IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-センサーユニット 図1
  • 特開-センサーユニット 図2
  • 特開-センサーユニット 図3
  • 特開-センサーユニット 図4
  • 特開-センサーユニット 図5
  • 特開-センサーユニット 図6
  • 特開-センサーユニット 図7
  • 特開-センサーユニット 図8
  • 特開-センサーユニット 図9
  • 特開-センサーユニット 図10
  • 特開-センサーユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068851
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】センサーユニット
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179468
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】木原 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】大川 博史
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039CD00
2D039DB04
(57)【要約】
【課題】清掃性の向上を図る。
【解決手段】センサーユニット60は、便器本体41の便鉢部45に貯留した溜水Wの水位を検知する検知部65と、検知部65に対して着脱可能に取り付けられ、検知部65の外面の少なくとも一部を覆うカバー100と、を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の便鉢部に貯留した溜水の水位を検知する検知部と、
前記検知部に対して着脱可能に取り付けられ、前記検知部の外面の少なくとも一部を覆うカバーと、を備えたセンサーユニット。
【請求項2】
前記検知部は、前記カバーから突出する突出部を有する請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項3】
前記カバーは、前記検知部を下方から覆う下壁を備える請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項4】
前記下壁は、傾斜面を有している請求項3に記載のセンサーユニット。
【請求項5】
前記検知部には、雌ネジ部が設けられ、
前記カバーを貫通したボルトを前記雌ネジ部にねじ込むことによって、前記カバーが前記検知部に固定されている請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項6】
前記検知部は、
一対の電極と、
前記一対の電極を離隔した状態で収容するケースと、を有し、
前記ケースの外面のうち前記一対の電極の短絡経路となり得る短絡可能領域の少なくとも一部が、前記カバーで覆われた請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項7】
前記ケースは、
下端が開口した筒状をなし、前記一対の電極を個別に収容する一対の筒状部と、
前記一対の筒状部の上端部を連結する連結部と、を有し、
前記筒状部の外周面と前記連結部の外面とによって前記短絡可能領域が構成される請求項6に記載のセンサーユニット。
【請求項8】
前記カバーが、前記連結部の外面を下から覆っている請求項7に記載のセンサーユニット。
【請求項9】
前記筒状部は、前記電極の下端よりも上方に開口するエア抜き口を備える請求項7及び請求項8のいずれか1項に記載のセンサーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のトイレ用センサーユニットは、便器に備えられた電極式の水位センサーを囲む三方カバーを備えている。上記カバーは、溜水や汚物等によって、水位センサーが直接汚れるのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-133376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記センサーユニットは、三方カバーだけを取り外せる構成になっていなかったため、三方カバーの内側や三方カバーに覆われた部分の清掃を容易に行えなかった。
【0005】
本開示は、上記の事情に基づいて完成されたものであって、清掃性の向上を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
便器本体の便鉢部に貯留した溜水の水位を検知する検知部と、
