論理閾値電位Vthを超え、"1"としてバッファBUFに入力される。
【0138】
メモリセルMCの強誘電体キャパシタFCの特性が正常な場合の"0"読み出しでは、時刻t4においてノードinvoutの電位がわずかに下がる。ノードinvoutの電位を受けるインバータIV3において、トランジスタP2のソース・ドレイン抵抗は高くなり、トランジスタN1のソース・ドレイン間抵抗は低くなる。このため、インバータIV3の出力ノードoutの電位は、論理閾値電位Vth以下になり、"0"としてバッファBUFに入力される。
【0139】
メモリセルMCの強誘電体キャパシタFCの特性が変動した場合の"1"読み出しでは、時刻t4においてノードinvoutの電位は、正常時よりも下がっている。ノードinvoutの電位を受けるインバータIV3において、トランジスタP2のソース・ドレイン抵抗は、正常な"1"読み出し時より低くなり、トランジスタN1のソース・ドレイン間抵抗は、正常な"1"読み出し時より高くなる。このため、インバータIV3の出力ノードoutの電位は、正常な"1"読み出し時と同様に論理閾値電位Vthを超え、"1"としてバッファBUFに入力される。
【0140】
メモリセルMCの強誘電体キャパシタFCの特性が変動した場合の"0"読み出しでは、時刻t4においてノードinvoutの電位は、正常な"0"読み出し時よりも下がっている。ノードinvoutの電位を受けるインバータIV3において、トランジスタP2のソース・ドレイン抵抗は、正常な"0"読み出し時より低くなり、トランジスタN1のソース・ドレイン間抵抗は、正常な"0"読み出し時より高くなる。このため、インバータIV3の出力ノードoutの電位は、論理閾値電位Vth付近まで上昇し、"0"または"1"としてバッファBUFに入力される。この場合、半導体記憶装置は、安定して動作せず、誤動作するおそれがある。
【0141】
例えば、強誘電体キャパシタFCの特性は、半導体記憶装置の製造プロセスのばらつきにより変動する。したがって、センスアンプ50BにトランジスタN3を設けない場合の読み出しマージンは、製造プロセスのばらつきにより低くなり、半導体記憶装置の歩留まりを下げてしまう。なお、半導体記憶装置の製造プロセスのばらつきは、処理温度、処理圧力等の製造条件の変動により発生するため、ばらつき自体を抑えることは困難である。
【0142】
これに対して、センスアンプ50BにトランジスタN3を設ける場合の"0"読み出し時の出力ノードoutの電位は、
図15(l)に示すように、高抵抗として機能するトランジスタN3によりほぼ接地電位VSSに近くに維持される。このため、"0"読み出し時において、強誘電体キャパシタの特性が変動した場合の読み出しマージンを、強誘電体キャパシタの特性が正常な場合の読み出しマージンと同等以上にすることができる。この結果、
図16に示す"0"読み出し時の誤動作を抑止することができ、製造プロセスが変動した場合にも、強誘電体キャパシタFCの特性に起因する半導体記憶装置100Bの歩留まりの低下を抑制することができる。
【0143】
以上、この実施形態では、相補のビット線BLo、BLeの一方に接続されるメモリセルMCに保持されたデータを、相補のビット線BLo、BLeの他方に接続される"0"を記憶したリファレンスメモリセルRMCを利用して読み出すことができる。この際、メモリセルMCから読み出されたデータを出力するインバータIV3の出力ノードoutを高抵抗として機能するトランジスタN3を介して接地線VSSに接続することができる。
【0144】
このため、半導体記憶装置100Bの製造プロセスの変動により強誘電体キャパシタFCの特性が"0"の読み出しマージンが小さくなる方向に変動した場合にも、歩留まりの低下を抑制することができる。したがって、様々な製造条件で製造された多数の半導体記憶装置100Bの全体での歩留まりを向上することができる。
【0145】
また、メモリセルMCとリファレンスメモリセルRMCとを使用したセンスアンプ50Bを使用する場合に、リファレンスメモリセルRMCのサイズをメモリセルMCと同じサイズにすることができる。このため、半導体記憶装置100Bの回路規模を、
図17に示す半導体記憶装置200の回路規模より小さくすることができる。この結果、半導体記憶装置100Bの回路規模の増大を抑えつつ、データの読み出しマージンを向上することができる。換言すれば、半導体記憶装置100Bの回路規模の増大の抑制と、データの読み出しマージンの向上との両方により、歩留まりを向上することができる。
【0146】
さらに、トランジスタT1o、T1e、T3e、T3oの接続を切り替えることで、センスアンプ50Bは、メモリセルMCから読み出される電荷を常に内部ビット線intblに供給することができる。また、センスアンプ50Bは、リファレンスメモリセルRMCから読み出される電荷を常に内部ビット線intblxに供給することができる。これにより、センスアンプ50Bは、インバータIV1、IV2の出力を、インバータIV3の入力またはトランジスタN3のゲートにそれぞれ接続する切り替え部を設けることなく、メモリセルMCから読み出したデータをデータ線I/Oに出力することができる。
【0147】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0148】
10 制御回路
20、20B メモリセルアレイ
30、30B ロウデコーダ
40、40B コラムデコーダ
50、50A、50B センスアンプ
51 第1センスアンプ
52 第2センスアンプ
100、100A、100B 半導体記憶装置
200 半導体記憶装置
BL、BLe、BLo ビット線
BUF バッファ
C1、C1a、C1b キャパシタ
C2、C2a、C2b キャパシタ
CAD コラムアドレス信号
CAP1、CAP1a、CAP1b キャパシタ
CAP2、CAP2a、CAP2b キャパシタ
FC 強誘電体キャパシタ
intbl、intblx 内部ビット線
invin、invina、invinb ノード
invinx、invinax、invinbx ノード
invout、invouta、invoutb ノード
invoutx、invoutax、invoutbx ノード
I/O データ線
IV1、IV2、IV3 インバータ
MC メモリセル
mio、mioe、mioo メモリ入出力線
N1、N2、N3 トランジスタ
P1、P2 トランジスタ
PL プレート線
PLr リファレンスプレート線
RAD ロウアドレス信号
RMC リファレンスメモリセル
T1e、T1o、T3e、T3o トランジスタ
TT 転送トランジスタ
WL、WLe、WLo ワード線
WLro、WLre リファレンスワード線