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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068854
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20240514BHJP
   E03D 11/08 20060101ALI20240514BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
E03D11/08
A47K17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179471
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】木原 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】大川 博史
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D037AD00
2D038KA07
2D038KA22
2D038KA26
2D039AA02
2D039AD01
2D039AE00
2D039DB00
(57)【要約】
【課題】便鉢部内の水位の誤検知を抑制する。
【解決手段】便器装置Tは、便鉢部32と、便鉢部32内に向けて洗浄水を吐出する吐水口34とを有する便器本体31と、便鉢部32内の水位の異常を検知するセンサユニット50と、を備え、センサユニット50が、吐水口34から吐出した洗浄水によって洗浄される位置に配置されている。センサユニット50に付着した尿飛沫は、吐水口34から吐出する洗浄水によって洗い流されるので、尿飛沫がセンサユニット50に付着することに起因するセンサユニット50の誤検知を防止できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部と、前記便鉢部内に向けて洗浄水を吐出する吐水口とを有する便器本体と、
前記便鉢部内の水位の異常を検知するセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットが、前記吐水口から吐出した前記洗浄水によって洗浄される位置に配置されている便器装置。
【請求項2】
前記吐水口から吐出した前記洗浄水は、前記センサユニットに対して誤検知を生じさせない形態で洗浄する請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記吐水口から吐出した前記洗浄水は、前記センサユニットの一部のみを洗浄する請求項2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記吐水口は、前記洗浄水が前記便鉢部の内面に沿って流れるように開口し、
前記センサユニットの検知部は、前記便鉢部の前記内面との間に間隔を空けて配置されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項5】
前記便鉢部の内面には、上方に面する棚面が形成され、
前記吐水口は、前記洗浄水が前記棚面の上面に沿って流れるように開口し、
前記センサユニットの検知部は、前記棚面の上方に配置されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水位センサとを備えた便器装置が開示されている。水位センサは一対の電極を有している。便鉢部内の溜水の水位が異常に高くなると、一対の電極の間が溜水を介して通電することによって、水位の異常上昇が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-133376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水位センサは便鉢部の開口縁に配置されているため、水位センサには尿飛沫が付着し易い。水位センサの検知部に尿飛沫が付着したままになると、水位が正常であるにも拘わらず、水位センサが誤検知を生じる虞がある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便鉢部内の水位の誤検知を抑制することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の便器装置は、
便鉢部と、前記便鉢部内に向けて洗浄水を吐出する吐水口とを有する便器本体と、
前記便鉢部内の溜水が一対の電極に接触することによって前記溜水の水位の異常を検知するセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットが、前記吐水口から吐出した前記洗浄水によって洗浄される位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の便器装置の斜視図
図2】便器装置の正面図
図3】便器装置の側面図
図4】便器装置の分解斜視図
図5】センサユニットの分解斜視図
図6】便器本体にセンサユニットとベースプレートを取り付けた状態の正面図