前記検知部に対して着脱可能に取り付けられ、前記検知部の外面の少なくとも一部を覆うカバーと、を備えたセンサーユニット。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の便器装置の全体を表す斜視図である。
図2】便器装置の側断面図である。
図3】大便器の分解斜視図である。
図4】センサーユニットの分解斜視図である。
図5】センサーユニットを背面側から見た斜視図である。
図6】大便器の側断面図である。
図7】機器取付け部にセンサーユニットを取り付けた状態をあらわす部分拡大平面図である。
図8】センサーユニットの取り付け位置を表す部分拡大正断面図である。
図9】短絡経路を表す部分拡大正断面図である。
図10】機器取付け部にセンサーユニットを取り付けた状態をあらわす側断面図である。
図11】カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の実施形態1>
本開示のセンサーユニットを、図1-11を参照して説明する。本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0009】
各図において、「前側」を「F」、「上側」を「U」、「右側」を「R」及びで表している。
【0010】
本実施形態1の便器装置43は、公共施設等の個室に設置されるパブリックトイレとして用いられるものである。図1、2に示すように、便器装置43は、キャビネット10と、大便器20とを備えている。キャビネットは、前壁部11、左右両側壁部13及び上壁部15を有し、個室の後壁面18を覆うように配置されている。キャビネットの前壁部11の上端側領域19には、キャビネットの内部空間を前方へ開放させる開口部21が形成されている。キャビネットには、開口部21を閉塞するための閉塞部材23が着脱可能に設けられている。
【0011】
キャビネットの内部には、洗浄装置25と制御ユニット27とが収納されている。洗浄装置25は、洗浄水タンク28と洗浄モータ29とを備えている。洗浄水タンク28内には、便器本体41に供給するための洗浄水が貯留されている。洗浄水タンク28の底面には便器本体41に連通する給水口36と、給水口36を開閉するフラッパー(図示省略)とが設けられている。洗浄モータ29は、フラッパーを開閉させるものであり、フラッパーを開く給水モードと、フラッパーを閉じる給水停止モードとの切り換えを行う。
【0012】
制御ユニット27は、筐体の内部に制御装置(図示省略)とAC-DCアダプタを収容したものである。制御装置は、CPUなどの公知の演算装置及び他の周辺回路などを備え、後述するセンサーユニットからの検知信号に基づいて、洗浄モータ29の制御と、後述する局部洗浄装置(図示省略)への検知情報の送信と、後述する無線LAN通信装置30との通信を行う。AC-DCアダプタは、後壁面18に設けた内部コンセント33を介すことによって商用交流電源からの電力供給を受け、交流電流を直流電流に変換する。AC-DCアダプタは、洗浄モータ29とセンサーユニット60に電力を供給する。
【0013】
制御ユニット27と洗浄モータ29との間には、電力供給と制御信号の伝送を行うための洗浄用ハーネス115が配索されている。制御ユニット27とセンサーユニット60との間には、電力供給と検知信号の伝送を行うためのセンサー用ハーネス116が配索されている。制御ユニット27と局部洗浄装置の間には、制御信号を伝送するための制御用ハーネスが配索されている。制御ユニット27と無線LAN通信装置30との間には、検知情報の信号を伝送するための情報伝送用ハーネス(不図示)が配索されている。
【0014】
大便器20は、便器本体41と、便座装置130と、無線LAN通信装置30と、センサーユニット60とを備えている。便器本体41は、キャビネットの前壁部11のうち開口部21よりも下方の位置に固定され、床面120から浮いた状態でキャビネット10の前方へ突き出すように配置されている。便器本体41は、便鉢部45と、便鉢部45の後方に連なる機器取付け部50とを有する。便鉢部45の後端部は洗浄水タンク28に接続されており、洗浄水タンク28内の洗浄水が便鉢部45に供給される。
【0015】
図3に示すように便器本体41には、便座装置130が取り付けられている。便座装置130は、ベースプレート58と、ベースプレート58に載置した状態で取り付けた装置本体131とを有する。装置本体131は、局部洗浄装置と、開閉可能な暖房機能付きの便座132と、便蓋133とを一体化したものである。局部洗浄装置は、機器取付け部50の上面を覆うように配置される。便座132と便蓋133は、局部洗浄装置に対して上下方向の揺動可能に支持され、便鉢部45の上方に位置する倒伏姿勢133Cと、便鉢部45を開放する起立姿勢133Dとの間で揺動可能となっている。
【0016】
