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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068850
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20240514BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
A47K17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179467
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】木原 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】大川 博史
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA14
2D037AD00
2D038JC02
2D038KA07
2D038KA22
2D038KA26
(57)【要約】
【課題】便鉢部内の水位の異常を検出するためのセンサのメンテナンスを、容易に行えるようにする。
【解決手段】便器装置Tは、便鉢部32を有する便器本体31と、便器本体31に取り付けられた便座装置40と、便鉢部32内の水位の異常を検知するセンサユニット50と、を備え、センサユニット50は、便座装置40とは別体をなし、便器本体31又は便座装置40に対して単独で着脱可能である。センサユニット50を便座装置40とは独立して着脱できるようにしたので、センサユニット50のメンテナンスが容易である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部を有する便器本体と、
前記便器本体に取り付けられた便座装置と、
前記便鉢部内の水位の異常を検知するセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットは、前記便座装置とは別体をなし、前記便器本体又は前記便座装置に対して単独で着脱可能である便器装置。
【請求項2】
前記センサユニットが前記便座装置の下方に配置されている請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記便座装置と前記センサユニットは、前記便器本体に取り付けられ、
前記便座装置は、前記便器本体との間で前記センサユニットを挟むように配置される請求項2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記便座装置は、前記便器本体に取り付けたときに、前記便器本体に対して隙間を空けて対向する離隔部を有し、
前記隙間に前記センサユニットの一部が収容されている請求項3に記載の便器装置。
【請求項5】
前記便座装置は、取付け部材によって前記便器本体に取り付けられ、
前記センサユニットは、前記取付け部材とは別の固定部材によって前記便器本体に固定されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項6】
前記センサユニットは、シート状部材を介して前記便器本体に対して貼り付けるように固定され、
前記便器本体には、前記便器本体における前記センサユニットの固定位置を示す指標部が設けられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項7】
前記センサユニットは、前記便器本体に対して着脱可能であり、前記便鉢部の開口縁部に接触することによって位置決めされている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項8】
前記センサユニットは、前記便鉢部の開口縁部に沿った湾曲形状の被ガイド面を有している請求項7に記載の便器装置。
【請求項9】
前記便座装置と前記センサユニットが、前記便器本体の後端部に配置され、