図7】便器本体にセンサユニットとベースプレートを取り付けた状態の側断面図
図8】便器本体にセンサユニットを取り付けた状態の一部切欠平面図
図9】水位の異常を検知したときの制御システムをあらわすブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
以下、本開示を具体化した実施形態1を図1図9を参照して説明する。尚、以下の説明において、以下の説明において、便器装置Tの前後方向については、便器装置Tの便座44に着座した使用者の正面側を前側、使用者の背中側を後側と定義し、図1,3~5,7,8におけるF方向を前方と定義する。上下の方向については、図1~7におけるH方向を上方と定義する。左右の方向については、便器装置Tの前方に立った使用者から見た向きを、そのまま左方、右方と定義し、図1,2,4~6,8におけるR方向を右方と定義する。
【0009】
<便器装置Tの概要>
本実施形態1の便器装置Tは、公共施設等の個室に設置されるパブリックトイレとして用いられるものである。図1~3に示すように、便器装置Tは、キャビネット10と、大便器30とを備えている。キャビネット10は、前壁部11、左右両側壁部12及び上壁部13を有し、個室の後壁面Wを覆うように配置されている。キャビネット10の前壁部11の上端側領域には、キャビネット10の内部空間を前方へ開放させる開口部14が形成されている。キャビネット10には、開口部14を閉塞するための閉塞部材15が着脱可能に設けられている。
【0010】
キャビネット10の内部には、便器洗浄装置17と制御ユニット20とが収納されている。便器洗浄装置17は、洗浄水タンク18と洗浄モータ19とを備えている。洗浄水タンク18内には、大便器30の便器本体31に供給するための洗浄水(図示省略)が貯留されている。洗浄水タンク18の底面には便器本体31に連通する給水口(図示省略)と、給水口を開閉するフラッパー(図示省略)とが設けられている。洗浄モータ19は、フラッパーを開閉させるものであり、フラッパーを開く給水モードと、フラッパーを閉じる給水停止モードとの切り換えを行う。
【0011】
制御ユニット20は、筐体21の内部に制御装置22とAC-DCアダプタ23を収容したものである。制御装置22は、CPUなどの公知の演算装置及び他の周辺回路などを備え、後述するセンサユニット50からの検知信号に基づいて、洗浄モータ19の制御と、後述する局部洗浄装置43への検知情報の送信と、後述する無線LAN通信装置28との通信を行う。AC-DCアダプタ23は、後壁面Wに設けた内部コンセント27を介すことによって商用交流電源からの電力供給を受け、交流電流を直流電流に変換する。AC-DCアダプタ23は、洗浄モータ19とセンサユニット50に電力を供給する。
【0012】
制御ユニット20と洗浄モータ19との間には、電力供給と制御信号の伝送を行うための洗浄用ハーネス24が配索されている。制御ユニット20とセンサユニット50との間には、電力供給と検知信号の伝送を行うためのセンサ用ハーネス25が配索されている。制御ユニット20と局部洗浄装置43の間には、制御信号を伝送するための制御用ハーネス26が配索されている。制御ユニット20と無線LAN通信装置28の間には、検知情報の信号を伝送するための情報伝送用ハーネス(図示省略)が配索されている。
【0013】
図1,4に示すように、大便器30は、便器本体31と、便座装置40と、無線LAN通信装置28と、センサユニット50とを備えている。図2,3に示すように、便器本体31は、キャビネット10の前壁部11のうち開口部14よりも下方の位置に固定され、床面Fから浮いた状態でキャビネット10の前方へ突き出すように配置されている。便器本体31は、便鉢部32と、便鉢部32の後方に連なる機器取付部36とを有する。
【0014】
図4,6,7に示すように、便鉢部32の開口縁部(上端縁部)に形成されたリム33には、洗浄水タンク18内の洗浄水を吐出する吐水口34が形成されている。吐水口34は、便鉢部32の内周面のうち右側面領域の後端部に位置する。吐水口34は、便鉢部32の内周面に沿って水平方向後方へ洗浄水を吐出する向きに開口している。吐水口34から吐出した洗浄水は、便鉢部32の内周面に沿って平面視反時計回り方向に回転しながら、便鉢部32の内周面に付着した汚物を洗い流す。
【0015】
図4,6,7に示すように、便鉢部32の内周面には、周方向に沿った棚面80が形成されている。棚面80は、便鉢部32の内周面を内側へ膨出させた部位の上面である。棚面80の幅寸法(便鉢部32の内周面から便鉢部32の中心に向かう方向の寸法)は、吐水口34から便鉢部32の内周面の最後端32Rに向かって次第に小さくなっている。棚面80の幅寸法は、便鉢部32の内周面の最後端32Rにおいて最小である。吐水口34の下端は、棚面80と同じ高さに位置している。
【0016】
便器本体31には、便座装置40が取り付けられている。図4に示すように、便座装置40は、ベースプレート41と、ベースプレート41に載置した状態で取り付けた装置本体42とを有する。装置本体42は、局部洗浄装置43と、開閉可能な暖房機能付きの便座44と、便蓋45とを一体化したものである。局部洗浄装置43は、機器取付部36の上面を覆うように配置される。便座44と便蓋45は、局部洗浄装置43に対して上下方向の揺動可能に支持され、便鉢部32を閉塞する倒伏姿勢(図1,2参照)と、便鉢部32を開放する起立姿勢(図3の想像線参照)との間で揺動可能となっている。