便器本体41に対する便座装置130の取り付けは、まず、装置本体131から外した状態のベースプレート58を、締結ボルト66によって機器取付け部50の上面に固定する。次に、ベースプレート58に対して装置本体131を水平にスライドさせながら組み付ける。局部洗浄装置、及び便座132に対する給電は、キャビネットの前壁部11に設けた外部コンセント17から行う。
【0017】
無線LAN通信装置30は、本実施形態1の便器装置43が設置される公共施設内に構築した無線LANに使用される装置であり、便器本体41に取り付けられている。各便器装置43に取り付けた無線LAN通信装置30は、公共施設に設けたルーター(図示省略)との間でWiFi(Wi-Fi Allianceの登録商標)による無線通信が可能である。ルーターと、管理者が所有するスマートフォンとの間では、LTE通信によってクラウドを介した無線通信が可能である。無線LAN通信装置30に対する給電は、局部洗浄装置と同じく、キャビネット10の前壁部11に設けた外部コンセント17から行う。
【0018】
センサーユニット60は、便鉢部45に繋がる排水路が詰まり、便鉢部45内の溜水Wの水位が異常な高さまで上昇しときに、その異常水位を検知する機能部材である。センサーユニット60は、図4に示すように、検知部65と、保持部材70と、電線80とを組み付けて構成されている。検知部65は、ケース90と、ケース90の一部を覆うカバー100と、ケース90内に収容した左右一対の電極110とを備えている。
【0019】
センサーユニット60は、保持部材70を機器取付け部50の上面に固定することによって、便器本体41に取り付けられている。電線80は、制御装置に接続される。検知部65は、便鉢部45の鉢面46に沿って湾曲した被ガイド面94を有する。溜水Wの水位が異常な高さに上昇すると、溜水Wが一対の電極110に接触して一対の電極110間を導通させる。一対の電極110間が通電すると、センサーユニット60は溜水Wの水位が異常であることを検知する。センサーユニット60からの検知信号が制御装置に入力されると、制御装置は、無線LAN通信装置30とルーターを介すことによって、管理者のスマートフォンに異常を知らせる情報を送る。管理者は、現場への急行や、修理業者への連絡等の対処を速やかに行うことができる。
【0020】
センサーユニット60が水位の異常を検知したときに、洗浄水タンク28から洗浄水(不図示)が便鉢部45に供給されている場合には、制御装置は、洗浄モータ29を制御して洗浄水タンク28のフラッパーを閉じさせるので、便鉢部45に対する洗浄水の供給が直ちに停止する。また、センサーユニット60が水位の異常を検知したときに、局部洗浄装置から洗浄水が吐出されていた場合には、制御装置からの検知情報を受信した局部洗浄装置の制御部(図示省略)が、局部洗浄装置を制御して局部洗浄用の洗浄水の吐出を停止させる。
【0021】
図3、6に示すように、便器本体41は、便鉢部45と、機器取付け部50とを有している。便鉢部45は上端部が楕円状に開口した椀形状で、内部空間に溜水Wを貯留している。便鉢部45は、リム42と、鉢面46と、トラップ34と、外周壁部35と、給水口36を有している。
【0022】
便鉢部45には、その上端縁部に沿うようにリム42が形成されている。リム42は、上端面42Sと、弧状凸面44と、上部内壁面47とで構成される。リム42の上端面42Sは、全周に亘って略水平であり、且つ全周に亘って一定高さで連続している。便鉢部45の内周面は、汚物(図示省略)を受け止めるための鉢面46を有している。鉢面46の上端部領域は、全周に亘って連続する上部内壁面47となっている。上部内壁面47は、リム42の上端面42Sに対し、弧状凸面44を介して、円弧状に凹むように滑らかに連なっている。
【0023】
図6に示すように、便鉢部45の内部後端上部側には、洗浄水タンク28の洗浄水を供給するための給水口36が形成されている。。給水口36は、丸型の開口孔で構成されている。給水口36と洗浄水タンク28は、給水ホースによって接続されている。リム42の上部内壁面47には、給水口36内に供給された洗浄水を、便鉢部45内に吐出するための吐水口51が形成されている。給水口36は、吐水口51に連なっている。
【0024】
便器装置43において、使用者の操作により、洗浄水が、洗浄水タンク28から、給水ホースを介して、給水口36に供給される。給水口36に供給された洗浄水は、吐水口51から鉢面46に供給される。
【0025】
便鉢部45の下端には、一体に形成されたトラップ34が連なっている。便鉢部45に貯留される溜水Wは、汚物等と共に、便鉢部45のトラップ34に接続されている排水経路38、排水口39、及び図示しない排水管を通って便器本体41の外部に排出される。通常時に、溜水Wは、所定の水位で便鉢部45に貯留されている。
【0026】