前記センサユニットの一部が前記便座装置の後端よりも後方に延びている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機能部と水位センサとを備えた便器装置が開示されている。機能部は、局部洗浄ノズル及びビデノズルを有し、便器本体に取り付けられている。水位センサは、便鉢部内の溜水の水位が異常に高くなったことを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-133376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水位センサは機能部に一体的に設けられているため、水位センサのメンテナンスを行う際には、機能部を便器本体から外し、更に機能部を分解して水位センサを取り出す必要がある。そのため、従来の便器装置は、水位センサのメンテナンスが面倒であった。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便鉢部内の水位の異常を検出するためのセンサのメンテナンスを、容易に行えるようにすることを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の便器装置は、
便鉢部を有する便器本体と、
前記便器本体に取り付けられた便座装置と、
前記便鉢部内の水位の異常を検知するセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットは、前記便座装置とは別体をなし、前記便器本体又は前記便座装置に対して単独で着脱可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の便器装置の斜視図
図2】便器装置の正面図
図3】便器装置の側面図
図4】便器装置の分解斜視図
図5】センサユニットの分解斜視図
図6】便器本体にセンサユニットとベースプレートを取り付けた状態の正面図
図7】便器本体にセンサユニットとベースプレートを取り付けた状態の側断面図
図8】便座装置を斜め下から見た斜視図
図9】便器本体に固定部材を取り付けた状態の平面図
図10】便器本体にセンサユニットを取り付けた状態の平面図
図11】便器本体にセンサユニットとベースプレートを取り付けた状態の平面図
図12】便器本体にセンサユニットを取り付けた状態の一部切欠平面図
図13】便器本体にセンサユニットを取り付けた状態の一部切欠平面図
図14】水位の異常を検知したときの制御システムをあらわすブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
以下、本開示を具体化した実施形態1を図1図14を参照して説明する。尚、以下の説明において、以下の説明において、便器装置Tの前後方向については、便器装置Tの便座44に着座した使用者の正面側を前側、使用者の背中側を後側と定義し、図1,3~5,7~13におけるF方向を前方と定義する。上下の方向については、図1~8におけるH方向を上方と定義する。左右の方向については、便器装置Tの前方に立った使用者から見た向きを、そのまま左方、右方と定義し、図1,2,4~6,8~13におけるR方向を右方と定義する。
【0009】
<便器装置Tの概要>
本実施形態1の便器装置Tは、公共施設等の個室に設置されるパブリックトイレとして用いられるものである。図1~3に示すように、便器装置Tは、キャビネット10と、大便器30とを備えている。キャビネット10は、前壁部11、左右両側壁部12及び上壁部13を有し、個室の後壁面Wを覆うように配置されている。キャビネット10の前壁部11の上端側領域には、キャビネット10の内部空間を前方へ開放させる開口部14が形成されている。キャビネット10には、開口部14を閉塞するための閉塞部材15が着脱可能に設けられている。
【0010】
キャビネット10の内部には、便器洗浄装置17と制御ユニット20とが収納されている。便器洗浄装置17は、洗浄水タンク18と洗浄モータ19とを備えている。洗浄水タンク18内には、大便器30の便器本体31に供給するための洗浄水(図示省略)が貯留されている。洗浄水タンク18の底面には便器本体31に連通する給水口(図示省略)と、給水口を開閉するフラッパー(図示省略)とが設けられている。洗浄モータ19は、フラッパーを開閉させるものであり、フラッパーを開く給水モードと、フラッパーを閉じる給水停止モードとの切り換えを行う。
【0011】
制御ユニット20は、筐体21の内部に制御装置22とAC-DCアダプタ23を収容したものである。制御装置22は、CPUなどの公知の演算装置及び他の周辺回路などを備え、後述するセンサユニット50からの検知信号に基づいて、洗浄モータ19の制御と、後述する局部洗浄装置43への検知情報の送信と、後述する無線LAN通信装置28との通信を行う。AC-DCアダプタ23は、後壁面Wに設けた内部コンセント27を介すことによって商用交流電源からの電力供給を受け、交流電流を直流電流に変換する。AC-DCアダプタ23は、洗浄モータ19とセンサユニット50に電力を供給する。
【0012】