【0017】
便器本体31に対する便座装置40の取り付けは、まず、装置本体42から外した状態のベースプレート41を、ボルト46(図4参照)によって機器取付部36の上面に固定する。次に、ベースプレート41に対して装置本体42を水平にスライドさせながら組み付ける。局部洗浄装置43及び便座44に対する給電は、キャビネット10の前壁部11に設けた外部コンセント29から行う。
【0018】
無線LAN通信装置28は、本実施形態1の便器装置Tが設置される公共施設内に構築した無線LANに使用される装置であり、便器本体31に取り付けられている。各便器装置Tに取り付けた無線LAN通信装置28は、公共施設に設けたルーター(図示省略)との間でWiFi(Wi-Fi Allianceの登録商標)による無線通信が可能である。ルーターと、管理者が所有するスマートフォンとの間では、LTE通信によってクラウドを介した無線通信が可能である。無線LAN通信装置28に対する給電は、局部洗浄装置43と同じく、キャビネット10の外部コンセント29から行う。
【0019】
センサユニット50は、便鉢部32に繋がる排水路が詰まり、便鉢部32内の溜水Pの水位が異常な高さまで上昇したときに、その異常水位を検知する機能部材である。センサユニット50は、図5に示すように、検知部51と、保持部材57と、電線62とを組み付けて構成されている。検知部51は一対の電極56を備えている。センサユニット50は、保持部材57を機器取付部36の上面に固定することによって、便器本体31に取り付けられている。電線62は、制御装置22に接続される。
【0020】
検知部51は、便鉢部32の内周面の後端部に配置される。溜水Pの水位が異常な高さに上昇すると、溜水Pが一対の電極56に接触して一対の電極56間を導通させる。一対の電極56間が通電すると、センサユニット50は溜水Pの水位が異常であることを検知する。センサユニット50からの検知信号が制御装置22に入力されると、制御装置22は、無線LAN通信装置28とルーターを介すことによって、管理者のスマートフォンに異常を知らせる情報を送る。管理者は、現場への急行や、修理業者への連絡等の対処を速やかに行うことができる。
【0021】
センサユニット50が水位の異常を検知したときに、洗浄水タンク18から洗浄水が便鉢部32に供給されている場合には、制御装置22は、洗浄モータ19を制御して洗浄水タンク18のフラッパーを閉じさせるので、便鉢部32に対する洗浄水の供給が直ちに停止する。また、センサユニット50が水位の異常を検知したときに、局部洗浄装置43から洗浄水が吐出されていた場合には、制御装置22からの検知情報を受信した局部洗浄装置43の制御部(図示省略)が、局部洗浄装置43を制御して局部洗浄用の洗浄水の吐出を停止させる。
【0022】
<便座装置40の取付け構造>
便座装置40は、上記のようにベースプレート41と、装置本体42とを組み付けて構成されている。ベースプレート41は、全体として平板状をなす。ベースプレート41には、前後方向に細長い貫通形態の長孔47が形成されている。図6,7に示すように、ベースプレート41の下面には、複数の突起状の脚部48が形成されている。ベースプレート41は、上方から長孔47に通したボルト46を機器取付部36の取付孔37に差し込み、ボルト46とナット(図示省略)を締め付けることによって、機器取付部36の上面に取り付けられている。
【0023】
ベースプレート41を機器取付部36に取り付けた状態では、複数の脚部48が機器取付部36の上面に当接するので、図6,7に示すように、ベースプレート41は、機器取付部36の上面に対して隙間Sを空けて対向するように位置する。便器本体31は、陶器製であることから成形後の寸法精度が高くなく、機器取付部36の上面に不陸が生じる。不陸に起因して機器取付部36とベースプレート41との間でガタ付きが生じることを回避するために、機器取付部36とベースプレート41との間に複数の脚部48を介在させている。
【0024】
<センサユニット50>
センサユニット50は、便座装置40に付帯するように取り付けられたものではなく、便座装置40に内蔵されたものでもない。センサユニット50は、便座装置40とは別体の部材であり、便座装置40とは独立して取り扱うことができるものである。便器本体31に対するセンサユニット50の取り付けは、便器本体31に対する便座装置40の取り付けとは別の作業として行われる。便器本体31に対するセンサユニット50の着脱の際に、便座装置40を分解する必要はない。
【0025】
図5に示すように、センサユニット50を構成する検知部51は、左右一対の電極56の他に、ケース52と、ケース52の一部を覆うカバー55とを備えている。ケース52とカバー55は、絶縁性材料からなる。ケース52は、軸線を上下方向に向けた左右対称な一対の筒状収容部53と、両筒状収容部53の上端部同士を連結する連結部54とを有する単一部品である。一対の筒状収容部53内には、一対の電極56が個別に収容されている。連結部54の内部空間は、筒状収容部53内と連通し、ケース52の上面に開放されている。カバー55は、ケース52に取り付けられ、連結部54の前面と下面を覆うように配置されている。
