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  • 特開-床置き手摺 図1
  • 特開-床置き手摺 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068856
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】床置き手摺
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/10 20060101AFI20240514BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61G7/10
A61H3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179475
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】599139442
【氏名又は名称】株式会社プラッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】藤川 稔
(72)【発明者】
【氏名】渡利 祐吾
【テーマコード(参考)】
4C040
4C046
【Fターム(参考)】
4C040AA05
4C040AA06
4C040GG14
4C046AA27
4C046BB07
4C046CC01
4C046CC04
4C046DD33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】異常な変形や破損を防止する床置き手摺を提供する。
【解決手段】2本の支柱10、12の間に把持可能な梁20を設けた手摺部と、台板の上部に2本の中空状の支持管を設けた台座部とを有し、台座部の支持管に手摺部の支柱10、12を着脱可能に挿入させた床置き手摺において、手摺部の梁20を内側部材23と内側部材23の外側に捩り変形可能に設けた外側部材24とで形成するとともに、各支柱10,12を梁20の外側部材24だけに連結する。また、各支柱10、12に継手18、22を固定し、継手18,22を梁20の外側部材24だけに固定する。さらに、梁20の外側部材24に外側部材24よりも硬い内側部材23を圧入する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の支柱の間に把持可能な梁を設けた手摺部と、台板の上部に2本の中空状の支持管を設けた台座部とを有し、台座部の支持管に手摺部の支柱を着脱可能に挿入させた床置き手摺において、
手摺部の梁を内側部材と内側部材の外側に捩り変形可能に設けた外側部材とで形成するとともに、各支柱を梁の外側部材だけに連結したことを特徴とする床置き手摺。
【請求項2】
前記各支柱に継手を固定し、継手を梁の外側部材だけに固定したことを特徴とする請求項1に記載の床置き手摺。
【請求項3】
前記梁の外側部材に外側部材よりも硬い内側部材を圧入させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床置き手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床置き手摺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢者や要介護者などが起立・着座動作や立位保持や歩行動作などを行う際の補助器具として、床に載置することができるとともに移動させることができる床置き手摺が利用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この床置き手摺は、床に置く台座部の上部に使用者が手摺として把持する手摺部を着脱自在に設け、搬送時や収納時などには台座部と手摺部とを分離した状態とすることができ、使用時には台座部に手摺部を装着して組み立てた状態とすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-55233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の床置き手摺では、台座部に一対の中空状の支持管を設け、その支持管に挿入される一対の支柱を手摺部に設け、2本の支柱の上部間に手摺となる梁を設けている。
【0006】
そのため、床置き手摺の搬送時や収納時や組立時などにおいて、台座部から手摺部を分離させた状態で、手摺部の支柱に外力が作用すると、支柱間の梁が不用意に捩られてしまい、異常な変形や破損が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、2本の支柱の間に把持可能な梁を設けた手摺部と、台板の上部に2本の中空状の支持管を設けた台座部とを有し、台座部の支持管に手摺部の支柱を着脱可能に挿入させた床置き手摺において、手摺部の梁を内側部材と内側部材の外側に捩り変形可能に設けた外側部材とで形成するとともに、各支柱を梁の外側部材だけに連結することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記各支柱に継手を固定し、継手を梁の外側部材だけに固定することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記梁の外側部材に外側部材よりも硬い内側部材を圧入させることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、2本の支柱の間に把持可能な梁を設けた手摺部と、台板の上部に2本の中空状の支持管を設けた台座部とを有し、台座部の支持管に手摺部の支柱を着脱可能に挿入させた床置き手摺において、手摺部の梁を内側部材と内側部材の外側に捩り変形可能に設けた外側部材とで形成するとともに、各支柱を梁の外側部材だけに連結することにしているために、台座部と手摺部とを分離した状態で誤って支柱に外力が作用しても、梁の外側部材だけが捩り変形することで梁が捩られる方向に加えられた外力を緩和することができ、床置き手摺の異常な変形や破損を防止することができる。
【0012】
特に、前記各支柱に継手を固定し、継手を梁の外側部材だけに固定した場合には、継手を介して支柱と梁とを容易に接続することができ、床置き手摺の製造を容易なものとすることができる。
【0013】
また、前記梁の外側部材に外側部材よりも硬い内側部材を圧入させた場合には、使用時に使用者が梁を手摺として把持しても内側部材に対して外側部材が容易に回転してしまうことがなく、使用者の体重等の外力を梁の内側部材によって良好に支持することができるとともに、床置き手摺の異常な変形や破損が生じるような外力が加えられた場合には、梁の外側部材だけが捩り変形して外力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る床置き手摺を示す正面図(a)、右側面図(b)。
図2】同平面図(a)、背面図(b)。