制御ユニット20と洗浄モータ19との間には、電力供給と制御信号の伝送を行うための洗浄用ハーネス24が配索されている。制御ユニット20とセンサユニット50との間には、電力供給と検知信号の伝送を行うためのセンサ用ハーネス25が配索されている。制御ユニット20と局部洗浄装置43の間には、制御信号を伝送するための制御用ハーネス26が配索されている。制御ユニット20と無線LAN通信装置28との間には、検知情報の信号を伝送するための情報伝送用ハーネス(図示省略)が配索されている。
【0013】
図1,4に示すように、大便器30は、便器本体31と、便座装置40と、無線LAN通信装置28と、センサユニット50とを備えている。図2,3に示すように、便器本体31は、キャビネット10の前壁部11のうち開口部14よりも下方の位置に固定され、床面Fから浮いた状態でキャビネット10の前方へ突き出すように配置されている。便器本体31は、便鉢部32と、便鉢部32の後方に連なる機器取付部36とを有する。
【0014】
図4,6,7に示すように、便鉢部32の開口縁部(上端縁部)に形成されたリム33には、洗浄水タンク18内の洗浄水を吐出する吐水口34が形成されている。吐水口34は、便鉢部32の内周面のうち右側面領域の後端部に位置する。吐水口34は、便鉢部32の内周面に沿って水平方向後方へ洗浄水を吐出する向きに開口している。吐水口34から吐出した洗浄水は、便鉢部32の内周面に沿って平面視反時計回り方向に回転しながら、便鉢部32の内周面に付着した汚物を洗い流す。
【0015】
便器本体31には、便座装置40が取り付けられている。図4に示すように、便座装置40は、ベースプレート41と、ベースプレート41に載置した状態で取り付けた装置本体42とを有する。装置本体42は、局部洗浄装置43と、開閉可能な暖房機能付きの便座44と、便蓋45とを一体化したものである。局部洗浄装置43は、機器取付部36の上面と、便鉢部32の上面開口の後端部とを覆うように配置される。便座44と便蓋45は、局部洗浄装置43に対して上下方向の揺動可能に支持され、便鉢部32を閉塞する倒伏姿勢(図1,2参照)と、便鉢部32を開放する起立姿勢(図3の想像線参照)との間で揺動可能となっている。
【0016】
便器本体31に対する便座装置40の取り付けは、まず、装置本体42から外した状態のベースプレート41を、ボルト46(図4参照)によって機器取付部36の上面に固定する。次に、ベースプレート41に対して装置本体42を水平にスライドさせながら組み付ける。局部洗浄装置43及び便座44に対する給電は、キャビネット10の前壁部11に設けた外部コンセント29から行う。
【0017】
無線LAN通信装置28は、本実施形態1の便器装置Tが設置される公共施設内に構築した無線LANに使用される装置であり、便器本体31に取り付けられている。各便器装置Tに取り付けた無線LAN通信装置28は、公共施設に設けたルーター(図示省略)との間でWiFi(Wi-Fi Allianceの登録商標)による無線通信が可能である。ルーターと、管理者が所有するスマートフォンとの間では、LTE通信によってクラウドを介した無線通信が可能である。無線LAN通信装置28に対する給電は、局部洗浄装置43と同じく、キャビネット10の外部コンセント29から行う。
【0018】
センサユニット50は、便鉢部32に繋がる排水路が詰まり、便鉢部32内の溜水Pの水位が異常な高さまで上昇したときに、その異常水位を検知する機能部材である。センサユニット50は、図5に示すように、検知部51と、保持部材57と、電線62とを組み付けて構成されている。検知部51は一対の電極56を備えている。センサユニット50は、保持部材57を機器取付部36の上面に固定することによって、便器本体31に取り付けられている。電線62は、制御装置22に接続される。
【0019】
検知部51は、便鉢部32の内周面の後端部に配置される。溜水Pの水位が異常な高さに上昇すると、溜水Pが一対の電極56に接触して一対の電極56間を導通させる。一対の電極56間が通電すると、センサユニット50は溜水Pの水位が異常であることを検知する。センサユニット50からの検知信号が制御装置22に入力されると、制御装置22は、無線LAN通信装置28とルーターを介すことによって、管理者のスマートフォンに異常を知らせる情報を送る。管理者は、現場への急行や、修理業者への連絡等の対処を速やかに行うことができる。
【0020】
センサユニット50が水位の異常を検知したときに、洗浄水タンク18から洗浄水が便鉢部32に供給されている場合には、制御装置22は、洗浄モータ19を制御して洗浄水タンク18のフラッパーを閉じさせるので、便鉢部32に対する洗浄水の供給が直ちに停止する。また、センサユニット50が水位の異常を検知したときに、局部洗浄装置43から洗浄水が吐出されていた場合には、制御装置22からの検知情報を受信した局部洗浄装置43の制御部(図示省略)が、局部洗浄装置43を制御して局部洗浄用の洗浄水の吐出を停止させる。