【0026】
図5~7に示すように、ケース52のうち、筒状収容部53の外周面と連結部54の外面は、一対の電極56間を短絡させ得る短絡可能領域81である。一対の電極56に溜水Pが接触していない状態(水位の異常を検知していない状態)であっても、短絡可能領域81に水や尿飛沫等が付着すると、これらの付着物を介して電極56間で通電する虞がある。この事象は、センサユニット50がご検知した状態であることを意味する。センサユニット50の誤検知を防止する手段として、カバー55は、短絡可能領域81の一部、具体的には、連結部54の前面と下面を覆うように配置されている。カバー55を設けたことによって、一対の電極56間における短絡可能経路を遮断することができる。
【0027】
センサユニット50を構成する保持部材57は、板状固定部58と板状覆い部59とを有する単一部品である。板状固定部58は、前後方向に細長い形状をなす。板状固定部58の左右方向中央部には、板状固定部58の上下両面間に貫通し、前後方向に細長く延びた配線空間60が形成されている。前後方向における配線空間60の形成範囲は、板状固定部58の前端から、板状固定部58の後端よりも少し前方の位置に至る領域である。板状覆い部59は、保持部材57の前端部に配置され、板状固定部58よりも幅広で左右方向に細長く延びた形状をなす。保持部材57は、板状覆い部59を連結部54の上面の開口に被せ、ビス止めすることによってケース52に固定されている。板状固定部58の上面後端部には、センサ用ハーネス25に作用する引張力を受け止めるためのストレインリリーフ部61が配置されている。
【0028】
一対の電極56の上端部には、2本の電線62が個別に接続されている。2本の電線62は、連結部54の内部空間と板状固定部58の配線空間60内とを通り、配線空間60の後端からストレインリリーフ部61を通過して保持部材57の後方へ導出され、キャビネット10内に収容されて制御ユニット20に接続される経路で配索されている。2本の電線62は、センサ用ハーネス25を構成している。電線62の外径は、板状保持部の板厚寸法と同じか、それよりも小さい寸法である。配線空間60内に収容された2本の電線62は、保持部材57の上下両面に貼り付けた保持テープ63によって、保持部材57(配線空間60)から外れないように保持されている。
【0029】
<センサユニット50と便座装置40の取り付け手順>
センサユニット50は、表裏両面が粘着性を有する両面テープ64(シート状部材)によって便器本体31に固定されている。両面テープ64の下面は、予め、機器取付部36の上面に貼り付けられている。剥離紙を剥がした両面テープ64の上面に、板状固定部58が重なるように貼り付けられている。板状固定部58は、両面テープ64の全体を覆い隠す大きさを有するため、機器取付部36の上面には、保持部材57を位置決めするためのガイドとして、粘着テープ等からなる一対の指標部65が配置されている。一対の指標部65は、両面テープ64の左右両側縁に沿うように前後方向に沿って直線状に配置されている。板状固定部58の左右両側縁を一対の指標部65に位置合わせすることによって、センサユニット50を便器本体31に対して左右方向に位置決めすることができる。
【0030】
また、ケース52の後面を便鉢部32の後端部内周面に当てることによって、センサユニット50を便器本体31に対して前後方向に位置決めすることができる。上記のように保持部材57を左右方向に位置決めし、検知部51を前後方向に位置決めした状態で板状固定部58を機器取付部36の上面に固定することによって、センサユニット50が便器本体31に対して適正な位置に取り付けられている。検知部51は、機器取付部36の前端縁よりも前方の位置、即ち便鉢部32の内周面の後端部に配置されている。検知部51は、便鉢部32内に臨むように配置される。
【0031】
図6に示すように、一対の筒状収容部53(電極56)は、正面視において便鉢部32の内周面の最後端32Rを挟んで左右に並ぶように配置されている。図8に示すように、一対の電極56を収容する筒状収容部53は、平面視において便鉢部32の内周面との間に間隔を空けるように配置されている。検知部51(筒状収容部53)の下端は、吐水口34の高さ方向の開口領域の範囲内に位置する。筒状収容部53を含む検知部51の全体は、棚面80よりも上方の配置されている。連結部54の下面は、吐水口34の上端よりも高い位置に配置されている。
【0032】
センサユニット50を便器本体31に取り付けた後、機器取付部36にベースプレート41を取り付ける。ベースプレート41を取り付けた状態では、機器取付部36の上面とベースプレート41との間に隙間Sが確保される。この隙間Sは、機器取付部36の上面の不陸への対策として形成されたものであるが、保持部材57と2本の電線62を収容するための取り付け空間として有効活用されている。ベースプレート41を機器取付部36に取り付けた後に、装置本体42をベースプレート41に組み付けると、局部洗浄装置43が、保持部材57のうち後端部(ストレインリリーフ部61)を除いた大部分と、検知部51の全体を上から覆うように配置される。保持部材57の後端部(ストレインリリーフ部61)は、便座装置40(局部洗浄装置43)の後端よりも後方に位置している。便座装置40の後端はキャビネット10の前壁部11の近傍に位置するので、2本の電線62(センサ用ハーネス25)のうちストレインリリーフ部61から後方へ導出した部分は、キャビネット10内に配索される。