外周壁部35は、便鉢部45を前後左右の全周に渡って包囲する。外周壁部35は、上端部において、リムの上端面42Sの外縁部から下方に延びている。外周壁部35の後端部は、キャビネットの前壁部11に固定されている。図3に示すように、外周壁部35は、外面を全周に渡って一連の曲面で形成した凹凸のない流麗な意匠をなしている。
【0027】
図3で示すように、機器取付け部50は、便鉢部45の後方上面に設けられ、センサーユニット60の載置が可能な領域である。機器取付け部50には、センサーユニット60が取り付けられる。機器取付け部50の前端縁部には、便鉢部45の後端部を構成する弧状部55が形成されている。弧状部55の平面視形状は三日月形状である。弧状部55の上面は、便鉢部45内に向かって下るように傾斜している。リムの上端面42Sと機器取付け部50の上面は、水平な平坦面からなり、同じ高さで面一状に連続している。
【0028】
機器取付け部50の上面には、センサーユニット60の取り付け位置を示す表示線57が配置されている。表示線57は、機器取付け部50の左右中央部を前後方向に真っすぐに延びる平行な2本の直線である。表面に上記表示線57の印刷された透明なシール135が、機器取付け部50の所定位置に貼付けされている。機器取付け部50は、ベースプレート58を固定するための取付孔59を有している。
【0029】
図3、4で示すように、センサーユニット60は、検知部65と、検知部65を覆うカバー100と、検知部65で取得した電気信号を制御ユニット27へ伝達する2本の電線80(センサ用ハーネス)と、電線80を収容し、機器取付け部50の上面に固定される保持部材70とを備えて構成されている。検知ユニット68は、検知部65と、カバー100とで構成される。
【0030】
検知部65は、便鉢部45に貯留される溜水Wの水位を検知する電極式のセンサーである。図4で示すように、検知部65は、左右両端部分に、一対の電極110を有している。電極110は丸形棒状の金属を加工して形成されている。電極110は、上下方向に延びる接触部111と、接触部111の上端部から垂直方向に延びる水平な接続部113とを有している。電極110は、検知部65に取り付けられた状態において、正面視で、L字を上下反転させた形状、又は鏡面反転のL字を上下反転させた形状をなしている。接続部113の延出端部には、平面視において環状に湾曲した環状端部110Bが形成されている。一対の接続部113は、それぞれ別個に2本の電線80と接続される。一対の電極110の下端部110Aへの溜水Wの付着によって一対の電極110間が通電すると、電気信号が、接触部111、接続部113、及び電線80を通じて制御ユニット27へと伝達される。
【0031】
検知部65は、一対の電極110を、離隔した状態で収容するケース90を有している。ケース90は、一対の電極110を個別に収容する左右一対の筒状部91と、一対の筒状部91の上端部同士を連結する連結部93とを有している。連結部93は、電極110を所定位置に保持するための電極保持部95を有している。
【0032】
筒状部91は、連結部93の両端から下に延び、円筒形状をなす。図5で示すように、筒状部91の下端の開口は、略四角形状の切り欠き92を有している。各筒状部91は、筒状部91の外周面における左右両側面部に開口する一対のエア抜き口91Aと、筒状部91の外周面における後面部に開口する1つのエア抜き口91Bを有している。これらのエア抜き口91A、91Bは、電極110の最下端よりも上側に配置されている。一対のエア抜き口91Aは、後述するカバー100の下壁101よりも上側に形成されている。エア抜き口91Bは、下壁101よりも下側に形成されている。エア抜き口91A、91Bの直径は、約1mmである。
【0033】
図4で示すように、連結部93は、電極110の接続部113を覆う部位である。連結部93は、上面が開放され、平面視形状が横長楕円をなすの箱状の部位である。連結部93の上側の両端部、及び中央部は、保持部材70と連結する為の固定貫通孔98を有している。固定貫通孔98は内側にネジ溝が形成されており、連結部93と保持部材70は、固定貫通孔98でのネジ締めつけにより、固定される。
【0034】
連結部93に備える電極保持部95は、電極110の接続部113を収容し、固定する部位である。電極保持部95は、連結部93の左右端部に配置され、略長方形の板状で導電貫通孔96を有している。電極保持部95に、電極110が取り付けられた状態において、電極110の環状端部110Bは、平面視において、導電貫通孔96の外周に沿うように配置される。ケース90に電極110が取り付けられた状態において、筒状部91の内側面と、電極110の接触部111の外側面は離間している。
【0035】
図5で示すように、ケース90の連結部93は、後面の左右中央部に、六角形状の埋込みナット口126を備えている。埋込みナット口126は、埋込みナット121を備えている。埋込みナット121の内周面には、雌ネジ部123が形成されている。
【0036】