【0021】
<便座装置40の取付け構造>
便座装置40は、上記のようにベースプレート41と、装置本体42とを組み付けて構成されている。ベースプレート41は、全体として平板状をなす。ベースプレート41の前端縁部における左右方向中央部には、方形の切欠部41Aが形成されている。ベースプレート41のうち切欠部41Aが形成されている左右方向中央部は、離隔部41Bとして機能する。ベースプレート41のうち離隔部41Bの左右両側に連なる方形部位は、板状取付部41Cとして機能する。一対の板状取付部41Cには、前後方向に細長い貫通形態の長孔47が形成されている。図6,7に示すように、一対の板状取付部41Cの下面には、複数の突起状の脚部48が形成されている。
【0022】
ベースプレート41は、上方から長孔47に通したボルト46を機器取付部36の取付孔37に差し込み、ボルト46とナット(図示省略)を締め付けることによって、機器取付部36の上面に取り付けられている。ボルト46とナットは、便座装置40を便器本体31に取り付けるための取付け部材である。ベースプレート41を機器取付部36に取り付けた状態では、複数の脚部48が機器取付部36の上面に当接するので、図6,7に示すように、離隔部41Bと板状取付部41Cは、機器取付部36の上面に対して隙間Sを空けて対向するように位置する。便器本体31は、陶器製であることから成形後の寸法精度が高くなく、機器取付部36の上面に不陸が生じる。不陸に起因して機器取付部36とベースプレート41との間でガタ付きが生じることを回避するために、機器取付部36とベースプレート41との間に複数の脚部48を介在させている。
【0023】
<センサユニット50>
センサユニット50は、便座装置40に付帯するように取り付けられたものではなく、便座装置40に内蔵されたものでもない。センサユニット50は、便座装置40とは別体の部材であり、便座装置40とは独立して取り扱うことができるものである。便器本体31に対するセンサユニット50の取り付けは、便器本体31に対する便座装置40の取り付けとは別の作業として行われる。便器本体31に対するセンサユニット50の着脱の際に、便座装置40を分解する必要はない。
【0024】
図5に示すように、センサユニット50を構成する検知部51は、左右一対の電極56の他に、ケース52と、ケース52の一部を覆うカバー55とを備えている。検知部51を構成するケース52とカバー55は、絶縁性材料からなる。ケース52は、軸線を上下方向に向けた左右対称な一対の筒状収容部53と、両筒状収容部53の上端部同士を連結する連結部54とを有する単一部品である。一対の筒状収容部53内には、一対の電極56が個別に収容されている。連結部54の内部空間は、筒状収容部53内と連通し、ケース52の上面に開放されている。センサユニット50を上から視た平面視において、連結部54の後面は、便鉢部32の後端部の内周面に沿うように湾曲した形状をなす被ガイド面66として機能する。カバー55は、ケース52に取り付けられ、連結部54の前面と下面を覆うように配置されている。
【0025】
センサユニット50を構成する保持部材57は、板状固定部58と板状覆い部59とを有する単一部品である。板状固定部58は、前後方向に細長い形状をなす。板状固定部58の左右方向中央部には、板状固定部58の上下両面間に貫通し、前後方向に細長く延びた配線空間60が形成されている。前後方向における配線空間60の形成範囲は、板状固定部58の前端から、板状固定部58の後端よりも少し前方の位置に至る領域である。板状覆い部59は、保持部材57の前端部に配置され、板状固定部58よりも幅広で左右方向に細長く延びた形状をなす。保持部材57は、板状覆い部59を連結部54の上面の開口に被せ、ビス止めすることによってケース52に固定されている。板状固定部58の上面後端部には、センサ用ハーネス25に作用する引張力を受け止めるためのストレインリリーフ部61が配置されている。
【0026】
一対の電極56の上端部には、2本の電線62が個別に接続されている。2本の電線62は、連結部54の内部空間と板状固定部58の配線空間60内とを通り、配線空間60の後端からストレインリリーフ部61を通過して保持部材57の後方へ導出され、キャビネット10内に収容されて制御ユニット20に接続される経路で配索されている。2本の電線62は、センサ用ハーネス25を構成している。電線62の外径は、板状保持部の板厚寸法と同じか、それよりも小さい寸法である。配線空間60内に収容された2本の電線62は、保持部材57の上下両面に貼り付けた保持テープ63によって、保持部材57(配線空間60)から外れないように保持されている。