図3】同拡大右側面図(a)、A-A断面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る床置き手摺の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、床置き手摺1は、床に移動可能に載置される台座部2と、台座部2に着脱自在に装着される手摺となる手摺部3とから構成している。そして、床置き手摺1の搬送時や収納時には、台座部2と手摺部3とを分離した状態にして搬送や収納を容易なものとし、床置き手摺1の使用時には、図示するように台座部2に手摺部3を装着した状態に組み立てることができるようになっている。
【0017】
この床置き手摺1の台座部2は、矩形板状の台板4の上部に手摺部3を支持するための4本の支持管5~8を上下左右に間隔をあけて設けている。台板4の上部中央側には、上下に伸延する左右一対の支持管5,6を左右に間隔をあけて取付けている。また、台板4の上部後側には、上下に伸延する左右一対の支持管7,8を左右に間隔をあけて取付けている。支持管5~8は、中空円管形状となっており、上端を開口させている。
【0018】
手摺部3は、台座部2の支持管5~8に支持される4本の支柱9~12を上下左右に間隔をあけて設けている。手摺部3の前側には、台板4の上部中央側の支持管5,6の中空部に挿入される上下に伸延する左右一対の円筒状の支柱9,10が左右に間隔をあけて設けられている。手摺部3の後側には、台板4の上部後側の支持管7,8の中空部に挿入される上下に伸延する左右一対の円筒状の支柱11,12が左右に間隔をあけて設けられている。
【0019】
また、手摺部3は、前側の左右の支柱9,10の中途上部間に左右に伸延する円筒状の補強用の梁13を継手14,15を介して接続するとともに、支柱9,10の上端部間に左右に伸延する円筒状の手摺用の梁16を継手17,18を介して接続している。支柱9,10や梁16と継手14,15,17,18とは、接着やビス等の締結具などによって固定されている。
【0020】
さらに、手摺部3は、前側の左右の支柱9,10の上端部と後側の左右の支柱11,12の上端部との間に前後に伸延する手摺用の梁19,20をそれぞれ継手17,18,21,22を介して接続している。支柱11,12や梁19,20と継手17,18,21,22とは、接着やビス等の締結具などによって固定されている。
【0021】
この手摺用の梁19,20は、後端部が支柱11,12の上端部に継手21,22を介して取付けられるとともに、前端部が支柱9,10の上端部に継手17,18を介して片持ち状に支持されている。
【0022】
また、手摺用の梁19,20は、図3に示すように、円筒状の金属製の内側部材23と、内側部材23の外周を被覆する円筒状の樹脂製の外側部材24とで形成している。梁19,20は、内側部材23を外側部材24よりも硬質なものとし、外側部材24の中空部に外側部材24の内径よりもわずかに大きな外径の内側部材23を圧入している。外側部材24に内側部材23を圧入することによって、内側部材23に対して外側部材24が内側部材23との間の接触抵抗により安易に回転することが無いようにするとともに、内側部材23の外周面と外側部材24の内周面とは接着等の固定がされておらず、内側部材23と外側部材24との間の接触抵抗を超える外力が加えられたときには内側部材23に対して外側部材24が捩り変形できるようにしている。
【0023】
そして、手摺用の梁19,20は、外側部材24の前端部外側が継手17,18に接着やビス等の締結具などによって固定されるとともに、外側部材24の後端部外側が継手21,22に接着やビス等の締結具などによって固定されている。梁19,20の内側部材23は、外側部材24の中空部で保持されているだけで、継手17,18,21,22(支柱9~12)には固定されていない。
【0024】
そのため、手摺部3は、台座部2から分離された状態で運搬時や組立時や分解時などにおいて、支柱9~12などに外力が作用して梁19,20を捩る力が加えられても、梁19,20の外側部材24だけが内側部材23に対して捩り変形することで、外力の作用を緩和することができる。
【0025】
また、手摺部3は、組立時において、手摺部3の支柱11,12と台座部2の支持管7,8との位置がずれていても、支柱11,12を梁19,20に対して僅かに捩って支柱11,12の位置を補正しながら台座部2の支持管7,8に挿入することができ、台座部2と手摺部3との組み立てを容易に行うことができる。
【0026】
以上に説明したように、床置き手摺1は、2本の支柱9,11(10,12)の間に把持可能な梁19(20)を設けた手摺部3と、台板4の上部に2本の中空状の支持管5,7(6,8)を設けた台座部2とを有し、台座部2の支持管5,7(6,8)に手摺部3の支柱9,11,(10,12)を着脱可能に挿入させた構成となっている。
【0027】
しかも、上記床置き手摺1は、手摺部3の梁19(20)を内側部材23と内側部材23の外側に捩り変形可能に設けた外側部材24とで形成するとともに、各支柱9,11(10,12)を梁19(20)の外側部材24だけに連結した構成となっている。
【0028】
そのため、上記構成の床置き手摺1では、台座部3と手摺部2とを分離した状態で誤って支柱9,11(10,12)に外力が作用しても、梁19(20)の外側部材24だけが捩り変形することで梁が捩られる方向に加えられた外力を緩和することができ、床置き手摺1の異常な変形や破損を防止することができる。また、台座部2の支持管6,7(6,8)と手摺部3の支柱9,11(10,12)と位置ずれを補正しながら台座部2に手摺部3を組付けることができ、床置き手摺1の組立作業を容易なものとすることができる。
【0029】
また、上記床置き手摺1は、各支柱9,11(10,12)に継手17,21(18,22)を固定し、継手17,21(18,22)を梁19(20)の外側部材24だけに固定した構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成の床置き手摺1では、継手17,21(18,22)を介して支柱9,11(10,12)と梁19(20)とを容易に接続することができ、床置き手摺1の製造を容易なものとすることができる。
【0031】
また、上記床置き手摺1は、梁19(20)の外側部材24に外側部材24よりも硬い内側部材23を圧入させた構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成の床置き手摺1では、使用時に使用者が梁19(20)を手摺として把持しても内側部材23に対して外側部材24が容易に回転してしまうことがなく、使用者の体重等の外力を梁19(20)の内側部材23によって良好に支持することができるとともに、床置き手摺の異常な変形や破損が生じるような外力が加えられた場合には、梁の外側部材だけが捩り変形して外力を緩和することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 床置き手摺 2 台座部
3 手摺部 4 台板
5~8 支持管 9~12 支柱
13,16,19,20 梁 14,15,17,18,21,22 継手
23 内側部材 24 外側部材
図1
図2
図3