ケースへ90に付着した尿飛沫等の導電性物質を介して一対の電極110同士が通電する経路を、短絡経路Lと定義する。。ケース90の筒状部91の側面、及び連結部の下面114に尿飛沫が付着すると、付着した尿飛沫によって、図9に示す短絡経路Lが形成される。ケース90の外面のうち尿飛沫等の付着によって短絡経路Lとなりうる領域を、短絡可能領域と定義する。筒状部91の外周面の全領域、及び連結部93の外面の全領域は短絡可能領域である。
【0037】
検知部65の外面に取り付けられるカバー100は、図11に示すように、下壁101と、前壁103と、一対の側壁104とを有する。下壁101は、略平板状をなし、ケース90のうち連結部93の下面114の全体を下方から覆う。前壁103は、下壁101の前端縁から上方へ立ち上がり、連結部93の前面の全体を覆う。側壁104は、前壁103の左右両側縁から後方へ延出し、筒状部91の側面の一部(上端部のみ)を覆う。図10で示すように、下壁101と前壁103は断面視で略L字形状をなすように繋がっている。カバー100の内部空間は、上方、及び後方に開放されている。前壁103、及び側壁104の上下方向の長さは、筒状部91の上下方向の長さよりも短い。前壁103は、下壁101の前側端部側縁から上方向に延びている。
【0038】
図11に示すように下壁101の左右両端部には、ケース90の一部(筒状部91)を下方へ突出させるためのケース孔105が開口している。前壁103の左右中央部は、固定ボルト122を貫通させる固定ボルト孔107が開口している。側壁104は、筒状部91の円弧形をなす側面を覆うように円弧状に湾曲している。下壁101は、前壁103の下端部側縁から、垂直方向に対してやや下方向に傾斜して延びている。図5に示すように、カバー100をケース90に取り付けた状態において、検知部65は、カバー100から突出する突出部67を有している。突出部67は、電極110の接触部111のうちケース孔105よりも下方の部分と、筒状部91のうちケース孔105よりも下方の部分で構成される。
【0039】
図5に示すように、固定ボルト122を、連結部93の埋込みナット口126に挿入し、雌ネジ部123にねじ込むことによって、カバー100は、ケース90を覆うように、強固に固定される。また、固定ボルト122を緩めることによって、カバー100の取り外しも可能となるため、メンテナンス性が向上する。カバー100とケース90が固定ボルト122によって固定された状態において、ケース90の筒状部91の下端は、ケース90のケース孔105から突出している。
【0040】
図4に示すように、電線80は、金属製の導線と、導線を覆う樹脂製の被覆部で形成されている。電線80は、電極110の環状端部110Bと接続する電極側端部81と、制御装置と接続するコネクタ側端部(不図示)で構成される。電線80が、ケース90と保持部材70に取り付けられた状態において、ケース90の両端側から延びる2本の配線は、保持部材70の開口溝71に収容され、保持部材の結束部82で、1本に束ねられる。
【0041】
図10で示すように、保持部材70の上面後端部にはストレインリリーフ部83が固定されている。ストレインリリーフ部83は、下面が開放された箱部を有する。ストレインリリーフ部83の外面には、切り欠きにより配線入口84と、配線出口79が形成されている。ストレインリリーフ部83の内部には、1本に束ねられた電線80を前後から挟持するための衝立85が形成されている。ストレインリリーフ部83の外部において電線80に引張り力が作用したときには、電線80が配線入口84、衝立85、配線出口79に引っかかるので、電線80と電極110との接続部分に引張り力が作用することはない。
【0042】
図4に示すように、金属製の接続端子88は、略四角形状で、中央に円柱状の貫通孔を有する基部86と、基部86の下側縁部から延びる中空環状の環状接触部87を有している。電線80の電極側端部81は、基部86の形成される開口に没入している。
【0043】
保持部材70は、板状固定部72と、センサー固定部73とを備えて構成されている。板状固定部72は、厚み約1.5mmの縦長の板形状なしている。板状固定部72は、センサーユニット60の組み付けられた状態において、装置本体131の後端よりも後ろ側まで延びている。板状固定部72の左右中央は、2本の電線80を収容する前後方向に延びる開口溝71を有している。板状固定部72の開口溝71の端部側縁は、断面視において、円弧状に、内側へ凹んでいる。板状固定部72に形成される開口溝71に挟持されることにより、電線80は、保持部材70に確実に固定される。
【0044】