【0033】
<実施形態1の作用効果>
吐水口34から吐出された洗浄水は、便鉢部32の内周面に沿って検知部51に向かって流れていく。吐水口34と検知部51との間には、洗浄水を下支えするように配置された棚面80が存在するので、洗浄水の大部分は、検知部51に衝突し、主として筒状収容部53の外周面に付着している尿飛沫等の汚れを洗い流す。正面視において、右側の筒状収容部53は左側の筒状収容部53よりも吐水口34に近い。しかも、棚面80の幅は、吐水口34から検知部51に向かって次第に狭くなり、右側の筒状収容部53と左側の筒状収容部53との間において最小幅となっている。そのため、右側の筒状収容部53に接する洗浄水の量は、左側の筒状収容部53に接する洗浄水の量よりも多い。また、連結部54の下面の位置は、吐水口34の上端よりも高い位置にあるので、洗浄水が連結部54に接する虞はない。このように、一対の電極56間の短絡可能領域81のうち、連結部54と左側の筒状収容部53の上端部には洗浄水が接触しないので、洗浄水によって一対の電極56間が短絡しない。よって、洗浄水の付着に起因してセンサユニット50が誤検知を生じることはない。
【0034】
本実施形態1の便器装置Tは、便器本体31とセンサユニット50とを備えている。便器本体31は、便鉢部32と、便鉢部32内に向けて洗浄水を吐出する吐水口34とを有する。センサユニット50は一対の電極56を有する。便鉢部32内の溜水Pが異常水位まで上昇すると、溜水Pが一対の電極56に接触することによって、センサユニット50が溜水Pの水位の異常を検知する。センサユニット50は、吐水口34から吐出した洗浄水によって洗浄される。センサユニット50に付着した尿飛沫は、吐水口34から吐出する洗浄水によって洗い流されるので、尿飛沫がセンサユニット50に付着することに起因するセンサユニット50の誤検知を抑制することができる。
【0035】
吐水口34から吐出した洗浄水は、前記センサユニット50に対して誤検知を生じさせない形態で洗浄するので、洗浄水の付着に起因するセンサユニット50の誤検知を防止できる。具体的には、吐水口34から吐出した洗浄水は、前記センサユニット50の一部のみを洗浄する。洗浄水よって洗浄されるのはセンサユニット50の一部だけなので、洗浄水を介して一対の電極56が短絡する虞がない。一対の電極56の短絡に起因する誤検知を防止できる。
【0036】
センサユニット50は、一対の電極56を収容するケース52と、カバー55とを備えている。カバー55は、ケース52の外面のうち一対の電極56の短絡経路となり得る短絡可能領域81の少なくとも一部を、間隔を空けて覆うように配置されている。短絡可能領域81の少なくとも一部(連結部54)には洗浄水が付着しないので、一対の電極56が洗浄水を介して短絡することはない。洗浄水を介した電極56間の短絡に起因する誤検知を防止できる。
【0037】
吐水口34は、洗浄水が便鉢部32の内面に沿って流れるように開口している。センサユニット50のうち電極56を含む検知部51の筒状収容部53は、便鉢部32の内面との間に間隔を空けて配置されている。検知部51の筒状収容部53が便鉢部32の内面から離れた位置に配置されているので、洗浄水の流れが検知部51によって妨げられることがない。検知部51によって便鉢部32の洗浄機能が低下することを防止できる。
【0038】
便鉢部32の内面には、上方に面する棚面80が形成されている。吐水口34は、洗浄水が棚面80の上面に沿って流れるように開口している。センサユニット50のうち電極56を含む検知部51は、棚面80の上方に配置されている。このの構成によれば、洗浄水が棚面80に乗った状態で流れるので、検知部51が洗浄水によって確実に洗浄される。
【0039】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
センサユニットは、便鉢部のリムの後端部に限らず、リムの側縁部やリムの前端部等に取り付けてもよい。
洗浄水がセンサユニットの検知部の全体を洗浄するようにしてもよい。
センサユニットは、カバーを有しない形態でもよい。
検知部は、便鉢部の内周面との間に間隔を空けないように配置してもよい。
便鉢部は棚面を有しない形状でもよい。
検知部は、棚面の上方以外の領域に配置してもよい。
センサユニットは、溜水に電極を接触させるタイプのものに限らず、光電センサや焦電センサ等の非接触タイプのものを用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
T…便器装置、P…溜水、31…便器本体、32…便鉢部、34…吐水口、50…センサユニット、51…検知部、52…ケース、55…カバー、56…電極、80…棚面、81…短絡可能領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9