【0027】
<センサユニット50と便座装置40の取り付け手順>
センサユニット50は、表裏両面が粘着性を有する両面テープ64(シート状部材)によって便器本体31に固定されている。両面テープ64の下面は、予め、機器取付部36の上面に貼り付けられている。剥離紙を剥がした両面テープ64の上面に、板状固定部58が重なるように貼り付けられている。板状固定部58は、両面テープ64の全体を覆い隠す大きさを有するため、機器取付部36の上面には、保持部材57を位置決めするためのガイドとして、粘着テープ等からなる一対の指標部65が配置されている。一対の指標部65は、両面テープ64の左右両側縁に沿うように前後方向に沿って直線状に配置されている。板状固定部58の左右両側縁を一対の指標部65に位置合わせすることによって、センサユニット50を便器本体31に対して左右方向に位置決めすることができる。
【0028】
また、ケース52の後面には、便鉢部32の後端部内周面に沿って湾曲した被ガイド面66が形成されている。この被ガイド面66を便鉢部32の後端部内周面に当てることによって、センサユニット50を便器本体31に対して前後方向に位置決めすることができる。上記のように保持部材57を左右方向に位置決めし、検知部51を前後方向に位置決めした状態で板状固定部58を機器取付部36の上面に固定することによって、センサユニット50が便器本体31に対して適正な位置に取り付けられている。検知部51は、機器取付部36の前端縁よりも前方に位置し、便鉢部32内に臨むように配置される。
【0029】
センサユニット50を便器本体31に取り付けた後、機器取付部36にベースプレート41を取り付ける。ベースプレート41を取り付けた状態では、機器取付部36の上面とベースプレート41の離隔部41Bとの間に隙間Sが確保される。この隙間Sは、機器取付部36の上面の不陸への対策として形成されたものであるが、保持部材57と2本の電線62を収容するための取り付け空間として有効活用されている。ベースプレート41を機器取付部36に取り付けた後に、装置本体42をベースプレート41に組み付けると、局部洗浄装置43が、保持部材57のうち後端部(ストレインリリーフ部61)を除いた大部分と、検知部51の全体を上から覆うように配置される。保持部材57の後端部(ストレインリリーフ部61)は、便座装置40(局部洗浄装置43)の後端よりも後方に位置している。便座装置40を上から見た平面視において、局部洗浄装置43の一部と、センサユニット50のうち保持部材57の後端部を除いた大部分とが、重なり合うように配置されている。便座装置40の後端はキャビネット10の前壁部11の近傍に位置するので、2本の電線62(センサ用ハーネス25)のうちストレインリリーフ部61から後方へ導出した部分は、キャビネット10内に配索される。
【0030】
センサユニット50を便器本体31から取り外す際には、まず、装置本体42をベースプレート41から取り外し、その次に、ベースプレート41を機器取付部36から取り外す。このようにして便座装置40を機器取付部36から外した後に、保持部材57を機器取付部36から取り外す。このとき、両面テープ64を機器取付部36に残して保持部材57を両面テープ64から剥がすようにしてもよく、両面テープ64を保持部材57に貼り付けた状態で機器取付部36から剥がすようにしてもよい。
【0031】
<実施形態1の作用効果>
本実施形態1の便器装置Tは、便鉢部32を有する便器本体31と、便器本体31に取り付けられた便座装置40と、便鉢部32内の水位の異常を検知するセンサユニット50とを備えている。センサユニット50は、便座装置40とは別体をなし、便器本体31に対して単独で着脱可能である。センサユニット50を便座装置40とは独立して着脱できるようにしたので、センサユニット50のメンテナンスが容易である。
【0032】
センサユニット50のうち保持部材57の大部分と検知部51の全体は、便座装置40の下方に配置されている。上から便座装置40を見たときに、センサユニット50の存在が目立ち難いので、センサユニット50の存在に起因する美観の低下を回避できる。便座装置40とセンサユニット50は、便器本体31に取り付けられている。便座装置40は、便器本体31との間でセンサユニット50(保持部材57の大部分と検知部51の全体)を挟むように配置される。センサユニット50は、便器本体31と便座装置40との間に挟まれているために目立ち難い。よって、センサユニット50の存在に起因する美観の低下を回避できる。