センサー固定部73は、検知部65に固定される部位である。センサー固定部73は、前端部分に、検知部65とネジにより固定するための固定穴74を有している。固定穴74を介して、センサー固定部73と検知部65が固定されている。板状固定部72とセンサー固定部73の間に、機器取付け部50の形状にあわせるよう段部75が形成されている。センサーユニット60を、便器本体41に取り付けた状態において、板状固定部72は、機器取付け部50の弧状部55の上側に配置される。開口溝71は、センサー固定部73の後端から、板状固定部72にかけて延びている。
【0045】
以下にセンサーユニット60の組み付けの一例を示す。図4に示すように、センサーユニット60は、ケース90に、一対の電極110、電線80、カバー100、保持部材70をこの順に固定して、構成される。
【0046】
まず、ケース90に、電極110と、電線80を固定する。図4に示すように、ケース90の導電貫通孔96と、電極110の環状端部110B、電線80に接続された接続端子88の環状接触部87をこの順に重ねる。これらの重ね合わせによって形成された環状の開口に、導電ネジ89を上方から、ねじ止めして固定する。これにより、電線80と、電極110は、接続端子88、及び導電ネジ89を介して電気的に接続する。電極110がケース90に取り付けられた状態において、一対の電極110の接触部111は、互いに平行であり、一対の電極110の接続部113は、直線上に配置される。センサーユニット60が機器取付部に取り付けられた状態において、各電極110の接触部111の下端部と、平常時における溜水Wの液面との距離は、一対の電極110において同一である。溜水Wの水位が一対の電極110の下端部よりも高くなると、センサーユニット60は、通電する。
【0047】
つぎに、電極110と電線80を固定したケース90に、カバー100を取り付ける。固定ボルト122を、ケース90の連結部93に備える六角形状の埋込みナット121の雌ネジ部123にねじ込むことによって、ケース90にカバー100を固定する。図11に示すように、取り付けられた状態において、カバー100は、連結部93の下面114と、筒状部91の上端部側周部を覆っている。検知部65は、カバー100のケース孔105から突出する突出部67を有している。下壁101は、連結部93の下面114と離間している。下壁101は、下方向に傾斜している。下壁101の上端は、筒状部91のエア抜き口Aよりも下方の位置であり、且つエア抜き口Bよりも上方の位置に配置される。
【0048】
つぎに、電極110、電線80、カバー100を固定したケース90を、保持部材70に取り付ける。連結部93に形成された固定貫通孔98と、保持部材70に形成された固定穴74を、取付けネジ(図示省略)によって固定する。ケース90は、保持部材70に対して略垂直下方向に位置するよう固定される。以上によって、センサーユニット60の組付けが完了する。
【0049】
センサーユニット60と、便座装置130の取り付け手順の一例を示す。センサーユニット60は、両面テープ77によって便器本体41に固定されている。図5に示すように、板状固定部72下面の左右両端には、両面テープ77が貼り付けられている。板状固定部72の左右両側縁を一対の表示線57に位置合わせすることによって、両面テープ77の内側線78と、表示線57とが一致し、センサーユニット60を便器本体41に対して左右方向に位置決めすることができる。
【0050】
また、ケース90の後面には、便鉢部45の後端部内周面48に沿って湾曲した被ガイド面94が形成されている。この被ガイド面94を便鉢部45の後端部内周面48に当てることによって、センサーユニット60を便器本体41に対して前後方向に位置決めすることができる。上記のように位置決めすることによって、センサーユニット60が便器本体41に対して適正な位置に取り付けられている。図6~8で示すように、センサーユニット60が便器本体41に取り付けられた状態において、ケース90は、機器取付け部50の弧状部55の前縁部から下方向に延びるリムの弧状凸面37の前側に位置し、便鉢部45内に臨むように配置される。
【0051】
センサーユニット60を便器本体41に取り付けた後、機器取付け部50に便座装置130を取り付ける。便座装置130は、上記のようにベースプレート58と、装置本体131とを組み付けて構成されている。図8で示すように、ベースプレート58は、全体として平板状をなす。ベースプレート58の左右方向中央部は離隔部61として機能する。ベースプレート58のうち離隔部61の左右両側に連なる方形部位は、板状取付部62として機能する。一対の板状取付部62には、前後方向に細長い貫通形態の長孔63が形成されている。一対の板状取付部62の下面には、複数の突起状の脚部64が形成されている。
【0052】