【0033】
便座装置40は、便器本体31に取り付けたときに、便器本体31の機器取付部36の上面に対して隙間Sを空けて対向する離隔部41Bを有する。この隙間Sに、センサユニット50の一部(保持部材57の大部分)が収容されている。便器本体31と離隔部41Bとの間の隙間Sを、センサユニット50の一部を配置するためのスペースとして有効活用したので、デッドスペースを生じさせずに済む。
【0034】
便座装置40は、取付け部材であるボルト46とナット(図示省略)によって便器本体31に取り付けられている。センサユニット50は、ボルト46及びナットとは別の固定部材である両面テープ64によって便器本体31に固定されている。この構成によれば、便座装置40とセンサユニット50を、便器本体31に対して個別に着脱することができる。
【0035】
センサユニット50の保持部材57は、シート状部材である両面テープ64を介して便器本体31に対して貼り付けるように固定されている。便器本体31には、便器本体31における保持部材57の固定位置を示す指標部65が設けられている。シート状の両面テープ64は、凹凸部を有しないので、センサユニット50を位置決めすとることができない。両面テープ64が保持部材57に覆われて隠れても、指標部65によって、センサユニット50を固定部材に対して適正な位置に配置することができる。
【0036】
センサユニット50は、便器本体31に対して着脱可能であり、便鉢部32の開口縁部(便鉢部32の内周面における後端部)に接触することによって位置決めされている。センサユニット50を、便鉢部32の開口縁部に接触させることによって、便器本体31に対して適正な位置に取り付けることができる。センサユニット50のケース52は、便鉢部32の開口縁部に沿った湾曲形状の被ガイド面66を有している。湾曲形状の被ガイド面66を便鉢部32の開口縁部に接触させることによって、センサユニット50を便器本体31に対して安定して位置決めすることができる。
【0037】
便座装置40とセンサユニット50は、便器本体31の後端部に配置されている。センサユニット50の一部(保持部材57の後端部)が便座装置40の後端よりも後方に延びている。センサユニット50のうち便座装置40の後方へ延びた部位(保持部材57の後端部)は、前方から視たときに便座装置40に隠れて目立ち難いので、センサユニット50の存在に起因する美観の低下を回避できる。
【0038】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
便座装置は、暖房便座付き局部洗浄装置(シャワートイレ)に限らず、普通便座、暖房便座、便座を有しない局部洗浄装置(シャワートイレ)、消臭装置、暖房装置、便器洗浄装置(洗浄モーター、洗浄タンク、開閉弁等を備える)等であってもよい。
センサユニットは、便座装置に取り付けてもよい。この場合、便座装置を便器本体に固定したままで、センサユニットのみを取り外せるようにする。
センサユニットは、便座装置の下方の位置ではなく、便座装置に対して水平方向へずれた位置に配置してもよい。
センサユニットは、便鉢部のリムの後端部に限らず、リムの側縁部やリムの前端部等に取り付けてもよい。
センサユニットは便器本体と便座装置との間に挟まれない形態で取り付けられていてもよい。
センサユニットは、便座装置を便器本体に取り付けた際に生じる隙間に収容されない形態で取り付けてもよい。
センサユニットを便器本体に固定するための固定部材は、両面テープに限らず、面ファスナ、接着剤、ボルト締め等であってもよい。
指標部は、保持部材の側縁に沿った直線状の形状に限らず、矢印等、他の形状であってもよい。
センサユニットは、便鉢部の開口縁部に接触しない状態で便器本体に取り付けてもよい。
センサユニットは、便鉢部の開口縁部に沿った湾曲形状の被ガイド面を有していなくてもよい。
センサユニットは、溜水に電極を接触させるタイプのものに限らず、光電センサや焦電センサ等の非接触タイプのものを用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
T…便器装置、S…隙間、31…便器本体、32…便鉢部、40…弁座装置、41B…離隔部、46…ボルト(取付け部材)、50…センサユニット、64…両面テープ(固定部材、シート状部材)、65…指標部、66…被ガイド面
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