ベースプレート58は、上方から長孔63に通した締結ボルト66を機器取付け部50の取付孔59に差し込み、締結ボルト66と締結ナット(図示省略)を締め付けることによって、機器取付け部50の上面に取り付けられている。ベースプレート58を機器取付け部50に取り付けた状態では、複数の脚部64が機器取付け部50の上面に当接するので、離隔部61と板状取付部62は、機器取付け部50の上面に対して隙間Sを空けて対向するように位置する。便器本体41は、陶器製であることから成形後の寸法精度が高くなく、機器取付け部50の上面に不陸が生じる。不陸に起因して機器取付け部50とベースプレート58との間でガタ付きが生じることを回避するために、機器取付け部50とベースプレート58との間に複数の脚部64を介在させている。
【0053】
機器取付け部50の上面とベースプレート58の離隔部61との間の隙間Sは、保持部材70と2本の電線を収容するための取り付け空間として有効活用されている。ベースプレート58を機器取付け部50に取り付けた後に、装置本体53をベースプレート58に組み付けると、局部洗浄装置が、保持部材70の大部分と検知部65の全体を上から覆うように配置される。2本の電線80(センサ用ハーネス)のうちストレインリリーフ部83から後方へ導出した部分は、キャビネット10内に配索される。
【0054】
カバー100は、ケース90に固定された状態において、ねじ込まれた固定ボルト122を工具で緩めることによって、ケース90から取り外せる。カバー100は、経年劣化に起因する破損や汚損による、カバー100の取り換えや、ケース90の清掃を容易にする。これにより、本開示のセンサーユニット60は、メンテナンス性に優れている。ケース90は、連結部93に雌ネジ部123を有する埋込みナット121を備えているため、連結部93にネジ切りする必要がない。本実施形態のセンサーユニット60は、ケース90におけるカバー100の取り付け位置を自在に設計できる。
【0055】
便鉢部45内に立ち小便をすると、便鉢部45内で飛沫が生じ、その尿飛沫がカバーの下壁101、前壁103、及び側壁104に付着する。下壁101は、連結部93の下面114を下から覆っている。連結部93の下面114は、下壁101の上側と離間している。前壁103は、連結部の前面全体と筒状部91の外周面上端部における前面を外側から覆っている。側壁104は、筒状部91の外周面上端部を側方から覆っている。前壁103は連結部93の前面に対して重なるように近接している。筒状部91の外周面は、前壁103と側壁104の内側から離間している。カバー100がない場合、尿飛沫は、連結部93の下面、及び筒状部91の外周面や内周面に付着する。したがって、図9に示すように、付着した飛沫により、一対の電極の接触部111の下端部同士の間には、筒状部91の外周面、エア抜き口91Aの内周面、筒状部91の内側面、連結部の下面114等を経由する短絡経路Lが形成されることが懸念される。短絡経路Lが形成されると、検知部65は、電極110の下側端部に溜水Wが接触しない状態でも通電し、センサーユニット60が誤検知を生じる。本実施形態のカバー100は、短絡可能領域である筒状部91の外周面、及び連結部93の下面を外側から覆っており、短絡可能領域に尿飛沫が付着し、短絡可能領域の形成されるのを防いでいる。カバー100は、短絡可能領域の一部を遮断するように配置されている。したがって、本実施形態のセンサーユニット60は、センサーの誤検知を未然に防止できる。
【0056】
ケース90の連結部93は、一対の筒状部91の上端部を連結しているため、機器取付け部50に取り付けられた状態において、溜水Wの水面から離間した位置に配置される。これにより、筒状部91の外周面と連結部93の外面によって構成される短絡可能領域への、尿飛沫跳ね返りによる尿の付着を防止できる。
【0057】
カバー100は、前壁103と、前壁103の下側縁部から、前壁103と直角な方向よりもやや下側に傾斜して延びる下壁101とを有している。ケース90に取り付けられた状態において、カバー100は、ケース90の下側を覆っている。便鉢部45において生じる尿飛沫は、溜水Wの液面から上方へ跳ねあがることから、ケース90の下側を覆うカバー100の下壁101に、多くの尿飛沫が付着する。すなわち、センサーユニット60は、カバー100の下壁101によって、尿飛沫の付着を有効に遮断することができる。下壁101は、傾斜面136を有するため、下壁101に付着した尿飛沫を便鉢部45に誘導できる。下壁101の傾斜面136は、尿飛沫などの汚物の滞留を防止する。
【0058】
カバー100の下壁101の左右両端部には、ケース90を突出させるためのケース孔105が開口している。カバー100を取り付けた状態において、接触部111の下端部、及び筒状部91の下端部は、ケース孔105から突出している。これにより、突出した筒状部91の下端部は、カバー100を外すことなく清掃できる。
【0059】
ケース90の筒状部91は、電極110の下端よりも上方に開口するエア抜き口91A、91Bを有している。溜水Wの水位が、筒状部91の下端部よりも上昇すると、筒状部にあった空気が逃げ場を失って、筒状部91の内部空間102の内圧が上昇する。内部空間102に、溜水Wに含まれる気泡が混入すると、内部空間102に空気が滞留しやすくなり、内圧がさらに上昇する。内部空間102における内圧の上昇により、筒状部91内において、溜水Wの水位検知が適正にできなくなる。このような事態を未然に防止するため、筒状部91にエア抜き口91A、91Bが設けられている。内部空間102に滞留する空気を、エア抜き口91A、91Bから、ケースの外側に逃がすことで、内部空間102の内圧は適正に保たれる。カバー100を、ケース90に取付けた状態において、カバー100の下壁101から、ケース90の筒状部91、及び電極110が突出するため、滞留する空気をカバー100の外側に逃がしやすい。
【0060】
(1)本実施形態の検知部65は、カバー100から突出する突出部67を有している。センサーユニット60は、検知部65として略四角柱形状の焦電センサーを用い、焦電センサーの全体を四方から覆うカバーを用いたものでもよい。
(2)本実施形態のカバー100は、検知部65を下方から覆う下壁101を備えている。センサーユニット60は、カバーとして、筒状部91の側面のみを覆うものを用いたものでもよい。
(3)本実施形態の下壁101は、傾斜面136を有している。センサーユニット60は、カバー100の下壁101を、前壁103の下側縁部から垂直方向に延ばしたものでもよい。
(4)本実施形態の検知部65には、雌ネジ部123が設けられ、カバー100を貫通した固定ボルト122を雌ネジ部123にねじ込むことによって、カバー100が検知部65に固定されている。センサーユニット60は、検知部65に凹部、カバー100に凸部を設け、嵌合により、両者を固定したものでもよい。
(5)検知部65は、一対の電極110と、一対の電極110を離隔した状態で収容するケース90を有し、ケース90の外面のうち一対の電極110の短絡経路Lとなり得る短絡可能領域の少なくとも一部が、カバー100で覆われている。センサーユニット60は、筒状部と、連結部以外の部材によって、短絡可能領域が形成されたものでもよい。
(6)本実施形態のケース90は、下端が開口した筒状をなし、一対の電極を個別に収容する一対の筒状部91と、一対の筒状部91の上端部を連結する連結部93とを有し、筒状部91の外周面と連結部93の外面とによって短絡可能領域が構成される。センサーユニット60は、筒状部と、連結部以外の部位によって、短絡可能領域を形成したものでもよい。
(7)本実施形態のカバー100は、連結部93の外面を下から覆っている。カバー100は、カバーが筒状部91の側面のみを覆うものとしてもよい。
(8)筒状部91は、電極110の下端よりも上方に開口するエア抜き口91A、91Bを備えている。センサーユニット60は、筒状部にエア抜き口のない構成としてもよい。
(9)実施形態において、センサーユニット60の検知部65は、電極式センサーである。これに限らず、検知部には、焦電センサーなど公知の水位センサーを用いることができる。
(10)実施形態において、センサーユニット60と、便器本体41は、両面テープにより固定されている。センサーユニット60は、ボルトとナットの螺合など公知の固定方法で、便器本体41に固定されてもよい。
(11)実施形態において、センサーユニット60は、便器本体41の便鉢部45の後端部内周面48に取り付けられている。センサーユニット60は、便器本体41の前方や左右側面に取り付けされていてもよい。
(12)本実施形態において、電線80は、保持部材70の開口溝71に固定されている。電線80は、機器取付け部50の上面と、ベースプレート58の離隔部61との間の隙間Sに収容されてもよい。
(13)本実施形態において、下壁101は、前壁103の下端縁から、水平垂直方向に対してやや下方向に傾斜して延びている。下壁101は、前壁103の下端縁から、水平方向に対してやや上方向に傾斜して延ばしてもよい。
(14)本実施形態において、カバー100は、樹脂製で、連結部93の下面114と、筒状部91の上端部側周部を覆っている。カバーは、粘着力によってケースに取り付けられるシールとし、ケースの側周面に密着するように覆ってもよい。
(15)本実施形態のカバー100は、ケース90から取り外して、清掃を行うことができる。カバーは、便座装置などから吐出される水で洗浄してもよい。
【符号の説明】
【0061】
41…便器本体、45…便鉢部、60…センサーユニット、65…検知部、67…突出部、70…保持部材、80…電線(ハーネス)、90…ケース、91…筒状部、91A、91B…エア抜き口、93…連結部、100…カバー、101…下壁、110…電極、122…固定ボルト、123…雌ネジ部、136…傾斜面、L…短絡経路、W…溜水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11